計算機から情報メディアとしてのパソコンヘ
歯学部予防歯科学講座 川 崎 浩 二
B ・ m a i l :[email protected]‑u.ac.jp
私が初めてパーソナルコンピューター(以下パソコン)に触れたのは確か
12
年位前で した.まず手始めにB a s i c
で簡単なプログラんを組んで基本的な統計計算をさせようと思っ たのですが,何せそれまではキーボードにも触ったこともなかったものでしたからアルファ ベットがどのキーに位置しているかを探すのに時間はかかるし いろんなコマンドを覚え るのも大変で,I
こりゃコンピユ}ターが趣味の人でなければやってられないな!J
という のが正直な第一印象でした.その後,本学教育学部の西原純先生から手取り足取りのご指 導を承りながらセンターの大型コンピューターの統計パッケージI ANALYSTJ
を使わさ ていただく機会がありました.その折も煩雑な命令文に手こずり基本的な専門用語も十分 理解できなくてとまどったことを思い出します.このように一昔前までは私にとってコンピューターとは複雑な計算をさせる「計算機」であり,気軽につき合える「道具」ではあ りませんでした.
しかし数年前から事態はだいぶ変わったように思います.まず第一にパソコン操作が非常 に簡単になりました.小学校
l
年生でも何の抵抗もなく使っています.その理由はM a e i n t o s h
やWindows
に代表されるように,コマンド(コンビューターを作動させるために必要な命 令文)を全く知らなくてもアイコンと呼ばれる絵やメニューを選択するだけでコンピュー ターが操作できるGUI(G r a p h i c a l U s e r I n t e r f a c e )
が一般的になったことが挙げられます.第二に自分でプログラムを組まなくとも自分の要望に応えてくれる様々なアプリケーショ ンソフトが提供されるようになり,ワープロ,表計算,データベース,スライド作成,画 像処理,翻訳など何でもパソコンで迅速にしかもスマートにできるようになりました.私 にとってパソコンは「計算機」から簡単・気軽に使える有能な「文房具jへと発展したわ けです.
そして 2~3 年前からもうひとつの大きな変化が現れてきました.それは最近新聞や雑 誌でもおなじみの「インターネット」の発達です.インターネットが実用化されるように なって今までのコンビュータ一利用形態に大きな付加価値が与えられました.それはパソ コンが情報交換の媒体になったことです.自分の机の上のコンピューターが全世界のコン ピューターネットワークとつながり,瞬時にして全世界からありとあらゆる情報を入手で きたり,逆に自分から情報を発信することができるようになりました.インターネットの 母体はアメリカ国防省が軍事目的で開発した
ARPAnet
という小さなネットワークでした が,全米科学財団が科学振興のために作ったNSF
ネットに代わり,やがてそれが幹線とな1 3
り企業や大学などのネットワーク同士を結んだ状態のことを
I l l t e r n e tと呼ぶようになりま
した.近年アメリカのアル・ゴア副大統領が「情報スーパーハイウェイ構想J
を打ち出し ましたが,これはかつてアメリカに大陸横断道路が敷かれ,交通網が確立するとともに産 業が活性化していったように情報スーパーハイウェイという情報網を網羅することで産業 の発展を目指すものです.その基幹となるものがインターネットです.この構想がパック アップとなってインターネットは急成長し,1 9 9 4
年現在世界で約2 5 0 0 0
のネットが存在し,2 0 0 0
万人が利用していると言われています.現在インターネット上で以下のサービスが事受できます.
1.電子メール
研究者間の手紙や情報交換は電子メールが主体となってきています.電子メールの長所 は,ベーパレス,文書の再利用生が高い,コピー転送の繰り返しによっても劣化しない,検 索が簡単であることなどが挙げられます.このことは外国の研究者と共同で論文を草稿す るような時には非常に有用です.
電子メールを媒体としてある特定分野のトピックスについて討論したり情報交換をするた めの
I M a i l i n gL i s t Jと呼ばれるシステムがあります.たとえば SOUTHERN
仁;ALIFORNIA
大学が主催する矯正歯科医のためのORTHODONTISTSLISTSERVEに登録すると一人
の会員が投稿したメールが全会員に送られ,他の会員がその記事に対して議論し合うこと ができます.某会社や某大学では新入社員(新入生)全員にパソコンを供与する時代ですから,事務 的な回覧書類は全て電子メールで行い,
00
検討委員会もM a i l i n gL i s t
のような形態で行 われるかもしれません.2 .
情報検索インタ}ネット上では世界のありとあらゆる情報を自分の目的に応じて引き出すことが できます.情報検索には以下の
3
つのシステムが利用できます.Gopher
は目次,WAIS
は 索引,W W W
はクロス・リファレンス的な情報検索システムと書われています.国際大学 新谷隆先生の言葉を借りればこれらのシステムは「人類のありとあらゆる活動記録を収め た大百科事典j と言えます.同システムを利用するにはそれぞれのアプリケーションソフ トが必要ですが,それらはF r e e w a r eとよばれる無償配布のもので,後で説明する FTPに
よって自分のコンピューターに直接取り込むことが可能です.• Gopher
M i c h i g a n
大学で開発されたシステム.国別機関別に階層化されており,北米→USA
→ ニューヨーク州→00
大学といったように階層を下っていけます.100
研究所のxx
氏が 行っている研究成果を知りたい」という発想が原点になっています。図l
にはGopher
でN o r t h America
→USA
→G e n e r a l
を経由してN I H ( N a t i o n a lI n s t i t u t e o f Hea 1 t h )
にアクセ スしたところを示しまし。た。• WAIS(Wide Area I n f o r m a
七i o nS e r v i c e s )
任意のキーワードで検索を行う方法です.
I n t e r n e t
上に散在するサイトのディレクトリ情 報を収めたサーバーで,ユーザーが与えたキーワードを基に全世界のサ,イトを超高速で走査 してそのキーワードが含まれるデータベース一覧を表示してくれます.その一つを選択し,さらに絞り込んだキーワードを与えることで目的の情報を得ることができます.たとえば
1 4
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,. 1 U S
日 .‑・ーー・・..
. . . . . ..戸回
G e n e r o l L : : : : : : : :
百口下
F
回l r o t e r r o e t
抑h e r@ 1 9 9 1 ‑ 1 9 9 3 U r o ; v e r s ; t y o f M i r o r o e s
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A
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白
A b o u tT h i S
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白l t ha n d C l i n i c a l I n f o r m a l i o n
白G r a n l s
自n dR e s e
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白門o l e c u l
白r E l i o l o g y D a t a b a s e s
白Lib r a r y
白 川L i t e r a t u r e S o u r c e s
白N I HC
白 川 崎I n f o
白
N I HComputer a n d N e t w o r k I n f o r m a t i o n
白Weather
白n dA r e
目I n f o r m a t i o n
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目i la n d D i r e c t o r y S e r v i c e s
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S e a r c hN I H P h o n e E l o o k I I
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門e n u sa t t h i s G o p h e r S i t e b y Keyword
.
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..
..・・..
. . . ..図
1 Gopher
による検索の例rWeatherJ
とrWashingtonDCJ
というキーワードからWashingtonDC
の天気予報を読 んだりすることなどもできます。例を図2,図3に示しました。図2はキーワードr h e a l t h J
でr h e a l t h J
関連のデータベース一覧を表示させ、その中のr H e a l t h ‑ s e c u r i t y ‑ A e t . s r e J
と いうデータベースの説明をみているところで、図3
はr H e a l t h ‑ s e c u r i t y ‑ A c t . s r c J
を読み込 み、r o r a I J
というキーワードで検索し、rDentalCareJ
に関する文書を表示させたところ です。N a
冊 目 |田.lIlth-S.~師団・回目.sn:圃
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による検索例1
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Wais
による干食索例2
• W W W (World Wide Web)
W W W
とは,ハイパーテキストを用いて文字以外にも画像や音声データの情報も扱うこ とができる情報検索システムです.1 9 8 9
年にスイスのCERN(素粒子物理研究所)で開発
されたもので,1 9 9 3
年にXwindow
用とM a c i n t o s h
用のユーザ、インタフェースモジュール(MOSAIC)がリリースされて以来,飛躍的に成長を遂げています.画面上のテキストやグ
ラフイクスは全世界のホストに繋がっており,画面の青い文字やアイコンをクリック(画 面上の矢印で選択)するだけで,さらに詳しい情報の画面に移動したり,静止画像や動画,・音声も見たり聞いたりできます.接続したホストが詳細なデータを持っていなくても,他 のホストへリンクされていればそこから直接他のホストにあるより詳しい情報を受け取る
ことができます。図
4
にはWHO
のホームページにアクセスしたところを示しました。キーワードによる検索も,
図
3
http://info.cern.ch/hypertext/DataSources/bySubject/Overview.html http://www.biotech.washington.edu/WebQuery.html
http://www.cs.colorado.edu/home/mcbryan/WWWW.html
などにアクセスすることで可能です.3 .
遠隔アクセス(リモートログイン)ネットワークを介して離れたところのコンピューターを利用できるシステム.アカウン ト(利用資格)さえあれば世界中のコンピューターにアクセスする事もできます.長崎大 学では
M e d l i n e
という医学関連のA b s t r a c t
付文献検索システムがこの方法で供給されるよ うになりました.おかげで以前のようにわざわざ医学分館まで足を運び制限時間3 0
分,制 限人数l
人という制約下で検索時間の遅いCD
司ROM
での検索をしなくてすむようになり,それに代わって複数人が同時に自分の部屋のコンピューターからスピーデイに検索できる ようになりました.
‑ 1 6 ‑
匡口
山 o r t dH e a l l h O r g a n i z 8 l i o n 削 凶 出 HomePa 自 由
JJij...,‑回浴圃;;白川Il t t p : I
I¥WIU蜘D . c n r
The Workl t
帽althOrganlz副 lon
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情
l o o m et o t h e h o m e p a g e o f t h e W o r l d H e a l t h
O~gani2盤国'6 叫涛rimer刷、#or1d-Wide浩挫 1
n f o r m a u o n S e
lVer( I o c a
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a:邑堕盟i n S ' r ' I i 国 巾
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袷G u i d e t o
Usi 即 t h e
1n t e r n e t i f n o t f t I m i l i a r w i t h 甘 l eI n
t&r n e
.tW o r l d ‑ W i c l e Web E 生 Q a n d Web a n d M05
!ilk U e e r ' s G u i d e a r e a l s o I w a i l a b l e . ) .
I n l o r r r o l : i o n :
回
E拘
GSR~19巴 司 W H O ' s M a j o r
包 但 盟 鍾~盟坦割引時.0
S t a t 陰 t i c a
11n f o r m a u o n S y s t 州
園 町
I I A 柑 帽
Di"e c t o 同 e 6 a n dS ¥'iI叩 l o n e
8∞k直
WHOV
畑 附 附i e e s
図
4 W W W
のW H O
ホームページにアクセスしたところその他の例としてはリモートログインで東大,東工大,筑波大,早稲田大などの附属図 書館のコンピューターに直接アクセスして蔵書や雑誌の検索(書名,著者名,
Subjec
t.)が 可能です.4 .
ファイル転送FTP(FileTransfer Protocol)
というシステムによって,公開されているFreeware
やShare‑
ware
とよばれるアプリケーションソフト,画像,文書などのファイルを自分のコンピュー ター上に転送してくることが可能です.ファイルをフロッピィーディスクに保存してそれ を郵送しなくても全世界中どこでもインターネットに繋がっているコンピューターからコ ンピューターへ直接ファイルが転送できるわけです.5 .
ネットニュース電子ニュース,ニュース,フォーラムとも呼ばれています.
r
ニュース」といっても新聞,テレビ,ラジオのニュースとはちょっと違います.あるテーマについて質疑応答したり,議 論したりできる公開会議室のようなものです.全世界でインターネットに接続できる人は 誰でも参加して読み書きできる公開の場です.現在長崎大学経由で購読できるネットニュー スのグループ数は約
1
,600
です.目的は電子メールの項で述べたMailingList(ML)
と同じ ですがM L
はc l o s e d
の会員制である点が異なります.医学関連のネットニユ}スを例にとってみると
sci.med
,s c
i.med.dentistry
,s e i . m e d . a i c l s
など英語で全世界の人と議論できるグループと日本語で読み書きできるf j. s
C'I.medieal
のよ うなニュースグループとがあります.インターネットは非営利で運営されていますが,通称「パソコン通信
J
と呼ばれている 商用ネットワークがあります.昨年こういった商用ネットワークもインターネットに接続 し,インターネットからリモートログインでパソコン通信のホストコンピューターへアク セスが可能になりました.また逆に商用ネットからもインターネットへ電子メールを送つ1 7
たりインターネット上のネットニュースに参加することもできるようになりました.パソ コン通信のサービスには電子メール,ネットニュースのほかに,付加料金はかかりますが ファックス配信サービス,新聞速報記事,各種データベース検索(新聞記事のデータベー ス,国立国会図書館書誌情報,米国書評情報,各種雑誌記事情報,企業情報,新製品・マー ケッテイング情報,金融・証券・相場情報,
IN FOCUE
等々),百科事典・現代用語の基 礎知識・手紙文凡例集などのオンラインサービス,翻訳,旅行案内・宿泊・天気等の情報,オンラインショッピング等々と多種多様なサービスがあります.
インターネット上のサービスは現在のところ長崎大学職員であれば個人負担なく受けら れます.これからの課題はこういった有用な情報やサービスを自分の仕事にどう活用して いくかということではないでしょうか?それは我々自身の脳のソフトウェアに頼らなけれ ばなりません.
私は今やパソコンは情報交換機能を備えた有用な文房具だと認識しています.従って仕 事をするには一人に一台のパソコンが必要です.パソコンを銀行の現金自動引出装置を操 作するのと同じ感覚で扱えるようになった現在,今までキーボードアレルギーだ、った人も
どんどんパソコンに接してもらって情報網の輪が拡大することを願っています.