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アンギオテンシノーゲンのレニン切断部位近傍の構造がレニン活性に及ぼす影響

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Academic year: 2021

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Title

アンギオテンシノーゲンのレニン切断部位近傍の構造がレ

ニン活性に及ぼす影響( 内容の要旨 )

Author(s)

乾, 仁人

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(農学) 甲第162号

Issue Date

1999-03-15

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/2503

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

名(国籍)

学位授与年

学位授与

要件

研究科及

び専攻

研究指導を受けた大学

(大阪

府)

博士(農学)

農博甲第162号

平成11年3月15日

学位規則第4粂第1項該当

連合農学研究科

生物資源科学専攻

岐阜大学

アンギオテンシノーゲンのレニン切断部位近傍

の構造がレニン活性に及ぼす影響

主査

岐 阜

大 学

副査

州 大

副査

岐 阜

大 学

副査

岡 大

副査

岐 阜

大 学

助教授

征辰啓久文

沢合

内木

中黒

竹鈴

一一直

血圧および電解質代謝の調節に重要な役割を果たすレニン・アンギオテンシン系は、主 に腎臓の傍糸球体細胞で生産される酵素レニンが、肝臓で生産された基質アンギオテンシ

ノーゲン(lngn)のN末端10位(Plサブサイト)と11位(Pl′サブサイト)のアミノ酸残基の間

を切断し、アンギオテンシンⅠを産生することから始まる。レニンとAngnの反応には種特 異性があると言われているが、ヒトレニンは他の全ての種の加gnを切断することが可能で あるにもかかわらず、ヒト人ngnはヒトレニン以外では切断されない理由や、ヒツジAngnの ヒトレニンに対する反応性がヒト人ngnより約10倍も高い理由は未だ解明されていない。 ヒトIngnのP4からP4一までのサブサイトをヒツジAngnのそれと比較すると、前者にはP4′ サブサイトにN型糖鎖付加モチーフ(Asn-‡aいSer)があるが、後者にはそれが無い。また、 Pl■サブサイトのアミノ酸残基はヒトのみがValで、他の種では全てLeuである。そこで本 研究では、ヒツジAngnのSer=をAsnに置換してヒトAngnと同じ糖鎖付加部位を作ったS14N と、ヒツジIngnのLeullをVa=こ置換してヒトAn即と同じレニン切断部位にしたい1Vの2種 類の改変型ヒツジAngnをチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で発現させ、その培養上 清から2段階の陽イオン交換カラムクロマトグラフィーにより精製し、レニン基質として の反応性を比較検討した。 精製Sl用の分子量は5臥000で、野性型ヒツジ加gnよりも3.000大きかった。また、Sl用 のN末端アミノ酸配列はIsp・^r$・Va)・Tyr・11e・HisIPro・Phe・His・Leu・Leu・Yal・His・(Xaa)・ Lys・Ser・Asnで、14番のアミノ酸残基は読み取れなかった。以上のことからSl用のAsn14に

(3)

-117-は糖鎖が付加していると判断した○ヒトレニンのん値と‰・X値は野性型Ang再こ対してはそ れぞれ0.11川と0.95xlO-3川/minで、Sl川に対しては0・37川とl・14xlO 3州/minであった。 この結果からレニン切断部位近傍に付加した糖鏑はレニンの触媒能には影響を与えないが、 Angnに対する親和性を阻害することが明らかになった。しかし、ヒトレニンのヒトAn銅に 対する&値は0.91川だったので、P4′サブサイトに糖鎖が無いことだけでヒツジAngnのヒ トレニンに対する高親和性を完全に説明することはできなかった○ 精製LllVの分子量は野性型雨脚と同じ56・000であった。ヒトレニンの&値および軋…値 は野性型加即に対しては0.11川と1・09x10-a川/min、LllVに対しては0・12川と0・g9x10 3 州/minとなり、両者の間に顕著な差は見られなかった。しかし、ラットレニンの‰値およ び‰.x値は野性型Angnに対しては0・8州とl・2錮10一㍉州/minであったが、LllVに対しては 0.4刷と0.033x10-3川/minとなり、この改変によってん値が灼l/2、‰・X値が約l/40に低

下した。このラットレニンに対する‰-X値の大幅な減少は、ヒトAngnのPl′サブサイトの

アミノ酸残基がValであることが、ヒトレニン以外では切断されないことの原因である可

能性を示唆した。この点をさらに検証するため、ヒトまたはラットレニンと、基質類似阻

害剤CⅣ朝またはそのPl・サブサイトのLeuを†alに置換した改変体との複合体、計4種類に っいてマウスレニンとCⅥぺ6の複合体の庶子座標を基にホモロジーモデリング法によって 分子モデリングを行なった。 4種類の分子モデリングの結果から、レニンのSl′サブサイトを惜成しでいるアミノ酸 残基の中で、基質のPl・サブサイトとの疎水結合に最も寄与していると考えられた那2伯

(ヒトレニン番号)のアミノ酸残基とPl′サブサイ・トとの距離が算出された。レニンとAngn

が同種である場合はその距離は全て4・0▲であったが、ヒトレニンと異削ngnの場合は2・6A まで近づき、ヒトAn印と異種レニンの場合はL41まで広がっていることが明らかになった。 このことから、Lll†のラットレニンに対する‰…値が著しく減少したのは、Pl′サブサイ トとSl′サブサイトとの距離が疎水結合が可能な4・01よりも広がったためであると考えら

れた。またヒトレニンは大部分の異種加即を基質とすることができるにもかかわらず、ヒ

ト加帥は大部分の異種レニンで切断されない原因もこのサブサイト間の距離にあることが 示唆された。

血圧調節に酎、て重要な役割を果たしているレニン・アンギオテンシン系の律速酵素で

あるレニンは極めて特異性が高く、生体内でその基質となりうる物質は現在までのところ

ァンギオテンシノーゲン以外には知られていないばかりでなく、種間の特異性も高い○

かしながら、ヒト・レニンはヒト・アンギオテンシノーゲンばかりでなく、他の種のアン

ギオテンシノーゲンも基質とすることができ、特にヒツジ・アンギオテンシノーケンはヒ

ト●アンギオテンシノーケンより良い基質となるが、ヒト・アンギオテンシノーゲンはヒ

ト●レニン以外のレニンでは切断できないことは、こ-の分野の研究者にとって長年のなぞ

であった。

(4)

-118-本論文は、ヒツジ・アンギオテンシノーケンがヒト・レニンに対して、ヒト・アンギオ

テンシノーケンより良い基質となる理由の解明を目指して、ヒツジ・アンギオテンシノー ケンノのレニン切断部位近傍の構造を、ヒト・アンギオテンシノーゲンと同じ構造に改変

した2種類の改変型ヒツジ・アンギオテンシノーケン、S14NとLllV、を作製し、

ヒト・レニンに対する反応性を調べ、野生型と比較検討したものである。

その結果、アンギオテンシノーゲンのN末端から第14番目のアミノ酸残基を人snに改変

してN一型糖鎖を導入するとレニンに対する親和性が著しく減少する、すなわちヒツジ.

アンギオテンシノーゲンがヒト・アンギオテンシノーゲンよりもヒト・レニンに対して高

い親和性を有している理由の一部は、第14位に糖鎖を有していないためであることが明ら

かになった。このことは機を同じくして発表されたGiⅢeneZ-Roqueploらの論文によっても

支持された。

他方、N末端から第11番目のアミノ酸残基をヒトと同じValに置換しても、合成ペプチ

ド基質で得られていた結論に反して、ヒト・レニンに対する反応性に変化はなかったが、

ラット●レニンの触媒能は40分の1まで劇的に減少した。このことからレニンに対する親

和性は、タンパク質基質の場合には、アンギオテンシノーゲンのN末端領域、すなわちア

ンギオテンシンⅠ領域よりも、それより後ろの領域の構造に大きく依存していることが明

らかになった○また分子モデリングの手法によりアンギオテンシノーゲンの第11番目のア

ミノ酸残基、すなわちPl,サブサイトとレニンのSl・サブサイトを構成する第224番目

(ヒト・レニン番号)のアミノ酸残基との距離が広がることが、長年の疑問であった、ヒ ト●アンギオテンシノーゲンがヒト・レニン以外のレニンでは切断できない理由であるこ

とが判明した。

アンギオテンシノーゲンの特異性を解明するために、そのレニン切断部位近傍の構造に

注目した研究は過去に多数あるがヽ未だに明確な結論が得られていない。その原因の一つ

として、それらの研究がすべて合成ペプチド基質、あるいは合成ペプチド阻害剤を用いて

行われてきたことがあげられる。本研究はタンパク質基質とその改変体を使ってこの問題

に取り組んだ最初の研究として高く評価できる。

以上について、審査委旦全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合農学研究科の学位論文

として十分価値あるものと認めた。

学位論文の基礎となる学術論文

1)Yoshito Suzuki, POSition Biosci.

2)Yoshito

Fumiaki

]nui・TakenoriOrihashi,Tsutomu Nakagawa,Akio Ebihara,Fumiaki

and Yukio

NakaDUra(1998),Effects

of glycosylation of the residue at 14in ovine angiotensinogen on the human

renin reaction,

蜘,62(8),1612-1614.

lnui・TakenoriOrihashi,Emiko Okada,Tsuto山u Nakagawa,Akio Ebihara, Suzuki,and Yukio

NakaⅢura(1998),Effects

of substitution

of Valf。r

(5)

ー119-Leul10f ovine angiotensinogen on renin activity,

Biosci.Biotechnol.Biochep.,62(11),2267-2269.

参照

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