Title STRにおけるシークエンス変異の法医学的応用に関する研究( はしがき ) Author(s) 永井, 淳 Report No. 平成9年度-平成10年度年度科学研究費補助金 (基盤研究(C)(2) 課題番号09670435) 研究成果報告書 Issue Date 1998 Type 研究報告書 Version URL http://hdl.handle.net/20.500.12099/376 ※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
はじめに ゲノム中には1∼6個程度の塩基を1単位としたSTR(shorttandemrepeat)と呼 ばれる繰り返し配列が多数存在している。これらは全長が数百ベース以下と小さい ことから,DNAが低分子化した法医試料を対象とする個人識別においてその利用性 が注目されている。 STR多型は白人集団を中心に多数報告されている。われわれもこれまでに互いに 血縁のない約500人の日本人を対象にしてHUMF13AOl,HUMFXIIIB,HUMLIPOL, HUMTHOl,HUMTPOX,HUMVWFA31,HUMD18S51,HUMD21Sll,HUMFIBRA およびHUMDllS554の10種類のSTRの遺伝子頻度を調査した。そしてこれらの なかではHUMD18S51,HUMD21Sll,HUMFIBRAおよび欄UMDllS554が日本人 集団においても白人集団と同様にきわめて高い多塑性を有することを報告してきた。 STR座位における多塑性は繰り返し回数の違いに基づいているが,最近,いくつ かの座位において,繰り返し回数は同じであっても繰り返し領域のシークエンスに 変異のあるアリルが存在することが明らかになった。そこでわれわれは,他の人種 集団においてそのようなシークエンス変異が報告されているHUMVWFA31, HUMD21SllおよびHUMDllS554について,これまでに検出したいくつかのアリ ルのシークエンスを調べたところ,同様な変異が日本人集団においても認められた。 特にHUMD21SllおよびHUMDllS554では,シークエンス変異は高い出現頻度を 示す複数のアリルにおいて認められ,さらにはこれまでに他の人種集団で報告され ていないシークエンス変異も見い出された。 高い多塑性を有するHUMD21SllおよびHUMDllS554は,欧米と同様にわが国 においても有用なDNAマーカーであると考えられる。しかし,シークエンス変異 が多数存在していることを考慮すると,両STR座位のアリルの同定には従来よりの アレリックラダーマーカーを用いる方法(AMPFLP法)に加え,シークエンスの解 析を行うことが必須であり,シークエンス変異を検出することで個人識別の精度は きわめて高いものとなると考えられる。 そこで本研究では,日本人集団におけるHUMD21SllおよびHUMDllS554の シークエンス変異を明らかにすることを目的として両座位のアリルのシークエンス
解析を行うとともに,HUMDllS554に関してはさらにHungarianCaucasian集団に ついてもシークエンス解析を行い,両人種集団問の差異を検討した。そしてシーク エンス変異の効率的な検出方法をダイレクトシークエンス法,PCR-SSCP法,CFLP 法等により検討するとともに,法医学的試料からのシークエンス変異の検出を試み, 法医鑑定実務における応用性について検討した。 研究組織 研究代表者: 研究分担者: 研究分担者: 研究協力者: 研究協力者: