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全天球カメラの画像による駅構内案内アプリとその案内用データ作成支援システムの開発

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Academic year: 2021

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(1)

全天球カメラの画像による駅構内案内アプリとその案内用

データ作成支援システムの開発

工藤 尊

1

伊藤 昌毅

2

岩井 将行

3 概要:現代はスマートフォンが普及しており,様々な道案内アプリが開発されている.しかし,建物内や 複雑な地形の場所では,地図を見てすぐに目的地までのルートを判断することは難しく,特に地図が読む のが苦手な人に道を伝えることは難しい.そこで著者らは,全天球カメラの画像を用いて,実際に人の目 線で見たように目的地までの経路を伝えるアプリ,「駅構内案内アプリ」を開発した.また,駅や建物の増 改築に伴い,本アプリで利用されているデータを更新する必要がでてくることが考えられる.そのため, 本アプリのデータは短時間で容易に作成できなければならない.このデータを容易に作成し,全天球カメ ラの画像と地図さえあればすぐにデータを更新することが可能なデータ作成支援システム,「案内アプリ用 更新データ作成システム」を開発した.今回は,データ作成支援システムを実験する場所を東京電機大学 東京千住キャンパスの新5号館にし,評価実験を行った.男性が6人,女性が2人の,合わせて8人に評 価実験を行ってもらった.年齢は20代が7人,30代が1人である.評価実験で今後解決するべき課題を 考察する.

A Station Navigation System using Images from Omnidirectional

Camera and Map Creation Utilities for Dataset

TAKERU KUDO

1

MASAKI ITO

2

MASAYUKI IWAI

3

1.

はじめに

現代は携帯端末のスマートフォンが復旧しており,それ に伴った様々な道案内アプリが開発されている.それにも 関わらず,未だに道に迷う人は少なくない.特に,GPSの 位置情報が不安定な屋内や建物内,駅,地下施設では地図 に頼った道案内も多く,上からの視点を地上や建物内に移 し替えて考えるのが苦手な人には,それらを使って道を伝 えることは難しい.そこで,著者らは全天球カメラを使用 して地上や建物内の写真を撮影し,その画像を利用して, 実際に人の目線で見たように目的地までの経路を伝えるア ンドロイドアプリ,駅構内案内アプリを開発した.実際の 風景で確認でき,地図で確認するよりも楽に案内できると 1 東京電機大学大学院未来科学研究科情報メディア学専攻

Graduate School of Tokyo Denki University

2 東京大学生産技術研究所

The University of Tokyo

3 東京電機大学未来科学部情報メディア学科

Tokyo Denki University

思われる.  駅構内案内アプリを開発したが,開発したアプリには撮 影した画像やルートなどといったデータを予め入れておく 必要がある.しかし,駅構内などの建物では増改築が頻繁 に行われることを考慮し,それらのデータをすぐに作成で きる必要がある.しかし,画像と隣接している画像の情報 や,道案内に必要な情報を作成することは時間がかかる. そのため,著者らは開発したアプリに対して,地図と全天 球カメラの画像があればデータを容易に作成できるデータ 作成支援システム,「案内アプリ用更新データ作成システ ム」を開発した.このシステムでデータを作成し,アプリ をインストールしているアンドロイドにデータを転送する ことで,少しパソコンが扱えるものであれば誰でも駅構内 案内アプリの更新が可能であることを目標に研究を行った.  本研究で開発した案内アプリ用更新データ作成システム が簡単に更新データを作成できるかを実証すべく,東京電 機大学新5号館で評価実験を行った. 「マルチメディア,分散,協調とモバイル (DICOMO2018)シンポジウム」 平成30年7月

(2)

2.

問題提起

道案内では,口で説明しても曲がる場所を勘違いしたり, 地図を見ても曲がる方向を間違えたり,正しい道であって も,この道であっているか不安になったり,といったこと から目的地に中々たどり着けないこともある.地図を見る のが苦手な人にも分かりやすいように道案内を行うには, ルートをどのようにたどるか実際に見せたほうが分かりや すい.しかし,静止画では情報量が少なく,地図と組み合 わせた情報提示をしても,もう少し情報がないと正しい情 報を伝えるのが難しく,案内されている人が目的地にたど り着けない可能性がある.一方,動画を利用した案内方法 では情報量が多く,正しい情報を伝えやすい反面,建物の ルートを全て動画撮影しようとするとデータ量が増え,東 京駅のような複雑かつ巨大な駅などには向かない.また, 駅構内や巨大商業施設などでは増改築などによりデータを 更新する必要が出てくる場合を考慮し,データを容易に作 成できるようにする必要もある.

3.

関連研究

屋内の道案内に関する研究は現在までに数多く研究され ている.  案内サインを活用した駅構内ナビゲーションシステムの 開発と評価[1]では,駅構内で出口や施設の方向を示す「案 内サイン」をランドマークとして利用し,道案内を行う研 究をしている.案内サインは見つけやすく,これを案内に 利用する方法は分かりやすいと思われる.また,サーバか ら情報を取得することにより,情報の迅速なあ変更が可能 である.本研究とは別のアプローチをしているが,ルート をたどる際に案内サインを探す必要があり,実際の風景を みていないため直感的な案内はできない.  視認性確認対話ベースの地下街ナビゲーションシステ ム[2]では,GPSなどの屋内測定に頼らない道案内方法と して,電話で道を案内するような,ランドマークをたより にその場所をどのように移動するのかを伝えるシステムを 研究している.位置測定が不安定な場所などでは頼りにな る案内方法である.しかし,直感的なルートの把握ができ ないため,本当にルートが会っているのか不安になると思 われる.また,データを更新する方法を述べた部分がなく, データを容易に更新できるのかという点では研究されてい ないと思われる.  迷いやすい人の特徴を考慮した屋内ナビゲーションシス テムDoCoKaの開発と評価[3]では,地図を読むのが苦手 な人向けに,QRコードとARを用いて行う道案内を提案 している.自分の場所が分からなくなった場合はQRコー ドを探してスキャンすることで道案内が再開でき,ARの 矢印で示された通りに歩くことで目的地にたどり着ける. その研究の評価実験でも高い評価を受けている.本研究に 対してかなり近い研究を行っているが,QRコードを設置 する必要があるため,待ち合わせ場所に使われるような開 けた場所にはQRコードを設置するのは困難である.ま た,駅のような大勢の人が行き交う場所ではQRコードを 探し出すことが困難だと思われる.  透過型HMDを用いた歩行者用経路提示の評価[4]では, ヘッドマウントディスプレイを道案内に利用した研究を 行っている.ヘッドマウントディスプレイを利用すること で端末を手に持つ必要がなく,歩きながら道案内をするこ とが可能である.分岐点に差し掛かる手前で矢印を表示 し,どの方向に何があるのかを示す方法で道案内をする. 歩きスマホが問題になっている現代において,端末を持た ずに歩きながら道案内ができる点では良いと思われる.し かし,今後は分からないが,少なくとも現代において,ヘッ ドマウントディスプレイの普及率はスマートフォと比べる と遥かに劣る.そのため,現状ではこの道案内がすぐに実 行可能できる方法とは考えにくい.

4.

開発した駅構内案内アプリ

4.1 駅構内案内アプリの概要 本研究で開発した駅構内案内アプリは全天球カメラの画 像を用いて,実際に人が歩いているような目線で案内する アプリである.全天球カメラの画像でズームやパン,チル トを用いて道案内をする.ズームで前進と後退を表現して いる.一定のズーム後に次の画像を表示することで前進, あるいは後退しているように見せることができる.また, パンで方向転換を表現している.階段を上り下りする際 は,チルトで目線を上下に調整している.上記のことを行 い,自らその場所を歩いているように見せかけている.こ のような表示をすることで,案内の際にたどるルートを実 際に見てもらうことができ,目的地にたどり着きやすくな る.また,使用している全天球カメラの画像はデータ量が 動画よりも少ない.本アプリの起動画面を図1に示す. 起動画面では,表示されているアイコンから現在地を選 択し,次に表示される画面で目的地を選択する.その次の 画面で,全天球カメラの画像を用いた道案内が始まる.駅 構内案内アプリに表示している様子を図2に示す. 今回は北千住駅を例にした駅構内案内アプリの画像であ る.画面上部に案内場所の地図を表示し,画面下部では全 天球カメラの画像を表示している.全天球カメラの画像が パンによって方向転換をすると,地図もそれに応じて回転 する. 4.2 全天球カメラの画像の間隔 駅構内案内アプリに使用する全天球カメラの画像は,一 定の間隔で撮影したものである.画像を撮影した間隔が広 すぎるとうまく画像が繋がらないため,研究の際には画像

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1 駅構内案内アプリの起動画面 通しの撮影間隔を3m∼5m置きに撮影した.また,交差点 や曲がり角では方向転換をするために必ず全天球カメラで 撮影した.ここで撮影しないと分岐点となる道で画像が続 かないためである. 4.3 ルートの選択 ルートの選択はダイクストラ法によって求めている.全 天球カメラの画像をノードと見なし,隣接している画像の うち,移動可能な画像同士をエッジで結ぶ.このノードと エッジを利用してダイクストラ法を用い,最短経路を導 き出す.駅構内案内アプリでは,最短経路通りに道案内を する.

5.

開発した案内アプリ用更新データ作成シス

テム

5.1 案内アプリ用更新データ作成システムの概要 駅構内案内アプリによる道案内は,実際に歩いている目 線でルートを確かめることができるため,地図を利用した 道案内よりもルートを伝えやすいだろう.また,データは 全天球カメラの画像を使用するため,動画を使用するより もデータ量が少なくなる.しかし問題提起で述べたよう に,建物内の増改築に対応するためにデータを容易に更新 できる必要がある.そのため,本研究で,駅構内案内アプ リのデータを容易に作成できるデータ作成支援システム, 「案内アプリ用更新データ作成システム」を作成した.本 アプリとシステムに使用しているデータはJSONファイル として記述している. 図3は実際の案内アプリ用更新データ作成システムの画 像である.画面中央の地図上に配置されているオレンジ色 の正方形のものが全天球カメラの画像を示している.また それらをつないでいる細い線が,その画像同士が移動可能 であることを示している. 1 2 3 4 5 6 7 8 図2 案内画面 5.2 案内アプリ用更新データ作成システムでデータを作 成する手順 データ作成の手順を以下に示す. ( 1 )全天球カメラの画像と地図画像が入っているディレク

(4)

3 評価実験の撮影時の風景 トリを開く. ( 2 )開いたディレクトリの中から地図画像を探し,システ ムに読み込む. ( 3 )地図画像をシステムの真ん中に表示させる. ( 4 )システムの真ん中に表示されている地図上に,全天球 カメラの画像(ノード)を置いていく. ( 5 )全天球カメラの画像のうち,隣接している移動可能な 画像同士をつなげる(エッジ). ( 6 )ノードとエッジの情報を編集する. ( 7 )現在地と目的地を設定する. ( 8 ) JSONデータ(駅構内案内アプリに転送するデータ) を書き出す. 書き出したJSONデータを駅構内案内アプリに転送するこ とで,データの更新が可能である. 5.3 作成したデータの転送 データを更新する際は,データをアンドロイドの駅構内 案内アプリ専用フォルダに転送することで更新が可能であ る.以下に転送する手順を示す. ( 1 )パソコンに,駅構内案内アプリがインストールされて いるアンドロイドを接続する. ( 2 )パソコン上でアンドロイドのフォルダを開く. ( 3 )アンドロイドのフォルダの中から駅構内案内アプリの フォルダを開く. ( 4 )駅構内案内アプリのフォルダの中の既存ファイルを消 去し,作成したデータと全天球カメラの画像と起動画 面で使用する現在地や目的地のアイコンと地図画像を 入れる. この手順を踏むと,アプリでのデータの更新が完了する.

6.

評価実験の概要

今回の評価実験では,開発した案内アプリ用更新データ 作成システムがどの程度容易にデータを作成し,そのデー タを用いて駅構内案内アプリで確認できるかを検証する. 今回評価実験に参加した被験者は,男性が6人,女性が2 人の,合わせて8人である.また,年齢は20代が7人,30 代が1人である.評価実験に使用する場所は東京電機大学 東京千住キャンパス新5号館の5階と6階で行った.被験 者に5階と6階を全天球カメラで撮影してもらい,その後 案内アプリ用更新データ作成システムで駅構内案内アプリ 用のデータを作成してもらう. 6.1 評価実験の手順 評価実験で実際に被験者に行ってもらった内容を下記に 記す. ( 1 )東京電機大学東京千住キャンパス新5号館5階と6階 に行き,駅構内案内アプリで使用する全天球カメラの 画像を撮影する. ( 2 )撮影した全天球カメラの画像を基に,案内アプリ用更 新データ作成システムで駅構内案内アプリ用のデータ を作成する. ( 3 )作成したデータを駅構内案内アプリに転送し,アプリ 上でデータが正常に動作しているか確認する. ( 4 )評価実験のアンケートを回答する. 6.2 評価実験で使用する機器 実験では公平性を期すために,著者らで用意した全天球 カメラとパソコン,アンドロイドを使用してもらう.パソ コンはMac Bookで,全天球カメラは株式会社リコーから 発売されているTheta sを用いた. 6.3 評価実験での全天球カメラの画像の撮影方法 撮影時には,カメラの位置を固定するために必ず頭の上 でカメラを持って撮影してもらった.また,撮影の間隔は 3mにするよう指示した.ただし,3mは厳密に測定するも のではなく,被験者の感覚に任せて撮影した.また,分岐 点や曲がり角の際は3mの間隔に関係なく必ず撮影した. 上記の撮影方法で新5号館の5階と6階を,講義の部屋と トイレの中を除く全域撮影する. 図4は評価実験で実際に全天球カメラの画像の撮影を 行っている被験者の様子である.Theta sは,株式会社リ コーから提供されているアプリと同期することができ,撮 影した画像がアプリを通してすぐに確認することができ る.今回はアプリの同期をすることによる撮影を行った. 6.4 評価実験の案内アプリ用更新データ作成システムで のデータ作成 新5号館の5階と6階で全天球カメラの画像を撮影し終 えたらパソコンに撮影した画像を取り込み,被験者に案内 アプリ用更新データ作成システムで駅構内案内アプリ用の データを作成してもらう.地図画像とアイコンは著者らが 用意したものを使用する. 図5は評価実験で実際に案内アプリ用更新データ作成シ ステムを用いてデータを作成している被験者の様子である.

(5)

4 評価実験の撮影時の風景 図5 評価実験のデータ作成時の風景 作成してもらうパソコンは著者らの用意したMac Bookで ある.また,操作方法はPDFファイルにまとめておき, このPDFを見て操作することで均一に指示が渡るように した.

7.

評価実験の結果

7.1 アンケートより得た問題点 評価実験を経て,解決すべき課題が発見できたため,以 下に記載していく. 撮影時にすでに撮影した場所かまだ撮影していない場 所かの判別が困難 全天球カメラで画像を撮影する際に,一度通った場 所に対して撮影したかどうか不安になったと意見を もらった.撮影した画像は株式会社リコーから提供 されているTheta sのアプリで確認できるが,撮影 したかどうか画像を全て確認するのは骨が折れるた め,これは今後の課題である. 撮影のルートが曖昧 今回の評価実験を行った撮影場所で,似たような景 色が多く存在し,撮影していく中でどのようなルー トをたどったのか,次にどの方向に撮影すれば良い のか,が分からなくなったと意見をもらった.評価 実験ではルートを確認するために地図を印刷して撮 影に臨んだが,今後はルートの撮影方法を考える必 要がある. 案内アプリ用更新データ作成システムでデータを作成 する際に,撮影した画像の場所の判別が困難 全天球カメラの画像を撮影後に案内アプリ用更新デー タ作成システムで使用する際,似たような景色の画像 が連続すると,どこで撮影した画像なのかがわから なくなってしまうという意見が多数寄せられた.特 に階段では撮影した順番を意識しないと,平面の全 天球カメラの画像では全くわからないことが判明し た.また,誤って撮影した画像があるとさらに分か らなくなったという意見も寄せられた.このことか ら撮影した全天球カメラの画像を,システム上で全 方位表示できるようし,場所を確認できるようにす る必要がある.また,全天球カメラの画像を一覧に し,画面を見ながら作業できるような環境を作るこ とも課題である. 案内アプリ用更新データ作成システムと駅構内案内ア プリの自動同期 現在のデータ更新の際は,案内アプリ用更新データ作 成システムでデータを作成し,作成したデータをア ンドロイドに転送するという流れを踏む必要がある. しかしこの手順では,それぞれのシステムが独立し て存在してしまっている.2つのシステムを同期させ ることができれば,今よりも利便性が上がるだろう. 案内アプリ用更新データ作成システムでの作業フロー の表示 案内アプリ用更新データ作成システムでデータを作 成する際に,事前に渡した操作方法を書いたPDFが ないと操作が分からない,次に何をすれば良いのか 分からない,との意見をもらった.また,現在行って いる作業がどの程度進行しており,データ完成まで 何をすればよいのかを表示して欲しいとの意見をも らった.そのため,操作説明書なしでも分かり,作 業フローが見えるようなシステムを作成する必要が ある. 画像の枚数を増すと道案内で目的地までの到達が遅く なりタイムロス 今回の評価実験では,撮影間隔を3mとしたが,3m を厳密に測らずに撮影したため,被験者によって撮 影した画像の枚数は大きく違った.その中で枚数を 多くとった被験者から,画像の枚数を増やすと駅構 内案内アプリで現在地から目的地までのルートを表 示する際,画像が多い分時間がかかり,また同じ景色

(6)

が連続して表示されることから場所の把握が難しく なった,との意見をもらった.画像の撮影枚数が増 えた際にシステム上でデータを作成するときは,短 い距離の画像同士をうまく繋げる方法を考える必要 がある. 作成したデータはサーバで管理 今回の道案内用のシステムとしてアンドロイド端末 にアプリを実装するという方法を採用したが,データ 転送の際にAppleユーザ等のアンドロイド以外の端 末使用者がデータを作成,転送しようとするときに接 続方法やファイルの場所が分からないということを 意見としてもらった.その上で,サーバ上にデータ をアップロードすることを提案してもらった.サー バにアップロードことで転送の手順をなくし,また 駅構内案内アプリと案内アプリ用更新データ作成シ ステムの同期を取りやすくなる.そして,サーバに アップロードすることにより,全てのユーザがデー タを共有でき,駅構内案内アプリの表示も案内アプ リ用更新データ作成システムのデータ作成もさらに 容易になる事が考えられる.以上の点から,今後は サーバにアップロードすることを考慮に入れる必要 がある. 階段の画像の配置と繋げ方を理解するのが困難 評価実験の場所である東京電機大学新5号館は,階段 の形状は踊り場付きの中腹で折り返すタイプの階段 である.階段に画像を設置していく際に,踊り場の みの地図を用意しなかったため,それぞれの階に階 段の画像を半分ほど配置するのだが,その配置がど のようにするべきか分かりにくいとの意見をもらっ た.階段はこのタイプ以外にも螺旋上の階段や折返 しが複数存在するタイプなど,種類も多いため,階 段の対応も今後の課題である. 案内アプリ用更新データ作成システムで作業している 内容がどのように駅構内案内アプリに反映されるのか 理解するのが困難 案内アプリ用更新データ作成システムで作業をして いる際に,地図上に画像を配置したり,隣接してい る画像を繋げたりする作業はともかく,現在地と目 的地を設定する作業や階段でのチルトの設定などで は,駅構内案内アプリ上でどのように反映されるの か分からないとの意見をもらった.システムで作業 を行う明確な理由が分かるような設計と,アプリと の同期を十分に行う必要があると思われる. 直線の移動にも関わらず,滑らかでない動作 案内アプリ用更新データ作成システムでデータを作 成し,駅構内案内アプリにデータ更新した際に,直線 の道にも関わらず途中で少しだけパンによる方向転 換をし,動きがカクついたとの意見をもらった.案内 アプリ用更新データ作成システムの機能に,画像の 位置を縦や横に整列させる機能があったが,その機 能を見落としてデータを完成させたことによってカ クついたものと思われる.方向転換の角度が無視で きるほどの数値であれば,方向転換を行わないよう にすることで,画像を整列させることを忘れてデー タを更新してもきれいに直線を道案内できると思わ れる.もしくはシステムで直線に対する整列を自動 で行う機能が必要になると思われる. 7.2 評価実験の所要時間 今回東京電機大学の新5号館での平均撮影枚数はおよそ 90枚から100枚であった.撮影時間は30分から1時間で あり,平均では40分程の撮影時間となった.被験者の中 にはTheta sを使用したことがある人とない人がいたが, 使用したことがないことにより時間がかかったようなこと は見受けられなかった.また,撮影時間に関してもあまり 差がないことから,始めにTheta sの使い方を教えておけ ば,撮影時に戸惑うことは,ほぼないと思われる.  案内アプリ用更新データ作成システムによるデータ作成 の時間は,Macのパソコンに慣れている人が1時間30分 から2時間,Macのパソコンに慣れていない人は2時間か ら3時間という結果になった.  パソコンに慣れていない被験者はパソコンに慣れている 被験者に比べ,1.5時間程多く時間がかかった.本研究で はパソコンに慣れていない人にもデータ作成が容易にでき ることが目標であるため,目標に近づけるためさらなる研 究が必要であることが分かった.また,パソコンに慣れて いる被験者であっても1時間以上の作業になってしまった ため,作業時間の短縮も今後の課題となるだろう.

8.

評価実験の結果を踏まえた今後の課題と

展望

今後の課題として,案内アプリ用更新データ作成システ ムのユーザインタフェースを直していくことである.今回 被験者に指摘された内容はもちろん,他に手順を減らせる ような工夫をするなど,パソコン初心者でも分かりやす いユーザインタフェースにしていく.特に,ユーザ操作マ ニュアルなどを別ファイルにまとめる必要がなく,システ ムを開いただけで作業の流れがだいたい分かるような案内 アプリ用更新データ作成システムの開発を目指す.  案内アプリ用更新データ作成システムと駅構内案内ア プリの同期をできるように開発することである.データを サーバ上に置くなどして,システムとアプリでデータを共 有し,システムでデータを作成したら転送することなく即 アプリで表示ができるようにしたり,作成途中のデータを アプリで確認したりして利便性の向上を図る.  なお,今回は案内アプリ用更新データ作成システムでの

(7)

作成の評価実験を行ったため,次回は駅構内案内アプリで 実際に道案内をする評価実験も合わせて行う.

9.

おわりに

本稿では地図を読むのが苦手な人にも分かりやすく道案 内をするため,全天球カメラの画像を用いて人の目線で実 際に歩いているような表示で道案内する駅構内案内アプリ を開発した.また,駅構内案内アプリのデータを容易に作 成し,データを更新することができるよう,データ作成支 援システム,「案内アプリ用更新データ作成システム」を開 発した.案内アプリ用更新データ作成システムに対してど の程度容易にデータを作成できるか評価実験を行い,被験 者から得た意見から課題を見出し,今後の研究方針を具体 的にした. 参考文献 [1] 日高洋祐,堀聡美,三田哲也,“案内サインを活用した駅 構内ナビゲーションシステムの開発と評価”,情報処理学 会研究報告,2013年. [2] 新田知之,宮崎和哉,吉見駿,田端亮介,新井イスマイル, 安積卓也,西尾信彦,“視認性確認対話ベースの地下街ナ ビゲーションシステム”,情報処理学会インタラクション 2013,2013年. [3] 吉野孝,奥村賢悟, “迷いやすい人の特徴を考慮した屋 内ナビゲーションシステムDoCoKaの開発と評価”,情 報処理学会研究報告,2013年. [4] 田中晴美,北原格,亀田能成,太田友一,“透過型HMD を用いた歩行者用経路提示の評価”,電子情報通信学会技 術報告研究,2006年.

図 1 駅構内案内アプリの起動画面 通しの撮影間隔を 3m 〜 5m 置きに撮影した.また,交差点 や曲がり角では方向転換をするために必ず全天球カメラで 撮影した.ここで撮影しないと分岐点となる道で画像が続 かないためである. 4.3 ルートの選択 ルートの選択はダイクストラ法によって求めている.全 天球カメラの画像をノードと見なし,隣接している画像の うち,移動可能な画像同士をエッジで結ぶ.このノードと エッジを利用してダイクストラ法を用い,最短経路を導 き出す.駅構内案内アプリでは,最短経路通りに道案内
図 3 評価実験の撮影時の風景 トリを開く. ( 2 ) 開いたディレクトリの中から地図画像を探し,システ ムに読み込む. ( 3 ) 地図画像をシステムの真ん中に表示させる. ( 4 ) システムの真ん中に表示されている地図上に,全天球 カメラの画像(ノード)を置いていく. ( 5 ) 全天球カメラの画像のうち,隣接している移動可能な 画像同士をつなげる(エッジ) . ( 6 ) ノードとエッジの情報を編集する. ( 7 ) 現在地と目的地を設定する. ( 8 ) JSON データ(駅構内案内アプリに転送
図 4 評価実験の撮影時の風景 図 5 評価実験のデータ作成時の風景 作成してもらうパソコンは著者らの用意した Mac Book で ある.また,操作方法は PDF ファイルにまとめておき, この PDF を見て操作することで均一に指示が渡るように した. 7

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