本学の宝「山崎昭先生」のご退任を惜しむ
山崎昭先生は知る人ぞ知る著名なミクロ経済 学者であるが、2013年અ月31日をもって本学を 定年退職される。先生の本格的な研究者生活は 1974年ઈ月の米国ロチェスター大学経済学部助 講師就任から始まるが、本学との関連から言え ば、先生は2006年આ月に明星大学経済学部経済 学科・大学院経済学研究科教授に就任され、
2013年અ月に至るまでઉ年間(2005年આ月には 明星大学経済学部客員教授に就任されているか
ら、この間も含めればઊ年間)、本学に在職さ れた。
先生は1942年ઋ月生まれで、継体天皇の像が 立っている福井市足羽山の麓でお育ちになり、
1962年અ月に福井県下随一の進学校であり、全 国的にも有数の進学校である福井県立藤島高等 学校を卒業された。ご卒業が通常より遅れたの は、1960年ઊ月から1961年ઇ月まで米国オクラ ホマ州バートルズビル市カレッジ・ハイスクー
― 3 ―
ルに AFS 交換留学生として留学されていたた めである。その後、1966年અ月に一橋大学経済 学部を卒業され、1970年12月に仏国グルノーブ ル大学経済学修士学位(D. E. S)を取得され た。また、1977年ઇ月に米国ロチェスター大学 経済学博士学位(ph. D.)、1988年12月に一橋 大学博士(経済学)学位をそれぞれ取得されて いる。
先生のご職歴であるが、実に多くのさまざま な要職を歴任されてきた。以下、時系列的に主 要なもののみ列挙していこう。
1976年ઋ月 米国オクラホマ州立大学経済学 部助教授(至1977年ઊ月)
1977年ઋ月 米国イリノイ大学シカゴ校経済 学部助教授(至1981年ઇ月)
1980年ઋ月 独国ボン大学経済学部客員教授
(至1981年ઇ月)
1981年ઈ月 一橋大学経済学部助教授(至 1984年અ月)
1984年આ月 一橋大学経済学部教授(至2006 年અ月)
1997年આ月 一橋大学経済学部長・大学院経 済学研究科長(至1999年અ月)
2006年આ月 明星大学経済学部経済学科・大 学院経済学研究科教授(至2013 年અ月)
2006年આ月 明星大学大学院経済学研究科長
(至208年અ月)
2006年આ月 一橋大学名誉教授
2011年આ月 明星大学経済学部長(至2013年
અ月)
上 記 の ほ か、学 会 関 係 で は Econometric Society、日本経済学会(旧・理論計量経済学 会)、および金融学会に所属され、精力的なご 活躍をされてきた。また、社会活動としてはこ れまた実に多くの要職をこなされてきたが、主 要なもののみでも財団法人・井上育英会理事、
日本経済学会常任理事、東京経済研究センター 理事、数理経済研究センター代表などを歴任さ れている。
さて、先生の研究業績であるが、この小稿を 執筆するにあたって、先生から研究業績一覧表 を頂戴した。正直言って、目眩を覚えた。これ はもはや神の領域に達しているのではないか。
この小稿ではとうてい紹介しきれないほどの膨 大な数の業績が記載されていたのである。私な どにはとうてい手に負えないので、先生に紹介 していただきたい業績のみチェックしていただ いた。これを以下、紹介しよう。
まずは著書であるが、共著も含めて計ઊ冊刊 行されている。主要なものは①単著『数理経済 学 の 基 礎』(創 文 社、1986 年)、② 共 著
“Cooperative Extension of the Bayesian Game”
(World Scientific Publishing Co., 2006)、③単 著『ミクロ経済学』(知泉書館、2006年)であ る。
驚くべきは論文である。計76本という数の多 さもさることながら、大半の論文が英語で執筆 され、しかも国際的な学術雑誌に掲載されてい る。査読付き論文もかなりの数にのぼってい る。主要な査読付き論文は①“An Eqilibrium Existence Theorem without Convexity Assum- ptions”(Econometrica 46, 1978)、②“Divers- ified Consumption Characteristics and Condi- tionally Dispersed Endowment Distribution:
Regularizing Effect and Existence of Equilibria”
(Econometrica 49, 1981)、③“On the Cores of Economies with Indivisible Commodities and a Continuum of Traders”(Journal of Economic Theory 24, 1981)、④“Walras Degrees and Probability of a Blocking Coalition at Pareto Allocations”(Journal of Mathematical Eco- nomics 12, 1984)、⑤“Inter in Core Concepts for aBayesian Pure Exchange Economy”
― 4 ―
(Journal of Mathematical Economics 40, 2004)、
⑥“On Blocking Coalitions: Linking Mas-Colell with Grodal-Schmeidler-Vind”(Journal of Ma - thematical Economics 43, 2007)で あ る。な お、ロチェスター大学から授与された博士学位 論 文 の タ イ ト ル は、“General Equilibrium Analysis of Large Non-Convex Economies”、
一橋大学から授与されたそれは「数理経済学の 基礎」であった。
学術論文以外にも研究報告書、辞典、業界誌 などに掲載された業績も計30本を数えている。
また、招待講演なども含めて学会発表は計38回 にものぼり、すべてが単独発表である。国際的 な学会発表も多数にのぼる。
以上、山崎昭先生の略歴と研究業績をきわめ て簡潔に紹介してきたが、この拙い小稿からも 先生がいかに優れた研究者であったかが窺いし れるものと思う。
冒頭でも触れたように、先生は計ઉ年間(客 員教授時代も含めれば計ઊ年間)本学に在職さ れたが、最初の年間は大学院経済学研究科の 初代研究科長、次のઅ年間は経済学科主任、最 後の年間は経済学部長を務められた。とくに 経済学研究科発足にあたっては、カリキュラム 策定、人員配置、文部科学省との折衝などにお いて主導的な役割を胆われ、大変なご尽力をい ただいた。先生なくしては経済学研究科発足な どとうてい不可能であった。また学部運営にお いても、最後のઃ学部学科体制時代、そして 経営学科の分離独立によるઃ学部ઃ学科体制時 代への移行という揺籃期を迎えて、学部の新た な発展を目指すべく、学部長としてその土台づ くりに多大なご貢献をなされた。先生はまさに 学部・大学院、いや大学全体の大黒柱であり、
わが明星大学の至宝であられた。
私事で恐縮ではあるが、先生とは郷里が同じ であるというご縁もあって、公私ともに大変お 世話になった。とくに最後の年間は私が学科 主任を務める時期と重なっていたということも あって、濃密な時間を共有させていただいた。
આ月からは先生の後を引き継いで不肖私が学
部長を務めることになっているが、先生のご指 導のもと「リーダーとはかくあるべし」という ことについておおいに学ぶことができた。揺る ぎない確固たる信念、燃えたぎるような情熱、迅速なる決断力・実行力、そして弱者にたいす る暖かい眼差しがそれである。先生はまさにそ のようなリーダーであられた。私ははたして
「山崎」という巨峰の麓ぐらいにはたどり着け るであろうか。
また、会議などにより帰宅が遅くなりそうに なったときには、いつも先生の愛車に便乗させ ていただき、国立駅まで送っていただくのであ るが、途中、一橋大学近くのファミレスに立ち 寄って、抹茶ラテなどをすすりながら他愛もな いダベリングをするのが常であった。実に他愛 もないダベリングなのであるが、その会話の 端々で先生の実に暖かい、そして実直なお人柄 を垣間見ることもでき、私にとってはまさに至 福のひと時であった。先生のそうしたお人柄を 知ってか知らずか、学生のなかにも熱烈な「隠 れ山崎ファン」がいたことを私は知っている。
永年のお勤め、心より、お疲れさまでしたと 申し上げさせて下さい。山崎先生が明星大学に 与えられた多大なるご尽力とご貢献にたいし、
経済学部教員一同、衷心より感謝申し上げま す。本当にありがとうございました。
明星大学 経済学科主任 坂本 秀夫
― 5 ―