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賃金管理の体系につい一て

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(1)

一は し が き   

L 生産並に労働方式の変化と賃金の管理的機能  賃金を管理することほ労務管理の主要な部分であり︑労務管理が全経営管理活動のうちにあってそれを構成する  きわめて重要な部分であることは︑今さら申すまでもないところであろう︒ところで賃金管理の重要性については  

異論はないとしても︑重要性の意味内容即ち賃金管凰︵あるいほ賃金自体︶に課せられた管翠機能の内容ほすべて  

の時代を通じて必ずしも同盲はないのである︒賃金が具有せねばならぬ管理機能ほ生産管理を含む全経営管理活 ︵1︶  勒の発展に従って︑その内容並に重要度においてそれぞれ変化を示しているのである︒直営が非科学的な試行錯  誤によって行われた﹁成行管理﹂の時代においては賃金管理もまた漂流的に行われ︑次いで﹁自発奨励の管讐  

︵Manage諾ntOニni−ia−iく2Sandincenti諾S︶の時代においては︑何か余分の賃金刺戟官2n旨2S︶を与えるこ  

とによって労働者がもつしかも生産に具体化せしめることの出来るあらゆる良きもの 官tiati透︶を進取自発的  に提供せしめんとすることが模索的警付われたのである︒この時期における賃金ほ単に労働者のもつ労働能力を引  

出すべき誘因であるはかりでなく︑全管理活動の貧困をカバーすべき使命をさえ負担し一にものであり︑賃金管理即  

全般的経営管理︑あるいは賃金管理が唯−の管琴活動とせられたのである︒余分の金銭的刺戟な供与することによ  

︵二二二一三   賃金管理の体系について  

賃金管理の体系につい一て  

義  正  須  崎  

(2)

︵二二二︶一一八   東三十巻 第二ユニ骨  り労働者から余分の努力を期待せんとするこの管理方式は︑テイラーの所謂﹁科学的管理﹂の時代の憾現に至る迄   

総統しこの時期の後半においてはハルレイ︒ローワン琴の諸形態な発生せしめている︒   

テイラー以後の賃金管理にあっては賃金算定の英準ぁえほ課業︶の設定が戎程琶客観的に行われるに至ったこ   

とが劉期的な特徴であって︑﹁科学的賃金﹂が出現し伝来的慣行的賃金に代位せんとしているものということが出   

来る︒   賃金のもつ金管理機能代行的性格は漸次凋落するに至っ・たのであるが︑宣れでも品質管理或は原材料の節約等の   

問題を賃金計算に結合して解決せんとする経度においては相当長期に渉り残存したのである︒この期匿おける賃金   

の管理は依然として賃金のもつ労働能率誘因性の強化を中心として展開せら′れたものであるが︑従来の﹁イニシア   

ティブ﹂は﹁タメク﹂ ︵課兼概念︶として明確化され︑その算定濾動作研究︑時間研究︑疲労研究等を駆使するこ   

とにより正確且客観的に実施することが可能となったのである︒これによって賃金決定手続きの双壁をなす算定基   

準の確立と賃率配賦のうち︑算定基準の合理的決定は著しく促進せられるに至ったのである︒   

次いで強制進行作巣方式の導入とともに﹁山定労働時間即副定労働能率↑が実現し︑賃金による能率引出しの必   

要は短期間的に見れば一応解消するに至ったのである︒作米の細分化単能化と相侯って︑上述の不完全日動機械に   

よる作業ほ熟練工の必要性を消滅せしめ︑労働力構成においで半熟練工又は不熟練工の占める比率を著増せしめ   

つつ︑﹁労働力の凡庸化﹂を招来するに至った︒この変化は労働組合をも当然変容せしめ︑技能別組合から業静別   

又ほ産菜別組撼中心への移行となったことは周知の通りである︒   

賃金管理的に見れぼ賃金の性格ほ作業儲率の直接的誘因としての機能からわ∵応解放せられつつも︑他方不完全  

自動機械作業のもつ技術上の弱点 ︵作業の単機化︑ルティン化︑労働者の白主性の拘束物格化等︶︑産業構造上の弱   

(3)

点︵季節的及び周期的変動に基く失業の懸念﹁餓餓と饗宴﹂等︶に対し︑経営として可能なる領域と程度におい  

て1全管理体系をあげてこれに対処することの必要性︑並にそれについての自覚が増大しっつあったのである︒こ  

の事は賃金管理に対しても新しき課題を提供し解決を迫るに至ることは当然である︒雇用又は収入保証的賃金措  

置︑人間関係促進的諸給与ほかかる新しき課題の解決を意図せんとして工夫考案せられた施策である︒それらはま  

た︑従来の賃金管理の狙いが短期的労働能率の引出しであったのに対し︑長期的︑持続的︑綜合的経営能率の山環  

としての適正な労働能率を目標とするものである︒   

最近︵特に罪二次大戦中以降︶の完全自動放械並に自動制御装置の出現はそれに必撃とせられる労働の様式並に  

労働者の素質について再び頭脳的︑高度熟練的な要素の復活を強く要求するに至り︑ての事はルディン的苦役から  

の労働者の解放と相侯って︑ノ労働者の主体性の恢復にとり好ましき役割を果たすものと見られる︒即ら新技術は労  

働力の非凡化︑舎貝瀞部化を要求するものというべきであって︑東金のもたねぼならぬ管理的機能もまた再吟味を  

必要とせられているのである︒︵オートメーンヨソ期償おけるプッレ︒・ボタン賃金を考えよ︒︶  

2・我国の賃金管理の性格   

特定の時及び所における経営の賃金管理の性格はその時及び所における経営労働戎ほ雁漢方式のあり方︑賃金が  

製品の原価中において占める比率︵賃金費︑人件費並に総生産費的に︶︑企業の収▲益力並担競争の状況︑経営内社  

会関係︵労使関係並紅人間関係︶等の綜合的影像で凍るといえる︒管理活動ほ系列的には全般的経営管理が労務管  

理を規制し︑労務管理の在り方が賃金管理の性格を規定することは既紅述べたところである︒  

ところで個別経済の経営管理の在り方ほ︑当該経営笹特有の諸条件の反映であることほ申すまでもないことである  

が︑同時紅それは当該経営の依拠すノる全体経済の性格によ1て強く特徴づけられるもの  

賃金管理の体系について  ︵二二三︶ 〟一九   

で あ   る  

>−  」  

と   は   明  か   で   あ  るす   

○ )  

(4)

今これを我国経済或は産菜の特殊性について見るならば︑例えば﹁日本の賃金問題は日本労働の特質の上に立って  

考察されねばならぬ︒⁝⁝日本労働の特質は現在でも農村からの出様労働に依存し⁝⁝賃金は家計補充的な一握  

りの金という形⁝⁝日本の賃金労働が︑農家経済からほなれた独立の︑エ場地帯に定住・定着する労働人口とい       ︵ 3︶  う近代的な形をとった場合に︑始めて我国の賃金阻題はノーマルな形になる︒﹂とせられる︒その他我国産業の構  

造・労働可能人口対可能雇用畢生産物に対する市場の構成︵特に国内市場対海外市場の比率︶︑社会の抱く労働  

観或は財産権対労働権についての思想的基調等濾いずれも経営労働の態様並にその管理の性格を規定するものであ  

る︒   

この点紅ついての詳述搾避けることにするが︑いずれにしても我国において近代的賃金︵或は広く近代的労働関  

係︶が成熟するためにほ猶多くの迂余曲折と時間を必要とすることは明白でぁる︒  

8・賃金管理の目標   

賃金管理は労務管理の劇環として存在するものであることは既述したところである︒この事は特に賃金管理の甲  

標並蔽政策等について明確である︒労務管理の目標は私見によれば適正︵標準︶労働力の長者︵育成並に持統︶で  

あって︑賃金管理はこれを労働給付灯対する報酬の側面において達成せんとするもの.にはかならない︒即ち賃金管  

理の目標は賃金及び給与の計算並に女払を通じて適限労働力の培育並にその長期的安定的持続を計るにあるといえ  

る︒   

ここにいう適限労働力とは︑いわば長期間的に見て質・量的に最高の労働給付をなし得る労働力を指すものであ  

て\それは単なる労務定員式概念ではなく︑設備︑方法︑並に技術等特定の生産条件下において︑時間研究︑動  

作研究を始めとする作業管理︑原価計算等により確立せられる一つの到達可能な労働力の理想的大きさである︒経   

(5)

営がもつ現実の労働力をこの理想的労働力に合致せ⊥め︑且その状態において安定せしめることが経営労務管理の  

目標である︒   

かかる適限労働力の獲得並に維持が実現されるならば︑その場合の賃金ほ︑それによって経営並に労働者双方  

に対し︑再生産を保証することが可能である︒即ちかかる労働力の行う労働給付に対して支払われる賃金ほ︑経営  

側からはコストとして賃金費・人件費︑あるいは総生産蟄的に順調に回収せられるであろうし︑労働側にとって′ほ  

少くとも最低生活費の確保を可能ならしめるものである︒これを私見による賃金支払体系について見れば︑理念的  

には狭義の賃金によって労働者並にその家族の最低生存水準以上の生活を保証し︑賃金以外の給与就中﹁補完的給  

与﹂によって文化的生活要素を附加するものといえよう︒最低熟練度又ほ最低能率の労働者に対して支払い得る  

経済的金額が︑同時に労働力再生産のための最低費用を保証するものであるならば︑コスト及生活費の両者を同時  

に満足せしめ得ることは蹄す迄もないが︑このことは現実にほ必ずしも可能でほない︒そこで現実には︑特定水準  

の労働者の特定の生活水準を満足せしめるための金額の支出が経営軋とり消化可能であるか否かの問題と︑今山つ  

ほ特定の労働給付に対して支払われる費用合理的賃金が特定水準の生活費を保証し得るか否かの問題が︑賃金のも  

つ原価性と生活費性の対立の問題として表われる︒問題解決の方向にはコストが賃率を規定するものとしてなさ  

れるものと賃率がコストを︑従って生産要素の結合方式を規定するものとして考察せられるものの二つが考えられ8  

るが︑後者に優位性が置かれる傾向にある用   

労働側にとっては︑単なる賃率又ほ賃金の高さよりも二定期間紅おける賃金稼得高︵earning︶︑更には所得︵in・  

cOme︶︑それも名目的所得よりほ実質的所得︑総所得よりも純所得︵Ne㌃pendab−e︶が重要とされ︑仙方経営側  

からは賃金は賃率又は支払賃金の額よりは︑それによって作出せられる製品叉ほ用役の単位当り賃金費︑更には同  

︵二二五︶ 劇二山   質金管理の体系について  

(6)

︵二二六︶三二  第三十惑■筍±・二者  

総原価としての吸収消化の可能性が重要であることは屡々述べられたところである︒さて賃金の単位当り桧原価と  

しての消化ということは︑要するに生産性との関連における間接費負担能力の問題に帰着する︒そしてその.場合の  

賃金は多くの場合労働給付に対する関係が比較的直接性をもつ賃金の意に解せられているようである︒併しながら  

標準労働力の達成という管理目碍に照して考えると︑狭義賃金のもつ原価要素性のみならず︑雇入並に訓練及び配 ︵4︶  

置等のための支出をも含めたものとして考察することが必要とせられるに至るのである︒更に︑概念的には︑労働  

報酬にほ費用として処理さるべきもののみならず︑経営活動の成果の分配分をも含むものと解するのが至当とされ  

るセあろう︒   

︵1︶刺戟賃金制をその一部とする十二個の主要経営管理機構としてデイツキンスンほ次の如く指摘する︒︵Z・C・D山c賢sOnU  

COmpenSatinmIrdu賢i巴Eff㌢t︼p皐∽01∽−︶  

二予算統制  

二︑市場分析  

三︑品質管理  

四︑′貯蔵管理  

五︑エ場設備の維持  

六︑工程分析及作業標準化  

七︑計画及び段取  

八︑生産管理  

九︑刺戟賃金制度  

十︑労務統制   

(7)

十二標準原価  

十二︑調査及びデサイン   

︵2︶ S∵B↑eまn2−1abO−Pa−−e言Sa邑→︻2nd∽in−apansinc2Independ2nCe二商宮晋・桜林誠訳アメリカーナ第三巻第  

二号 八頁−十二頁ほ日本の経済構造︑労働力人口の鹿型︑労働市場︑労働力の構成︑労働組合運動の規模︑発展程度そ  

の他につき簡潔に記述している︒   

︵3︶ 大河内山男﹁日本の経済と日本の賃金﹂賃金の理論と実務 二見−十二頁︒   

︵4︶ R・W・由夢Sa−a−yandWageAdminis−−a−i昌︸pp・㌣−↓においてイールスは自由なる労働移動の存在する米国の実例  

をあげ︑賃金支払総額のみについてほ世人の考えがちである方向とは逆に好況時においてほ高率移動が労働力構成を不熟  

練工的とするため支払賃金額は反って減少し不況時には逆であることを指摘する︒猶彼ほ賃金支出顔の大小のみによって  

問題世論断することを警め︑ここに賃金費と人件費の相違を説き人件費的考察の重要性を説いている︒  

二 賃金管理の体系   

経営の賃金管理体系は一般的経営管理体系と昇るところはない︒即を賃金管理の対象︑主体︑手続が賃金管理の  

体系を構成するのである︒  

L 賃金管理の対象   

賃金管理の対象とは賃金管理の内容をなすものであ?て上れには金額的管理と制度管理が含まれる   

イ 金額的賃金管理   

これには賃率管理と賃金額管理が含まれる︒賃率は賃金額の決定であり︑計算の基準︵労働時間︑出来高︑職務  

の価値等︶に対して配賦せられる単価であって︑賃率の管理は賃金管理の中心的内容をなすものである︒賃金額ほ  

︵二二七=ニ三   賃金管理の体系について  

(8)

第三十巻.第二・三号  ︵二二八︶一こ四  

一定期間 

ては控除物︶を加︵減︶ したものである︒   

賃金の率或は額の管理には傾斜と水準の問題が含まれるがこれの決定ほ共に上級管理層の権限に属するのが普通  

である︒傾斜は賃率及び賃金収入が増減する場合に示す賃率又は賃金曲線の形状である︒   

賃率又は賃金の水準ほ︑多くの場合︑相対的な高さであり比較の概念であって︑経営内的にほ水準の時間的比較  

の問題︵例えば定期昇給或ほベース・アップ︶ と︑職務対職務比較の問題︵例えば職務給における賃率格差戎ほ熟  

練度別格差︶ とが考えられ︑対外的︑には﹁慣行水準﹂又は﹁世間並み水準﹂∴習inGq訂諾−OM pウ叩くai−i義 le詔こ  

及び労働組合の要求する水準︵uniOn SCa−e︶ がある︒   

猫賃金管理の対象は︑.管理せられる賃金が如何なる種類の労働給付に対して支払われるものであるかの点から分  

類すると︑管理的労働者︵e究Cuti諾S︶に対する賃金管理と執行的労働者 ︵Operati完S Or WOr打ers︶に対するもの  

とが考えられる︒労働誘因としての金銭的刺戟及び非金銭的刺戟がこれら二種の労働者に対して有する作用力には       ︵ 1︶  その質と強度において大きな差異が存在するのであって︑そこには別個の管理体系が考えられる︒所謂俸給管理と  

賃金管理がこれであっで︑後者がコスト的管理であるのに対し前者はコスト的管理の他に︑経営成果又は利潤配分  

的管理内容を包含するものである︒   

q ロ 賃金制度管理  

賃金制度は賃金構造であり︑これにほ賃金形態と賃金体系とが含まれる︒   

賃金形態は賃金計算形態又ほ支払形態であって︑基本的には労働時間を基準とする時間給と労働の結果たる生産  

鼠に基く出来高給の二種類があり︑派生的には節約賃金を∵定の比率により労資双方に分配する分益制度を始め︑   

(9)

二つの基本型を異なる程度及び方法により組合せることにより多くの形態が生れていることは周知の通りである︒ 

併し乍ら賢金形態の管理ほ既に述べた如く賃金管理体系中において占める位置はもはや過去における程重要なも  

のでほない︒即ち賃金と能率の直接的結びつきを必要としない近代的生産方式の完成に伴い 基本型のうちの何れ 

を採用すべきかの漁定は経営としては計算の簡︑そして労働側の納得叉ほ理解の優にょり左右せられるのみであ  

る∵﹂の意味においては時間給形態の採用の増加が考えられ︑具体俄には所謂ベルト調賃率︵b2言aced邑e︶と  

いわれる流れ作業に対する時間給と︑職務評定により職務のもつ相対価値に対して支払われる職務給又は職階給と  

が近代的時間給の双壁である︒  

次に貸金体系は賃金の構成内容にょる組合せであ鳶これには各種の賃金算定方法︵即ち賃金形態︶を如何に按  

分配当すべきかを問題とするもの︑基本部分と刺戟部分の配分を取上げるもの︑更に生活給・能率給・能力給・職  

務給等の賃金を如何なる比率をもって複合するかを問題とするもの等が考えられる︒一般的に′ほ以上のうち基本部  

分と刺戟部分の配分の決定が賃金体系管理の中心的なものであり︑我国についていえばそのうちの基本部分︵狭義  

基本給︶の構成として︑年令給︵生活給︶・勤続給並に学歴給︵共竺種の能力給でそのうち学歴姶ほ初任給の基  

本部分決定に決定的重要性をもつ︶の複雑難解な複合という極めて厄介な形をとっている︒我国の賃金体系はその  

中堅剛資本主義的労働観︑賃金の家計補充的性格等からの影響を含鼻︑それが戦後のインフレージョンにょり混乱  

を倍加せしめられたものであって︑経済の安定とともに体系の合理化並に簡素化は労使双方から希求せられるに至  

ってはいるが︑その実翠は労働の基本的な在り方の合理化を前提とするものであってみれは︑問題の解決は早急且  

安易紅ほ達成さわないであろう︒  

2・賃金管理の主体  

賃金管理の体系について  ︵二二九︶ 山二五   

(10)

︵二三〇︶ 二ハ   第三十巻 第二ニュ号  

管理主体紅よる賃金管腰体系は賃金管理組織又は機構によるものである︒即ち賃金管理担当者の経営管理組織上  

の地位による分類であって︑通俗的用語に従えほ︑上級管理者による賃金管理を頂点とし︑以下中級及び下級管理  

者による管理にまって構成せられる︒.各管理層の担当すべき機能について見ると︑それぞれ賃金管理政策︵又は方  

針︶ の設定並に変更︑賃金管理の運営並に統制︑賃金管理の実施となる︒  

3・賃金管理の手続   

賃金管理の具体的活動又は手続はそれが山般的管理活動の一分野であるところから︑当然管理活動の洲般的体系  

化の方法町従って体系づけることが出来る︒管理活動ほ一般論的にいえほ︑決定︵何らかの行動をなすべきか香  

か︑及び如何なる行動をなすべきかの決定︶︑計画︵決定事項の解釈︑具体化︶︑準備︵計画の詳密化︑実施の前段  

︵2︶  

階的活動︶︑実施︑再吟味並に改善︵新しき決定︶ という一連の環からなる螺旋的循環であるとせられている︒  

︵3︶   

猶賃金管理の体系に関連して屡々引用せられるものに︑DuW′Be−cheru L・B・Michae−︸Rこ司.Es等がある︒  

︵1︶ R・B・Fetter and D・C・JOFns呂.COmpenSatiOn and Hnce象諾∽叫Or Industユ巴E諾Cuti諾S.p.−↓.   

︵2︶ R.1.Liまn琶㌢TheEn讐eeringOfO︻gani邑iOnandMana鷲me阜pp.缶−芦   

︵3︶ D・W・謬−c訂r・宅ageandSa−aryAdminist邑iOn一p・−∽・ベルチャーほ同番において︑賃金管理の内容として次の諸問  

題をあげ︑全巻をそれは従って体系づけている︒  

1 賃金水準の問題  

2 賃金構造の問題  

3.個々の賃金決定の問題  

4 プリンヂ給与︵︷れf︻ingeJ の問題   

(11)

賃金管理の体系について   5 統制の問題  L.B.Mic訂e−.宅ageandSa−a︻yFundame已alsandp喜2du誘こ・↓・ほ賃金管理の全般的問題として次の五個の主分  顆及びそれぞれの副分類で掲げる︒  1 蒐木方針  2 賃金構造  3 間接的給与︵ベルチャーの﹁プリンヂ﹂に相当する︶  4 直接的賃金  5 従業員の配置︑業績評定︑賃率調節   

猶ペルチャー及び︑︑︑カエルの所説についてほ川崎文治﹁賃金および労働時間﹂ ︵藻利重隆論﹁労務管理﹂一七四頁以  

降︶参照  

R一W.E−−sV Sa−a︻yandWageAdm賢st邑iOnJnt︻Oduct仙Onpp・首−首は内部的に調和のある賃金政策の樹﹂吏の上に︑  

賃金管理の主要問題を次の二個とする︒  

1 健全な賃金構造の設定  

イ︑各職員の平均人に対する﹁正常﹂賃金の支給  

ロ︑整一的賃率巾  

ハ︑等質な職務の職務分類  

ニ︑内的調和の達成のための職務格付  

2 賃金の管理及び統制︵後述︶   

︵二三こ サニ七   

(12)

対給付と考えられるのであるが︑今日の賃金概念はより広義であ︑る︒   以上粒より経営の賃金管理滴動の体系づけを一応終ることとし︑次に補完的給与及び賃金の統制につき瞥見する  こととしたい︒   

賃金ほ労働給付に対する報酬︑或は労働の対価であるとせられることほ既に述べたところであるが︑この場合の  

労働には直接的生産労働の他に間接的労働及び経営に対する何らかの爵献︵例えば材料節約︑品質向上︑精勤︑提  

案︑時間外勤務等︶をも含むべきである︒又対価或は報酬という場合には︑通常ほ労働給付の存在告別提とする反   

労働者の雇用に関連して経営の負担となるべき費用軋は次の二種類が含まれる︒  

H 経営から労働者に対して支払われるもの︒   

A 有代償的給付︒  

1・賃金的構造をとるもの︒   

乱 非賃金的構造をとるもの︵経営に対する貞献に対して支払われるもの︶︒   

B 無代償的給付︒   

L 法の規定による権利としての給付︵例えば家族手当︶︒   

久 田体交渉による契約に基く給付︵例えば有給休暇︶︒   

そ経営の発意による任意的給付︵例えば福利厚生施設による給付︶︒  

⇔ 労働者の雇用に附随して発生するものへ離職︑雇入︑訓練等により生ずる費用︶︒    第三十巻′ 第二・三号  

lニ 補完的給与  

︵l︶  

︵小二三 二一入  

(13)

以上のうち賃金管理の対象となるものはHに属するものである︒但しそのうちの福利厚生施設はその内容が極め  

て多岐に捗り︑叉そのうちには費用であるよりは寧ろ利潤の分配と解すべきものが若干含まれているので賃金管理  

の対象からは除外せられることが多い︒併し乍ら賃金管理が福利施設との関連において綜合的粧なされねばならぬ  

ことは申す迄もない︒ぃと⇔を合計したものが所謂人件費であって︑賃金管理を巨視的に考究せんとする場合にほ  

両者料綜合考察することが不可欠とされるであろう︒HのうちAの1の賃金的構造をとるものを除けほ概してこ  

︵2︶  

れを﹁補完的潜与﹂と呼び得るであろう︒   

補完的給与は又賃金補完物︵w凝eSupp−ements︶︑賃金の修飾物叉ほ色づけ富︒dificat−︒nSinwages・︒rfringe・  

benefits︶︑間接給与︵indirect・paymentp㌻−甘s︶︑椎給与︵emp首eebenefits︶等の名称で呼ばれることもあり︑  

その具体的内容ほ次の如きものを含む︒  

間接給与   

︵︑︑\カエ  

賃金管理の体系について  

ル  

■、_′ )  

L 手当−有給休暇︑有給休日︑作業切れによる帰郷︑門から門迄手当︑命令による欠勤に対する  

手当︑離職手当︒  

乱 割増1夜勤割増︑超勤割増︑休日出勤割増︑日曜出勤割増︑緊急召集割増︒  

& 賞与−利潤分配賞与︑生計費賞与︑クリス箆与︑年次賞与︑出勤賞与︑昼食無料支給︑商品の  

.割引提供︒  

4・福利厚生的給付−疾病及業務外事故に対する支給︑団体保険︑健康及厚生基金又は支給︑会社  

年金︑死亡時給付︑貯蓄制度︒  

5・安定保障制度−雇用保証制︑年間賃金保証制︑現職保証︑現賃率保証︒   

︵二三三︶ 劇二九   

(14)

扱かかる内容をもつ補完的給与は賃金管理において如何なる意味と位置を占めるものであろうか︒労働者に対す  

る有代償的支払を主要且基本的構成要素とするものが狭義の賃金であるのに対し︑補完的給与は広義にほ当該経営  

の従業員であるという事実に対して支払われるものという事が出来よう︒そしてその内容には我国の在来の観念を  

もってすれば︑基準外賃金︑福利施設︑期末定例賞与︑利潤分配等に属するものが含まれる︒   

 ̄ご:− ごミ  

与要   のフ   項リ  

乱.現物による支払︒  

3・スライディング・スケール制︒  

4・エスカレーター条項︵生計麗スライド制︶︒  

5・生産性向上による年次自動昇給︵imprO完ment factOr00︶︒  

6・利潤分配制︒  

7.従業員持株制︒  

1.猶   ル  

チ   

︵5︶  

ヨーダーほプリンヂ給与を含む主要賃金修飾物を次の如く分類する︒   

プリンヂ項目−保険料雇主負担︑老令年金・失業補償ノ・税金等の雇主負担分︑その他の便宜供与に要する費  

用︑超勤・休日召集・苦情処理等に要した時間への支払︑宿舎手当︑門から門迄手当︒   罪三十巻 第二・三雪  

竺ヱ百妾  

/      ノ、    ⊥  

5.4ル 3.2.1.  

就労に対する余分の支払−超勤割増等四項目︒  

非生産的報償−出勤賞与︑年末賞与1 提案賞等九項目︒  

不就労時間に対する支払﹂有給休暇︑公用欠勤に対する給与等三十項目︒  

保障的支払1災害及失業保険料の経営負担︑年金︑住宅資金貸付等二十二項目︒  

従業員厚生のための支出−食堂︑コーラス︑休憩室等四十八項︒   ︵二三四︶一三〇  

(15)

それらのうちにはその支給動機について問題となるものもあるにはあるが︑忘労働者にとり消費可能な手取額  

︵netspendab宣︶或は実質収入の増加監貝献し得るものである︒補完的給与は経営からの支給物の体系のうち︑経  営に及ぼす生産費的圧力においては比較的間接的な給与であり︑従って経営にとってはコストとしての消化の緊要  

性の自覚については狭義の賃金には及ばないのが通例であぇベルチャーが﹁隠れた・る人件費﹂︵hidd2npay邑−︶       ︵ 6︶  と呼ぶ所以もここにあるであろう︒   ところで︑労働給付又は能率と直接の結びつきのないかかる給与形態が表化したのは︑米国では第二次大戦発  生以降のことであって︑その創設動機は労働強化︑賃金統制等労働者にとり好ましからざる忘の戦時事態の影響  

を緩和するにあったようであり︑従って労働側の要求に基くものも多い︒ところが戦後においてもこの給与制度は       ︵ 7︶  残存するのみな奴ず次のように増加の趨勢を辿っている︒  

米国商業会議所調査によるフリンデ給与︵夜勤︑超勤︑休日出勤等に対する割増︑交替加給を除く︶  

従    支   業  労  、払   

貝   働  賃  

時  金   問  に  

人       当  ′対   当  り  す   

り  の  る    年  金  比    額  叡  率 

九   九  四   四   七   年      四    南    %   

九   五  

(⊃  

九  

八         ′ 年  弗  仙  %  

九  

六    八    五   

四  四  恵  七   

年  弗  仙  %   

九   阜       恵   四  九   六    年  弗  仙  %  

これら補完的給与の性格は我国の如き前資本主義的︑恩恵的動機紅出るものでないことは申す迄もない︒個人主  義思想が旺盛でありそれが高度の生産性と結合して生れた米国固有の﹁高賃金による自力厚生﹂は︑かくて︑第二  

賃金管理の体系について   ︵二三五︶ 三   

(16)

︵二三六︶ 三三  罪ご手数 琴㌻三号  

次大戦を突放として生れた近代的な補完的給与により変貌しっつあるものと見ることが出来る︒   

狭義賃金には一般的に︑︑叉同一地域間一業種或は同一職務的に見て格差の解消︑平準化の傾向がより強いといえ  

よう︒⊥職務給は賃金格差を闇二経営の内部において確立せんとする企図であるが︑対外的にはその水準は平準化 

を免れることは出来ない︒︶平準化の原動力として考えられるものは︑労働問の熟練度の差異の減少 ︵労働力の凡  

庸化︶︑賃金決定における統一的団体交渉方式の採用︑慣行賃金又は世間並水準 ︵gOing−彗e−︶ のもつ平準化借  

用︑生活賃金の要求又は最低賃金制のもつ賃金の下限設定作用等であろう︒   

補完的給与はこれに対し︑経営から労働者に対して支払われる総給与体系のうちにあって︑その性格紅おては労  

働能率との直接的結合性をもたない︒叉生産費構成意識の弱い給与であり︑内容的には経営による利潤分配的施策  

との間に明確な区別を劃するLとが不可能なもの迄も含むものである︒更に給付動機紅ついていえほ経営側の創意  

自発によるものをも含むことがあゃ︑これらの点からみれば狭義賃金とほ対疏的であることが明かとなるであろ 

う○   

狭義賃金には未だ能率刺戟性或は能率との直接的結合が求⑬られること多きに対し︑補完的給与は経営Ⅶ綜合的  

能率を示す指標として︑叉従業員に対して経営側の提供する尊意の表現として考えることが出来る︒これによつて  

経営側は労働側の善意を士気或は態度の改善向止の形で期待するものであり︑賃金が外的刺戟性をもつのに射し︑  

補完的給与は労働者の内的昂揚を目標とするものである︒狭義賃金が給与水準に対して平準化作用を有するもので  

あるのに対し︑補完的給与は慣行賃金以外に叉以上に支給せられるもので︑それによつて総姶与額における経営差  

を生ぜしめるも臥であり︑叉そのことが昂揚機能の効果的発揮のためには必須とせられるのである︒   

労働者の直接的努力増加に基因する能率増加分︵賃金的にほ節約賃金︶ を労働者に与えんとするために︑幾多の   

(17)

種頬の業績給形態が考案せられたのほ︑十九世紀の末葉から二十世紀の初実にかけてであった︒その後の生産方式  

従而労働様式の変化は︑賃金の管掌段性︑能率誘因性を遂次解消せしめつつ今日蓋っているのである︒かくて  

近時の生産性概念においては蓋性即労働蓋性とせられ︑しかもそれは労働そのものの努力の尺度ではなく︑労  

働力利用の総効果の尺度の意味簑わす語として使用せられ︑叉生産性向上の成果ほ当然労働側にも配分せらるべ  

きものとしての合意なもつのである︒︵例えば前掲ヨーダーの5のimprO諾menニactOrS︶   

テイラーの分析的︑技術的能率測定から五十年の歳月を経過して今日の腐合的生産性測定に到達した訳であり︑  

原生的労働能率給ほ生産性概念を契機として近代的経営能率給へと移行しっつあるものである︒そして補完的給与  

はこの移行を具体的に実現せしめつつあるトレーガーであるといえよう︒   

︵1︶ 雑誌PR 第五巻 第三号所載拙稿﹁賃率管理の問題点﹂参照︒   

︵2︶ 日本経営学会年報︵㌻几五二年︶所載の拙稿﹁我国戦後の賃金問題﹂参照︶   

︵3︶ L.甲Mic訂e−・ibid:pp・−ひの−−芦   

︵4︶ D.W.Be−che︻・ibid:pp・㌫の−㌫↓・   

︵5︶ D・Y邑2−・2e︻SOnne−p旨c宣2S andP01山ci2S・㌢鼎声   

︵6︶ D.≦﹂紆−c許︻・ibid・J pP・缶∽−会↓・   

︵7︶ D.W.B2−c官︻・ibid・u p・缶00・  

四 賃金 の 統制   

統制機能は︑表的にいえば︑目標或ほ理想として仮定せられた数字或は価値と︑現実のそれとを比較秤定し︑  

︵二三七︶一三三   賃金管理の体系について  

(18)

︵二三八︶ 山三四  第三十巻 第二・三骨  

両者を調和せしめんとする努力である︒統制には普通の場合目標が基準とせられ︑従って現実を目標に合致せしめ  

ようとする努力であるとされるのであるが︑白襟も必ずしも絶対的なものではない︒   

扱賃金管理の目標は︑賃金の計算︑支払︑原価処理等を通じて︑経営の標準的労働力の培養︑維持を実現せんと  

︵1︶  

するにあることは既に述べた︒ライトルは賃金の目的を次の如く具体的に指摘する︒1単位原価の低下︑2単位時  

間当りの生産増加︑3従業員の収入増加︑4労働移動の減少︑5士気の改善︑6製品の品質向上︑7仕損じの減少︑  

8監督費の低減︑9原価管理の改善︒イールズほ賃金統制の目標を︑賃金支出額を大多数の従業員が正当と信ずる  

︵2︶  

如く分配することであるとしている︒叉彼ほ賃金統制は賃金費及び労働移動の統制であるLとを強調している︒賃  

金によって労働移動を統制せんとすることは︑破が多年の賃金管理の実証的研究から到達したユニークな統制目標  

であり︑注目すべきも.のと思われるので概要凌左に紹介サることとしたい︒   

披は︑米国の如く自由なる労働移動の可能な場合においては︑賃金調整は経営の現実に支払う平均賃金を増加せ  

しめ高率の労働移動ほそれを急激に低下せtめることを指摘し︑この事実ほ経営の予想又ほ意図する所とほ正反対  

であるとする︒即ち通常高率労働移動の存在ほ好況時にお.いて見られる現象であり︑従ってそこでは平均賃金も高  

からざるを得ないと考えられ勝ちであるが︑現実の分析は逆に低平均賃金を示すのである︒好況時の低平均賃金の  

理由め最大なものは︑高率の移動のため平均賃金以下の新人の増加であろう︒ 

経営にとり好ましきものではなく︑却ってそのたあの低能率︑雇入及び訓練費等の増億が賃金支払における節約分  

を上廻るであろうことほ容易に理解し得られるであろう︒   

そこで彼は分岐点の設定の必要性をあげる︒即ちHそれ以上に賃金水準を増加するよりほむしろ放任し︑従っ  

てその結果移動を大ならしめ︑新し㌢労働者を雇入れる方が有利な点︑︑及び⇔賃金水準をそれ以下に低く維持す   

(19)

ることの不経済な点︑即ち新入工を採用して非能率な生産を招くよりほむしろ賃金水準を高め現有労働力を保持す  

る方が有利な点を発見すべきであるとする︒   

彼によれば虞金管理の最初のそして最後の︑そして唯云法則は︑賃金は統制可能であることであり︑而もそれ  

は唯各職務等級各にその平均的労働者軋対して︑その等級でのノルマル賃金︵wag2nOrma−sOr 

実際は便宜上賃率巾をもつ職務給では各等級の賃率巾の中央値をもって当該等級のノルマル賃金とする︶を支払う  

ことによってのみ可能であるとされる︒  

具体的には︑全従業員につきノルマル賃金にょる合封を算出しこれと現実賃金︵超勤手当及び賞与は除く︶の合  

討とを定期的に比較することにより︑賃金調節を許容すべ.きか抑制すべきかを判断するのである︒現実賃金対正常  

賃金の比率の下降は︑若干の調節を与えなければより多くの従業員を失うであろうとの危険信号であり︑又下降し  

ない場合にも危険信号を意味する︒即ちこの場合には︑最も価値ある従巻貝以外の者に対してほ調節を行うことを  

中止しなければ︑賃金要は合理的埼外に迄上昇することを示すのである︒   

以上で明らかな如く賃金調整ほ彼虹あっては現実の賃金水準を好ましき正常賃金の水準に維持するため匿行われ  

る事務的調節を意味するのであって︑責任増加︵昇進︶に伴う昇給調節︑或は賃金水準の劇般的引上︵ベース.・ア  

ップ︶を意味するものではない︒又彼の主儀によれば︑真に公正なる賃金はあり得ないのであって︑従って次善的  

に﹁大多数の従兼員が正当と信ずる如き﹂賃金を目標とすることは既に述べた所である︒このためには対外的調和  

よりもむしろ経営内的調和を保持する賃金構造が必要であるとせられるのである︒彼のいう﹁平均人には賃率巾の  

平均額︵正常額︶を﹂ほ内的調和のある賃率構造であるとともに︑これによ.って労働者をして生産量の如き固定した  標準にではなく相互に競毎ふしめることとなるとせられる︒そして労働者が相互に競争し合う限り賃金は常に統鮒  

︵二三九二三五   賃金管理の体系について  

(20)

可能であるとなすのである︒彼ほ刺戟給制度︑実力主義賃金制度︵膏e邑wage schedule︶︑年功主義 ︵溜niOrity︶  

何れの場合においてもこの方法をもって成功的賃金統制のための不可欠の法則であるとなすので′ぁる︒猶分岐点を  

的確に把握し︑経営の全部門について大局的に叉むらのない調整を実施せしめるのは最高経営者の責任であるとせ  

られる︒   

彼の所説ほ米国の進歩的企業において十ケ年以上に捗り成功神に実施せられた経験に基くものであって︑そのう 

封管理との綜  ちには傾聴すべきものが含まれていることほ否定することは出来ないであろう︒特に賃金管理を人件  

合において考察すべしとなす点︑或は労働移動との関連において賃金調節を処頭すべきであるとする点は何れも注  

目すべ㌧どものである︒我国の如く︑労働者にとり就労の機会少く︑又自由なる労働市場を欠如するところにおいて  

は︑労働者の自由なる移動ほ存在しないというべきであり︑従って移動率を指標としての賃金調整は我国には妥当  

しないとする反論もあり得るでぁろう︒併し乍らこの事は調整を必要とする事態が存在しない事を意味するもので  

はなく︑唯それが表面化しないというに止るのみである︒従ってこれに対する調整その他必要な施策を実施しなけ  

れば︑労働移動として顕現する代りに労働者の不満︑非協力等陰性な士気低下の横行となるであろう︒即ち労働側  

の積極的反抗の不存在即産喪平和とする経営側の消極主義的管理は労働側の消極主義的態度によって応答せられて  

いることを銘記すべゝきである︒  

︵1︶ C.華首t訂︸ Wa笥︸宍e已首e已et−岩d∽︸ ℃.P  

︵2︶ R.W.Eロs−詳芦.Int;ductj呂P・i㌍   

(21)

五 む  す  び  

嘗て満洲事変直後に日本のソシアル・ダンピング問題の調査のため国際連明皿において所謂モレット調査団が組織  

され派遣せられたことがあるが︑その結論中において︑日本の父権主義的産業醜係の消滅を論断し︑但し家族制度  

その他の影響転より他国に比し消滅にほ長期を必要とするであろうとした︒そしてこの表現の中にほ所謂温情主義  

的福利施設も含まれてい・たものと記憶する︒   

と〝ころで前掲の米国のプリンヂ給与は賃金支出の山四−仰九%に及ぶこと並に比率及び金額の漸増を示している  

︵モレット報告紅よれば当時の我国大企業におけるそれは︑紡績業を含み︑二四−二五%位であったと記憶する︶︒  

賃金へ引上︶閥争においては︑経営側は一度譲歩により失ったものを完全に奪還することは不可能に近いとせられ  

ているのであって︑このことは補完的給与についても妥当するものと見て誤りはないであろう︒このこ∫とほ単に父  

権主義的な補完的給与の消滅を意味するものではなく︑近代的な補完的給与への移行を示すものとして考えること  

ほ誤りであろうか︒近代的とは給与の設定が経営により一方的に行われる代り些団交戎ほ法令等に基きなされるこ  

と︑及びそ切管理︵支払及び受取その他それに基く施設の運営等︶が民主主義原理に従って行われることを意味す  

る︒例えば補完的給与の二形態である福利施設の用語について見ても︑我国の明治時代の﹁職工救済慈恵施設﹂か  

ら戦前のドイツの﹁経営社会政策﹂ 或は米国の ﹁従業員サービス﹂ k至る変化ほ用語の背後にある当時の社会思  

想︑経営ゐ労働観の変化を表示するものである︒   

賃金の管理︑特に賃金水準の決定においてほ︑内・外的調和戎ほ釣合いが重要な問題と考えられているのであ  

る︒そのうち対外的釣合の問題ほ慣行的水準により判定せられ︑判定の前提としてほ賃金調査が存在する︒併し乍   

賃金管理の体系について  ︵二四こ 二一一七   

(22)

︵二四二︶三八  第三十巻讐㌻三号  ら労働或は職務のもつ個別性により異る経営における職務間比較を完全に実施することは不可嘩に近小︒以上の技  

術的困難の他に︑従業員自体が外部よりも経営内における職務め価値系列の公正に対してより大きな利害関係と関  

心を示すという理由にょり︑賃率における内的調和の問題が発表的に考えられねばならぬこととなる︒   

対外的には粗繁な慣行的水準に基き平準化せられる賃金︑内的には職務のもつ相対価値系列による賃金の職務問  

格差︑そして賃金以外に又以上に経営の綜合的生産性の指標として配分せられる補完的給与のもつ経営問賃金格  

差︑以上の綜合連関の上に経営の賃金管理ほ体系づけられるのである︒   

参照

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