Title
Effects of Drying Condition on Water Absorption, Gelatinization
and Shrinkage Properties of Pasta( 内容と審査の要旨
(Summary) )
Author(s)
Zhang, Lifen
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(農学) 甲第595号
Issue Date
2013-03-13
Type
博士論文
Version
none
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/47978
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(本(国)籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 度 目 審 査 委 員 会 LifenZhang (中華人民共和国) 博士(農学) 農博甲第595号 平成25年3月13日 学位規則第3条第1項該当 連合農学研究科 生物資源科学専攻 岐卑大学 E飽ctsofDryingConditiononWaterAbsorption, GelatinizationandShrinkagePropertiesofPasta (乾燥条件がパスタの吸水糊化特性と収縮特性に 及ぼす影響) 主査 岐阜大学 教 授 副査 岐阜大学 准教授 副査 静岡大学 教 授 副査 静岡大学 准教授 和 久 始 樹 清 貴 和 藤 津 野 脇 後 西 大 山 論 文 の 内 容 の 要 旨 乾燥パスタは伝統的に低温長時間乾燥により製造されてきたが,近年,大規模なパスタ工場で は製造コストを圧縮するために高温短時間乾燥が主流となりつつある。しかし乾煉条件がパスタの 品質に及ぼす影響については未だ不明な点が多い。本研究では,パスタの乾燥条件が茹で調理 時の吸水および糊化特性に及ぼす影響について主に澱粉の物理化学特性の観点から検討すると ともに,Ⅹ線〃CT技術を利用して乾煉中の収縮機構を明らかにしてクラック発生の素因を解明する ことを目的とした。 低温乾燥(50℃-20h,以下LTと称する),高温乾燥(70℃-11h,以下HTと称する),超 高温乾燥(85℃一4b,以下VHTと称する)の3種類の平板状パスタを実験試料として用いた。茄 で温度別にパスタの吸水率の経時変化を測定したところ,温度によらずV打T,HT,LTの順に吸水 速度が大きくなることが明らかになった。吸水された水の麺内分布の様子を観察するために,凍結 した試料の割断面を実体顕微鏡で観察することにより,試料内部の水分分布を可視化する観察法 を新規に開発し,パスタに適用したところ,特に澱粉の糊化温度(52・63℃)以下では,同じ吸 水率で比較した場合,乾燥温度の低いパスタほど内部まで水が浸透していることが確認された。ま た超音波位相産測定結果は乾燥温度によって麺内部の粘弾性分布が異なることを示唆しており, 乾燥温度により吸水穴ターンが異なることが明らかになった。澱粉の糊化温度(52-63℃)以上 ではLT,HT,VHTの順に澱粉粒の膨潤が大きいことがSEM観察より明らかとなっ た。この澱粉粒膨潤が内部への水分拡散を抑制することにより,、乾燥温度が高いほど 吸水速度が低くなる可能性があると推察される。 βアミラーゼ・プルラナーゼ法で粕川二率の経時変化を測定し,同じ茄で時間ではVHT,HT,LT
-39-の順に吸水率は高くなるものの,糊化率は逆に低くなることが明らかとなった。X繰回折法により継 粉の結晶構造評価を行い,乾燥温度が高くなるほど吸水を抑制すると考えられるアミロースー脂質 複合体の盈が多くなることを明らかにした。また,茄で後のパスタのアミロース割合を,ConA法で汎 定したところ,乾燥温度が低いほど茹で時のアミロース溶出が大きいことが明らかになった。以上の ことから,乾燥温度が低いパスタほど吸水速度が大きくなるのは,表面澱粉の膨潤性は低いものの, 吸水を抑制するアミロースー脂質複合体の生成が少ないことに加えて,膨潤性の低いアミロースが 溶出して膨潤性の高いアミロペクチン割合が相対的に増加することが原因となることを見出した。各 茹で温度における平衡含水率で正規化した含水率で澱粉の糊化率を除した畳をR値と定義し, 同じ吸水率におけるR値を比較したところ,乾燥温度が低∨、パスタほどR値が高くなることを見出し た。このことは乾燥温度が低いパスタは,麺表面から内部への水分拡散よりも糊化進行が先行する ことを示唆する。 次に乾燥中のスパゲティ内部の収縮特性を把握するために,50℃下で7種の飽和塩水溶碑とス パゲティを35日間デシケ一夕ー内に入れて含水率を平衡させてから収縮量を測定したところ,麺線 方向の収縮量より径方向の収縮量の方が大きい異方性収縮を示した。また蛍光粒子を添加したス パゲティを作製し,その薄片を蛍光顕微鏡下で乾燥させながら収縮の様子を観察したところ,収縮 が進行するにつれて麺の芯部が陥没し,麺内に収縮率分布があることが推察された。そこで実際 の麺内の収縮率分布を3次元的に定量評価するために,X線〃CT法を用いることとした。スパゲ ティの構成成分のⅩ線吸収はいずれもほぼ等しいため,造影剤となるアルミニウム粒子をスパゲテ ィ生地に添加する方法を新規に開発し,乾燥中のスパゲティ内部の空間的な収縮方向および収 縮量の測定を行った。その結果,飽和塩水溶液を用いた収縮量測定実験結果と同じ異方性収縮 を示した。また麺芯近傍の軸方向収縮量が乾煉全期間を通じて外周部の収縮よりも大きく,また径 方向収縮量については,乾燥初期は外周部の収縮量が大きいが,乾煉後期には軸方向収縮と同 様に麺芯近傍の収縮最が大きくなることが判明した。このことより,麺内部での収縮率の差異が乾 燥後のパスタ内部に残留応力を廃生させ,これがクラックの潜在的な素因であることを明らかにした。 ATR FTこIRを用いてアミドⅡピーク近傍のスペクトルから推定したスパゲティ中のグルテン含水率と DMA により測定したスパゲティのガラス転移温度の関係より,乾燥時の外周部の収縮抑制はガラ ス化に起因する可能性があり,またガラス転移により麺内部での残留応力の釣り合いが保てなくな るとクラックが発生する可能性があることが推察された。 本研究の結果,乾燥条件の違いによるバズタの吸水糊化特性の変化には,澱粉粒の膨潤・膵 出特性の変化が関与すること,またスパゲティの乾燥中には内部に残留応力が発生しており,クラ ックの素因となることが明らかとなった。 審 査 結 果 の 要 旨 本論文は,パスタの乾燥条件が茄で調理時の吸水および糊化特性に及ぼす影響につ いて,主に澱粉の物理化学特性の観点から検討するとともに,クラックの発生の素因 について串乞燥中の収縮機構を元に実験的に検討した結果をまとめたものである。 その内容は以下のように2部に分類要約される。 【乾燥条件が吸水・糊化特性に及ぼす影響】 低温乾燥(50℃-20b),高温乾燥(70℃-11b),超高温乾燥(85℃-4h) の条件でそれぞれ作製した3種類の平板状パスタを実験試料として用いた。
-40-澱粉の糊化温度(52-63℃)以下でパスタを水浸した場合,乾燥視度が低いものほ ど吸水速度が大きくなることが明らかとなった。パスタの凍結試料断面の精微鏡観察 により内部の水分分布を可視化する観察法を新規に開発し,乾燥温度が低いパスタほ ど内部まで水が浸透していることを明らかにした。また超音波位相差測定の結果から も車乞燥温度により吸水パターンが異なることを明らかにした。 糊化温度以上で茄でた場合についても,乾燥温度が低いパスタほど吸水速度が大き くなることを明_らかにした。澱粉の糊化は保持可能な最大の含水率を増加させるた め,糊化率は吸水速度に大きく影響する。βアミラーゼ・プルラナーゼ法で糊化率の 経時変化を測定し,同じ茄で時間では乾燥温度が低いほど吸水率は高いものの,糊化 率は低いことを明らかにした。Ⅹ線回折法により澱粉の結晶構造評価を行い,乾燥温 度が高くなるほど吸水を抑制すると考えられるアミロースー脂質複合体の量が多く なることを明らかにした。また,茄で後のパスタのアミロース割合を,ConA法で測 定したところ,乾燥温度が低いほど茄で時のアミロース溶出が大きいことが明らかに なった。以上のことから,乾燥温度が低いパスタほど吸水速度が大きくなるのは,表 面澱粉の膨潤性は低いものの,吸水を抑制するアミロースー脂質複合体の生成が少な いことに加えて,膨潤性の低いアミロースが溶出して膨潤性の高いアミロペクチン割 合が相対的に増加することが原因となることを見出した。各茄で温度における平衡含 水率で正規化した含水率で澱粉の糊化率を除した比によりパスタ内部への吸水の進 行ステージと糊化の進行ステージを比較することを提案した。この比をR値と定義 し,同じ吸水率におけるR値を比較したところ,乾燥温度が低いパスタほどR値が 高くなることを見出した。この結果より乾燥温度が低いパスタは,表面から内部への 水分拡散よりも糊化進行が先行することを明らかにした。 【`クラック発生の素因となる収縮機構】 Ⅹ線〃CT法を利用してパスタ内のひずみを3次元的に可視化するために,造影剤 となるアルミニウム粒子をスパゲティ生地に添加する方法を新規に開発し,乾燥中の スパゲティ内部の空間的な収縮方向および収縮量の測定を行った。その結果,麺線方 向の収縮最より径方向の収縮値の方が大きい異方性収縮を示すことを明らかにした。 また麺芯近傍の軸方向収縮最が乾燥全期間を通じて外周部の収縮よりも大きく,また 径方向収縮塵については,乾燥後期に軸方向収縮と同じく麺芯近傍の方が大きくなる ことを見出し,この麺内部での収縮率の差異が乾燥後のパスタ内部に残留応力を発生 させ,これがクラックの潜在的な素因であることを明らかにした。ATR FT-IRを用 いてアミドⅡピーク近傍のスペクトルから推定したスパゲティ中のグルテン含水率 とDMAにより測定したスパゲティのガラス転移温度の関係を求め,乾燥時の外周部 の収縮抑制はガラス化に起因すること,およびガラス転移により麺内部での残留応力 の釣り合いが保てなくなるとクラックが発生する可能性があることを指摘した。 以上の内容について慎重に審査した結果,本研究で得られた知見は学術的価値があ るものと判断し,僻丑委員全員一致で本.論文が岐阜大学大学院辿合農学研究科の学位論 文として十分価値あるものと認めた。 基礎となる学術論文: 1.星』些gL,Nishi7;u,T.,Hayaka\Va,S.,Nakashima,R・.,Goto,K.,E脆ctsofdi脆rent dryingconditionsonwaterabsorptionandgelatinizationpropertiesofpasta, FoodandBioproce$STbchnology(2012)(doi:10.1007/sl1947-012・0976-5). 2.一Zhap宰L,Nishizu,T.,Kishigami,H.,Kato,A.,Goto,K.,Measurementofinternal ShrinkagedistributioninspaghettiduringdryingbyX・raypCT,FoodResearch International,51,・180・187(2013).