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事業者団体の活動 と独 占禁止法

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(1)

事業者団体の活動 と独 占禁止法

一事業者 団体 問題研究会報告 「 事業者 団体の活動 と 独 占禁止法上の諸問題」をめ ぐって ‑

和 田 健 夫

は じめに

事業者 団体 1 )は,戦前,戦後 を通 じてわが国の経済社会 にお いて重要 な役 割を果 して きた。事業者団体 は,わが国のほとん どの産業分野 において設立 さ れているともいわれ るが,公正取 引委員会への届 出数 ( 独禁法 8 条 2 項)でみ ると ,1 992 年 3 月現在 1 4 ,86 3 団体 であ り,その うち2,61 7 が全 国団体 であ. る( 辛 成 3 年度公正取引委員会年次報告 1 44 貢) 。事業者団体が これ ほど隆盛 をきわめ ている理 由として,経済社会で果す様 々な役割 ・機能が挙げ られ るであろ う

事業者団体 の活動 は,実 に多岐にわた っている。 ここで,それ らを網羅す るこ とはで きないが,機能 に注 目して整理す ると,たとえば次のよ うな分類がで き

1 )独 占禁止法 2 条 2 項 は , 「 事業者団体」を次のよ うに定める。

「この法律 において事業者団体 とは,事業者 としての共通の利益を増進す ることを 主たる目的 とす る二以上の事業者の結合体又 はその連合体をいい,左 に掲げる形態 の ものを含む。但 し,二以上の事業者の結合体又 はその連合体であ って,資本又 は 構成事業者の出資を有 し,営利を目的 として商業,工業,金融業その他の事業を営 む ことを主たる目的 とし,且つ,現にその事業を営んでいるものを含 まない もの と す る。

一 二以上 の事業者が社員 ( 社員 に準ず るものを含む。)である社団法人 その他 の 社団

二 二以上 の事業者が理事又 は管理人の任免,業務 の執行又 はその存立を支配 し ている財団法人その他の財団

二以上 の事業者を組合員 とす る組合又 は契約 による二以上の事業者の結合体」

〔 1 4 7 〕

(2)

1 48 商 学 討 究 第 4 4 巻 第 3 号 よ う

2)0

①情報機能。現代の事業者団体の機能 の うちで最 も重 要な ものの つ で あ る。団体の構成員 にとって重要 な経済情報 ( 業界の動向,市況,行政か らの情 報など)の収集,分析,提供の窓口として事業者団体 は機能 している

情報の 収集等を個 々の事業者ではな く,団体が行な うことによって,規模の経済が働 き,収集 コス トを節約す ることができる。構成事業者 に対す る経営指導や種 々 の啓蒙 ・教育活動 も情報活動の一環 と考えることがで きる。

②調整 ・統制機能。事業者団体 は構成事業者の上 に立っ組織 として,利害対 立を調整 し,あるいは監視 ・制裁能力を背景に して構成事業者の行動を一定の 方 向に導 く機能を有 している。事業者団体が行な う基準 ・認証制度, 自主規制 はこのよ うな機能の一形態である。 この機能は, しば しば,私的な競争制限を もた らす方向に働 く反面,社会公共にとって好 ま しい価値や 目的の実現に寄与 す る利点を有 している。 とくに, ここで は政府 との関係が重要である

事業者 団体 は政府 と事業者の中間にあ って,政府の政策に協力 し,政府の政策を代行 す る役割 も果 している。 この関係 は,戦前,戦 中を通 じて現在 にまで続いてい る。戦前,戦中には,事業者団体 は,国家の経済統制政策の実施機関 として働 いてきた。戦後 は, このよ うな経済統制団体はな くな ったが,国家政策 と事業 者団体の調整 ・統制機能の結びっ さは,政府が経済規制や行政指導を効率的に すすめるために しば しば事業者団体を窓 口として利用す るとい うかたちであ ら われている。

③広報 ・宣伝機能。事業者団体の対外的な活動 として,国会 ・行政庁等 に対

2 )越後和典 「事業者団体 の類型 と機能」経済セ ミナ ‑2 65 号 2 頁,上野裕也 ‑厚谷棄

児 「事業者団体分析 の枠組み」同 1 9 頁,および拙稿 「事業者団体の機能」 ジュ リス

ト 950 号 57 頁参 照 。Lamb , G. & C. Shi e l ds ,TradeAs s oc i at i onLaw and

Pr ac t i c e1 7( 1 9 7 1 ) は,アメ リカの事業者 団体 の主要 な機能 は,( 1) メ ンバ ー間で

の統計的情報 の交換,( 。) 産業製品の販売促進,( , i ) 業界代表 としての政府機関への働

きか け,( I) 産業 にお け る基準 ( s t andards ) の発展 の促 進 にあ る と してい る。 ま

た, アメ リカにお いて も,二 回の大戦 および 1 9 3 0 年代 の大恐慌 時代 には,事業者

団体が政府の意 向をを受 けて各産業を規律す る役割を果 した ことが明 らかにされて

いる ( I bd.7‑ 1 7 ,1 6 7 ‑ 1 8 4 ) 。

(3)

す る要望 ・意見表明,大衆への広報 ・宣伝活動,関連業界 との連絡 ・協力,礼 会公共への協力がある。いずれ も構成事業者が属す る業界の状況改善,発展, 地位向上を 目的 とした ものである。

④共同事業機能。事業者団体 は, また種 々の事業の共同化の推進母体 と して も働 いている

事業の範囲は,製造,販売,購入,保管,輸送,研究開発等, 構成事業者 にとって本来の事業内容であるものか ら,福利厚生,調査研究,共 演,労務管理 にまで及んでいる。経済活動 に関す る共同化 は, とくに中小企業 の団体の場合 には,経営の合理化,競争力の確保,交渉力の強化等に資す るも のとして重要な役割を果 している。

事業者団体の活動 は,競争政策の観点か ら独 占禁止法 8 条 による規制 に服 し ている

これまで数多 くの適用事例があ り,またガイ ドライ ン等 も公表 されて

きた。本稿 は,昨年 3 月に出された事業者団体問題研究会報告書 「 事業者団体 の活動 と独 占禁止法上の諸問題 ‑よ り開かれた活動を 目指 して‑」を紹介 し, 若干の検討を加えることを 目的 とす る

3) 。

Ⅰ 事業者団体の活動規制

1.事業者団体法 ( 1 948 )

最初 に,独 占禁止法 による事業者団体の活動規制 に関す る経過を記 してお こ う

戦後,閉鎖機関令等 による私的統制 団体 の解散が断行 され るとともに, 1 9 47 年 に制定 された独 占禁止法の第 5 条において私的統制団体の設立 ・加入が 禁止 された。そ して翌1 948 年 には事業者団体法が制定 された。 この法律が出発 点である。同法は,先に制定された独占禁止法の補完法 としての性格 と,過渡的 な占領政策 ( 統制団体除去政策)の法 としての性格の両面を有 していた。事業者 団体の許容活動 ( 同法 4条) と禁止活動 (5条)を列挙 し,団体に届出義務を課 していた (3 条)が,事業者団体の活動に厳 しい枠をはめるものだと受け止め ら れ,1 95 2 年には,許容活動の範囲を拡大す るために同法 4 条の規定が削除 され

3) この報告書 に関す る文献 と して は,「 特集 。事業者団体の活動 と独 占禁止法」公正

取引51 1 号,「 特集 ・事業者団体の活動 と独禁法」 ジュ リス ト 1 025 号がある

(4)

150 商 学 討 究 第 44 巻 第 3 号

た。そ して, 日本 の 占領の終結後 に行 なわれた 1 9 5 3 年 の独禁法改正時 に事業者 団体法 は廃止 された。 占領終結 とともに同法の 占領政策の法 と しての役割 も終 了 したが,独 占禁止法の補完法 としての役割 ( 競争政策の観点か らの規制)は残

され,独 占禁止法 自身 (8 条 1 項 ト 5 号) に 引き継がれ ることになった

4)。

このよ うに事業者団体の行為を構成事業者 の行為 とは別 に規制す る理 由と し て は次のよ うな ことが言われてい る。( イ) 構成事業者の行為か らは独立 した,事 業者団体 と しての行為を社会経済 的に観念で きる。( 。) 事業者団体 の活動が,読 争制 限的な結果を誘発す る危険性 を有 している

( / i ) 独 占禁止法 は,事業者 につ いて は,私的独 占,不 当な取 引制 限,不公正 な取 引方法 を禁止 してい るが,そ のよ うな行為が事業者団体 によ って行われた場合 に,それを規制す るための規 定を整え る法技術上 の要請が あ った

5)0

これまでの独 占禁止法違反事例では, 8 条 に関す るものが最 も多い。法条別の 審決件数では, 全体の約 4 6 % を占め る( 平成 3 年度公正取引委員会年次報告 1 3 貢) 。

2. ガイ ドライ ン行政

( 1 ) 「 事業者団体 の活動 に関す る独 占禁止法上 の指針」 ( 1 9 7 9 )

独 占禁 止法 8 条 が定 め る 5 つの禁止規定 ( 8 条 1 項 1‑5 号) は抽象的 な表 現が用 い られてい る。事業者団体の活動 は多様で あるため,団体 の どのよ うな 行為が これ らの規定 に違反す るのか 一禁止行為 と許容行為 の境界 ‑が業界人 に とって不 明瞭であ るとい う指摘が 8 条の制定当初か らな されていた。実際 に も

8 条違反の事件が多発 して いることは,事業者団体が,一方で種 々の社会経済 的な役割を果す とともに,他方で,事業者団体相互 間にお ける競争 の回避 や団 体 と しての結集 された力の不 当利用 とい った競争 阻害的な行動 に走 る傾 向が多

4 )立法 の経過 につ いて は, た とえ ば次 の文献 を参照。今村成和 ・条解 事業 者 団体法 ( 1948) ,公正取 引委員会事務局 ・独 占禁止政策三十年史 ( 1977 )46 ‑50 頁,厚谷 裏児 「事業者 団体 の概要」経済 セ ミナー265 号 1 1 頁以下。

5 ) アメ リカ法 や ドイ ツ法で は, このよ うな区別 は行 なわれて いない。 た とえば シャー

マ ン法で は,違反行為 の主体 は 「人 ( person) 」で あ って, これ には自然人 だ けで

な く法人 や団体 も含 まれ る。したが って, 団体 と構成事業者 が共謀 ( conspi racy)の

当事者 とされることが通常である。

(5)

い ことを示 していた。公正取 引委員会 は ,1974 年 ころか ら,事業者団体活動 の規制 のあ りかたについて検討 を初 め,独 占禁止法 の第三次改正 ( 1977 ) を 契機に,違反行為の未然予防を目的 とした指針を作成 し公表 した。 これが本指 針であ る( 以下「 事業者団体 ガイ ドライ ン 」) 。この事業者団体 ガイ ドライ ンは, それまでの 8 条 に関す る同委員会の実務経験を踏まえて,事業者団体の実際の 活動 ( 主 として構成事業者を対象に した もの :価格,数量,顧客等,設備等, 種類等,営業方法等,情報活動,経営指導,共同事業)および構成事業者以外の 事業者 に対す る行為を , 「 原則 として違反 となるもの」 ,「 違反 となるおそれがあ るもの」 , 「 原則 として違反 とな らないもの」 という三つの範噂に分類 したもので ある。同時に事業者団体の違反行為を防止す るために事前相談制度が設 け られ た。団体による相談事例は増加 しっっあり,毎年その概要が報告 されている

6)0

( 2) 「医師会の活動 に関す る独 占禁止法上の指針

( 1981 )

1980 年 に医師会が会員の加入制限を行 なった ことが独 占禁止法 8 条 1 項 3 号 に違反す るとの審決

7)

が 出された ことを契機 として作成 された ( 以下 「医 師会ガイ ドライ ン 」) 。新規開業の制限行為,会員の診療活動の制限行為等 に関 す る独 占禁止法上の考え方が示 されている。

( 3 ) 「 公共工事に係 る建設業における事業者団体の諸活動 に関す る独 占禁止 法上の指針

( 1 984 )

1 982 年 に公共工事 にかかわ る建設業者 の談合 に対 し初めて独 占禁止法 8 条 1 項 1号 を適用す る審決

8)

が出 された ことを契機 に,公共工事をめ ぐる建設

6 )事業者団体ガイ ドライ ンの作成 と同時に,文書 による事前相談制度が設 け られた。

これ は,文書 による異体的な相談があ った場合 に文書 を もって回答す る ものであ り,独 占禁止法に抵触 しない旨の回答を した場合 には,その後 において当該回答に 際 しての判断の基礎 となった事実 に変更が生ず る等の理 由によ り当該回答を文書で 撤回 した後でなければ,法的措置 はとらないことになっている

しか し実際の相談 事例 は, この制度 によるものよ りも,従来か らの一般相談制度 に もとづ くものが多 い。公正取引委員会 は昭和 57 年度以降,相談事例 の主要な ものを公表 しているが, 大部分 は後者 によるものである。

7 )千葉市医師会 に対す る件 ・昭和55 年 6 月19 日勧告審決 ・審決集27 巻 39 貢。

8) ( 社)静岡建設業協会 に対す る件 ・昭和 57 年 9 月 8 日勧告審決 ・審決集 29 巻 66 貢,

( 社)清水建設業協会 に対す る件 ・昭和 57 年 9 月 8 日勧告審決 ・審決集 29 巻 7 0 貢。

(6)

152 商 学 討 究 第 4 4 巻 第 3 号

業団体の活動 ( 情報交換活動,経営指導活動) と独 占禁止法の関係を明 らかに す るために作成された。

( 4 ) 「 流通 ・取引憤行に関す る独 占禁止法上の指針」 ( 1 9 91 )

この指針 は,1 99 0 年 6 月の 日米構造問題協議 における日本側の最終報告 に 従 って,商慣行の改善のために作成 された ものである ( 以下 「 流通 ・取引慣行 ガイ ドライ ン 」) 。前述 ( 1 ) 〜( 3 ) のガイ ドライ ンとは異な り,事業者団体を直接対 象 としてはいないが,排他的取引慣行の項 目である 「 顧客獲得競争の制限」お よび「 共同ボイコッ ト」において事業者団体の活動に関連 した記述がみ られ る。

Ⅱ 報告書の内容

1.研究会設置の背景

報告書を作成 した事業者団体 問題研究会の設置 は1 992 年 1 月で あるが,設 置に至 った背景および公正取 引委員会の問題意識 は次のよ うな ものであった。

まず,事業者団体の独 占禁止法違反 については, これまで法の執行,ガイ ドラ イ ン, 事前相談等で厳正 に対処 して きたに もかかわ らず, 最近 1 0 年間をみて も, 独 占禁止法違反事件 の約 3 分の 1が 8 条違反 であるとい う事実を指摘 してい

る。 これに加えて,次のよ うな課題を公正取引委員会 自身が認めたことが研究 会設置の動機 となった

9) 。

( ィ) 経済の グローバ リゼーションの進展 に伴い,わが国の市場 アクセス改善 の観点か ら団体の開放的かつ透明,無差別な活動の確保等が課題 とな って いる。つまり,事業者団体が市場において大 きなウエイ トを占めているな かで,加入制限や事業者団体の事業の便益提供 にあた って排他的な行為な どが行われ ることは問題である

( T 3 ) 近年,事業者団体 による種 々の自主規制が増加 しているが,その 日的, 内容によっては独 占禁止法上の問題が起 こりうるので, 自主規制について

9 )座談会 「 事業者 団体 の活動 と独 占禁止法上の諸 問題

J

ジュ リス ト 1 0 2 5 号 8‑9 頁

( 以下 「ジュ リス ト座談会 」) ,金子晃 「 事業者団体の規制 と問題点」公正取引 5 1 1

号 5 頁。

(7)

の整理が必要である

ぐ, ) 日本で は,事業者団体 は行政 と個 々の事業者の問にあ って重要 な役割を 果 してお り,競争制限的な行為が行われた場合の影響 は非常 に大 きいと考 え られ る。団体 と行政 との関係 を独 占禁止法の立場か ら検討す ることが必 要である。

報告書第 1 章 ( 「は じめに 」 ) で も, と くに( 1) の課題 に言及 し,「団体 の中で も経済的影響が比較的大 き く, このよ うな課題 に関係が深い,業界の利益の増 進等を 目的 とす る全国的な業種別 の団体 を対象 として,その活動 における独 占 禁止法上 の問題点の検討 を行 な った」 と述べている ( 報告書 1 貢) 。 このよ う に,今や 日本の産業組織 の一部 として,わが国市場 における企業行動 に大 きな 影響を及 ぼす事業者団体 の活動 を‑ とくに,わが国市場へのア クセス との関連 で‑独 占禁止法の立場か ら検討す ることが今回の報告書の 目的であ った。

公正取 引委員会が このよ うな取 り組みを始めた背景 には,い くつかので きご とが あ った。端緒 はおそ らく ,1 9 8 0 年代 の終 りごろか ら顕著 にな った 日本の 流通 ・取 引慣行等 に対す る国内外か らの批判,問題提起である

日米構造問題 協議 ( S.Ⅰ . Ⅰ . ) もこのよ うな問題 を両国が議論す る場 として始 まった ものであ る

公正取 引委員会 は,構造問題協議 の第 1回会合が開かれた 1 9 8 9 年 9 月 に,

「 流通 ・取 引慣行等 と競争政策 に関す る検討委員会 」 ( 以下 「 検討委員会 」 )

を設置 し, この問題 について競争政策の観点か ら幅広 く検討す ることを依頼 し

た。検討委員会 は, 1 9 9 0 年 6 月, 日米構造 問題協議 の最終報告 の直前 に, そ

の検討結果 「 流通 ・取引慣行 とこれか らの競争政策 一開かれた競争 と消費者利

益 のために‑」を公表 した。そ こで は , 「 一般消費者の利益を確保 し,国際的

に開かれ た市場 において内外 の企業が 自由に活動 を行 え るよ うにす るために

は,公正かつ 自由な競争 を促進 し, 日本市場が真 にその機能を発揮 し得 るよ う

に してい くことが必要」であ り,そのためには独 占禁止法の厳正な運用が基本

課題であ るとともに,厳正な運用を実効 あ らしめるためにガイ ドライ ンを示す

べ きであ る, との意見が述べ られていた。 この提言 は,構造協議最終報告 に も

取入れ られ ,1 9 9 1 年 7 月前述の流通 ・取 引慣行 ガイ ドライ ンが作成 された。

(8)

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検討委員会の報告書 は,事業者団体の活動 について も触れている。問題 とな る具体的な活動 として,加入制限,規格 ・基準認証活動,加入者の差別的取扱 い,ボイコッ ト,情報活動,行政 との関係を取 り上げ,競争政策上の考え方を 示 し,対策 と して事業者団体 の活動 の十分 な監視,前述 の1979 年事業者団体 ガイ ドライ ンの一層の周知徹底等を提言 している。 しか し,なぜか構造問題協 議最終報告 には,事業者団体の活動に対す る独禁政策上の対応を記述 した項 目

はな く, この提言 は取 り入れ られなか った。ただ,報告書が基準 ・認証制度の 再検討を記述 した箇所で,業界団体の行 う基準 ・認証 も対象 とす ることを明 ら か に しているのが唯一関連す る部分 であ る。 ところが,構造問題協議 の フ ォ ローア ップ第 2 回年次報告 ( 1992 年 7 月)では,事業者団体の問題が取 り上げ

られ, そこで 日本政府は次のような措置をとることが確認 されている。 すなわち,

㈹ 公正取引委員会 は,事業者団体 による独 占禁止法違反行為 に厳正に対処 す るとともに,事業者団体の活動を監視す る

また,同委員会 は,1992 年 1月か ら開催 している事業者団体問題研究会において,競争政策の観点 か ら,事業者団体の活動のあ りかたについての検討を進め,その結果およ び提言 は公表 され る

同委員会 は,その結果 に基づ き,必要 に応 じて適切 な措置を とる

( 。) 日本政府 は,わが国市場 における市場 アクセスの改善の観点か ら,各産 業を代表 して活動す る事業者団体の開放的,透明かつ無差別な活動が確保 され るよ う努力す ることを再確認す る。そのために,各省庁 は,次の措置 をとる 。( a) 所管す る事業者団体の うち主要な ものの リス トを作成 し,利用 可能 とす る , ( b) 事業者団体がその活動内容等を記述 した報告書を作成す る ように勧奨す る ,( C) 上記報告書を とりまとめ外国企業に利用可能 とす る。

このよ うに,事業者団体の活動 は,最近で は,「 開かれた 日本市場」 とい う

文脈のなかで語 られ,その問題性が閉鎖的効果を もた らす側面 ( 具体的には,

加入制限,基準 ・認証制度,政府 との関係などにおいて)にあることを,公正

取引委員会 としては早 くか ら認識 していた。今回の報告書 は, このよ うな背景

の もとで生れたのである

(9)

2.団体の活動に関する独 占禁止法上の基本的な考え方

報告書第 2 章 は,「 事業者団体の活動概要」である。 これは,届 出がなされ ている全国主要団体 ( 1,002 団体) と,わが国において事業活動を行な ってい る外国企業 ( 500 社)を対象に公正取引委員会が実施 した実態調査 ( アンケー ト 調査)の結果である。報告書はこの調査に基づいて作成されている

しか しここ では取 り上げず,以下の叙述において ( 本文及び注) ,必要な限 りで引用する。

第 3 章「 団体の活動 に関す る独 占禁止法上の考え方」 が報告書の中心である。

報告書 はまず,基本的考え方を示 している ( 報告書第 3葺,26 ‑28 頁) 0

( 1 ) 開放性

重要 な情報機能 ( 行政情報,当該業界に関す る情報)を果 している団体‑の 加入の問題。 このような団体への加入を制限され ると事業活動上の影響が大 き

いので,団体の加入資格等 はできるだけ開放的に してい く必要がある。

( 2 ) 無差別性

重要な情報機能 ( 行政情報,当該業界に関す る情報)を果 している団体の便 益を受 けなければ事業が困難 になる場合には,アウ トサイダーに も開放す るこ

とが必要である。

( 3) 事業者の自由な活動の保障

団体が 自主規制 ( 一定の価値,社会 目的の実現のために構成事業者が守 るべ きルールを定める)を行 な う場合 には, 構成事業者の事業活動を不当に拘束 ( 価 格,数呈等,本来事業者が 自由に決定すべ き競争条件の制限) しないことが必 要である。また,団体の自主規制ルールを制裁措置 ( 制裁金,除名処分等)に

よって構成事業者 に強制す ることも問題である。

( 4) 消費者等の外部の意向の反映

団体が 自主規制,規格 ・基準認証を行な う場合には,公益性の強いもの もあ り,外部の意見,考え方を反映させ ることが必要である。団体の 自主規制等の 活動 においては,そのルールや基準 に合理性,客観性が求め られ る

( 5) 透明性

団体の活動が懇意的にな り,アウ トサイダーや消費者等の需要者の意向が反

(10)

156 商 学 討 究 第 44巻 第 3 号

映 されない結果,競争制限的行為が行 なわれ ることを防止す るためには,団体 の活動内容や取 り扱 う情報 は,会員 だけでな くアウ トサイダーや消費者 に も開 放す ることが必 要であ る。

( 6 ) 国 際 的幣合粧 ‑の配慮

団体 による規格 ・認証制度 において は,国際的基準の尊重 や外国で国内 と同 等の実績を特っ ものを尊重す ることが必要である。

( 7) 行政 と団体の関係改善

行政庁 は, 自らとの関係 における活動 について団体が競争制限的行為を行 な うことがないよ う,その組織 と活動 について開放性,無差別性,透 明性が確保 されているか十分に監督す る責任が ある。また,行政庁 自 らもその活動 につ い て透明性を確保す ることが必要である。

( 8 ) 団体活動の有益 な機能を踏 まえた独 占禁止法の適用

規格 ・基準認証制度, 自主規制,統計資料作成活動等 につ いては,本来競争 促進的機能を持っ ものや,種 々の社会公共への配慮 のための活動等の合理的な 機能を持つ ものが少な くないので, この点 も配慮すべ きであ る。そ こで,独 占 禁止法の適用を考え るにあた っては,上記 ( 1) 〜 ( 7) の考え方 に加えて, さらに, ( ‑ I ) 当該行為の 目的が合理的な ものであるか,( ロ) 当該行為の内容が 目的達成のた めに合理的な範囲にとどまっているか,( / , ) 需要者の利益を不 当に害 していない か,( I) 遵守を強制 していないか等の判断基準 に従 って,かっ事案の具体的内容 および大企業が会員であ る団体か又 は中小企業が多 い団体か否 か等 を考慮 し て, きめ細かな判断をす る必要がある

最後の ( 8) では, 要す るに, 団体の有益な機能 と上記 ( 1) 〜 ( 7) の諸要請を比較考量 し なが ら総合的に判断するという ,8 条の解釈の基本原則が示されているのである。

3. 主要な活動類型 ごとの独 占禁止法上の考え方

次に報告書 は,事業者団体の活動類型 ごとに独 占禁止法上 の考え方 を示 して

いる ( 報告書第 3 章 ,2 8 ‑4 8 頁) 。 ここで は,( 1) 団体の加入制 限 , ( 。) 基準 ・認

証制度,( / , ) 団体 の 自主規制 ( 通常の団体の場合) ,( I) 団体 の 自主規制 ( 専門職

(11)

業の団体の場合)が取上 げ られている。以下;報告書の内容を紹介 しつつ若干 の コメ ン トを加え る

( 1) 団体 の加入制限

団体 はその 目的を追求す るために会員の資格や加入を制限す ることがあ りう る。その こと自体 は非難すべ きで はない。 しか し,経済社会 において重要な役 割を果す事業者団体の構成員であることが,経済活動を続 けてい く上で不可欠な 条件 となっているよ うな状況においては ,別 の考慮 も必要 となる。報告書 は次の よ うに述べている。「 事業者が活動す るにあた って団体が重要な役割を担 ってお り,団体に加入 しなければ事業を行 うことが困葵臣となるような場合,合理的理由 のない加入制限があるために,あるいは合理的理 由もな く加入を拒否 されたため に事業者が市場 に新規 に参入す ることが阻止 された り市場か ら排除 されることに なるとすれば,事業者の数の制限やボイコッ トとして独 占禁止法上問題 となる」 。

加入制限が,一定 の事業分野 における事業者の数 の制限 ( 独禁法 8 条 1 項 3 早) に該 当 しうることにつ いて は,実際の適用事例

10)

が あ り,各種 のガイ ド ライ ン ( 事業者団体 ガイ ドライ ン,医師会 ガイ ドライ ンおよび流通 ・取 引慣行 ガイ ドライ ン)で も示 されてい る

ここでのポイ ン トは,「 団体 に加入 しなけ れ ば事業 を行 うことが 困難 にな る状 況」 と,加 入制 限 に 「 合理 的 な理 由が ない」 とい うことであ る

報告書 によ ると 「 合理 的理 由」の判 断 にあた って は,「 加入制限の 目的 自体が正 当な ものであ るか,制限の内容が 目的達成のた め必要な限度 にとどまっているか等を検証 して判断」 され る。その際,外国企 業の国内市場への参入を阻害す ることのないように国内で活動す る外国企業 と

10 )た とえば,全国 レコー ド商組合連合会 に対す る件 ・昭和38 年 2 月 1 3 日同意審決 ・審 決集1 1 巻 58 頁 ( 新規販売店の団体加入制限をす るとともに,当該非会員 に レコー ド を販売 しないよ うに レコー ド製造業者 に申入れた事例) ,岡崎青果商業協 同組合 に 対す る件 ・昭和41 年 1 月 13 日勧告審決 ・審決集1 3 巻 99 貢 ( 団体 に加入 しなければ青 果物の販売業を営む ことが困難であるとい う状況下で,距離制限によって団体‑の 加入を制限 した事例),千葉市医師会 に対す る件 ・昭和55 年 6 月 19 日勧告審決 ・審 決集27 巻 39 貢 ( 医師会 に加入 しなければ開業医になることは困難 にな る状況下で, 医師会の承認を得 ないで開業す る場合 には入会を拒否す ることによって加入制限を

した事例) 。

(12)

158 商 学 討 究 第 44 巻 第 3 号

国 内事業者 を無差別 に扱 う 「内外無差別 の原則 」を確立す る ことが重要 で あ る とされ る。 そ して報告書 は,加入制 限の形態 ごとに 「 合理 的理 由」の考 え方 を 示 してお り, この点が報告書 の特徴 で あ る ( 報告書 29‑ 32 頁)。

加入制 限 ( 会員 の資格制限)の具体 的 な形 態 と して取 り上 げ られ て い るの は, ( j) 国籍,( 。) 国 内で の営業経験,製造設備 の有無 ,い) 日本 での許認可等 の有無,

( i) 一定 の事業規模 ・能力, 経験年数 , ( *) 業種,N会 員 の種類 ,( 卜 ) 会 費,入会金, ( 痛 苦動地域 の限定 ・距 離制 限,で あ る

11)。

そ して前述 した とお り, これ らの 資格制 限 の合 理性 は,資格 制 限 によ り追及 す る 目的 と制 限 の 内容 との関係 に よ って判断 され る。報告書 は, 目的 との関係で資格制限が合理 的 とな る可能性 を認 めて い るが ( た とえば上記 ( ロ) ( , i ) ( i) の場合),国籍 (日本法人 あ るいは 日本 国籍 を有す る もの) によ る制限 につ いて は,制 限それ 自体 に懐疑 的な態度 を有 しているよ うに思 われ る ( 団体 に加入 で きなければ 日本 にお け る事業活動が困 難 にな る場合 には独 占禁止法上 問題 とな る)

12)

報告書 は, この ほか に,( リ ) 専門職業の団体 の加 入脱退 ,( メ) 運用次第 で加入制 限的的 に働 くもの等,囲定款 ,規約 に加 入要件 が明確 にな って いない場合,( わ 加入 の強制等, につ いて も検討 して い る。( メ) や( J L ) のケースは実 際 に も問題 とな りうる と思 われ る。 報 告書 によれ ば, 加 入 資格 が 明確 性 を欠 く場合 ( た とえば,

l l )実態調査は次のような結果を示 している。正会員となるための要件 として最 も多い 項目は , 「 団体の趣 旨に賛同するするものであることが必要」で 65.6% ,次に多い のが「 会員の推薦が必要」 で 23.2% , そのはか , 「 社会的信用が必要 」16.8% , 「 行政 庁の許認可 もしくは行政庁への届出が必要 」16.7% , 「 国内での営業経験,国内で の製造設備が必要 」16.4% , 「日本法人であることが必要 」 l l .0% ,経験年数等

「 一定の事業経験が必要 」7.5 % ,売上高,製造設備等の 「 一定の事業規模が必要」

6.6% , 「 その他 」1 7.2% である ( 複数回答可) 。また,新規加入手続では , 「 理事会 等の承認」が 80.3% と圧倒的に多 く,次いで 「 総会の承認 」9.1% , 「 単なる届出 のみで可であり,特別の承認を要 しない 」4.8% などである。

1 2 ) ジュリス ト座談会 ( 注 9)1 3‑ 1 4 貢。外国企業に対する調査 ( 500 社対象。有効回答 数 275 社)のなかで,事業者団体に加入 していないと回答 した企業は 93 社である。

加入 していない理由として , 「 加入を拒否された又は加入 した くとも加入できない」

との回答が 9 で 9.2% である。加入拒否の理由は , 「 定款 ・会則等の上での会員資格

の定義に合致 しない」というのが唯一の理由である。その内訳は, 「 国内で製造を行

なっていな い 」との回答数が 6 と最 も多 く全回答数の過半数を占め,次いで 「 一定の

事業経験の不足」了日本法人でない 」 , 「 一定の事業規模の不足」 が各 2 となっている。

(13)

「 社会的信用のあるもの」 ,「 公共の福祉を重ん じて品位を保つ もの」などとい う資格要件) , 運用次第で加入制限的に働 く場合 ( 「 団体の趣 旨に賛同す るもの」,

「 会員○名以上の推薦を受けた もの」 , 「 理事会の承認を得た もの」などの資格 要件)には,加入制限が合理的 と考え られ る場合 もあるが,特定の事業者を市 場か ら排除す る目的を有 していないか どうか見極める必要がある。また定款, 規約において加入要件が明確 に示 されていない場合 には , 窓意的な連用がなさ れ,参入阻止的に働かないようにす ることが重要である。

専門職業の団体の場合については,次のように述べている。まず根拠法にもと づいて設立 され,団体‑の加入拒否 ( 登録拒否)の事由が法定 されている団体の 場合は,法律に基づいて運用されている限 り問題 とはな らない。 しか しこのよう な団体の場合,団体に加入できないことは業務を行 うことができないことに等 し い

ら,抽象的な登録拒否事由 ( たとえば 「 ○ ○会の秩序,信用を害するおそれ がある」 といった規定)が懇意的に運用されないように注意す る必要がある。専 門職業の団体で も加入 ・脱退に係わる法律の規定がない場合,あるいは民法にの み根拠を有する団体の場合には,専門職業の資格を持 っている者の加入を合理的 理由な く拒否 した り,資格の法律上の取消事 由に該当 しない者まで除名するする

ことは独 占禁止法上問題 となるおそれがある

最後 に加入の強制等 に関 しては,団体への加入 ・脱退は事業者の任意の判断 によるべ きであるか ら,加入の強制や脱退できないように圧力をかけることは, 独 占禁止法上問題になるとされている。

次に,「 事業活動 を行 うことが困難 」 になるか どうか は,報告書 によれば,

団体の市場 におけるシェア,行政 との関係を含 め団体の果 している機能 ・便益

を総合的に評価 した上で,加入す ることが事業上必須 となってお り,加入 しな

いと事業活動が一般的に困難になるか否かの観点か ら判断され る。 この点に関

す る実態調査が興味深 い。それによると,団体加入のメ リッ トにつ いては,「同

業者,取引先等関連業界の情報が入手 しやすい」7 7 . 6% ,「 行政庁か らの情報

が入 りやす くな る 」7 2. 4%,「 社会的信用が増す」61 . 3%,「 行政庁 に対す る

申請書等がスムーズになる 」29 . 4%,「 融資 ・保証,官公庁か らの業務委託等

(14)

160 商 学 討 究 第 44 巻 第 3 号

の便益が受 け られ る」ll.1% とな っている。報告書 は 「 社会的信用や団体の 便益 にも行政庁が関与 していることの効果が含まれていることも考えると,対 行政関係におけるメ リッ トが大 きいウエイ トを占めている」 と結論 している。

次いで加入 しない ことによる不利益の程度 については,「 事業上特段の影響 は ない」 との回答が全体の 7 1 .1% , 「 事業上多少不利にはなるが,事業に支障を与 える程度ではない」 が 25.3%, 「 事業上著 しく不利 にな り事業が困難になる」は 1 . 4

% , 「 事業が事実上不可能になる 」0 .6 % である。 この調査か らす ると事業活動を 行な うことが困難になるのは稀なケースともいえそ うである

13)。

ただ し,同 じ 調査を外国企業に対 して行 なった結果 は,「 事業上特段の影響 はない 」58.7% ,

「 事業上多少不利 にはなるが,事業に支障はない」が 26.2% ,「 事業上かな り不 利 にな り,事業が困難 になる 」8.9% , 「 事業が事実上不可能 になる 」 5.3% , となっており,外国企業にとっては影響の程度が異なることが示 されている1

4) 。

( 2) 規格 ・基準認証制度

規格 ・基準認証制度 は,商品又 は役務の品質 ・種類等について,団体が 自主

1 3 ) た だ し,調 査 対 象 とな った 団体 の規 模 を み る と,全 国 的 な団 体 に もか か わ ら ず, シェア‑ ( 会員の売上高等 の合計が市場全体の売上高 に占め る割合)が 7 5% 以 上を 占め る団体の数 は,回答団体の約 5 4% である。会員の事業規模の点で は,中小 企業の会員が多 い団体が全体の約 3分の 2を 占めている。未加入のデメ リッ トの程 度 に関 して,事業活動 に影響す るとの回答がそれほど多 くないのは, このよ うな対 象団体の規模 も原因であるか もしれない。

1 4 ) 「 事業 は事実上不可能 にな る」又 は 「 事業上かな り不利 にな り事業が困難であ る」

と回答 した外 国企業 32 社 うち最 も多 い業種 は,金 融 ・保険業 ( 1 7 社 ,53.1%) で

あ る。なお,外国企業 に対す る調査の結果 は次の とお りである。加入状況で は,回

答 のあ った 27 5 社 の うち, 日本 の事業者団体 に加入 してい ると回答 した外国企業数

は 1 86 社 で ,67 .6% であ る。加入 の理 由で最 も多 いの は,「同業者,取 引先等関係

業界 の情報が入 手で きる」で 7 9.6% ,次 いで 「 関係官公庁 の通達等 の情報が入手

で きる 」66 .1 % , 「同業他者 との親 睦が図れ る 」59 .1 % , 「 関係 官庁‑ の 申請業務

等が スムーズになる 」 28.0% , 「 取 引先 との関係が 円滑 にな る 」22.0% な どとな って

い る ( 複数回答可) 。加入 のメ リッ トにつ いて も調査 されて いるが,加入理 由 とほ

ぼ同 じで, 「同業者 , 取 引先等関連業界 の情報が入手で きる」が最 も多 く 7 6.9% , 「 関

係官公庁 の通達等 の情報が入手で きる 」67 .7% な どとな って い る。事業者 団体 に

加入 していない と回答 した企業 ( 9 3 社) に対す る調査で は,加入 していない理 由 と

して は

,

「 加入 の必要 を感 じない又 は加入す る ことのデメ リッ トが大 きい」 との回

答数が全体の 68.4% ,次 いで 「団体があ ることを知 らなか った 」2 2. 4%, 「 加入を

拒否 された又 は加入 した くとも加入で きな い」9 . 2 % である ( 複数回答可) 0

(15)

的に,あるいは法律や行政指導 に したが って規格 ・基準 ( 検査 ・検定制度)杏 設定 した り ( 以下 4 ( 1 ) ②参照),基準 に達 した場合 に証明書 ( 認証)を与え る 制度であ る

15)。

実態調査 によれば,団体 の 自主規格を設定 している団体 は全 体 の1 3 .2%であ る。 また,公的規格 との関係で は,会員 の製造 してい る製品 等 について JI Sのあ る団体が5 4 .5% とい う結果が 出ている。規格 ・基準 は, 製品の安全性の向上,消費者利益の保護 ( 商品情報 に関す る不完全性の排除) , 生産能率の向上,流通の合理化,部品の互換性の増大,粗悪品の排除等の目的 や効果を狙 って行なわれ,合理的な側面を有 している。 しか し,他方で団体の 定める規格 ・基準 自体が,本来会員が 自由に行な うべ き製品開発等を制限 した り,多様な商品 ・役務を必要 とする需要者に不便を与えるおそれがある。また;

1 98 0 年代前半 に,非関税障壁撤廃の観点か らわが国の規格 ・基準認証制度の見 直 しが行なわれたことか らも明 らかなように,団体の行なう規格 ・基準認証制度 は,外国企業をは じめとしてアウ トサイダーを排除す る可能性を有 している。

1 97 9 年の事業者団体 ガイ ドライ ンで も,「5 種類,品質,規格等 に関す る 行為」 において事業者団体の規格 ・基準設定行為 と独 占禁止法 に関す る考え方 が示 されている。ただ,事業者団体ガイ ドライ ンは, これ らの行動の独 占禁止 法上の問題性を,構成事業者の 自由な活動の制限を中心 に説明 しているのに対 し,報告書 は,さ らにアウ トサイダー ( 非会員)の排除効果,ボイコッ ト効果 を も問題 としているところが特徴である

構成事業者 との関連では,事業者団体ガイ ドラインは , 「 規格等の制限 ( 5‑

1 ) 」を 「 違反 となるおそれ」のある行為 に分類 し,( ‑ 1 ' ) 価格制限行為の補完のた めに行われる ( 製品の規格を統一す ることによって販売価格を決定する)場合, ( 。) 構成事業者の競争手段を制限することとなる場合,( , 〜 ) 需要者の利益を害する場

1 5 )厳 密 には,規格 ・基準 ( st andard) の設 定 とその運 用形 態 が 区別 され る。基 準 ( 製品の品質,成分,効果 ・効能等 に関す るもの)に合致 しているかどうかをテ ス トし,合格 している商品に対 して証 明を与え るのが認証 ( cert i f i cat i on)であ る。当該商 品を生産す るすべての者 が設定 された基準 に従 うのが標準化 ( st an‑

dardi zat i on) ,規格 ( 商品の仕様,寸法,等級菩)に従 うのが規格の統一 ( si m‑

pl i f i cat i on)である ( Lamb & Shi el ds,Supranot e2at 76 ) 。

(16)

16 2 商 学 討 究 第 4 4 巻 第 3 号

合などは違反 (8 条 1 項 1 号又 は 8 条 1 項 4 号)となるとされている。また,「 合理 化のための規格等の自主的な基準の設定 (5‑2) 」と 「 公的規格等の普及の促進 (5‑3 ) 」 は ,「 原則 として違反 とな らない」行為 とされている。ただ し,前者 の場合は,需要者の利益を害 さず,かつ,当該規格等によらない商品 ・役務の生 産又は流通を制限 しないことが条件である。そ して, 5‑2 でいう 「自主的な基 準」とは,団体が構成員に対 して当該基準の採用を単に推奨す る程度で実際にそ れを採用す るか どうかは個 々の構成員の任意の判断にまかせ るものをいう

16)0

報告書 は,( 1) 法律 に基づ く規格 ・基準認証制度 に対す る団体の関与 と , ( 。) 団 体 による自主的な規格 ・基準認証制度 に分 けて論 じている。( イ) の場合 について は,法律 に基づ く規格 ・基準 に従 って行政庁以外 の者が その認証を行 な って も,検査等の開放性,無差別性,透明性等が担保 されていれば基本的には問題 がないとす る。しか しなが ら, 団体が指定検査機関 と して認証を行 う場合で も, 個 々の法律で機関 となる要件が規定 されているだけでは十分 とはいえず,実際 の運用において も開放性等が確保 される必要があるとされ る。次に,( 。) の場合 (自主的な基準 ・認証制度)につ いては,事業者団体ガイ ドライ ンの考え方が 確認 されている。すなわち,規格 ・基準認証制度が,価格協定等の補完など競 争制限を 目的 としている場合や,規格 ・基準 によ らない商品 ・役務 に対す る需 要があるのに,その供給を不当に封 じ需要者の利益を害する場合には,独 占禁 止法上問題 となる

また,規格 ・基準の遵守を制裁金,除名処分等の強制によ り会員の競争手段を制限 し,規格 ・基準 に合致 しない商品等の供給を制限す る のは独 占禁止法上問題 となるおそれがある 1 7 )0

1 6 ) 「自主的な基準 とい うのは,団体が構成員に対 して当該基準の採用を単 に推奨す る 程度で実際にそれを採用す るか どうかは個 々の構成員の任意の判断にまかせ るもの をい う

( 地頭所五男編 ・詳解事業者団体活動指針 ( 1 9 8 0 )5 4 頁) 。

1 7 )毎年公正取引委員会事務局が公表す る相談事例か ら,実例をい くつか紹介す る。

① 鋼製建築資材の製造業者の団体の例 ( 昭和 6

1) 0

《 相談の要 旨》内装用の鋼製建 築資材の製造業者 の団体が,会員が民 間発注の工事向けに JI S 規格 を下回 る品 質の製品を製造販売す ることを防 ぐために,団体 として,( ‑ I ) JI S 規格品以外 は, 製造 ・販売 しないこと, さらに製品を使用す る内装工事業者の団体 との間で ,伺

JI S 規格品以外の ものは販売及び購入を しないこと,員外者の製品 は使用 しない

こと,を協定することについて。

(17)

前述の とお り,基準 ・認証制度がアウ トサイダーの活動 に与える影響を問題 としている点が報告書の新 しい部分であるが, これについては次のよ うに述べ る

まず,団体が公的規格の原案作成等 に関与す る場合 は,アウ トサイダー等 を排除す ることなどを目的 として,競争制限的内容の ものを行政庁 に採用す る よう働 きかけることのないように注意すべ きである。次 に,運用の次元での問 題点 は次の とお りである

すなわち,規格 ・基準認証制度がないと事業を行 う

ことが困難になる状況下で,( 1) アウ トサイダーの申込を拒否す る場合 ,( 。) 会員 であることを認証を受 けるための条件 と し,合理性のない加入制限を行 う場 合,再手数料について不合理な格差を設 けた り,審査の順序,審査期間,審査 基準等を運用上で差別的に取 り扱 う場合,には独 占禁止法上問題 となる。そ し て 「 規格 ・基準認証が ないと事業が困難 とな る」か否かについて は,「当該制 度 の普及状況

18)

,行政庁 との関係 を含め,当該制度の事業上の利益の大 きさ 等を勘案 して判断す る」 こととなる 1 9 )。報告書 は,規格 ・基準認証を受 け ら

《回答の要 旨 》JI S 規格の認定を受 けるかどうかは事業者の任意であるか ら,( 1) の 決定 は事業者団体ガイ ドライ ンの 「 規格等の制限 」 (5‑1) に該 当 し,また( ロ) の 協定 も取引先業界の 自由な商品の選択を阻害す るおそれがあ り,独 占禁止法上問 題 となる。 ただ し ,JI S 規格品である鋼製建築資材の使用を取引先業界等 に訴え るなど して規格品の普及 につ とめることは,ガイ ドライ ン 「 公的規格等の普及の 促進 」(5‑3 )に該当 し,問題 とな らない ( 公正取 引 4 42 号 56 貢) 0

② 食 肉加工 品製造業者 の団体 の例 ( 昭和6 2 )0《 相談 の要 旨》食 肉加工 品 には

JAS 規格があるが ,JAS の基準に合致 しない品質の悪い製品が安売 りされてお り,売行 きが伸 び悩んで いるので,団体 として,会員 は JAS 規格品以外の製造 を中止す ることを決定す ることについて。

《回答の要 旨》①のケースと同様,当該決定 は独 占禁止法上 問題 とな り ,JAS 規 格品の普及促進活動 は問題 にな らない。 また ,JAS 規格品の需要 の促進をはか るために,団体が一般消費者 に推奨宣伝を行 うことは事業者団体 ガイ ドライ ンの 原則 として違反 とな らない 「 需要促進のための共同宣伝 」(9‑6) に当 り,問題

とな らない ( 公正取引 454 号 76 頁) 0

1 8 ) 自主規格の普及程度の一端を知 るために,規格不適合製品の製造の程度 に関す る実

態調査を紹介す ると , 「団体規格 に適合 しない製品の製造 は自由であ り,実際に も

そのよ うな製品が存在す る」 とい う回答が 61 .4%, 「団体規格 に適合 しない製品の

製造 は自由であるが,実際に団体規格 に適合 しない製品の製造 はほとん ど行なわれ

ていない 」33.8%, 「 会員が団体規格を遵守 しない場合 は制裁金等がある 」4 . 8% と

なっている

(18)

16 ' 4 商 学 討 究 第 44 巻 第 3 号

れ な い こ とに よ る不 利 益 が 最 も顕 著 に現 れ るの は, そ れ が 法 令 や行 政 庁 の行 為 と結 びつ い て い る場 合 ( 団 体 の 定 め る規 格 ・基 準 に適 合 して い る こ とが , 法 定 基 準 又 は行 政 庁 の 検 査 ・確 認 を ク リア ーす るた め の前 提 とな って い る場 合 ) で あ る と して 詳 細 に検 討 して い る

20)。

さ らに, 報 告 書 が , 今 後 の対 応 と して , 基 準 ・認 証 制 度 の 運 用 に お け る公 正 な手 続 の確 立 の 必 要 性

21

), お よ び規 格 ・ 基 準 が 技 術 の進 歩 , 需 要 者 の ニ ー ズ の変 化 等 に よ り時代 遅 れ に な り, 新 規 参 入 を 阻害 した り需 要 者 の利 益 を不 当 に害 す る こ とが な い よ うに, 規 格 ・基 準 の不 断 の見 直 しを行 な う こ との必 要 性 を指 摘 して い る点 が 注 目に値 す る。

19) 自主規格の認証が得 られない場合 の不利益 の程度 につ いて は , 「 事業上特段 の影響 はない」61 .9%,「 事業上多少不利 にな るが,事業 に支障を与 え る程 で はない」3 1 .3%,r 事業上著 しく不利 にな り,事業が困華 にな る 」6 .8% とな っている。

20 ) この点 に関す る実態調査 は次の とお りであ る。「 告示等 によ り団体規格 に適合す る ことが法令 に定 める基準 の要件 と して明示 されてい る 」7.7% , 「 実質上,団体規格 に適合すれば法令 に定 め る基準 を満 た して いると行政庁 か ら扱 われて い る」22. 1

%

,

「 官公庁の発注 に際 して は,仕様 によ り団体規格 の採用が事実上義務付 け られ ている̲ ‖; .2% , 「 特 に上 記のよ うな関係 はない」59.3%であ る ( 複数 回答 可) 。公 的規格 にかかわ って実際 に外国製品の参入の際に大 きな負担 とな った例 について,

ジュ リス ト座談会 ( 注 9)1 5‑ 16 貢参照。

2 1 ) ア ウ トサイ ダーに対す る開放性 の程度 に関 して,実態調査 は , 「開放 されてい る」

64.9%

,

「開放 されて いない」35 .1 % の結果 を示 して い る。開放 されて い る場合, 会員 とア ウ トサイダーの問で取 り扱 いにつ いて差があ るか どうか につ いて は , 「あ る」29.6%, 「ない」70. 4%であ る。差が あ る場合,具体 的 内容 は,手数料 の差が 大部分で,残 りは必要添付資料,データ等である

次いで,検査 ・認証の手続的な側面の調査結果 は次の とお りで ある。規格設定の 際 に会員以外 の者 の意見聴取 を行 な うか ど うか につ いて , 「原案作成 時 に会員以外 の者 の意見 を聴取す る場 を設 けてい る 」7 1 .9% , 「アウ トサイダーの意見 は聴取 さ.

れない」21.8% , 「消費者等ユ ーザーの意見 は聴取 されない」6.3% とな ってい る。

検査 ・認証等 の際の注意事項 について, 「 役員,検査員等の構成 は業界会員でない も のを当て るなど検査等の公正 な実施 に支障を及ぼすおそれのないよ うに してい る」

44.0%,「 検査等以外の業務 を行 な ってい る場合 には検査部門を独立 させ るな ど, 検査等が不公正 にな るおそれの ないよ うに して い る 」24.0%, 「 会員 とア ウ トサ イ ダーの問で,検査期間等 に不公平が生 じないよ うに注意 して い る」46.0%,「 検査 を受 ける側の業務上の秘密が ( 他の会員 に対 して も含 め)漏れないよ うに注意 して いる」48.0%,「 検査等の方法,判断基準をオープ ンに している」64.0%, 「その他」

8.0% とな っている ( 複数回答可) 0

(19)

( 3) 団体の 自主規制 ( 通常の団体 の場合)

ここでい う自主規制 とは, 種 々の観点か ら( 利用者の保護, 業界の信用向上, 社会公共への配慮 な ど)事業者 団体が行動基準 ( codesofconduct ) を定 め て運用す る行為であ る。 自主規制 は広範 に行われているが,最近 は規制緩和の 流れのなかで,公的規制の補完や代替 として,行政側が 自主規制を要請す る場 合 も多 い。 また, 自主規制が各種業法の中で法定 されている場合や,行政指導

を受 けて 自主規制が策定 され る場合 もある ( 以下 4( 1 ) ⑨参照)

22)

自主規制 は,社会 的に好 ま しい価値や 目的を実現す るなど合理的な側面 を有 しているが,他方で,構成事業者の種 々の活動 に一定の制限を課す ことになる ため,競争制限的な結果が もた らされ るおそれがある。前述の事業者団体 ガイ ドライ ンで は,「6 営業の種類,内容又 は方法 に関す る行為」が このよ うな 自主規制 に関連す る部分である。「 広告の制限 ( 6‑1) 」 ,「 営業 日又 は営業時 間の制限(6‑2) 」および「 営業 の種類,内容又 は方法の制 限 (6‑3) 」 は 「 違 反 となるおそれがあ るもの」に分類 され,構成事業者の競争手段を制限 し,か つ需要者の利益 を害す ることにな る場合 には,違反 ( 8 条 1 項 1 号, 4 号) と なるとされている。他方,「 社会公共‑の配慮等のための基準の設定 (6‑4) 」 および 「 虚偽 ・誇大 な表示 ・広告 を排除す るための 自主 的な基準の設定 ( 6‑

5 )」 は 「 原則 として違反 とな らない」行為 とされている。

報告書 もこの線 にそ って書かれてい る。す なわ ち次のよ うに述べてい る。

「 諸 々の社会公共‑の配慮のため,営業の種類,内容,方法等 に関す る自主規 制が行 われ る場合 には,社会公共への配慮等 自主規制 の合理 的な 目的 に照 し て,合理的範囲の内容か否か,需要者のサー ビスの選択の余地を狭 めることに よ り需要者の利益を不当に害 さないか,遵守を強制 していないか等を総合的に 検証 して判断す る必要がある。特 に社会的夫 踊 り が経済的規制 に転化す る場合が 考え られ るので, 目的のみでな く実態 に即 して判断す る必要が ある。 」会員 に

2 2 ) 団体 の 自主規制 という場合,広 くとらえれば,前述の規格 ・基準 に関す る事業者団

体の行為を も含み うる。報告書ではこの点が明 らかでないが,そこで例示 されてい

る具体例か ら判断す ると,主 として営業方法や内容 に関す る行動基準の設定および

その運用が想定 されていると思われ る。

(20)

166 商 学 討 究 第 44 巻 第 3 号

対 す る強制 は,認 め られ るべ きで は な い。ただ し,例 外 的 に 自主 規 制 の 内容 ( 警 察 的法規 の遵 守 ,反 社会 的行 為 の禁 止 ) に よ って は許 され る場 合 もあ る。

次 に報 告書 は,実 態調 査 か ら明 らか にな った 自主規 制 の類 型 ごとに独 占禁止 法上 の考 え方 を検討 して い る。具体 的 に は,( 1) 倫理 綱領 ,( 。) モデ ル約 款 ,( / , ) 広 告 ・宣 伝 , その他 ,( I) 商慣 行 ・取 引条 件 の改善 そ の他 , で あ る 2 3 )。 以 下 はそ の要 約 で あ る。

23 )営業の種類,内容又は方法等に関する自主基準に関す る実態調査の結果 は次のとお りである。自主基準の種類 は , 「 倫理綱領」 43.7% , 「 商慣行, 取引条件」24.9 % , 「モデ ル約款」1 6 .4%, 「 広告」1 5.0% , 「サー ビス内容」 l l . 3% , 「時短」8.9% , 「 経 営のデ ィスクロー ジャー」3.8% , 「その他 」40.4%である ( 複数回答可) 。種類 ご

との特徴は次の とお りである。

( 1) 「 倫理綱領」 で は「 業界の信用向上」 , 「 秩序維持」 , 「 消費者等ユーザーの保護」

等を目的 としているものが多 く,内容 は,法令の遵守,不正行為の防止,社会的 使命の達成,社会公共の秩序 に対す る配慮,品位 ・倫理性の保持,関係業界 との 協調等の業界の一般的抽象的な行動規範にとどまっているものが大部分である。

ただ し,倫理綱領 に違反 した場合,制裁す ることがあ りうるとす る団体が26. 7

%となっている。

( ロ) 「 商慣行 ・取 引条件」では , 「 公正な競争条件の設定」 , 「 業界の信用の向上」,

「 業界の秩序維持」等を目的 としているものが多 く,内容は,書面契約の推進, 取引にあたっての契約条件の明確化,返品 ・労務提供等の取引条件についての指 針等である。

(/i)

「モデル約款」では

,

「業界の信用の向上」

,

「消費者等ユーザーの保護」等を 目的としてお り,内容は,一般消費者等ユーザーを対象 として,契約の成立,履 行, 解除, 損害補償など, 契約の内容の雛型を定めたいわゆ るモデル約款である。

法律の規定 に塞 いてお こなわれることもある ( 運輸業種のモデル約款) 。一般消 費者等ユーザーを対象 とす るものに もかかわ らず , 「ユーザーの意見を聴いて調 整 したもの」は 3 1 . 4%にす ぎない。

( I ) 広告」で は , 業界の信用向上」 , 消費者等ユーザーの保護」 , 「 公正な競争 条件の設定」等を目的としてお り,内容は,商品内容 に関す る広告表示基準 とし ての,比較表現,優位性,不明確な表現等 について,消費者 に誤解を生 じさせな いように した り,品位を保つ広告を求めるもの等である。違反 に対す る制裁の可 能性を認めた団体 は37 . 0%である。 自主基準策定の際,「 需要者の意見を聴いて 調整を行なった もの」は,25%である。

「サー ビス内容」は,設備,製品等にかかわる取扱いのマニュアルやアフター サー ビスの内容等を定めたものが多い。

N 「時短」では,年間総労働時間や 4過 6 休制等を定めるもので,違反 に対する

制裁の可能性を認めた団体はなかった。

(21)

①倫理綱領。倫理綱領の場合 は原則的には競争制限的で はないが 2 4 ),一般 的抽象的な表現の倫理綱領を もとに,競争制限行為やアウ トサイダー排除が行 われる可能性がある。倫理綱領違反が団体‑の加入拒否や団体か らの除名理 由 とされている場合,競争者を排除す る目的で懇意的に用い られ ると独 占禁止法

( り 「 経営のディスクロージャー」 は,金融 ・保険業界が圧倒的に多 く,最低基準 を定め るものや,必要的開示事項 と任意的開示事項 に分けて実施 しているものが ある。

2 4 ) 毎年公正取引委員会事務局が公表す る相談事例か ら,実例をい くつか紹介す る。

① 消火器製造業者の団体の例 ( 昭和58) 0《 相談 の要 旨》消火器を ざまん的な方法 で訪問販売す る悪質業者の一掃をはか るために,㈹関係官公庁,消費者団体等か ら寄せ られた悪質業者 に関す る情報を会員 に通報 し,協力を要請す ること

,

r p) 会 員系列の全販売業者 を団体 に登録 させ ること,( / , ) 悪質業者 として団体が指定す る

ものについては出荷停止の措置を講 じなければな らない もの とす ること,等を内 容 とす る自主規制基準を設定す ることについて。

《回答の要 旨》悪質業者の一掃をはかるために自主規制基準を設定す ること自体は 特 に問題 はな く,またその内容 として机を決定す ることも問題 はない。ただ し, ( 。) ( , 〜 ) については,用 い方 によっては独 占禁止法上問題 となることも考え られ,( 1) で も十分その 目的を達成で きると考え られ るとして,差 し控え ることを提案 して いる ( 公正取引 4 0 5 号 1 8 頁) 0

② 賃金業者の団体の例 ( 昭和 59 )

0

《 相談の要 旨》サラ リーマ ン金融等を行 な う貸 金業者 を会員 とす る団体が,貸金業法の制定および主務官庁の通達 に応ず るた め,( j) 広告の表示内容の規制,誇大広告の禁止 を行な うことによ り広告の適正化 を図 ること,( 。) 貸 し付 け利率の引下 げ努力,無担保 ・無保障による貸付限度の規 制等を行な うことにより貸付の正常化を図 ること,( , 〜 ) 社会通念 の範囲を逸脱 した 取立て行為の禁止等を行 な うことによ り取 り立て行為の正常化を図 ること,を内 容 とす る自主規制基準 を設定 し,傘下会員 に遵守 させ ることについて。

《回答の要 旨〉 貸金業法及び同法の運用通達の趣 旨にそ って, 社会的批判の的 となっ ている高金利,過剰な貸付け,苛酷 な取 り立て等の問題の是正を図 るため, 自主 規制基準を設定す ることは,その内容が一般的,訓示的であ り,需要者の利益を 不当に害 さず,かつ会員にその遵守を強制 しないものであれば事業者団体 ガイ ド

ライ ンの原則 と して違反 とな らない 「 社会公共への配慮のための基準の設定

(6‑4 )に当 り特 に問題 はない ( 公正取引 4 2 0 号 4 7 貢) 0

③ 投資顧問業者の団体の例 ( 昭和6 2) 。《相談の要 旨〉投資顧問業法34 条の規定 に よる登録を受 けた業者を会員 と し,同法に基づ いて設立 された団体が,団体 とし て,投資顧問業界の健全な発展 と投資者の保護を図 るために,広告,勧誘の適正 化 についての 自主基準を作成す ることについて。

《回答の要 旨》②のケースと同様の理 由か ら,事業者団体ガイ ドライ ンの 「 社会公

共への配慮のための基準の設定 」(6‑4) に当 り特 に問題 はない ( 公正取引 4 5 4

号 7 6 頁) 。

(22)

16 8 商 学 討 究 第44巻 第 3号 上問題 となる。

②モデル約款。モデル約款の採用 は,利用者保護や業界の信用向上を 目的 と して採用されるものである。 しか しモデル約款 は,取引条件に係わるものであ るので,その利用 はあ くまで任意でなければな らない。内容に価格等の具体的 な取 引条件が含 まれてい る場合 には,独 占禁止法上 の問題 とな るおそれがあ る。またモデル約款の作成 には,利用者の意向が十分反映 されていることが必 要である。また,団体のモデル約款であった ものを参考 として法令上の標準約 款が定め られているケースがある ( 運送業種の約款) 。 この場合,標準約款 に よ らない場合 は個別の約款の届出制等を とっているが,行政庁 は,標準約款に よらない約款を一律に排除 しないような運用を行 うことに留意す る必要がある。

③広告 ・宣伝の制限。広告の方法 ( 広告の内容,広告媒体,広告回数等)に ついての制限は,競争手段を制限 し,かつ需要者の商品選択に必要 な情報を制 限す ることにより需要者の利益を害す るものであ り,独 占禁止法上問題 となる おそれがある。問題 とな らないのは,虚偽又は誇大な広告を排除 した り,社会 公共の配慮のために行われ るものであって,需要者の利益を不当に害 さない も のに限 られ る

④商慣行 ・取引条件の改善。団体が商慣行 ・取引条件の改善,流通の合理化

等のために会員 とその取引先 との問の取引条件の明確化や取引条件の指針等を

定めた り,取引先に対 し,取引慣行改善を要請す ることが多 くなっている。ま

た,社会公共への配慮や労働問題‑の対処 のための営業の内容 ・方法等に関す

る自主基準 ( たとえば,時短や環境問題 に対処す るための 自主基準)を設定す

ることもある

営業の内容 ・方法等の自主基準 については,競争手段を制限 し

た り,価格等の具体的な取引条件を統一す る場合 には独 占禁止法上問題 とな り

うる。一般的には,基準設定 目的の合理性,内容の合 目的性,需要者の利益の

確保,強制の有無等を総合的に勘案 して違反か否かを判断す ることになる。 と

くに, このよ うな自主規制 は,取引先 との力関係か ら,団体 としての取組みが

ないとその 目的の達成が困難 な場合があることや,取引慣行改善 は公正な競争

基盤を確保す る効果があることに注意す る必要がある

25) 。

参照

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