第
3
章 サハ リンの住宅産業商学科 小 田 福男
第
1
節 不振続 きの住宅建設実績この節では,1
997年夏のサ‑ リン現地調査に よって収集 した統計資料その他 に基づいて
サハ リンの住宅建設実績 とそれ に関連す る様 々な事情 を検討す る。まずサハ リン経済の基本的諸指標 を見てみ よ う。恥 l)ン州の域 内総生産高指標 は,対前年比 率で
1 995
年が76.6 %,1 996
年が同95.8 %
で 「下げ止ま り」の傾 向を見せたが,1997
年1‑5
月期では87. 4 %
で下げ幅がまた大 きくなっている。他方,工業生産物指標 は,1995
年は前年 を 上回ったが,1996年は前年 を下回って しまった。しか し ,1 997年上半期は前年水準をわずか
に下回るまで にな った。設備投資指標 は,一貫 して低 下 してい る。この よ うに,サ‑ リン経 済 は経済体制移行 に ともな う混乱か らまだ抜 けきれずにいる。さて,住宅建設竣工高指標であるが,基本的諸指標 と同様に良 くないが特 に
9 6
年,97年上 半期は前年同期の半分前後に低 下 しているQ実際高で見て も96年は 6.3
万m2,97年上半
期は1 .3
万m2で極端 に不振であるO表 トサハ リン経済の基本的指標 (対前年同期比%)
1 995
年1 996
年1 997
年上半期 域 内総生産高76.6 95. 8 87.4( *1 )
工業生産物
1 08. 8 86.2 98. 2
設備投資
91 .9 72,3 73. 9
住宅建設竣工高
92.7 45.3 57. 0
( * 1 )1 997
年1
月〜5月の数値。( *2)
この行は住宅建設竣工の実際面積 を示す。出典:サハリン州統計局資料
次に,住宅の所有形態別 の比率を見る と,表
2
のよ うである。表
2
‑所有形態別住宅分類 (%)住宅の種類
1 995
年1 996
年私有
24.9 3 0.0
国有
1 6.5 1 6.5
自治体所有
5 6.4 51 .9
出典 :サハル州統計局資料
1 9 95
年か ら1 996
年 にかけて,私有住宅の比率が5
ポイン ト増加 し,自治体所有住宅が減少 している。そ して,サハ リンでは1 99 6年現在,
住宅の約3割が私有住宅である。これは,
公有 住宅の私有化 ・払い下げ政策 の結 果であ り,他方では個人が 自分 の住宅を建築 した ことの結 果で もあると思われ る。次に,表 にはないがサ/,rJン州の全住宅面積は,1
9 9 6
年末現在で11 6
4万m2である。またサハ リ ンでの‑人当た りの住宅面積は,19 85
年で1 4.1
m2,その後若干増加 し,1 995
年が1 7 . 6m2
,1 996
年が1 7 . 8
m2である。従 って,4
人家族では平均 して 71m2になる。日本では『建設 白書 (平 成9
年版)
』 によると,1
住宅当た りの延べ床面積 は91 . 9
m2である(その内,持ち家の場合は1 22.1
m2,借家の場合は45.1
mBになっている)。日本 と比較す るとサハ1)Jの一人当た り住宅面積 は現在 の ところまだかな り狭い といえる。それ では,サハ町の都 市部の住宅環境 ない し住宅条件 は どの程度整備 され てい るで あろ う か。表
3
を見ると,上 ・下水道,暖房,風 呂(シャワー)はかな り整備 されていることがわか る。表
3
一都市住宅環境 (市民の個人所有住宅を含まない)( %) 1 99 5
年1 9 96
年上水道
7 8. 8 90. 8
下水道
7 4. 2 86.1
集 中暖房
7 2. 8 83. 4
風 呂(シャワー)
6 4. 4 7 6. 2
ガス
1 3 . 0 1 3 . 4
出典 :サハlJy州統計局資料
‑ 〜
前述 のよ うに,1
99 6
年 の住宅建設は非常に不振であ り,その竣工高は約6
万2 6 00
m2であ り, ぞれは前年の半分以下であった。その内容 を詳 しく示 してい るのが表4
である。表
4 ‑1 99 6
年の住宅建設竣工高m
2 対前年比%合計
625 93 45 .3
連邦所有住宅
5 74 6 4 8.7
自治体所有住宅
955 4 1 7.5
私有住宅
1 4 643 82.5
その内 個人所有住宅
1 23 63 1 2 6. 9
外資参加 な しの混合所有住宅1 677 5 3 8.1
出典 :サハT)y州統計局資料
1 996年 は全般 的に住宅建設が減少 してい るが,
特 に州や 自治体の住宅建設が不振で あっ た。前年 の2
割前後 しかなかったD唯一個人所有の住宅建設が前年 と比 して約27 %
伸びてい る のは注 目すべきである。建設 された住宅戸数 を見てみると
,1 995
年 で21 64
戸,199 6
年で898
戸である。その内,住民 による個人所有住宅の建設についてみ ると,1 99 5
年が88
戸,19 96
年で1 00
戸である。1戸 当 た りの平均面積 は,19 95
年で63 . 8
m2 ,1 996
年で6 9.7
m2である。その内,199 6
年 に建設 された 個人所有住宅の平均面積 は1 23. 6
m2である。 日本の場合,『建設 白書 (平成9
年版)』 によれ ば平成8年の新設住宅着工床面積 は,一戸当た り平均で 9 6. 3
m2であ り,その うち持 ち家が1 41 . 0m2
,貸家が5 3. 0m2
,分譲住宅が93 .1
m2となっている。従 って,1996
年にサハT))で建設 さ れ た個人所有住宅 の面積 は,日本 の持 ち家住宅には及 ばない もののかな り広い面積 にな っ ているC前述の よ うに
,1 99 6年の住宅建設が不振であるので,それ に関連す る建設資材 工業の生産
実績 もかな り落 ち込んでい る。その若干の例を表5
で示す。表
5 ‑
建設資材工業の生産実績1 9 95
年1 9 96
年 鉄筋 コンク リー ト製品 (千立方iニ)4 0. 6 1 4.3
建築用 レンガ (基準 レンガで1 0 0
万個)0.1
壁材 (基準 レンガで
1 00
万個)1 0.3 4. 2
出典 :サハリン州統計局資料また,産業部門別の設備投資の比率を示 してい るのが表
6
である。設備投資全体の うちの住〜
宅建設部門の比率は
1 996年 には大幅に低下 してい る。設備投資か ら見て も住宅建設部門は
不振である。表
6 ‑
産業部門別の設備投資 (%)1 9 95
年1 9 96
年 設備投資 計 ':1 00 1 0 0
工業
41 .3 43. 4
農業
6.1 6. 0
林業
0.2 0.1
輸送
20. 4 2 4. 0
通信
2. 0 4. 8
商業 .外食 .資材機
械補給 .販売
‑ 1 .2
住宅建設
1 7 . 8 8. 9
生活公共事業建設6. 2 4. 9
出典 :サハ1)y州統計局資料住宅 の私有化 についてみてみ る と,サハ リン州全体 と して 1 995 年 で 1 3 291 戸 ,1 996 年 で 83 05 戸 が私有化 され た。住宅の私有化 開始以後の累積数 は 7 251 9 戸で ある。これ は私有化 が 予定 され てい る住 宅数 の 3 割強 に 当た るO従 って これ か らも住宅の私有化 は引 き続いて行 わ れ る 。1 99 6 年 に私有化 され た住 宅 し っ 1戸 当た りの面積 は , 46. 44 m2 /戸であ り,ユシ 寸 ル 、 1 ) yスク市 で は州 全体 よ り若 干狭 く 4 5 . 8 7 m 2 /戸 にな ってい るD
表 7‑ 住 宅の私 有化
」 私 有 化 の 累 1 995 年 の 1 99 6 年 の
1 9 96 年 の私有 化 面積 ( 千m2 ) 州全体 ̀7 251 9 1 3 291 83 05 3 85 .7
出典 : サハル州統計局資料
次 に,主 要地域別 の住 宅建 設竣 工高 を見てみ よ う。表 8 を見 る限 り,住宅建 設 の面 での大 陸棚 開発 の効 果 はサハ リン北部 の開発現場 で あるオハ地 区
,げ T ) キ地 区で まだ現れ てい ない よ うだQ
表 8‑ 主要地域別住 宅建設竣工高 ( m2 ) 1 995 年 1 99 6 年
州全体 1 3 8031 6 25 93
ユシ÷ノ サハリ ンスク市 77 684 31 57 2
オハ地 区 47 8 9 2 47 4
出典 : サハリ ン州統計局資料
ただ し,表 9 に見 られ るよ うに,設備 投資一般 で見 る とこの両地 区は活発 な投 資が行 われ てい るOそ してユシリサハT J Jスク市 を含 めた 3 地域が主要 な設備 投資地域 で,これ ら以外 の地域 で の設備 投資額 は 1桁少 ない。
表 9 ‑主要地域別設備投資額 ( 実際価格で, 単位 は 1 00
万ルーブル)1 9 95 年 1 996 年
州全体 1 5 242 07. 9 1 69 03 03. 0 ユシ寸ノ サハリ /スク市 2 82 498. 9 23 45 84.5 オハ地 区 31 91 97.3 3 831 74. 4
出典 : サハル州統計局資料
次 に,部門収益性 の観 点か ら見 た建設部 門の特徴 をサハリン州統計局 の資料 か ら明 らか に し よ う。1)、リン州統計局は
1 996
年の収益性 について,州 内の色 々な産業部 門に属す る307
企業 を 調査 したOその結果 を見 る と,2449
億ルーブル余 りの赤字であったO黒字企 業 と赤字企業の 比 率 は,1 28
企業( 41 .7 %)
が 黒字 で,1 7 9
企業( 58.3 %)
が赤字 で あ った。ちなみ に,1 995
年は21 57
億ルーブルあま りの黒字で あったCつ ま り1 995
年か ら1 996
年にか けてサハ リンの企業 の収益性 が大 きく悪化 した。この点か らも1 996
年のサ‑ リン経済が きわめて不振であった ことがわか る。建設部 門を詳 しく見てみ ると,調査 され た
42
の建設企業の うち, 27
企業( 64.3 %)
が黒字 で あ り,1 5
企業( 35.7 %)
が赤字であった04 2
企業全体 として, 248
億ルー ブ/レの利潤 をあげてい たO前年の1 9 95
年 は,555
億ルー ブルの利潤 をあげたので,1 996
年 の収益性水準は大 き く低 下 した ことになる( 1 995
年 と比 して1 996
年 の利潤 は4 4.7 %)
。それ で も,サハ リン州経済の 中 で建 設部 門は,燃料エネル ギー部 門 (特 に石油採 取部 門)と並んで収 益 をあげてい る部 門で ある。ちなみ に,調査対象企業3 07
が1 996
年 に計上 した利潤額が合計653 6
億ルーブルで あ ったが,その内65 %( 4257
億ルー ブ′レ)は,実に1
つの石油採取企業 に よって獲得 され てい る。第
2
節 増大が見込まれる住宅建設需要前述 の よ うに,サハリンにお ける建設業の昨年
( 1 997
年)上半期の状況1は,1 996
年 に引 き続 き, 生産低 下傾 向にあるOその原 因は,資金 の流れの停 滞,支払遅延,資金 不足 にあるOさらにサハリンの企 業 の低調な投資活動,行政 の予算不足 も大 きく作用 してい る
。97
年上半期 の住宅建 設 実績 は,1 2,9 00
m2であ り,それは前年 同期比 で43%
低下 してい るO支払遅延 につLi、て見 る と, 建設 ・組 立の分野で97
年上半期 に実施 され た仕事 に対 してその4 8%
しか適時 に代金が支払 わ れ ていない。また,政府 レべ /レで も支払遅延 が見 られ る。モ スク ワの ロシア財務省 は,1 996
年 に実施 された仕事 に対 して支払 うべき449
億 ルーブ/レを97
年夏の時点で まだ支払 っていな い。さらに,97
年上半期 に連邦予算か ら配分 され るはず の資金がサハリンに予定通 りには送付 さ れず,連邦プ ログラムはわず か1 93
億ルー ブル分 しか実行 され ていないe以上 の よ うに,サハ リンの住宅建 設部 門は低迷 を脱す ることがで きず,どん底 の状態 にあ るが,他方 では,今後の住宅建設 の発展 を期待 させ る,以下の よ うなプ ラン もでて きてい る。
ED 連邦プ ログラム 「マイホーム推進 プラン」:このプ ログラムはサハリノの住宅建設部 門に とって 「生き残 り」のた めの条件 の一つ と評価 され,協同組合 「トへ1
1)
」を中心 と したメ‑ヘ〜リグ】サハリン州建設局関係者 か らの情報。 なお,その関係者 は州建設業界の今後 の課題 と して次 の 点 を指摘 して い る。作業の質 を高め,新 しい資材,製品,構造,技術 を開発 し,契約条件 をき ち ん と守 り,健全な財務 的状態 を維 持 し(運転資金 を確保 し),外 国企業 と思 い切 って接触す る 必要が ある。総 じて,今 日の よ うな危機 的状況 の中では建設業界 の一致協力体制が不可欠 で ある。
ループが これ の実現のために努力 している。
② サハ リンプ ロジェク ト関連 の住宅建設 ;サハ1)yエナ ジー社発 注の住宅建設 (サハリン
」2)
で,サハル企業「
スフェ‑ラ」がアメ リカ企業 と協力 して落札 した。そ して これは既 に実際に建設作 業が始 まってい る。③
「
スフェーラ」は これ以外 に,国家住宅取得権証書の所有者 (国家が住宅 を供給す ること を約束 した市民)に住宅 を供給す るための国家発 注を順調 に遂行 してい る。国家は既 に1 30
億ルーブ′レを この 目的のために支出 した し,更に200
億ルーブルを支出す る予定である。④ カナ ダ政府の融資
( 32 60
万 ドル)によるサハ リン北部震 災被 災者用耐震住宅建設 (北部地域 に400
戸,南部地域に400
戸)プランが実施 されつつある。これ らについて次節以下で詳 しく検討す ることにす る。
なお,サハルの住宅 をふ くむ建設業では,いわゆる「サハルストロイ」(直訳す る と「サハリン建設」)が 中 心的役割 を果た してきた。この組織は,第
2次世界大戦後の 1 947
年 に州建設 ・組立 トラス ト「サ′、1)yストロイ」と して設置 され た。その後,様 々な組織改編 を経 て,現在 は公 開株 式会社 になっ てい る。それの株 主になってい るのは,以前の傘下の組織 ・機 関,企業や新たに創設 された企 業である。例 えば,上述 の
「
スフ
ェう
」(正確 には建設 ・商業有限会社 「スフェう」)
,部門間生産協 同組 合 「メFへ÷T J
」,建設 ・商業企業「クヾけタ寸
」(この企業は,株 式会社 「み ちの くリース」が建設発 注 し てい る ビルの建設 に参加 してい る),公開型株式会社「 K PD‑1 20
」が株主になっている。2
第
3
節r マイホーム推進プラン」; 現代的戸建て住宅普及プラン
今 日の ロシアでは ソ連時代か らの住宅 に関す る基本政策が変更 され た。それ は,公有 ・公 営住宅 中心か ら私有住宅推進政策‑の変化 であるC公有住宅がその居住者 に払 い下げ られ, 私有 の個人住宅建設が奨励 され てい るCそれ を具体化す る政策 の一つが,ここで取 り上 げる
「マイホーム推進 プラン」である。これは ロシア国民の住宅条件 を質,量 ともに大幅 に改善す る構想である。
1 996
年6
月27日付 ロシア連邦政府決定第 753
号で, ロシア連邦のマイホ ーム普及計画が決定 されたoその骨子は次のよ うである。1)戸建て住宅建設の割合の引き上げ ;ロシアの全地域で住宅建設の
3
分の 1が戸建て住 宅 になるよ うにす る。 また一部の地域では半分にす る。ちなみ に現在,サハ リンでは戸建 て 住宅の割合は1 6%
ぐらいになってい る。2)
軽量化,高断熱化 ;木質お よび肉薄金属か らなる軽量建築構造材,効率的な断熱材 の生 産を3 ‑4
倍増加す ること。3)
低価格の大衆 向け住宅の建設; 2000年 には,
建設 され る戸建て住宅の80%
以上は価格的2
「メ‑へやr J
」の コン社長によれば,サハ リン南部 には主な住宅建設 メーカーが5
社ある。その内「メ‑ヘ11)」のみが木質パネ ル住宅を手が けてお り,その他 のメーカーは コンク リー トパネル住 宅 を手がけてい る。
に手頃な大衆向け住宅にすることoq,、ル州行政府 当局は,住宅
1
m2当た りの価格を平均月収 の2
ケ月分( 1 8 0
万ルーブル)以内に引き下げることを 目標 としている。もし1 0 0
m2の住宅を 取得す るとす る と,その価格 の目標 は月収の2 0 0
倍,年収の1 6. 7
倍になる(夫婦共働 きの家 庭の場合はその家庭の収入の約8
年分になる)。日本 と比較す ると,この 目標数値 自体 まだか な り高額である。しか し,現在のサハ リンでの実際住宅建設 コス トは概算で, 4 2 0
万ルー ブル/
m2である.ロシア全体の平均 コス トは240 ‑260
万ルーブル/
m2で,サハ リンは ロシアの 平均 より大きく上回っている。要す るに,サハ リンで 目標 コス トを達成す るには現在の コストを半分以下に引き下げる必要がある。
つ ま り,このプランの 目標 は,従来 の集合住宅一辺倒 か ら戸建て住宅の奨励,住宅の技術 水準の向上,大衆向け低価格住宅の大量供給であるOそ して この 「マイホーム推進プラン」実 施の第
1
段階である1 9 97
年 には,連邦 予算の資金が ロシア全体で3 兆 2 0 0 0
億ルーブル投入 され る予定である。しか し,
『ソビェツ上すハ1) y J ]1 9 9 7 / 3 / 2 7
付の記事によると,1 9 9 7
年の実際の 予算配分では,この「マイホーム推進 プラン」のために ロシア全体で4 0 0 0
億ルーブルのみが 割 り当て られ,サ‑ リン州には3 9 0
億ルーブルが配分 されたO次に,サハ リンで この 「マイホーム推進 プラン」が どの よ うに具体化 されているのか を見 てみ よ う。前述の よ うに,これはメ‑ヘ11リグループに よるモデル戸建住宅 団地建設プ ラン と し て具体化 されつつある。つま りこのモデル戸建住宅団地建設プランは,連邦計画 「マイホー ム推進プラン」のサハ リン州での具体化の第
1
段階( 1 9 9 6
年‑1 9 9 8
年)の措置 として構想 さ れてい るCこの構想 の概要は以下のよ うである。
1) 住宅地の造成
ユシリサハl)ンスク市の 「ジーマ」地区の第
6, 7
住宅建設区( 2 8
㌶)に生活インフラを整備 した住 宅地を造成す るOその生活イ ンフラ整備 のためにサハ リン州 とユシ÷ノサハl)/スク市の予算 を1 9 9 6
年末までに4 0
億ルーブル以上支出す る予定であるo周知のよ うに,カ÷ノサハ]))スク市においては 熱,電気,下水処理等の生活インフラ整備が遅れてい る。このモデル住宅団地ではそ うした 生活イ ンフラ整備 の今後のあるべき姿が示 され る。基本的考え方 としては,従来の集 中的イ ンフラ整備方式は当初投資支出が巨大にな り,維持管理 コス トもかな りかか るため非効率 であると評価 され,このモデル地域では原則的には非集 中的方式が採用 され る。2)
現代的パネル住宅建設この住宅団地にさしあた り
,4 7
戸のプ レハブ(工業化)木質パネル住宅を建設す る。そ して, この住宅団地を今後のサハ リンでの模範 となるべ き住宅の展示 ゾーンにす るC(サハ リンの 住宅の現代化‑
「サハ リンの家」の開発)現代 の住宅は,充実 した機能,快適な居住性が求め られてい るoまた,耐震性 の向上,建物 重量の引き下げ(地震の際 また輸送 コス トの面で有利である),断熱性 向上が求め られ る..
サハ1)
/
州では,住宅条件 を改善す る必要のある人は約21
万4
千人いる。州人 口の約3
分の1
に当た る。 伝統的な,大型パネルを使 った集合住宅の価格は,建設場所によって異なるが, 概 して 1m2当た り6 5 0
万ルーブ/レ(約1 1 0 0
ドル)である。これでは市民が購入す るには高すざるo住 宅建 設 の コス トを引 き下 げる必要が あるO それ は前述 の よ うに この 「 マイ ホー ム推 進 プ ラン」の重要 な課題 の一つで あ る。 なお , 「 マイ ホー ム推進 プ ラン」 に関連 して,1 997 年 には住宅 を建設す る住 民のた めの長期 ロー ン制度 が作 られ る予定で ある。返済期 間は,1 0 年 か ら 25 年 を予定 してい る。そのために,州 の資金や連邦資金が振 り向け られ る。
既 にメ ーヘ1)グル ー プで は行政諸招 関か らの各種 の認 可を得 てい るので,住宅建設 が可能 で あ る。また,現代的諸基準 を ク リアす る住宅の設計 を終 えてい る。そ の 1 0分の 1模型 も完成 してい る。そ してメ ーヘ寸リグルー プで は,当面 この よ うなパネ ル住宅 を製造す る 自社 能力 を年 産 1 50 戸に拡 充す るこ とをめ ざ してい る。
そ こで,卜J ( l f )グルー プが考 えてい るモデルパネル住宅 の技術 的概 要 を紹介 しよ う。まず, サハ リン南部 の 自然条件 を前提 と して,それ に耐 えるよ うな技術 的基準 を設定 してい る。
*自然条件 の基準
*企 画 され た基本モデル住宅 (4LDKの 2階建 て)の技術 ・ 経済的指標
4総 面積 居住面積 建築 面積 建築容積
総 面積 に対す る居住面積 の比率 総 面積 に対す る建築容積 の比率 住 宅建 設 の予定総価格 ( 1 戸 当た り)
11 4.25
m2 69.36
m273.52
m2 37 0.1
立法に0.61 3. 24 4
億1 264 万プ レデル
( 当時の換算 レー ト1ドル=451 5 ノ トデルで 91 ,3 93 ドル) 総 面積 1 m2 当た りの価格 3 61 . 2万J ト 7 ㌦レ ( 同, 800 ドル)
年 間予定生産戸数 1 50 戸
3
佐 々木透氏 ( 鹿 島 ( 樵)技術研 究所)に よる と ,1 958 年 に油 田開発 の必要性 か らこの最大予想 震度がそれ までの 7 か ら6 に引き下げ られ た。6 に引き下げ る とい うこ とは事 実上,耐震設 計 を必 要 と しない とい うこ とを意 味す る。その後,1 964年 に発 生 した ノク
÷リキ地震 に よって被 害 を受 けた後,再度 7 に戻 した。(『平成 7 年サハ リン北部地震 とその被害 の調査研 究』研 究代 表者 ・ 笠原稔,平成 8 年 3 月)
4
住宅 の種類 と しては,基本モデル以外 に 3部屋 の 2階建 て住宅,2部屋 の平屋住宅,その他,
様 々なバ リア ン トの住 宅が設計 され てい る。これ らは,都 市お よび都 市近郊で の住 宅建 設 を
前提 と してい る。
*基本モデル住宅の仕様
共通 リビングルー ム 1部屋 (キ ッチン・食堂への通路付 き)
3
寝室 と1
子供部屋キ ッチン・食 堂 (ガ ラス張 りの廊 下を通 じて他 の区域 に出る出 口付 き) 衛 生施設 (トイ レ,浴室等)
複数 の作 りつけロッカー 物置
ガ ラス張 りの廊下
*住宅 の構造特性
6. 0*3.2* 2. 8
㍍ (軸距離)と3. 6 *3,2*3.0
㍍のパネルブ ロックが基本構造単位 になるO 基礎 ;積み上 げ柱状鉄筋 コンク リー ト,基礎 の深 さは凍上深度 よ り深い。腰壁 ;積み上 げ鉄筋 コンク リー ト,幅は
200
mm,内側 に断熱材 (鉱質綿=ミネ ラ′レウール)を入 れ るD壁 ;集成木質パネル,厚 さは
1 5 0
mm,断熱材 は1 00 k g /
立方 メー トルの鉱質綿 あるいは発泡 ポ リスチ ロール,発泡ポ リウレタン。パネルは工場 で作 られ る。仕切壁 ;木質ボー ドを利用す る。
床 ;厚 さ
29
mmの木材 を使 い,根太木 としては断面5 0*1 5 0
mmの木材 を使 う。屋根 ;切妻型 の屋根,板 張 りの桁組。
屋根葺 き材 :亜鉛 メ ッキ鋼板,発泡ポ リウレタン(断熱材)を利用す る。厚 さ
25
mmの木板 で野 地板 を張 る。外装 ;形 削 りされ た木板 を使 うo \
内装 ;
同。
窓 ;国家規格 に合致 した
3
層 ガラス張 り。ドア‑ ;国家規格 に合致 した木質 ドア。. 玄関 :金属製ない し木製 の玄関。
耐震措置 ‥壁 の水平的振動 対策 として,パネルの下部 を鉄筋 コンク リー ト腰壁 に
1
㍍お きに アンカーボル トで固定す る。天井 は硬質ボー ドで葺かれ,断面=5 *5 0
mm,長 さ=250
mmの金 属製 コーナー によって壁 と固定 され る。屋根 の桁組 は直径4
mⅢの針金4
本 をよ りあわせ た ワイ ア‑ ロー プで,壁 か らでてい る鬼 ボル トに固定す る。さ らに桁組 は,断面‑50*1 50
叫 長 さ‑400
mmの結合木材 を利用 して釘打 ちによって壁 と結合 され る。腐食防止措置 :
1
階 と2
階の間の天井 には,隙間か らの換気 を確保す るためにス リッ トのあ る幅木 が使 われ る。屋根 の天井,床 の全て の木質部材 は基 準 に従 って腐敗 防止剤 が注入 され るC55「メ‑ヘ÷1)」グループの内部資料 に よるO
*生活イ ンフラの整備 計画
上水道 は,従来 と同様 に集 中的に供給す る○
生活排 水 の処理 のために,戸別ない し集 団的な浄化槽 を設置す る○
暖房及 び温水供給 は,ガスない し‑5‑油 を利用す る.戸別 ボイ ラー を設置す るO
電気 は,従来の集 中的供給 を利用す るが,場合 によっては独 自に発電す ることもあ り得 るo
「メ‑ヘIt
T J
」 グ7レ‑ プの コン社長 は,以上の よ うな基本モデル住 宅の断熱性能や 耐震性 能 に 関す る設計基 準は,北海 道の平均 的な住宅 とほぼ同 じレベル にある と評価 してい る。その秤 価 はそれ ほ ど不適 当な ものではない とい えるが,問題 は部材 の生産,建設 の施 工の段 階で こ の基準が きちん と守 られ るか ど うかにあるのではなか ろ うか。第
4
節 サハ リン石油ガス開発に伴 う「アメ リカタウン」の建設サハ リン大陸棚 開発 に従事す る外 国人技術者が居住す る住宅の建設が計画 され てい る。サ ハ リン 1とサハ リン
2
の合計で1
万人規模 になる予定である。その地域別 内訳 は以下の よ う で あ り,ここ数年の内に建 設契約 が締結 され る。そ して この よ うな住宅建設のために約9億
ドル の支 出が見込 まれ る。
サハ リン
1
サハ リン2
合計 パル地域カタンク÷リ地域 ユシ寸/サハルスク市地域 オハ地域
7 oリ
コ■ロドノエ地域 ノク〜柏地域 合計人人人人人
0 5 0 0 0 0 4 0 0 〇 一 7 2 5 5 4 2 1
7 00
人2 45
人500
人1 000
人2400
人4900
人1 800
人3200
人5 00
人5 00
人53 45
人5200
人1 0545
人 合計予定金額4
億6244
万 ドル4
億4958
万 ドル9
億1 202
万 ドル住宅 団地 は,住宅 と生活 関連施設 か ら構成 され る。最大 の住宅 団地であ るオハ地域の住 宅 団地 の構想 を具体的に見てみ よ う。
( 1 )
lつの住宅団地の収容 人数 は2500
人規模で,家族数 が4
人 とす る と625
世帯 になるo 住宅 の うち33 %
は4部屋,残 りは 3部屋 の住宅 にな る。住宅以外 の関連施設 と して
は,430人収容 の就 学前児 童施設,430
人収容 の普通教育施設,生活 ・商業セ ンター,文 化 ・娯 楽施設,スポー ツ・健康施設,地域公 共サー ビス機 関,生活サー ビス企業がつ くら れ る。( 2)
住宅の概 要については,4
部屋 と3
部屋 の2
タイプの住宅が予定 され,3
部屋住宅の延べ面積 は
1 27
m2 ,4
部屋住宅の延べ面積は1 63.8
m2である。両タイプ とも2
階建 てで, 一階は客間,キ ッチン,バス ・トイ レ,二階 には寝室が レイア ウ トされ るO備 え付 け予定 の機器 は,ガス レンジ,オー ブン,流 し(食器洗 い機),冷蔵庫,掃 除機 .衣類 乾燥機 等で ある。昨年
( 1 997
年),サハ リン2
のサハ リンエナ ジー社が発注す る住宅建設 (ユシリサハT)/スク市)の 入札が行われた。入札の対象は500
人規模の住宅団地の建設であったL,落札 したのは ロシア とアメ リカの合弁企業「 ス
フドラ・ アイ オカ
」であ り,その落札価格は5,400
万 ドルであった といわれ てい る。その概要は,土地は国か ら50
年の リース,戸建て住宅( 2
戸連結住宅を含む)が4 8
戸, ホテル形式の住宅が5
0戸,アパー ト形式の住宅が56
戸,それ に娯楽施設,商店,学校,病院が 建設 され る予定で ある.竣 工は19 99
年末 を予定 してい るO この建設 工事 には最大で約350
名 の労働者の雇用が必要にな り,その賃金水準は時給で4‑5
ドルになる予定である。戸 建 て住宅は,アメ リカか ら輸入 され,サハr)ンでは組み 立て るだけになるCこの住宅岡地建設 工 事は順調に進んでお り,1 997
年中に住宅棟,商店,娯楽施設の基礎工事が終了 し,体育館 の建 設工事 に着手 している。また これ とは別に
1 998
年には,サハ リンエナジーの事務所棟( 300
人が働 く6
階建ての建 物)の建設が発注 され,1 999
年6
月 には完成す る予定である。この住宅団地建設事業は,サハ町の住宅建設企業に とって大 きな意味を持つ Cこの事業では, 品質,価格,納期 の点で厳 しい基準が設定 され てい る。この基準 をク リアす るためには多 大 の企業努力が要求 され るが,それ を実行す ることによってサハリンの住宅建設企業は,国際的に 通用す る実力 を持つ ことができる06
第
5
節公的資金による住宅建設
第一に,サハ リン州建設局は
,20 00
年 までの公的補助金支出を含む住宅建設投資を次の よ うに予測 している。(表1
0参照)この表は,20O
O年 までの公的住宅建設の予定表である.I̲住宅 建設資金 の うち約6
割が、補助金,残 りの約4
割が 自己負担 であ り,その 自己負担分 の うち
,80%
は住宅 ロー ンを使用す る予定になっている。まず,住宅建設補助金支出の方では
,1 996
年1
1月現在で,住宅条件改善が必要で,連邦・州 ・ 市 ・企業に登録済みの家族数は69,300
家族である。その内,1 997
年には3000
弱の家族に補助 金が支給 され,投資額に して21 87.8
億ルーブルが住宅建設のために投資 され る予定である。(ただ し
,
『t/ヒ'lェッキ叫′、IJ J 』 1 997/3/27
付の記事による と, 97
年の実際の予算配分では極北地6最近の報道によると,サ ハ リン
1
関係で も専門家のための住宅建設が始 まり,ユシ〜ノサハr)yスク 市南部で1 6
棟の一戸建て住宅 (コテージ)が98
年末までに完成す る予定である。(北海道 新 聞情報研究所 『ロシア・極東ニ ュ‑ス』第568
号記事)域等か ら転出す る市民の住宅建設のために全 ロシアで
2240
億ルーブル,サハ リン州 には41 2
億ルーブルが配分 されたoつま り国の予算逼迫の影響か らか予定の3
割強 しか実際に資金が 供給 され ていない ことになるb)1998年,1 999年 には補助金受給家族数,投資額それぞれ漸
増 し,2000
年 の予測では,補助金受給家族数が約5000
,補助金による投資額が約3 000
億ル ー ブルになるO他方,住民の 自己資金の支出 (自己負担分)の予測は,1997
年で1 458.5
億ルー ブル,1998
年で1 481 . 6億ルーブル,1 999
年で1 758.4
億ルーブル,そ して2000
年では2000
億ルー ブ/レ弱 となっているO住宅建設のために住民が使 う自己資金の うちの約80%
は住宅 ロ ー ンを利用 した ものになると予測 されてい る。第二に,これ以外 に公的住宅建設 としては,ロシア政府 とカナダ政府 との政府 間協定 に よ る地震被害者 用住宅の建設がある。協定に基づいてカナダの銀行か ら融資 を受 け,その資金 でカナ ダか ら住宅
800戸を購入す る。そ して,
ユシ寸/サハ7)yスク市 とオハ市にそれぞれ400
棟建設 され る予定である。実際,98年1
月には,カナダ製 プ レ六ブ住宅の住宅資材セ ッ トがコJけコア港 に到着 した。第〜6節
終わ りに ;サハ リンと北海道との住宅建設に関する交流の提言
まずサハ リンの住宅事情 をまとめる と,
1)住宅の所有制度面での変革。従来,ソ連時代 には国家が住宅供給義務 を引き受け,国家, 地方 自治体,国有企業等が住宅を建設 し,居住者は非常に少ない負担で暮 らす ことがで きた。しか し今 日では,そのよ うな公有住宅の私有化,居住者 自身に よる私有住宅建設 が推進 されている。
2)
従来,特 に都 市部では集合住宅一辺倒であったが,今後 は,戸建て住宅 と集合住宅 の混 在化 をめざしてい るo戸建 て住宅 とともに戸別の生活インフラ整備が検討 されている。3)
住宅建設技術 の現代化 の時期に さしかかっている。特 にプ レハブ化 (工業化)率 を高め, 高断熱 ・高気密 の現代的戸建て住宅 を建設 しうるよ うな住宅建設業の勃興期 にある。住 宅の設計,資材 調達,生産,建設施行の各分野でその技術的水準の引き上げのための努 力がな されてい る。要す るにサハ))/では現代的住宅産業の勃興期 にあるOそ して,前述のよ うに,今後サハ リンで 住宅需要は大 き く伸び る と思われ,それ に応 じて住宅産業の発展が予想 され るbまた,それ はサハlJJのみではないOロシア極東地方行政府改革促進支援 のための調査報告書
( 1 997年)に
おいて,ロシア極東 のハハ11ロ
ブスク地方 において良質の住宅へのニーズが大き くしか も売れ行 きも良い ことが指摘 され ている。
サハリンを含 めた ロシアで今後 どの よ うなかたちで住宅産業が発展 してい くかの予測は困難 であるが,わが国の住宅産業特にプ レハブ住宅の発展史を振 り返 ってみ ると,わが国で本格 的プ レハブ住宅 「ハ ウス
55
」が販売 され始めた昭和55
年( 1 980
年)頃の状況 と比較できるか も しれない。わが国でそれ まで もプ レハブ住宅がなか ったわけではないが,
「小 さい」あるいは 「安 っぽい」とい うイメージがっきまとっていた。しか し昭和
37
年に軽量鉄骨系プ レハブ 住宅が 「不燃組立構造住宅」として住宅金融公庫の融資対象に認定 された。昭和3 9
年には木 質系プ レハブ住宅 も認定 されたOこのよ うに一応社会的に認知 され たが,まだ高価であ り, また一部 には「粗悪イメージ」を引きずっていた。昭和 55年の 「ハ ウス5 5
」の販売は状況を大 きく変 えるものであった。「ハ ウス5 5
」は住宅の名前であると同時に,昭和51
年度か らスター トした,通産 と建設の両省のプロジェク トの名前で もある。それは,昭和5 5
年度 にセン トラ ル ヒーテ ィング付 き一戸建てプ レハ ブ住宅を,昭和50
年 当時の約半分 の価格 (延べ床面積1 00
m2で500
万円台)で供給 しよ うとい う構想であった。これを実現す るためにかな りの住宅 メーカー等が研究開発 に携わ り,その成果 として ミサ ワホームが 「ハ ウス5 5
」の第 1号を売 り 出 した。それは,バル ク(珪酸カル シウム気孔体)壁併用鉄骨 ラーメン構造の独立2
階建て,セ ン トラル ヒーテ ィング付 き,価格は1 00
m2換算で886
万9
千円であった。当初の 目標である500
万円台はク リアできなかったが,当時の一般的プ レハブ住宅の価格を約30%
引き下げる ことに成功 した。それは工場生産 によるコス トダ ウンであった。「ハ ウス5 5
」住宅プロジェク トの成功によって従来のプ レハブ住宅に対す るイメージが払拭 された。要す るに当時,工場 生産の合理化 ・効率化 によるコス ト引き下げ,高品質の確保がプ レハ ブ住宅メーカーの最重 要課題 となったのである7。そ してサハT)yでも現在,この工場生産によるコス ト引き下げ と高品 質の確保 とい う課題が一戸建て住宅建設業界の差 し迫 った課題 になっているOサハ リン大陸棚開発 に ともな う直接及び間接の ビジネスチ ャンスの増大 に対 して,北 海道企業の進 出が遅れがちである
,
「腰が重い」といわれて久 しい。他方,建設関係で も既 に, 鹿 島建設や清水建設,大成建設 といった大手ゼネ コンがサハ リンに進 出 し,地元企業 と協力 関係 を持 っている。また,北米や北欧の企業による寒冷地技術の売 り込みが さかんに行われ ていると聞く。そこで,道内企業がサハ リンに進 出するための方策 として次の二つを提案 したい。
提案① :産官提携による北海道住宅展示場 (兼北海道 ビジネスセンター)の建設
1)ユシヾル 、ルスク市内に,北海道住宅メーカー5社程度がそれぞれ 1ない し2棟のモデルハ ウス を建築す る (合計
5‑ 10
棟)。例えば,札幌市東区北26
条にある住宅展示場 「北海道マ イホームセンター北会場」では,1
0社の住宅 メーカーが合計1
0棟のモデルハ ウスを建設 し,展示 している。そ こでは,各住宅メーカーの技術や ノウハ ウ,住まい方のアイデアを知 ることができる し,係員が常駐 し,詳 しい資料の請求,住宅建設プランや資金 プランの相 談ができる。このような住宅展示場をユシ÷
JIJ、T)yスク市内に建設す るのである02)
建設 に当たって,日本政府,北海道か らの資金的支援 を受けることが必要である。そのた めには様 々な工夫が必要である。例えばここに,ユシ〜ノサハリ〃ク市内にある 「アメ リカンビジ ネスセンター」の 日本版ない し北海道版 を誘致す るの も一つの方法である。7参照 :本間義人 『産業の昭和社会史
5:
住宅』 (日本経済評論社,1 987
年)3)
モデルハ ウスの一部は,サハ リンに進 出す る北海道企業の活動拠点 としても利用す るCそ の家賃収入でモデルハ ウス建設費 を一定程度回収す ることができる。ちなみに,サ‑ リン の代表的 ビジネスセンターである rサ ヒンセンター」の室料は,9 9
m2で月5 0
万円である。*この構想の意義 :
1)サハ リンにおける住宅産業の発展の支援。住宅関連の北海道 とサハ7))との技術交流0
2)
高水準の北海道住宅の実物をサ‑ リンの人々に見て もらい,その良さを実感 して もらう。⇒サハ リン・ロシア極東全休での住宅市場の開拓⇒北海道経済の活性化
*これ までの経過 ;北海道庁 は,社団法人北海道貿易物産振興会を通 じサハ リンに事務所 を 開設 している。更に,検討 中の事項 として,中小企業の対 ロシアビジネス支援 のため,
ユ
シ○ノサハ ルスクに貸 しブースを設置す ることを検討 している。そ こで さらに一歩進 めて,
「貸事務所」の 設置 を支援す ることに よって道内企業のサハ リン進 出を支援す べきである。また,報道 によ れば道庁は 「アメ リカン ビジネスセンター」の活動を参考に して,コンサル タン ト会社の共 同利用等,道内企業の ビジネスを支援する方途を検討 している。以上のよ うに,北海道住宅の展示場をサハ1)Jのユシ寸ノサハ1)/スク市内中心地に設置 し,そこに官の ビジネ ス支援セ ンターそ して民間の北海道企業の活動拠点 ・事務所 を入居 させ ることに よ っ耳,官民連携の総合的な北海道 ビジネスセ ンターを形成す ることを提案 したい。
提案② :住宅建設合弁企業の設立
サハ リンの住宅 メー カー と合弁企業をつ くり(ない し企業提携 を し),技術協力 を しつつ, サ‑ リンの木材 を利用 して住宅パネル等の建築部材 を生産 し,一部 は現地の住宅建設 に使 い,一部 は北海道 に輸 出す る。また,特定の技術や品質を必要 とす る部品や機器は北海道か
ら輸 出す る。
サハ リン側が求めている ものは,現代的な住宅建設技術 ・ノウハ ウである。他方北海道側は, 住宅需要の低迷に悩んでお り,新たな住宅建設需要の開拓 を必要 としてい る。実際
,1 9 97
年 の道内住宅建設は6
万戸を割 り込んでいる。サハ リンそ してその背後 にあるロシア極東地域 は,北海道の住宅建設業界に とって有望な市場である。 2 0 0 5
年までの 『極東 ・ザバイカル長期 発展プログラム』 によると,1 9 9 5
年 と比較 しての2 0 0 5
年の予測値 を社会的総生産物指標で 見てみ ると,極東全体で約1 .4
倍の増加,サハル州では実に3
倍の増加 を想定 しているOサハ1))州 の成長予測 を年率に直す と,1 1 %(
対前年比)を超 える年成長率 になる。この成長率が完全 に 実現す るか どうかは不確 実であるが,大陸棚石油 ・ガス開発 を起点 と してサハ リン経済がか な りの高度経済成長を遂 げることはほぼ間違いのない ところであろ う。また,同プ ログラム によると,1 9 9 6
年か ら2 0 0 5
年までの1 0
年間のロシア極東地域の住宅建設は,27 4 4 , 9 4
万m2
と見積 もられている。これは年平均で約
2 7 5
万m2になる。また,同 じ1 0
年 間でのサハ1)y州にお ける住宅建設予定量は, 2 0 2. 4 9
万meで,これ は年平均 で約2 0
万m2になる。これ をサハT))州 で1 9 9 6
年 に建設 された住宅の一戸当た りの面積6 9 . 7
m2で割 ると,ロシア極東全体で3 9 4 9 6
戸/午,サハ1)ン州で
2905
戸/年 になる。また,これまでの実績 を見 ると,サハリン州 において年 間住宅建 設面積が最 も多かった年 は1 9 87
年 と1 988
年で,約3 6
万m2/年であった.これ は1 996
年の 実績 の約5.7
倍である.これ を住宅戸数 に換算す ると( 1 9 96
年の一戸当た り住宅面積69.7
m2 で割 る と),約 5千戸になるOこの よ うに,これ までの住宅建設の最大実績値,極東 ・ザバイカル長期発展プ ログラム』及 びサハリン州建設局の住宅建設見通 しの数字 を稔合す る と,石油 ・ガス開発計画が順調 に進行す ればサハ リンでの住宅建設が今後,年間
3000‑5 000
戸規模 にまで達す る可能性 を持 ってい る と考 えるこ とができる。この数字は,道 内年 間住宅建設戸数( 6
万戸)の5‑ 8.3%
にあた る。いずれ に して も,サハリンそ してまたその背後 にあるロシア極東 は将来大 きく発展す る可能 性 を秘 めた有望な住宅市場であることは明 らかであろ う。*追記 ;新聞報道 による と,サハ リン大陸棚石油 ・ガス開発プ ロジェク トの進捗 に ともな う プ ロジェク ト関係者用 の住宅建設需要 をに らんで,北海道か ら住宅がサハ リン向けに輸 出 され始 めた。木材 流通 ・住宅販売の 「テーオー小笠原」 (本社は函館,小笠原孝社長)が
,1 99 8
年6
月にユシリサハルスク市内に事務所 を設置 し(三井物産,みちの く銀行 との共同開設),プ レハ ブ住宅,中古 自動車建設機械 な どを輸 出す ることになった。同社は ロシアの製材会社か らサ ハ リン産木材 を貨物船 で輸入 してお り,その復路でプ レ‑ブ住宅等 を輸送す る。(日本経 済 新聞1 998
年5
月9
日付記事,北海道新聞 (夕刊)1 998
年5
月1
1日付記事)住宅の コス トに関 して,国後 の古釜布 (ユ ジノク リ‑ リスク)市街地 にカナダ製木造簡 易 住宅
3
棟が建 て られたが,建設費用は1
棟約1
千万円であった。この簡易住宅は平屋建てで 約8 0
m2の広 さであるoなお この住宅建設は連邦政府のク リール発展計画の一環で建設 され‑〜 た もので,南 ク リール地 区行政府 は税 関,国境警備 隊,エネル ギー公社 に賃貸す る ことに決 定 した。(北海道新聞1 998
年5
月20
日記事)表
10‑1997
年‑2000
年の伽リンにおける公的住宅建設の見通 し( 96/ll/1
州建設局作成)宅条件
1 9 9 7
年 に1 9 9 7
年 の1 9 9 8
年 に1 9 9 8
年 の1 9 9 9
年 に1 9 9 9
年 の0 0 0
年 に0 0 0
年 の 改善のた 助金が 資額( 1 0
助金が 資額( 1 0
助金が 資額( 1 0
助金が 資額( 1 0
めの登録 支給 され意ルー ブ
給 されル ー ブ
支給 されル ー ブ
支給 されル ー ブ
家族数 る家族数ル )
る家族数レ)
る家族数レ)
る家族数レ)
ロ計
69300 932 6 4. 6 2 351 8 70. 4 0 2 22 3 9. 6 0 066 95.1 0
1
連 邦予算資金
3659 1 8 47 1 37. 8 3 221 6 1 40. 01 2 660 1 6 6.1 7 1 92 1 87.1 5
1 .1
極北 地域 で1 0
年 以上いた人
1 580 1 759 1 31 . 2 6
1111 33. 3 4 2 533 1 5 8. 2 6 30 40 1 78. 2 4
1 .
金取2
の;その棉 得権 を 有す る人
297 9 88 ̲ 5 5 1 0 6 . 67 1 27 = . 91 1 5 2 . 91
中世予 算 か らの
補助金取得権を有する人
930 2 93 1 . 88 52 2
.2 2 22 6. 38 07 9. 71
市 .地 区予算 か らの助金
取得権を有する人
31 6 3 52 6, 25 22 6. 6 7 07 1 . 65 08 5. 65
企業等
か らの助金取得権を有する人
1 0395 40 2. 82 528 3. 3 4 33 9. 65 60 4. 56
市民の
自己資
1 45. 8 5 1 48.1 6 1 7 5, 8 4 1 9 8. 0 4
参考文献
1
.『建 設 白書 ( 平成 9 年版 )
』2 . 『平成 7 年 サハ リン北部地震 とその被 害の調査研 究』 ( 研 究代表者 ・ 笠原稔,平成 8 年 3 月) 3. 本 間義人 『産 業 の昭和 社会史
5:住宅』 (日本経済評論社
,1987年)
4 .
『月刊サハル情報』 1997年第
51・52合併号
5. 『ロシア極東ザバイ カル地域長期発展 プ ログラム』 ( 環 日本海経済研 究所編,平成 9 年) 6.C a x a
tn H H C K a a O6 A a C T b B LlH dlP a X .
K )x H 0‑C a x a JIH H