究
商 業 信 用 保 瞼
入 七 六 五 四 三 ニ ー
序論
商業信用危陰同避の諸方法
商業信用保瞼⁝成立の可能性
商業信用保瞼の歴史
商業信用保瞼の鰹螢形態
商業信用保陰の限定
危険の選掻
危瞼の分散
商業信用保瞼 椎名
幾
三
一
K 良
商學討究
九δ
二
三 第四巻(上)
潰害の填補
保瞼料率の制定
商業信用保瞼の数用
結語
二
費掛代金の同牧は内地の費買取引に於ても︑はπ又︑海外貿易に於ても︑商人の頭を常に拶まし
つ\ある極めて重要なる問題の一つである︒實に︑費掛金はしばしば貸倒れとなり︑責手πる商人
は︑其結果として︑破産の悲運に遭遇することさへあるのである︒されば︑掛費すること︑換言す
れば他人に商業信用を與ふること︑更に砕いて説明すれば︑商品を責渡しπる後︑多少の時日を経
過して︑はじめて代金を受取るべきことを條件とする費買契約は︑買手には極めて都合の好いこと
ではあるが︑之と反劉に責手には極めて危瞼なる取引なbと断ぜざるを得ないのである︒
然し乍ら︑もし商人にして此種の危瞼を恐れて掛費することを欲せずとせば︑彼は贋業するか︑
叉は内地の特殊なる小責齎人πるの地位に甘んずるよb外はないであらう︒されば︑普通の商人に
とつては︑其浩動の範園を損張するには勿論の之とであるが︑輩に之を維持する上に於ても︑掛費
は絶封的必要である︒,しかも︑此掛費の慣習たるや︑市場箏奪職の日に日に激甚を加へつ\ある今
日に於ては︑盆々普及し擾大されつ㌧あるのである︒
か\る事情の下に在る商人が常に貸倒れの危瞼よb免るべき方法を講じつ\あるは︑凌でとに理
の當然と言ふべきである︒然し乍ら︑從來行はれたる方法の多くは︑いつれも極めて不完全であつ
て︑商人に充分なる安全を保謹するものではない︒
鼓に於て︑我等は商人をして掛責の危瞼を免れしむる方法の探究に多大の興味を戚ぜざるを得な
いのである︒而して︑其結果︑我等は︑商業信用に保瞼制度を適用するを以て最良策なうとの蹄結
に到達しπのである︒
以下︑我等は︑從來の商人が掛責の危瞼から如何にして免れだるかを検し︑進むで商業信用保瞼
の経螢其他に關する諸問題を︑冒頭に掲げπる順序に從つて取扱つて行くつもゐである︒
二
前述せるが如く︑掛責せざれば商業を爲し得ず︑しかも掛費には貸倒れなる危瞼が伜ふ︒され
ば︑商人は夙に此危瞼を免れんが爲めの方法を講じπ︒其主なるものは左の如し︒
商業信用保瞼⁝三
商學討究第四巻(上)四
一︑買手の信用程度の調査︒
二︑信用状の請求︒
三︑手形の請負的割引(H)=O﹁O一﹁O"H)O一〇﹁OαO﹁⑰)叉は問屋経由の費却︒
今第一の方法を見るに︑其重要なる乙と論を侯π澱︒商人たる者は一日と錐も︑買手の信用程度
を忘れてはなら諏︒而して︑現時の商人に封して種々の機關例へば興信所・銀行・領事・商務官等
の如きものが取引先の信用に關する知識の供給に役立つてゐる︒然し乍ら︑此等の調査が如何に完
全であつても︑掛倒れの危瞼を絶封的に排斥し得ない︒何故なれば︑不測の事愛例へば︑地震・暴
動・火災・凶作︒職宰6ストライキの如きものは︑取引先を一朝にして︑破・産せしむるかも知れな
いからである︒されば︑信用調査は掛倒れの危瞼同避上︑極めて重要ではあるが︑之のみにては︑
未だ以て︑完全なbとは稻し得ない乙とを首肯すべきであらう︒
次に第二の方法は主として︑輸出業者の實行しつ\ある方法でみる︒此の方法に於ては買手から
銀行振出の信用状を責手が受取るのであるから銀行に商品を責渡したと同じ程度に︑代金の同牧は
確實であつて︑掛倒れの危瞼は絶無と言つてもよい︒然し乍ら︑責手の信用状請求に慮じうる商人
には限うがある︒まπ︑か\る商人には比較的廉憤に商品を責渡さねばなら楓︒されば︑販路を擬
張し︑競璽場裡に活躍せんと欲する商人は信用状の請求に慮じ得る商人のみを相手としてはならな
いのである︒
最後の方法は即ち手形の請負的割引叉は問屋経由の責却であるが︑前者は廣く欧米に於て︑後者
は我國に於て行はる\︒
手形の請負的割引とは︑商品の費主が買主宛に振出せる爲替手形を割引するに當う其手形の不履
行の危瞼を銀行自ら負憺することである︒此方法によつて費主は掛倒れの危瞼から免れ︑確實に代
金を同牧しうること\なる︒さう乍ら︑銀行が此種の割引を爲すに當つては︑極めて愼重である︒
即ち︑多藪の手形は請負的割引を拒絶せらる︑か︑若くは極めて高率の割引料を課せらる\︒而し
て︑.銀行が︑かくの如く愼重なるは當然である︒何故なれば︑銀行は極めて︑多数の商業信用危瞼
を蒐集するを得ず︑從つて︑危瞼の分割を行ふ能はざるが故である︒世人は︑銀行の請負的割引制
度は商業信用保瞼を加味せる制度なうと論ずる︒正に然う︒然し乍ら前述の如く︑多数の信用危瞼
を蒐集するを得ざる黙は︑濁立せる商業信用保瞼の制度の効用に遠く及ばざる所なうと言はねばな
らない︒のみならず︑請負的割引は銀行業務の一部分を占むるに過ぎざるが故に︑其割引料率の決
定について妻當なる基礎を有せざるの欠陥を有する之と多きを認めざるを得ない︒
商業信用保瞼五
商學討究第四巻(上)六
.なほ︑我國に於ける問屋経由の責買は︑普通に工業家の用ふる手段なれども︑問屋は掛倒れの危
瞼を自ら負憺する代うに︑自己の買入値段の低廉を要求する︒從つて工業家の自らする浩費者叉は
小費商への費値と問屋への責値との開きの一部分は︑たしかに信用保瞼料たる性質を有するこ\と
なる︒世人︑若し問屋は商業信用の保瞼をも螢む者なりと断ずれば︑筆者も亦之に賛意を表するで
あら5︒然し乍ら︑問屋の螢む商業信用保瞼業は︑彼等には副業である︒其保瞼料傘は一般に甚し
く高債なるは︑人の知る所の如くである︒實に問屋は︑生産者に一丈の利盆も與へぎる程の安値を
以て︑買入を爲すことも︑少くないのである︒しかも︑其料率の妻當適切ならざることあるも︑問
屋を批難すべきではない︒何故なれば︑問屋は到底極めて多藪の商業信用危瞼を蒐集すること能は
ざるが故である︒
以上略述せる所に依つて︑商業信用危瞼同避の諸種の方法は何れも︑有効であり必要ではある
が︑未だ以て︑甚だ不完全であることを明にし得πと思ふ︒此等の諸種の方注を補ひ又は︑之等の
あるものに代つて︑よb完全に商業信用の危瞼を排除する合理的方法なきか︒私は︑すでに述べπ
るが如く︑濁立せる商業信用保瞼制度は正にそれであると答へる︒而して︑次節に於て︑商業信用
危瞼は︑果して保瞼し得べきかを尋ねやうと思ふ︒
≡
保瞼に關する著作の大多歎は保瞼可能の範圃なる題下に︑如何なる危瞼は保瞼せられ得るかを論
じてゐる︒而して︑それらの論説は極めて有盆にして興味多きものではある︒然し乍ら︑私は一々
それらを引用して吟味し︑以て讃者を煩すことを避ける︒そして︑π思此等の論述に於ける共通な
る主張と思はれ︑且つ私の賛意を表するもの\みを説述するに止める︒
多数の著者の意見によれば︑ある種の,危瞼が多数の人について登生する可能性があう︑且っ其損
害の程度が豫測せられ得べきときは︑乙の種の危瞼は保瞼せられ得るのである︒然らば商業信用危
瞼は︑か\る性質を有するであらうか︒
思ふに︑商業信用危瞼が多藪人について登生する可能性あること︑即ち保険可能の第一條件を具
へてゐることについては︑現在之を疑ふ者はあるまい︒然らば第二の條件については如何︒換言す
れば商業信用危瞼の惹起する損害の程度は豫測しうべきか︒私はそれに答ふるに先つて︑損害の程
度の豫測とは何を意味するかを尋ねなければなら糠︒
抑々保瞼技術に於て︑損害の程度の豫測の可能とは︑損害額そのもの\豫想が的中する込とを意
商業信用保険七
商學討究第四巻(上)八
味する竜のではない︒それは︑被保瞼利盆の全額を分母とし︑損害総額を分子として算出したる割
合ーーバーセンテージー1が年々大し泥壇減愛化な黛ことを意味するに過ぎないのである︒砕いて
言へば︑過去何年間の統計を某礎として︑算出しπる各年度のパーセンテ1ジが︑ほ望相同じなる
乏き將・來に於て竜亦︑ほ讐相同じなるべしと推測せられ︑かくて損害の程度の豫測が可能となるの
である︒然るに損害程度の豫測は︑危瞼が如何なる程度の損害を惹起するかを豫測するものなるを
以て︑我等は之を危瞼の評慣とも稽し得べきである︒
さて︑然らば︑商業信用危瞼は︑右の意味に於ける評慣に適するものであらうか︒私は思ふ︑統
計技術の登達せること︑現代の如きに於ては︑此種の危瞼は評債し得べしと︒さう乍ら︑而して遺
憾な乙とではあるが︑我國に於ては︑未だ此種の評領の實施せられだる乙とを聞か澱︒然るに︑評
憤の實例はヲランス及び米國に於て之を見る︒聯か繁雑ではあるが滲考の爲めに︑フランスの例を
略述するであらう︒蓋し︑之なくしては︑商業信用危瞼の保瞼は有敷に行ふ能はず︑換言すれば適
當にして公正なる保瞼料を算出し得ざるが故である︒
フランスに於ける危瞼の評慣は︑ンランス銀行の貸借野照表︑バリの交換所の報告︑勢働省の年
報︑商務省及び司法省の年鑑及び商業登記所の供給せる統計其他の書類の力を借りて︑フラシス全
0 國に封して行はれπる竜のである︒
而して︑其計算を正確ならしむる爲め︑卒時に於ける相當永い期間︑即ち一九〇〇年から一九戸
三年懐でに亙る期間について評領を行つだのである︒職孚の期間は除外されだ︒また一九一九年及
び一九二〇年にはモラトリアムや妻協的精算があつたので︑,之等の年は除外された︒更に︑一九二
二年及び一九二三年に封する統計は不完全であう︑一九二四年の統計は未磯表な釦しを以て︑此等
の年も除かれπ︒
從つて︑評慣は前述せるが如く︑一九〇〇年から一九=二年懐での期間について行はれπのであ,
る︒而して︑其結果年々の掛費高及び損害額を示す藪字は異つてはゐるが︑我等の求めつ\ある割
●合は甚だしく近似せることが登見されπのである︒
今︑一九一二年と一九=二年だけについて藪字と結果を示せば左の如くであるーt
し一九=一年度
破産鍛九︑五二二
家資分⁝散四︑山ハ山ハ○
蓋 墨 縫 垂 蕩
商業信用保陰先