156 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(65)アクツ.トシエ
阿久津敏恵(昭和3
博士(医学) 乙第1229号平成3年12月20日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
新しく開発した呼吸同調装置と携帯用酸素濃縮器の併用効果 (主査)教授 金野 公郎 (副査)教授 新田 澄郎,香川 順論 文 内 容 の 要 旨
目的 著者はこれまで慢性呼吸不全の低酸素血症に対する 在宅酸素療法の治療機器として膜型携帯用酸素濃縮器 の開発を行ってきた,本研究においては,呼吸時相の 感知により吸気時のみに酸素を流出し,呼気時には バッファタンク内に酸素を貯留する呼吸同調酸素供給 器の併用による酸素濃縮装置の臨床効果検討を目的と した. 対象および方法 1.対象 当科外来通院中あるいは木原病院入院中の慢性呼吸 不全患者6例を対象とした. 2。方法 1)装置 (1)携帯用酸素濃縮装置 本装置は,poly一〔1・(trilnethylsilyl)一1-propyne〕ポリ マーを用いた膜型酸素濃縮装置で,発生する酸素濃度 は約30%であり,最大流量は4L/minである.形状は 325×150×180mmで重量は約5.7kgである. (2)圧力式呼吸同調酸素供給器 本装置は,キャパスタンス式圧力センサーを呼吸時 相の感知に使用し,吸気開始時に鼻カニューラに取り 付けた細いビニールチューブ内に発生するわずかな陰 圧変化を感知,電子回路の制御によりバルブが開き, 濃縮気ガスが流出する.一方呼気時には・ミルブが閉鎖 し,バッファタンク内に濃縮気ガスが貯留する仕組み となっている.設定された時間以上有効な信号が制御 装置に伝達されない場合には,バルブが開き,濃縮器 から恒常的流出に切り替わる安全装置も組み込まれて いる. 2)実験方法 呼吸同調装置の酸素濃縮器に対する効果を調べるた めに,個々の症例について空気呼吸時と酸素濃縮器使 用時,呼吸同調装置併用時に動脈血酸素飽和度を測定 した.次いで被験老の呼吸気流量と,濃縮装置の濃縮 気流量および積分値による濃縮気量を測定した. 結果 呼吸同調装置の併用により,濃縮気流量は4L/lnin から6L/min以上に増加した.6例の慢性呼吸不全例 を対象とした検索においても,動脈血酸素飽和度は空 気呼吸時平均89.8%(±4.23)から,濃縮器単独使用 時平均92.5%(±3.06)に上昇し(p<0.05),さらに 濃縮器に呼吸同調酸素供給器を併用した場合には平均 94.3%(±2.44)に上昇した(p<0.05). 考察 呼吸同調型酸素供給器の臨床導入において重要なこ とは,バルブが作動しないとぎの安全対策がなされて いることである.今回用いたキャパスタンス式の圧セ ンサーは追従性は良好で,かつ安定性も確認された. また酸素濃縮装置と呼吸同調装置を併用した場合には 濃縮気ガス流量の増大が確認され,さらに動脈血酸素 飽和度の上昇もみられ,本装置の臨床的有用性が確認 された. 結語 (1)開発した呼吸同調酸素供給器の概要について示 した. 一760一157 (2)本装置の臨床応用により,動脈血酸素飽和度は, 空気呼吸時平均89.8%,携帯用酸素濃縮装置単独使用 時,92.5%,呼吸同調酸素供給器の併用時,平均94.3% と上昇した. (3)本装置の併用により携帯用酸素濃縮装置の臨床 的有用性がさらに拡大することが示唆された.