109 講演会及び研修会の記録
講演会及び研究集会の記録
3 21世紀教育センターと教育・学生委員会の共催によ る第7回 FDワークショップが、青森ロイヤルホテルを 会場として、で6月13・14日の1泊2日で開催されました。
このワークショップは「単位制度の実質化を図るための 能動的学習の実践 〜ラーニング・ポートフォリオの活 用〜」をテーマに、着任5年未満の教員への初任者研 修を兼ね、教員30 名(他大学教員を含む)と、学生 10 名を加え、学務部スタッフ、それに読売新聞社からの 記者を合わせて総勢 56 名の参加となりました。ホテル での快適な環境も意欲をかきたてるものでした。
今年度のワークショップは、5つのミニレクチャーを 間にはさみながら(須藤理事と、木村 21教育センター 長の挨拶を含めると、計7)、弘前大学 21世紀教育科 目のテーマ科目について、授業のテーマを設定し、シ ラバスを教員と学生の共同参画で作成するという実践 的な内容でした。
須藤新一理事の挨拶「教員の夢と希望」では、「大学 教育力の向上」に学生の視点を入れることが FD の基 本であると指摘があり、木村宣美センター長からは、
「『教養教育』と『専門教育』の有機的関連」と題して、教 養教育が学士課程教育の一環として位置づけられるべ きとの挨拶がありました。
ミニレクチャー 大高副センター長の「21世紀教育の 現状について」、土持副センター長の「FD の世界的動 向」、「初任者研修――授業哲学」、「ラーニング・ポー トフォリオと評価基準」などのミニレクチャーがありまし た。これまでのFD 活動の成果と課題の整理の必要性、
自立的な学習と専門教育への橋渡し、学生アンケート による、21世紀教育全体の検証、高大連携シンポや FDワークショップの開催、さらに、他大学教員や昨年 からの学生の参加は、FD の雰囲気を大きく変え、意 識改革をもたらしたことが強く指摘されました。教員に とって、教育か研究かの選択ではなく、これをどう連 携させていくのかが課題という指摘もされました。土 持副センター長のミニレクチャー「FD の世界的動向:
FD からエデュケーショナル・デベロップメント(ED)へ の移行」、「初任者研修――授業哲学」、「学習目標」な どが講義されました。大学教育にとって FD の必須性 が説かれ、それによる授業の検証がなされることの意 義が説かれました。また、教員相互による授業参観も
必須の事項であると指摘されました。
シラバス作成と成果 教員と学生が8つのグループ に編成されて一つの机で、相互の協議の下で、科目名・
テーマを設定し、シラバスをグループ作業作り、それ を順次全体会議で発表し、質疑に応じるというスタイ ルで、大学からPC 機器が持ち込まれ、各グループは パワーポイントで協議結果をまとめ、質問・評価を受 けるという方法で、一日目は、「授業設計」1と2を行 いました。2日目は、「授業設計」3で前日の指摘を受 けた修正と授業「評価」をどうするか、というものでし た。具体的には、「健康と科学」、「現代社会と私」、「人 間の多様性と共通性」などの科目・テーマが設定され、
授業内容から成績評価に至るまで、学生と教員が活発 に討議した成果が披露・質疑され、参加者の共通した 理解が深まりました。
今回のワークショップでは、今後の改善に向けた資 料とするために、終了時に参加者を対象とした無記名 のアンケート調査を初めて実施しました。設問は「北海 道大学 FDワークショップ」で用いられた項目を使用し、
内容や方法の適切性などに関する8つの設問と、良かっ た点、悪かった点などに関する3 種類の自由記述を含 んでいます。学生 10 名を含めた参加者全員(36 名)か らの回答を集計したのが下の結果です。
設問1 今回のワークショップを全体的に評価して ください。(教員と学生に対する設問)
(1)内容の価値についてどう評価しますか。
(回答数 36)
A 価値なし(3%)
B 価値少ない(0%)
C いくらか価値あり(22%)
D かなり価値あり(53%)
E きわめて価値あり(22%)
0 50 100
A
C D E
% % %
(2)内容に対する時間量はいかがでしたか。
(回答数 36)
第7回 (平成 21年度)弘前大学FDワークショップ
(21 世紀教育センター)
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4 A 多すぎ(3%)
B やや多い(31%)
C ほぼ適当(47%)
D やや少ない(14%)
E少なすぎ(6%)
0 50 100
A
C
B D E
% % %
(3) 内容の難易をどう感じましたか。(回答数 36)
A きわめて難しい(0%)
B やや難しい(22%)
C ほぼ適当(69%)
D 少し易しい(8%)
E 易しすぎ(0%)
0 50 100
C
B D
% % %
(4) このようなワークショップ形式の教育方法とし ての効果についてどう思いましたか。
(回答数 36)
A 効果なし(0%)
B 効果少ない(0%)
C ある程度効果的(36%)
D かなり効果的(44%)
E きわめて効果的(19%)
0 50 100
C D E
% % %
(5) このワークショップの内容はあなたの興味に対 して適切でしたか。(回答数 36)
A 全く不適切(0%)
B やや不適切(6%)
C ある程度適切(47%)
D かなり適切(25%)
E きわめて適切(22%)
0 50 100
C
B D E
% % %
ほとんどの参加者が内容の価値を認めており(設問1
−1)、また、約半数が興味に対して「かなり」または「き わめて」適切な内容だったと回答しています(設問1−
5)。ワークショップという形式に効果を認めている回答
も大半を占めていることから(設問1−4)、今回のワー クショップの形式や内容はおおむね妥当だったものと 判断されます。一方、内容の難易度について、約 7 割 は「ほぼ適当」としていますが、残りの回答は難しいと感 じた方に偏っていました(設問1−3)。また、内容に比 して時間が長すぎると感じた回答が約3割、反対に短 すぎると感じた回答が2割あり(設問1−2)、参加者に よるばらつきが見られました。設問 3(良くなかったと思 われる点;後述)では、「ラーニング・ポートフォリオ」
等の用語に対する理解が不十分のまま討論に入ったこ とによるとまどいが出されています。参加者の履歴が 多様な点に配慮して、事前にあるいは冒頭にもう少して いねいなガイダンスが必要だったようです。
設問2 今回のワークショップ全体にわたりとても 良かったと思われる点(自由記述)
44 の記述がありました。アンケートは無記名だった ため、回答が教員によるものか学生によるものかは不 明ですが、最も多かった記述は「様々な学部の教員と 学生をまぜてグループ分けされていたので、多くの考え 方や情報を得ることができた点が良かった」や「様々な 考え方を話し合いの中で共有できた」のように、ふだ ん話す機会のない教員どうしで、また学生と教員で授 業について討論すること意義を挙げたものでした(22 件)。次に多かったのは、「やる気のある学生が参加し ていて、その意見は非常に参考になった」や「学生が参 加したことは客観性が保たれたという点でより良いFD ワークショップとなっている。具体的な改善点も見えて きたと思われる。特にラーニング・ポートフォリオ」など、
学生参加型の意義を評価する記述でした(7件)。また、
「講義に対する意識が少し変わりました。色々と講義で 試してみたくなりました」のように、自分の授業を見直 す機会になったという記述や(6件)、「レクチャーあり、
討論ありで、方法に変化があり集中力がとぎれない点」
や「先進的な取り組みを知ることができた」など、形式 や内容を評価する記述もありました(7件)。
設問3 今回のワークショップ全体にわたり良くな かったと思われる点(改善すべき点 )
(自由記述)
40 の記述がありました。「専門の用語があまり理解 できず、用語の理解に時間がかかった」、「言葉の意味 が分からないものが多かった。ポートフォリオなど初め て聞く言葉など単語集みたいなものがあると分かりや すかった」など、討論に入る前に基本的な用語の統一 的理解を図る必要を指摘した記述が6件ありました。
今後の反省点です。
設問 2(良かった点)で学生参加の意義を認める意
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5 見は多かったものの、「せめて懇親会等は教職員で深 く議論したかった」というように、教職員だけの議論の 時間も設定してほしかったという意見も出されています。
今回のワークショップでは学生が発表する場合が目立 ち、「学生のワークショップではないのに、教員よりも 学生が発表していて、どっちが主なのか分からなかっ た」側面があったことも確かでした。学生の参加につい ての記述としては、このほかに、「学生も全学部から参 加を募るべき」、「参加する学生の人数をもう少し増や してみると、より広く学生の意見を聞くことができると 思う」という意見がありました。
時間配分については、グループ討論の時間が短すぎ たという意見が3件、逆に長すぎたという意見が1件あ りました。また構成についても、「ラーニング・ポートフォ リオのレクチャー→学生の話題提供、シラバスについ て、をグループ活動Ⅰの前に話してもらいたかった」とい う意見が出されています。
グループ作業後の意見交換について、「改善点を言 うのは大変良いことだけれど、良かった点ももっと意 見交換の中で言って欲しい」、「委員の方に“上から目 線 ”にならないように徹底して欲しい」など、メンタリン グのあり方に関する意見が3件ありました。今回の反省 点です。
今回のワークショップの内容は、21世紀教育のテー マ科目を念頭に置いたものでしたが、参加教員はみな 21世紀教育だけでなく専門教育にも携わっているため、
「専門科目への適用性についても述べて欲しかった」と いう意見(4件)があることは自然です。その他の意見 として、「年長の先生も(新任の先生に加えて)参加して 欲しい」、「仮想の授業設計なのか、実際行う授業の 設計なのか不明確」、「席が離れるとグループの人の声 が届かない。机の配置を検討すると良い」などがありま した。
設問4 (教員に対する設問)
(1) このワークショップで示されたような教育学的 方法を今後取り入れようと思いますか。
(回答数 26)
A 全く取り入れる気はない(0%)
B 余り取り入れようとは思わない(0%)
C 少し取り入れてみたい(58%)
D かなり取り入れてみたい(35%)
E 大いに取り入れたい(8%)
0 50 100
C D E
% % %
(2) 上において「少し取り入れてみたい」から右3つ のどれかに○をつけた方は、現時点であなたの 教育現場で実現の見通しは?(回答数 26)
A 極めて難しい(4%)
B かなり難しい(8%)
C ある部分では可能(77%)
D かなり可能(8%)
E 全面的に可能(4%)
0 50 100
A
C
B D
E
% % %
設問5 今後ともこういうワークショップを持つこ とに対して(回答数 26)
A 反対(0%)
B 特に持たなくてもよい(0%)
C 持っても良い(39%)
D 持つ方が良い(39%)
E 是非持つべきである(23%)
0 50 100
C D E
% % %
参加教員は全員、今回学んだ方法を何らかの形で 取り入れてみたいと回答しています。一方、現時点 でそれが全面的に可能とする意見は 4%にすぎず、
多くは部分的に可能だと回答しています。今回のよ うなワークショップを今後とも行うこと対しては、
肯定的な回答が多くを占めました。
設問6 このワークショップの成果に関連して、今 後1年の間に実施したいと考えていること を箇条書きにしてください。
33項目の回答がありました。最も多かった記述は、
今回の一連の作業を参考にした「シラバスの見直し」
で(18 件)、特に「成績評価をもっと具体的に、詳細 にする」など、成績評価に関する項目の改善を挙げ た参加者が目立ちました(11 件)。能動的な学習を 促進するための方法の導入を挙げた記述も多く(7 件)、「予習を行うための課題導入」や「スクラッチテ ストの導入」などがありました。ラーニング・ポー トフォリオについては、「簡易的なものでもやって みたい」、「ポートフォリオを導入して、講義にアク セントを付けてみたい」、「専門科目でも使えるかど うかを自分なりに考えてやってみたい」などの記述 がありました。