東 南 ア ジアの水稲 施 肥 に関す る一 考察
高 橋 英 は じ め に 東 南 アジ アの米生産性 を施 肥 に よ って 向上 させ よ うとい う試 み は, この地域 の水稲 がほ とん ど無施肥 に近 い状態 で栽培 され てい る現状 か らみ て, そ の効果 に寄 せ られ る期 待 は大 きい。 しか し粗放 農業 の上 に立 ってい る東南 アジアの稲作 に, わが 国 の高 度 に発達 した施肥技術 を 導 入す るにあた っては, 当然 の ことなが ら種 々の問題 が あ る。 た とえば施肥 の効果 を上 げ るため には, 耐 肥性 の大 きい品種 を導 入 して これ に十 分量 の肥 料 を施用 す る ことが望 ま しいが, その実 施 は必 ず し も容 易 では ない。 す なわ ちそ のためには まず 解 決 され るべ き問題 と して, ダム建設 な どに よる濯排 水 の コン トロールが あ り, そ のほか に も 経 済 的障害 (生産者米価 と肥 料 価格 のか ね あい な ど) や技 術普 及上 の院路 な ど,純 技術面 以外 の問題 もあ る。 この よ うな東 南 アジアの稲 作 の現状 を考 え る と, この地域 へ の施 肥技 術 の導 入 にはつ ぎの二 つ の場 面 が あ るよ うに思 われ る。 第1は濯排 水 を制御 し得 ない場面, す なわ ち探水 の条 件下 で も生育 し得 る梓 長 の長 い, しか しなが ら耐 肥性 は乏 しい在 来 水稲 に対 して施肥 を行 ない増収 をはか ろ うとい う場面 であ る。 こ の場 合,施 肥 の効果 を十 分 に発揮 させ る ことは期 待 しに くい けれ ど も,粗放 農業 か ら集約 農業 へ の過渡期 にあ る現 状 にお い ては重要 な こ とであ る。 第2は 田面 水深 の コン トロールが可能 とな り,短 梓 の肥 料応 答性 の高 い品種 を導 入 した場 面 にお け る施 肥 で あ る。将来 農業 開発 が進 む とと もに この場面 の比重 は増大す る と思 われ るが, この場 合 はわ が国 の施肥稲作 に比較 的近 く, 施肥 の効果 も大 きい ことが期 待 され る。 つ ぎに施肥技 術 の対象 としては, 収量 に対 す る影響 力 と適 切 な施用 を誤 った場 合 の危険性 の 両 面か ら考 え て,窒 素施 肥 が最 も重要 な問題 であ る と思 われ る。 もち ろん東 南 アジ ア地域 に も 極 端 な リン酸 欠乏土壌 のあ る ことが報告 され てお り, この地域 にお け る リン酸施肥 の問題 は将 来 重要性 を加 え るであ ろ うが, さしあた っては, リン酸 は窒素施肥 に付随 した限定要 因 とな っ てい る場 合が 多 く,施肥 の経 済性 の許 す範 囲内 で施 用すれ ば よい段 階 では ないか と思われ る。1) 当研 究室 におい ては東南 アジア研究 セ ン ターの プ ロジ ェク トの一 つ として,1966年 以来 タイ 国中央平野部 におい て, 水稲 に対 す る窒 素施肥試験 を実 施 中であ るが, (試験担 当福井捷朗,東 南 アジ ア 研 究 セ ン ター助 手), そ の結果 を もとに主 と して第 1の場面 にお け る施 肥技 術 につ い て考 察 を試 み る こ とに したい。 なお以下 の考 察 は窒 素施 肥 の問題 に限 られ て お り, また, メ イ国 中央 平 野 部 と条 件 を異 にす る地 域 につ い て は適用 され ない場 合 もあ り得 るの で,表題 も東 南 アジ アの水 稲 施 肥 に関 す る 「一 考 察」 と した こ とをお こ とわ りして お く。 Ⅰ 現地 に お け る施肥 に よ る増 収 の可 能 悼 これ まで専 門家諸 氏 に よ って,東 南 ア ジ アの農 民 は水 稲作 に対 してほ とん ど施 肥 を行 なわ な い こ と, そ して それ には農業 的理 由 のほ か に経 済 的, 社 会 的理 由 もあ る こ とが述 べ られ てい る。 そ こで まず現 地 で農 民 が施 肥 に よ って どれ くらい の増 収 をあげ得 る ものか を予 察 す る 目的 で, タ イ中央 平 野 部 の農 家 の水稲 栽培 の実 態 を調 査 した (表 1)。 そ の結 果, 量 的 には十 分 で ない 表1 タイ中央平野部の農家水田の施肥の有無 と籾収量 (1966調査) 誓書葦開 lofB,'u'J、I 施 肥 の 有 無
l
籾収量
t
a
n
g
′
/
r
a
主
小 作 自 作 小 作 自 作 小 作 自 作 自 作 育 (苗代施肥 ・穂肥) 有 (生育の悪い ところに施肥) 有 (化学肥料 10kg/ra主) 有 (田植前後に豚糞使用,DDT使用) 育 (化学肥料 10kg/ra主, 移植後に生育 をみながら施用,DDT使用) 有 (化学肥料 15kg/ra主,DDT使用) 育 (化学肥料 15kg′/rai) 無 無 無 注 1) 化学肥料は Ammophosか ? rai≒16アール 粗 25tang/rai≒ 1石/皮 2) 調査水田の所在地1.Tasaan,2.Banglen,3.Ongkharak 4.Nakhon Pathom,5.Thonburi,6.Singburi,7.Bangkhen, 8.Nakhon Nayok, 9.Minburi,10.Lopburi.
に して も施 肥 を行 な って い る農家 は案 外 に多 く (と く に 自作 農 の場 合), また無 施 肥 の場 合 に くらべ て籾 収 量 は 明 らか に高 い (2倍 以 上 ) こ とが み とめ られ た。 この よ うに現 地 農 民 自身 の 判 断 だ け で十 分 とは い え な い施 肥 が行 なわれ た場 合 で も明 らか に効果 をあげ て い る こ とは, 十 分 か つ適 切 な 施 肥 を実 施 す れ ば, 経 済 的 に もみ あ うだ け の増 収 をあ げ得 る こ とを示 唆 してい る とい え よ う。 つ ぎに現 地 の低 収 性 が収 量 構成 要 素 の何 に原 因 して い るのか を知 る 目的 で調 査 を行 な った。 そ の結 果 をま とめ る と表2 の とお りで, 構成 4要 素 の うち千 粒 重 と豊熟 歩 合 には あ ま り差 は ないが, -穂 籾 数 と単位 面 積 ■口■・■Y 81j- - ジ 1) 東南アジア地域 における施肥試験で リン酸 ・カ リの肥効の認められた事例はある。た とえばタイの Chainat農試における高橋治助氏 らによる日本稲の施肥試験 (1966年)では生育 日数が3カ月 とい う 短かさもあって施肥 に対す る応答性が高 く,窒素は もちろん リン酸の肥効 もかな り明らかであ り, カ リの肥効 も若干み とめられた。 またカンボジアの Battambang 中央農試における平野俊民 らによる日本稲 (豊年早稲)の施肥試 験 (1965年)では リン酸の肥効は窒素より高か ったとい う結果が得 られている。
当 りの穂 数 には大 きな差異 が あ った。 また-穂籾数 と 単位面積 当 りの穂 数 との間 に はあ る程度 の相補性 がみ とめ られ たので,両者 の積 す なわ ち単位面積 当 りの籾 数 を増加 させ るよ うに肥培 を行 な うことが増収 の一 つ の指標 とな るよ うに思われ た 。 高橋 :東 南 アジアの水 稲施肥 に関 す る一 考 察 表 2 タイ中央 平野 部 の農 家 水 田 の収量 と収 量構成 要素 (1966′-1967調査) 籾 収 量 kg/ha 3000
以
上 (3730)* 榊数 雄 秩 穂数 籾 数 豊熟歩:千粒重 /株/
m
2 ノ穂合% ・ g 18.1; 8.31 156i143178.0 盟/ワ
ラが 姦個 27.4 i 0.64 t 5 1000台 (1674) 総 平 均 (2335)*
( ) 内 は籾 収 量 の平 均 値 ** この調査結果 に関 しては 単 位面 積 当 り 株 数 はか な り高い値 が で てい るが これ につ い ては さ らに今 後 の調査検 討 を要す る。 Ⅱ タイ中央平野部 におけ る施肥試 験施 肥試験 は Rangsit農事試験場 で圃場試験 を, また Bangkhen の RiceDepartmentでポ ッ ト試験 を実施 し,施肥量,施肥時期,栽 植密度,作 付時期 と生育収量 との関係 を検討 した。
1.施肥量 お よび施肥時期 と生育収量
在 来 品種 の Pouang Nahk 16 を供試 し,30日苗 を 7月20日圃場 に移植,種 々の量 の硫安 を 基 肥 (移植前 目の 7月19日), 中肥 (移植37日後 の 8月26日),穂肥 (出穂 の約20目前 の
1
1月7日) の3回 にわ けて施用 した。 なお各試験 区 とも同量 の リン酸 ・カ リを基肥 として与 え (遇石
P.30 .-,80kg/ha,塩 加 K20 80kg/ha), 栽値密度は農家慣 行の疎 植 (40×40cm)としたO
表 3お よび図 1- 3は結果 の一部 を と りま とめた ものであ るが, 収量 に対す る施肥
時
期 の影 響 は大 で,一 般 に基肥 の効果は低 く (と くに基肥 のみ の場 合)穂 肥 の効果 は極 めて高 い。 基肥 のみ の場合 (B,
C
,D), 施用 N の大部 分は茎葉 の生育 に使用 され た模 様 で (N 60kg/ha の場合,茎葉重増加 90% に対 し籾重増加 9%), 多量施用 しては じめて籾生産 に寄与 してい る (N 120kg/ha の場 合は 130% の茎葉重増加 に対 し40% の籾重 増加)。乾 物垂 ・茎 数 の変遷 や 収 量構成要素か らみて,基 肥 の効果 は 分けつ最盛期 にはあ きらか であ るが,幼穂 形成期 以後は あ ま りな くむ しろ肥 え切れ の様相 を星 してい るよ うに思われ る。 中肥 のみ の場 合 (E,F,G) は基肥 のみ の場 合 に くらべて生育後期 におけ る肥 効 の持
続性
は 若 干大 であ るが (N 60kg/haの場 合茎葉垂 70% 増加, 籾重 29%増加 ;N 120kg/ha の場 合 茎 葉垂 95%増加,籾 重 54%増加), 無窒 素区 に くらべて穂数が増加 してい るの に対 して 一徳籾 数 が相殺 的 に減少 してい ることか ら も, や は り生育後期 には肥 え切れ の傾 向 にあ る もの と思わ れ る。 これ に対 して穂肥 の効果 は極 めて大 きい。す なわ ちわずか N 30kg/ha の穂 肥 のみ (H)で表3 施肥量 および施肥時期 と収量
(1966・July∼1967・Jan.,疎植 (40×40cm),Rangsit圃場試験)
施肥量 N kg/ha 粗収量 kg
/
h
a 籾/a 】萱習 合t千警重 讐 琵F茎軍 粗増収量* kg/ha 施 肥 N kg/ha A ∃ olo-O l 2010 1 86 134 1 6511 L 25・6 L O・82 1 60 l 110*
籾増収量 -施肥区籾収量 (kg/ha)一無N区籾収量 Oig/ha) タイ 籾 4.7セ ン ト/kg 硫 安 31.2セ ン ト/Nkg 粗 (セ ン ト/kg) 4.7 1 硫安-N(セ ン ト/kg)=3r2=r6.-6 施肥 Nlkg当 り 6.6kgの籾増収 で採算が とれ る。 これ以下 では採算が とれ ない。 ア ンダーライ ン (- - ≡ ) は採算の とれ る場合.*
*
( ) 内の数値 は Ⅰ区の値 であるが, Ⅰ区の生育 に若干の異常があ ったので参考程度 に とどめる 。 40 80 i20 /68 40.80 /PO /68 40 80 i20 /68 40 80 iBO /58 40 80 i210 /bと図 1 施肥量,施肥時期 と乾物重 の変化 (早植 July∼Jan.;疎植 40×40cm)
試験区
〔
A
〕〔
D〕〔
G〕〔
H〕〔
K〕
茎 葉 重 の増 加 は 0で あ るの に対 し, 籾 重 は50% も増 加 して お り, ま た- 穂 籾 数 ・登 熱 歩 合 が い ず れ も高 い こ とか ら も施 用Nが 極 め て有 効 に籾 生 産 に使 わ れ た こ とが わ か る。 基 肥 と穂 肥 の組
合 せ で は, 基 肥 に よ って増 加 した茎 数 に対 して相 殺 的 に は た ら く- 穂 概 数 の減 少 を穂 肥 が 防 ぎ, 収 量 性 を さ らに向 上 させ て い る (∫,K)。 中肥 と穂 肥 の組 合 せ で は(L,M,N), 前 者 の場 合 に く
高橋 :東 南 アジアの水稲施 肥 に関す る一考 察 年 ′,oo lJJy20) I20 040 80 /20 0 40 80 /20 Da/5 afle, 1,a"5P/a"t/.3 rm f^yh// T J, ハレ∵ ♂ (一 U r J ■ 〃 ︿レ
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試験 区
〔
A
〕∼〔
N〕
試験 区〔
A〕
∼〔
N〕
表4 無 施 肥 水田土壌 中の可給態 窒素 の変動 (Rangsitお よび Bangkhen 稲 作試験 地 圃場 ,1965福 井 ほか) 調査時期 ∼ l 可 給 態 窒 素 NH3-N grノノa L0-10cm Soil) NO3-N gr/a (0-10cm Soil) 植 物 の吸収 した N gr/a *可給態Nの総量 N gr/a (乾燥状態) :**乾土湛 水 ア ンモ ニア生成 量 Sept.6 NHS-N gr/a(0-10cm Soil) NOB-N gr/a (0-10cm Soil) 植物 の吸収 した N grノ/a *可給態Nの総量 N gr/a (湛水状態) **乾土湛 水 ア ンモ ニア生成 量 NOV.14 (湛 水状態) 133 101 9 28 142 129 243 3 109 355 9256 NHS-N gr/aL0- 10cm Soil) NO3-N grノ/aL0-10cm Soil) 植 物 の吸収 した N grノ/a *可給態Nの総量 N gr//a **乾土湛水 ア ンモ ニア生成 量 N mg/100grSoil(0-3cm Soil) 1 12.3 水 稲 の 生 育状 態 草 丈 cm l株 穂 数 1株 当 り乾物垂 gr 地 上部窒素含有率 (N9'.) 139 4.4 22.3 0.60 136 134 270 8.3 102 3.0 12.5 0.61*
可給態Nの総量 -NHS-N(0-10cm の層)+NO3-N(0,I.-1Ocm 層)+植 物 の吸収 したN (7-ル当 り) ** 風乾土 を ガラス円筒中 で湛水状態 とし,30〇C で 2週 間 incubate後,生成 した NH3-N の遺 らべて登熟歩合が劣 り, そのため穂 肥 の効果 が若干 低下 してい る。 つ ぎに施肥 による増収 の経済性 を検討 してみ る と,現時点 では施肥N lkg
当 り6.
6kg
の - 19- 677籾増収 で採 算 が とれ る と仮定 す る と (表3脚 注参照), 基 肥 のみ の場 合 は経 済 効果 は な く, 中 肥 のみ の場 合 も効果 は少 ない。経 済 効果 の最 も高か ったのは H._0-3.,L ._3.-30, J6.-.-a. の3 区 であ り, この結果 か ら栄 養生長期 には少量 のNを稲 の生育 をみ なが ら与 えて茎 数 を確保 し, さらに少量 のNを穂 肥 として与 えて-穂籾 数 と登熱 歩合 の低下 を防 ぐのが最 も効果 的 な施用 法 であ る と推 察 され た。 以上 述 べ て きた試験結果 は試 験 を行 な った場所 と土壌 的気象 的諸条件 を同 じ くす る場 合成 立 す る ものであ る ことは論 をまたない。 と くにそ の窒 素地 力 との関係 は深 い と思 われ るので,秦 考 のため に表4に供試 圃場土壌 の可給態 窒素 の変 動 の 模 様 を示 し た。 圃 場 試 験 を 行 な った Rangsit土壌 では風乾 土湛 水 ア ンモ ニア生成量 は約 8mg であ り, これ は川 口らの調査 の結 果2)か ら判 定 す る と供給 力過少 の グル ー プに属 す る ものでな く,比較 的施肥 そ の他 の管理 の実 の上 げやす い土壌 の よ うであ る。 表5 〔施肥一収量〕に対する栽植密度ならびに移植時期の影響 (1966′-1967,Rangsit圃場 試験) A 早 2) 川口桂三郎 「東南アジアの水田土壌の概要 と重要研究課題」本誌 p.6,蓑 2. 678 - 20
(表 5つづ き) 試 験 区 疏 0-0-0(A,S) 60-0-0(C,T) 植 120-0-0(D
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高橋 :東 南 アジアの水稲施肥 に関す る一考察 C 地 上 ;LLLill乾物-!TT::
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注 1) 施 肥時 期 基 肥 - 中 間肥 - 穂 肥早 植 - July 19 Aug.23 Nov. 7
晩 植 - Sept.14 Nov.22 2) 生育期 間 播 種 一一 移植 - - 出 穂 -籾
数
/穂L
登熟歩合%
li
e
二
∴
‡ -収 穫65
58
63
二3
60
早 植 June16 July20 Nov.21-Dec.5 Dec.26;Jam . 4
1 【1 1 ; l
34 日 122- 138日 23-31日
晩 植 Aug.18 Sept.15 Dec.6- 14 Jan.9;14
Ll l i i
・・
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-=
、 ・ 28日 82′-90日 30・-36日 3) 栽 植密 度 密 植 区 (15×15cm) 株 数/
m
244・4 単 位 面積 当 り株 数比 密植 区/疎権 区≒7.i 疎 植 区 (40×40cm) 株 数ノ
/
m
26.3 また本試 験 の考 察 はい さ さか追 肥 礼賛 論 にす ぎ, 基 肥 の効 果 を もっ と発揮 で きる方途 もあ る のでは ないか との意見 もあ ろ うが, これ につ い ては こ こで試 み た考 察 の地域 的適 用 性 を明 らか にす る こ とが まず必要 で あ り, それ には今 後 の調 査 の進 展 をまつ よ り仕 方 が ない。 しか し これ らの地 域 におい ては 化学 肥 料 を基 肥 に重 点 をおい て施 用 し, その肥 効 を成育 後期 まで効 かせ る とい う栽培 法 は, 途 中 で の遇 繁茂 の問題 もあ って技 術 的 にはむ ず か しい点 が多 々あ るの では な いか と思 われ る。 2.施 肥 の効果 に対 す る栽 植密 度 な らび に移 植 時 期 の影響 栽 植密 度 の影響 をみ るた め にか な り極 端 な密植 (1
5×1
5
cm) を行 な った。 そ のほか の条 件 は表 3の試 験 と同一 で あ る。 表 5-A,Bお よび図4,6(試 験 区 0,P,
Q
,R)は そ の結果 の一 部 であ るが, 収 量 は いず れ も対応 す る疎栢 区 (H,Ⅰ,
∫,K)に くらべ劣 ってい る。 0区は籾 重 だけ で な く単位 面 積 当 り の地 上部全重 も対応 す るH区 に くらべ て著 し く劣 ってい るが, これ は密植 に よ り 1株 当 りのN 供 給量 が著 し く低 下 した た め と思 われ る。Q
,R区 では単位面 積 当 りの穂 数, 地 上 部 全重 は対 応 す るJ
,K 区 と差 は ないが,-穂 概 数, 登 熟 歩 合 が 劣 り, それ が収量 低 下 とな って あ らわれ てい る。 これ につ い ては密 植 に よる相 互遮 蔽 の影響 を検 討 す る必要 が あ る。 つ ぎに移 植時期 の影響 をみ るため に, 播 種 な らび に移 植 時期 を2カ月 お くらせ, 出穂 までの -21-40 50 JWO 40 80 /20 /58 3%/・n S‰ 2 (Lfvt./5) Lh/5afte,773:275〆ガt,'7ty 5W SL:警雌/car /0
卿
仰価
ガ♂御
脚 価 ガ 図4 〔施肥量-乾物重〕に対す る栽植密度の影響 疎植 (40×40) 〔H 〕〔K〕早穂,〔U〕晩植 密植 (15×15) (0 〕〔R〕早植,〔W〕晩植 40 80/2'uuogZDlo80I
l
o
Dys3位T ム々SP/a"I,・"3 図5 〔施肥量-乾物重〕に対 す る作付時期の影響 早植 (July∼Jan.) 〔A〕〔C〕疎櫨,〔Q〕密植 晩植 (Sept.∼Jan.) 〔S〕〔T〕疎楯, 〔Ⅹ〕密植β占
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Da/5 3〝eri,a乃SA/asp/ant/・nS 図6 〔施肥量一茎 数〕に対す る 栽植密度の影響 〔Q 〕∼ 〔R〕 作付時期の影響 〔Ⅴ〕∼ 〔Y〕 期 間 を4
0
-5
0
日短 縮 させ た場 合 につ い て検 討 を行 な った。 それ らの結果 の一 部 を表 5-A,C お よび図4- 6(試 験 区S∼Y)に示 す。 まず疎植 の場 合 を比較 す る と,S,T,U 区 は対応 す る A,C,D区 に くらべ て, 単 位面積 当 り の地上 部全重 の低 下 が 目立 つ。 また単位面 積 当 りの穂 数や- 穂 秩 数 (したが って全 籾 数) はか な りす ぐれ てい るのに豊熟歩 合 が劣 り, ため に籾収量 には差 が ないか あ るいは劣 る (Ul・Z._._O) とい う結 果 におわ ってい る。 この よ うに本試験 の疎 植 の場 合 には, 晩植 に よる栄 養 生長期 間 の 短 縮 は単位 面積 当 りの板収量 に対 して プラスの影響 を与 えてい ない。 これ に対 して密植 の場 合は Ⅹ区 とQ区 とを比較 す る と明 らか な よ うに, 生育 後期 にお け る有 効茎 数 の減 少 と登熟歩 合 の低下 が晩植 に よ って軽 減 され, 高 い籾収量 をあげ てい る。 これ は栄 養 生長期 問 の短 縮 が過 繁茂 とな るの をお さえ,相 互遮 蔽 の悪 影 響 を軽減 したため であ ろ うと推 察 され る。 また W,
D,
U
区 を比 較す る といずれ もN
l=T._._.kg
/
ha
で施肥条件 が ま った く同 じで も栽 植 密度 や 移植 時期 の ちが い に よ って, 籾 収量(
kg/
ha
)
に3
4
2
0
-2
8
0
0
-2
3
1
0
と大 きな ちが いが あ る こ とがわか る。 この事例 か ら, 晩植 で生育 日数 が短 縮 され る場 合 には,栽 植密 度 を少 し大 に した上 で(
4
0×4
0c
m
とい う疎 植 よ りは)適量 の施肥 を行 な うことが望 ま しい と思 われ る。 - 22高橋 :東南 アジアの水稲施肥 に関す る一考察 3.ポ ッ ト試験 に よる相互遮 蔽 の影響 の 検討 これ は直径 15cm のポ ッ トを用 い, 図 7に示 した よ うにな らべ万 をか え る ことに よ って密植 (15×15cm)疎植 (40×40cm) の条 件 をつ くる もので, 水稲 1個 体 に対す る根圏土壌量 は一定 であ り, 圃場 の場 合 の よ うに密植 に よって株 当 りの板圏土壌 が減 少 し,養 分供給 な どの条件 が変 化す る とい う場面 ほ と りのぞかれ るので, よ り直接 的 基 肥 一穂肥 A B C D E F G H 配 i i j x印 の式、ソトの水稲を試 験 の対 象とした 図7 ポ ッ トの配 列 表6 〔施肥一収 量〕に対す る栽 値密度 な らび に移植時 期 の影響 (1966-1967,Bangkhenポ ッ ト試験) 密疎!早晩 別
0
.18-0.18 0.36-0.18 0.72-0.18tc 垂 比 / 菓 重 茎 . -鹿 t l 重 粒g 千茎
葉重地上部重 /一株
/ /秩 8.51 7.7 35005
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日 9:'… 日 三… 61.2㌔ 23.41 0.81 芸 36 日 :66喜 0 0 7 8 5 4 0 0 0 4 9 3 62 4 り 一 つ 一 つ 】 り 】 8 9 925 5. 4 4 93 4 5 C U 6 7 2 8 8 8 2 0 0 0 5 9 1 7 6 3 ワ一 つ 一 り ︼ り一 8 6 6 3 1 にU 6 3 5 8 9 .; LLJ Ln 注 1) 施肥時期 基肥 穂肥 早植--July29Nov.16 晩植-Sept.23 2)生育期間 播 種 一一 移 植 一一 出 穂 一一 収 穫June16 Jul1】y 30 Dec.3ごろ Jan.10 45日 126日 38日 Åug.18 Sept.24 Dec.10ごろ Jan.17 】l il I 37日 77日i 38i日 1 26.6 43.3 29.7; 47.6 45.6 66.8 26.2】 41.7 16.1 26.0 18.8 33.8 35.5 ! 53.1 17.8 28.0 25.4 38.6 1 26.4 … 33.8
に地上部 の相互遮蔽 の影響 を観察 で きる もの と思われ る。 表 6はその結果 をと りま とめた ものであ る。 早植 の場合 についてみ ると,40×40cm の栽植密度 ではポ ッ ト当 りの籾収量 は施肥量 に比例 して増加 してお り,相互遮蔽 による収量低下 はお こっていない。 これ に対 して極端 な密植 であ る 15×15cm の栽植密度 では, ⊂0.36-0.18
〕g
/
株 の施肥量 区 まではポ ッ ト当 りの籾収量 は疎 植 区に くらべて大差 な く, また施肥量 に伴 って増加 してい るので相互遮蔽 の影響 はい ちお うみ とめ られ ないが, 〔0.72-0.18〕g
/
株 以上 の施肥量 ではポ ッ ト当 りの籾収量 は疎植 区の%
-1/2と な り, また施肥量 に逆比例 して低下 してお り, 明 らか に相互遮蔽 の悪影響 がみ とめ られ た。 もっとも本試験 では,水稲個体 当 りの収量 に対 して相互遮蔽 の影響が明 らかで も,単位面積 4 癌 R c -票 くぬった部分 は施 肥 面績 図8 ポットの配列と施肥面積の占める割合 当 りの収量 に換算 して比較 す ると,密植 に よる個体数増加の効果 が上 まわ り, その結 果密植 の場合単位面責貢当 りの収量 は大 とな ってい る。 またポ ッ ト (秩) 当 りの施肥量 を- クダ丁ル当 りに換算す ると, 0.18N/
ポ ッ ト (秩) の場合疎植 区では11kgN/ha であ るが,密植区では 80kgN/ha とい う 多量 にな る。 これは図 8に示 した よ うに施 肥面積 の占め る割合が著 し く異 な るために,単位面積 当 りの施肥量 になおす と大 きな差 となる。 しか もこの程度 の株 当 りの窒素施用量 では密植 の場合 で も相互遮 蔽 の影響 はまだあ らわれ てお らず,窒素増施 によってなお増収が期待で きる段階 であ る。 要す るに単位面積 当 りの収量 を向上 させ るためには適 当な栽植密度 (株 数) と施肥量 の組合 せが必要 であ るが,現在 の極端 な疎植 を密権 の方 向- もってい く場合, これ に ともな ってか な り多量 の施肥 の必要性が生 じて くると思われ る。Ⅲ
お あ り に 東南 アジア地域 の米 の生産性 向上 を図 るために とられ るべ き種 々の方途 の中で,施肥技術は 比較 的あ との段 階 にな って導入 され るべ き性質 の ものの よ うに思われ る。す なわ ち, そのまえ に ダム建設や用水路整備 による濯排水 の コン トロール,耐肥性 品種 の導入,化学肥料 の相対価 格 の引 き下 げな どの諸条件が ととのわ ない と施肥技術 の効果 は十分 に発揮 で きず,普及 も困難 であ ろ う。 とはいえ過渡期 における現段 階 では肥料応答性 の乏 しい在来稲 に対 し,高価 な肥料 を経済 的 に見合 う範 囲内において施用 して収量 向上 を図 らなければな らない。 タイ中央平野部 の農家 の稲作 りをしらべてみ ると,比較 的良好 な収量 を上 げてい るところで 682 - 24-高橋 :東 南 ア ジアの水稲施肥 に関 す る一考察 は水稲 に少量 では あ るが穂 肥 を施用 してお り, また栄養 生長期 に も生育 をみ なが ら少量 の肥料 をふ りこんでい る ところが多 い。 これ は