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高橋敏 Satoshi TAKAHASHI

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安全保障理事会とPKO

The Security Council and PKO

高橋敏

Satoshi TAKAHASHI

I

PKOというのは、国際連合による平和牡持活動(Peace‑Keeping Operations) の略語である。本稿で用いるPKOは狭い意味で用いる。なぜなら、 PKOはし ばしば「UNプレゼンス(UN presence) 」と同義に用いられる。仲介とか調 停の任務をもったワンマンプレゼンスもあれば、監視団とか調査団のような組織 された軍ではないチームもある。これらは正式に組織された平和維持軍をも含め て「UNプレゼンス」といえるだろう。しかし、本稿で問題にするのは正式に組 織された平和維持軍である。

平和維持軍は総会によって設置される場合と安全保障理事会によるものとがあ る。本稿で問題にするのは安全保障理事会の組織する平和維持軍である。このよ うな範噂に属するものとして、まず1960年に創設されたONUC(Force de l'Or・

ganization d占s Nations Uniesau Congo,コンゴ国連軍)がある。このONUC については筆者にはすでに二つの論文を発表しているので、ここではそれがどの

(I)

ようなものであったかについての説明は省略する。

さらに、 1964年キプロスにおいてUNF I CYP (The United Nations Force In Cyprus,キプロス国連軍)が設置された。 1960年、キプロスが独立したとき、

キプロスは、トルコ系少数民族の利益保護を目的とした複雑な憲法をもった。す なわち、 1960年の保障条約(Treaty of Guarantee)において、キプロスは憲法 の基本的規定を改正しないことに合意し、しかも、条約の他の当事国のそれぞれ (ギリシャ、トルコおよびイギリス)に対して、憲法を擁護するための一方的

「行動」をとる権利を付与した1963年、キプロスのマカリオス大統領は、憲法 が実施不可能であるから、改正されるべきであると宣言した。これは、キプロス におけるギリシャ系社会とトルコ系社会との間の闘争を引きおこした。このた め、すべての関係当事者の同意を得て、二つの社会の間の平和を維持するため

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に、イギリス部隊が到着した。しかし、平和の維持は、イギリスが予期していた よりもはるかに困難な任務であることが判明した。そこでイギリスは国際連合に 対し、同島に国連軍を派遣するよう要請した。キプロスのギリシャ系社会とトル

コ系社会の衝突から、ギリシャとトルコとの間の戦争が勃発する危険は明白であ った。このため、安全保障理事会は、 1964年3月4日、全会一致で、キプロスに おける両社会問の戦樹の再発を防止する目的で国連軍を設置することを決定した。

国連軍は、主として、 UNEFに倣って設置されたが、若干の重大な相違があっ た。第一に、それは、財政上自発的な醸金によってまかなわれた。第二に、国連 軍の編成および規模は、コンゴ国連軍の場合のように、事務総長によって決定さ れた。司令官は、事務総長によって任命された。他方、事務総長に全幅の信頼が おかれたのではないことは、国連軍が3カ月間にかぎって設置された事実によっ て証明された。それ以後、事務総長は、安全保障理事会に対し、引き続き3カ月 または6ケ月の国連軍存続の延長を求めなければならなかった。事務総長は、国 連軍に対し公平であり、かつ自衛のためにのみ戦聞するよう命令した。これらの 制約は、国連軍の有効性を想像されるほど制限していない。国連軍は、対立する 社会がそれぞれに確保している区域を分けている領域をパトロールする。また、

国連軍は、一方の社会の人々を護衛して、他方の社会が確保する区域を横断させ る。こうした任務の遂行中に発砲されたときには自衛のために反撃する。国連軍 は、また、戦闘行為の勃発を調査、報告し、さらにこのような勃発が生じたとき には、当事者を説得して停戦させる。しかしながら、国連軍は、キプロスの将来 の憲法につきいまだに合意に達していない当事者に対して、政治的解決を押し付 けることを意図しなかった。また、国連軍は、大規模な敵対行為に参加する意図 はなく、したがって、 1976年のトルコによる北部キプロス侵入には抵抗しようと

しなかった。

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さらに、 1973年10月、エジプト・イスラエル間にさらにまた戦争が勃発した。

安全保障理事会は、停戦を要請し、停戦を監視するための新たなUNEFを設置 したUNEFはThe United Nations Emergency Forceの略語で、国連緊急 軍と訳される。普通ユネフと呼ばれるこれは第一次中東国連緊急軍としての1956 年のUNEFと区別するためUNEFnと表現されることが多いUNEFHを 設置した後、エジプトとイスラエルは、二つの兵力引離し協定を締結した。それ らの協定は、 UNEFHがエジプト・イスラエル問の緩衝地帯を占領すること、

ならびに、 UNEFIが、エジプトおよびイスラエルが緩衝地帯の憐接区域で保 持することを認められた軍隊を制限した同協定の条件にしたがうことを確保する

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ために、定期的な査察をおこなうことを、規定した。

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1974年5月、イスラエルは、シリアと兵力引離し協定に締結した。この協定に 基き、イスラエルは、 1967年および1973年に占領したシリア領域の一部から撤退

した。そこで、安全保障理事会は、 UNDOF(Disengagement Observer Force, 国連兵力引離し監視軍)を設置した。これはエジプト・イスラエル間の兵力引離

し協定に基づいてUNEF Hが遂行するのと同じ種類の任務を遂行するものであ った。しかし、 UNDOFは、 UNEFnの7,1名に対し、わずか1,250名によ って編成されるにすぎない。

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1978年3月、イスラエルはパレスチナ・テロリストによるレバノンからのイス ラエル攻撃に対する復仇として、レバノンに侵入した。安全保障理事会は、イス ラエルに対しレバノンからその軍隊を撤退させるよう要請し、 UNIFIL

(United Nations Interim Force in Lebanon,レバノン暫定国連軍)を設置し た。暫定国連軍は、 4,1名で編成され、イスラエル軍の撤退を確認し、国際の 平和と安全を回復し、レバノン政府が当該地域に実効的な権能を回復するのを確 保するよう援助することを、その任務とした。 UNIFILの駐留にもかかわら ず、レバノン南部の事態は平和とは程遠いものであった。すなわち、イスラエル

によって武装されかつ資金的に援助されたキリスト教右派、およびパレスチナ人 敵対者達は、レバノン政府の権限を承認するのを拒絶し、 UNI F ILと砲火を 交えた。パレスチナ人による攻撃が、レバノン・イスラエル国境を越えておこな われることはまれになった。しかしUNIFILはそのことにつき右派キリスト 教軍とも信嶺を分ちあわなければならない。

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これらの平和維持軍の特徴は、国連加盟国の協力によって組織され、紛争関係 国の同意によってプレゼンスが維持される点にある。また、これをもって強制措 置による軍と区別される。従って、この種の国連平和維持軍は強制措置でないと すると憲章第7章とはどのような関係があるのであろうか。従来、有力な人々に よってこの種の国連平和維持軍と第7章の関係が摸索されてきた。なぜなら、こ れらの国連平和維持軍を設置した関連議決および議論は、憲章のどの規定がこれ らの国連軍に法的根拠を与えているのか指摘していない。さらに、憲章は明確な る語句でPKOを組織する安全保障理事会の権限を規定していないし、加えて、

サンフランシスコ会議のtravauxpr毎aratoiresも国連創設者たちがこのPKO を予定していなかったことを示している。だから、 PKOを憲章の枠組の中で論 じることが許されるかという問題がある。念のため、社会主義諸国は国連のいわ ゆる「財政危棟」の余波でこの問題に対して許されないとする。しかし、 PKO

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と欝7章を関係を持たせるように検証することは許されるとしなければならない。

なぜなら、たとえば、かって筆者は「ONUCの憲章上の基盤」という論文を発 表し、その中で国連の事務総長と事務局の考えに言及した。そこで言及したこと は以下の通りである。

「実際、事務総長は彼自身1960年8月8日の理事会での演説の時この条項(憲 章第7章の第40条)を引用し(Off. Rec. S. C., 15th yr., 884th Mtg., P.4) , そして1960年12月13日再び次のように明確に述べた。 『理事会に表明してきた私 自身の考えでは、その諸決議は第40条のもとで黙示的に(implicitly)とられたと みなされてもよいし、そしてこの意味で第39条のもとでの黙示的な決定(an im‑

plicit finding)に基づいているものとみなされてもよいだろうと思う(Off. Rec.

S.C, 15thyr.,920thMtg.,P.19) 』さらに、彼は後になってキトナ、エンジ リそしてキモナの基地の管轄の問題を扱う際くりかえしこの条項に言及すること になった。 」

(?)

このような事実があるかぎり、 PKOと第7章の関係は摸索されてもよいし検 証されてもよいのである。そうすると、安全保障理事会の平和維持軍を組織する 権限の基盤として憲章第7章の特に第40条が問題とされなければならない。上記 の拙稿では筆者の意見を保留した形で終っている。本稿では、その言いつくせな かった部分、つまり一般論として安全保障理事会とPKOの法的関係に問題の的 をあてている。なお、総会が平和維持軍を設置する場合は、 UNEFにあてはま る論理が類似の軍にもあてはまるであろうことが想像される。これについては拙 稿、 「UNEFの憲章上の基盤」がある。

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このテーマについて幸いDan Ciobanuの包括的な論文が発表されているので、

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これに沿って検討を加えることで接近するのがよいと考えられる。

第7章の各条に入る前に第6章のことについて触れたい。あきらかにある躊躇 をもってであるが、理事会はPKOの組織のために紛争の平和的解決においてそ れが保持している権限を行使してもよいというようなことがいわれるときがあ る。だから、 「国連のある経費」の事件で、ノルウェーの代表であるEvensenは 国際司法裁判所で次のような意見を述べた。 「UNOC活動に関して、これらの 措置をとる権限は憲章の第6章か又は憲章の第39条のもとで安全保障理事会に与 えられている明示的あるいは黙示的権限に該当することも従来十分に示されてき

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た(ICJ, Pleadings, Oral Arguments, Documents. 1962, at 370)c 」また、アク

Oo)

‑ーストはその著書の中で、キプロス国連軍を説明するにあたって、次のように 述べている。 「この国連軍を設置した決議は、例の如く、その設置を正当化する 憲章の条文を明記していない。ある注釈者は、それは第7章(強制行動)よりは むしろ第6章(紛争の平和的解決)に基づくものであると、述べている。この国 連軍を設置した決議の前文は、 「キプロスに関する現在の事態は、国際の平和お

° °

よび安全を脅かす虞がある」と述べている。これは、第7章の文言(第7章は、

● ° ° ° °

現実の平和に対する脅威、平和の破壊または侵略行為がすでに存在するときにの み適用される)よりも、第6章の文言( 「紛争又は事態‑‑が、国際の平和およ

° °

び安全を危くする虞がある」 )をそのままくり返したものである。第7章と異な

° °

り、第6章の関連規定は、安全保障理事会に加盟国に対して命令を下す権限を付 与していない。しかし、これは、本件の場合には、問題とならない。なぜなら、

キプロス国連軍設置決議は、義務的な言葉で述べられていないからである。第6 章に対するより重大な制限は、文字通り解釈すれば、第6章は安全保障理事会に 対して行動する権限をまったく付与していないことである。第6章は、安全保障 理事会に加盟国に対して一定の事柄をなすよう勧告する権限を付与しているにす ぎない。しかし、もし総会が第11条または第14条に基づきUNEF、を設置できた とするならば、安全保障理事会は、第6章に基づき類似の国連軍を設置すべきで ないという理由はない。 」

O1)

このような意見の提起は反論をまぬがれないとして誤りとするCiobanuの考え は正しい。なぜなら、今問題にしているPKOの遂行から武力の使用を全面的に 排除されていないし、又、紛争の平和的解決における理事会の権限は、もし必要 ならば、軍隊の使用を含むとはいえないのである。この点については、 「国連の

ある経費」の事件でソ連の代表であったTunkinの考えは正しいものといわなけ ればならない。

OB)

それでは次に第7章にはいると、まず、第48条第1項が関係があるとされる。

この条項は次の通りである。 「国際の平和及び安全の維持のための安全保障理事 会の決定を履行するのに必要な行動は、安全保障理事会が定めるところに従って 国際連合加盟国の全部又は一部によってとられる。 」この条項が引っぼり出され

るのはめずらしいのであるが、 Schwarzenbergerによって提唱されている。

CiobanuはBowettの説に賛同し、この48条1項説を否定する。すなわち、この説 は第48条第1項の適正な目的を不当に広げてしまうとする。つまり、この提唱 は、同条の目的を正しく理解していないとされる。なぜなら、この条文は、 「す

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でにとられた」決定の履行において加盟国の参加の性格と程度を単に規制するだ けである。だから、問題のすでにとられたその決定は憲章の条項の別の箇所にあ らためて根拠を見つけなければならないのである。このような理解は正しいもの

1131

といわざるをえない。

次に、第41条である。これはSchwarzenberger等かなりの人々によって性懲り なく主張される。なぜならば、 PKOを推進させる際にもし必要ならば武力が使 用される明らかな可能性があるに拘らず主張されるのであるSchwarzenberger によれば、この点、軍は自衛のためにその武器を使用するかもしれない事実があ っても、それはあたかも国内法のもとで市民が自衛のために権利を行使するのに 似ているとする。つまり、 PKOの組織は軍隊に訴えないで遂行する基本的機能

に注目すべきであるとする。しかし、これは、まず、 ICJが「ある経費」に関 する意見の中でPKOは強制行動ではないと判断しているのでどうかと思われ る。第二点として、軍隊の使用はPKOから除外されていないことは自明である。

国内の個人の自衛権の行使とのアナロジ‑は適切なものといえないとされる.こ

lit)

のようにして41粂説はCiobanuによっても否定されるが、問題はないだろう。

次に第42条である。同じくSchwarzenbergerによって主張され、又Sohnによっ ても説かれる。これも当然ながら疑問がある。まず、 Ciobanuが説明した第41条 に関するものが、なおさら、第42条の場合に有効である。第二に、 Schwarzen‑

bergerは第42条が第39条から独立して適用し得ないことを認めるのであるが、あ いまいな点として、第39条の規則のもとで安全保障理事会が第41条と第42条に規 定されている措置以外の他のものをとっても良い事である。第3点として、憲章

のもともとの考えにおいては、第42条の適用は第43条の特別協定の発効に依存し ていたということである。けれども、安全保障理事会によって組織されるPKO を推進させる部隊は第43条の基盤にもとづいて集められてはいないのである。従 って、第42条は不適当であるといえるのである。

¢5)

次に問題の第40条の検討に入る。この第40条の提唱は最も多くの人々によって なされている。この提唱は何となく説得力がある。その理由は、ここで問題にし ている活動と第40条に規定されている暫定措置との間に強い類似があるからであ り、一方、第40条の提唱が国連の前の事務総長によってなされたからであるO後 者の理由は本稿ですでに説明したことである。第40条がPKOの法的基盤を提供 するという理論は結論から先にいえば綿密な分析の上では筆者はCiobanuと同じ く支持できないといわなければならない。 Koretsky判事は「国連のある経費」の 事件において同じ結論に達した。しかし、 Ciobanuにいわせれば患い根拠でもっ

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てそれを支持したとされるOつまり、 Koretskyが主張するに、 「第40条は第39灸 を通して憲章の第41粂及び第42条と緊密につながっている(ICJ, Reportsj1962 at 275) 」たしかに、ある意味で第40条は第41条と第42条に連結している。なぜ ならば、いくつかの場合では、その通用は、後者の二つの法規に示されている強 制行動への単なる予備的ステップなのである。第40条の条文が明確にしているの であるが、勧告をしたり又第39条に規定されている措置(すなわち第41条と第42 条に示されている措置)を決定する前に、安全保障理事会は必要で望ましいと認 める暫定措置に従うよう関係当事者に要請することができる。同様に第40条の条 文に書いてあることに、安全保障理事会は「そのような暫定措置に従わなかった ときはそのことに妥当な考慮を払わなければならない。 」そして、この句が明ら かに示唆しているのは憲章の第41条と(又は)第42条のもとでの強制措置のあり

うることである。この意味で「緊密な」関係があるともいえるのである。しかし、

理事会は第39条のもとでの勧告をするだけにとどめてもよい。そしてそのような 場合、暫定措置はたしかに強制行動のための予備的ステップではない。もっと重 要なことに、第40条に規定されている暫定措置は「関係当事者の権利、請求権叉 は地位を害するものではない」 。第41条と第42条のもとでの理事会による行動に は何らそのような拘束が含まれていない。この意味でKoretskyは悪い根拠でもっ

(㍗

て結論づけたのである。

「国連のある経費」の事件でのその記録の中で、南アフリカ共和国政府は裁判 所に対して一つのより弓釦、そしてとにかく一層興味をひく主張を出したOその意 見の中で、サンフランシスコにおいてもくろまれていた暫定措置というものは、

紛争があらゆる種類の敵対関係へと発展するのを防ぐためにその野争当事国の華 によってとられるべき措置のみであLaたはずであるというものである。そのよう な措置は、軍隊、航空機あるいに艦船の前線からの撤退、あるいは他国の中での 第五列の活動の動員の終止のようなものから成りたっているとされる。従って 南アフリカ政府は次のように結論づけたC 「しかしながら、もし準争当事者に皐 ってでなく、国連によってとられる能動的手段が、その当事者にとって第40条の

1■t‑lltlllllllllllllh

もとで従わねばならぬ暫定措置のもとに暗に含まれることになるならば、この条 項はその使用されている文言の通常の意味から離れるようなひとつの広い意味を 与えられることになろう(ICJ, Pleading, Oral Arguments, Doc!1962, at 26ト 262) 。」サンフランシスコ会議の記録は南アフリカ政府によって提起された法の 要点については明確ではないが、しかし、 「合衆国代表団長国務長官によるサン フランシスコ会議の結果に関する大統領への報告書」は南アフリカ政府の見解の

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正しさを実証している。一般に言えることは、明確な定義が欠除している場合、

m

つまり、憲章自体においてあるいはその会議のtravaux preparatoires¥cおいて暫 定措置の少くとも特徴が欠除している場合、国連の創設者達の意図を疑問を無視 して決定できない。なぜなら、 「大統領‑の報告書」と名づけられたもlのは合衆 国代表団によってここで問題とされている措置についてどのように認識されてい たかを証明するものに他ならない。

us

Kelsenもこの「大統領への報告書」の重要性を承知して引用をもって安全保障 理事会の要請に従って暫定措置をとることになるのはその当事者自身であるとし ているGoodrichとSimonsは暫定措置の性質について「憲章は、当事者に採

m

るよう要請される暫定措置(‑‑‑the provisional measures that the parties may be calledupon to adopt)の性質についてくわしく特定していない」としながら

も、当事者自ら採る措置についてのみ説明している。

さて、またCiobamiの論文に帰ってしばらくこれに準拠して述べる。南アフリ カ政府によって表明された見解は又国際の裁判所の慣行によっても強化されるよ うにみえる。つまり補助機関がないから、当然に、紛争当事国に命令する暫定措 置を補助機関は強制することができない。このような類推はCiobanuにいわせれ ば全面的に適切とはいえないとしている。なぜなら憲章の第29条のもとで安全保 障理事会はその任務の遂行に必要と認める補助機関を設置することができる。さ らに、国際の裁判所とちがって安全保障理事会は一つの高度の政治的機関であっ て重要な執行機能を与えられている。それ故、 PKOは自然に憲章第40条の暫定 措置を構成するという強い言い分もあろうかと思われる。しかしながら、この問 題の明らかに要点に触れた以下の三つの考察は「国連のある経費」の事件で南ア

フリカ政府によって提示された主張を強化するようである。

第一に、憲章の第40条は明らかに安全保障理事会に第39条のもとでの自らの勧 告とか決定をする前に暫定措置を勧告するよう要求している。従って、その条規 の文言は暫定措置というものが事件の理非曲直によって理事会によって勧告され たりまたは決定されたりするあらゆる措置に先行しなければならないという条件 を明確な言葉で規定している。しかし、平和維持活動を組織する時の安全保障理 事会の慣行の検証は概してこの条件に理事会が従わなかったという結論を示して いる。たとえば、 UNEFHは紛争の解決のための適切な勧告を第338号決議 (1973)において理事会がなした2日後に第340号決議(1973)によって創設され た。

第二に、サンフランシスコ会議のPaul‑Boncour (the rapporteur of Committee

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Ⅲ/3 〔Enforcement Arrangements〕)によって説明されたように、暫定措置に 割り当てられた諸機能のひとつは判断を宣告する前に事実関係を知るようになる

ある時間を安全保障理事会に与えるということであった。理事会は概して平和維 持活動を組織する決定をする前にかあるいは同時に事件の理非曲直によってその 判断をしているので、その活動が暫定措置のために憲章の起草者達によってもく

ろまれたもともとの目的に役立っていないことは明らかである。

第三に、暫定措置はサンフランシスコにおいてはPaul‑Boncourによれば「と りわけ戦争の脅威の推定にもとづいて」もくろまれていたのに、平和維持活動の 組識における安全保障理事会の慣行をざっと調べるだけでCiobanuの提起してい る見方つまりPKOは具体的戦闇行為の続行を阻止する考えで決定されたという

ことを確認させるだろう。

従って次のようにCiobanuは結論する。安全保障理事会は平和維持活動を組織 するとき憲章欝40条に述べられた基本的諸条件を一般的に遵守しなかったし暫定 措置のためにもともともくろまれた諸機能に特に関心をもたなかったので、理事 会の記録によって根拠づけられない主張であるが、安全保障理事会は第40条の規 則にひとつのリベラルかあるいはダイナミックな解釈を与えようと意図したとい う主張にもちろん同意しないならば、ここで検討中の第40条の法的規則は厳格に いって平和維持活動のための憲章上の基盤とはなり得ない。

以上のようなCiobanuの論説の部分にコメントしてみよう。結論から先にいう と彼の第40条に対する考え方は基本的に正しい。従って彼のいう通りPKOの基 盤として第40条を引き出すのはまちがいなのである。

彼の上記の第一と第二点であるが、この点はあまりはっきりしない。また、

Kelsenも認めるように理事会の慣行は何ら明確な回答を提供しない。 Goodrichと

(喝

Simonsによればむしろ慣行にみられるこのような柔軟性はサンフランシスコに おいて当初から予定されていたものという指摘がある。だから、この点Ciobanu

ez功

の自信はどうかと思われるKelsenの理論に従えば、条39条に従って、平和へ の脅威、平和の破壊、あるいは侵略行為の存在を決定した後にのみ、暫定措置に 従うよう当事者に安全保障理事会は要請することができるとしている。もっとも 彼は安全保障理事会の慣行はこの解釈に従っていないことを認めている。してみ

糾)

れば、暫定措置は何よりも先とはいえないのであって理事会としては事件の把握 をまず先にしなければならない。次に、 Ciobanuの第三点は全く正しいものであ る。第40条の本旨はPKOを予定していなく「平和への脅威」 、 「平和の破壊」・

そして「侵略行為」を扱うことにおいての理事会のはじめにする行動なのであ るOつまり第391条に従っての「勧告」とか措置の「決定」をする前に暫定措置を

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要請することがサンフランシスコ会議で認められたのである。この場合、第40条 の基本的な意図は「平和に対する脅威」が現実の「破壊」へ発展することを防止 するためであった。サンフランシスコで述べられたことに、暫定措置という保存 性ある措置に従うよう当事者に要請する理事会の権限はとりわけ「平和‑の脅威」

の推定に対して向けられたのである。これに対しPKOは事態の初期的症状とは

特に直接関係がないことは明らかである。

Goodrich, HambroとSimonsはコンゴの措置が第40条のもとでなされたよう な前提でコンゴ事件をあつかっている。しかし、コンゴ紛争に対する国連の主要

1紬

な措置は国連軍であったから、第40条の措置が紛争当事者自身の手によってなさ れるものであるとするならば、コンゴ事件に対する一般的措置が第40条に該当す

るとはいい得ない.コンゴ事件の諸決議といっても多数であり、また、一つの決 議がパラグラフによって多様であるから、コンゴの措置のあるものは第40条とみ なされてよいのである。しかし、軍の設置と維持について限定すれば第40条は持 ち出せないのである。

それでは一体どのような内容の措置が暫定措置を構成するのであろうか。憲章 は当事者がとるように要請される暫定措置の種類を明確には示していない。理事 会は事態の悪化を防ぐため「必要であるかまたは望ましい」どのような措置をも 決定するための完全な自由を持っている。そのようにGoodrich, Hambroと Simonsは述べながらも、第40条の措置としてどのようなものがあるかについて

次のように列記している。理事会は「暫定的」とみなされるような措置を要請す ることでさまざまな慣行に従ってきた。理事会が求めてきたものとして、 (1)戦闘 停止、 (2)敵対活動の終止、 (3)軍隊と準軍事要員の撤退、 (4)休戦あるいは停戦協定 の締結、 (5)そのような協定を維持する種々の措置、 (6) 「無害」条項("without prejudice" clause)と矛盾するとして異論があるが交渉に入るように求めること、

(7)さらに加えて憲章の意味での「暫定措置」に含まれるかはっきりしないが捕虜 の解放、 (8)鎮圧行為の終止、 (9)その他の軍事的性質というよりむしろ政治的措 置。国連軍の設置をも含ましめるものであれば重大さの故にこの列記に明記して

l拘

いたであろうと思われる。それとも、上記の(5)に含ましめる考えであろうか。

PKOは第40条と全く関係がないかといえばそうではない。理事会は暫定措置 に従わせるようにさまざまな種類のステップをとってきた。当事者に協定に達す るよう援助するため委員会を設置したり、また特別代表を任命したりした。しば しば理事会は事務総長にあるいは彼の代表達の一人に同様の任務をたくしたりし た。また理事会は期限をつけたりもした。理事会は「パレスチナ停戦監視組織」

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とか「インドと!ヾキスタンのための軍事監視団」のような停戦とか休戦を監視す るための機関を設置した。コンゴとかキプロスにおいても平和維持軍を設置した。

これらは暫定措置に従わせるようにするためのステップなのであるPKOはこ のように暫定措置を補助する役割ももつ。このようにPKOは第40条と間接的に

間係がある。 Goodrich, HambroとSimonsはこの点をもっと明確にすべきであっ たであろう。

第40条についての考察の最後に述べることが一つある。それは第40条は単なる 勧告以上の法的効果をもつので、政策論からいえばPKOの基盤とするのはどう かと考えられる。 PKOはあくまで「同意の原則」でつらぬかれる方が好ましい のである。

第7章で残されている可能性は第39条である。この可能性は「ある経費」の事 件でのノルウェーの代表であるEvensenによって示されたSchwarzenberger も第39条単独で基盤を提供するとする。しかし、 Ciobanuはこれに対して次のよ うに否定している。 「もしPKOにおける加盟国の参加のための法的基盤をさが そうとするなら彼の結論はたしかに正しい。しかし、それはその活動を組織する 安全保障理事会の機能そのものを説明していないようである。上記の事件でKo‑

retsky判事は正しく指摘しているのであるが、 <行動>とく勧告>というそれぞ れの言葉は同一ではない。平和維持活動を組織するよう決定することによって理 事会は行動をとるのであるから、その決定は、厳格にいって、憲章の第39条のも とでのその広い勧告的権限の行使においてなされ得ないであろう。」しかし、この

1紬

ような解釈は明噺さを欠くといえよう。この点、 Bowettの考え方は正しいのであ って、無条件に(simpliciter)第39条のもとでの勧告によって国連軍が設置され てもよいのである。 TunkinはCiobanuと同じように解釈するが、第39条の解釈

に無理があるといえよう。同条は安全保障理事会の任務として三つの要点を明確 に規定している。第一に、 「平和に対する脅威、平和の破壊又は侵略行為の存在 を決定し」 、第二に、 「並びに、国際の平和及び安全を維持し又は回復するため に、勧告をし、 」 、そして第三に、 「又は第41条及び第42条に従っていかなる措 置をとるか決定する。 」 Kelsenの表現をかりれば、第7章の最初の条文である第 39条に従って、安全保障理事会は平和に対する脅威、平和の破壊、あるいは侵略 行為の存在を決定したあと、単に強制行動に訴えることができるだけでなく勧告 をしてもよいのである。理事会は勧告と強制措置の間でどちらをえらぶかという 選択権をもっているので、平和に対する脅威又はそれの破壊の存在を決定した後、

理事会は強制措置をとる義務があるとはいえないのである。このような解釈は、

(12)

条文において自明であるがゆえに、その他の学説も同じである。 Ciobanuはこの

点を承知している。しかし、上記の第二の要点を不当に扱っている。

以上のようにみてくると、第7章は第39条の勧告の根限をはぶいてすべてPK Oの法的基礎にはなり得ないということになる。

この終章ではまだ残されている二つの問題をあつかうO一つは第29条にある補 助機関の規定をどのようにみるかという問題であり、今一つはさまざまな憲章に 含蓄された権限("inherent" or =implied" powers)とみる考え方があるが、こ れをどうするかという問題である。

最初の補助機関の問題は比較的明瞭である。この第29条説はDraperによって 主張される。彼が示すところでは、第29条がlそれ自体で安全保障理事会によるP KOの組織のためのひとつの自足的法的基礎となるとしている。なぜなら、その ような活動を遂行すべく設置される軍は安全保障理事会の補助機関と考えられる とする(Draper, "The Legal Limitation upon the Employment of Weapons by the United Nations Force in the Congo", International and Comparative Law Quarterly, 1963, at 392) 。これに対してCiobanuはBowettの考え方た同

(納

調しているが適切なことといえよう。 Bowettによると、補助機関に与えられる 機能と補助機関の設置を切り離せないとする。また、補助機関の設置に適用され る一つの単純な手続的投票によって平和維持軍を創設することは認められないと する。このことは、もちろん、第29条が他の憲葦規定と助け合う形で法的基盤を

04)

提供する可能性を否定するものではない。従って、 UNEFの場合と同じような 結論になるだろう。つまり、第29条はそれ自体で自足的な基盤とはなり得ないと いうことである。

次に、憲章に含蓄された権限という多少厄介な問題がある。 Ciobanuは結論と して慣行によって確立された権限(assumed power)としてとらえる。 「憲章に 含蓄された権限(inherent or implied power) 」と「慣行によって確立された権 限」とはどのようにちがうかといえば、前者は解釈によって出てくるのに対し、

後者は、国連の平和維持活動が加盟国によって広く受容されてきたという事実を 伴う。前者はそれだから研究者としての前向きの態度があるのに対して後者は後

発的である。しかし、一連のこのような考え方を否定するのはむずかしい。また、

憲章の解釈をリベラルにするか、あるいは慣行を経験的な方法で説明していくか という大きな問題があり、l別稿をもってとりくむ必要性を感じる。

(13)

本稿では、第40条を否定したことと、第39条を否定する社会主義諸国の考え方 を否定した点が特に積極的な結論となった。今問題にした「憲章に含蓄された権 限」とか「慣行によって確立された権限」のような考え方に対しては消極的に結 論づけることで終りたいと思う。

(1)コンゴ国連軍については以下の拙稿がある。 「コンゴ紛争と国連」 (法学論叢、

第87巻第1号、 1970) 、 「ONUCの憲章上の基盤」 (長崎大学教養部紀要、人文 科学、第15巻、 1974)

(2) M.アクハースト(落合、長谷川訳) 、 「現代国際法入門」 、 1980、 267‑268頁 (3)アク‑〜スト、前掲書269貢

(4)アクバースト、前掲書269貢 (5)アク‑‑スト、前掲書‑270頁

(6) Dan Ciobanu, ̀̀The Power of the Security Council to Organize Peace‑

‑Keeping Operations" (A. Cassese ed., "United Nations Peace‑Keeping Legal Essays", 1978) P.15

(7)拙稿、 「ONUCの憲章上の基盤」 (長崎大学教養部紀要人文科学第15巻1974) 4‑5頁

(8)拙稿、 「UNEFの憲章上の基盤」 (長崎大学教養部紀要人文科学第19巻1979) (9)注の(6)を見よ。

Ciobanu, op. cit., PP. 16‑17

Ill)アク‑‑スト、前掲書oRQ OCQ頁

Ciobanu, op. cit, P. 17 Ibid., at P. 17

Ibid., at PP. 17‑18 Ibid., at PP. 18‑19 Ibid., at PP. 19‑20

Ibid., at P. 45, note 32; Commenting upon Article 40, the Report made it clear: HThe measures envisaged in this Article are measures which the disputing parties will be asked to undertake themselves upon recommendation of the Council, and are therefore not to be regarded as preliminary sanctions, Charter of the United Nations. Hearings before the Committee on Foreign Relations, United States Senate. Seventy‑ninth Congress. First session, 1945, at 90 (italics supplied).

Ibid., at P. 20

(14)

u功Hans Kelsen, "The Law of the United Nations, A Critical Analysis of Fundamental Problems", 1950 P. 740

田O Leland M. Goodnch and Anne P. Simons, HThe United Nations and the Maintenance of International Peace and Security , 1955 PP. 372‑377 Ciobanu, op. cit., PP. 20‑22

Leland M. Goodrich, Edvard Hambro and Anne P. Simons, HCharter of the United Nations Commentary and Documents , 1969 P. 303

Goodrich and Simons, op. cit., P. 369 伽I Kelsen, op. cit, P. 739

脚Goodrich, Hambro and Simons, op. cit., P. 303; Goodnch and Simons, op.

cit., PP 367‑368

Goodrich, Hambro and Simons, op. cat., P. 307, PP. 309‑310

即Ibid., at PP. 308‑309 伽Ibid.,atP. 309 個Ciobanu, op. cit., P. 22

鮒D. W. Bowett, "United Nations Forces A Legal Study of United Nations

Practice", 1964 P. 277 Kelsen, op. at, PP. 732‑734

鋤D. W. Greig, "International Law Second Edition", 1976 P. 733; Goodrich,

Hambro, and Simons, PP. 300‑301 Ciobanu, op. at, P. 23

伽Bowett, op. cit.. P. 178 脚Ciobanu, op. at, PP. 23‑29

参照

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