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南スラウェシの稲作景観 [The Rice Cultural Landscape of South Sulawesi]

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東南 ア ジア研 究 20巻 1号 1982年6月

南 ス ラウ ェシの稲作景観

古 川

雄 *

TheRi

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uralLandscapeofSout

hSul

awesi

H isaoFuRUKAWA

*

Thispaperdescribesthedifferenttypesoftradi -tionalriceculturein South Sulawesiwhich have developedunderdifferentenvironments.

First,the characteristicsofland ilttributesare dcseribed in terms ofrainfallpattern and land unitswithdefinitecombinationsoflaノndfbrm,soils andlanduse.

Second,the traditionalrice culturaltypesare described,namely.・shifting cultivation on both upland and lowland;annualplanting ofwetrice w

i th buffalo-trampling; deep-water cultivation:

は じ め に

南 ス ラ ウ ェ シ に は, 五 つ の異 な った 「食 文 化 圏 」 が あ る といわ れ る。 中心 的 な位 置 を 占

め る もの は ウ ジ ュ ンパ ンダ ン (Ujung Pan-dang),パ レパ レ (Pare-Pare), シ ンカ ン (Si -ngkang)な どを含 む, 州 の 中 央 部 に位 置 し て い る米 食 圏 で あ る。 他 の 四 つ は, 第 1が こ の 中 央 区 の 北 に 広 が る サ ダ ン ・ トラジ ャ (Sa'dan Toraja)族 の住 む 山 地 で あ る。 こ こ は雑 食 圏 で あ る。 第2は, この トラ ジ ャ族 山 地 が 西 で マ カ ッサ ル (M akassar)海 峡 に面 す る, マ ジ ェネ (M ajene), マ ム ジ ュ (M am u-ju)で あ る。 これ はバ ナ ナ圏 と考 え られ て い る。 第3は, 逆 に東 で ボ ネ (Bon(ラ)湾 に向 け て 広 が る低 湿 地 帯 の ル ウ (Luwu)地 帯 で あ *京都大学東南 ア ジア研究 セ ンター ;The Center f

orSoutheastAs ianStudies,KyotoUniversity

cultivation in salineconditions;and broadcastlng orwetriceinadryclimate.

Third,aschemefらrthehistoricaldevelopment ofriceculturaltypesinSouthSulawesiispresented by integrating the hydrological conditions and tillage implements. This scheme involves three climax typeswhich developed from theinclplent phases of the slash-and-burn type: permanent upland cultivation with or without plough ing, irrigated cultivation with bu鮎 10-trampling,and irrigatedcultivationwithploughing.

る。 これ はサ ゴ圏 で あ る。 最 後 に米 食 圏 の南 に は, トウモ ロ コ シ圏 が広 が る。 少 な くと も, 伝 統 的 に はそ うい う5地 区 が あ った と考 え られ て い る。 本 稿 で は, こ う した地 域 的偏 差 を もつ南 ス ラ ウ ェ シを, 特 に稲 作 とい う側 面 か らみ て み た い。 上 にあ げ た 四 つ の非 米 食 圏 に も, 現 在 で は稲 作 が急速 に拡 散 しつ つ あ る。 しか し, 拡 散 しつ つ あ る稲 作 に は, さす が に地 域 的 な 差 異 が あ る。 こ う した差 異 を措 写 し, 合 わせ て, そ の歴 史 的 な変 容 を も推 察 して み よ う と い う もの で あ る。 Ⅰ 農 業 立 地 Li 降 雨 型 よ く知 られ て い る よ うに, 熱 帯 低 圧 帯 (IT CG)が南 北100く らいの間 を移 動 す るの で ,

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東 南 ア ジア研 究 20巻1号

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1

図1 南 ス ラウェシの月別降雨量分布

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古 川 :南 ス ラウ ェシの稲 作 景観 別表 :観測地点の標高および年間降雨量 地点番号 観測地点 1 Limbong 2 Masamba 3 Wotu 4 Malili 5 Ⅰ'alopo 6 Lamasie 7 Rantepao 8 Makale 9 Mamasa lO Mesawa l1 MamuJu 12 Malunda 13 Majene 14 Tinanbung 15 Campalaglang 16 Polewali 17 Langga 18 Benteng 19 Pinrang 20 Kariango 21 Mallompong 22 Enrekang 23 Kalosi 24 Rappang 25 Pangkajene 26 Amparita 27 Biloka 28 Belawa 29 Bila 30 Tanrutedong 31 Bolamalimpong 32 Paria 33 Singkang 34 Pampanua 標高 年間降雨量 (m) (mm) 400 2959 50 3151 30 2601 5 2953 0 2761 30 2677 700 3915 775 2387 1130 2176 870 2495

0

2680 240 2397

0

1727 4 1474 5 1323 3 2018 15 2176 2196 12 2078 65 1767 39 2461 50 2191 600 1700 8 2 りん l 5 5 1 2 9 5 6 2 1 ユ 0 0 4 8 2 5 1 1 l 1 8 9 1 4 2 1 4 9 3 1 5 5 1 1 0 2 4 6 4 5 5 6 9 1 2 1 2 2 6 9 8 9 1 1 2 46 1 1774 35 Watansoppeng 120 1939

36 Takala】a 70 1486 南 緯 30か ら 60に位 置す る南 ス ラウェ シで は 9,10月 か ら3月 まで北 西風, 4,5月 か ら 9月 は南 東風 が卓越 す る。 したが って,基 本 的 には降雨 の山が二 つ生 じる ことにな るが, 地 形 的条件 によ って降雨パ タ ー ンは地 域 ご と にかな り複雑 で あ る。 幸 いか な り信頼 度 の高 い降雨 量 デ ータ [Berlage 1949] が あ るの で,年 間 の月平 均 降雨 量 を71地点 につ いて地 図上 にお と して みた。 それ が図 1で あ る。 降 舶 霊 霊 竺 -。

竺 8 。。 器 。0 00 -0 21 -0 60 2 2 2 3 24 3 5 1 2 2 7 0 3 2 0 7 1 1 1 1 地点番号 観測地点 37 Ujunglamuru 38 Tacclp1 39 Lonrong 40 Bajo 41 Siwa 42 ‡〉eniki 43 Ⅰ)al】ime 44 Watampone 45 Sinjai 46 Kajang 47 Pallatae 48 Bikeru 49 Manipi 50 Tombolo 1 51 Camba 52 Kappang 53 Malino 54 Malakaji 55 Loka 56 Parepare 57 Palanro 58 Sumpangbinangae 59 Segeri

60 Gantagantarang 61 Pangkajene 62 Mar°s 63 Tekolabua 64 mIIakassar 65 Sunguminasa 66 Limbung 67 Takalar 68 Allu 69 Jeneponto 70 Bantaeng 71 Bulukumba 2 5 01 一 3 警 慧 2-70 2-01 20-8 ---9 2-78 器 慧 慧 42-0 ---7 --15 慧 慧 ---9 -8-9 -175 ---9 2-62 ---。 慧 器 年 雨 分布 と全 降雨量 につ いて,特徴 のか な り明 瞭 な地域性 がみ られ る。一 部地形条 件 を加 味 して, 降雨型 とその分 布地 域 を区画 したの が 図 2で あ るO この図 には次 の よ うな地 区が示 されて い る。 西岸 型 マ カ ッサル ・バ ッル (Barru)平 野地 域 (A) 北西 モ ンス ー ンが卓越 し, 1月 に降雨

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東 南 ア ジア研究 20巻1号 図2 降雨型による地域区分 (図 中略号 は本文 を参照せ よ) 量 の極 大値 が あ る,P (年間 降雨 量) >2,500mm 混交 型 ボ ネ ・ワ ジ ョ(Wajo)平 野地域 (B) 南 東 モ ンス ー ンが卓越 ,5月 に極 大 値 が あ り,ll,12月 に も北西 モ ンス ー ン の雨 が あ る,P>2,000mm ピ ンラ ン(Pinrang)平 野地域 (C) 5月 と11,12月 に極 大値, p-1,700 -2,000mm ヮ ラナ エ (Walanae)盆地地域 (D) 5月 と11,12月 に 極 大 値, P<1,700 111111 テ ィナ ンブ ン (Tinanbung)地域 (E) 不 規則 な降雨,P<1,400mm 北 部 山岳 型 ル ウ ・ トラジ ャ (Toraja)地域 (F) 4月 と11月 に極大凪 P>2,500mm マ ジ ェネ ・マ ム ジュ地域 (G) 不規則 な降雨,P>2,500mm 南 部 山岳 型 東面 地 域 (H) 5月 と 1月 に極 大値,P>2,500mm 西面地 域 (I) 1月 に極 大値,P>2,500mm 南 岸 型 ジ ェネポ ン ト(Jeneponto)地域 (∫) 1月 に極 大値,P<1,500mm バ ンク エ ン (Bantaeng)・ブル ク ンバ (Bulukumba)地 域 (K) 5月 と1月 に極 大値,P<1,300mm マ カ ッサ ル ・バ ッル平 野地 域 で は北 西 モ ン ス ー ンが ロムポバ タ ン (Lompobatang)山地 にぶ つか って雨 をお と し,12月, 1月 に 700 mm/月 を こえ る強 い雨 が集 中す る。南 東 モ ン ス ー ンは東岸 部, 中央 部 に雨 をお と し, 西岸 に は乾燥 した風 を送 るの みで あ る。 その間, 西岸 の乾燥 は きわ めて 強 く, 南 岸 と と もに塩 田の分布 が広 い。 混交 型 は降雨 量 の二 つの極 大 値 を もつ が, 南 東 モ ンス ー ンの影 響 が強 く, また一 般 に雨 は不安定 で あ る。 11月,12月 の北西 モ ンス ー ン期 にはその雨 を利 用 しな が ら,南 東 モ ンス ー ン本格 化 の期待 を こめて水 田裏作 のパ ラウ ィジ ャ (palawija, 主 に トウモ ロコ シ) が広 く植 え付 け られ る。 ワ ラナエ盆 地地 域 は雨量 が か な り少 な く, 古 くか ら, タバ コ, トウモ ロ コ シ,豆 を主 とす る畑作 物 の栽 培 が広 い。 北 部 山岳 の ル ウ ・ トラジ ャ地 域 は高 い山地 で雨雲 を しぼ り雨 量 が多 い。二 つ の極 大 値 を もつ が,南 東 モ ンス ー ンの雨 が多 い。 しか し, 稲作 は

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月 に開始 す る場合 が多 く西岸 型 と一 致 す る。刈 取 り期 に洪水 害 を うけ る ことが し ば しば あ る。 南 部 山岳 型 は雨 量 が多 いが, その極 大 時期 は西面 地 域 が北 西 モ ンス ー ンの時期,東 面 地

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古 川 :南 ス ラ ウ ェ シの稲 作 景観 域 が南 東 モ ンス ー ンの時期 に一 致 す る。 新 期 火 山体 の 山腹緩斜 面 に は豊 富 な流 れ を利 用 し た 棚 田が ひ らけ る。 南 岸型 は寡雨不 安定 な降雨 パ タ ー ンで, ジ ェネポ ン ト, ブル ク ンバ の両 県 に は散 播水 田 が広 い。 Lii 土地 区分 南 ス ラウェ シの地 形 の骨 格 は概 略次 の よ う で あ る。 北 部 山岳 地 帯 には標 高 3,000m を こす 山 々が あ り, その 中 に は ラ ンテパ オ (RalltepaO),ママ サ (Mamasa)な どの 山間盆地, また セ コ (Seko)の よ うな湖 成 盆 地 が ち らぼ る。海 岸 沿 い に は, 東 にパ ロボ (Palopo)・マ リ リ(Malili)平 野, ベ ロパ(Belopa)を 中心 とす るベ ロパ平 野, 西 にポ レワ リ(Pole -wali) 平 野 が ひ らけ る。 北 部 山岳 地 帯 か ら 南 - 突 き出た半 島部 南 端 には ロムポバ タ ン火 山 (2,876m)が そ びえ,北 へ次 第 に 高度 を下 げ なが らパ レパ レまで火 山群 が 続 く。 その西 部 には マ カ ッサ ル平 野 が ひ らけ,南岸 に は ジ ェ ネポ ン ト ・ブル ク ン バ 平 野 が狭 い帯状 に の び る。 南北 両 山地 の間 には堆 積 盆 が あ り, その 中 央 部 にはテ ンペ湖 (DanatlTempe), シデ ン レン潮 (D・Sidenreng)が あ り, その南 に は ワ ラナエ川 の河谷 が走 る。 それ を と りま くボ ネ ・ワジ ョ平 野 の緩 波状 の丘 陵 ・台地 は新第 3紀堆 積 物 で構成 され る。 以 上 の よ うな構 造 を もつ南 ス ラウ ェシは, よ り詳 し くみ る と, 図3に示 した よ うな地形 単位 か ら構 成 されて い る。作 図 の た めの材 料 図3 南スラウェシの地形単位 (図中略号は本文を参照せよ)

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東 南 ア ジア研究 20巻1号 は1/5万,1/25万地形 図,1/100万衛星 写真, お よび1/100万地質 図 [Sukamto 1975]で あ る。この地形 単位 は以 下 の よ うな もので あ る。 ジェネ ポ ン ト ・ブル ク ンバ平 野 潮 汐湿地 Pts:塩 田 一 養 魚池 , 養魚 池 ; 汽 水 性堆 積物 ;塩 鹸性 グ ライ低 地 土。 後 背低地 Pbs:水 田; ヴ ァ-テ イソル, 低 地 土。 火 山性角磯岩 の丘 陵 Hbr:トウモ ロコ シ を主 とす る畑, チ ー ク (Tectona g an-dz'S)の疎 林 ,一 部水 田; ヴ ァ-テ ィソル, レンジナ。 石 灰 岩 の丘 陵 HIs:トウモ ロコ シを主 と す る石 囲 いの畑,木本 作物 多 い,特 にパ ル ミラヤ シ (Bora∫∫u∫sp・) が 目立つ;石 灰質 ラ ンカ ー, レ ンジナ。 火 山扇状 地 と台地 Tv:緩傾斜地 に散 播 水 田が広 い, 中 に トウモ ロコ シ,嘉 を主 とす る火田地 が ま じる, パ ル ミラヤ シが 目 立 つ, バ ンクエ ンには液概 棚 田が広 い ; 火 山性 レゴ ソルか らヴ ァ- テ ィソル- の カ テナが み られ る。 マ カ ッサ ル ・バ ッル平 野 潮 汐湿地 Pts:養魚 池 一塩 田, 養 魚池 一 永 田, ニ ッパ 湿地 ;汽水 性堆 積 物 ;塩 軸 性 ・含硫黄 性 グ ライ低 地土。 扇 状 地性低 地 Pfl1:水 田;石 灰岩 山地 よ り運 ばれ た堆 積物 ; マ ンガ ン結 塊 を含 む 灰 色 ,褐 色低 地 土。 扇 状 地性 低 地 Pf12:高 畦水 田, 畑苗 代1) が特徴 的;緩 波状 ;灰 白色 の レゴ ソル。 高 位段丘 Th:薮 , 新 し く開 田す る部分 もあ る;緩 波状 ; マ ンガ ン ・鉄 結 塊 に富 む赤 褐色 の フ ェ ラル ソル. 火 山性 角硬岩 の丘 陵 Hbr:果樹 園 が 広 い, 浅 い谷 地 田が多 く刻 まれて い る, 陸 1)水田に作 り,播種時畑状態であるが苗代後期に は湛水する苗代を,畑苗代とここではよぶ。斜 面の畑に作る苗代は陸苗代とよぶ。 苗 代 がふ つ う;赤 褐色 の フ ェ ラル ソル, ニ トソル, 鉄結 塊 に富 む. ピ ンラ ン平 野 潮 汐湿地 Pts:養 魚池 ;汽 水 性 堆積 物 ; 塩 東成性 ・含硫 黄性 グ ライ低地 土。 後 背低地 Pbs:港 翫水 田地 帯,湿 地 的様 相 強 い; や や暗色 の グ ライ低 地 土。 扇 状地 性 低 地 Pfl:潅 親水 田地 帯,以 前 は ココヤ シ,バ ナナの プ ラ ンテ ー シ ョン が広 くあ った;灰 色 低地 土。 ワ ラナエ盆 地 湖 岸遊水 地 Pwp: 減水期 に季 節的畑地 と して利 用 され,緑 豆 , トウモ ロコ シの 栽 培 が広 い, 一 部水 田 (減水 期 稲);渇 成 堆積 物 を湖成堆 積 物 が覆 う;塩類 が析 出す るグ ライ低 地 土。 河 谷低 地 Prp:濯概水 田地帯, 裏作 に緑 豆 , トウモ ロコ シ栽 培 が さかん で あ る ; ヴ ァ-テ イソル的低 地 土。 扇 状 地 Pf:水 田裏作 お よび畑 で の タバ コ, トウモ ロコ シ栽 培 が広 い; ヴ ァ-チ イソル。 中位 段丘 Tm:濯 翫水 田が広 い,広 域 に わた る方格 地 割 が 顕 著 で あ る;緩 波状 ; 鉄結 塊 を少 し含 む灰 色 ポ ドゾル性土壌 。 丘 陵 Hng: チ ー クの疎林 ,パ ル ミラヤ シが多 い, 天水 田広 い, おか ぼ, トウモ ロ コ シの栽 培 もあ る;新 第3紀 の堆 積 物 。 ボ ネ ・ワジ ョ平 野 潮 汐湿 地 Pts:マ ン グ ロ ーブ, 養魚池 ; 汽水 性堆 積 物 ;塩 鹸 性 ・含 硫 黄 性 グ ライ 低 地土。 氾濫原 Pfp:後 背湿 地 に は2回移植 法 を もつ水 田が広 い, 自然堤 防 は畑 地 と して 利 用 され,主 に トウモ ロコ シ,豆 類 の栽 培 が広 い;海 成堆 積物 を河 成 堆積物 が覆 う; ヴ ァ- テ イソル的 な グ ライ低地 土 , お よび泥 炭質 グ ライ低 地土。 閉塞低地 Pcp: 水 田 (減水 期稲);海 成

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古 川 :南 ス ラウ ェシの稲 作 景 観 堆積 物 を河 成堆 積 物 が覆 う; ヴ ァ- テ ィ ソル的 な グ ライ低 地 土 お よび レゴ ソル。 後 背低 地 Pbs: 水 田, その 中 にサ ゴヤ シ(sago,Metroxylon sp.)多 し;灰 色低 地 土。 谷 底低 地 Prv:水 田,丘 陵 の 中の浅 い谷 にあ る谷地 田。 海岸段 丘 Pmt:水 田; さん ご礁石 灰 岩 の 基 盤 を 1-2m の厚 さの粘 土 が覆 う; ヴ ァ- テ イソル, お よび ヴ ァ-テ イソル的 な褐色 の土。 丘 陵 Hng: 天 水 田が広 く, 裏作 に トウ モ ロ コ シ,豆 類 が栽 培 され る,高 い地形 面 に はチガ ヤ原 が広 が る;新 第

3

紀堆 積 物 ,波状 ;灰 褐色 ポ ドゾル性 土,谷 底 に はヴ ァ-テ ィソル。 ベ ロパ平 野 潮 汐湿地 Pts: マ ング ローブ;汽水 性 堆 積 物 ;塩 敵 性 ・含硫 黄 性 グ ライ低地 土。 氾濫 原Pfpl:上 流部 に は古 い水 田地 帯 が あ るが,中,下 流域 には新 開水 田が多 い, 低 み にはサ ゴヤ シ多 し;後 火 山化作 用 を うけた岩石 に由来 す る紫 褐色 の低 地土。 氾濫原 Pfp2: 同上 で あ るが土 の母材 が 異 な り, ふ つ うの低 地 土 群。 パ ロボ ・マ リリ平 野 潮 汐湿地 Pts: マ ング ローブが広 いが一 部 養魚池 の開設 が進行 して い る;汽水 性 堆 積物 ;塩 舶 性 ・含 硫黄 性 グ ライ低 地 土 。 氾濫 原 Pfp:湿地林 ,一 部 に焼 畑水 田, 下 流部 で はサ ゴヤ シの大群 落 が多 い; グ ライお よび灰 色 低地 土C 扇 状 地 性低 地

P

fl:相 対 的 に古 い水 田地 帯, 一 部 には濯概 2期作 水 田あ り;水 路 沿 い にサ ゴヤ シの大群 落 多 し;灰 白色 の レゴ ソルお よび灰 色低 地 土。 丘 陵 Hng:メ ラス トマ (MeZa∫lomasp・) の多 い薮 ;赤黄 色 ポ ドゾル性 土 (ア ク リ ソル)0 ポ レワ リ平 野 潮 汐湿 地 Pts:養 魚池 。 扇状 地 性低地 Pn:水 田, その 中 にサ ゴ ヤ シ多 し;灰 色低地 土。 山地 部 石 灰 岩地 帯 MIs: トウモ ロコ シの栽 培 が 重要 ,谷 底 には水 田が あ る; マ ンガ ン結 塊 に富 む石灰 成 土壌 が多種 類。 火 山性 岩石 地 帯 Mv:湧水 を利用 した 棚 田が広 い,水 田裏作 お よび傾 斜地 で トウ モ ロコシ栽 培 が広 い,高 地 で は コー ヒー 以 外 に各 種 の果 樹 が栽 培 され る。 丘 陵性 山地地帯 Mng: 南 部 山岳 地 域 で は天水 田の棚 田が広 い, 北 部 山岳 地 域 で は焼畑 の行 わ れ る疎林。 花 尚岩地 帯 Mgr:斜 面 で はキ ャサバ を焼 畑 で栽 培 し,草地 休 閑 を行 う,谷 底 には水 田,また斜面 に も棚 田が広 い場合 が あ る。 ⅠⅠ 代 表 的な稲作景観 ⅠLi パ ロボ ・マ リリ平 野 a)パ ロボ ・マ リリ平 野 の 四つ の地形 単位 ル ウ県 のパ ロボか らマ リリにまで広 が るパ ロボ ・マ リ リ平 野 はボ ネ湾 最 奥部 に面 し,南 ス ラウェ シの最 も大 きな平 野 で あ る。 その開 発 は最 も初 期 の段 階 にあ り,主 食 と して の サ ゴヤ シ- の高 い依 存度 , また焼 畑水 田がふ つ うにみ られ る。 この平 野 に は四つ の地形 単位 が認 め られ, それぞれ の環 境 と適 合 した農耕 空間 が み られ る。 平 野 に流 れ こむ諸河 川 は山地 を はな れた と ころで扇状地 性低 地 を形 成 す る。 そ して, そ れ らは, パ ロボ か ら シタ ン ドック (Sit an-duk) の間 の扇状 地 を除 くと, 灰 白色 の砂質 堆 積物 が多 い。パ ロボか らウォ トゥ(Wotu)に 至 る道 路 はいつ も これ らの扇状 地 性 低地 の扇 頂 部 を走 る。 そ こにはサ ッバ ン (Sabbang), マサ ンバ (Masamba)な どの古 い集落 が あ り,

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東 南 ア ジア研 究 20巻1号 漕 概水 田が ひ らかれて い る。 もっ と も し か し,水 路 沿 いや 山す そ にはサ ゴヤ シの大 群落 も多 い。 そ こは少 し雨 が降 る と じめ じめ した 湿地 とな り, そ こか ら流 れ 出 る水 は透 明な暗 色 で あ る。

平 野最 末端 部 はア ピア ピ (apiapi,Avice n-nz-a sp・), バ カ ウ (bakau,RhtzoPhora sp・), プダダ (pedada,Sonnerat3'asp・)な どの マ ン グ ローブ林 で密 に覆 わ れた潮 汐湿 地 で あ る。 この中 に は砂洲 の高 み にか な り大 きい集落 が 点 々 とあ り, 汽水 養 魚池 (empanglaut)を開 いて い る。 潮 汐湿 地 に接 した河成沖 積 最下 流 部 には, サ ゴヤ シの大群 落 が 自然堤 防沿 い にあ る。 こ の地 帯 で は,潮 汐 を利 用 した小 規 模 な潮 汐濯 概水 田が ご くわず か にひ らかれ て い る。 潮 汐地 帯 と前述 の扇状地 性 低地 の間 に は, 自然 堤 防 の発 達 す る中流域 が広 い。 そ こで は 集落 は自然堤 防 に沿 って並 び,後 背湿 地 に向 か って,木株 の残 る薮 と も農地 と も判 然 と し な い伐 開地 がの び る。それ は,後述 す るが サ ワ ー ・ラダ ン(sawahladang)とい う焼 畑水 田な ので あ る。さ らに奥 の後 背湿地 は,かつ て木 の 伐 採 が さかん に行 わ れた 名残 りを とどめて, 切 り残 された高木 が まば らに立 つ湿 地林 で あ る。 か くして こ こは,上 流 部 か ら並 べ て み る と, 水 田 とサ ゴヤ シの多 い扇状 地 性低地 ,林 で覆 われ 自然 堤 防 の発達 す る中流域, サ ゴヤ シの 群生 す る河成沖 積 最下 流部, それ にマ ング ロ ーブで覆 われた潮 汐湿地 とい う配列 にな る。 b)マ ラ ンケの潮 汐湿地

マ ラ ンケ (Malangke)郡 は クボ川 (Sungai Kebo) の河 口近 くにあ る。 そ こ厄 行 くには パ ロボか らエ ンジ ンつ きの ア ウ トリッガ ー船 で

1

時間半 , マ ング ローブ林 を左 にみて沿岸 を走 る。 マ ラ ンケ-入 る支 流 の河 口は砂 洲 が 東西 にの びて閉塞 されて い る。満 潮 を待 って 砂 洲 の狭 い切 れ 目を突 っ切 らね ば な らな い。 これ らの 砂 洲近 くには, 現地 で ビ ラ (bila) とよばれ る臥 が しか けて あ る。川 筋 に入 る と しば らくマ ング ローブ林 が続 く。 蛇行 の外 側 湾 曲部 は崖 がえ ぐられて, しば しば Rhz.20

-Phora や Sonnerazz'a の根 が宙 に ういて岸 か ら突 き出 して い る。 この川 筋 は砂 で埋 め られ つつ あ る。 そのた め,以 前 はマ ラ ンケ村 にあ った郡 役所 が, 港 と して の機 能 の低 下 のた め に, い まで はアマサ ンガ ン (Amasangan)部 落 に移 されて い る。 マ ラ ンケ 郡 は総 面 積 が 80,000ha,人 口 17,835人,戸数 2,330戸,水 田 3,349ha,畑 2,194ha,汽水 養魚池 2,416ha,淡 水 養 魚池 310ha で あ る。 河 口か ら約 2km 入 ると初 めて集落 が現 わ れ る。 トッケ (Tokke) 部落 であ る。 この部 落 はわず か に高 い砂 洲上 にあ る。 まわ りを耐 塩性 の かや つ り革 (Sc

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pu∫ sp・) の原 に囲 ま れ,水 田 は全 くな い。水 牛 もいな い。飲 料水 は川水 だが,上 潮 時 には塩 辛 い。 部 落 長 によ れ ば全 戸155戸 が漁業 に従事 す る。 生業 中最 も主 要 な もの は汽水 養魚池 で 飼 育 す る ぼ ら (M ugz'Z sp.) とえびで あ るO淡 水養魚池 で は ガ ブス (gabus,台湾 ど じょうの類,02h'ce -phaZu∫sp・),ム ジ ャイル (mujair,テ ラ ピアの

戟,TtZapz'a sp・) を飼 って い る。河 口の臥以 外 に, 沖合 に竹 製 のや ぐらに大 きな四つ手 網 をつ る した もの もあ る。 これ はボ ネ湾 沿岸 部 に数百 もあ る. 魚 は 鮮 魚 で パ ロ ボ に出す。 そ の 他 の 産 物 と して は 現 地 名 サ リサ リン (salisalin) の木 で作 った くり舟 が あ り, ワジ ョ地 方 -売 る とい う。主 要 な食 糧 は最 近 まで サ ゴヤ シでん ぷん で あ った。 C)河 成 沖積 最下 流部 くり舟 の底 を砂 で す りなが ら浅 い川 を さ ら に 1km 上 ると,突然 サ ゴヤ シの大群 落 が川 沿 い に現 われ, サ ゴヤ シでん ぷん と りが盛 ん に行 われ て い る。 ここはタ ッボ ン (Tappon) 部 落 で あ る。

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古 川

:

南 ス ラ ウ ェ シの 稲 作 景 観 マ ラ ンケの村 長 によれ ば,1975年 まで はサ ゴヤ シでん ぷん が村人 の主 食 で あ り,米 は主 と して祭儀 饗宴 に用 い られ るのみで あ った。 面 白い ことにサ ゴヤ シ大 群 落 は植 えた もの が 多 い とい う。卵 大 の実 を苗 床 に植 え, 1年生 の苗 を湿 地 に移植 す る。 早 い もの は7- 8年 で切 って でんぷん を とる。 と ころが, こ こ数 年 で事 態 が逆 転 して ,い まで は米 が主 食 ,サ ゴ ヤ シが補 助食 にな りつつ あ る。米 の生 産量 は 村 内で はた りな いので,移 住者 が進 ん だ米 作 りをや って いて米 の余剰 が あ るパ オ(Pao)村 か ら米 を買 って い る。 タ ッボ ン部落 まで くる と, サ ゴヤ シ群 落 の 背後 にかや つ り革 で覆 われた水 田 ら しき もの が 出 る。 この あた りで も川 は感潮 す る。 この よ うな立地 で は場所 を うま く選 べ ば潮 汐潅鶴 田をひ らき うるはず で あ る。 事 実,一 部 で は シ ドラ ップ(Sidrap)県 や タナ トラジ ャ (Tana Toraja) 県 か らの移 民 が潮 汐 を利 用 した 2期 作 港 鶴 田を 500ha ひ らいて い るとい う。 こ う した村 の一 つで あ るパ ンカ ジ ョア ン( Pang-kajoan)村 にあ る潮 汐濯 概 田の現 場 をみ る と, 水 路 にはニ ッパ や,耐塩性 しだ (二ミミモ チ シ ダ の類,Acro∫tz'chum sp.) が密生 して い る が 田面 は畦 で仕 切 られ, 立派 な水 田で あ る。 畦 の一部 を切 れ ば上 げ潮 時 には用水 が水 田 に 入 るよ うに な って い る。 この 移 住 者 た ち は 翠 , ま ぐわ を もち こみ, かや つ り原 を見事 な 水 田 に作 りかえて い る。 それ はマ ラ ンケ郡 全 体 と して の焼 畑 的 な景観 とは きわ めて異 質 な 一 隅 を作 って い る。 d) デ ル タ中流 部 タ ッボ ン部 落 か らは も う舟 は上 れ な い。川 岸 の サ ゴヤ シ林 が切 れ る と, その背後 には丈 の高 いかや つ り革 の原 が現 われ るo と ころ ど ころ にル ウ地 方 でパ ンチ ェ(bance)とよばれ る木 の切 り株 が立 って い る。 これ は湿地林 の 樹 種 で あ る。 わ れわれ が マ ラ ンケ を訪 れた1 月下 旬 , そ こに は全 く稲 わ らが見 当 らな いの だが, あ とで 聞 くとそ こはマ ラ ンケ部 落最 大 の水 田地帯 なので あ った。 タ ッボ ンの下 船地 点 か ら約2km,この水 田の近 くにマ ラ ンケ部 落 はあ る。 ここで も川 は少 し感潮 す るが,川 岸 は満潮水 面 よ り 1.5m 以 上 高 い。 ここは す で に中流域 の 自然堤 防地帯 で あ る。 部 落 の 中で土 をみ ると灰色 の砂 と青灰 色 の粘 土 (時 に有機 質粘 土) が互 層 をな し, 雲 母 の多 い 白 っぽ い河成沖 積堆 積物 で あ る。 村 の道 沿 い にはマ ンゴ, ドリア ン, ラ ンブ ータ ン, ラ ンサ ッ ト(Lan∫tum dome∫zz'cum)

な どの果樹 が多 い。集落 の まわ りは雑 然 と し た薮 で, メ ラス トマ, パ ンチ ェ, パ ンダ ン (Pandanu∫sp.)な どの若木 が多 く, その 中 に サ ゴヤ シが点在 す る。 高木 は切 り出 されて, な い。 薮 が 伐 採 されて 日当 りの良 くな った 部分 には, ち か ら し ば が 多 い。 厚 い根網 (rootmat) を作 る現 地 名 ベ ベス ク (bebesuk)

とい う しだの類 も多 い。土 の 中 に も木 や これ らの草 の根 が多 く走 って い る。 雑 然 と した薮 にみ え ると ころ は,歩 いてみ ると倒木 や盛 り土 で低 く畦 を積 ん だ部分 が あ る。 時 に は幅50cm,高 さ30cm もの土 壁 で囲 まれた 区画 が あ る。 その 内部 は伐 採 された倒 木 が積 み重 な って朽 ちか けて い る。 これ もあ とで 聞 くと水 田用 の区画 で,土壁 は水 牛 よけ な ので あ る。 事 実,疎林 の葉 陰 に は, た む ろ し, また草 を喰 む水 牛 の群 が多 い。 家 の近 くに多 い畑 は木 や竹 の厳 重 な柵 で囲 まれ, な す, うり, レモ ング ラス (Cymbopogonsp・), トウモ ロコ シ,キ ャサバ ,大 豆 ,バ ナ ナ,コ コヤ シの 宙, サ ゴヤ シの苗木 な どを植 えて い る。 先 に もふ れた よ うに, マ ラ ンケ村 で は5年 前 まで はサ ゴヤ シでん ぷん が主 食 で あ った。 しか し, 当時 で も少 しは米 を村 の まわ りの ラ ダ ン (lad礼ng),つ ま り焼 畑 で作 って いた。 そ の方 法 を聞 くと, 乾 期 に薮 を 伐 採 して 乾燥 し, 焼 いて1, 2月 にマ ッ トゥダ (mattuda) とい う掘 棒 で穴 をあ けて籾 を点 播 す る

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東 南 ア ジア研究 20巻1号 後 には同様 に トウモ ロコシをその間 に点 播す る。 播種後 はまわ りを柵で囲 み,水 牛 や動物 が荒 らさな い よ うにす る。 稲 は約6カ月後 に 穂刈 りナイ フで収穫 す る。

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作 す ると場所 を ほか に移 し, 1年休 閑 した土地 にまたパ デ ィ ラダ ン(padilad礼ng)を作 る。 これがマ ラ ン ケ部落 の伝 統 的な稲作 であ った とい う。 ここ でパ デ ィラダ ンとい う言葉 に注 意す る必要 が あ る。 イ ン ドネ シア語 のふつ うの用法 で は こ れ は 焼 畑陸稲 を 指 すの だが, マ ラ ンケの場 令 ,雨期 の雨 の本格 化 に伴 って この ラダ ンは 湛水 し,稲 は水 稲状 態 を経過 す るので あ る。 したが って, この稲作 は焼畑水稲 とい うべ き もので あ る。 さて, マ ラ ンケ村 で は最近5年来, 開 田が 著 しく,パ デ ィラダ ン以 外 に連年作付 す る水 田が 現 われた。 そ してそれ らの 中 には新 田 (sawahbaru)と熟 田(sawahlama)の区別 が あ る。 両者 の区分 は大変 明確 で,梨 のか け ら れ る田は熱 田, か け られな い 田 は 新 田 で あ る。新 田の耕作 は次 の よ うにす る。 まず薮 を 伐 採す る。草 が多 い とバ ラン (par礼ng,青竜 刀 に似 た刀) で刈 り倒す。雨 を待 って,1, 2月 に水 の制御 で きる立地 に催芽籾 を散播 し て苗代 を作 る。土 中 にはまだ木 の根 が多 く型 は使 えない 。 本 田 は鍬 で耕 して40日苗 を手 で 移植 す る。 新 田状 態 で3年経過す ると木 の根 も腐 り, 型 をか け られ る状 態 とな る。 つ ま り熱 田であ る。熟 田で は,雨期 の雨 を待 って型 を1回か け,20日後 にま ぐわを2回か け る。 その後 さ らに均平板 で均平作業 をす る場合 もあ る。移 植 は手 で行 う。 マ ラ ンケ にお け る農業 の変化 は上述 の よ う に急速 で あ る。 しか し,熱 田 はご く限 られた 面積 しかな い。1980年 の統計 によ ると,郡 の 全水 田面 積3,349haの うち熱 田 といわれ るも の は275haで あ って全 体 の10% にみたな い。 残 りは上述 の ど ときサ ワー ・ラダ ン (焼畑水 田) や それ とあ ま りかわ らな い新 田で あ る。 マ ランケ は古 くか ら水 牛 の産 出が多 い。 野 生状 態 に近 い水 牛 を飼 いな らして,水 牛 の需 要 の多 いタ ナ トラジ ャ県 へ送 った とい う。 多 い時 には,各 戸 が数十頭 の水牛 を もった と も い う。 こ うい う話 を聞 いて い ると, この地 区 の森林 の破壊 は焼畑 よ り も, こう した牛飼 い のための草地造 りのた め にな された ので はな いか とい う気 さえす る。 この ことに関連 して もうー っ見 お とせ な い の は, この林 に住 む人 々の生業観 には森林 産 物 の抽 出者 と して の性格 が強 い ことで あ る。 彼 らの稲作 は獣害 や水 害 な ど きわ めて不安定 で あ る。 収穫 がな い時 はど うす るのか と聞 く と,米 が と れ な くて もサ ゴヤ シが あ るか ら 困 らな い とい う。 森 の 中 - ダ マ ール (dam一 mar,AgatJiZ.ISP・)の樹 脂 や藤 を とりに行 って もよ い し, カユ ヒタム (kayuhitam,黒檀, Dz

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o功 ′ro∫ sp.) を切 り出す仕事 もあ るとい う。 伐 採跡地 の焼 畑 には,比較 的歩 の良 い作 物 の一 つ と して, ほかの作 物 と一緒 に稲 も混 植 す るので あ る。 e)扇状地性低地 パ ロボ ・マ リリ平野 には一部建 設済 み,覗 在 計画 中, と りまぜ て 多 くの 津概計画 が あ る。 ラマ シ(Lamasi,計画面積10,100ha),マ カ ワ (Makawa,3,300ha),トゥブ ・ア ンパ ッ ク(Tubu・Ampak,2,200ha),ロ ンコ ン( Rong-kong,40,500ha),バ レア セ (Balease,36,700 ha),カ ンジロウ(Kanjiro,1,500ha),ボ ネボ ネ (Bonebone,1,900ha),ラ ンウオ(Lanwo,5,000 ha),セ ンゲ - (Senggeni,1,900ha), トモニ (Tomoni,1,500ha),カ ラエナ(Kalaena,23,300 ha)の諸計画 で あ る。 これ らはいず れ も扇 項 部 に取水 樋門 を もち,緩 い勾配 の扇面 にあ る 水 田を港概す る もので あ る。 この扇状地性低地 の扇項 部近 くの水 田 は比 較 的古 くか らひ らけ, ボ ネボ ネ, サ ッバ ン, バ トゥシタ ン ドック(BatuSitanduk)にはす

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古 川 :南 ス ラウ ェシの稲 作 景観 で に2期作 もかな り広 い。耕作 主体 も土着 の 人 々だ けで な く, 山地 か らお りて きた人 々, ブ ギ スの 自発 的移住 者,バ リ, ジ ャワか らの 移 民 あ りと, 多様 で不 均質 な地 域 で あ る。 水 田 と同時 に小川 沿 いや山す その低 み に は サ ゴヤ シが多 い。 ウォ トゥの郡 長 によれ ば, こ こもや は り

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年 まで はサ ゴヤ シが主 食 で あ った し, い ま も ウォ トゥな どで はその住 民 の

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割 はサ ゴヤ シを主 食 と して い る とい う。 サ ッバ ン周辺 でみ る水 田 は, い ままで みて きた下流 部 , 中流 部 の もの に比 べ ると, きわ めて立派 な もので あ る。 その稲作 は次 の よ う な もので あ る。 型 で土 をお こ し, ま ぐわ を2 回 か けて

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月 に手 で移植 す る。 苗代 は本 田を短冊状 に区切 り,催 芽 籾 を散 播 す る。伝 統 種 は播種後 収 穫 まで

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カ月 で あ る。

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期 作 を行 う場合 は12月 か ら5月 まで に雨 期作 , 6月 か ら

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月 の問 が乾 期作 で あ る。 この地 域 で は型耕 が一般 的 で あ るが, 蹄餅 を行 う村 もか な りあ る。 例 え ば サ ッバ ン郡 ラ

ンテマ リノ (Rantemalino) 村 はその一 例 で あ る。 この村 の住 民 は ロ ンコ ン川 を さか の ぼ った 山間盆地 にあ る リンボ ン (Li-bong)郡 か ら

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年 に移住 して きた人 々で あ り, 蹄耕 を山地 か ら低 地 - もち こん だの で あ る。 その 水 田 はサ ゴヤ シで ふ ちど られた川 と川 に は さ まれ る広 い後 背低地 にあ り, わ れ われ が そ こ を訪 れた11月初旬 には一面 の草原 で あ った。

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年 の移 住 当時, この水 田 は高木 の林 で あ った が, それ を伐 開 して数年 の間 は鍬 で耕起 し掘棒 で移植 した。 や がて牛 がふ えた ので,

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年 か らは故郷 で行 な って いた蹄耕 を始 め た とい う。 型 を使 わず,

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頭 前後 の牛 を水 田 にお い こん で草 をふ ませ,土 塊 をふ み まぜ る 地 拾 え法 で あ る。雨 で水 田 に湛水 す るの を待 って水 牛 をお い こむ。 蹄耕 は1週 間 お いて2 回 目を行 う。 これで草 はふ み こまれ,乾 期 に 大 塊 でやや 固結 して いた土 が泥状 にな る。 こ の あ とさ らに鍬 で 田面 を うって草 と土 を よ く まぜ る こと もあ る。 そ して最 後 に, レムバ ン ゲ ニ (lembangeni,板 を 曲げた だ けの 田ぞ り) で均乎作 業 をす る。 土 が十 分 泥状 になれ ば手 で移植 す るが,土 が 固 い と掘棒 で穴 植 えす る。 苗代 はふ つ う陸苗代 で あ る。 しか し,水 苗代 もあ る。 また, す ぐ隣 の マサ ンバ で は散 播す る こと もあ るとい う。 扇状 地 性低地 には中,下 流域 と比 べ る と古 くて立 派 な,果 樹 園 に囲 まれた集落 が多 く, こ こは居 住 空間 ,交 易 の要 と しての適 地 で, 古 くか ら人 間 が集 ま り,稲 作 はい きお い早 い 段 階 で毎 年 同 じ土地 を くりか え し耕作 す る, いわ ゆ るふ つ うの水 稲 が確 立 して いた よ うで あ る。 ⅠLii 中央堆積 盆地 域 a)テ ンペ, シデ ンレン湖 周辺 の減水 期稲 北部 と南 部 の両 山岳 地域 の間 の 中央 堆積盆 地 域 に は, い ま もテ ンペ湖, シデ ンレ ン湖 な どの 湖盆 が残 り, ピ ンラ ン と チ ェ ンラナ (Cenrana) をつ な ぐ東 西 の低 地 帯 の あ ち こち には若 い海 成堆積 物 が顔 を 出 して い る。 かつ て の マ ンカ ッサル 島 (Pulau Mangkassar)と ス ラウ ェシ本体 を分 けて いた海 が湖 盆 と して 残 って い るわ けで あ る。 シデ ンレ ン湖 に は北 部 山地 か らの水 が, テ ンペ湖 には南 部 山地 の 水 が流 れ こみ, チ ェ ンラナ川 で ボ ネ湾 -排水 され る。 と ころが, シ ンカ ンとパ ンパ ヌア (Pampanua)の 2カ所 に狭 搾 部 が あ るた め に 湖 の水 は円滑 に排水 されず, 高水 期 の水 は浅 い皿状 の湖 盆 か らあふ れて まわ りの低乎 な平 野 に湛水 す る。 遊水 地 と して の役割 を果 たす この土地 は ウ ィロ ンク ッパ レン (wirongt ap-pareng) とよばれ, 乾 期 に干 上 が った沃野 は以 前 トウモ ロコシの- 大 産地 で あ った。最 近 , 上 流部 の 森 林 伐 採 の進行 で 出水 が早 ま り, トウモ ロコ シの植付 け は減少 し生 育期問 の短 い縁 豆 が増加 した。緑 豆 の収穫期 には季 節労 働者 用 の小 屋 が平坦 な沃野 に点 々 と出現

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東 南 ア ジア研 究 20巻1号 す る。乾期 にそ こを歩 くと広大 な緑豆畑 の中 に魚網 が突 っ立 つ奇妙 な景観 が 現 出 して い る。 こう した遊水地 に接 す る水 田 は減水 期稲 を栽 培 して い る。 一 つ の例 は シデ ンレン湖 の西岸 , テテア ジ

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村 で聞 いた もので あ る。 西 には酸 性凝灰石 の丘 陵 があ る。 それ は東-次第 に低 くな り, 白砂 が沖積 ・崩積性 の緩 い斜 面 に堆 積 して い る。 シデ ンレン湖 に近 づ くとその上 に暗 褐色 の粘土 が堆積 す る。 この湖成粘土 が 出現 し始 めた部分 か ら湖岸砂丘 までの約

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m の低地 が減水 期稲地帯 で あ る。 われわれ が訪 れた

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月下旬,湖面水 位 は この粘土 の 出 現位 置 よ り高度 に して 2m はど下 にあ った。 この地域 の降雨型 は混交型 で,5月 と 1月 の2回雨 の ピー クが あ るが南東 モ ンスー ンの 雨 が多 く, 集水域 も同 じく5月 に雨 の ピー ク を もつ ので,湖面 は

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月 か ら上 が り始 め,

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月 か ら8月, 時 には9月 まで変 動 しなが ら高 水 期 を経 過 す る。 この間,上 記 の水 田 には植 え付 けで きな い。湖面 が下 り始 めた時期 を狙 って,

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月 に苗代 を作 り,

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月 に植 え付 けて,12月, 1月 に収穫 す る。 この よ う な慣行 は周囲 の稲作 が4月 に始 ま るの に比 べ ると全 く異 な る。湖面 が高 か った年 は当然植 付 け は遅 れ る。 そん な年 には雑草 も少 な いの で型 をか けず にま ぐわで土 をか くのみで植 え 付 け るとい う。 普通年 には型 を2回, ま ぐわ を1- 2回か け る。草 の多 い時 は,初 め にバ ランで草 を刈 り倒 す こともあ る。 植 え付 けて 成 育後期 に入 ると, 湖面 は低下 し 田面 は 乾 く. この時,北西 モ ンス ー ンの雨 が同調 して くれ ば収穫可能 とな るとい う。 最近 は北西 モ ンス ー ンの稲作 用 に淳翫水 が 配水 され るので11月 か ら3月 に港概稲作 を行 い, その後 4月 か ら8月 まで南 東 モ ンス ー ン の雨 で1作 す る2期作 が始 ま って い る。 しか し, この場合,南 東 モ ンスー ンの不安定 さが 問題 で あ るとい う。 例 えば1979年 は6月 に2 mの高水 で冠水 し,収穫 が全滅 した。他 方, 水 位上昇 を見 こんで いて も水 位 が上 が って こ な い, あ るい は雨 が降 らな いた め に早 ばつ害 を うけ ること も多 い。 ほかの例 をみ よ う。 かつて の ワジ ョの王城 の地 トソ ラ

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は,鯨 の背型 の緩 や か な台地 の上 にあ る。 そ この小 さい鉄 コ ンク リ - シ ョンの 多 い 砂 土 の 棚 田をふんで ク リボ ロ ン

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湖 -下 ると, そ こには

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月初 め ごろ に刈 った と思 われ る稲株 が広 い。 表層

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は大塊状 にひび割 れた暗褐色 の粘 土, その下 に砂層 を はさんで さ らに下 の粘土 は灰黄色 の基地 にた くさんのパ イプが入 る。 この粘土 にはキ ラキ ラ光 る小 さい石 膏 の結 晶 が析 出 して い る。海成 の堆積物 で あ る。 テ ン ペ湖 の まわ りの土 もこれ によ く似 て い る。 住 民 に聞 くと,台地 の上 の棚 田 は4月,5月 に植 え付 け るが,湖 の周 囲 の低地 はその時 ま だ深 く湛水 して い る。雨 が終 り,湖面 の水 もひ き始 めた6月,7月 に初 めて植 え付 け る。稲 は 伝 統 的な

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にな る長梓種 で あ る と い う。 この事 例 も明 らか に減水 期稲 で あ る。 b)チ ェ ンラナの高水 回避型稲 チ ェ ンラナ川下 流部 , ワ トゥ川 (S.

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が分 流す るあた り,上 げ潮 がか ろ う じて 田面 に入 る レア

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村 まで くると,

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回移植 が行 われ る。 自然堤 防沿 い に濃 い縁 の影 をお とすバ ナナ園 の 中で, 農民 か ら聞 いた稲作 の 状況 は次 の とお りで あ る。苗代 は3月 に この バ ナナ園 を鍬 で耕 して散 播 し陸苗代 を作 る。 稲 品種 は現地 名 サ ウ ィ

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とい う品種 群 で, これ は後述 す るチ ュ ンラナ川河 口部 のパ リマ

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村 で栽 培 す る耐塩性 品種 と同 じで あ る。 苗 がのびて くるころ本 田 に も水 が た ま るので移植準備 にかか る。 村 の す ぐ背 後,密生 したかやつ り革, よ しな どをバ ラ ン で刈 り倒 し, ひ っか け棒 で集 めて畦の上 に積 む。 土 の表面 を浅 く鍬 で けず り草 の根 をお こ して足 でふ み こむ。 これで地 拾 え ば完 了。 陸

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古 川 :南 ス ラウ ェシの稲 作 景観 百 代 で

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日経 過 した宙 を移植 す る。 この 時, その年 の水 の状 況 に よ って2回移植 をす る場合 と しな い場合 が あ るとい う。 2回移植 の場合 は本 田中の第 2苗代 に移植 し, そ こに

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日ほどお く。移植 に は土 の 固 い と ころで は 掘棒 を使 う。 要 す るに,年 々の水 状 況 に応 じ て4月 に移植 す る場合 や, 1度 ク ッシ ョンを お いて2回移植 を し5月 に本移植 をす る場合 が あ るので あ る。 5月,6月 に しば しば洪水 が稲 を全 滅 させ る ことが あ る と もい う。 この 洪水 は テ ンペ湖 の 高水 , 南 東 モ ンス ー ンの 雨, それ に上 げ潮 が重 な った場合 に生 ず る。 チ ェ ンラナ川 の 自然堤 防 は高 くて 堅 固 で あ る ので, こち らか らは水 は こな いが,南 に分 流 して い るワ トゥ川 の方 か ら洪水 が くるので あ る。 自然堤 防上 の集落 か らワ トゥ川 まで の後 背 湿 地 は全 面 が水 田 に利 用 され て い る。 集落 の 近 くで は

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筆 が比 較 的小 さ く, まわ りに広 幅 の畦 を め ぐ ら して そ こにバ ナナを植 え こん で い る。 田面 にはかやつ り革 が密生 す る。 この あた りは, いわ ばバ ナナ畑 と水 田の混在 地 で あ る。 背後 の後 背湿地 が水 田 と して利用可 能 とな るまで は, このあた りが唯一一の水 田立地 で あ った らしい 。 さ らに ワ トゥ川 に沿 って歩 くと, 土地 は次 第 に低 くな り1筆 が大 き くな る

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ほどの高 い畦 が ち ょうど小型 の輪 中堤 の よ うに

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間 隔 で作 られて い る。 こ の大 畦 の上 には コ コヤ シが植 え られ て い る。 田面 はか やつ り革以 外 にカ ング ク ング( kang-kung)とい うさつ まい もに似 た もの が密生 し て い る。 この葉 は野菜 と して たべ る。 この あ た りで は表土 は暗色 , 粒状 構造 の発 達 した粘 土, 下 層 部 は明赤 褐色 斑 の あ る塑 性 の強 い灰 色 粘土 で,河 海両堆 積性 (fluvio一marire) 粘 土 と思 われ る。 さて ,以 上 に記 述 した稲作 は,梨耕 を しな い 良, バ ラ ンとひ っか け棒 によ る整地 ,掘棒 を 使 うことな ど, 明 らか に無 型耕 稲作 で あ る。 連 年植 付 け によ る土 の 中の有機物 の消耗 は生 じて い るが, モ ンモ リロナイ ト粘土 と高 い石 灰含 量 に起 因 して表土 は粒状 構造 を保 持 して い る。 一 般 に,低 湿地 で の無 型耕 稲作 は減水 期稲 稲作 法 との強 い関連 を もって い る。 こ こで述 べた レア村 の稲作 も減水 期稲 自体 で は な い が, それ との関係 が深 い。2回移植 す る年 も しな い年 もあ るとい う農 民 の言 葉 は, その こ とを暗示 して い る。 本 田 に作 る2回 目の苗代 は,本 田の冠 水 の危 険 が ほぼ な くな るまで の 待機 期 間 の役 割 を果 た して い るので あ る。 C)パ リマの耐塩 性稲 と2回移植 上 げ潮 時 にせ き上 げ られ た川水 が 田面 に入 る水 田 は南 スマ トラに広 く, そ こで はサ ワー ・パ サ ンスル ッ ト(sawah pasang surut)と よばれ る。潮 汐濯 鶴 田の意 味で あ る。 南 ス ラ ウェ シの潮 汐湿 地 で は, チ ェ ンラナ川 の下 流 部 のパ リマ にサ ワー ・パ サ ンス ル ッ トと意識 され る水 稲 栽 培 が あ る。 パ リマ村 の集落 の位 置で は,雨期 稲1作 の潮 汐濯 鶴 田 と,田面 の ま わ りに満 を掘 って雨 期 の稲 ,乾 期 の ぼ ら養魚 を行 う二重機 能 の潮 汐濯 鶴 田が可能 で あ る. パ リマの潮 汐湿地 の堆 積物 は きわ めて若 い 海成 の堆 積物 で あ り, 全 く未 熟 な (unripe) 柔 らか い粘 土 で あ る。 この村 で定着 調査 を行 な った桜 井 由窮雄 に よ ると, 乾 期 の上 げ潮 時 の チ ェ ンラナ川 の水 は とて も塩 辛 い とい う。 た しか に, 潮 汐濯鶴 田の稲刈 り株 は半 分 溶 け た状 態 にあ り, 塩分 濃 度 の高 い水 腐 地 で あ る ことが判 る。 非 作付 期 の

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月 初旬 に採 取 した 水 田の土壌 試料 につ いて 電 気 伝 導 度 を測 る と,表土 で

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ミ リモ ー

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下 層 で は

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ミ リモ ーで あ る。 標 準 的 な海水 の値 が

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ミリモ ー前後 で あ るので,表 土 中の塩 濃 度 は お よそ海水 の

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,下層 で は

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強 とな る。 土 は暗青灰 色 で,検 土杖 でか きまぜ ると硫 化水 素臭 が強 い。稲 の根 は大抵 が黒 くな って い る。 下層 で は泥 炭質 にな り,土 はやや褐色

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東 南 ア ジア研 究 20巻1号 味 をおび る。 それ を乾燥 す ると pH (水 叶ん 濁) が3.3-3.6で あ る。 この種 の土 は FAO ・UNESCO 土壌 名で は Salic,thionicgle y-solに当 る.塩 鹸性 ・含 硫 黄 性 グ ライ低地土 で あ る。 作付期 には降雨 が 田面 に湛水 し,上 げ潮 の 水 も塩分 が薄 くな るとい うことだか ら,少 な くと も作土 の塩分濃度 は下 が る もの と思 われ る。 しか し, す ぐ下層 には塩 が ス トックされ て お り, ここの稲作 は塩 の問題 に対処 す る技 術 を もた ざ るをえな い。 最 初 の 苗 代 は 上 流 部 の イ ン ドリンバ ン (Indolimbang)や チ ェ ンラナ にあ り, 2月 に 播種 して,40日はどの宙 を村 に運 び本 田近 く の第 2苗代 に大株 で植 え る。 そ こで さ らに1 カ月 お いて4月 中旬 に本移植 す る。本移植 の 時期 はち ょうど雨 の ピー クに当 る。本 田 は型 もま ぐわ もか けな い。 わず かの草 は手 で簡単 に と り除 け る。 乾 期 の上 げ潮 を入 れ ると革 が 死 に, ぬ いた草 は 田面 の あ ち こちにその まま 積 んで お くと腐 って良 い肥料 にな るそ うで あ る。 9,10月 に穂刈 りナイフで収穫 す る。 品 種 は現地 で サ ウィ,クニ ン(kuning)とよばれ る伝統 的長梓種 で あ る。 サ ウィは耐塩性 品種 で あ るとい う。2回移植 の理 由 と して苗代 用 地 がな い,種 籾 の量 が少 な くて済 む,良 い苗 が作 れ る, とい うの をあげ る。 この塩鹸性 の 強 い土地 で は,雨期 の雨 が本格 化 す るまで は 苗代 用地 はた しか に限 られて い る。 しか し, もう一 つの多分 によ り重要 な理 由 は,移植 は 本 田の除塩 が進 み淡水 が湛水 す るまで待 つ必 要 が あ る ことで あ る。 そ して, その時期 は年 によ って変 化 す るので,

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回移植 とい うク ッ シ ョンをお いて調節す る必要 か らだ。要 す る に,塩分,年 によ って変 動す る水 条件,雨期 の深水 とい う特殊条 件 に適応 す るた め に出て きた のが耐塩性 品種 と2回移植 とい う技術 な ので あ る。 Ⅰトiii 寡雨火 山台地 a)散 播水 稲耕作 石 灰質 の丘 陵 と火 山台地 ,火 山扇状地 が広 い ジェネポ ン ト県 か らブル ク ンバ県 の南岸 降 雨型地域 は,年 降雨量 が1,000mm 前後 ,4 月 か ら11,12月 までの長 い乾 期 を もつ地域 で あ る。 しか も降雨量 は年 々の変 動 が大 きい。 この乾燥気候 はフロー レス海 に うかぶ小 ス ン ダ の島 々と共通 の もので あ る。 傾斜丘 陵地 にはパ ル ミラヤ シ, マ ンゴの木 がパ ー クラン ド的景観 を作 る. 開析谷 に面 し た急斜面 には畑 が広 が る。10月 中旬 に暗色大 塊 の土 を鉄 の刃先 を つ け た 掘 棒 (現地 名 を malang とい う) でお こ し, トウモ ロコシ, ピーナ ッツを混植 す る。 トウモ ロコシは

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月 に, ピーナ ッツは2月 に収穫 す る。 その後 も う

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度 トウモ ロコシを まいて,

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月 まで に収 穫 す る。 東 の ブル ク ンバ で は南 東 モ ンス ー ン の影響 を うけて2作 目は5,6月植 え,8,9 月収穫 とず れ こむ。 緩 波状 の火 山台地 ,火 山扇状地 には火 山岩 の 巨磯 が ゴ ロゴ ロと転 が り,乾期 には大 き く ひび割 れた土 が露 出 して い る。 ジェネポ ン ト か ら北 へ火 山 に向か うと鉄平石 の石 囲 いの畑 が広 く, トウモ ロコ シ, キ ャサバ, ピーナ ッ ツ, 緑豆 な どの 畑作物, カ ミ リ (kemiri, AZeun'te∫ moZuccana), カポ ック, マ ンゴが その 中 に立 って い る。 この よ うな畑作景観 が 南岸一帯 に広 く分布 す る。 これだ け厳 しい乾燥 に もかかわ らず,火 山 台地,火 山扇状地 には低 い畦 を もつ緩 やかな 棚 田が広 が る。 しか し, それ は散播稲 がかな り多 い。ジェネポ ン 下県 の農業 普及局 (Dinas Pertanian Rakyat)の職 員 によ ると,彼 が11 年前 に当地 に赴任 した時, その稲作 は100パ ー セ ン ト散 播種 で あ った とい う。 現在 も1/3 程度残 る天水 田 はすべ て 散 播法 を 行 う と い う。 散播水 稲栽培法 は現地 で タブ リ (taburi) とよばれ,移植法 と区別 されて い る。

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古 川 :南 ス ラウ ェシの稲 作 景観 以 下 はわれ わ れ が実見 した栽 培現 況 の 2例 で あ る。 まず , ジ ェネ ポ ン ト県 ビナ ム (Binamu)那 のパ ビ リンガ (Pabiringa)村 で あ る。 この村 は315haの水 田 を砂丘 北 側 の後 背低 地 に も っ て い るが, そ こはす べ て散 播稲 で あ る。 潅 沌莞 水 路 は全 くな く, 完 全 な天 水 依 存 で あ る。水 田の ほか に は火 山台地 ,丘 陵地 ,砂 丘 に 1,075 haの畑 地 を もち, ピーナ ッツ, 緑 豆 ,玉 ね ぎの生 産 が多 い。 後 背低 地 の水 田の土 はヴ ァ- テ ィソル, グ ル ム ソル な ど といわ れ, 暗 色 の 細 粒 質 な土 で, 表 面 に粒 状 構 造 が発 達 し, 乾 期 に は地 表 か ら40-50cmの深 さまで幅5cmもの亀裂 が 生 じる。 乾燥 期 間 の顕著 な気 候下 , 石 灰 質 な 土地 に広 く分 布 す る もの で あ る。 亀 裂 で 区切 られ た土 塊 は30cm く らいの大 塊 で岩 石 の ご と き状 態 とな る。以 下 に聞 き と り内容 を記 述 しよ う。 11月 か ら雨 が 降 り始 め,12月 中旬 に はモ ン ス ー ンの本格 的 な雨 が くる。 ひ び割 れ た大 塊 の土 は表 面 が次 第 に細分 化 し,4日ほ ど雨 が 続 くと地 表 部 の亀 裂 は閉 じる。 さ らに10日間 雨 が続 くと, 内部 の亀裂 も閉 じて 田面 に水 が た ま る。 す る と, 畦 ぬ りを して水 牛 2頭 び き の型 を1回 か け る。 2日後 に ま ぐわ を1回 か けて均 平 , 砕 土 を行 う。 雨 が 強 い と湛水 が15 cm に も達 す る。 その場 合 は ま ぐわ か けの能 率 が悪 くな るの で, 表面 排 水 して ひ た ひ た程 度 の 湛水 にす る。 これ だ けの簡単 な作 業 で岩 塊 状 で あ った土 塊 が泥 とな る。 この粘 土 の比 較 的簡 単 な軟 化 は, この土 が ソーダ の多 い ヴ ァ-テ イソルで あ る こ と と関係 して い る と思 わ れ る。 ま ぐわ で と ころ ど ころ に集 めた草 を 運 び 出 して 畦 に積 む と地 拓 え は完 了。 この泥 土 の上 に稲 籾 を散 播 す る。 籾 はか ごに入 れて 一 晩水 漬 け し,バ ナ ナ の葉 で くるん で乾 か な い よ うに 2日間 お き, 発芽 され た も の を 使 う。 表 面 排水 して水 を切 った泥 状 の 田面 に散 播 し, 暫 時 その ま ま にお いて の ち, 田面 に湛 水 す る。 3,4日後 に また 表面 排 水 す る。 苗 立 ち後 はで き るだ け湛水 して お く。

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カ月 後 に除草 す るが,草 はあ ま り多 くな

い。

3月 ご ろ に は上 流 か らの押 出 し水 で高 水 にな る こと が あ る。1977年 に は1.5m は ど冠 水 した こと が あ る。 しか し, す ぐに減 水 す るの で 問題 は な い。 4月 にな る と田面 の水 はな くな る。 収 穫 は穂刈 りナ イ フで行 う。 生 育 期 間 は, ジ ャ ラ (jarra)とい う無 空 う るち 品種 の場 合 100 日,ブル ッ トレレ ン(pulutleleng)とい うも ち種 で120日で あ る。前 者 は暑 い気 候 に対 す る 抵 抗 性 が殊 に強 い とい う。 収 穫 した刈 穂 は大 か ご に貯 え る。 脱 穀 は長 い舟型 の 臼 とたて 杵 で行 う。 以 上 が散 播水 稲 栽 培 法 の概 要 で あ る。 散 播 を行 う理 由 は, 降 雨 期 間 が限 られ て お り, 港 概水 もな いの で, 苗代 を作 る こ とは水 経 済 の 上 か ら無駄 だ とい う点 にあ る。 濯 概水 - の願 望 は苗代 用水 , 植 付 け水 を確保 した い とい う ことに尽 き る。 実 際, このパ ビ リンガ村 の す ぐ近 くの プ ロプ ロ (Bulobulo)村 で は この こ とが実 現 され, 移 植 - の変 化 が進 行 して い る ので あ る。 b) 濯 慨 の進 行 と移 植 水 稲 - の移 行 ジ ェネ ポ ン トの新 集 落 か ら2km 東 を南 下 した と ころ にプ ロプ ロ村 が あ る。 こ こに は ク ラ ラ港 概 網 がオ ラ ンダ 時代 か らあ ったO ク ラ ラ川

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S.

Kelara)は ロム ポバ タ ン火 山 か ら流 れ下 る川 で, その 谷 は火 山 山麓 を深 く刻 み こ ん で い る。1967年 ク ラ ラ 濯 翫 網 の 修 復 が行 わ れ た が, 移 植 栽 培法 を可 能 とす るに は至 ら な か った。1970年 に もまだ ほ とん ど散 播水 稲 で あ った。 しか し,1975年 にな ると火 山台地 の上 を流 れ る ジ ェネブ ン トゥル (Jene Bun-tulu)川 沿 いの浅 い谷 に 移 植 法 が25パ ー セ ン トほど行 わ れ,1979年 に は飛 躍 的 に普及 し, 1980年 は90パ ー セ ン トが移 植 法 で行 わ れ る こ と にな った とい う。

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東 南 ア ジア研究 20巻1号 プ ロプ ロ村 で の散播水 稲栽 培法 は,荊述 の パ ビ リンガ村 での方法 とほぼ同 じで あ る。 栽 培 品種 は現地 名で バ ッカ (bakka), パ ンダ (banda),チ ョボ (cobo)で あ る。 チ ョボ は120 日種 で最 も早稲種 で あ る。一方 ,移植栽 培法 で は新 品種 が使 われ,苗代 は本 田 に作 る。12月 15日に苗代 に播種 を し,25日宙 を植 え付 けて 4月 に収穫 す る。 地 拾 え法 は散播法 の場合 と 同 じで あ る。 火 山台地上 を流 れ るベ ラ ンブ ン トゥル( Be-rang Buntulu)川 沿 いの稲作 風景 は奇妙 な も ので あ る。移植用 の苗代 と散播 田が混在 し,敬 播 田はいわ ば極端 に薄播 きの百代 にみえ る。 両者 を区別 す るの は必 ず しも容 易 でな い。農 業 普及員 の話 で は,雨 の多 い年 は除草 時 にま び き移植 とで もい うべ き作業 を行 うとい う。 水 の多 い年 には,普通年 には作 らな い水利 の 便 の悪 い高 みの 田 に,低 みの 田で まび いた若 い稲 を移植 す るとい うことで あ る。1筆 の 田 の 中で も播 き方 の厚 ,港,酉立 ちの良 ,不良 が あ り,密椿 の部分 か ら薄 い部分 にまび いて 補植 す る場合 ももちろん あ る。各筆 の栽 培法 には, した が って,散 播 と苗代移植 を両極端 と し, その間 には散播 田か らの まび き移植 , 1筆 内での補植 な ど,水状況 に応 じた差異 が こまか いモザ イ クで入 り組 んで い るのが実態 で あ る。 この地域 の濯概 の様 態 には3種 類 が認 め ら れ る。 一 つ は ク ララ港鶴綱 の よ うに大規模 な 施設 を作 る もの,一 つ はベ ラ ン (berang),ピ タ ラ(pitara)な ど,火 山台地上 を流 れ る小水 路 によ るもの,そ して ポ ンプ港概 であ る。ベ ラ ン, ピタ ラはク ララ港概計画J以前 か ら農民 レ ベルで利 用 されて いた もので あ る。 その水源 は,火 山山麓 を流 れ下 る伏流水 が火 山台地 に 至 って湧水 と して地表 に現 われ るのを利用 し た ものであ る。 乾期 は完全 な水 な し川 で あ る が,雨期 にはかな り強 い水流 とな る。 ク ララ濯魁 は本格 的 な雨 の始 ま る前 に苗代 用水 を もた らし, また, きま った時期 に植付 け水 を配水 す る ことによ り移植 法 を可能化 し て きた。 ク ララの水 はまた播種 時期 をいつ ま での ぼせ るか とい う点 に も利 いて い る。従来 の散播法で は雨 を待 って2月 に 散 挿 した 場 令 ,4月 に至 って枯死 す る も の が 多 か っ た が, ク ララの水 が きてか らは, そ うい う早 ば つ害 もきわ めて少 な くな った とい う。 潅概 の 進行 に伴 うもう一 つの変 化 は畑はゝら水 田- の 変 化 で あ る。 かつ て はアサ ム (asam, Tama-rz'ndu∫indz'ca)の木 が多 く, トウモ ロコシな どを作 って いた ところが散播 田 にかえ られた り して い る。 さて, ジェネポ ン ト地域 の散播水 稲栽培 の 来 歴 につ いて は明確 な資料 はな いが,示 唆 的 な事柄 を指摘 して お こう。農民 に,トウモ ロコ シ畑 に陸稲 を穴 播 きで栽 培 で きるので はな い か と問 うと,その答 は否 で あ る。おかば には土 地 が暑 す ぎるとい う。 これ は耐早性 の点 で陸 稲 が この土地 に合 わな い ことを指 す ものだ ろ う。 また,散 播 田 に トウモ ロコ シを栽培 で き な いか と問 うと,答 は再 び否定 的 で あ る。 不 可能 で はないけれ ど も, その場合 は掘棒 で大 塊 の土 を掘 りお こさね ばな らな い し, これ は 大変 な労力 の い る ことだ とい う。 した が っ て,一旦水 田 にかえ ると, もうそ こは散播水 稲 を

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作 す るのみで あ る。 つ ま り,稲 と トウ モ ロコ シの立地 は明確 に区別 されて い る。 こ の ことは, この火 山台地 の農耕 が トウモ ロコ シ,稲 の混播形 態 を もって いなか った ことを 示 して い る。掘棒 を使 う トウモ ロコシ畑 か ら 散播水 田-, そ して さ らに移植水 田へ の変 化 が, この南岸地域 にお け る土地利 用 の主 要 な 変 化 だ ったので あ る。 Ⅰトiv 石 灰岩 山地 a) ブチ ピ (Taccipi)地 域 の蹄耕 ボ ネ県 の県都 ワタ ンポネ (W atampone)か ら西へ走 る国道 は,緩 波状 の海岸段丘 をす ぎ

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古 川 :南 ス ラ ウ ェシの稲 作 景観 るとす ぐ丘 陵台地 に広 が る水 田地 帯 の 中を走 る。 11月 中旬 には これ らの水 田 は乾 き 切 っ て, 点 々 と立 つパ ル ミラヤ シの下 には稲刈 り 株 も少 な い。11km走 ると南 北 にの び る石 灰 岩 山地 にかか る。 土 は暗 褐色 や赤 褐色 の石 灰 質 な もの とな り, パ ル ミラヤ シ が 一 段 と増 す。石 灰 岩 を積 ん だ石 垣 囲 いの傾 斜地 にはカ ポ ック, コ コヤ シ, マ ンゴ,バ ナナな どの下 で タバ コ, トウモ ロ コシの収 穫 が行 われて い る。 また, その暗色 の土 を30cm 角 の大塊 に 鉄 棒 で お こ して次 の播種 準備 を して い ると こ ろ もあ る。 や がて ワタ ンポ ネか ら22km で タチ ビ村 に 着 く。 こ こは高度 約200m で, カルス ト台地 にあ ると考 えて よい。石 灰岩 が畑 の各 所 に露 出 し,土 も暗 褐色 か ら暗色, 赤 褐色, 粒状 構 造 の発達 した畑土 で あ る。 しか し, その 中 に 畦 らしき もの もと ころ ど ころ にみ られ, 畑 か 水 田か判 然 と しな い。 そ こには時 に, トウモ ロコ シの茎 や ごまの茎 が散乱 して い る。 ごま の茎 の 基 部 は マ ンガ ン酸 化物 で紫 色 に 染 ま り, 土 は塩 酸 で 発 泡 す るほど に 石灰 質 で あ る。 この農地 の 中 に石 灰岩 の石 垣 に はさまれ た1.5m 幅 の通路 が あ る。 そ こを行 くと, や がて その通路 にはど こか らか水 が流 れ こみ, 水 路 にな って しま う。 この通 路兼水 路 を上 流 にた ど ると清例 な水 をたた えた大 きな泉 が あ り, そ こが この水 路 の水 源 にな って い る。 そ の脇 に はあ こ う(baringin,Fz'cu∫sp・)の大木 が立 って い る。 と ころで, こ こで簡単 にタチ ビの農事暦 に ふ れて お こう。 こ こには次 の3種 の輪作 がみ られ る。 第 1は南 東 モ ンス ー ンの開始 に合 わ せ て4月 ,5月 に雨 期作水 稲 を移植 し,8, 9月 に収穫 , その後11月 か ら1, 2月 まで北 西 モ ンス ー ンで トウモ ロ コ シを1作 す る. 節 2は,水 稲 を全 く組 み こまず, タバ コを6月 か ら12月 まで栽 培 し, それ が収穫期 に入 る ll,12月 に トウモ ロコシを混植 し 2月 に収穫 す る。 その後 トウモ ロコ シを も う1作 す る。 第3は水 稲2期作 で あ る。 これ は港概水 がえ られ る と ころで,全 農地 の約25%に当 る。 わ れわ れ が1980年11月 中旬 に初 めて タチ ビ を訪 れた時, この乾 期稲作 の地 桁 えのた め に 現 地 でパ ル ータ (paluta) とい って い る 蹄耕 を ち ょうど行 な って いた。 その現 場 は全 体 と して は東 に緩 や か に傾 く徽 凹地 で,15ha ほ どの水 田が一 群 をな して いた。 1筆 の大 きさ は2畝 く らいの ものか ら4反 くらいの もの ま で あ る。 田面 には石 灰岩 が露 出 し,小 さな落 ち こみ穴 (sinkhole)が無数 にあ る。 地 才存え の方 法 は次 の とお りで あ る。 畦 ぬ り は丁 寧 に してで きるだ け落 ち こみ穴 を塞 ぐ。 大 きな もの は塞 げ な いので , まわ りに低 く土 を もって お く。田 に水 を入 れて,まず牛 2頭 び きで型 をか け る。

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反 くらいの 田で は これ に 3日かか る。 ひ き続 いて蹄 耕 を行 う。牛10頭 ほどを田 にお い こん で反 時計方 向 にお い まわ す。先 頭 に リーダ格 の牛 をお き,落 ち こぼれ の な い よ うに背後 か らお い上 げ る。 くさび状 に一 団 とな った牛 は飛 沫 を上 げ なが ら直 径10 mの 円を何 回 も描 く。 一 つ が終 る と円運 動 の 中心 を次 の部分 に移 す。4反 の 田だ と3時間 で終了 す る。 数 日後 に この作 業 を も う1度行 う場合 もあ る。 蹄耕 の あ とで エ ッス (esse) とよばれ る長 さ2m の均平板 をひ いて均平作 業 を行 う。 その後 さ らにま ぐわ をか け る。 さて, この蹄耕 の狙 い は何 で あ ろ うか。蹄 耕 終了後 の 田を実際 に歩 くと, 表土 が濃 い泥 状 にな り, 床 に当 る部分 が平滑 で あ る。 蹄耕 前 の 田で は表土 の 中の土 塊 が多 い し,床 の表 面 も凸 凹 して い る。 この程 度 の差 はま ぐわか けで消 え そ うに思 われ るの だが,農夫 はま ぐ わ のみで は不十 分 で あ るとい う。 土壌 の性質 は石 灰 で飽 和 された モ ンモ リロナイ ト質 粘土 で あ る。 この種 の土 は乾燥 す ると, 再 び しめ らせ た場合 に も崩 壊 し難 い, いわ ゆ る耐水 性 の安定土 塊 を作 る。 同 じモ ンモ リロナ イ ト質

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東南 ア ジア研究 20巻1号 の土 で も, ジェネポ ン トのパ ビ リンガ村 の も のが ソーダ をかな り多 く含 み,土塊 の安定性 が小 さい と推定 され る ことに比べ て, やや状 況 は異 な る。 した が って, タチ ビの石灰質 な 暗色 の土 (レンジナお よび ヴ ァ-テ イソル) で は, 蹄餅 にそれな りの理 由 も見 出 さ れ よ う。 型, ま ぐわ耕 のみで は土塊 が残 り,移植 の際 に手 を痛 め る, とい う説 明 は上記 の状況 を示 して い る可能性 があ る。 多 くの農夫 が指摘 した もう一 つの理 由 は, 水 もちを よ くす るとい うことで あ る。 乾期 に か らか らに乾 いた土 は地 表面 に幅5cm,深 さ 30cm に及 ぶ大 きな亀裂 を生 じる。 雨 期 の雨 が くると,地 表面 で は この亀裂 は閉 じるが, 30cm くらいの ところで は消 えず に残 って い る。北 西 モ ンス ー ンの雨 が数 日続 いて水 田の 表面 に水 た ま りが点 々 と現 わ れ た12月 15日 に,実際 に穴 を掘 って簡単 な試験 を行 な って みたが, 表面 下5cm か ら30cm の深 さには 亀裂 が残 り, それ を通路 と して漏水 す ること が判 った。 亀裂 によ る漏水以 外 に,基盤岩 の割 れ 目に あ る落 ち こみ穴 か らの漏水 は もっと著 しい。 大 きな穴 はやむ をえな いが,小 さな穴 を粘土 で塞 ぐことは可能 で あ り, そのため に粘土 を 十分分 散,泥状 にす るとい うことが必要 にな って くる。 漏水 の状況 は耕作 法 と関連 して変化 す る。 タチ ビの村 長 に聞 くと,土 が深 い ところで水 棉/ トウモ ロコ シ, また はタバ コ/ トウモ ロ コ シな どの輪作 をす ると,土 が乾 き,漏水 が 増大 す る。 そ こで, この輪作体系 で水稲 を作 る場合 は水 どめ に蹄桝 が必須 で あ るとい う。 タチ ビか ら西-進 んで石灰岩 山地 の脊 梁 を下 った崩積斜面 の棚 田 に2期作水 田が広 いが, ここで の聞 きと りも同様 の 内 容 を 含 ん で い る。そ こは りリリア ワ ン(Liliriawang)村 の コ ペ (Rope)部落であ る。10年前 まで は 6, 7 月 か ら10,11月 に雨期作水稲 1作 し, その後 トウモ ロコ シを栽培 した. トウモ ロコ シ栽 培 のあ とは土 が乾 き,水 稲作 には蹄耕 が必要 で あ った。 しか し, 現在 は濯概 が可能 にな り, 12月 に植 え付 け 4月 に収穫 す る裏作 の導入 で 2期作 が始 ま り, それ とと もに土 の乾燥 がお さえ られたので,漏水 が とま り, 蹄耕 は不要 にな った とい う。 いまで は共 同苗代 地 にのみ 蹄耕 が残 って い るとい う。 b)湿 田で の蹄耕 上述 した タチ ビ,リワリア ワ ン,それ以外 に もネ ンゴ(Nengo)部落,パ セムプ (Pasempu) 村 での農夫 の多数 意見 は, 蹄耕 の 目的 を漏水 防止 で説 明す る。 しか し, 蹄耕 は漏水 防止 のた めだ け に行 わ れ るもので はな い らしい。一 つ の事例 はタチ ビの酉 , ネ ンゴ部落 での もので あ る。 ワタ ン ポネか ら西25km 地点, カルス ト台地谷底部 の緩斜 面 に木 の少 な い棚 田が続 くところで あ る。 棚 田の南 には石 灰岩 の急斜面 が鋭 く立 ち 上 る。 そのすそ には湧水 が泉 を作 り, その水 は棚 田の 中の津翫水路 を うるおす。 この棚 田地帯 は戦前蹄耕 を 行 な っ て い た が,現在 は もはや行 わな い。 中止 した事情 は コペの例 と全 く逆 で あ る。戦前 は山す その湧 水 も谷川 か らの水 もいまよ り多 く, この棚 田 地帯 は多 くの 田が湿地 田で あ った。非作付 期 にはかや つ り革 が密生 した とい う。 それ を10 頭 の水牛 で蹄耕 し, その あ と均平 板 で な らす と地 桁 え は完 了 で,直 ちに移植 した。 ところ が,戦後 いつの ころか らか (話 し手 の老人 は, 肥料 をや るよ うにな って か ら, と表現 す るの で,BIMAS計画 が始 ま った ころ,つ ま り1960 年代以 降 と思 われ る), 湧 水 池 や谷川 の水 が 減少 し始 め,土 が次第 に堅 く変化 して きた。 いまで は水 が不足 で雨 を待 つ必要 が あ る。 雨 で 湛水 す ると型 を1′-2回か け,5日後 にま ぐ わ, その後均平板 をか けて翌 日手 で移植 す る とい う。 この場合 ,農耕 法 の変化 は,湿 田 にお け る蹄桝 か ら乾 田 にお け る型桝 とい う経過 を

図 1 南 ス ラウェシの月別降雨量分布 ( 各地点 の地名などは別表を参照せよ)

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