連載講座
1111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111
ファイナンス理論の概要
一一一ファイナンス理論とその応用 (1)一一
Huang
Chi-fu ,*浦谷規料
11川11川11川11川11川11川11川11川11川11川11川11川11川11川11川川11川111川11川111川川11山11川11川11川川11川11川川11川川11川11川11川i自11川川11川川11川川11川川11川川11川11川11川川11削11川11川川11川川11川川11川川11川111川川11川川11川11川川11川川11川11川111川川11川川11川11川11川川11川111川川11川11川川11川川11川11川川11川川11川11川11川川11川11川川11川川i日川川11川川11川川11川11川11川川11川11川11川川11川川11川111川11川11川川11川川11川川11川川11川11川111川111川11川111川11川川11川川11川川11川111川i自11川11川川11川11川川11川川11川11川11川11川11川川11川川11川11川11川11川11川11川1111川11川111川1111川111川11川川11川11川11川11川11川川11川111川11川111川川11川川11川川11川川11川川11川川11川川11川川11川11川川11川川|刊川11川11川川11川11川川11川川11川111川川11川11川川11川川11川111川11川11川川11川川11川11川11川川11川11川川11川11川11川川11川11川11川11川川11川111川111川11川川11川11川11川11川11111川11川1111附1111川川11川11川1111川11川11川川11川川11川11川11川11川111川1111川11川111川11川111川111川11川11川11川11川川11川11川11川11川川11川11川11川111川11川川11川11川11川11川11川11川11川川11川11川11川111川11川111川11川川11川川11川11川11聞111!
1
.
はじめに
ファイナンス理論の始まりはどこからで
あろうか.たぶん Modigliani and Milュ
ler(1958) の一見単純な命題「すべての状 態で同ーの利益をもたらす証券の組合せ は,同一価格になる J にその発端があった と考えられる. 連載の初回は Financial Economics の 資本市場に関する 3 つの重要なテーマにつ いて概観する.第 1 は, Markowitz( 1952) や Tobin( 1958) による平均分散ポートフォリオ理論と,
Black( 1972), Lintner( 1965), Mossin( 1965), Sharpe (1964) らによる,収益率に関する市場均衡での関係を求
めた CAPM(Capital Asset Pricing Model) であ
る.第 2 のテーマは,個人の生涯の効用を極大化すると
L 、う動的考えの導入により CAPM を一般化したモデル
Intertemporal CAPM (ICAPM) であり Merton (1971, 1973a) に始まり, Breeden( 1979) および Cox , Ingersoll and Ross( 1985) によって展開された.第 3 は, Financial Engineering として種々の金融新商品
を生み出す基礎となった Black and Sholes ( 1973) や
Merton ( 1973b)によるオプション理論である.オプシ
ヨン理論は Cox and Ross (1976), Harrison and
Kreps( 1979) や Harrison and Pliska(1981) により確
率論的方法が確立し,条件付証券の一般論として発展し
てきている.この一般理論の枠組みによって,動的ポー
トフォリオ理論が Cox and Huang (1986, 1989), He
and Pearson ( 1989) および Pagès( 1989) らによって
展開され,動的市場均衡が Huang(1985a, b), Du伍 e
E[rpJ E[rpJ m , , , v, φ A/C
,
mvp \、、 σ(rp)?
σ(rp) *マサチューセッツ工科大学 糾うらたにただし静岡県立大学経営情報学部 干 422 静岡市谷回 3958
1
8
(a) 安全資産なし (b) 安全資産あり 図 1 ポートフォリオフロンティア ( 1986) および Huang( 1987)によって進められてきた. 次回以降の連載では,これらの主要テーマおよびその 応用について詳しく解説するので,今回は詳細に立ち入 らず全体像を把握するために主要な結果だけを概説す る.したがって難解に見えるテーマもあるが,以後の 4 回 でできる限り平易に解説するのでご期待いただきたい.2
.
静的ポートフォリオ理論と CAPM
静的ポートフォリオ理論では,所与の期待収益率を制 約として分散で測られるリスクを最小化する資産の組合 せ(ポートフォリオ)を求める.この資産の組合せが, 平均分散効率的ポートフォリオと呼ばれる. まず,安全資産が存在しない場合から始めよう.平均 分散効率的ポートフォリオの集合(ポートフォリオ・フ ロンティアと呼ぶ)は,平均と標準偏差を軸として表わ すと図 1 (a) のとおりの双曲線になる.フロンティア上の 最小分散ポートフォリオを mvρ と記した.フロンティ ア上のすべてのポートフォリオはフロンティア上の異な る任意の 2 つのポートフォリオで「生成j できる.これ が 2 ファンド分離 (2 fund separation) と呼ばれる性 質である.すべての投資家を満足させる投資信託はフロ ンティア上にあるので,投資家がフロンティア・ポート フォリオを保有するためには,その 2 つの投資信託の組合せを持つことだけで十分である.また,任意の 2 つの すると e は市場ポートフォリオ m である.したがって フロンティア・ポートフォリオの線形結合はアロンティ zc(m) の期待収益率はりに等しい fmをポートフォリ ア・ポートフォリオになるので,ポートフォリオ・フロ オの収益率とすると , (1)と同様に任意のポートフォリ ンティアは線形空間であることがわかる. オ q に対して, 任意のフロンティア・ポートフォリオ p に対して,共 分散が零となるフロンティア上のポートフォリオ zc(p) を p の零共分散ポートフォリオと呼ぶ.ただし mvp に 対しては存在しない . p の零共分散ポートフォリオは 図 1 (a)において, ρ からの接線が縦軸と突わる点を期待 収益率とするフロンティア上の点 zc(p) である.このフ ロンティア・ポートフォリオ p と zc(p) を用いると,必 ずしもフロンティア上にない任意のポートフォリオ q に 対して,次の重要な数学的結果が導かれる.
E [fq] ー E[f.e(pl]=゚qp(E[f p]-E[ 九e(pl]) , (1) Cov(fo, f包) ただし P仰三qp
Var(f
唱 F p) へはポートフォリオ i の収益率 , E[ ・],Cov
, Var は それぞれ期待値,共分散, 分散を表わす. (1)は,任意 のポートフォリオ q の期待収益率が,フロンティア・ポ ートフォリオ P に対するベータ値 ßqp と線形関係にある ことを示している.これは単に数学的結果であり,経済 学的考察抜きで導かれる. CAPM の意義は,経済学的 論理で l つのフロンティア・ポートフォリオを決定し, 種々の資産の期待収益率に対して (1) の線形関係を見い だすところにある.資産の収益率あるいは投資家の選好 に仮定を設けると,投資家はフロンティア・ポートフオ リオを保有することが最適である.均衡では,需要と供 給は等しい.市場ボートフォリオは,すべての投資家の 最適ポートフォリオの凸結合であるので,それもまたフ ロンティア・ポートフォリオである.投資家の最適ポー トフォリオの期待収益率は mψρ より大きい効率的ポー トフォリオであるから,市場ポートフォリオも効率的で ある.したがって (1) の p を市場ポートフォリオ m に, zc( ρ) を zc(m) に置き換えても , E[fm]-E[ 九c同)]は 正として成り立つ.これが B1ack( 1972) の Zero-Beta CAPM である. 安全資産が存在する場合は,今までの議論がより簡単 になる.安全資産利子率をりとすると,ポートフォり オ・フロンティアは図 1 (紛のとおりの rf から出る 2 本 の半直線となる. 2 ファンド分離がこの半直線上で成り 立ち,投資家は図の「接点ポートフォリオ J e と安全資 産 rf の組合せを選択する.すべての投資家が e とりの 組合せを選択し,安全資産はネットの供給がゼロと仮定 1990 年 11 月号 E[fq]-rf=ßg叫 (E [fm]-rf) , (2) Cov(fq今fm)が成り立ち , ßom= 一一~ーーである.これがLi ntnerq叫 Var(f隅)
(1964)
,Mossin(1965)
, Sharpe(1964) による CAPM である.E[f q] -E[f 2e(ml] がポートフォリオ q のリスクプレ ミアムと呼ばれる.任意の資産のリスクプレミアムは市 場ポートフォリオの「ベータ」に正比例することを CA
PM
,Zero-Beta CAPM のいずれもが予測する.すな
わちベータの高い資産ほどリスクプレミアムが大きい. 収益率の分散の代わりに,市場ポートフォリオに関する ベータを均衡におけるリスクの測度にする点が CAPM の特徴である. CAPM には次のとおりの経済的意味がある.同ーの 収入の期待値を持つ資産 a , b があるとしよう a は市 場ポートフォリオ m と正の相関があり b が負の相関が ある時 b は m のリスクをヘッジすることが可能であ る.したがって b は a に比べ価値があり b は a より価 格が高くなる.ところで,期待収入は問ーであるから, 価格の高い b の方が期待収益率は小さくなる.したがっ て市場ポートフォリオと相関が高い資産 a は多くのリス クプレミアムを受け取る.以上の資産評価モデルは, リ スクプレミアムをベータの線形関数によって予測し f怖 と相関しない収益率の不確実性はリスクプレミアムに寄 与しないとする.3
.
動的ポートフォリオ理論と ICAPM
動的ポートフォリオ理論では,ポートフォリオから生 じる資金の消費による効用を最大化し,そのための個人 の生涯におよぶ投資および消費を解析する.以下に示す ように拡散過程を用いるのはその解析可能性のためて、あ る. 時間 [0 , T] の不確実性の下での経済を Coxe
t
a
1
(
1985) にしたがって考えてみよう . n=O , I ,..., N と番 号づけられた N+1:種の証券があり , Sn {t) を時刻 t の 第 n 証券の価格とする . S(t) は (Sl(T) , … , SN(T))T を 表わすベクトルで, T は転置とする . S が次の確率微分 方程式を満たすとする,dS(t)+f( Y(t) , t)dt=Is {t) μ( Y(t)
,
t)dt+Is(t) σ (Y(t) , t)dB (3)
(
2
7
)
8
1
9
© 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.ただし Y は次の確率微分方程式を満たすM次の拡張過
程とする.
dY(t)=同 (Y(t) ,t)dt+g( Y(t), t)dB(t) , 何)
f( Y(t) , t) は,時刻 t に N 種の各証券に支払われる N 次の配当ベクトル , Is (t) は , NxN 対角行列で第 n 対 角要素が Sn(t) , μ はN次ベクトル , ß はM次ベクトル, σ は NxK 行列 , g は MxK 行列,そして B は K次の標 準ブラウン運動である.後で経済的意味を考えるために, M+l<N:<;,. K とし, σ (t) と g(t) は常にフルランクで あると仮定しよう .Y は「状態変数」ベクトルであり, μ (t) および σ (t) σ (t)T はそれぞれ資産 n=I , 2 , … , N に 対する「瞬時の j 期待収益率ベクトルおよび「瞬時の J 共分散行列である.証券 0 は時刻 t で r( Y(t) , t) の率 で成長するプロセスで,局所的に無危険である.以後で は , n=I , 2 , … , N を危険資産と呼び n=O を安全資産と 呼ぶ. 危険資産への投資比率をポートフォリオ政策 A(t) と し,生涯の消費を消費政策 C(t) とする.予算制約とし ての震 W(t) は次の確率微分方程式を満たさねばならな L 、. dW(t) =[W(t)(r(t)+A(t)T( μ (t)-r(t)))
-C(
t)Jdt+ W(t)A (t )Tσ (t)dB(t) (5) 個人の最適な消費とポートフォリオの問題は,次の期 待値を最大化する (A , C) を見つけることである.E[~~ u(C( 凡 Y(t) , t)dt]
その制約式は, (5) の予算制約および (3) と (4) の価格 システムである .
u(
C(
t)
, Y(t), t) は,時間 t の消費に 対する個人の効用関数である.この最大化問題の解の存 在を仮定し , J(W(t), Y(t) , t) を , W(t) および Y(t) が 与えられた時刻 t での最適値関数としよう.ベルマンの 最適性原理より,次のベルマン方程式が導かれる.maXA
,
o{-}JwwW2ATAT/1/1TA+WATσgTJWY
+Jw[W(r+AT( μ -r))-CJ+ u(C, Y
,り
Y, t)
川
t刈)
}
+J[.ß戸+t
ト仕
ただし添字lは土偏徴分を表わし, tr は行列のトレースで ある. 最大化の条件はA= 一dw
が(凶
σ何
dσd
川
T
(7) uc:;.Jw(
8
)
(7)から動的ポートフォリオを考えてみよう. 第 1 項の (σσT)-l(μ -r) は, I瞬時の」平均分散フロンティアポー8
2
0
(28) トフォリオの危険資産への投資比率に比例j している.第 2 項の (σσT)-l/1gTの第i行は,第i状態変数に最も相関 するポートフォリオの危険資産への投資比率に比例して いる.そこで静的モデルの 2ファンド分離の一般化が直 ちに可能となる.すなわち,すべての最適ポートフォリ オは,平均分散フロンティアボートプォリオと,状態変 数と最も相関するM コのポートフォリオと安全資産の線 形結合である(M+2fund s
e
p
a
r
a
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i
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)
.
M+l<N の 仮定は,投資信託の種類が取引される証券の種類より多 くなることを排除するためである. (7)から均衡における期待値に関する関係 Intertemp
o
r
a
l
CAPM が次のように導ける.経済の代表的個人 を仮定すると,市場清算条件から (7) は市場ポートフォ リオに対して成立する .X を状態変数 Y に最も相関の高 いポートフォリオの価格の M 次ベクトんとし, μx(t) を X の瞬時の期待収益率ペクトノレとすると,次式が成り立 ペコ. iμm (t )-r(t) \ μ (t)-r(t)=ßs, wxl 一x\μx (t )-r(t)J l (9) ただし ßs, wx=V S, WX(t)
V-IWX, wx(t) Vs , wx(t) および Vwx, wx(t) はそれぞれ S と (W, XT) ,および (W, XT) と (W, XT) の時刻 t における瞬時 の変化に対する共分散行列である .μ問 (t) は市場ポート フォリオの時刻 t における瞬時の期待収益率である.この Merton( 1973a) の多要因 ICAPM では,危険資
産の瞬時のリスクプレミアムが ßs , wx の行で捉えられ る M+l の特徴(市場ポートフォリオに関するベータお よび状態変数に最も相関する M個のポートフォリオに関 するベータ)によって均衡において線形関係で決定され る. さらに効用関数が Y と独立であり,均衡で C(t)>O で あると (9) は (8) と伊藤の補題から単純化できる. oT μ (t)-r(t)= 去三 (μ ê (t )-r(t)) 附
ただし C(t) を,時刻 t の経済全体の消費とし .
C(t) を C(t) の瞬時の変化率と最も相関する収益率を持つポ ートフォリオの価格とする.内 (t) および η (t) はそれぞれ C の瞬時の期待収益率および収益率であり,さらに,
゚sc=COVt((dS(t)T-+:!~tJ!.~1(~~~~'\ ~C(t
-
t
!
C
(
t)) c~ Vart(dC(t)/C(t))p-Cove(rs(t)
,
dC(t)/C(t))
鹹 = -v~~i三百(t jjC(tT)V
a
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.
COVt は時刻 t の情報の下での分散,共分散オ ベレータである. オベレーションズ・リサーチt=O t=l t=2 (1.3.4)
1
(1.2
,
5) 0
(
1
.
1
.
3
)
0
(1,1. 75,3. 75) (1,0,2) 0 (1,3,5) 1 図 2 原証券の価格プロセスの木( 10) が Breeden( 1979) の Intertempora! Consumpュ
tionCAPM であり , ßSc//ßêc の要素を危険資産の消 費ベータと呼ぶ.このモデルの CAPM との相違点は, 市場ポートフォリオの代りに経済全体の消費が評価に使 われ,資産の不確実性は消費ベータで完全に決定される ところにある.
4
.
条件付E券の価格理論
条件付証券の研究はB! ack ,Scho!es( 1973) や Merton
( 1973b) によって始められて以来,連続時間の確率過程 を用いられているが,ここでは直観的にわかりやすい離 散モテツレで説明してみよう. 3 つの証券があり, t=0 , 1 , 2 の 3 時点、の投資を考えて みよう. 3 証券の価格の動きは図 2 のとおりの木 (event tree) で表わされる.時刻 O での証券価格 (1.7/4, 15/4) が時刻 l では(1, 2, 4) かまたは (1 , 3/2, 7/2) になる.時刻 1 の上のノードは時刻 2 では 3 つのノードになり,下の ノードでは 2 つのノードになる.第 1 の証券の価格はす べてのノードで常に l である.カッコの中の第 n 番目の 数が第 n 証券の価格である.ここで木の枝には確率の値 を設定しないで,単に正の数であることだけを想定して いる.したがって以下に導かれる結果は確率の値から独 立である. さて,第 2 証券の時刻 2 の価格を条件とする証券を考 えてみよう.第 2 証券の時刻 2 の価格が 2 より大きいと き,証券価格と 2 との差だけ支払われる証券の収入は,図 2 の時刻 2 の各ノードに右側に示されるとおりである. この証券は行使価格 2 のヨーロッバ型コールオプション 1990 年 11 月号 である. このような証券を一般に条件付証券 (Contin
gent Security) または派生証券 (derivative security)
と呼び,これに対してものと 3 証券を原証券 (primitive security) と呼ぶ. さてこのオプションの支払は,原証 券の時刻 2 の価格の線形結合では表わせない.すなわ ち,時刻 0 で 3 原証券のポートフォリオを買し、,時刻 2 まで保有しでもオプションと同じ支払を受け取るポート フォリオは作れない.ところが,もしポートフォリオが 存在した場合,オプションの価格は,ポートフォリオの 価格に等しくなければならない.さもなければコールオ プションを売ったお金て、このポートフォリオを買い利益 を得る裁定取引(逆の取引も可能)ができるからである. 条件付証券の価格理論は次のようにして,このオプシ ョンの価格を求める.時刻 0 で買い,時刻 2 で売るだけ ではできないオプションの支払を作るために時刻 1 での 取引を利用する.時刻 l の上のノードで,オプションの 支払を受け取るポートフォリオは,各原証券の取引数を X,
y
, z とすると, エ +3y+4z=l ,x+2y+5z=0.
x+ y+3z=0.
(11) 解は , (x.y , z)=(1/3.2/3 ,-1/ 3) である. したがっ て,時刻 i に,証券 l を1/ 3および証券 2 を 2/3保有し, 証券 3 を 1/3 空売りすれば,時刻 2 にオプションの収入 を受け取ることが可能となる.このポートブオリオの時 刻 l での価格は, 1x1/3+2x2/3+4X( ー 1/3)= 1/ 3 で ある.同様にして,時刻 l の下のノードで,オプション の収入を受け取るポートフォリオは, (12) の解である. 一c+Oy+2z=0. 但)x+3y+5z=
1. l つの解(ー 1/3,1/6, 1/6) から,この時刻 l のポート プォリオの価格を求めると, 1/2である(他のすべての解 でも同じ). われわれの目的である時刻 O のポートブオリオは, ( 13) の解である.x+2y+4z=
1/3
,
x+
1.5y+3.5z=I/2.
(13) l つの解は (4/丸一 1/6,ー 1/6) であり,この時刻のポ ートブォリオ価格は 5/12である.したがって,コールオ プション価格は 5/12でなければならない.なぜ、なら,裁 定取引がおこらないためには同ーの支払を持つ証券の組 合せは同ーの価格を持たなければならな L 、からである. 以との議論はアロー(デゥプロー)証券の考えを用い (29)8
2
1
© 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.て一般化できる.該当するノードの時だけ 1 単位受け取 り,他のノードでは何も受け取らない 3 原証券からなる ポ}トブォリオを考えてみよう.時刻 2 の各ノードに対 するポートフォリオの時刻 0 での価格を π~ とする. 同様に時刻 1 のノードの時刻 O での価格をがu とする と次の関係を満たす. Zπ*!i=l , t=I
,
2 および 也雫 π 一一 * π a Z M 5l
:
:
1π 2i= π12 , I"*2i =11"* i=4 上記の第 1 と第 2 の式は第 l 証券価格がすべてのノー ドで l だからである.この価格は確率の定義を満足する ため,それぞれのノードの確率と見なせる.この確率を 用いると 3 原証券の価格プロセスはマルチンゲールに なる.さらにオプションの支払を C2i とすると,すでに 述べたとおりの裁定機会のな L 、条件よりオプション価格 は; Zπ*2i C2i であり πホ21=π*22=π*28= 1/6 , π*2'=π本2'= 1/4 だから, ラ/12が求められる.同様にして,時刻 1 のオプションの 価格は,それぞれ *一* π 一 π 8 2 M および *一* π-r s Z M で求められ , 1t'*11=π*12= 1/ 2 だから,それぞれ 1/3, 1/2 となる.すなわち,条件付証券の各時間の価格は各ノー ドのに与えられた「確率J の下で、マルチンゲーんになる. あることの必要十分条件である.このような市場を動的に完備な (dynamically
com
plete) 市場と呼ぶ.以上のマルチンゲール測度と裁定取引のない価格シス
テムの関係は,
Cox and Ross(
1976) と Harrisonand
Kreps(
1979) により始められ,条件付証券の価値の一般理論として発展し,有名な Black
and Scholes (
1
9
7
3
)
のオプション価格理論はその一例となっている.
5
.
おわりに 今回はファイナンス理論の主要な 3 テーマを概観し た.ねらいは細部にとらわれず,中心的な結果を紹介し 全体を明らかにすることにあり,難解な印象を与えたか もしれない.しかし今後の連載では 3 つのテーマにつ いて,次のような予定でわかりやすくとりあげる. 第 2 回はポートブォリオ・フロンティアと CAPM の説明を行ない,
Capital
budgeting と moneymanュ
agement への CAPM の応用を示す.
第 3 図は,動的ポートフォリオと ICAPM の複雑な
証明ではなく,連続時間における条件付証券の価格理論
を展開しよう.
Black and Scholes のオプション価格
理論はその応用として示す. 第 4 回は,条件付証券の価格理論がし、かに動的ポート ブォリオ理論と ICAPM Iこ有意義な洞察を与えるかを 示そう. 最終回は, 条件付証券の価格理論と ICAPM とを組 合せて,利子構造のモデルを紹介し,金利の条件付証券 の価格理論を応用としてとりあげる. 参芳文献
[
1
] Black
,
F
.
1
9
7
2
.
Capital market equilibrium
この確率を f マルチンゲールìlIU度 J と呼ぶ.一般的にマwith r
e
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t
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d
borrowing. Journal of
Busiー ルチンゲール測度によって,条件付証券の価格は π*ti のn
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4
5
:
4
4
4-4
5
4
.
下での条件付期待値の鱒単な計算によって決定できる
[2] Black
,F.
,and M. S
c
h
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.
1
9
7
3
.
The p
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-以上では,マルチンゲール測度が各ノードに唯一組存
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在し,そのノードでは支払が 1 で他では O であるポート
Journal of P
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Economy 8
1
:
6
3
7
-
6
5
4
.
ブォリオが存在し,しかもすべてのノードで価格が l の
[3] Breeden
,D. 1
9
7
9
.
An intertemporal c
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原証券があると仮定した.ところで,価格が常に 1 であ
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model with s
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investment
る証券がない時にはある証券価格で他のすべての証券価
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.
Journal of Financial Economics
格を徐すること(正規化)でその証券は得られる.一般
7
:
2
6
5
-
2
9
6
.
的に,正規化した価格プロセスのマルチンゲール測度の
[4] Cox
,J.
,and C. Huang. 1
9
8
6
.
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存在は 3 証券で裁定取引ができないことの必要十分条
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9
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3
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,
J.
,
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,
and S
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3
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3
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.
[
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J Cox
,
J.
,
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Ross. 1
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Journal of Financial Economics 3:145-166.[8 J Du伍 e ,
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1
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,
M.
,
and D. Kreps. 1
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Journal of Economic Theory20:381-4
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[
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J
Harrison
,
M.
,
and S
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1
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[
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J
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,
H.
,
and N. Pearson. 1
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Technology.
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C. 1
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Journal of Economic Theory3
5
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1
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J
Huang
,
C
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systems.
Journal ο'f M athematiュ cal Economics 13:215-240.[
1
4
J
Huang
,
C. 1
9
8
7
.
An intertemporal general
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1990 年 11 月号
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Reュ view of Economics and Statistics4
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[
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Journal of Fυla町e 7:77-91.
[
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J
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,
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Journal of Economic Theory3
:
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,
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Bell Journal of Economics and Man agement Science4
:
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[
2
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J
Modigliani
,
F.
,
and
M. 恥1iller.1
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The
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capital
,
corporate 五 nanceand t
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American Ecoュ nomic Review 48:261-297.[
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J
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,
J
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.
Equilibrium i
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market.
Econometrica 35:768-783.[
2
2
J
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,
H. 1
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Three Essays I
n
Optimal
Consumption. Unpublished Ph. D. t
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.
Massachusetts I
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Technology.
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,
W. 1
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.
Journal of Finance 19:425-4
4
2
.
[
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4
J
Tobin
,
J
.
1
9
5
8
.
Liquidity preferences a
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behavior towards r
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s
k
.
Review of Financial Studies 25:65-86.ラ
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(31)