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[報文]埼玉県環境科学国際センターにおける国際環境協力への取組み

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<報

文>

埼玉県環境科学国際センターにおける

国際環境協力への取組み

細 野 繁 雄

**

・星 野 弘 志

** キーワード ①地方環境研究所 ②国際環境協力 ③交流実績 ④実施の視点 埼玉県環境科学国際センターは,環境科学の総合的中核機関として2000年(平成12年) 月日に設立され,環境面での国際的な連携が機能のつ(国際貢献機能)として位置づけ られている。開設当初は,研修員の受入れがほとんどであり,現在も開発途上国の人材育 成や技術移転を目的に研修員を受入れている。一方,海外機関との交流が深まるにつれ て,共同研究を主体とした事業へと移行してきており,中国・韓国を交えた越境大気汚染 に関する共同研究などに繋がっている。ここでは,設立後15年目を迎えた埼玉県環境科学 国際センターが,これまでに取り組んできた国際環境協力の概要を紹介し,地方環境研究 所が国際協力に携わる視点について改めて思索した。 は じ め に 今日の地球環境問題の解決には,地方自治体も 国際社会の一員として,その技術と経験を開発途 上国と共有する必要があり,この認識に立った貢 献を通じて地球規模の環境保全に寄与することが 求められている。環境基本法では,第34条第項 において,“地方公共団体による活動を促進する ため,地球環境保全等に関する国際協力を推進す る上で地方公共団体が果たす役割の重要性に鑑 み,国は,地方公共団体による地球環境保全等に 関する国際協力のための活動の促進を図るため, 情報の提供その他の必要な措置を講ずるように努 める” ことが規定されている。また,自治省(現 総務省)は,国際化の進展に伴い地方公共団体に よる国際交流を質・量ともに向上させることが求 められているとして,昭和62年月に「地方公共 団体における国際交流の在り方に関する指針」1) を提示している。この中で,地方公共団体が行う 国際交流事業の意義について,“世界に開かれた 地域社会づくりを推進し,地域の活性化を図って いくことに位置づけるべきである” とし,住民の 国際認識・理解の養成,地域イメージの高揚,地 域アイデンティティの確立などを,国際交流事業 の視点として掲げている。また,「地方財政の見 通し・その他留意事項について」2)においても, 地域の実情に応じた国際化推進対策費(外国青年 招致事業を含む。)が計上され,地方交付税による 措置が講じられている。 その一方で,地方自治法では,国際協力を自治 体の事務と明記しておらず,地元との直接的なつ ながりが見えにくく地方自治体の財政状況も厳し い中で,海外の環境問題のために自らの資金や人 材を提供することに対する抵抗感も大きい。この ため,住民に身近な行政サービスを提供する役割

The Activities of Center for Environmental Science in Saitama (CESS) to International Cooperation on the

Environment

**Shigeo H

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を担う地方自治体が国際協力することの意義につ いて,充分に説得力を持った説明をすることは容 易なことではない3) 埼玉県環境科学国際センター(以下,センター) は,1970年に設置された従来の埼玉県公害セン ターを発展的に改組し,2000年に開設した。環境 問題が複雑化,多様化するなか,従来の試験研究 を環境全般に拡大するとともに,環境学習,環境 情報の他,環境面で国際的に連携することを機能 の1つ(国際貢献機能)と位置づけ,敷地内に宿泊 室9室,食堂およびランドリー各1室を完備した宿 泊施設を整備して,海外から研修生や研究員を受 入れている。開設当時,既に北九州市や四日市市 などでは,激甚な公害問題を経験し克服するなか で得た経験と技術を,途上国の公害問題の解決に 役立てることを地域のアイデンティティの一つに 位置付け,専門機関を設置して国際環境協力に取 り組み始めていた。途上国の公害問題を含め地球 環境問題への積極的な対応が求められる状況の 中,そのような歴史や地域のアイデンティティの ない埼玉において,環境行政を県政の重要な柱の つに位置づけ,その具現化の一例として,試験 研究機関であるセンターの機能を生かした埼玉ら しい国際環境協力を進めていくこととなった。 ここでは,センターが開設以来取り組んできた 国際環境協力を概括するとともに,地方環境研究 所が国際協力に携わることの視点についても改め て思索した。 1. 交 流 実 績 センターが開所された平成12年度(2000年度)か ら,平成24年度(2012年度)までの国際環境協力に ついて,交流実績の推移を紹介する。 1.1 研究交流協定等の締結 自治体が独自に国際協力を進めるためには,開 発途上国におけるカウンターパートを見つけるこ とが必要となる。一般的には,姉妹都市・州県の 機関がカウンターパートとなることが多く,本県 も姉妹州県である中国山西省環境保護庁と協力協 定を結び,前身の公害センター当時から研修生の 受け入れなどを行ってきている。これに加え,研 究所という立場から,途上国の研究所や大学など と研究交流協定等を締結し,この協定等を基に協 力事業や共同研究を展開している。 研究交流協定は,平成12年月にタイの環境研 究研修センター(ERTC)と締結したことに始ま り,以降,現在までに16機関と協定を締結してい る(表 1)。国別では,中国が10機関,韓国が機 関,タイが1機関となっている。また,機関別で は,政府系の試験研究機関と大学が,それぞれ 機関と同数を占めている。なお,平成26年度に は,ベトナム環境技術研究所(IET)と交流協定を 締結する予定である。 1.2 受 センターが,海外から受け入れた件数および研 究員数の推移を,図 1 に示す。 平成12年度に件( 人)であった受入実績が, 平成24年度には14件(33人)と件数,人数ともに 倍以上に増加した。このことは,中国からの受け 入れが,平成12年度の件(人)から,平成24年 度には圧倒的多数を占める12件(27人)にまで増加 したことによる。一方で,韓国からは,平成21年 度に件(人)を記録して以降,年件の受け入 れに止まっており,タイに至っては,平成14年度 に件( 人)を受け入れたが,ここ数年は受入実 績が見られない。 この集計には他機関が受け入れ,センターを会 場に実施した集団研修や,視察のためにセンター 報 文 【T:】Edianserver /環境コミュニケーションズ/全国環境研会誌/ /第39巻第4号(通巻第133号)/(報文)埼玉県(細野・星野)

186 中国 韓国 中国 慶北地域環境技術開発センター 締 結 年 月 平成21年月 吉林省農業科学院 農業環境与資源研究中心 表 1 研究交流協定等締結機関の一覧 北京市環境科学研究院 平成12年 月 環境研究研修センター(ERTC) 平成12年月 機 関 タイ 中国 国 韓国 中国 韓国 済州地域環境技術開発センター 平成19年月 山西大学 環境資源学院 平成16年月 済州大学 海洋環境研究所 平成15年12月 上海交通大学 環境科学与工程学院 平成15年11月 延世大学 保健科学部 平成15年月 大田市保健環境研究院 平成13年月 中国科学院生態研究中心 平成12年 月 山西農業大学 資源環境学院 平成21年月 東南大学 能源与環境学院 能源与環境学院 平成20年12月 遼寧大学 環境学院 平成20年11月 平成14年月 上海大学 環境与化学工程学院 平成20年月 山西省生態環境研究中心 平成22年12月

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を訪問したものが含まれていない。これらを含め た場合には,受入件数(人数)は,平成12年度の12 件(60人)から平成24年度には23件(85人)を数え, 東アジアを含むさまざまな地域から来訪者を受け 入れている。 1.3 派 海外の試験研究機関,大学,国際学会にセン ターの研究員を派遣した件数および派遣人数を集 計して図 2 に示す。一般的に国際学会への参加は 国際協力とはいえないが,一部が国際環境協力事 業に関連しているため,ここでは国際学会への参 加を全て含めて集計した。 平成12年度から19年度まで,件数,人数ともに 増減を繰り返しながらもほぼ同数で推移したが, 平成20年以降に急激な増加が見られている。平成 20年度には,中国およびタイを対象国とした県独 自の事業 “環境国際貢献プロジェクト” の事前調 査が行われ平成21年度から開始されたことから, 同事業の実施地域となった中国の上海市および山 西省,タイのサラブリ県へ研究員を派遣する機会 が増加した。これを契機とするように,埼玉県と 友好協定を結んでいる山西省の研究機関や省内の 大学を中心とした事業が以降も継続されたため, 同事業の終了後も中国への派遣が多数を維持した ままで推移した。さらに,平成21年度からは国際 学会における研究発表などのため,アメリカ合衆 国や台湾などの他地域への派遣も増加した。 2. 交流事業の実施例 ここでは,これまでにセンターが実施してきた 交流事業から,平成20年度の予備調査を経て平成 21,22年度に実施した環境国際貢献プロジェクト の中から “揚子江デルタの有害化学物質調査事 業”,中国科学技術協会の要請を受けて平成22年 ※ドイツ,メキシコ,ハンガリー,アメリカ 注:他機関の受入による集団研修および視察を除く 図 1 海外からの受入れ実績((a):件数、(b):人数)      ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ʴૠ ᶝʴ ᶞ ˂è ᪡׎ ǿǤ ɶ׎ Ტ᳜Უ Ტ᳜Უ     ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ˑૠ ᶝˑ ᶞ Ტ᳛Უ Ტ᳛Უ ※アメリカ,スリランカ,中華民国,バングラディシュ等16カ国 図 2 海外への派遣実績((a):件数,(b):人数)       ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ˑૠ ᶝˑ ᶞ       ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ࠯঺ ࠰ࡇ ʴૠ ᶝʴ ᶞ ˂è ᪡׎ ǿǤ ɶ׎ Ტ᳛Უ Ტ᳛Უ Ტ᳜ᲣᲢ᳜Უ

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度から実施している “環境技術セミナー” の例 について概要を紹介する。いずれも事業終了後に は報告書を作成し,事業実施の成果,実施上の課 題等を総括している。 2.1 揚子江デルタの有害化学物質調査事業 蘇州河を対象に上海大学をカウンターパートと して実施した。太湖を水源とする蘇州河は,上海 地域で最も重要な河川の1つであり,1950年以降 の大量の工場排水の流入によって水質が悪化して いた。このため,1998年から15年間(期年間 の事業を期)にわたり,蘇州河総合対策事業が 実施されている。蘇州河本川(19地点),流入水路 (地点)および蘇州河が合流した直後の黄浦江 (地点)において,日本から持参したエクマン バージ型採泥器により底質試料を採取(図 3)し た。採取試料は,一部,植物防疫に係る輸入禁止 品の輸入許可を得て国内に輸入後,内分泌かく乱 化学物質(ノニルフェノール,4-t-オクチルフェ ノールおよびビスフェノール-A)およびダイオキ シン類を測定し,有害化学物質による汚染のレベ ルおよび汚染の特徴を把握した。2カ年にわたっ た事業の成果は,国内の学会で同事業を担当した 当所の研究員が発表4,5)した他,上海大学が国内 学会誌に投稿し,論文6)として掲載された。 今でこそ多くの事業を協働して実施している が,この事業が上海大学をカウンターパートとし た初の事業であった。この事業の実施までに紆余 曲折があり実施が危ぶまれる事態に至った時期が あったが,双方担当者の意志と信頼によって,何 とか目標とした事業の実施に漕ぎ着けることがで きた。国際交流事業では面談して打ち合せる機会 が限られる上,言葉の壁やお国柄の違いなど,相 互の考えを確認し一致させることが容易ではな い。カウンターパートの選択とともに限られた機 会の中で相互の信頼関係を如何に醸成するかが, 事業の成否を左右する重要な課題である。 2.2 環境技術セミナー 日本の技術や制度を途上国へ移転するとともに 県内・国内企業の環境ビジネスを展開する足がか りとすることを目的に,平成22年度から中国環境 技術セミナー(日中環境技術交流会)を実施してい る。この事業は中国科学技術協会の要請を受けて 実施しているもので,これまでに吉林省(平成22 年),貴州省(平成23年),浙江省(平成25年)注 お い て,中 国 の 企 業 や 行 政 関 係 者 ら,毎 回 150〜200名ほどの参加を得て開催している。セミ ナーでは,当所の研究員による日本の水処理技術 や制度に関する講義や同行した日本企業によるプ レゼンテーションの他,展示会・技術交流会(図 4),ビジネス交流会を開催している。実際の商談 に結びつくといった成果も見られており,官民の 連携による技術協力がビジネスに結びついている 事例である。 報 文 【T:】Edianserver /環境コミュニケーションズ/全国環境研会誌/ /第39巻第4号(通巻第133号)/(報文)埼玉県(細野・星野)

188 注平成24年は四川省で開催を予定していたが,日中間の国際情勢の悪化によって中止となった。 図 3 エクマンバージによる河川底質採取方法の現地指 導(蘇州河) 図 4 企業展示会の風景(吉林省長春市)

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3. 地方自治体が国際協力を実施する視点 3.1 わが国は国際協力を行うべきか 内閣府では毎年,外交に関する世論調査を実施 しており,1977年から2011年まで「わが国は経済 協力を行うべきか」という調査7)を行っている。 これによれば,大まかな傾向として「なるべく少 なくすべき」あるいは「やめるべき」という回答 の増加が見られるものの,依然として70%前後は 「積極的に進めるべき」あるいは「現在の程度で よい」と回答しており,経済協力への支持はある 程度大きいことが伺える(図 5)。 外交に関する世論調査では,「経済協力を進め る理由」あるいは「政府開発援助を実施する観点」 という設問も設けている。そこで,直近の平成25 年10月とその10年前の平成16年10月の調査結果を 比較した(図 6)。アンケートは内閣府側が設定し た選択肢を複数選ぶもので,選択肢は平成16年と 平成25年では設問に若干の違いはあるものの,い 出典) 外交に関する世論調査 図 5 わが国は経済協力を行うべきか 出典) 外交に関する世論調査7)から作成 図 6 政府開発援助を実施する観点 0 20 40 60 80 100 2011 ᖺ 10 ᭶ 2010 ᖺ 10 ᭶ 2009 ᖺ 10 ᭶ 2008 ᖺ 10 ᭶ 2007 ᖺ 10 ᭶ 2006 ᖺ 10 ᭶ 2005 ᖺ 10 ᭶ 2004 ᖺ 10 ᭶ 2003 ᖺ 10 ᭶ 2002 ᖺ 10 ᭶ 2001 ᖺ 10 ᭶ 2000 ᖺ 10 ᭶ 1999 ᖺ 10 ᭶ 1998 ᖺ 10 ᭶ 1997 ᖺ 10 ᭶ 1996 ᖺ 10 ᭶ 1995 ᖺ 10 ᭶ 1994 ᖺ 10 ᭶ 1993 ᖺ 10 ᭶ 1992 ᖺ 10 ᭶ 1991 ᖺ 10 ᭶ 1990 ᖺ 10 ᭶ 1989 ᖺ 10 ᭶ 1988 ᖺ 10 ᭶ 1987 ᖺ 10 ᭶ 1986 ᖺ 6᭶ 1985 ᖺ 6᭶ 1984 ᖺ 6᭶ 1983 ᖺ 6᭶ 1982 ᖺ 6᭶ 1981 ᖺ 5᭶ 1980 ᖺ 5᭶ 1979 ᖺ 8᭶ 1978 ᖺ 8᭶ 1977 ᖺ 8᭶ 䜟䛛䜙䛺䛔 䜔䜑䜛䜉䛝䛰 䛺䜛䜉䛟ᑡ䛺䛟䛩 䜉䛝䛰 ⌧ᅾ⛬ᗘ䛷䜘䛔 ✚ᴟⓗ䛻㐍䜑䜛 䜉䛝䛰 䠄䠂䠅䠄䠂 䠅 0 10 20 30 40 50 60 70 䐟ᅜ㝿♫఍䛾Ᏻᐃ䛸ಙ㢗䛾☜ಖ 䐠ே㐨ୖ䛾⩏ົ 䐡ᢏ⾡䞉⤒㦂䛾ά⏝ 䐢㈠᫆㯮Ꮠ䛾㑏ඖ 䐣኱㟈⅏ᨭ᥼䛾ᜠ㏉䛧 䐤እ஺ᡭẁ 䐥᪥ᮏ䛾⤒῭Ⓨᒎ䛾䛯䜑 䐦䜶䝛䝹䜼䞊㈨※➼Ᏻᐃ౪⤥☜ಖ 䐧ᅜ㝿ⓗᆅ఩䛾☜ಖ 䐨ᐇ᪋཯ᑐ 䐩䛭䛾௚ 䐪≉䛻䛺䛔䞉䜟䛛䜙䛺䛔 ㈐ົឤⓗ⌮⏤ ຌ฼ⓗ⌮⏤ 䛭䛾௚ ᖹᡂ16ᖺᗘ ᖹᡂ25ᖺᗘ (%)

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ずれも つ理由が掲げられている。これらを大き く区分すれば,①〜⑤のように,国際社会での日 本の立場や人道的な理由などから一種の責務とし て実施するというもの(「責務感的理由」とする) と,⑥〜⑨にように,経済や資源確保などの面で 日本に何らかの利益があるからというもの(「功利 的理由」とする)のつに区分される。平成25年 では①国際社会の安定と日本の信頼確保や②人道 上の義務,といった責務感的理由が大きくポイン トを落とすなか,⑧エネルギー資源等安定供給確 保や⑦日本の経済発展のため,といった功利的理 由がポイントを伸ばしている。また,東日本大震 災を経験したことにより,責務感的理由のなかで も新たに選択肢に加えられた⑤大震災支援への恩 返しや,功利的理由では⑧エネルギー資源等安定 供給確保の伸びがとくに大きい。全体的に見れば 優先度に変化はあるものの,国際協力の実施は多 様な理由によって国民から支持されていると考え られる。 次に国際協力のうち環境分野に限定した場合, 上記の国際協力を行う理由のうち,環境分野に特 徴的なのは「③技術と経験の活用」である。わが 国が経済発展の過程で経験し,克服してきた公害 問題に関する技術と経験を,現在,経済発展の途 上で同様の問題を抱えている途上国に技術移転す ることにより,より効果的に早期に途上国の公害 問題の解決を図ることができるというものであ る。できれば,四大公害病のような深刻な事態を 未然に防ぎ,日本と同じ失敗を二度と繰り返えさ せないという視点でもある。環境分野について は,こうした理由のほかに功利的理由も含めより 具体的な理由が考えうる。なかでも温暖化対策に おける CDM のように,途上国での対策が日本の 削減量として認められるものは実施のメリットが 明らかである。また越境大気汚染の問題では,た とえば,中国の大気汚染の改善を支援することが 日本の大気環境の改善に繋がるかどうかは,実際 には当該事業の規模や時間軸から考えて明らかに することは難しいものの,理屈上では理解しやす い。一方,たとえば途上国の水質汚濁問題の解決 への支援などの国際環境協力では,いかに具体的 に結びつくかを考えてその実施内容を検討する必 要があろう。 国際協力は “なぜ” という理由が明らかでない からやらないというのではなく,時代や地域の要 請を踏まえ,その理由や目的が明らかになるよう に事業を構築していくべきであると考える。 3.2 なぜ,自治体が国際協力を行うのか 主として国際協力が外交手段として考えられて いる時代は,外交は国の専担的事項であるとの考 えから,地方自治体は姉妹都市,姉妹州県などの 提携を中心とした国際交流のみに参画するものと 考えられていたと思われ,実際,地方自治法にも 国際協力を行う根拠となる条文はない。 一方,経済,文化のグローバル化や地球環境問 題の顕在化に伴い,地方自治体の国際協力が各地 で活発化し,また,途上国等で求められる支援も 多様化してきたことなどから,政府は ODA 大 綱8)のなかで自治体との連携を謳うようになっ た。環境分野については,前述のとおり,地方公 共団体による地球環境保全等に関する国際協力の ための活動の促進を図ることが,環境基本法第34 条に規定されている。 こうした規定などを待つまでもなく,本来,政 府,自治体,住民(企業を含む)は社会の基本的な 3つの構成主体である。これらの構成主体が国際 協力という課題に対しても,それぞれの理由・動 機に基づいて,役割と特性を踏まえて分担してい くことが自然であるといえないだろうか。住民が 望む国際協力のうち,住民ができないものを自治 体または政府が行い,一方,政府が実施すべきと 思われる国際協力のうち政府ができない,あるい は政府が行うよりも他にふさわしい主体があるも のについては自治体または住民が実施するという 補完の考え方である。その中で自治体にふさわし いものとして,国際環境協力がその典型例ではな いだろうか。 自治体が行うのにふさわしい国際協力として, 国際環境協力を挙げることができるのは,やはり 「途上国の公害問題等を解決する技術や経験が自 治体にあるから」という理由が大きい。わが国の 公害問題の解決は,公害防止に対する住民の意識 と理解の増大という流れのなかで,国,自治体, 企業のそれぞれの努力によってなされものであ る。なかでも問題が発生した現場の自治体のイニ シアティブが顕著であった。とくに,公害関係法 報 文 【T:】Edianserver /環境コミュニケーションズ/全国環境研会誌/ /第39巻第4号(通巻第133号)/(報文)埼玉県(細野・星野)

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令が整備されるなか,環境汚染の実態を調査し発 生源を直接指導しながら規制を実効あるものにし たのは自治体である。今途上国では,まさに環境 対策の実践や環境汚染防止の社会システムの運営 に関するノウハウと経験が不足しており,わが国 自治体の技術と経験が求められている。もちろん 個別の対策技術のノウハウは主に民間にあること から,途上国の技術支援において自治体と民間と の連携も重要である。 しかし,単に自治体には「技術と経験がある」 からという理由だけであれば,貴重な税金と人材 を使って,自治体が独自に国際環境協力を実施す ることに対する理解は得られにくい。国際協力は 国の責務の代替であり,国全体の利益につながる ことから,自治体は JICA など国のプロジェクト の要請を受けて人材を派遣し,その人件費の補填 を受ける形で実施すればよいことになる。自治体 が独自に国際環境協力を実施するためには,「技 術と経験がある」ことに加えて,やはり地域に結 び付く意義を明確する必要がある。 平成16年度に環境省が作成した「地方公共団体 による国際環境協力ガイドブック」9)では,「環境 問題に対応する具体的なノウハウがわが国では地 方公共団体に多く蓄積されていること」のほか に,「国際協力をより身近なものとする上で国民 にもっとも近い立場にある地方公共団体の重要性 が今まで以上に認識されている」と国際環境協力 の必要性を謳った上で,地域にとっての「国際環 境協力実施のメリット」を掲げている(表 2)。 この表は,住民,行政,企業が国際環境協力プ ロジェクトに積極的に関わることを前提に,それ ぞれにとってのメリットを整理している。同ガイ ドブックは,地方公共団体での国際環境協力を促 進するために作成されたものであるが,その前書 きでは「地方公共団体が国際協力に対して継続的 に取り組んでいくためには,住民の理解と後押し が基本であり,また必須の条件です。それには地 方公共団体自身の動機づけと国際環境協力を通じ 共通の環境問題に対する能力形成 ③ 国際交流・貢献の機会の提供 住民の環境意識の醸成 環境教育の推進 世界の持続的発展への貢献 ① 環境保全背策の推進 ④ 国内関係者間の連携強化 企業にとって 住民にとって 行政にとって 出典:地方公共団体等による国際環境協力ガイドブック9) 表 2 国際環境協力を実施することのメリット ○ ○ ○ ○ ○ ○ 地方公共団体による国際環境協力の意義 ○ ② 地域社会の活性化に寄与 国境を越えた地域の環境改善 地方自治体の得意な分野の国際貢献 市民ニーズとしての国際交流・貢献 ノウハウの集積 ○ 人材の活用 ○ 産業の活性化/海外市場の開拓 ○ 対外的なアピール 国際的な評価 国際的発言力、ステータスの確保 ○ ○ ○ ○ 行政・企業・市民等、国内関係者の連携強化 ○ 国際感覚豊かな人材の育成 国際ネットワークの形成 姉妹都市・友好都市交流の強化 世界の持続的発展への貢献 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ⑤ ア イ デ ン テ ィティの確立 ○ ○ ○ ○ NGO / NPO との政策対話 市民との交流 アイデンティティの確立 ○ ○ ○ ○

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て住民に何を還元していくかという展望を明らか にしていくことが不可欠です」としている。つま り,表 2 は,自治体が国際環境協力を実施する場 合には,“こういうメリットがあるから国際環境 協力に取り組みましょう” というのではなく,で きる限り各主体のメリットを明らかにするよう, 努めることが必要であると捉えるべきである。 よって,自治体の機関である地方環境研究所 が,国際環境協力事業を立案するのに際しては, 実施の意義や目的を明確化するよう努めることが 不可欠である。国の政策に囚われて受動的に取り 組む地域色の少ない政策から脱却し,地域が能動 的に取り組み,地域の自律的な発展に寄与する視 点を持った事業とすることが求められる。 4. ま と め 2000年の開所以来,センターが取り組んだ国際 環境協力について概括した。国際環境協力として 受け入れた研究員または研修員,海外機関や国際 学会への派遣研究員は,その数を毎年増やしてお り着実な伸展が見られる。受入および派遣の件数 は活発な交流活動を示す指標として重要であるも のの,実施後には事業実施の有効性を確認し,評 価して改善を図ることが重要である。また,自治 体の環境研究所が国際環境協力事業に継続的に携 わるためには,事業の立案に当たり地域の自律的 な発展に寄与することを視野に置き,地域が能動 的に取り組む必要のある事業とすることが求めら れる。 ―引 用 文 献― 1) 自治省:地方公共団体における国際交流の在り方に関す る指針,昭和62年月 2) 総務省:平成25年度の地方財政の見通し・その他留意事 項について(平成25年月日 総務省自治財政局財政 課) http://www.soumu.go.jp/main_content/000208124. pdf 3) 藤倉良:環境国際協力における地方自治体の役割と課題, 国際開発研究,6,75-89,1997 4) 茂木守,大塚宜寿,王効挙,胡雪峰,蓑毛康太郎,堀井 勇一,野尻喜好,細野繁雄,李洋,李珊,姜琪:中国蘇 州河底質におけるノニルフェノール,4-t-オクチルフェ ノール,ビスフェノール A の分布,環境化学討論会要 旨集,207,2011 5) 大塚宜寿,茂木守,王効挙,胡雪峰,蓑毛康太郎,堀井勇, 野尻喜好,細野繁雄,李洋,李珊,姜琪,:中国蘇州河 の底質中ダイオキシン類,環境化学討論会要旨集,206, 2011

6) Y. Li, X-F. Hu, K. Oh, M. Motegi, N. Ohtsuka, S. Hosono, Y. Du, Q. Jiang, S. Li and J-W. Feng: Spatial distribution of three endocrine disrupting chemicals in sediments of the Suzhou Creek and their environmental risks, Environmental Science, 33, 239-246, 2012

7) 内閣府:外交に関する世論調査一覧 http://www8.cao. go.jp/survey/index-gai.html

8) 外務省:政府開発援助大綱(平成15年月29日 閣議決定) http: //www. mofa. go. jp/mofaj/gaiko/oda/ seisaku/tai-kou/taiko_030829.html

9) 社団法人 海外環境協力センター:地方自治体等による 国際環境協力ガイドブック(平成16年度環境省請負事業) http: //www. env. go. jp/earth/coop/coop/document/ oecg/pdf/all.pdf 報 文 【T:】Edianserver /環境コミュニケーションズ/全国環境研会誌/ /第39巻第4号(通巻第133号)/(報文)埼玉県(細野・星野)

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参照

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