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慢性腎不全患児における血中ケト酸動態に関する研究

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(1)

〔 原 著 〕

( 東 女 医 大 誌 第54巻 第6

)

頁 479-492 昭和59年6月

慢性腎不全患児における血中ケト酸動態に関する研究

甲 能

東京女子医科大学 腎臓病総合医療センター 小児科(指導:伊藤克己教授〕

時 雪

( 受 付 昭 和59年3月26日〉

A Study of Keto Acids Metabolism in the Children with Chronic Renal Failure

Miyuki KOHNO

Department of Pediatrics (Director: Prof.K.ITO), Kidney Center Tokyo Women's Medical College

To investigate the disturbance of amino acid metabolism in patients with chronic renal failure (CRF) and patients undergoing hemodialysis (HD), the author examined the relationship of the 2 amino acids, valine and leucine, to the corresponding keto acids, especia11y noting that these amino acids were not normalized in spite of good nutritional management and further compared them with the relationship between isoleucine and the corresponding keto acid.

The plasma concentrations of α-keto-isovaleric acid (KIV A),α-keto-isocaproic acid (KICA) and α -keto-β-methyl-valeric acid (KMVA), the keto acids corresponding respectively to valine, leucine and isoleucine, were determined by high-performance liquid chromatography (HPLC) with a spec -trofluorophotometric detector.This method compared favorably with conventional gas chromatography (GC) in respect to convenience and time required, and proved clinica11y useful.

The valinelKIV A and leucinelKICA ratios were lowered in the CRF group with Ccr under 20 ml/min

and HD group, as compared with those in the control, which suggested that the degraded reaction was more dominant in the f()rmer groups than in the control.

There was no difference in the isoleucine/KMV A ratio among the control, CRF and HD groups, which suggested that the synthesis or degradation of isoleucine remained constant in a11 the groups. The said abnormalities were inferred to occur when Ccr fe11 below 20 ml/min.

In consideration of the relationship between amino acids and keto acids, it cannot be ruled out that the amino acid or keto acid therapy might induce a new metabolic abnormality in CRF and HD patients, so that careful management is necessary in these therapies. 緒 言 近年,わが国における血液浄化療法の進歩およ び普及はめざましく,小児期慢性腎不全患者の長 期生存例も多数報告されるようになった.慢性腎 不全(以下CRFと略す〉患児の完全社会復帰は腎 臓移植にあるとされ,絶対的適応と考えられてい るが,何らかの理由で長期透析治療を余儀なくさ れる症例も少なくない. 一方, CRF患児の成長障害は,クレアチニンク リアランス(以下Ccrと略す〉が30-40ml/min以 下に減少すると,さまざまな原因および病態生理 が複雑に絡み合って生ずるとされる.一般に, CRFの程度が強ければ強いほど,あるいはCRF の期間が長ければ長いほど成長障害の程度も著し いとされている.そのなかでも患児の栄養障害は 成長障害の主要因のーっと考えられており,とく -479

(2)

に蛋白・アミノ酸代謝の正常化は患児の発育を考 慮するうえで必要なことと考えられている. 成人のCRFにおいては蛋白・アミノ酸代謝障 害に関し数多く報告され1)-へ そ の 病 態 生 理 や 代 謝異常の改善などについても検討されている.し かしながら,小児においては必ずしも十分に研究 が進み成長障害を解決するような満足すべき報告 は得られていない9)-12) 現在までに指摘された代謝異常として 1)必須アミノ酸(以下EAAと略す)の低下お よび非必須アミノ酸(以下NEAAと略す〉の増 加,ゆえにEAA/NEAA比の低下7)12)-14) 2) EAAからNEAAへの合成克進12)-14) 3) Phenylalanine水酸化酵素活性の低下によ るTyrosineへの転化障害6) 4) Tryptophan, Leucineの腸管吸収障害同. などがあげられている.そして,これらのアミ ノ酸代謝異常は摂取蛋白量およびカロリー量に影 響されると考えられている. 伊藤は凶当センター小児科で長期間血液透析を 行なっている患児に対して,十分な蛋白質とカロ リーが摂取できるように栄養指導を行ない,栄養 指導前後における血葉遊離アミノ酸濃度を比較検 討した.そして,総アミノ酸(以下TAAと略す〉 が上昇したにもかかわらずEAA/NEAA比は依 然 と し て 低 く , と く に 栄 養 指 導 後 に お い て も Valine, Leucineは低値を示したと報告している. そこで,著者はこれらの事実に注目し, Valine, Leucine, Isoleucine代謝について,それぞれの母 体となるケト酸, α-keto-iso吉草酸(以下KIVA と略す), α-keto-isoカプロン酸(以下KICAと略 す), α-keto-β メチル吉草酸(以下KMVAと略 す〉との兼ね合いに関し,比較検討したので報告 する. 対象および方法 1.対象 1)CRF血液透析群 (HD群) CRFにて当センタ一小児科において週3回血 液透析(以下HDと略す〉を施行している男児11 例,女児9例の合計20例で,平均年齢は11.8::!:2.8 歳,平均透析期間は13.2::!:6.8カ月である. -480 2) CRF非透析 (A)群 (CRF(A)群) 20ml/min

<

Ccr

<

55ml/minの男児6例,女児 9例の合計15例で,平均年齢は8.8::!:5.5歳である. 3) CRF非透析 (B)群 (CRF(B)群) Ccr三五20ml/minの男児10例,女児5例の合計15 例で,平均年齢は13.8::!:3. 6歳である. 4) 腎移植施行群 当センターで腎移植を施行した男児3例,女児 2例の合計5例であり,生体腎移植を4例に,屍 体腎移植を1例に施行した.平均年齢は13.0::!:2.6 歳である. 5) Control群 腎機能および肝機能が正常な男児17例,女児13 例の合計30例であり,年齢は

6-19

歳で,平均年 齢は13.0士3.5歳である. 2.方法 早朝空腹時へパリン加採血し,血奨分離後

2

つ に分け,それぞれ血奨アミノ酸,血奨ケト酸濃度 測定用として測定時まで-200 Cで凍結保存した. 食事はHD群およびCRFCB)群で水分,カリウ ム制限のみとし,ほかは自由食とした.実際に摂 取した食事内容を本人または母親に詳しく

1

週間 にわたり記載さぜ

1

日平均摂取カロリー量およ び蛋白量を計算した.摂取カロリー量の少ない症 例や血奨TAA値 が 著 明 に 低 下 し て い る HD群 の症例10例に対し,撰取蛋白量1.5g/kg/日,カロ リー量50-60Cal/kg/日以上を目標に栄養指導を 行ない,栄養指導前後で血奨アミノ酸,血奨ケト 酸濃度を測定し,比較検討した.またHD患児5 例を対象に総合アミノ酸製剤CAMI-U)⑧を連日 5 日間投与し投与開始前および終了後で比較した. なおHD施行日はHD終了後に投与した. Control群, CRFCA)群および腎移植施行群の 食事内容は,カロリー量1,600Cal/日,蛋白量60g/ 日の当センター小児常食とした. 1)血葉アミノ酸濃度測定 血奨をズルホサリチノレ酸にて除蛋白後,日立835 型自動アミノ酸分析装置にて血紫アミノ酸濃度を 測定した. 2) 血袈ケ卜酸濃度測定 (1)検量線作製

(3)

プール血清0.5mlにKIVA, KICA, KMV Aを それぞれ0,5, 10, 15, 20, 30nmol加え,内部標 準物質として α-keto-n吉草酸(以下KVAと略 す〉を30nmol加え試料とした.図

u

こ示すよう に,クロロホルムにて抽出後キノキサリノン誘導 体にし, 目立蛍光検出を用いWaters社製高速液 体クロマトグラフィー(以下HPLCと略す〉にて 分析した. KVAのキノキサリノン誘導体に対するそれぞ れα・ケト酸誘導体ピークの高さの比を縦軸にと り,添加したα・ケト酸の量を横軸にとり検量線を 作製した.縦軸のピークの高さの比はケト酸無添 加時の値を差しヲ

I

¥,、た値とした.同様の操作を5 回行ない,回帰直線を計算した. (2)回収率測定 蒸留水0.5mlにKIVA, KICA, KMV Aを20 nmol加え,内部標準物質としてKVAを30nmol 加え,試料とした.図

1

の方法で分析定量し,同 操作を5固くりかえし回収率を計算した. (3) 検体定量 患者血清0.5mlにKVAを30nmol加え,図1の 方法に準じ分析し,検量線より測定すべきケト酸 の KVA~.こ対する比から定量した. 3) アミノ酸,ケト酸の透析クリアランス HD患児5例を対象とし,透析中QBが安定した 時期にダイアライザーの前後で採血して,血奨ア ミノ酸およびケト酸濃度を測定後,次式にてアミ ノ酸およびケト酸の透析クリアランスを計算し た. 透析クリアランス=QBCPB-PA)/PA P A : Dialyser流入前血奨中濃度 PB : Dialyser流出後血禁中濃度 QB: 1分間にDialyserを通過した血液量 結 果

1

.

HD患児における栄養指導前後および総合 アミノ酸製剤負荷前後のEAA,NEAAの変動 HD患 児10例 に 対L, 栄 養 指 導 前 後 に お け る EAA,NEAAの変動を表1,表2に示す. TAAは 栄 養 指 導 前2219.1士428.2μmol/Lで あったが,栄養指導後には3556.6

:

t

356. 0μmol/L に上昇し, Control群3220.0

:

t

200 . 0μmol/Lと比 血 清 0.5ml

a-keto-n苧valeratesodium 30 n mof

10% NaOH O.lml CHCh 5ml I 15分 間 振 温 I 20分 間 遠 心 (3000rpm 20.C) 沈,査 よ 清 0.5ml 5% O-phenylenediamine 1 ml 6N HCI 1 ml

│…

CH3COOC2Ho 4m叫E I 15分 間 接 讃 I 10舟 間 遠 心 (3000rpm20.C) 沈 溢 上 清 3ml │ 室 蹴 圧 除 去 C2HoOH O. 2ml 10μl分 析 分 離 条 件 移 動 相 H20/C2HoOH=6/4 カラム μBondapak GII! 流 量 1.2ml!min 検 出 器 錘光被出器 骨量光波長 420 nm 励 起 波 長 352 nm 図1 高速液体グロマトグラフィーによる血中ケト酸 濃度測定法 較 し て 増 加 し て い た . 栄 養 指 導 後 ほ と ん ど の EAAがControl群 値 ま で 上 昇 し た な か で , Tryptophan, Leucine, ValineはControl群値ま で 上 昇 し な か っ た . と く にValineは 指 導 前 125 .8

:

t

25 . 6μmol/Lであったが,指導後において 186 .4

:

t

23.6μmol/Lとわずかしか上昇しなかっ たにすぎず, Control群263.0

:

t

24. 0μmol/Lと比 べ著明に低下していた.またNEAAでは栄養指 導前と比較して指導後において著明に上昇し, Serine, Glutamine, Tyrosineを除く他の NEAA はControl群値以上の異常高値を示した.EAA/ NEAA比は栄養指導前0.30士0.05であったが,指 導 後 で も0.31

:

t

0.04と上昇ぜず, Control群 の 0.40士0.02の比較して著明に低下していた. HD患 児5例に対し総合アミノ酸製剤 CAMI-U)⑧投与前後におけるアミノ酸パターンを比較す ると, TAAは 投 与 前2676.3:1::528.2μmol/Lで あ っ た が 投 与 後 に は3632.5土382.1,umol/Lに 上 昇し, Control群値以上の増加を示した.EAAで は投与前後でとくにMethionineの著明な増加が 認められ,投与後に74.8士12.0μmol/Lを示し, Control群 の27.0:1::5.0μmol/Lと 比 較 し 約 3倍 と異常に増加していた.しかし Valineは投与後

(4)

-481-表1 血液透析児に対し栄養指導前後および総合アミノ酸製剤負荷前後における EAAの変化 栄養指導Cn=10) 総合アミノ酸製剤負荷Cn=5) Control 前 後 前 後 Lysine 172.1土20.2 102.l::t33.8 187.0:t41.8 99.2:!:35.8 184.7:!:42.3 Histidine 82. 6:!: 14.0 48.2:!:12.9 90.0:!:l8.4 69.0:!:28.4 129.4士31.2 Tryptophan 52.0:!: 9.0 23.9:!: 8.4 36.9士18.3 14.4:!:10.4 26.3:!:19.9 Threonine 134.l::t19.5 72.2:!:24.9 128.0:!:24.7 102.5士11.9 187.7:!:10.3 Valine 263.0土24.0 125.8:!:25.6 186.4:!:23.6 111.1土22.6 141.5:!:11.4 Isoleucine 67.0士1.0 44.2:!:11.0 68.0:!:11.0 38.1士14.2 98.6士14.3 Leucine 128.0:!: 2.0 72.8:!:

1

O

.

105.2:!:l9.8 50. 3:!:13. 8 106.5:!: 8.4 Methionine 27.0士 5.0 17.9土 5.6 37.7士11.3 15.8土 6.9 74.8:!:12.0 Pheny lalanine 73.2:!:11.3 44.3:!: 6.7 87.7:!:24.3 48.1:!: 7.2 98.7:!:23.9 TAA 3220. 0:!:200. 0 2219.l::t428.2 3556.6:!:356.

2676.3士528.2 3632.5:!:382.1 EAA 920.0:!:80.0 503. 1::t99. 1 836.8:!:97.1 EAA/NEAA 0.40土0.02

o

.30:!:0. 05 0.3l:!:0.04 479.5:!:88.3 0.22:!:0.04 888.8:!:87.9 0.34:!:0.02 単位μmol/L 平均値:!:SD 表2 血液透析児に対し栄養指導前後および総合アミノ酸製剤l負荷前後におけるNEAAの変 イ ヒ 栄養指導Cn=10) 総合アミノ酸製剤負荷Cn=5) Control 前 Arginine 85.0:!:11.0 44.6:!:17.6 Serine 141. 2:!:20.0 67.5:!:22.7 Asparagine 56.0士 7.3 49.7士20.0 Glutamic acid 44.0:!:1.0 65.8:!:36.0 Glutamine 605.9:!:102.0 400.3:!:95.2 Proline 171.0:!:30.0 151.3:!:48.2 Glycine 239.4:!:30.3 181. 4:!:58. 6 Citruline 22.0:!: 5.1 37.3:!:19.2 Alanine 376.2:!:94.0 183.2士79.8 Tyrosine 71.0:!:1.0 27.4:!:6.3 でも

1

4

1.

5

:

t

11.4μmo

l/

L

を示し,

C

o

n

t

r

o

l

群値と 比較し著明に低下していた.また

NEAA

では栄 養指導前後でみられた変動とほぼ同様であった.

2

.

血奨ケト酸のクロマトグラム,検量線

B

よぴ 回収率 図

2

に健康成人血奨ケト酸のクロマトグラムを 示す.

KIVA

KICA

および

KMVA

r

e

t

e

n

t

i

o

n

t

i

m

e

はそれぞれ

7

.

4

分,

8

.

6

分,

1

0

.

0

分であり,

3

種のケト酸は完全に分離されていた.また内部標 準物質である

KVA

r

e

t

e

n

t

i

o

nt

i

m

e

6

.

4

分で あり,測定すべき3種のケト酸は内部標準物質お よび血清中の妨害物質から完全に分離されてい 後 99.l:!:47.3 121. 4:!:29 .1 89.7士21.0 98.5:!:33.1 474.6:!:l38.9 242.7:!:57.9 365.9土97.5 66.7:!:14.4 415.9:!:111.6 62.4:!:20.4

T

こ. 前 56.8:!:22.4 87.6土10.9 71.8:!: 8.8 29.l:!:10.4 559.7:!:100.2 282 .6:!: 78. 6 252.8土32.4 66.5:!:32.4 297.9:!:62.4 27.4:!: 7.2 後 68.4:!:32. 3 95.9士43.8 76.l:!:41.3 51.5:!:38.4 586.8:!:142.0 261.5:!:47.8 299.4土107.5 105.8:!:28.1 326.0:!:98.6 38.8:!:28.9 単位μmol/L 平均値:!:SD

3

種ケト酸の検量線回帰式および回収率を表

3

に示す. 5回の操作で得られた検量線の相関係数 は

KIV

A

0

.

8

5

3

4

KICA 0

.

8

6

3

0

KMV

A

0

.

8

2

0

3

を 示し,回収率は

KIVA9

8

.

8

:

t

6.2%

KICA86.8

:

t

8.6%

KMVA

9

4

.

3

:

t

3.8%

と良好であった.

3

.

血頚

V

a

l

i

n

e

値と

KIVA

C

o

n

t

r

o

l

群および

CRFCA)

群の血奨

V

a

l

i

n

e

値 は 表

4

に 見 て の と お り , そ れ ぞ れ

2

1

2

.

3

3

2

.

4

μmo

l/

L

2

2

4

.

7

46.8μmo

l/

L

であるのに対し,

CRFCB)

群 お よ び

HD

群 で は そ れ ぞ れ

1

4

8

.

4

:

t

3

4

.

1

J.1

mo

l/

L

1

6

6

.

8

:

t

3

1.

5μmo

l/

L

であり,後

2

(5)

482-各 種 ケ ト 酸 の 検 量 線 と 回 収 率 検 量 線 平回均収値率±(%〕 回 帰 式 栢関係数 ('!":It)flHSD) KIVA y= 0.0242+0.0046X 0.8534 98.8:t6.2 KICA y= 0.0007+0.0032X 0.8630 86.8:t8.6 KMVA y= -0.0022+0.0053X 0.8203 94.3:t3.8 表3 4 〉 >:: 百 - u m w o -﹀ コ L ﹄ 且

C

o

n

t

r

o

l

群と

CRF(A)

群で差を認めず,それぞれ

8

.

9

4

:

t

1.

5

4

1

1

.

4

8

:

t

2

.

9

2

を示した.しかし

CRF

(

B

)

群 お よ び

HD

群 で は そ れ ぞ れ

7

.

0

1

2

.

4

3

5

.

6

9

:

t

1.

6

4

であり,

C

o

n

t

r

o

l

群と比較して有意に 低下していた

(p<0.05

p<O.u

l).

4

.

血葉

L

e

u

c

i

n

e

値 と 区

ICA

値 血 奨

L

e

u

c

i

n

e

値は表

4

にみるとおり,

C

o

n

t

r

o

l

群と

CRF(A)

群でそれぞれ

1

1

2.

4

:

t

1

8

.

2μmo

l/

L

1

2

8

.

0

26.7μmo

l/

L

であるのに対し,

CRF(B)

群 お よ び

HD

群 で は そ れ ぞ れ

8

0

.

1

2

2

.

5

,u

mo

l/

L

9

1.

8

:

t

22.2μmo

l/

L

を示し,血奨

V

a

l

i

n

e

値と同様 に

C

o

n

t

r

o

l

群に比し

CRF(B)

群と

HD

群で著明 に低下していた

(

p

<

0

.

0

5

)

.

血 奨

KICA

値 は

C

o

n

t

r

o

l

群および

CRF(A)

群 でそれぞれ

1

8

.

3

6.2nmo

l/

ml

2

0

.

8

6.8nmo

l/

ml

を示し,両者の聞に有意差は認められなかっ た.しかし

CRF(B)

群では

2

7.

1

:

t

1

1

.

6nmo

l/

ml

HD

群でも

2

8

.

4

:

t

1

3

.

Onmo

l/

ml

を示し,両者とも に

C

o

n

t

r

o

l

群 よ り 高 値 で あ っ た

(p<O.O

l) (表 4). 一方,

Leucine/KICA

比は図

3

でみると,

C

o

n

-t

r

o

l

群 で

6

.

6

7

士1.

9

4

であり,

CRF(A)

群 で は

6

.

6

8

:

t

2

.

4

5

を示し差を認めなかった.しかし

CRF

健 康 成 人 血 梁 ケ ト 酸 の ク ロ マ ト グ ラ ム 者が有意に低下していた

(

p

<

0

.

0

5

)

.

血 奨

KIVA

値 は

C

o

n

t

r

o

l

2

4

.

3

4.7nmo

l/

ml

CRF(A)

2

1.

2

:

t

8.7nmol/ml

であるのと比 較して,

CRF(B)

群では

2

4

.

0

:

t

2

2

.1nmo

l/

ml

とか なりパラついているが

HD

群の

3

1.

6

11.4nmo

l/

ml

とともに高値を示した(表

4)

.

一方,図

3

にみるとおり,

V

a

l

i

n

e

/

K

I

V

A

比は 図2 各 群 に お け る 血 祭 ア ミ ノ 酸 値 と 血 祭 ケ ト 酸 値

Valine KIVA ULeEnuocli/nLe KICA Isoleucine KMVA (μmol/

U

Cnmol/mO (nmol/mO (μmol/L) Cnmol/mO ControI 212. 3:t32.4 24.3:t4.7 112. 4:t18.2 18.3:t6.2 62.5:t8.4 29.8:t12.4 (n=30) CRF(A) 224.7:t46.8 21.28.7 128ρ:t26.7 20.8:t6 ‘8 77.7:t20.5 21.6士6.0 (n=15) CRF(B) 148.4:t34.1* 24.0:t22.1 80.l:t22.5* 27.l:t11.6 叫 53.4士14.5 30.2:t9.2 (n=15) HD 166.8:t31.5* 31.6:t11.4 91.8:t22.2* 28. 4:t13. 0

61.3:t14.1 32.0:t7.2 (n=20) 表4 平均値士SD

-・

p<0.01 * p<0.05 483

(6)

Valine/KIVA Leucine/KICA Isoleucine/KMVA 14 12 10 10 8 8 6 6 4 4 2 Pく005 P<O.OI 2 P<O.OI Pく0.01

Control CRFIA! CRF(日) HD o

I

Control CRFIAI CRFI日) HD

IControl CRFIAI CRFIBI HD 図3 各群におけるアミノ酸/ケト酸比

(

B

)

群 お よ び

HD

群 で は そ れ ぞ れ

3

.

8

4

1

.

6

0

3

.

8

5

:t1.

9

2

であり,

C

o

n

t

r

o

l

群と比較して有意に 低下していた

(p<O.O

l).

5

.

血袈

I

s

o

l

e

u

c

i

n

e

値と

KMVA

値 血 奨

I

s

o

l

e

u

c

i

n

e

値 は 表

4

でみるように,

C

o

n

-t

r

o

l

群 で

6

2

.5

:t

8.4μmol/L

CRF(A)

群 で は

7

7

.

7

:t

20.5μmo

l/

L

CRF(B)

群および

HD

群で も そ れ ぞ れ

5

3

.

4

:t

14.5μmo

l/

L

6

1

.

3

1

4

.

1

μmo

l/

L

であり,

C

o

n

t

r

o

l

群と比較して

CRF

B)

群 お よ び

HD

群 で 低 下 傾 向 を 認 め る も の の 有 意 差はなかった. 血奨

KMVA

値は

C

o

n

t

r

o

l

群,

CRF(A)

群,

CRF

(

B

)

群および

HD

群でそれぞれ

2

9

.

8

12.4nmo

l/

ml

2

1

.

6

6.0nmo

l/

ml

3

0

.

2

:t

9

.

2nmo

l/

ml

3

2

.

0

:t

7

.2nmo

l/

ml

を示し

4

群間で差を認めな かった(表4). TAA μmol/し 4000 3000 2000 1000

二討で三

TAA μmol/L 1000 10valme/KIVAO 一方,図

3

でみると,

Isoleucine/KMV

A

比 は

C

o

n

t

r

o

l

群 で

2

.

4

3

:t

0

.

9

1

であるのに対し,

CRF

(

A

)

群 で は

3

.

7

1

土1.

1

5

と上昇していた.しかし

CRF(B)

群 お よ び

HD

群 で は そ れ ぞ れ 1 .

9

3

0

.

5

8

, 1.

9

9

:t

0

.

4

4

であり,

C

o

n

t

r

o

l

群と差を認めな かった

6

.

TAA

とアミノ酸/ケ卜酸比の相関

TAA

Va

l

i

n

e

/

K

I

V

A

比 は 図

4

で み る と お り,

C

o

n

t

r

o

l

群および

CRF(B)

群で正の相関を示 し,相関係数はそれぞれ

0

.

6

2

7

0

0

.

7

7

4

0

であり,勾 配係数は

4

4

.

1

3

6

.

9

であった.しかし

HD

群では 負の相関を示し,相関係数は

-0.7823

で勾配係数 は

-125.2

であった. また

TAA

Leucine/KICA

比 の 関 係 に お い ても

C

o

n

t

r

o

l

群 お よ び

CRF(B)

群で正の相関を 示し,相関係数はそれぞれ

0

.

6

4

3

2

0

.

7

1

1

1

で勾配 1000 10 Leucine/KIC

5 10 Isoleucine/KMVA ーー司圃ーー由Control ---CRFIBI

.

-

HD 図4 TAAとアミノ酸/ケト酸比の相関

(7)

-484-表5 アミノ酸およびケト酸の透析クリアランス VaIine KIVA Leucine A.T 66.6 77.8 58.7 T. S 69.5 59.7 59.1 K.H 63.4 69.5 50.4 N.H. 84.0 83.2 78.7 M.K. 70.0 76.7 65.6 平均値士SD 70. 7:t7.1 73.4:1:8.1 62.5士9.5 係数は

3

7

.

5

8

9

.

4

であった.

HD

群では

TAA

V

a

l

i

n

e

/

K

I

V

A

比 の 関 係 と 同 様 に 負 の 相 関 を 示 し,相関係数は

0

.

7

4

5

3

で 勾 配 係 数 は

-13.5

で あった. 一方,

TAA

Isoleucine/KMV

A

比の関係で は

C

o

n

t

r

o

l

群,

CRF(B)

群,

HD

群ともに正の相 関 を 示 し , 相 関 係 数 は そ れ ぞ れ

0

.

6

0

9

1

0

.

8

3

2

2

0

.

7

1

0

0

であり勾配係数は

3

7

.

7

2

3

6

.

8

1

9

1

.

5

で,

CRF(B)

群 お よ び

HD

群 で

C

o

n

t

r

o

l

群よりも直 線勾配は大であった〈図4). なお,

CRFCA)

群では

TAA

とアミノ酸/ケト酸 比との間で相関を認めなかった. KICA Isoleucine KMVA 67.4 59.8 63.9 49.9 55.2 61.4 48.6 59.2 60.6 67.8 73.5 69.8 66.5 62.4 65.3 60.0:t8.8 62.0士6.2 62.2士3.3 」 一 単位ml/min

7

.

アミノ酸とケト酸の透析クリアランス 表 5にアミノ酸とケト酸の透析クリアランスを 示す.分子量

1

1

7

V

a

l

i

n

e

7

0

.

7

i:.

7

.1m

l/

min

で あり,分子量

1

1

5

KIVA

7

3

.

4

8.1m

l/

min

を 示し,両者の聞に有意差は認められなかった.

L

e

u

c

i

n

e

I

s

o

l

e

u

c

i

n

e

ともに分子量は

1

3

1

であり,分 子量

1

2

9

を有する

KICA

および

KMVA

との聞で 有意差を認めなかった. 8.腎移植前後におけるアミノ酸,ケト酸の経過 腎移植施行前後で

TAA

の変動を図

5

に示す. 移植前に比べ,全症例ともに移植後正常下限値ま で低下し,数カ月間持続するが,

1

2

カ月後にはさ TAA μmol/L EAA/NEAA 4000 3000 2000

1

2 4 6 図5 0.4

2~1?1~f4~1

TO.K 0.3

1

8 10 12 月

2 4 6 8 腎移植後におけるTAAおよび EAA/NAA比の推移 -485 TO.K 10 12月

.

正 常 域 生体腎移植 屍体腎移植

(8)

Valine/KIVA 移 植 10

T 4 8 Leucine/KICA T.K 12 月

4 Isoleucine/KMVA ...T.K 8 12 月

4 8 12 月 正 常 域

生体腎移植

屍体腎移植 図6 腎移植前後におけるアミノ酸/ケト酸比の推移 らに低下し2320.2::!::358. 2μmol/Lの値を示した. しかしながら, EAA/NEAA比は移植前著明に低 下していたが,移植1カ月後より上昇し10カ月後 には症例To.Kを除き正常範囲になっていた.症 例To. Kは 慢 性 拒 絶 反 応 の た め 移 植12カ月後 Ccrが20ml/min以 下 に な っ た 時 点 でEAA/ NEAA比の低下が認められた(図5).アミノ酸/ ケト酸比の経過を図6に示す.V aline/KIV A比 およびLeucine/KICA比はともに移植前著明に 低下したが,屍体腎移植症例である H.Tを除く 4症例はすべて移植1カ月後に上昇しはじめ,屍 体腎移植例H.Tでも移植2カ月後には上昇して いた.慢性拒絶反応にて腎機能の廃絶した症例 To. Kは 移 植12カ 月 後Ccrが20ml/min以 下 に な っ た 時 点 でValine/KIV A比, Leucine/KICA 比ともに移植前値まで低下した. 一方, Isoleucine/KMV A比は移植前正常下限 値を示し移植

1

カ月後に増加する傾向があった. 慢性拒絶反応例To. Kは移植12カ月後Ccrが20 ml/min以下になった時点で、正常下限値まで低下 した 考 察 小児慢性腎不全の成長・発育障害の原因として 蛋白・アミノ酸代謝は重要な因子であり,さまざ -486 まな異常が指摘されている仲間.通常健康人では 図7に示す代謝経路が存在し,糖質・アミノ酸・ 脂質の相互転換が行なわれている16) 一般に,CRFにおいては腎機能低下により体液 の恒常性が維持できなくなり,水・電解質異常, 高窒素血症,貧血などの臨床症状が生じてくる. とくに尿素窒素,クレアチニン,尿酸などが腎臓 から排出されないため,非蛋白性窒素化合物は体 内に蓄積するとともに,糖代謝に関連するホルモ ンの異常17)-20)25)や脂質代謝異常制-22)などにより 図7に示す代謝経路はさまざまに修飾される.そ して体内の窒素平衡においては蛋白同化が抑制さ れ異化克進状態になり, とくに摂取カロリー量が 十分で、ない場合には,カロリー源としてアミノ酸 が利用されるため蛋白合成は抑制され,異化克進 状態がさらに増強されると考えられている. 1975年Koppleら2)は,成人のCRFにおける蛋 白・アミノ酸代謝異常の特性について記述してお り , そ の ー っ と し てEAA/NEAA比 お よ び Valine/Glycine比は摂取蛋白量に比例すること を示している.著者の成績では,

HD

患児を対象と し て 摂 取 カ ロ リ ー50-60Cal/kg/日,摂取蛋白 1. 0 -1. 5g/kg/日を目標に栄養指導を行ない,栄 養指導前後におけるアミノ酸パターンは表1,表

(9)

Carbohydrate Glycogen, Glucose ZPGlycrld h

」…

tone-P

ー 綿 布

I-P

i

LP-Glycmde Glyclneラ / 〆 、 、 Fattyacids ~ P-Enolpyruvate-4\~

5e…一一一一~Pムe

-,ム郎帥附附叫e凶向t旬yl

ζ

J

均凶凶帥凶ls印叫蜘01州帥│山恰e剖刷u

… づ 戸

dて

"

I

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_Ornithine 1 Citrate ¥ / - , TVr:sm-Rmate TGAmle

!日、↓

¥ a-Ketoglutarate

.

-

-

Glutamate.

-

Hislldlne

1 ¥

ノ!

Propiona

te

-

-

Prop旧nylCoA

+

ucclnylGoA - L ysi Valine Isoleuclne 図7 糖質,脂質,アミノ酸相互転換

2

のような変化を示した.すなわち,

HD

患児では

TAA

が 正 常 範 囲 ま で 上 昇 し た に も か か わ ら ず

EAA/NEAA

比 お よ び

V

a

l

i

n

e

/

G

l

y

c

i

n

e

比は改善 されず,摂取蛋白量に比例しない結果であった. 言い換えれば,小児期の

CRF

において栄養指導 により摂取蛋白量の増加をはかり,たとえ血奨中 の

TAA

を 増 加 さ せ る こ と が で き た と し て も

EAA

の増加よりむしろ

NEAA

の増加が著しく, これらの比を改善させることはできないと考えら れた.その原因について考えるならば,摂取され た

EAA

量が患児に必要な

EAA

量より不足する た め に 生 ず る も の な の か , あ る い は

EAA

から

NEAA

への反応が充進するために生ずる現象な のか明確ではない.もし前者の要因によるとする ならば,たとえ

TAA

が 上 昇 し て も , す べ て の

EAA

は上昇しないと考えられる.しかしながら, 表 1に示したように

TAA

の上昇とともにほとん どの

EAA

が正常範囲内にまで上昇したにもかか わらず,

V

a

l

i

n

e

L

e

u

c

i

n

e

および

T

r

y

p

t

o

p

h

a

n

が依 然として低値を示したままであった. そこで,著明な低値が持続する

V

a

l

i

n

e

および -487

L

e

u

c

i

n

e

に注目し,それぞれアミノ酸の代謝をみ る目的で,その母体となるケト酸

KIVA

および

KICA

との兼ね合いを検討し,

CRF

および

HD

患 児におけるアミノ酸とケト酸との相互関係につい て考察を加えてみた. なお,比較対照として

I

s

o

l

e

u

c

i

n

e

と対応するケ ト酸

KMVA

との兼ね合いについても検討した. 1.血袈ケ卜酸濃度 ガスクロマトグラフィー(以下

GC

と略す〉によ る血奨ケト酸濃度測定は,

1

9

5

4

Langenbeck

ら23)により小児の楓糖尿症において測定されたの が 最 初 で あ る . 彼 ら の 方 法 はαーケト酸類に

0

-p

h

e

n

y

l

e

n

e

d

i

a

m

i

n

e

を縮合させ,キノキサリノン 誘導体とし,

n

i

t

r

o

g

e

n

-

s

e

l

e

c

t

i

v

e

d

e

t

e

c

t

o

r

を用い

GC

にて測定したものである.著者の方法も α・ケ ト酸類をキノキサリノン誘導体として測定するこ とに変わりはないが,

O

-

p

h

e

n

y

l

e

n

e

d

i

a

m

i

n

e

と反 応させる温度と時聞が異なり,

Langenbeck

らは 70.C, 60分であるのに対し著者は90.C,80分で行 な っ て い る . さ ら に 著 者 は 蛍 光 検 出 器 を 用 い

HPLC

にて測定した点でも異なり,結果として筒

(10)

単で短時間に良好なクロマトグラムが得られた. 1979年Shauderらは24l25lLangenbeckらの方法 を用い健康成人, CRA患者およびHD施行者を 対象として早朝空腹時採血した血奨ケト酸濃度を 測定し,報告している.その結果によれば,Control 群 で はKIVA12.9

:

t

2. Onmol/ml, KICA33.5

:

t

8.2nmol/ml, KMV A22. 7

:

t

4. 6nmol/mlで あ る のに対し, CRF群 で は そ れ ぞ れ8.9

:

t

2. 7nmol/ ml

18.7

:

t

5. 4nmol/ml

9.2

:

t

3. 6nmol/mlで あ り , HD群ではそれぞれ7.9

:

t

1

.

3nmol/ml,12.0

:

t

2. 7nmol/ml, 4.6士1.4nmol/mlを示し,すべての ケト酸がCRF群およびHD群において著明に低 下すると述べている.また, これらのケト酸は血 清グレアチニン値および尿素窒素値と負の相関を 示し CRFの程度を反映すると述べている.さら にケト酸の蛋白結合能について KIVAは低く, KICAおよびKMVAでは高いため, HDにより 損失されることを示した.そしてCRF患者およ びHD患者に対し,低下したケト酸や損失される ケト酸を補う必要があると報告している.しかし な が ら 著 者 の 成 績 で は 彼 ら の 結 果 と 比 較 し て KIVAが高値を示し, KICAおよびKMVAが低 値を示した.この相違が測定法の差によるものか, あるいは年齢差や患児の摂取カロリー量および蛋 白量の差によるものか明確ではない.著者の症例 でもとくにTAAが著明に低下した状態では 3 種のケト酸とも Control群と比較してCRF(B) 群およびHD群において著明に低下していたが, 栄養指導により TAAを上昇させた状態ではむし ろ上昇していた.さらに3種のケト酸と血清クレ アチニン値および尿素窒素値との間で相関は認め られなかった事実から推測すると,摂取蛋白量の 差によるものと考えている.また3種のケト酸に おける蛋白結合能の差を考慮すると,対象症例の 蛋白結合能の差も要因のーっと考えている. 2.アミノ酸とケト酸 血奨アミノ酸値と血奨ケト酸値およびアミノ 酸/ケト酸比をみることで両者の聞の反応経路が 合成に傾くか,または分解に傾くかを検討できる と考え 4群間で比較した. HD群 お よ びCRF(B)群 で はControl群 に 比 し血葉Valine値は著明に低下していたが,血奨 KIVA値 は 増 加 傾 向 を 示 し , と く にHD群 で V aline/KIV A比は著明に低下していた.Valine およびKIVAの透析クりアランスは表5に示し たごとく有意差を認めなかったことを考慮すれ ば, ValineとKIVAとの間でみられる合成また は分解反応では, Control群およびCRF(A)群に おいて合成反応が優位であるのに対し, HD群お よびCRF(B)群においては分解反応が優位であ ると考えられた. LeucineとKIVAとの聞も ValineとKICAの 関係と同様な傾向を示し,透析クリアランスも LeucineとKICAとの間で有意差はなく〔表5,) やはり HD群でより分解反応が優位と考えられ た 血奨Isoleucine値はCRF(B)群およびHD群 で 低 下 傾 向 を 示 し た が 有 意 差 は な く , 血 奨 KMVA値 で も 同 様 で あ り , し た が っ て Isoleucine/KMV A比にも差はなく Isoleucineと KMVAとの間の反応経路では各群間で差がない と考えられた. 3. TAAとアミノ酸/ケ卜酸比の相関 TAAが2500μmol/L以 下 の 状 態 に お け る V aline/KIV A比 お よ びLeucine/KICA比は, Control群と比較して HD群の方が大であった. 逆 にTAAが 増 加 し た 状 態 で はValine/KIV A 比, Leucine/KICA比はともにControl群と比べ て

HD

群において小であった.すなわち,

HD

患 児 に お け るValine... KIV Aお よ びLeucine... KICAの反応経路は, TAAが低下すれば合成反 応が優位となり,栄養指導により TAAが増加す れば分解反応が優位になると考えられた.した がって,アミノ酸合成についてValine/KIV A比, Leucine/KICA比から考慮すれば, Control群と 同じ比率を得るためにはTAAをかなり低下させ な け れ ば な ら ず , と く にValine/KIV A比 で は TAAを2,000-2,500μmol/L以下にする必要が あると思われた.一方,Isoleucine/KMV A比にお いて 3群とも正の相関を示し,勾配係数は Con-trol群より HD群で大きかった.言い換えると, TAAを上昇させることでアミノ酸合成をより優 488ー

(11)

位にできるものと考えられる.

Valine +--+ KIV A, Leucine +--+ KICA, Isoleucine +--+KMVAと の 聞 の 可 逆 的 な 反 応 はtran -saminase B ~こより触媒される.しかし 3 種のア ミノ酸と対応するケト酸との間で合成反応を優位 にするためには, Valine +--+ KIV A, Leucine +--+ KICAでTAAを低下させ,Isoleucine +--+ KMV A でTAAを増加させなければならない.このよう な相違が出現する原因として酵素の基質特異性に 差があるのか,あるいは酵素反応系をblockする ものが尿毒症と言う病態で出現しているのかは不 明であり,今後検討を要すると考えている.

4

.

腎移植前後のアミノ酸とケト酸の推移 拒絶反応を予防する目的で,移植後大量の免疫 抑制剤やステロイド剤が投与されるため,代謝経 路は複雑化し,単純に代謝病態を明確にすること はできない 一般に,身長および体重の増加について移植前 後で比較すると,一部の症例で移植後に身長,体 重とも急速な改善が認められるとされている.そ こで血奨アミノ酸とケト酸の経時的推移を腎移植 前後において比較してみた.著者の結果では,腎 移植後全例で摂取カロリーや蛋白量が増加したに もかかわらずTAAの低下がみられ,腎移植後腎 機能が改善して 1カ月後にはEAA/NEAA比お よびアミノ酸/ケト酸比の正常化が認められた.こ れらはステロイドの影響もさることながら,蛋 白・アミノ酸代謝が腎機能の正常化とともに患者 の成長・発育の因子として活用し始めたことを示 すと推測される.一方,慢性拒絶反応例でみられ たように,腎移植後一度は正常化したものの, Ccr が20ml/min以下になり再びアミノ酸/ケト酸比 の低下が認められたことを考慮すれば,腎移植前 にみられたアミノ酸/ケト酸比の異常は摂取カロ リー量および蛋白量の低下ばかりではなく,尿毒 症の病態そのものによると考えられる.したがっ て,CRF 患児にみられるアミノ酸代謝異常は可逆 性であり,早期に腎移植が行なわれることが望ま しいと考えられる.

5

.

アミノ酸療法およびケト酸療法について CRF患者およびHD患者に対するアミノ酸製 剤の経口投与や経静脈投与は, 1963年Giordand6) により施行されて以来盛んに行なわれるようにな り,現在までに数多く報告されている.しかしな がら治療効果については,いまだ統ーした見解も なく,また評価もさまざまである.成人領域にお ける報告では,長期間の低蛋白食による栄養障害 や透析液中のアミノ酸漏出などにより血中アミノ 酸は低下し,体蛋白合成低下をきたすと言われて いる.そのため摂取不足や損失されるアミノ酸を exogenousに投与することで体重増加,貧血の改 善,アミノ酸パターンの改善および窒素平衡の改 善などが認められ,有効とする報告も多¥, ,27)-30) しかし, Robertら31)は小児期CRFに摂取蛋白量 を制限しながらアミノ酸療法を長期間つづけてみ たが,長期効果としては有効と言えず,本治療に 限界があるとしている.また, Counahanら叫 t土半 年間経口 EAA療法を行ない,治療後Methionine の異常な上昇(正常値の約2倍〉と Isoleucineの 正 常 下 限 値 ま で の 改 善 を 認 め た だ け で , 他 の EAAおよびNEAAについては治療前と変わら なかった.すなわち,多くのEAAを改善させるこ とができないばかりでなく,高メチオニン血症を 新たに作りだしてしまう結果となり,かえって有 害であると述べている.さらに,Kluthら矧t土成人 で特殊な添加アミノ酸を投与したが,アミノ酸パ ターンを改善で、きず,永続的な効果は生物価の高 い蛋白質を主体に十分なカロリーを摂取する従来 の食事療法により得られる改善と比較して著しい 差がなかったと報告している.伊藤は12)小児の場 合, HD による体重あたりの血奨アミノ酸損失量 は成人と比べて大きく,アミノ酸プールが小さい ことを指摘するとともに,十分な栄養管理により 血奨アミノ酸レベルを上昇させることは可能であ り,必ずしもアミノ酸投与は必要で、ないと報告し ている.著者も HD5例に対し総合アミノ酸製剤 を 投 与 し た が , EAA/NEAA比 お よ び Phenylalanine/Tyrosine比などアミノ酸パター ンは改善されないばかりでなく,栄養指導後にみ られた変化と比較すると Methionineの異常高値 が認められた(表1, 表2入この結果から,著者 もCounahanら同様, exogenous fこアミノ酸を投

(12)

-489-与することにより新しい代謝異常をひきおこす危 険性があると考えている. 成人領域でで、は, 1凹97河5年Wa叫1s町er♂3 法の有効性が報告されてから,一部で単独または アミノ酸療法との併用が行なわれるようになっ た.EAAのα位アミノ基をケト基に置換された ketoana1ogue~こ内因性窒素が取りこまれ EAA を合成することで,高窒素血症の改善およびアミ ノ 酸 パ タ ー ン の 改 善 を 期 待 し た 療 法 で あ る . Schauderら24)はLeucineのketoana1ogueで あ るKICAを経口負荷したところ,投与30分後に KICAのピークが出現し,以後急速に減少するの に対し, LeucineはKICA投与60分後にピークを もち,以後減少することを報告した.また,荒井町 はValineのketoana1ogueである KIVAを経口 負荷すると,投与30分 後 にKIVAはピークを示 し,以後徐々に下降するが, ValineはKIVA投与 後速かに上昇し, 120分後にp1ateauを示したと述 べている.一方, Heckingら36)は, CRF患者に対 し低蛋白食に加えて5種類の ketoana1ogueおよ び4種類のEAAを投与し,厳重な低蛋白制限下 でない限りケト酸療法は不必要であると報告して いる.Kampfら37)はCcrが10ml/min以 下 の CRF患者に対し,低蛋白食 (25g/日〉に加えて ketoana1ogueを投与することで,尿毒症状および 栄養状態の改善が得られたが, Ccrが10ml/min 以上のCRF患者で・は無効で、あったと報告してい る.また, Frohlingら38)はCRF患者に対し,低蛋 白食に加えて,ケト酸療法施行群と EAA療法施 行群とを比較し,前者でカルシウムやりン代謝お よび窒素バランスの改善が認められ,また2群間 でbaseexessの経過をみると,ケト酸療法群より むしろEAA療法群でアシドーシスが強かったと 報告している.Mitchら制は20-25g/日の低蛋白 食に加えてケト酸およびアミノ酸の混合栄養を長 期間行なうことで, HD導入前高度腎不全患者の protein nutritionを改善,または維持できると報 告した.以上のごとく, CRF患者におけるケト酸 療法の効果に関する報告は,低蛋白状態にしては じめて有効性を発揮するものであり,十分な蛋白 量が経口投与されているならば,ketoana1ogueか らアミノ酸への転化は必ずしも円滑に進行すると は考えられていない.すなわち,著者の成績から 考慮しても,アミノ酸とケト酸の相互関係は, TAAが一定濃度以下に低下したとき,はじめて ケト酸からアミノ酸への合成反応が促進されるで あろうという結果であった.とくにValineおよ びLeucineにあっては, TAAが2,000-2,500μ mol/L になり,はじめてアミノ酸とケト酸の反応 系がアミノ酸合成へ転換される結果で、あった.し たがって, CRF思 児 に 対 す る 過 量 でexogenous なアミノ酸療法は,必ずしも患児の栄養面の改善 にとって有意義なものとは考えられず,むしろア ミノ酸療法がアシドーシスを増悪させる加担因子 になりかねないことも念頭におき,長期治療を行 なうことが必要と考えられた.また,ケト酸療法 についても,蛋白代謝の維持およひ、改善のために 摂取蛋白量を制限し,ケト酸からアミノ酸への反 応系を促進させることができたとしても,小児期 の成長・発育を考慮すれば,長期にわたる蛋白制 限がその基盤にあるため,必ずしも適切な治療法 と 考 え 難 い . さ ら に , 現 在 治 験 さ れ て い る ketoana1ogueは非常に悪臭が強く,小児にとって 経口摂取が容易でないことも一考されなければな らない問題と考えている.いずれにしろ, CRF患 児に対するアミノ酸およびケト酸療法は一過性の 近接的治療効果が望めるからといって,長期にわ たる場合には,総合的にみてさまざまな二次的代 謝障害の起因ともなりかねないため,注意深く臨 床経過を観察するとともに,適切な治療効果指標 を決定し,継続すべきであると考えている. 総括と結語 以上,CRF患児における血中アミノ酸およびケ ト酸動態について結果をまとめると,次のごとく である. 1)盛光検出器を用いHPLCにて血奨ケト酸濃 度測定を行なったが,従来用いられた GC法より 簡単で感度もよく,短時間に明確な分析結果が得 られた.また回収率も良好で,臨床的にも十分応 用できる検査法と考えられた. 2)低下した血奨アミノ酸値は十分な栄養指導 を行なうことでValine,Leucineを除いて正常化 -490ー

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す る こ と が で き た . し か し , ア ミ ノ 酸 療 法 を 行 な っ て も Valine,Leucineの 正 常 化 は み ら れ な か っ た

3) Valine, LeucineはTAAが2,000-2,500 μmol/L以 下 に 低 下 し た と き , ア ミ ノ 酸 合 成 が 促 進 さ れ る と 考 え ら れ た . 4) V aline/KIV A比, Leucine/KICA比 お よ び Isoleucine/KMV A比の低下は, Ccrが20ml/min 以 下 に 低 下 し た と き 認 め ら れ た . 5)ア ミ ノ 酸 療 法 に よ り 低 下 し た 血 葉 ア ミ ノ 酸 値 は す べ て 正 常 化 し な い ば か り で な く , 高 メ チ オ ニ ン 血 症 の よ う な 新 し い 代 謝 異 常 を ひ き お こ す 可 能 性 が あ り , 注 意 が 必 要 で あ る . ま た , ケ ト 酸 療 法 に お い て は 蛋 白 制 限 が 必 須 条 件 な の で , 小 児 の 成 長 ・ 発 育 を 考 慮 す れ ば , 適 切 な 治 療 法 と は 考 え 難 か っ た . 稿を終わるに当り,御指導と御校聞を賜わった伊藤 克己教授に深謝いたします.また実験に御協力をいた だいた小松君好氏に御礼申し上げます. 文 献

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表 1 血液透析児に対し栄養指導前後および総合アミノ酸製剤負荷前後における EAA の変化 栄養指導Cn=1 0 )  総合アミノ酸製剤負荷Cn=5) C o n t r o l  前 後 前 後 L y s i n e  1 7 2
表 5 アミノ酸およびケト酸の透析クリアランス Va Ii ne  KIVA  L e u c i n e  A.T  6 6 . 6  7 7 . 8  5 8 . 7  T. S  6 9

参照

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