246 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(99) タカ ナシ ユ ミ コ高梨由美子(昭和3
医学博士 乙第1177号平成3年3月15日
学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者)
慢性気道疾患患者の喀疲中のelastolyti¢activityとi皿hibi重or (主査)教授 滝沢 敬夫 (副査)教授 降矢 榮,香川 順論 文 内 容 の 要 旨
目的 プロテアーゼ・アンチプロテアーゼインバランスは, 近年肺気腫のみならず呼吸器感染症の病態にも関与す る可能性が報告されている.しかし二百中のエラス ターゼとインヒビター,疾のレオロジー,起炎菌,臨 床像との関係等は不明な点も多く,これらを解明する ため,以下の検討を行なった. 対象及び方法 東京女子医科大学付属病院呼吸器内科に通院中及び 入院中の,気管支喘息患者(以下BA)19例,慢性気管 支炎患者(以下CB)18例,びまん性汎細気管支炎患者 (以下DPB)11例,その他6例の計54例である.その喀 疾を用いて,レオロジー(Kingの方法等),喀疾上清 のエラスターゼ活性(STANA分解法),アルブミンと α、一プロテアーゼインヒビター(以下α、PI)およびα2一 マクログロブリン(以下α2MG)濃度(一元免疫拡散 法),elastase一α1 PI complex(Merck社製kit),過酸 化脂質(八木法)を測定し,疾患別,菌種別及び臨床 経過とも比較検討した.またエラスターゼの由来を明 らかにするためにセリンプロテア一州の阻害剤であるDFPと陰白ロプロテアーゼの阻害剤であるEDTAに
よる抑制試験を行なった. 結果エラスターゼ活性はBAではほとんど検出できな
かった(平均0.44nmol NA released/hr per O.1ml) のに対し,CBとDPBでは著明に上昇していた(各々 11。6,14.7).また,インヒビターであるα、PIとα2 MG もBAではほとんど検出されなかったのに対し, CB
とDPBではいずれも高値を示した(各々α、PIは
35.6,70。Omg/d1,α2 MGは2.3,2.6mg/ml).しかし,エラスターゼ活性,インヒビターともにCBとDPB
二間には有意差は認められなかった.一方,アルブミ ン濃度は,CBとDPB, BAの3疾患群ともに高値を示 した(各々18.1,17.5,11.3mg/ml).また,緑膿菌が 検出された疾では,インフルエンザ菌の検出された疾 に比べ,有意に高いエラスターゼ活性を示した.臨床 的な寛解や増悪と平行してエラスターゼ活性やインヒ ビター,アルブミン濃度も変化した.レオロジーに関 しては,降伏値と曳糸性はエラスターゼ活性の高い疾 では低い傾向を認めた.また,エラスターゼ活性は DFPにて抑制され, EDTAにて抑制されなかった.過 酸化脂質は,BAではほとんど検出できなかったが,CBとDPBではその平均値が正常人の血清レベルよ
りも高値を示した. 考察ならびに結論 慢性呼吸器疾患患者の感染増悪期には喀疾中のエラ スターゼ活性とインヒビターのバランスが崩れ,レオ ロジー的には弾性が低く粘液輸送系に対し悪影響を及 ぼし,脂質の過酸化が増大することを確認した.また, 三三中のエラスターゼ活性は,抑制試験の結果からマ クロファージや緑膿菌由来のメタロプロテアーゼでは なく,好中球由来のセリンプロテアーゼに属すること が示唆された. 一856一247