Title
Identification of Chemical Constituents on Anti-
osteoclastogenesis Activity of Dragon's Blood (Daemonorops
Draco)( 内容と審査の要旨(Summary) )
Author(s)
王, 笑雨
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(農学) 甲第728号
Issue Date
2020-03-13
Type
博士論文
Version
ETD
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/79370
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。[11] 氏 名(本(国)籍) 王 笑雨(中華人民共和国) 学 位 の 種 類 博士(農学) 学 位 記 番 号 農博甲第728号 学 位 授 与 年 月 日 令和2年3月13日 研 究 科 及 び 専 攻 連合農学研究科 生物資源科学専攻 研究指導を受けた大学 岐阜大学
学 位 論 文 題 目 Identification of Chemical Constituents on Anti-osteoclastogenesis Activity of Dragon's Blood (Daemonorops Draco) (抗破骨細胞形成に及ぼす龍血(Daemonorops Draco)中の活性成分の同定) 審 査 委 員 会 主査 岐阜大学 准教授 柳 瀬 笑 子 副査 岐阜大学 教 授 光 永 徹 副査 静岡大学 教 授 河 合 真 吾 副査 岐阜大学 助 教 山 内 恒 生
論 文 の 内 容 の 要 旨
骨吸収は、破骨細胞の過剰な形成、いわゆる「破骨細胞形成」および酸性ホスファターゼ(TRAP)活性 と関連している。現在までのところ、患者に使用される主な骨吸収抑制薬はビスフォスフォネート剤および デノスマブであり、これらは長期治療において胃腸への副作用が問題となっている。一方、天然物由来の 薬剤は、100 年以上にわたって医薬品や医薬部外品への利用研究が行われてきており、骨粗鬆症治療 薬においても副作用の少ない天然医薬品の開発が望まれている。 著者らは、代謝性骨疾患治療のための新しい有効な天然薬剤または臨床的にも応用可能な候補とし て 10 種の薬用植物粗抽出物を用いて、抗破骨細胞形成活性を評価することを試みた。本研究は、第 1 章で序論、第 2 章でDaemonorops dracoから単離された化合物の同定、第 3 章では、単離された化合物 および 19 種の市販フラボノイドの抗破骨細胞活性評価、および構造活性相関(SAR)の解明からなる。第 2 章では、Murraya paniculata (S1)、Guazuma ulmifolia (S2)、Orthosiphon aristatus (S3)、Sinapis arvensis (S4) 、Syzyguim polyanthum (S5) 、Andrographis paniculata (S6) 、Zingiber purpureum (S7) 、 Kaempferia galangal (S8)、Zingiber officinale (S9)、Daemonorops draco (S10)の 10 種の薬用植物抽出物 の抗破骨細胞形成活性について調べた。その中でD. draco (S10)抽出物は抗破骨細胞形成活性に最も 有効であることが示された。D. draco は、主に東南アジアの熱帯および亜熱帯で見られる Arecaceae 科 のガラガラ属の一種で、数種が南シナおよびヒマラヤにも分布している。古くから抗ウイルス、抗菌、抗真 菌の性質から伝統的医薬品として用いられてきた。
MeOH 抽出物は、シリカゲル、Sephadex LH-20 および ODS-3 カラムを繰り返し行い、4 種のフラボノイ ド(1,2,4,6)および 2 種の安息香酸(3、5)を得た。単離した化合物の抗破骨細胞形成活性を、破骨細胞 形成アッセイによりさらに調べた。
化合物 1 は新規フラバン化合物として構造決定され、破骨細胞形成に対して最も強力な阻害を示し、 細胞毒性を示さない 10μM の添加で 78%の破骨細胞活性阻害率を示し、75%の細胞生存率を示す
100μM では、破骨細胞活性を完全に阻害した。化合物 2 は、破骨細胞活性を 50%阻害し、10μM では 細胞毒性を示さなかった。さらに、化合物 1 および化合物 2 による構造の比較から、フラバン構造中の 7 位メトキシル基の存在が抗破骨細胞活性に重要であることが示された。化合物 3 は 100μM の濃度で 75% の破骨細胞形性阻害で、化合物 5 は同濃度でまったく活性を示さなかった。新規成分として同定された 化合物 4 および化合物 6 は、それぞれ 27%および 35%の抗破骨細胞活性でありわずかな阻害を示した。 フラボノイド骨格における SAR のさらなる情報を解明するために、19 種の市販フラボノイドを、10μM で 抗破骨細胞形成活性を実施した。バイカレインは優れた抗破骨細胞形成活性を示し、ほぼ完全に阻害し、 市販フラボノイドおよび単離化合物の中で最も有効な化合物であった。ガランギンは化合物 1(78%阻害)と 同様の阻害活性(73%阻害)を示した。同様に、クエルセチン、クリシン、3-ヒドロキシフラボーン、7-ヒドロキ シフラボンおよびフラバノンは、それぞれ 66%、52%、59%、55%および 62%の阻害率であった。 バイカレイン、ルテオリンおよびケルセチンの比較から、B 環上のヒドロキシル基の欠如が抗破骨細胞 形成活性に必須であることを示した。さらに、3‐ヒドロキシフラボン、7‐ヒドロキシフラボン、およびフラボン の抗破骨細胞形成の比較から、7‐ヒドロキシル基および 3‐ヒドロキシル基は抗破骨細胞形成活性に影響 しないことを示した。興味深いことに、(-)-エピカテキンと(+)-カテキンの比較から、(3R)-ヒドロキシル基は、 (3S)-ヒドロキシル基よりも破骨細胞形成阻害に対してはるかに有効な活性を示した。また、アピゲニンとナ リンゲニンの比較から、C-2 と C-3 位の二重結合は、抗破骨細胞形成活性を増強することが明らかとなっ た。これらの情報は、フラボノイド骨格における抗骨形成活性に関するはじめての SAR プロファイルの確 立として有用である。
審 査 結 果 の 要 旨
申請者の王 笑雨さんは,10 種のインドネシア産薬用植物抽出物の抗破骨細胞形成活性について スクリーニング試験を行った結果、抗ウイルス、抗菌、抗真菌を持ち、伝統的医薬品として用いられている 龍血(Daemonorops draco)の根抽出物が最も高い抗破骨形成活性を示した。その成分探索を行っ た結果、6種の化合物を単離同定し、特に B 環に置換基を持たないフラバン化合物の 1 および 2 が TRAP 阻害活性を示し、抗破骨形成活性成分であると認めた。フラボノイド骨格における構造活性 相関に関する情報を得るために、19 種の市販フラボノイドの 10μM での抗破骨細胞形成活性を実施し たところ、B 環上のヒドロキシル基の欠如が抗破骨細胞形成活性に必須であることと 7‐OH 基および 3‐ OH 基は抗破骨細胞形成活性に影響しないことを示した。 今後は構造活性相関研究が進み,臨床実験での効果が認められれば,実用性のある骨粗鬆症治 療薬の開発に繋がることが期待される。 本学位論文の基礎論文は以下の2報である。1. Xiaoyu Wang, Irmanida Batubara, Kosei Yamauchi, Tohru Mitsunaga, Identification and Structure-Activity Relationship (SAR) of Chemical Constituents from Daemonorops Draco (Willd.) Blume and Selected Commercial Flavonoids on Anti-Osteoclastogenesis Activity, Fitoterapia, 138, 104280-104287, 2019.
2. Xiaoyu Wang, Kosei Yamauchi, Tohru Mitsunaga, A Review on Osteoclast Diseases and Osteoclastogenesis inhibitors Recently Developed from Natural Resources,