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塩酸ドパミンが犬の各種臓器血流分布に与える影響

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Academic year: 2021

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Title

塩酸ドパミンが犬の各種臓器血流分布に与える影響( 内容の

要旨 )

Author(s)

古川, 修治

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(獣医学) 甲第123号

Issue Date

2002-03-13

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/2177

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏 名(本籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 (17) 古 川 修 治(佐賀県) 博士(獣医) 獣医博甲第123号 平成14年3月13日 学位規則第4条第1項該当 連合獣医学研究科 獣医学専攻 東京農工大学 塩酸ドパミンが犬の各種臓器血流分布に与える影響 主査 東京農工大学 教 授 山 根 義 久 副査 帯広畜産大学 教 授 山 田 明 副査 岩手大学 教 授 小 副査 東京農工大学 教 授 岩 崎 利 郎 副査 岐阜大学 教 授 武 脇 義 論 文 の 内 容 の 要 旨 獣医臨床領域における塩酸ドパミン(以下ドパミン)の使用は、医学領域での投与法に準 じて行われてきたが、ドパミンの臨床応用を目的とした基礎的な報告は少ない。また、ドパ ミンの循環動態に対する効呆は、動物種ごとに異なると考えられるため、使用動物毎のドパ ミンの効果について、より詳細に調査する必要がある。本研究は、'ドパミンの犬に対するよ り安全で有効な投与方法の確立を目的とし、ドパミンの各投与量(3、10、20〟g/kg/min)

が、麻酔下の健常雑種犬の循環動態や争種臓器血流分布に与える影響について検討した。

Ⅰ章では、ドパミン投与中の心拍数、心拍出量、平均動脈庄および全末梢血管抵抗の測定 により、大の循環動態に対するドパミンの影響を考察した。 ドパミンの3〟g/kg/min投与 群では、循環動態への影響を確認することができなかった。それに対し、10と20〟g/kg/皿in 投与群では、著明な心拍出量の増加に伴う、平均動脈圧の増加と全末梢循環抵抗の減少から、 循環改善作用が認められた。しかし、ドパミンの20〟g/kg/min投与群では心拍出量の増加 が大きく、心拍数の増加や、一時的ではあるが心室性不整脈の発現も認められたため、心臓 への負荷の増大が示唆された。 Ⅱ章では、カラードマイクロソフェア法を用いた血流量測定を行い、ドパミンの各投与量 (3、10、20J`g/kg/皿in)ごとに、大の各種臓器(脳、心臓、腎臓、胃、腸、膵臓、肝臓、 牌臓、肺)血流量に対する影響について考察した。 ドパミン3〟g/kg/皿in投与群にお ける各種臓器血流量の変化には、特異的ドパミン受容体刺激作用のほかに血流量の自己調節

機能の影響が認められた。腎臓と消化管(胃、腸.j膵臓

では、特異的ドパミン受容体刺激

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作用による血流量増加が認められたが、脳と心臓ではその効果は弱いものであった。脳、心 臓、および消化管では自己調節機能が優位に働き、それらの血流量は各々の臓器が必要とす る量に調節された。特に、血液貯蔵能力の高い消化管では、投与初期に増加した血流量が、 時間経過と共に、血液要求部位へ移動していると考えられた。また、肝臓がドパミン投与時 の血流量調節臓器の一つであることも示唆された。 高用量投与群である10と20〟g/k g/min投与群において、脳では各受容体への作用よりも血流量の維持棲能の方が優位に働 き、血流量はほとんど変化しなかった。心臓、腎臓、および消化管では、β1アドレナリン 受容体刺激作用から、心拍出量の増加に伴う血流量の増加が認められた。そのため、ドパミ ンの10と20〃g/kg/Ⅲin投与群における効果には、心筋の収縮力やその予備能力が影響する と考えられた。ドパ.ミンのαアドレナリン受容体刺激作用による影響として、10と20〃 g/kg/min投与群で、肺血流量の減少が確認された。それに加えてドパミンの20LLg/kg/min 投与群では、肝臓血流量の減少や腎臓血流量の不安定な経時的変化、および臓器間での血流 量の偏りも認められた。 全ての投与群の、血流量増加臓器における増加分の血液は、心拍 出量の増加や血流量減少臓器からの移動に加えて、測定臓器以外の部位からの移動で補われ たと考えられた。 Ⅲ章ではⅠ章とⅡ章で得られた結果を用いて、各種臓器ごとに各投与量(3、10、20〝g/ kg/min)のドパミンの効果を比較した。また、10と20LL g/k g/min群における、ドパ ミンの効果に対する心拍出量の影響についても考察した。 脳では各受容体(α、β1アド レナリン受容体や特異的ドパミン受容体)への作用よりも、血流量の維持機能が優位に働く。 そのため、20FL g/k g/min/投与群に認められた血流量の増加は、脳の自己調節機能に対す る障害が懸念された。また、10と 20∫上g/kg/min投与群では、時間経過とともに、心拍 出量の増加と必要血液量の増加にともなう、心臓血流量の増加が認められたため、心臓に対 する負荷の増大が示唆された。しかし、10〃g/k g/min投与群では、心臓の保護に十分な 血流量増加が認められた。腎臓では全ての投与群で特異的ドパミン受容体刺激作用の効果が 認められ、特に血流量が減少すると考えられていた10〟g/k g/min投与群で効果的な血流 量増加が認められた。胃や腸では、ドパミンによる各受容体への作用だけではなく、自己調

節機能が働くことで血流量の調節が行われるが、ドパミンが高用量投与になるほど、自己調

節機能の作用以上に、十分なドパミンの効果が期待される。 以上の研究から、犬ではドパミンの効東発現に対し、各受容体への作用の他に血流量の自 己調節機能が大きく影響することが示唆された。また、10 と 20〟g/k g/min群でも特異 的ドパミン受容体刺激作用による効臭が認められ、10FL g/kg/min投与における腎臓への 効果から、犬に対するドパミンの適応範囲拡大が期待された。 本研究の結呆は、病態に応 じてドパミンの投与量を考慮する際にも有用になるだろう。 審 査 結 果 の 要 旨 塩酸ドパミンは、ショック時の主症状である急性循貴不全に対し、心拍出量の増大と血圧 上昇作用\さらにそれに伴う血流増加という特徴的な薬理効果により、医学領域において広 く臨床応用されている。一方、獣医臨床領域における塩酸ドパミン(以下ドパミン)の使用

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は、医学領域での投与法に準じて行われてきたが、ドパミンの臨床応用を目的とした基礎的 な報告は少ない。また、ドパミンの循環動態に対する効呆は、動物種ごとに異なると考えら れるため、使用動物毎のドパミンの効具について、より詳細に調査する必要がある。本研究

は、ドパミンの犬に対す寧より安全で有効な投与方法の確立を目的とし、ドパミンの各投与

量(3、10、20〃g/kg/min)が、麻酔下の健常雄種犬の循環動態や各種臓器血韓分布に与え る影響について検討したものである。 Ⅰ章では、ドパミン投与中の心拍数、心拍出量、平均動脈庄および全末梢血管抵抗の測定 により、犬の循環動態に対するドパミンの影響を考察した。 ドパミンの3〝g/kg/血n投与 群では、循環動態への影響を確認することができなかった。それに対し、10と20ヱ上〟kg/min 投与群では、著明な心拍出量の増加に伴う、平均動脈圧の増加と全末梢循環抵抗の減少から、 循環改善作用が認められた。しかし、ドパミンの20′Jg/kg/min投与群では心、抽出量の増加 が大きく、心拍数の増加や、一時的ではあるが心室性不整脈の発現も認められたため、ニ心臓 への負荷の増大が示唆された。 Ⅱ章では、カラードマイク.ロソフェア法を用いた血流量測定を行い、ドパミンの各投与量 (3、10、20LL g/kg/min)ごとに、犬の各種臓器(月臥心臓、腎廟、胃、腸、膵臓、肝頗、 牌臓、肺)血流量に対する影響について考察した。 ドパミン3〟g/kg/皿in投与群にお ける各種臓器血涜量の変化には、特異的ドパミン受容体刺激作用のほかに血流量の自己調節 機能の影響が認められた。腎臓と消化管(胃、腸、膵臓)では、準異的ドパミン受容体刺激 作用による血流量増加が認められたが、脳と心臓ではその効果は弱いものであった。脳、心 臓、および消化管では自己調節機能が優位に働き、それらの血流量は各々の腹巻が必要とす る量に調節された。特に、血液貯蔵能力の高い消化管では、投与初期に増加した血流量が、 時間経過と共に、血液要求部位へ移動していると考えられた。また、肝臓がドパミン投与時 の血流量調節臓器の一つであることも示唆された。 高用量投与群である10と 20〃g/k g/min投与群において、脳では各受容体への作用よりも血涜量の維持機能の方が優位に働 き、血流量はほとんど変化しなかった。心臓、腎臓、および消化管では、β1アドレナリン 受容体刺激作用から、心拍出量の増加に伴う血涜量の増加が認められた。そのため、ドパミ ㌢の10と20〟g/kg/min投与群における効果には、心筋の収席力やその予備能力が影響する と考えられた。ドパミンのαアドレナリン受容体刺激作用による影響として、10と 20〟

g/kg/Tnin投与群で、肺血流量の嘩少が確認された。それに加えて・ドパミンの20fLg/kg/min

投与群では、肝臓血流量の減少や腎臓血涜量の不安定な経時的変化、および繚器間での血流 量の偏りも認められた。 全ての投与群の、血流量増加臓器における増加分の血液は、心拍 出量の増加や血流量減少除器からの移動に加えて、測定臓器以外の部位からの移動で補われ たと考えられた。 Ⅲ章ではⅠ章とⅡ章で得られた結呆を用いて、各種臓器ごとに各投与量(3、10、20〟g/ kg/min)のドパミンの効果を比較した。また、10と 20LL g/k g/tnin群における、ドパ ミンの効果に対する心拍出量の影響につ,いても考察した0 脳では各受容体(α、βlアド レナリン受容俸や特異的ドパミン受容俸)への作用よりも、血流量の維持機能が優位に働く。 そのため、20〝g/k g/min投与群に認められた血流量の増加は、脳の自己調節機能に対す る障害が懸念された。また、10と 20〟g/kg/扇n投与群では、時間経過とともに、心拍 出量の増加と必要血硬量の増加にともなう、心臓血流量の増加が認められたため、心臓に対

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する負荷の増大が示唆された。しかし、10〟g/kg/min投与群では、心臓の保護に十分な 血流量増加が認められた。腎臓では全て甲投与群で特異的ドパミン受容体刺激作用の効果が 認められ、特に血流量が減少すると考えられていた10〟g/kg/min投与群で効果的な血流 量増加が認められた。胃や腸では、ドパミンによる各受容俸への作用だけではなく、自己調 節機能が働くことで血流量の調節が行われるが、ドパミンが高用量投与になるほど、自己調 節機能の作用以上に、十分なドパミンの効果が期待される。 以上の結果から、犬ではドパミンの効果発現に対し、各受容体への作用の他に血流量の自 己調節機能が大きく影響することが示唆された。また、10と20Llg/kg/min群でも特異 的ドパミン受容体刺激作用による効果が認められ、10〟g/kg/nin投与における腎臓への 効臭から、犬に対するドパミンの適応範囲拡大が期待された。本研究の結果は、病態に応 じてドパミンの投与量を考慮する際にも有用になるであろう。 以上について,審査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合獣医学研究 科の学位論文として十分価値があると認めた。 基礎となる学術論文 1)廣 日 著 音 名 学術雑誌名 巻 2)居 着 者負 目 名 学術雑誌名 巻・号・貫 既発表学術論文 1)暦 日 著 者 名 学術雑誌名 巻・号・貫 2)貫 目 著 者 名 学術j椎誌名 巻・号・貫 3)廣 目: 著 者 名 学術雑誌名 ドパミンが大の循環動態ならびに各種臓器血沈量に及ぼす影響 古川修治、永島由紀子、星克一郎、平尾秀博、田中綾 丸尾事前、山根義久 :動物臨床医学 発行年 ‥10(3):12l∼128,2001・

Effects of dopa皿ineinfusion on cardiac and renalblood flowsin dogs

Fumkawa Shuji,Nagashi血a Yukiko,HoshiKatsuichiro,

Hirao日idehiro,Tanaka Ryqu,Maruo Kohjiand Ya皿ane Yoshihisa

:Journalof Veterinary Medic'alScience 発行年 ‥ 64(1):41∼44,2002に発表予定‡ 犬の気管支腺癌に対して肺葉切除 山口光昭、梼本志津、古川修治、 と化学療法を実施した1症例 三宅ゆかり、.弓削田直子、弓削田直子、板倉裕明 三枝早苗、山村穂積、山根義久 動物臨床医学 発行年:8′(4):241∼247,1999 猫の肝に発生したカルチノイド腫瘍の1例 山口光昭、浅沼秀樹、橋本志淳、古川修治、弓削田直子、三枝早苗、 山上哲史、山村穂積 動物臨床医学 発行年:9(1):13∼18,2000 同居猫にみられた全身性抗酸菌症の2例 古川修治、橋本志淳、三枝早苗、山村穂積、町田登、山根義久 動物臨床医学 巻・号・頁・・発行年:10(2)95∼99,2001

4)題 目‥Plasma digoxin concentrationin dogs withmitralregurg中tion

著 者 名‥Nagashima Yukiko,Hirao Hidehiro,Furukawa Shuji,

HoshiKatsuichiro,Akahane Miki,Tanaka Ryou and Ya皿ane Yoshihisa

学術雑誌名:Journalof Veterinary MedicalScience

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