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弁護士賠償責任保険契約に関する若干の考察 利用統計を見る

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弁護士賠償責任保険契約に関する若干の考察

著者名(日)

李 芝妍

雑誌名

東洋法学

53

2

ページ

149-169

発行年

2009-12-22

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00000712/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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︽論  説︾

弁護士賠償責任保険契約に関する若干の考察

はじめに

芝 妊

 損害賠償責任保険とは、個人の日常生活や企業の業務遂行、被保険者が所有・管理する施設が原因となる偶然の 事故により、第三者︵被保険者以外の人︶に対する法律上の賠償責任を負担した場合、被保険者が負う損害を保障 する保険であり、損害保険の一種として、権利保護、事業継続、損害保障、被害者保護の機能を有している。そし       パよ て、損害賠償貢任保険の保険事故について、従来はその見解が分かれていたが、現在は実務上どのような方式が基        パニ 本形でどの方式が変則かということはあっても、保険事故の決め方に法律上の制限はなく、契約自由に委ねられる      パき と考えてよいとしている。  損害賠償責任保険の種類は、一般企業向けの賠償責任保険である請負業者賠償責任保険、施設所有管理者賠償責 任保険、受託者賠償責任保険、生産物賠償責任保険などがある。そして、個人向けの賠償責任保険として、個人賠

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弁護士賠償責任保険契約に関する若干の考察〔李 芝妊〕 償貢任保険、ゴルファー保険、テニス保険などがあり、専門職業人を対象とする賠償責任保険としては、医師賠償       パゑ 責任保険、建築家賠償責任保険、公認会計士賠償責任保険、司法書士賠償責任保険、弁護士賠償責任保険などがあ る。なお、特定業務向け賠償責任保険として自動車管理者賠償責任保険があり、鍛疵保証責任保険などもある。こ の専門家責任保険の特色としては、加入資格の限定、業務株遂行性、てん補する損害の範囲、損害算定の困難性、        ハヱ 保険事故、被保険者の同意、求償権の不行使、記録の完備、団体契約性を挙げられる。  本稿で考察する対象は専門家責任保険、特に弁護士賠償責任保険である。  まず、専門家責任保険とは、専門家として職務を実行するにあたって、第三者に対して法律上の損害賠償責任を 負担することになった場合、その被る損害をてん補することを内容とする保険である。そして、弁護士賠償責任保 険とは、弁護士が弁護士としての資格に基づく業務に起因して生じた他人の経済的損失について、法律上の損害賠 償責任を負担することにより被る損害に対し、保険金を支払うことをその内容とする保険契約であり、専門職業人 賠償責任保険の一つである。そして、弁護士賠償責任保険は特約を付帯することにより、事務所施設の管理、また は業務の遂行に伴う事故によって発生した他人の身体障害・財物損壊に対する賠償責任についても、対象とするこ ともできる。  この保険の保険契約者は、全国弁護士協同組合連合会などの弁護士連合会や弁護士会といった弁護士の団体であ り、被保険者は弁護士である。ただし、弁護士の使用人及びその他業務の補助者にも適用される。そして、この保 険がてん補する危険は、弁護士がその資格に基づいて遂行した業務に起因して他人に損害を与えたことにより法律 上の損害賠償責任を負担することによって被る損害である。        パゑ  弁護士賠償責任保険契約は、賠償責任保険普通保険約款を基礎にして、弁護士賠償責任保険の弁護士特約条項を 150

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付帯する形態で一般的に構成されており、特約で規定していない事項については、特約に反しない限り賠償責任普 通保険約款の規定を適用する︵特約一〇条︶ことになっている。  賠償責任普通保険約款は、被保険者が他人の生命・身体・財物を害した場合、法律上の損害賠償責任を負担する ことによって被る被保険者の損害を保険者がてん補する旨を定めているが、弁護士特約は、この補償範囲を﹁被保 険者が弁護士の資格に基づいて遂行した業務に起因して法律上の損賠賠償責任を負担することによって被る損害﹂ に限定している︵弁護士特約一条一項︶。その業務には、後見人、相続財産管理人、清算人、管財人などの資格に おいて法律事務を行うことを含む︵弁護士特約一条二項︶。そして、賠償責任普通保険約款四条の保険者免責条項 ︵一号は、被保険者の故意免責︶に加えて、弁護士特約条項三条は本特約に固有の保険者免責を定めている。すな わち、﹁被保険者の犯罪行為︵過失犯を除く︶または他人に損害を与えるべきことを予見しながらなした行為︵不 作為を含む︶に起因する賠償責任﹂︵一号︶、﹁被保険者が公務員としての職務上遂行した業務に起因する賠償責任﹂ ︵二号︶、﹁他人の身体の傷害︵死亡を含む︶または財物の損壊︵紛失、盗難を含む︶に起因する賠償責任。ただし、 証拠書類、証拠物の損壊および執行行為に付随した生じた財物の損壊に起因する場合を除く﹂︵三号︶が保険者免 責事由として定められている。  以下では、弁護士賠償貢任保険で注目すべき判例を紹介し、重要な争点について具体的な検討を行う。 二 弁護士賠償責任保険をめぐる判例の検討 ︵一︶弁護士賠償責任保険の被保険者が被害者から提起された損害賠償訴訟に応訴するため負担した弁護士費用 の保険金支払請求が棄却された事例︵大阪地裁平成五年八月三〇日判決、金融商事判例九三九号二八頁︶

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弁護士賠償責任保険契約に関する若干の考察〔李 芝妊〕  ︹事実の概要︺  弁護士X︵原告︶は、保険契約者である訴外A︵全国弁護士協同組合︶と保険者であるY会社︵被告︶が締結し ている弁護士賠償責任保険契約の被保険者である。Xは訴外B会社から、Xが弁護士の資格に基づいて遂行した業 務に関し、故意による債務不履行に基づく損害賠償として一二億二九〇〇万円を求める訴えを提起されたので、保険 者であるYに対し、当該訴訟が提起されたこと、及び当該訴訟の訴訟代理人として訴外C弁護士を選任したことを 通知した。そして、Cの選任及びCに対する着手金及び報酬︵以下、﹁弁護士費用﹂という︶を負担することの承 認ならびに着手金相当額の一一七一万五〇〇〇円の支払を求めた。これに対し、Yは、訴訟費用は本件保険契約の 本来の対象である損害賠償金に一体として付随するものにすぎないから、独立に保険金請求はできないこと、訴訟 費用はてん補に先立って現実に﹁承認を得て支出﹂されなければならないこと、訴訟費用の承認については裁量権 があり、B会社はXの貢任原因として故意のみを主張しており、保険者は被保険者の故意による損害については免 責されるから︵賠償責任保険普通保険約款四条一号︶、現段階では訴訟費用について承認を与えられないこと、訴 訟費用の履行期は損害賠償金の額が確定し、その後三〇日以内の期間内にY会社に対してその請求があったときで あること、などを主張し、争った。  ︹判旨︺請求棄却 e﹁⋮⋮普通約款第二条第一項第四号は、賠償責任保険においては、被保険者が法的に損害賠償責任を負担すべき かどうかが明らかでなく、被害者の提起する訴訟に応訴してその損害賠償責任の有無及び損害額が確定されること が多いことから、保険者自らによる解決の方法が選択されない場合には、被保険者が、自らないし訴訟代理人を選 152

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任して右訴訟に応訴し、それに伴って争訟費用を負担ないし支出せざるを得ないという実際上の必要性と、それに よって保険者の利益をも図られるという点を考慮して規定されたものであり、保険者による争訟費用のてん補は必 ずしも被保険者の損害賠償責任の負担を前提としていないと解するのが相当である。従って、賠償金と争訟費用の 各給付は、一義的に、主たる給付とそれに一体として付随する従たる給付という関係にあるということはできず、 場合によっては、Yに対し、争訟費用のみの給付を求めることもできるというべきである。﹂ ◎﹁当該損害賠償請求の内容等に応じて、適正妥当な範囲の争訟費用は保険者においててん補すべきであるとこ ろ、普通約款第二条第一項第四号の規定に文言どおり従うならば、適正妥当な争訟費用を被保険者が支出した場合 であっても、保険者の﹁承認を得て支出﹂していない争訟費用はてん補されないことになるが、このようなこと は、保険者が、被保険者に代って損害賠償請求の解決に当たる場合に比較して、被保険者に極めて不利かつ不当な 負担を強いる結果をもたらすものであり、到底合理的なものとはいえない。  従って、被保険者が前記の適正妥当な争訟費用を支出したと判定できるときには︵なお、後記のとおり、Yは右 判定につき裁量権を有する。︶、保険者たるYは、同約款第二条第一項第四号所定の承認がないからとの理由で右争 訟費用の支払を拒むことはできないと解するのが相当である。ただし、Yは、被保険者の故意によって生じた賠償 責任︵以下、﹁故意責任﹂という。︶に基づく損害については免責されるから︵同約款第四条第一号︶、右に関する 訴訟等に要した争訟費用についても免貢される。そうとすれば、被保険者が被告に対し争訟費用のてん補を請求し た場合であっても、故意貢任に基づく疑いが相当程度あるときには、Yは、右争訟費用が適正妥当なものであるか 否かにかかわらず、故意責任の点が明確になるまで支払を拒めるものと解するのが相当である。﹂  ﹁Yに争訟費用のてん補を請求するためには、現実に﹁支出﹂している必要があるかどうかについてであるが、

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弁護士賠償責任保険契約に関する若干の考察〔李 芝好〕 前記第四号で﹁支出した、訴訟費用・弁護士報酬・仲裁・和解または調停に関する費用﹂と明記しているのである から、現実に支出している必要があるというべきであり、また、そのように解しても不当、不合理であるとはいえ ない。﹂ e﹁保険者は、被保険者のためだけでなく、適切な防御活動による保険者の負担の軽減等保険者の利益を図るため にも、適正妥当な範囲において争訟費用をてん補すべき義務を負担しているのであるから、被保険者の支出した争 訟費用を漫然と承認する義務を負っているわけではなく、係争物の価格、事件の内容、事件の難易、防御に要する 労力の多寡及び被保険者が損害賠償請求訴訟を提起されるに至った経過等諸般の事情を総合考慮して、適正妥当な 争訟費用の範囲を判定することができるという裁量権を有しているものと解するのが相当である︵もっとも、裁量 権の濫用は許されない。︶。﹂  ﹁被害者が、損害賠償請求訴訟においていかなる責任原因を主張するかという一事のみによって、争訟費用の支 出についての承認の是非が決せられるわけではないが、被保険者の損害賠償責任が故意によって生じたものと認め られる可能性が相当程度あるような場合には、被保険者と損害のてん補を免責される保険者との間で、利害の衝突 が生じ、適正妥当な争訟費用の範囲を判定することが一層困難になることも否定できないのであるから、本件訴訟 の帰趨の決していない現段階において、Xが承認を求める着手金が、本件訴訟の内容に照らして適正妥当な金額で あるかどうかを被告が判定することは困難であるといわざるを得ず、Xが求める着手金額の承認を被告が留保する ことも、やむを得ないものというべきである︵なお、被告が裁量権を濫用しているとのことは、本件証拠上認めら れない︶。﹂ ⑳﹁XがYに対しXがてん補すべき着手金を請求するためには、前記認定判断のとおり、適正妥当な着手金額が判 154

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定ないし確定されている必要があり、かつ、現実に支出している必要があるところ、適正妥当な着手金額は未だ判 定ないし確定されておらず︵なお、本訴訟において右着手金額を確定することができる状況ではないことも、前記 認定したところから明らかである。︶、また、Xが実際に着手金を支出したとの主張・立証もない。  そうとすれば、結局、争訟費用の履行期について判断するまでもなく、着手金の支払を求める原告の請求は、理 由がない。﹂  ︹評釈︺  本件で争点となったのは、0保険でてん補する訴訟費用の性質、◎訴訟費用について保険者の事前の承認と被保 険者による現実の支出の要否、e訴訟費用の承認に関する保険者の裁量権の有無、⑭保険者がてん補すべき訴訟費 用の履行期の四点である。  まず、争点○は、責任保険において保険者がてん補すべき争訟費用は、﹁賠償金とは別個独立の保険金請求権﹂ か﹁賠償金に一体として付随する保険金請求権﹂かが問題となっている。判旨は、賠償金と争訟費用の主従関係を 否定し、普通保険約款二条一項四号を根拠として、場合によっては保険者に対し争訟費用のみの給付を求めること もできるとした。第三者の被保険者に対する損害賠償請求訴訟は法律上根拠のない場合でも提起され得るし、その 場合であっても応訴しなければ、敗訴するから、応訴に要する争訟費用は、請求が根拠のない場合であっても、損       ハヱ 害の確定及び軽減のために必要かつ有益であると説明し、争訟費用のてん補請求は損害賠償金のてん補請求の有無 に拘わらず認められるべきであるという見解がある。特にこの点についての批判はないが、普通保険約款二条一項 四号を根拠としたり、同条項が被保険者による訴訟代理人の選任の実際上の必要性と保険者との利益調整を考慮し

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弁護士賠償責任保険契約に関する若干の考察〔李 芝研〕 た規定であるとした点について、もともと賠償金のてん補と争訟費用のそれとは本質的に異なる保険給付であるこ       パ ロ とを理由に疑間であるという見解もある。  争点◎は、訴訟費用について保険者の事前の承認と被保険者による現実の支出の要否が問題となっており、判旨 は被保険者が適正妥当な争訟費用を支出したと判定できるときには承認がないからとの理由で争訟費用の支払を拒 むことはできないとした。責任保険普通保険約款二条一項四号でいう﹁被保険者が当会社の承認を得て支出した﹂ 訴訟費用をてん補することを定めているが、この趣旨は、被保険者が不要な費用を支出して応訴し、それを保険者 に転嫁することを防止しようとするものであると解釈した判旨は妥当であるだろう。そして、判旨は、被保険者の 故意に基づく疑いが相当程度あるときには、故意の点が明確になるまでてん補を拒むことができるとしたが、通        パ レ 説・判例によると、保険者の免責事由の存在及びそれと保険事故との間の因果関係の立証責任は保険者にある灘こ       ハリ とからすると、疑問であるという見解もある。また、判旨は被保険者が争訟費用を請求するためには、現実に支出 している必要があるとしたが、被保険者が保険者に前払いを要求することが争訟費用のてん補の趣旨からみて合理 的な場合が大いにあることから、被保険者が前払いの必要性・合理性を保険者に対して明らかにすれば、現実に支       れレ 出がない場合であっても保険者からの支払がなされるべきであるという見解が妥当であろう。  争点⑤は、訴訟費用の承認に関する保険者の裁量権の有無が間題となったが、判旨は、保険者は被保険者の請求 額をそのまま認める義務はなく、適正妥当な争訟費用の範囲を決定できる裁量権をもつとしており、保険者が裁量 権を有することについては特に異論はないと思われる。  最後の争点⑳は、保険者がてん補すべき訴訟費用の履行期が間題となったが、判旨は具体的な履行期についての 判断はせず、被保険者が着手金を請求するためには、適正妥当な着手金額が判定ないし確定されている必要があ 156

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り、かつ、被保険者がそれを現実に支出している必要があるとしたのみである。  本判決は、弁護士賠償貢任保険契約の訴訟費用のてん補請求をめぐる間題が提起された重要判例であり、 結論に賛成であるが、その理論構成には部分的に疑問を示す見解が多くある。なお、本判決は、判例︵三︶ な関係があるので、判例︵三︶の評釈で再び比較・検討を行うことにする。 判旨の と密接  ︵二︶認識ある過失が被保険者にあるとして保険者の免責を認めた事例︵東京高判平成一〇年六月二三日、金  融・商事判例一〇四九号四四頁︶  ︹事実の概要︺  平成四年一月一六日、訴外Bは訴外Aに対し、所有する土地を地代月額五万円、使用目的資材置場等、建物等の 建築を一切しない禁止特約付きで賃貸したが、Aは平成四年中に本件土地上に建物を無断で建築し、事務所、倉庫 および作業場として使用していた。そこで、訴外Bは平成五年四月三日に弁護士Xに委任をし、B所有の土地に建 物を所有する訴外Aに対し、建物収去土地明渡等請求訴訟を提起した。そして、同年七月二一日、Xは、訴外Aと の間で、BはAに対して本件土地の明渡しを平成六年三月末日まで猶予し、Aは同日限り本件土地上の所有権を放 棄する、Aは右期限までに本件土地上の動産類を撤去するなどの条項で、裁判上の和解を成立させた。しかし、A が和解に定められた期限を過ぎても本件土地を明け渡さなかったため、Xは右和解条項に基づいて本件建物収去の 強制執行申立てを検討したところ、本件建物の所有権は和解条項によって既に放棄されており、他方、建物内の動 産類については所有権が放棄されていないことから、強制執行による建物取壊しはできないことが判明した。そこ で、Xは平成六年九月一日と翌二日、訴外Cに依頼して本件建物の取壊しと建物内の動産類の破棄・処分を行っ

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弁護士賠償責任保険契約に関する若干の考察〔李 芝研〕 た。その結果、XはAから本件建物内に残地していた動産類を勝手に処分したことによる損害賠償として一一四〇 万円の請求を受けることになった。  XはY損害保険会社と締結していた弁護士賠償責任保険に基づき、Aから請求を受けている損害賠償金の保険金 支払をYに求めたが、YはAの主張する損害額の立証が不十分であることのほか、Xの行った行為が弁護士賠償責 任保険弁護士特約条項三条に定める免責条項に該当するとして保険金の支払いを拒絶したため、Xは保険金請求を 求めて訴訟を提起した。  第一審判決︵東京地裁平成一〇年一月二九日判決、金融・商事判例一〇四九号四七頁︶は、Aに五七〇万円相当 の損害が発生したことを認めた上、Xの行為は本件条項に該当する免責となると判示し、Xの敗訴判決を言い渡し たので、Xが控訴したのが本件である。  ︹判旨︺控訴棄却。確定。  ﹁本件保険契約においては、﹁賠償責任保険普通保険約款﹂の第四条︵免責︶において故意免責条項等が定められ ているほか、﹁弁護士特約条項﹂の第三条︵免責︶において、右﹁第四条各号に掲げる賠償貢任のほか、被保険者 が次に掲げる賠償責任を負担することによって被る損害をてん補する責めに任じない﹂として、本件免責条項等が 定められていることが認められるから、この両条項が同趣旨のものであると解することができないことは明らかで ある︵なお、﹁故意﹂とは、第三者に対して損害を与えることを認識しながらあえて損害を与えるべき行為に及ぶ という積極的な意思作用を意味するのに対し、﹁他人に損害を与えるべきことを予見しながらなした行為﹂とは、 他人に損害を与えるべきことを予測し、かつこれを回避すべき手段があることを認識しつつ、回避すべき措置を講 158

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じないという消極的な意思作用に基づく行為を指すものであり、故意による行為とは別個の行為を意味すると解さ れるのであって、この両者は異なるものである。︶。﹂  ﹁本件建物内に存在した動産類の廃棄、処分による損害を与えるべきことを予見していたというためには、その 動産類全部の内訳、数量や価格までも逐一具体的に認識していたことは必要ではなく,本件建物内に価値ある動産 が存在することを認識しながら、これをすべて搬出処分することを指示した以上は、通常は全く予想することがで きない動産が存在したような場合は格別、現実に存在していたすべての動産の廃棄、処分による損害について、こ れを与えるべきことを予見していたというべきである。そして、本件建物は、木造建物の建築等を業とする会社で あるA建設が事務所、倉庫、作業所として使用していたのであるから、桐タンスなどの木工品や高価な木材が存在 したとしても何ら異とするには足りないのであって、A建設の業務と本件建物の使用状況を認識していたXにとっ て、これらの動産が存在することが全く予想外であったとはいえない。﹂  ﹁Xは、解体工事の二日目にA建設が現場から動産類を搬出したかどうかを確認していないのであるから、本件 建物内の動産類がすべて搬出されたと考えるべき状況にはなかったといわざるをえず、A建設に損害を与えるべき ことを予見していたことには変わりがない。X主張の予告ないし警告の事実は、XがA建設に損害を与えるべきこ とを予見していたという判断を左右するものではない。﹂  ︹評釈︺  本件は、弁護士賠償責任保険の保険金請求が免責規定に該当するか否かが間題となった事案で、判決は、賠償責 任保険普通保険約款四条の故意免責と弁護士特約条項三条一号の﹁他人に損害を与えるべきことを予見しながらし

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弁護士賠償責任保険契約に関する若干の考察〔李 芝妊〕 た行為﹂の保険者免責は両方適用のあることを前提にしながら、その趣旨は同じではないと判断した上、Xの行為 は弁護士特約条項三条一号に該当する行為であると認定し、控訴を棄却した。  まず、本件において保険金の支払がなされるためには、Xの行為が弁護士資格に基づく業務行為に起因して損害    ゑレ 賠償責任を負担したことが必要であり、本件の保険者はXによる行為すなわち他人の動産類の破棄・処分を弁護士 特約の保障範囲内にあるとしている。しかし、Xの行為は弁護士特約条項三条一項の﹁他人に損害を与えるべきこ とを予見しながらした行為︵不作為を含む︶﹂に起因する賠償責任であるとし、その保険金請求を拒絶した。  この特約条項でいう他人に損害を与えるべきことを予見しながらなした行為については、他人に損害を与えるべ きことを予測し、かつこれを回避すべき手段があることを認識しつつ、回避すべき措置を講じないという消極的な 意思作用に基づく行為を指すものあり、故意による行為とは別個の行為、すなわち、認識のある過失を意味すると    パる いう見解がある。ここでは、認識ある過失の場合は、弁護士の倫理観とは相容されないことから、故意免貢とは別 に定められたものであると説明している。  本件の事実関係からすると、法律の専門知識を有する弁護士は執行力が及ばないため、権限がないことを十分知 りながら、相手方の建物を取り壊し、建物内の動産を破棄したので、免責条項の適用を認めている。  この点については、本件特約条項三条一号と同様な条項を置く、公認会計士賠償責任保険契約に適用される公認 会計士特約条項三条一号が、普通保険約款上の故意のみでは、その範囲が不明確なので英米約款で使われている B践90臣8什を参照として、文言が定められ、普通保険約款の故意免責と実質において異なるものではないとし、       パれマ このことは弁護士賠償責任保険においても当てはまると説明する見解と両条項を同じ意昧に解し、特約条項三条一       パゑ 号は、故意免責を明確にしたものにすぎないとする見解がある。 160

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 普通保険約款四条一号の故意免貢と弁護士特約条項三条一号の免責が同じ趣旨であるならば、弁護士特約条項三 条一号が存在する意味がなくなってしまうだろう。しかし、両条項の趣旨が同じであっても特に問題はないのでは      を なかろうか。従って、特約条項三条一号は普通保険約款四条一号を具体的に定めたものとして解釈するのが妥当で あると思われる。  なお、本件は弁護士賠償責任保険の保険金請求が免責条項に該当すると判断した初めての判決であるため、注目 されたものである。  ︵三︶損害賠償請求訴訟で弁護士賠償責任保険の被保険者である弁護士が自ら訴訟遂行した場合における弁護士  費用の支払請求が棄却された事例︵東京高判平成一九年二月二八日、判例集未登載︶  ︹事実の概要︺  弁護士Xは平成三年七月一日に保険契約者である全国弁護士協同組合連合会と保険者であるY会社との間で締結 している弁護士賠償責任保険の被保険者となって、それ以後毎年本件保険契約に加入している。  訴外Aは、平成一四年一〇月一六日、Xを被告として、Xに委任した訴訟等の代理業務に起因する損害賠償金四 八四万円を含む五八三万九六三〇円およびこれに対する遅延損害金の支払いを求める訴えを東京地方裁判所に提起 したが、請求を棄却され、その控訴も棄却された。訴外Aは上告および上告受理の申立てをしたが、最高裁判所は 平成一六年五月二八日に上告棄却および上告不受理の決定をし、上記請求棄却の判決が確定した。  Xは、前件訴訟を提起された後、普通約款一六条一項五号に従い、平成一四年一一月一日、本件保険契約の保険 代理店に前期訴訟を提起された旨を通知し、次いで同月二一日ころ、Y会社の代理人であるB弁護士から電話によ

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弁護士賠償責任保険契約に関する若干の考察〔李 芝妊〕 る連絡を受けた際、この訴訟は他人に任せられないので自ら訴訟を遂行する旨を伝え、現に、他の弁護士を訴訟代 理人として選任することなく、自ら訴訟活動を行った。また、Xは、前件訴訟の経過を適宜・随時B弁護士等に連 絡していた。  XはYに対し、平成一六年八月六日到達の内容証明郵便をもって、弁護士報酬相当額の保険金一六一万七〇〇〇 円を支払うよう請求したが、拒絶されたので、訴訟を提起した。ここで弁護士報酬相当額の保険金は、Xが、前件 訴訟の訴額を基礎に第二東京弁護士会報酬会規によって算出した第一審、控訴審及び上告審の各着手金並びに報酬 金の合計額である。  第一審は、弁護士が自己を当事者とする訴訟について、他の弁護士を訴訟代理人に選任せずに自ら訴訟を遂行し た場合は当該弁護士には損害︵財産上の差額︶が発生しないのが通常であるとし、Xの請求を棄却したので、控訴 したのが保険である。  ︹判旨︺控訴棄却・上告不受理。  ﹁普通約款二条一項四号は、被控訴人がてん補する損害の範囲として、﹁被保険者が当会社の承認を得て支出し た、訴訟費用・弁護士報酬・仲裁・和解または調停に関する費用﹂と定めており、これによれば、被保険者たる弁 護士が実際に他の弁護士に弁護士報酬を支払うこととなった場合でなければ、同号にいう﹁弁護士報酬﹂に該当せ ず、弁護士賠償責任保険によりてん補される損害ということはできないことが明らかである。  これに対し、Xは、被保険者が自ら弁護士を代理人として選任することができる旨を定めた特約条項六条一項を 根拠に、被保険者である弁護士は自らを代理人として選任することもできる旨主張するが、同項は、保険者ではな 162

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く被保険者が自ら弁護士を代理人として選任することができること、すなわち被保険者に代理人選任権があること を定めたものにすぎず、弁護士賠償貢任保険であるという特殊性を考慮しても、訴訟等の当事者本人が自分を代理 人として選任する場合の弁護士報酬なるものが想定されているものとは解することができない。  Xは、自らを代理人として選任し得ると解するのが本件保険契約の被保険者である合理的、平均的な弁護士の理 解に沿うものであり、この場合に弁護士報酬相当額の保険金を取得し得ないと解するのは制度としても不合理であ るなどと主張するけれども、普通約款二条一項四号、特約条項六条一項をみるならば、弁護士報酬相当額の保険金 を請求し得るのは他の弁護士に訴訟遂行を依頼した場合に限られることは至極当然のこととして理解されるので あって、Yにおいてもこのような前提に立って保険料率を算定し制度を組み立てていることは容易に推認されると ころであるし、Xのいう合理的、平均的な弁護士がこれと異なる期待を抱くとは考え難い。﹂  ︹評釈︺  本件で争点となったのは、他の弁護士を訴訟代理人に選任せず自ら訴訟活動を行った場合において、普通保険約 款二条一項三号ないし四号に基づく被保険者の弁護士報酬相当額の保険金を請求できるか否かである。  まず、訴訟費用、弁護士報酬または仲裁・和解もしくは調停に関する費用については、普通保険約款で弁護士賠 償責任保険によっててん補される損害の範囲として認めている。問題は、弁護士本人による訴訟遂行に基づく弁護 士報酬相当額も保険金請求の対象に含まれるかという点である。  この点について本件判旨は、弁護士特約条項六条一項の定めは、被保険者に代理人選任権があることを定めたも のにすぎず、弁護士賠償責任保険である特殊性を考慮しても、訴訟等の当事者本人が自分を代理人として選任する

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弁護士賠償責任保険契約に関する若干の考察〔李 芝好〕 場合の弁護士報酬は想定していないとし、Xの請求を棄却した。しかし、そもそも弁護士賠償責任保険の保険事故 となる賠償責任が間題となる場合、その責任有無を判断する際、裁判の争いとなる場合が多くあるだろうし、被保 険者である本人が専門的な法律知識を有している以上、被保険者である弁護士自身を代理人として選任することは 十分あり得ることであり、了測できるはずである。従って本件のような事例は当然に予想できたものであり、もし 弁護士本人による訴訟遂行から生じた争訟費用はてん補しないとするならば、特約条項の但書きなどで定めておく べきであろう。他の弁護士が代理人を務めることによる費用はてん補対象となって、自ら代理人を務めるとそれに かかる費用はてん補されないことになると、自ら訴訟遂行ができるにもかかわらず、他の弁護士に代理人として選 任する非合理的・非効率的なことが生じてしまうでしょう。  つまり、弁護士賠償責任保険という特殊性を考慮するならば、訴訟等の当事者本人が自分を代理人として選任す る場合の弁護士報酬は想定できるはずであり、もし当事者本人による弁護士報酬を認めなければ、保険者が定めた 弁護士特約条項六条一項でその旨を明確にしておく必要があるだろう。  この点について、保険契約者である全国弁護士協同組合連合会が弁護士本人による訴訟遂行に要した訴訟費用ま        パぜ でてん補することを認めるものであれば、その旨の合意がなされているはずであるという見解があるが、弁護士本 人による訴訟遂行に要した訴訟費用をてん補しないであれば、保険者が保険契約の際、何らかの説明をするかある いはそのような内容を約款に定めるべきであろう。当然のように弁護士本人による訴訟遂行から生じる費用はてん 補しないと解釈する根拠が非常に不明確であると思われる。  本件のようにXが所属する弁護士会の報酬会規に従って算出された合理的な報酬を請求したにもかかわらず、被 保険者の損害またはその負担にかかる損害防止費用として保険保護の対象にできないとすると、弁護士賠償責任保 164

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険が有する本来の趣旨・機能が全く意味のないものになるのではないか。       パお      パお  本件訴訟費用の請求を肯定する見解は、英米においても日本と同様に、弁護士賠償責任保険につき被保険者であ る弁護士自身が代理人の地位を兼任することが広く認められていること、前記の︵一︶平成五年判決での考え方と 研究者・実務家の意見などを挙げながら説明しているが、平成五年判決は訴訟代理人の選任によって発生する弁護 士報酬を前提に争訟費用の支払いが認められるかが問題であったので、本件の争点とは異なる内容であると思われ る。ただし、本件判旨◎の保険者の承認に関する部分は同様であると思われる。  そして、同見解は弁護士本人による訴訟遂行に対して弁護士報酬相当額の保険金の請求を認めたとしても、保険        ハ  者は実質的に何らの損失も蒙らないと説明していることに対し、被保険者の資格が弁護士という専門職業人に限定 されていることから安易なてん補範囲の拡大は、弁護士賠償責任保険制度の健全性を害することになると説明し、       ハレ 保険金請求を否定する見解もあるが、判旨の解釈はむしろ被保険者が弁護士であるという点から法的根拠を明らか にせずてん補範囲を縮小したことになるのではなかろうか。  被保険者である弁護士の訴訟遂行に必要である費用を認めることがなぜてん補範囲の拡大であるのか疑問であ る。厳格にいうと、自ら訴訟遂行することも弁護士という資格に基づく仕事の一部であって、そこに報酬が発生す るのは当然であるのではなかろうか。そもそも弁護士の報酬が認められない事案であればともかく、被保険者本人 が弁護士だったということを理由に保険金請求を否定することは理解しがたいところである。  本件に関連する約款条項を客観的に解釈し、弁護士賠償責任保険の制度趣旨と団体保険であるという特徴などを 鑑みると、本件の保険金請求は認められるべきであろう。

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弁護士賠償責任保険契約に関する若干の考察〔李 芝妊〕 三 おわりに  現在、法曹人口の拡大が見られている中、弁護士賠償責任保険の役割は今後ますます重要になるであろう。この 弁護士賠償責任保険をめぐる裁判例はそれ程多くはないが、本稿で考察した判例は、弁護士賠償責任をめぐってそ れぞれ特徴を有するものであるため、本稿を通じて弁護士賠償責任保険の趣旨、構造、特徴などを検討する有益な 機会となった。  なお、本稿で具体的に考察していない弁護士賠償責任保険の団体性、普通保険約款と弁護士特約条項の関係など については今後の課題にしたい。そして、今後も引き続き弁護士賠償責任保険をめぐる判例に注目していきたい。  ︻参考資料”弁護士損害賠償責任保険適用約款︼ * 賠償責任保険普通保険約款 第一条当会社は、この約款に従い、被保険者が特約条項記載の事故により、他人の生命若しくは身体を害し又は その財物を滅失・き損若しくは汚損した場合において、法律上の賠償責任を負担することによって被る損害をてん 補する責めに任ずる。 第二条一項 当会社がてん補する損害の範囲は、次のとおりとする。  一号 被保険者が被害者に支払うべき損害賠償金︵損害賠償金を支払うことによって代位取得するものがある場      合はその価額を控除する。︶  三号 被保険者が第一六条一項三号の手段を講ずるために支出した必要または有益であった費用 166

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 四号 被保険者が当会社の承認を得て支出した、訴訟費用・弁護士報酬・仲裁・和解又は調停に関する費用 第四条 当会社は、直接であると、問接であると問わず、被保険者が次に掲げる賠償責任を負担することによって 被る損害をてん補する責に任じない。  一号 被保険者または保険契約者の故意によって生じた賠償責任 第一六条一項保険契約者又は被保険者は、事故又は損害が発生したことを知 ったときは、次の事項を履行しなければならない。  三号 損害防止軽減するために必要な一切の手段を講ずること。  五号 損害賠償責任に関する訴訟を提起し又は提起されたときは、直ちに当会社に通知すること。 第一七条一項被保険者が、被害者から損害賠償の請求を受けた場合において、当会社が必要を認めたときには、 被保険者に代わり自己の費用でその解決に当たることができます。この場合において、被保険者は、当会社の求め に応じてその遂行について当会社に協力しなければならない。 * 弁護士特約条項 第一条一項当会社は、損害賠償責任保険普通保険約款第一条の規定にかかわらず、被保険者が弁護士法に規定さ れる弁護士の資格に基づいて遂行した業務に起因して、法律上の賠償責任を負担することによって被る損害をてん 補する。   二項 当会社は、被保険者が、保険期間中に遂行した業務に起因して、保険期間中または保険期間終了後三年       以内に、日本国内において損害賠償請求⋮を提起された場合に限り、損害をてん補する。﹂ 第五条一項 普通約款第一七条第一項の規定にかかわらず、当会社が損害賠償責任の有無またはその額について被

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弁護士賠償責任保険契約に関する若干の考察〔李 芝妊〕 害者と協力しようとするときは、当会社はあらかじめ被保険者の同意を得るものとする。 第六条一項 被保険者は、損害賠償請求に関し、訴訟・仲裁・和解又は調停の手続を行うときは、自ら弁護士を代 理人として選任することができる。   二項 当会社は、普通約款第二条一項四号の承認をする場合において、代理人たる弁護士の選任については、       被保険者の決定のとおり承認する。 第三条 当会社は、直接であると間接であるとを問わず、普通約款第四条各号に掲げる賠償責任を負担することに よって被る損害をてん補する責めに任じない。  一号 被保険者の犯罪行為︵過失犯を除く。︶または他人に損害を与えるべきことを予見しながらなした行為       ︵不作為を含む。︶に起因する賠償責任 第一〇条この特約に規定し事項については、この特約に反しないかぎり、普通約款の規定を適用する。 ︵1︶山下友信﹃保険法﹄︵有斐閣、二〇〇五年︶四二二頁以下、石田満﹃商法W︵保険法V﹄︵青林書院、一九九七年︶二一壬二頁、西 島梅治﹃保険法﹄︵悠々社、一九九八年︶三〇四頁参照。 ︵2︶実務においては、被保険者が他人に対して損害賠償責任を負ったことを保険事故とする責任負担方式と被保険者が単にから損 害賠償請求を受けたことを保険事故とする請求事故方式、被保険者が他人に対して損害賠償責任を負ったことが発見されたことを 保険事故とする発見方式があり、その中で責任負担方式が原則的な方式となっている。具体的な内容は山下・前掲注︵1︶四二二 ∼四二三頁を参照。 ︵3︶山下・前掲注︵1︶四二三頁。 ︵4︶弁護士の責任については、山田卓生編﹃新・現代損害賠償法講座三︵製造物責任・専門家責任︶﹄︵日本評論社、一九九七年︶ 168

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三四二∼三七三頁を参照。そして、専門家責任と責任保険については、三七七∼四〇一頁を参照。 ︵5︶詳しい内容は、平沼高明﹃専門家責任保険の理論と実務﹄︵信山社、二〇〇二年︶一〇∼一四頁を参照。 ︵6︶本稿に関連する弁護士賠償責任保険に適用される普通保険約款と特約条項は本稿の最後に挙げられるので、参照願う。 ︵7︶落合誠一﹁判批﹂ジュリスト一〇九八号二一西頁。 ︵8︶甘利公人﹁判批﹂熊本法学八二号九〇頁。 ︵9︶大判大正一四年一一月二八日民集四巻六七七頁。 ︵10︶金光良美﹁判批﹂別冊ジュリスト一三八号一四七頁。 ︵11︶落合・前掲注︵7︶二二五頁。 ︵12︶具体的な内容は落合誠一﹁専門家責任保険︵上︶﹂NBL五五二号三七頁を参照。 ︵13︶平沼・前掲注︵5︶二三∼二四頁。 ︵14︶甘利公人﹁判批﹂損害保険研究六一巻一号︵一九九九年︶二一九頁。 ︵15︶甘利・前掲注︵14︶二一九頁、竹濱修﹁判批﹂商事法務二一六〇号︵二〇〇二年︶三三頁。 ︵16︶竹濱・前掲注︵15︶三三頁。 ︵17︶山下典孝﹁判批﹂速報判例解説ITKCローライブラリー商法M二一二︵い国図\∪ω文献番号二五四五〇二七九︶四頁 ︵18︶矢澤舜治﹁判批﹂専修ロージャーナル三号︵二〇〇八年︶四七頁以下。 ︵19︶矢澤・前掲注︵18︶五〇∼五一頁は、英米では、弁護士賠償責任保険につき、被保険者である弁護士自身が代理人の地位を兼 任することを広く認められていると説明し、勾呂8事件︵問筈8‘誓評巳霞8律ζゆ践器目塗OP刈=℃bα一〇ま︵おo 。㎝︶︶をリーデ  ング・ケースとして挙げている。 ︵20︶矢澤・前掲注︵18︶四六頁。 ︵21︶山下・前掲注︵17︶三∼四頁。

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