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産 業 の 進 歩 と商 品 の 品 質 にρ い て 斎 藤 要

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一1

産 業 の 進 歩 と商 品 の 品 質 にρ い て

斎 藤 要

産 業 の発 端 は人 類 の生 活 様 式 が 新 右 器 時 代 か ら青 銅 器 時 代 へ と徐 々に 転 向 しよ うと した 時 代 にみ られ る。 即 ちB.C4000年 の頃 か ら,エ ジ プ ト,メ ソ ポ タ ミア,イ ソダス 河流 域 な どに散 在 して いた 農耕 を 主 とす る原 始 共 同体 の な か に 自己 の使 用 価 値 を生 産 す る とい う自給 自足 の枠 が とれ て,生 活 手 段 を 他 人 の た め の使 用 価 値 生産 とい う第 二 義 的 な産 業 や 交 易 に 求 め る動 向 を生 じ

た 。 か よ うな動 き と共 に 都 市 が 生れ,そ れ が 国家 と して組織 され る よ うに な ってか らは,メ ソポ タ ミア文 化 圏 を 中心 に 東 西 の都 市 あ るい は 国 家 間 に 地 域 差 に よ る異 質 生 産 物 を主 体 とす る交 易 が 行 なわ れ る よ うに な った 。勿 論 当 時 に お い て も交 易 物 資 の使 用 価 値 に 関す る知 識 は商 行 為 を 行 な う際 に 必 要 で あ った と思 わ れ るが,そ の評 価 は 生活 経 験 に 基 づ く知 識 で 充 分 通 用 した もの と 考 え られ る。

続 い て 古代 ギ リシ ャ,ロ ー マ時代 か ら中世 封 建 時 代 の初 期 に 至 る間 は 主 と して奴 隷 また は 農 奴 が農 業,手 工 業 な どの生 産 に従事 した が,そ の初 期B・C 1㎜ 年 前 後 よ り高 価 な青 銅 か ら安 価 な鉄 器 の時 代 が訪 れ,そ れ が 生 産 の発 達 に 新 段 階 を画 し,後 に は 農 奴 を解 放 す る事 態 を 招 く一 因 とな った 。 即 ち鉄 が 日常 の 生産 用 具 に まで利 用 され る よ うに な る と共 に手 工 業 は進 歩 し,10世 紀 頃 に は 農奴 の一 部 が 解 放 され て 自分 の生 産 した製 品 を販 売 し得 る身 分 とな っ た 。特 に文 化 の発 達 した 地 中海 や バ ル ト海 沿岸 な どの 諸都 市 で は,そ の勢 力

(1)当 時 の都市 発生 を促 した要 因 と しては ナ イル河 な どの 大 河流 域に農民が定 着 す るた めの治 水工事 に膨大 な労働 力を要 し,そ れ を統一 的な 計画 に従 って組織 管 理 す る中央 行政組織 の必要 であ った ことも考え られ てい る。

大 学 自然科学 教育研 究会編r科 学概 論 と 自然科学 史」PP・27〜28,東 京教 学社

(1963)9

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2

商 学 討 究 第16巻 第1号

を ま して製 品 の生 産,販 売 部 門 に 強 力 な ギ ル ド(同 業 組 合)組 織 を つ く り, 商 人 の一 部 は 政 治 的 に は 封建 制 の も とで支 配 され な が ら も経 済 的 に は次 第 にt 支 配 者 を しの ぐ実 力 者 とな りつつ あ った 。 またll世 紀 か ら13世 紀 に わた る十 字 軍 の第7次 に お よぶ 遠征 に よ って,そ の補 給 地 た る北 イ タ リア の諸都 市 を 中心 とす る商 品 の流 通 が ます ます 盛 ん とな っ て生 産 に 刺 戟 を 与 へ,農 具 や紡 織 用 具 な どの漸 進 的 な改 良 もな され た が,当 時 の 生産 は主 と して 個 々の注 文 主 の要 求 に 応ず る注 文 生 産 の形 態 で あ った た め,そ こに成 立 す る商 品 の使 用 価 値 は 注文 主 の欲 求 に適 応 した もの で なけ れ ば な らな か った 。 この こ とは 需 要 者 が商 品 の使 用 価 値 に つい て 充 分 な る知 識 を もっ てい た こ とを も 意 味 す

る。 か よ うな手 工 業 生産 が 最 も盛 んで あ った の は14〜15世 紀 で あ った が,そ の後 の経 済 の発 展 と,続 い て行 なわ れ た探 検 航 海 の成 果 な どに よっ て市場 は ます ます 拡 大 し,商 品 の生 産 は これ まで の 小規 模 な手 工 業 方 式 で は需 要 に応

じきれ な くな った 。

か く して16世 紀 に は,資 本制 的 生産 様 式 の端 緒 的 形 態 とい わ れ る マ ニ ュフ ァクチ ュア(Manufacture),即 ち商 人 が多 数 の職 人 を工 場 に 集 め て協 同的 に 商 品 を 生 産 させ る とい う方式 が誕 生 し,特 に 当 時 比 較 的 新 しい 産業 で あ った 精 糖業 とか製 紙業 な どで は,そ の工 程 の必 要 上 マ ニ ュフ ァ クチ ュア方 式 を と

らざ るを 得 な か った 。 この方 式 は 商 品 の生 産 に お け る分業 的 協業 を促 進 し, 分業 に よ って熟 練 は躍 進 し,作 業 のひ んぽ ん な変 更 に よる時 間 の空費 が排 除

され,さ らに 生産 用 具 の 特殊 化 ・多 様 化 な どに よ る作 業 方 法 の 改 善 に よ って

生産 力 は前 述 の手 工 業 時 代 よ り著 し く増 大 した 。 こ こに増 大 した 生産 力 と需

要 を連 結 して,市 場 生産 を お こなわ せ る商業 資 本 家 が 出現 し,注 文 生産 は必

然 的 に見 込 生産 へ と転 向 した 。 しか し,当 時 の 分業 に よ る工 場 生産 に は未 だ

自己 充 足的 な生 産 の代 替 生 産 と して の 傾 向 が強 く,生 産 過 程 の大 部分 が 肉体

労 働 的 な直 接 の体 験 を与 えて きた し,そ の 生産 物 も比 較 的 生 活 必 需 性 を多 く

満た す もの で あ った ので 需 要 者 はそ の使 用価 値 に つ い て,か な りの経 験 的 知

識 を持 ち 得た 。 か よ うな需 要 環境 に あ って は,生 産 者 の市 場 的 経 験 に よっ て

(3)

産 業 の進歩 と商 品 の品質 について(斎 藤) 3

見 込 まれ る生産 物 の使 用 価値 は 需 要 者 が、 そ れ に期 待す る使 用 価 値 との均 衡 な くしては 市場 で成 立 し難 くな るた め,当 時 は 生 産物 の使 用 価 値 と,そ の市 場 的 現 象 形態 で あ る商 品 の 品質 とは 良 く調 和 が とれ て い た 時代 で あ った と思 わ れ る。

⊥ 方 マ ニ ュフ ァクチ ュアが発 達 す るに つ れ 生 産 に 関す る技 術 的課 題 も多 く な り,次 第 に産 業 技 術 と 自然 科 学 の 関連 性 が 認 識 され る よ うに な った 。た と えば,鉱 業 は 中世 の 終 り頃 か ら相 当 大 規模 な 産業 形態 を整 え つ つ あ った が, 当 時 の生産 者 の 関心 は 冶 金技 術 の改 善 に よる収 量 と品位 の 向上 にそ そ が れ, そ の 解 決策 と して 冶金 工 程 の力 学 とか 金 属 の 化 学反 応 に 関す る基 礎 的 研 究 が 重 要 視 され る よ うに な り,ま た 社 会 生 活 上 の 医 療 とい う課 題 に 医薬 品 の 生物 化 学 的研 究 が刺 戟 され,イ タ リアのF.BUONAF倉DEに よっ て薬 学 商 品 群

の産 地,製 法,性 質,使 用 法 な どの 知 識 に 関す る体 系 的 研 究(1549年)が な され た の も この時 代 で あ った が,そ の 内容 は 自然 科 学 的 性 格 の強 い 生 薬 学 的研 究 と解 され る もので あ った 。

17世 紀 の後 半 か ら18世 紀 の中 期 に か け て,始 め て商 品 の市 場 適 性 物 資 とい う側 面 を重 視 した 形 態 の質 に 関 す る研究 が当 時 の フ ラ ソス,ド イ ツを 中心 と して体 系 化 され つ つ あ った 商 取 引学(Handlungswissenschaft)ま た は 商 人

く ラ

学(KaufmannSchaft)の 主 要 構 成 部 門 と し て な さ れ る よ う に な っ た 。 た と え ば,そ の 端 緒 的 形 態 はJ.SAVARYのLeParfaitn690ciantouinstruction

g6n6ralepourcequiregadelecommercedetoutesortedemerchandises (1675年)やP.J.MARPERGERのDergelehrteKaufmann(1717年),

さ ら にC.G.LUDVICIのEr6ffneteAkademiederKaufleuteoder

vollsttindigesKaufmanns‑Lexicon(1752〜1756年)な ど に う か が え る が, 商 品 の 質 的 側 面 を 追 求 し た 部 分 の 実 態 は 何 れ も 商 取 引 上 必 要 な 商 品 知 識 の 叙 述 的 体 系 化 を 主 と し た も の で あ っ た 。

一 方17世 紀 後 半 す で に 市 民 革 命 を 終 え た イ ギ リ ス に お い て は,産 業 の 自 由

(2)商 品 学 の 古 典 時 代 の 発 達 過 程 に つ い て は,柳 川 昇:経 済 学 論 集,Vol,11, No・5,pp・27〜51(1941)tlこ 要 約 さ れ て い る 。

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4 商 学 討 究 第16巻 第1号 ノ

が 確 保 され,マ ニ ュフ ァクチ 鼻ア の高 度 の 発 達 と共 に 中産 的 生産 者 層 の産 業 資本 家階 級 と賃 金 労 働 者 階 級 へ の分 離 とか 局 地 的規 模 の分 業 か ら地 域 社 会 的 分 業 へ の転 化(例,繊 維 工業 は ラ ンカ シ ャー ・ヨー クシ ャーに,金 属 工 業 は ミ ッ ドラ ソ ド西 部 に 集 合)が 進 め られ,そ れ らに伴 っ て 生産 財 商 品 の需 要 増 大,賃 金 労 働 老 群 に よる最 終 消費 財 商 品 の購 買 力増 加,ま た 生産 物 の輸 出 と か海 外 原 料 市場 の確 保 な どに よって 国 内 は勿 論,国 外 市 場 も ます ます 拡 大 し た 結 果,商 品 の需 要 量 も著 し く増 加 し,マ ニ ュフ ァ クチ ュア方 式 の 生産 力 で は,そ の需 要 に 応 じきれ な い事 態 を招 来 す る よ うに な った 。 一 方 マ ニ ュ フ ァ

クチ ュア方 式 に お け る分業 的 協業 の進 歩 に よ って作 業 工 程 が 単 純 化 され る と 共 に 生産 過 程 に おけ る機械 の 導 入,即 ち道 具 か ら機 械 へ の転 換 が可 能 とな っ

  ラ

た 。 以上述 べ た よ うな諸 条 件 の も とで1760年 代 に紡 織 諸 機 械 の相 つ ぐ発 明 が な され,こ こに 産 業 革命 の 直接 的 基盤 が誕 生 した。 当 初 は 毛 織 物 生産 を 中心 と して既 に 産業 基 盤 の確i立 して い た繊 維 工 業 部 門 で機 械 化 が進 め られ た が, 当 時 の資 本 市場 の進 歩 とか労 働 市場 の質 的 向上 な どの条 件 も加 わ っ て,次 第 に他 の産業 部 門 に も波 及 し,特 に製 鉄 業 で は コー クス精 錬 法 とか パ ッ ドル 法 の採用 に よ って生 産 能率 が 向上 し,こ れ が 各 種 生産 機 械 の木 製 か ら鉄製 へ の 転 化 を 促進 す る と共 に手 工 業 の もつ限 界 を こえ た高 能 率 の諸 機 械 の 出現 とい う事 態 が もた らされ,さ らに機 械 の各 部 品 に互 換 性 を与 え る シス テ ム も提 唱 され,こ れ が商 品標 準化 へ の道 を拓 く端 緒 とな った 。 か よ うな産 業 技 術 の進 歩 に よって量 産 化 を もた らす 近 代 的工 業 の成 立 が可 能 とな った が,そ れ を 推 進 した も とは蒸 気 機 関 の発 明 で あ って,同 機 関 は更 らに交 通 機 関 の動 力 機 と もな って交 通 運 輸 の革 命 を もた ら し,商 品 の 市場 と流 通 量 の拡 大 増 加 を ます ます 可 能 な ら しめ た 。

か くして,18世 紀 の後 半 よ りイギ リス の工 業 製 品 が 国際 市 場 で 独 占的 地位 を 占め,ヨ ー ロ ッパ 大陸 市場 へ も急 速 に進 出す る よ うに な った 。 当 時 ドイ ツ は イ ギ リス,フ ラ ンスな ど よ り遅 れ て 国 際 経 済 に 参 加 し,天 然 資源 に乏 し

(註)技 術 史 の 詳 細 に つ い て は,加 茂 儀 一 編:「 技 術 の 歴 史 」 毎 日新 聞 社(1956)が 参 考 と な る,

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産業 の進歩 と商品 の品質につ いて(斎 藤)

一5一

く,植 民 地 もな い と い う国 情 で あ っ た た め,こ れ ら先 進 国 か ら多 量 の商 品 を 輸 入 した が,そ の 多 くは 地 域 差 に よ る異 質 条 件 を そ な え た 商 品 で あ っ た 。 そ こで 未 知 商 品 の 質 的 側 面 に 関 す る知 識 の 修 得 が 業 者 の み な らず 広 く社 会 的 な 要 請 とな っ た こ と に 加 え て,ド イ ツ人 の民 族 性 即 ち 新 事 象 に 対 処 し,先 づ 分 析 を 試 み て 結 果 の 体 系 化 を は か り,学 問 と して 尊 ぶ とい う気 風 が 輸 入 商 品 を 主 対 象 と した 学 問 的 研 究 を 推 進 し,1780年 に は ゲ ッチ ンゲ ソ大 学 にJ・

BECKMANNに よ り商 品 学 講 座 が 開 講 さ れ,続 い て1793年 に は 世 界 最 初 の 商 品 学 書 と も い わ れ るVorbereitungzurWarenkundeoderzurKenntnis

dervornehmstenausltindischenWarenが

同氏 に よ り刊 行 され た 。 そ の 内 容 は 叙 述論 的商 品学 で あ って統 一 的 な原 理 に よ って体 系 化 され た もので は な い が,当 時 の重 要 な商 品知 識 の集成 とい う点 で 大 きな 貢 献 を した もの と思 う。

一 方 イ ギ リス に お い て ぱ,産 業 革 命 に よっ て生 産 の機 械 化 が 進 展 す るに つ れ,製 品 の 品質 に 関す る問題 が労 働 問題 あ るい は思 想 問 題 と関 連 して提 起 さ れ る よ うに な った 。 即 ち 生産 の機 械 化 で失 業 した労 働 者 を 主 力 とす る反 機 械 文 明闘 争 とかW.MORRISら の 美術 工 芸 運 動 にそ の例 を み る こ とが 出来 る 道 具 か ら機 械 へ とい う生産 技 術 の変 化 は 生 産 量 の増 大 と共 に製 品 の質 的変 化 を もた ら した が,当 時 の 生産 者 は量 産 に よる利 潤 の追 求 を 第 一 と し,生 産 品 位 の 目標 を 徒 らに手 工 製 品 の模 倣 に お く傾 向が 強 か った た め 市 場 に は 伝 統 的 様 式 を統 一 もな く 取 り入 れ た 低 品 位 品 が は ん らん し,機 械 製 品 は 粗 悪 品 の 代 名 詞 と して使 用 され る よ うな事 態 を招 来 した 。 これ は生 産 者 の両 生 産 方 式 に よる製 品 間 の 本質 的 差異 に つ い て の認 識,即 ち手 工 製 品 に は 物 的 形 態 を 主 に した 個性 的 な非 等 質 的要 素 が多 い の に対 し機 械 製 品に は 大 量 生 産 に伴 う非 個性 的 な等 質性 が 要 求 され る とい う必 然 性 に対 す る認 識 が 不足 して いた こ と や 当 時 の機械,技 術 共 に 幼 稚 で需 要 品位 の 生産 に対 す る適 応 性 が なか った こ とに も起 因す るが,さ らに労 働 者 は 階 級 意 識 と共 に 自己 が手 工 的 に作 る場 合

(3)同 書 で は 商 品 学 を 二 つ に 分 け て 論 述 し,第 一 は 商 品 の 生 産 技 術 に 関 す る Technologieで 他 は 商 品 知 識 を 集 合 したWarenkundeと な っ て い る。

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6 商 学 討 究 第16巻 第1号

に狙 い とす る品位 と機 械 製 品 のそ れ とを比 較評 価 し得 る充 分 な 知識 を持 ち得 た時 代 で あ った こ と も見逃 し得 な い 。 か よ うな 機械 文 明 と産 業 資本 主義 の流 れ に対 抗 して伝 統 的 造 形 様 式 を守 ろ うと した の が前 述 の美術 工 芸 運 動 で あ っ た 。 これ は 機械 の排 斥に 主力 を そ そ ぐ一 種 の中 世 様 式 の復 活 運 動 に 終始 した た め社 会経 済 の発 展 方 向に ぶ つ か って 座 折 した が,そ の後H.MUTHESIUS

らに よ る ドイ ッ工 作 連 盟(DWB)と か イ ギ リス の 産業 デ ザ イ ソ協 会(DIA) の活 動,即 ち機 械 生 産 の肯 定 に 立 っ て産 業 と美術 を 結 合す る良質 生産 とい う 造形 問題 の核 心 を と らえ る運 動 の端 緒 とな り,次 第 に 商 品 体 の可 変 部 分 を対 象 とす る造 形 的事 象 は品 質 を よ りよ く成 立 させ るた め の二 次 的 構成 要素 で あ

る こ とが 認 識 され る よ うに な った 。

以上 述 べ た よ うに イ ギ リス に 起 った 産 業 革 命 は 当初 若 干 の 波 乱 もあ った が,そ の動 向 は産 業 経 済 の主 流 とな り,19世 紀 後 半 まで に は,こ れ に立 ち遅 れ た ヨー ロ ッパ大 陸 諸 国 や新 興 ア メ リカに も波 及 して 経 済活 動 の 重 点 が貿 易 か ら産 業 に移 った 。 これ と共 に商 品研 究 の主流 は 流 通 の場 か ら生 産 の場 へ と 移 行 し,一 方19世 紀 の初 期 に設 立 され た ヨ ー ロ ッパ の近 代 的 諸 大 学 で は 自然 科学 研 究 の 分野 で も著 しい成 果 を あげ,科 学 と技 術 の計 画 的 統 合 に よ って, 物 資 の 自然 的属 性 を客 観 的 に把 握 し得 る理 化 学 的 測 定 装 置 とか測 定 法 の進 歩 を もた ら した 。か よ うな 時代 的 背 景 の も とで,生 産 財 商 品 を 主 対 象 と し,そ の使 用 価 値 の 部分 的評 価,即 ち品 位 を理 化 学 的 方 法 に よって把 握 しよ うとす

る研 究 が進 め られ る よ うに な った 。

そ の代 表 的 な研 究 者 は オ ー ス トリアのJ・V・WIESNERで あ る。 氏 は繊

維 類 な どの植 物性 生 産 財 の 品位 の判 定 に 当時 本 格 的 な実 用 段階 に 達 した顕 微

鏡 を利 用 す る方 法 に つ い て研 究 を進 め,そ れ を主 軸 と し自然科 学 的 な統一 原

理 に よ る商 品 学 を 体 系 化 し,TechnischeMikroskopie(1867年)及 びDie

RohstoffedesPflanzenreichs(1873年)を 刊行 した 。 これ は 従 来 品 位 の判

定 が 人 間 の感 覚 を 主 と した経 験 的 方 法 に 依存 してい た こ とを 思 えぽ 商 品研 究

上 の大 き な功績 で あ った 。

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産 業 の進歩 と商 品 の品質につ いて(斎 藤)

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ま た この 時 期 にKMARXがDasKapita1(1867年)を!刊 行 し,「 商 品 は 矛 盾 した 二 重 の 性 格 一 価 値 と使 用 価 値 と を も っ て い る」 と述 べ,さ らに

「諸 商 品 の 諸 使 用 価 値 は,独 自 の 一 学 科 た るWarenkunde(商 品 学)に 材 料

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を提 供 す る」 と して,そ の鋭 い理 論 を も っば ら交 換 価 値 批判 に む け て展 開 さ せ た 。 そ の規 定 に よれ ぽ 斯学 は'商品 体 に 関す る知 識 の集 積 な い しは 自然 科学 的 論 理 を 追 求 す る学 問 と も考 え られ るが,こ れ が 其 の 後 の 商 品 学 の研 究 目標

とか性 格形 成 に大 きな影 響 を与 えた こ とは 事 実 で あ る。

WIESNERが 前 述 の よ うな商 品 研究 の成 果 を 体系 化 してか らは,品 位 の判 定 に顕 微 鏡 学 的方 法 の他 に理 化 学 的 方 法 も導 入 され,こ こに商 品 の 品位(鑑 定)論 的 研 究,即 ち使 用価 値 に 直結 す る理 化 学 的 属性 につ い て基 準 を設 け,そ れ に対 す る優 劣 を客 観 的 に評 価 し,そ れ を 品位 と価 格 差 決定 の根 拠 とす る こ

(5)

とに主 力 を お いた 研 究 が ドイ ツ,オ ース トリア を中心 と して発 展 した 。当 時 は産 業 革 命 に よる 自由競争 が 頂 点 に達 した 時代 で あ っ て,商 品 の価 値 の市 場 的現 象 形 態 で あ る価 格 は ほ ぼ 平均 利 潤 の 法 則 に従 って需 要 と供 給 で き ま り,

また 商 品 体 の使 用 目的 に対 す る理 化学 的 適 応性 を母 体 と して成 立 す る使 用価 値 は,そ の市 場 的 現 象 形 態 で あ る品 質 へ比 較 的 正 当 に転 化 した ため,品 質 の 実 態 を 自然科 学 的 方 法論 で追 求 し得 た もの と思 わ れ る。

一 方 ,こ の頃 既 に 自由競 争 を排 除 す る産 業 の独 占的 形 態 が 萌 芽 をみ せ,特 に 当 時 の経 済変 動,即 ち1875年 の産 業 界 の恐 慌,19世 紀 末 の好 景 気 さ らに

(4)KMARX:̀̀DasKapi七alKritikderpolitischenOkonomie."M‑E‑L

InstitutsAusgabeBd,1,S.40,長 谷 部 文 雄 訳 『資 本 論 」 第 一 部 上,pP・114〜

115,青 木 書 店(1953)。

(5)か よ うな 品 位 論 的 商 品 学 が 大 正 の 中 期 か ら 昭 和 に か け て 我 国 に も 導 入 され, 我 国 商 品 学 会 の 主 流 とな っ た が,そ の 代 表 的 学 者 は 小 原 亀 太 郎 氏 で あ る。 氏 は 明 治45年 よ り大 正11年 ま で 本 学 の 前 身,小 樽 高 商 に て 教 鞭 を と られ,後 に 名 古 屋 高

商 に 転 任 され た が,「 商 品 学 の 目的 を 論 ず 」 商 業 経 済 論 叢Vo1.5,pp.67〜90

(1927)の 論 文 の な か で,商 品 学 は 商 品 の 鑑 定 学 な り(P.69)と 述 べ ら れ て い る こ と か ら もそ の 学 風 が 察 せ られ る 。 小 樽 在 職 中 に 小 瀬 伊 俊 氏 と 共 著 で 『商 品 鑑 定 」 瞭i文堂(1921)を あ ら わ さ れ,ま た 商 品 学 の 国 際 雑 誌WARENKUNDE

InternationalZeitschriftfttrderenGesamtgebie七,Wien(1937年 発 行,戦 後 休 刊)の 日 本 代 表 の 編 集 委 員 と して も活 躍 され た 。

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8 商 学 討 究 第16巻 第1号

1900年 か ら1903年 の恐 慌 期 を経 るに従 っ て産 業 と銀行 の結 合 が 強 化 され,カ ル テル,ト ラス トは 全 経 済 活動 の一 基 礎 とな って,経 済 の 主流 は次 第 に産 業 資 本 主 義 か ら独 占 資本 主 義 へ と移 行 した 。そ の か げ に は,こ の 時期 な い しは そ の直前 に 産業 の独 占形 態 を促 す よ うな 新技 術 が 出 現 した とい う事 実 も見 逃 し得 ない 。 た と えば,鉄 鋼 産業 で は べ ヅセ マ ー式 転 炉,リ コール マ ソ式 高 炉 な どの発 明 改 良 とい う生 産技 術 の進 歩 に よって 主製 品 の他 に 副 産す る発 生炉 ガ スが 各 種作 業 加工 機械 の動 力 に利 用 され,さ らに ガス とか 炉 の残 留物 が 化 学 工 場 に送 られ て ベ ソゾール ・ナ フ タ リ ンな どの化学 薬 品 を 副 産す る とい う 形 式 の原 料 生 産 メー カ と加 工 メー カ との結 合 即 ち トラ ス ト結 成 へ と進 み,ま た 電 機工 業 で は 電気 エ ネル ギ ーが 本 来 の性 質 と して光,熱,音,磁 気,機 械 的運 動 に も転 化 が可 能 で あ るた め 関連 製 品 の 生産 に共 通 の 資材 や設 備 をか な り利 用 し得 る こ とか ら製 品 は多 種 多 様 とな り大 規 模 経 営 ない しは多 角 経 営 に よって始 め て,そ の機 能 を充 分 発 揮 し得 る こ とに な り,さ らに化 学 工 業 で は 基 本反 応 で あ る物 質 の化 合現 象 は本 来 多 換 性 で あ り,反 応 形 式 を変 え る こ と に よっ て各種 の物 質 が 合成 され,新 物 質 を縦 横 に 追跡 可 能 で あ るため 生 産 分 野 が 相互 に 関連 した広 範 囲 にわ た る必 然 性 が あ る。 従 っ て企 業 形 態 は 当 初 か ら大 資本 に よる独 占 とい う性 格 が 強 くな る。 た とえぽW.H・PERKINの ア ニ リソ染 料 合成 法 の発 見(1856年)を きっか け と し19世 紀 末 に には ア リザ リ ン,イ ンジ ゴな どの 合成 染料 工 業 の急 激 な発 展 が招 来 され,こ れ が 合成 の原 料 薬 品 で あ る 接 触 硫 酸 の 大量 生 産 を も うなが し,続 い て 硫 酸 ア ソモ ニ ウ ム (硫 安)生 産 とい う巨大 な多 角 経 営 を成 立 せ しめ た 。

か よ うな産 業 部門 で の技 術 上 の成 功 は 他 の 部 門 の 技術 の 発 展 に 波及 し,次 第 に 各種 の産 業 部門 に強 大 な独 占企 業 が 次 々 と出現 した が,こ の過 程 に お い て 自然 科 学 と技 術 の進 歩 に よっ て もた らされ た 人 工 品 と天 然 品 との 間 の 競 合 もみ られ る よ うに な った 。前 述 の合 成 染 料 工 業 の 出現 が そ の 例 であ る。即 ち

くあかね  

ア リザ リ ンは 茜 と して,ま た イ ソジ コ は 青 藍 と して 既 に 古 代 よ り 印 度 な ど

か ら ヨ ー ロ ッパ 諸 国 へ 輸 出 され,天 然 染 料 の 王 者 と して 珍 重 され た もの で あ

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産業 の進 歩 と商 品の品質につ い て(斎 藤)‑9一

く   

る。 そ の後 生産 地 の植 民 地 化 と交 通 運 輸 の発 達 に よっ て,こ れ らは 大 量 に ヨ ー ロ ッパ 市場 に進 出 す る よ うに な った が,当 時 化 学 の 研 究 に 着 実 な成 果 を あ げ つ つ あ っ た ドイ ッでは 輸 入 に 仰 ぐ高 価 な天 然 染 料 を 安価 な 化 学物 質 よ り合 成 せ ん と して 両 染 料 の 化学 構 造 の 究 明に つ とめ,遂 にC.GRABE,C.T.

LIEBERMANN(1868年)が ア リザ リ ソの,ま たA.BAEYER(1883年)

が イ ソジ ゴの 構 造 を決 定 し,続 い て両者 の 経 済 的 合成 に成 功 し,合 成 染 料工 業 の 不動 の基 礎 を きず い た の で あ る。 これ に よって 天然 産 の 茜 と青 藍 は 市 場 か らま った く姿 を 消す 事 態 とな っ た。 この場 合 の 天然 品 と合成 品 は使 用 目的 が ま った く同一 で あ り,ま た 使 用 価 値 を発 揮 す る理化 学 的 属性 の本 質 も同一 物 質 で あ るが,生 産 方 法 及 び 生産 資源 を異 に し,そ れ らに 関 す る諸 条 件 を反 映 した 生産 コス ト面 に お い て合 成 品が 有 利 な ため 市 場 の 独 占が もた らされ た と思 え るが,そ の根 底 に は 生産 に お け る資本 の集 中が価 格 と共 に 品質 の独 占 化 とい うこ とに反 映 して くる必 然 性 の あ る こ とが 感 ぜ られ る。 また,か よ う な事 実 か ら して も不 完全 市場 に あ る商 品 の品 質 を把 握 す るに は前 述 の よ うな

自然 科 学 的 色 彩 の 極 め て強 い 品 位 論 的 商 品 研究 の態 度,即 ち使 用価 値 とそ の 評 価 の 追 求 の み で は 不 充 分 で あ る こ とが理 解 され る。

続 い て20世 紀 の 初 期 に お け る産業 界 の動 向 を み る と,ア メ リカが 工 業 生 産 の面 で著 し く進 出 し,1913年 に は,そ の 生産 高 は イギ リス,ド イ ツ,フ ラ ソ ス の合 計 生産 高 に 匹 敵 す る地 位 を しめ る よ うに な った 。一 方1917年 に は 資本 主 義 の基 盤 が 弱か った ロ シヤに お い て 労 働階 級に よ る 社 会 主 義 国家 が 出現 し,世 界 は 資本 主 義 体 制 と社 会 主 義 体制 とい う二 つ の 矛 盾 す る体制 へ と分裂 し,労 働運 動 が 各 国 で盛 ん に な った 。

か よ うな状 勢 下 で,1920年 に 恐 慌 が 勃 発 し,ア メ リカで は労 働 攻勢 に 対 処 し,生 産 秩 序 を確 立 す る一 方 策 と して 産 業 合 理 化運 動 に 入 った 。そ の一 環 と

(註)特 に 藍 は 日 本 や 中 国 に お い て も珍 重 さ れ,高 僧 が 朝 廷 か ら 紫 衣 を 賜 わ る こ と は 最 高 の 名 誉 と され て い た 。 ま た 英 語 で 王 侯 の 家 に 生 れ る こ と をtobebomin

thepurpleと い うの も紫 の 染 料 が 非 常 に 得 が た い も の だ っ た こ とを 意 味 して い る よ うで あ る 。 塩 見 賢 吾,島 村 修:「 有 機 化 学 概 論 」P・393,有 斐 閣(1962)。t

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商 学 討 究 第16巻 第1号

して,生 産 に お け る動 力 を 蒸 気 力 か ら電 力へ と転 換 す る こ とに よって可 能 と な った作 業 技 術 の 自動 化 が,テ イラ ー ・シス テ ム(TaylorSystem)な る科 学 的管 理 方 式,あ るい は フオ ー ド ・シス テ ム(FordSystem)な る工 場 管 理 方 式 に も とつ い て さ らに 強 力 に遂 行 され た。 特 に 後 者 の方 式 は移 動 組立 法 の 採 用 と生 産 の標 準 化即 ち製 品 の単 純 化,部 分 品 の 規格 化,工 場,機 械 及 び工 具 の 専 門 化,人 間作 業 の機 械 化 に 加 え て労 働者 に極 め て単 純 な動 作 の機 械 的 反 復 のみ を 要求 す る よ うな技 能 の標 準 化 へ と進 ん だ 。 か よ うな流 れ 作 業 を 組 織 す るた め に は 関連 産 業 間 に も製 品 の 単 純 化 と部 分 品 の共 通 的 規 格 化 の実施 が要 求 され,ま た 当 時 に おけ る各種 工 作 機 械(例,ホ ブ盤,タ レッ ト旋 盤) とか 精 密 測 定 計 器類(例,鉄 鋼 全 炭素 定 量 分 析装 置,分 光 光 電 分 析 器)の 出 現 と進 歩 は,そ の 要 望 に こた え る性 能 を示 し製 品 の質 的 均 斉性,部 品 の高 度 の 互 換 性 実 現 を可 能 に した 。

そ れ と共 に製 品 の 品位 に 関す る統 一 的 規 格 化 とそ れ に 基づ く商 品 の標 準 化 は 単 に 生 産性 向上 の た め のみ な らず,流 通,消 費 面 の 合理 化 に も必 要 で あ る こ とが 次第 に認 識 され る よ うに な った結 果,ア メ リカ は勿 論,他 の 国 々に お

い て も国 家的 統 一 規 格 の適 正 化 と 充 実 化 が 一 段 と 強 化 され る よ うに な り, 1928年 に は 国際 規格 統一 協 会(ISA)の 成 立 を み るに 至 った 。 この動 向 は在

るべ き姿 の商 品 を 現 実 に 招 来 す るた め の 重 要 な前 提 と 考 え られ る。 続 い て 1929年,ア メ リカに 始 まった 世界 経 済 の恐 慌 に よって 資 本 主義 諸 国 で は経 済 機 構 が危 機 に ひ ん した た め,国 家 自身 が そ の 支柱 とな り各種 の統 制 経 済 を実 施 す る必 要 が 生 じた。 国際 貿 易の 分 野 で は 保 護 関税 主義 を とっ て輸 入商 品 の 削 減 を はか り,一 方 で は あ る程 度 生 産 コス トを度 外視 して も工業 製 品 を 国 内 資源 に よっ て生 産 し よ うとす る試 み,即 ち ア ウ タル キ ー(Autarkie,自 給 自

(6)規 格 統 一 運 動 は 前 述 の 如 く産 業 革 命 後 イ ギ リ ス に 起 っ て い る が,国 家 的 統 一 規 格 は 第 一 次 大 戦 後 急 速 に 各 国 で 制 定 され た 。 若 干 の 国 々 に お け る 規 格 統 一 協 会

の 略 名 と 規 格 制 定 の 年 を 示 せ ば 次 記 の 如 くで あ る。

イ ギ リ スBsl19e1,ド イ ツDNA1917.ア メ リ カAsA1918.日 本JIsC 1921.ソ 連ACS1923.

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産 業の進 歩 と商 品 の品質につ い て(斎 藤)

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足 経 済)の 体制 を と る よ うに な った 。 これ に対 す る技 術 分 野 の課 題 は 豊 富 に 存 在す る天然 資源 た とえば 空 気,水,石 灰 石,粘 土 な どを如 何 に利 用 し,如 何 な る技 術 を もって所 要 の 製 品 を 得 るか とい うこ とで あ った 。 これ に対 し当 時 の 国 家 や独 占資本 の研 究 機 関 は着 々と基礎 応 用 の両 分 野 で成 果 を あ げ,特 に 合成 化 学 ・高 分子 理 論 の進 歩 は,こ の課 題 を 解決 し得 る域 に達 して い た。

た とえ ぽ 当 時 ア ウ タル キ ーの必 要 を 最 も痛 感 して い た ドイ ツの伝 統 を誇 る化 学技 術 陣 は軍 事 的 要 求 もあ って,人 造 石 油,合 成 ゴ ム,粘 土 よ りの アル ミニ

ウ ムの製 造 に成 功 し,ま た ア メ リカ に おけ る化 学技 術 の進 歩 も著 し く,デ ュ ポ ン社 が始 め て の 合成 繊 維 と して ナ イ ロ ソの製 造 に成 功(1938年)し,さ ら に 新 合成 ゴ ム,合 成 樹 脂(プ ラス テ ィック)製 品 を 開発 し,多 年 輸 入 資源 に 依 存 して きた 絹工 業 ・ゴ ム工 業 の原 材 料 まで も合成 品 で 代 替 し得 る体制 へ と 進 展 す る よ うに な った 。 この ナィ ロ ソの 出 現 に よっ てわ が 国 の 生 糸産 業 が代 用 需 要 の打撃 を 受 け た ことは周 知 の事 実 で あ る。

これ らの合 成 品 とお の お の に対 応 す る天 然 品 との 競 合 現 象 を品 質 論 的 に解 析 す る と,両 者 の 使用 価 値 を発 揮す る母 体 は 化 学 的 に 無 関 係 な物 質 で あ る点 考ミ 前 述 の染 料 の 場 合 と異 るが ・ 母 体 の理 化 学 的 属性 の綜 合 的 現象 に基 づ く機

能 の使 用 目的 に 対 す る適応 性 が類 似 して い るた め競 合 関 係 を 生 じた。 当初, 合 成 品 は 天 然 品 の代 用 品 的 性 格 の 商 品 と して 登場 したに もか かわ らず,化 学 工 業 の独 占的 性 格 に よる資 本 の集 中 と化 学 反 応 の多 換 性 に よる品 位 と品種 の 改 良発 展 は 著 し く,現 在 で は 天 然 品 との競 合 を超越 しつ つ あ る独 自の 商 品 群 と して,そ の 発 展 は と ど ま る処 が な い よ うな有 様 で あ る。か よ うな事 態 は, た とえ ば絹 の使 用 価 値 が ナ イ ロ ンの そ れ に 劣 るた め に 生ず る とい うよ りも資 本 の集 中 が優 先 した た めに 招 来 され る現 象 で あ って,そ れ が 品 質 の 独 占化 に

もつ な が って い る と解 され る。

さ らに第 二 次 大 戦 末 期 に 出現 した 画期 的 な新 技 術 は戦 後 著 しい発 展 を とげ

産 業 構 造 に新 しい変 化 を もた ら しつ つ あ る。 た とえ ぽ,ジ エ ッ ト機 の 出現 は

関 連技 術 部 門 の進 歩 を要 求 し,レ ー ダー,自 動 制 禦 装置 あ るい は電 子 計 算 機

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商 学 討 究 第16巻 第1号

な どに み る電 子 管 と回路 の 研究 と応用,即 ち電 子 工 学 発 展 の成 果 は 人 間 の 能 力 の 部 分的 限 界 を機 械 が 突 破 した こ とを如 実 に物 語 っ てお り,生 産 に お け る オ ー ト・ 一 一メ シ ョ ン(automatization)は 操 作 を機 械 化 す る のみ では な く,自 動 的 に情 報 を処 理 して判 断 を下 し,そ れ に 従 っ て生 産 す る とい う自動 化 を可 能 な ら しめ,人 間 の 肉体 的作 業 は勿 論,頭 脳 的 作 業 の排 除 を も促 進 しつ つ 生 産 性 の 向上 を もた ら して い る。

か よ うな産業 技 術 の進 歩 に対 応 して,商 品 研 究 の分 野 で も,電 子 計 算 機 に よ る商 品 の使 用 価 値 判 断 とか 品 質 に関 す る経 済 的 希望 値 の追 跡 な どが 要 望 さ れ る よ うに な った 。 また大 戦 末 期 に原 子 力 が 戦争 と平和 の両 極 端 に利 用 し得 る巨大 なエ ネル ギ ー と して解 放 され,こ れ が 現 在 で は軍 事 的 利 用 の可 能 性 を は らみ なが ら も地球 上 に おけ る経 済 的 採 油量 の 推 定 寿 命50年 か ら100年 とい わ れ る石 油 に代 るエ ネル ギ ー源 と して開発 が 進 め られ,第 三 次 の エ ネ ル ギ ー 革 命 の時 代 を 招 来 しつ つ あ る。 しか し原子 力 は,そ の宿 命 的 な性 質 と して, 利知 目的の如何 に拘 らず極めて危 険な核分裂 生成 砺を副産す るた め,そ れに 対す る安 全適 切 な処 理 法 確 立 の前 提 が な けれ ば エ ネル ギ ー商 品 と して の使 用 価 値 が成 立 し得 な い とい う特 異 性 を 有 す る こ とよ り,そ の負 品質 要 因 に 関 す

る究 明 が 原子 力 及 び関 連 生 産物 商 品 化 の重 要 な課 題 とな っ てい る。

以上,主 要 な産 業技 術 の歴 史 的 な流 れを 中心 と して商 品 の 品質 に関 す る問 題 を 断 片 的 に関 連 づ け て述 べ て きた が,こ こで産 業 革 命 後 の技 術 進歩 が 大 き な原 因 とな って もた らされ た 現 実 の 独 占的 資本 主 義 社 会 に お け る品 質 問題 を よ り深 く考 え て み よ う。

前 述 の よ うに20世 紀 に入 ってか らは先 進 的 資 本 主 義 諸 国 で は 資 本 の独 占集 中が 産 業 経 済 の主 流 とな った の で あ るが,特 に 資 源,技 術 な どの 生産 条 件 に 恵 まれ た ア メ リカでは 商 品の 大 量 生 産 方 式 が発 展 を続 け,こ れ は 新 しい 市 場

(7)核 分 裂 生 成 物 に よ る 環 境 汚 染 と,そ の 食 品 工 業 え の 利 面 に つ い て は 次 記 の 拙 著 に も述 べ て あ る 。 小 樽 商 科 大 学 人 文 研 究.No.26,103〜126(1923),商 品 研 究 No.47,1〜7(1961)

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産業 の進 歩 と商品 の品質につい て(斎 藤)

一13一

状 況 た とえぽ商 品 の多 様 化,配 給 上 の 新技 術,購 買 力 の増 加 な どを もた らす と共 に 商 品供 給量 が 市場 の相 対 的 狭 降 化 を よそ に増 加す る事 態 を も もた らし た 。 か よ うな事 態 に 直 面 した 生 産 者 に とっては 実 需 以上 の量 産 品 を如 何 に し て 大量 販 売す るか とい う課 題 が 最大 関 心事 とな り,こ の課 題 の追 求 が 次第 に ア メ リカに おけ る商 品 研究 の支 配 的動 向 とな るに 至 った 。 即 ち量 産 され た 最 終 消費 財商 品 を 主 対 象 と し,そ れ の 市場 的 考 慮 に 基 づ くsellingpoint(販 売 基 点)と い う品質 と価 格 の 統 合 的 概 念 の 究 明 と 需 要 に 適 応 したmerchan‑

dising(商 品 計 画)に よ って 商 品 と して の あ るべ き 姿 を も追 求 す る とい う販

(8)

売 論 的 商 品研 究 が 進 め られ る よ うに な った 。

(9)

これ は 前 述 の ドイ ッ学 派 の 品位 論 的商 品研 究 と研 究 の主 対 象 は 勿 論,研 究 目標 の成 立 す る基 盤 に お い て も対 照 的 で あ るが,か よ うな研究 動 向 が 生 まれ る のは 市 場 の独 占化 が 進 む ことに伴 う必 然的 現 象 と も解 され る。 市場 が 自由 競争 の 段 階 即 ち多 数 の 生産 者 が,そ の製 品 を 消費 者 の使 用価 値 要 求 に 適応 さ せ る こ とを 競 い,一 方 消費 者 もそ の要 求 と提 供 され る商 品 の 品質 とを比 較 考

(か い)

慮す る知識を持ち得た段 階では商 品の品質は使 用価 値か ら乖離す る度合は少 なか ったため,使 用価値 の直接的現象形態(品 質の一次要 因)を 品質 と解 し

(8)こ う し た ア メ リ カ 商 品 研 究 の 初 期 の 動 向 に つ い て は1・B・WINGATE etc:̀̀Knowyourmerchandise,"N.Y.(1944)やB.NASH:"Developing

ma「ke七ableP「oductsand七hei「Packagings・"N・Y・(1945)が 参 考 と な り, 商 品 のsellingPointと し て は 適 合 性(sui七abili七y),耐 久 性(durability),融 通 性(versatility),ス タ イ ル(s七yle),魅 力 性(a七tractiveness),快 適 性(comfort), 所 有 の 誇 り(prideofownership),価 格(pric6),利 用 上 の 難 易(carerequired) な ど を あ げ て い る 。

(9)か よ う な 自 然 科 学 的 色 彩 の 強 い 商 品 研 究 は 現 在 で も ドイ ツ に お い て 行 な わ れ て い る が,一 方 第 二 次 大 戦 後 に は 社 会 科 学 的 な 色 彩 を 加 味 し た 商 品 学 の 体 系 化 も 試 み られ て い る 。 た と え ば,ド イ ッ で 現 在,商 品 学 の 一 つ の 支 点 と な っ て い る ケ ル ン 大 学 のA・KUTZELNIGG教 授 は 商 品 の 把 握 に は 従 来 のWarenkundeの

概 念 の み で は 不 充 分 で あ る と し,WirtschaftlichenWarenlehreな る 概 念 を 提 唱 し て い る 。 こ れ は 「商 品 と し て,要 求 を 充 た す 天 然 品 や 加 工 品 を 対 象 と し,自 然 科 学 的 基 礎 に 立 ち 経 済 的 立 場,こ と に 消 費 の 場 か ら 論 ず る も の で あ る 」 と 述 べ.

同 教 授 は シ ガ レ ッ トを モ デ ル ケ ー ス と し て 選 び,そ の 概 念 を 展 開 し て い る 。 A.KUTZELNIGG:DieZigarettealsModellfallderWiptschaftliche喚

Warenlehre,K61n,(1962).

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一14一

商 学 討 究 第16巻 第1号

て も多 くの 場 合 矛盾 な く通 用 した もの と思 わ れ る。 しか し市場 が 不 完 全 競 争 か ら独 占化 に 近 づ くに つ れ て,生 産 者 は 最 大利 潤 を 大量 生産 した 商 品 の 大量 販 売 に求 め,さ らに 技 術 競争 の もた らす 新 商 品 を 消費 者 の品 質 知 識 の 育成 を また ず に多 様 化 し販 売 活動 に よっ て 消費 を 促進 させ よ うとす る結 果 は 必 然 的 に商 品 の 品質 と使 用 価 値 との調 和 を破 り,両 者 の乖 離 量 を増 大 す る事 態 を 招 来 した 。 即 ち,そ の一 つは 品質 に 使 用 価 値 の 直接 的 現象 形 態 で あ る・ 一次 要 因 の 他 に使 用価 値 とは 直接 関 係 な く して 消費 者 の購 入 動 向に影 響 を与 え る市 場 的 属 性 と もい うべ き二 次 要 因(例,ス タイル,モ ー ド,色 彩,包 装 な ど)が 附 加 す る ことに よ る乖 離 で あ り,他 は 広 告 そ の他 の販 売 活動 に よ る乖 離 で あ

る。 現 実 の市 場 に お い て はー 商 品 の広 知 性 が品 質 と共 に非 価 格 競争 の 重 要 な要 素 とな り,大 量 生 産 され た商 品 の需 要 を換 起 す る有 力 な手段 と して マス コ ミ

媒体 に よ る広 告,そ の他 の販 売 活動 が 強化 され,こ れ が 商 品 と企業 イ メ ー ジ を 育 成 して品 質 の乖 離 現 象 を助 長す る傾 向を 生 ん で い る。 そ の 典 型 的 な商 品 形 態 を 有 標 商 品(brandedgoods)の 成 立 に み る こ とが で き る。

元 来 企 業 体 の 行 な う広 告 に は商 品 の多 様 化 に 伴 な う消 費 者 の 品 質 知 識 の 不 完 全 化 を是 正 す る使 命 を も有す る もの で あ るが,そ の実 体 は 啓 蒙 的使 命 を逸 脱 し,品 質 を 偽 装 的 に乖 離 さす こ とを狙 い とす る広 告,た と えば,品 質 の二 次 要 因 の 改変 を 主 力 と した既 存 商 品 の 陳 腐化 に よっ て販 売 を 促 進 しよ うとす る生 産 者 の広 告 の な か に は,改 変 した二 次 要 因 を,そ れ 自体 が もつ性 能 と し て 消費 者 に訴 え るの で は な く,新 製 品 な る名 称 を使 い,恰 もそ れ が使 用 価 値 に 直 結 す る一 次 要 因 の性 能 改 良 で あ るか の如 き印象 を 与 え る こ とに よ り品 質 競 争 を 有利 に 展 開 し,商 品流 通 の流 れ を 誘 導 支 配 しよ うとす る広 告す らみ ら れ る実 情 で あ る。

この よ うに 資本 の独 占化 が進 む に従 つ て生 産 者 の利 潤 獲 得 とい う目的が 品

質 に反 映 され る度 合 が 高 ま り,品 質 を 歪 曲 した 結 果,消 費 者 の 商 品 に対 す る

購 入 序 列 の選 定 とか 使 用 価 値 優 劣 の判 定 が ます ます 困難 とな った が,そ の不

合理 性 を 消聲 者 自身 の 自覚 に よ って 解 決 し・ 自己 の利 糞 を擁 護 しよ うとす る

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産 業 の進歩 と商品 の品質 につ い て(斎 藤)

一15一

消 費 者運 動 が 消費 と生産 の 不 均 衡 を露 出 した1929年 の恐 慌 を 契 機 と して ア メ

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リカに 起 き,こ れ が次 第 に 各 国 に 波 及 し,機 関 紙 に よる商 品購 入 の た め の 品 質情 報 の提 供 を 行 な うと共 に 組織 を 通 じて,消 費 の場 を 中心 と した いわ ゆ る

(11)(11)

品 質規 格 の設 定 と格 付,ま たは 品 質表 示制 の 実 施 を具 体 的 に 政 府,生 産 者 な どに要 望 す るな ど次 第 に活 発 な運 動 を展 開 す る よ うに な った 。

ロ リ

こ こに品 質表 示 を 法律 で規 制 し,こ れ を制 度 化 しよ うとす る動 向を 生 んだ が,国 家 権 力 と独 占的企 業 との結 合 が み られ る よ うな社 会 では,表 示 法 は 任 意 法 と して成 立 し,規 制 力 を 弱 め られ て い る現状 で あ る。独 占的 企 業 に よっ て もた らされ た前 述 の有 標 商 品 は 品 質 を 背後 に お き商 標 を 有 力 な販 売 促進 因 子 と して成 立 させ た が,品 質表 示 の一 般 化 が 実 現 す る と 商 標 の効 果 は減 少 し,遂 には 符 牒 以外 の何 もの で もな くな る よ うな事態 とな る こ とも予想 され るた め に,そ の完 全実 施 を阻 止 し よ うとす る動 き も生 れ るの で あ ろ う。何 れ に して も消 費 者運 動 は独 占の進 展 に伴 う品 質 の乖 離 現 象 に対 す る消費 者 の 自 衛 手 段 で あ る こ とは確 か で あ る。

以上 述 べ た よ うに 独 占的 資 本 主 義 社 会 に お い ては,品 質 の乖 離 現 象 に よっ て 商 品 の使 用 価 値 を 正 当 に 競 う競争 が偽 装 され る よ うに な った とは い え,品 質 競争 の主 流 は 生産 技 術 の 進 歩 を 母体 と して 進 行 して い る こ とは 事 実 で あ

(10)こ の 運 動 の 導 火 線 と な っ た の はEJ.scHLINKな ど が 著 し た"Your Money'sWorth"NY・(1927)と い わ れ て い る 。 そ の 後 ア メ リ カ で は1929年 に Consumer'sResearch,CRま た1936年 にConsumer'sUnion,CUが 組 織 さ れ,機 関 紙Consumer'sReportを 発 行 す る な ど活 発 な 運 動 を 続 け て い る 。 我 国 で は こ の 運 動 が 全 般 的 に 遅 れ て い る が 日 本 消 費 者 協 会,消 費 科 学 セ ソ タ ー な ど の 組 織 が あ る 。 ま た1960年 に は14力 国 の 代 表 が ハ ー グ に 集 っ て10CU国 際 消 費 者 機 構 を 結 成 し,国 際 労 働 機 関(ILO)が 労 働 の い ろ い ろ な 基 準 を き め た よ うに,消 費 者 を 中 心 と し た 国 際 的 な 品 質 基 準 を き め る べ き で あ る と して 活 動 を 続 け て い る 。 (11)我 々 の 日常 産 活 の 中 で の 品 質 な る 言 葉 は 極 め て 常 識 的 用 語 と し て 通 用 し て お

り,ま た 経 済 学 で の 品 質 の 考 え 方 も理 論 的 に 確 定 し た も の とは い え な い よ うで あ っ て,一 般 に 商 品 の 実 質 的 性 能 と み て い る 。 これ は 本 文 で い う品 質 の 一 次 要 因, 即 ち 使 用 価 値 の 直 接 的 現 象 形 態 に 該 当 す る も の で あ っ て,こ れ の み で 独 占 的 市 場 に あ る 商 品 の 品 質 把 握 の 不 可 能 な こ と は 前 述 し た 。 一 般 的 用 語 と し て の 品 質 規 格,品 質 表 示,品 質 管 理 な どに み る 品 質 は 本 文 中 の 品 位.即 ち,使 用 価 値 と結 び つ い て る 理 化 学 的 属 性 の 計 測 的 指 標 ま た は 評 価 と解 す べ き も の で あ る?

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一16一 商 学 討 究 第16巻 第1号

'

る 。 経 済 発 展 と 技 術 進 歩 と の 関 連 をJ.A.scHuMPETERはinnovationな    

る概 念 で 説 明 し,氏 に よれ ぽ 独 占的 競 争 とな って価 格 協 定 や 生 産 制 限 な どに よ り競 争 条 件 が変 って も新 商 品,新 生産 方 法,新 原 料 とい うよ うな技 術 的 競 争 は 新 市 場,新 産 業 組織 を伴 な い つ つ進 行 す るの で あ る。 この独 占理 論 に つ い て は 種 々の批判,検 討 も試 み られ て い るが,多 くの経 済 学 者 の支 持 を 得 て

(13)

い るの も事 実 で あ り,ま た 品 質 論 の立 場 か らす れ ぽ,現 実 の 市場 に おけ る動 態 的 品 質 競 争 の 把 握 に示 唆を 与 え て い る こ と も確 か で あ る。 しか し生産 技 術 の経 済 学 的解 釈 は 技 術 とそ れ 自身 が 本 来 人 間 の 意 志 か ら独 立 した 客 観 的 自然 を 対 象 と した理 化 学 的 法 則 を 基 盤 と して成 立 す る とい う本 質 を 捨 象 し,そ の 現 象 で あ る技 術 の経 済 学 的効 果 のみ を 追求 す るの に対 し,技 術 的 効 果 が具 象 化 され て い る品 質 を 追 求す る場 合 に は 自然 科 学 的 解 釈 を捨 象 し得 ない とい う

点 に 大 きな 相異 が あ る。

次 にinnovationな る概 念 を 部 分 的 に 導 入 して,品 質 の 動 態 的 流 れ の 現 象 論 的 追 求 を 試み た 結 果 の概 要 を述 べ て み よ う。 品 質競 争 の 主流 は 品 質 の 静 態 的 均 衡状 態 に あ る市場 の なか に新 技 術 の開 発 に よっ て もた らされ た 革 新 的 品 質 を 中心 と して展 開 され る場 合 が多 い 。 こ こで革 新 的 品 質 とは 同一 使 用 目的 を有 す る同系 商 品 間 で は 最大 利 潤 を提 供 し得 る優位 品 質 で あ って,品 質 の 一 次 要 因 を主 要基 盤 と して成 立 し,特 許そ の 他 の企 業 諸 条 件 に よっ て或 る期 間 市場 で 独 占的地 位 を 保持 し得 る品 質 と解 す べ きで あ る。 これ には 既 存 品 質 に 対 す る独創 的品 質(例,生 糸に対 す る ナイ ロ ソの 品質)は 勿 論,既 存 品 質 で も青 藍 と合成 イ ソジ ゴの例 に み られ る よ うな 新 生 産 技 術 の 導 入 とか 新 資 源 の 開 発 に よっ て優 位 品 質 に転 化 した もの を も含 ん で い る。

か よ うな革 新 的 品 質 が 市 場 に 出現 した 場 合 の反 応 と して は,当 初 競 争 者 の

(12)J・A・scHuMPETER:"Businesscycles,"2vols・N・Y・(1939)金 融 経 済 研 究 所 訳 「景 気 循 環 論 」1,有 斐 閣(1958)・f̀Capi七alism,Socialismand

Democracy,"N・Y・(1942)・ 中 山 伊 知 郎 ・東 畑 精 一 郎 訳 「資 本 主 義 ・社 会 主 義 ・ 民 主 主 義 』 上 巻,東 洋 経 済 新 報 社(1962).

(13)こ れ に 関 し て は 内 外 に 多 く の 文 献 が み ら れ る も,和 書 で は 吉 田 昇 三:r競 争 ・狸 占 と 経 済 発 展 」P.98,Pp.198〜226,春 秋 社(1959)が 参 考 と な る 。

(17)

叡,

産業 の進歩 と商品の品質について(斎 藤)‑17一

既存 品 質擁 護 の立 場 か らす る攻 勢 的 防 禦 手 段 も と られ るカζ,な か に は競 争 に 破 れ て 淘 汰 品 質(例,藍 の 品質)と 化 す る もの もあ る。一 方革 新 的 品 質 は時 間 的 経過 に伴 い次 第 に競 争 者 に 模 倣 され て 普遍 的 品 質 に転 化 し,遂 に はそ の 性 格 を失 うが,そ の前 後 に 市 場 に新 革 新 的 品 質 が 出現 し,再 び動 態 的流 れ を 生む とい う一 般 的 過 程 が 考 え られ る 。か よ うな流 れ の 方 向 と速 度 は 品 質 の支 配 的形 成 要 因 で あ る 自然科 学 とか技 術 の発 展動 向あ るい は 消費 者 の欲 求 動 向 な どの 配制 約 下 に あ るが,そ の間 に おけ る既存 品 質 の 攻 勢 的 防禦 手 段 また は 普遍 化過 程 に み られ る競 争 手 段 と しては,品 質 の一 次 要 因 が硬 化 状 態 に あ る た め,い きお い 品質 競 争 は デザ イ ン,色 彩 な どの外観 的 な 品質 二 次 要 因 の改 変 を 主 力 と した商 品差 別 化 方策 が と られ,さ らに前 述 の よ うな性 格 の 広告 競 争 も強 化 され る結 果 品質 の乖 離 量 が増 大 し,ま た 品 質 競争 が限 界 に達 した 場

  ラ

合 に は価 格 競争 の事 態 も招 来 され る こ とが あ る。 また革 新 的 品質 の普 遍 化 過 程 に お い て は,使 用 価 値 の進 歩 の伴 なわ な い商 品差 別化 を もっ て新 製 品 と称 す る商 品 が 市 場 に多 くみ られ る よ うに な り,特 に 商 品 に 社 会浪 費 的性 格 が強 く附 加 され るの は,資 本 力 と技 術 能 力 の接 近 してい る寡 占的企 業 が利 潤 の拡 大 を 旧 型 か ら新 型 え とい う買換 的 な代 替 需 要 に求 め て 競 う場 合 で あ る。 これ らは偽 装 的 品質 競 争 に おけ る新製 品 であ って,革 新 的 品 質 を有 す る新 製 品 と は本 質 的 に 区 別す べ き もの で あ る。

現 実 の 市場 に お い て は革 新 的技 術 の獲 得 は,市 場 支 配 とか 競争 排 除 の有 力 な手 段 とな り得 る こ とか ら大 企業 は 何 れ も大規 模 な研 究 機 関 を設 置 して,そ の開 発 に努 め,独 占推 進 の母 体 に せ ん と して い る ことは周 知 の事 実 で あ る。

しか し自然科 学 的 発 見 とか 技 術 的発 明は 新 しい 生 産 的可 能性 を創 造す るが, そ れ 自体 は必 らず し も経 済過 程 の進 行 に影 響 を与 え る とは い え な い 。 これ ら

(14)グ ルタ ミン酸 ソーダ またはそれ を主成 分 とす る 化学調味料 の場 合は 品質 一次

要 因に よる競争 が限界 に きた 商品 とみ る ことが 出来 る。 そ こで メー カー間では包

装,容 器な どの二次要 因に よる競争 と,一 方 では生産 の資源 と 技術 の開 発に よる

販 売価 格 引 き下 げ,即 ち価 格競争が 行なわれ てい るのは,こ の例 であ る9

(18)

一18一

商 学 討 究 第16巻 第1号

の成 果 が 革 新 的 品 質 出現 へ と発 展 す るた め に は,そ の成 立 に関 連す る生産, 市 場,消 費 の場 に あ る諸 要素 を吟 味 した企 業 者 活 動 の媒 介 を 得 る ことが 必 要 で あ る。 また,た と え市 場 に成 立 した革 新的 品質 で あ って も独 占的 市 場 に あ って は 品質 乖 離 の 現 象 は免 れ得 な い し,さ らにそ れ が成 立 す る場 を 考 え る と 当 然 商 品 の もつ 他 の側 面 で あ る価 格 との関 係 を含 む 社 会 経 済 的諸 条件 か らの 解 釈,即 ち社 会科 学 的 方式 で 自然 科 学 的 な質 の面 を 統 合把 握 す る ことが必 要 で あ って,か か る方 法論 の確 立 に よ り始 め て品 質 の動 態 的究 明 とか,そ の 背

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後 に ひそ む法 則 性 の 追求 が可 能 と思 わ れ る。

次 に社会主義体制下に ある ソ連及び 中共 におけ る品質 を中心 と した商品学

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の研 究 動 向 を若 干 の資 料 に よって 観 察 してみ る。勿 論 これ らの 国 々に おけ る 商 品 の概 念 は 資 本 主 義 諸 国 に お け る概 念 とは異 な り,原 則 的 に は配 給 物 資 あ るい は 消費 物 資 を 意 味 す るが,中 共 で は我 国 と同 じ く商 品 な る文 字 を 使 用 し て い る の で,こ こ で も一 応 そ れ を 使 用 す る こ とに す る 。

ソ連 では 第 二 次 大 戦 後 の数 次 に わ た る経 済 計 画 を遂 行 す る に当 り,内 外 商 品 特 に 生 産 財商 品 に 関す る質 的知 識 の修 得 が 国 家的 要 請 とな り,1950年 代 か

(f5)品 質 競 争 の 問 題 を 真 正 面 に と り あ げ た 経 済 学 は 殆 ん ど 見 当 ら な い の で あ る が,LABBOTTは 品 質 の 性 格 と か 要 素,さ ら に 価 格 及 び 需 要 動 向 に 種 々 の 仮 定 を も うけ て,品 質 変 化 を 生 産 量 と 平 均 費 用 の 関 係 で 示 す 等 品 質 曲 線,需 要 量 と 平 均 費 用 の 関 係 で 示 す 選 択 曲 線 あ る い は 生 産 量 と 限 界 費 用 の 関 係 で 示 す 限 界 費 用

曲 線 な ど と 関 連 づ け て 追 求 し て い る 。 こ の 理 論 は 設 定 仮 定 が 多 い た め 現 実 か ら逸 脱 させ る危 険 も あ る が,品 質 競 争 の 動 態 的 分 析 に は 示 唆 す る と こ ろ 多 い と 思 わ れ

る 。

LABBOTT:"QualityandCompetition.AnEssayinEconomicTheory,"

ColumbiaUniv.press,(1955).

(16)ソ 連 に お け る 商 品 学 の 文 献 に つ い て は 上 坂 酉 三:商 品 研 究,No.48,p.1 (1962)に 紹 介 さ れ て い る 。 そ れ に よ る と ソ連 の 国 立 商 業 学 図 書 出 版 所 か ら 出 され て い る主 要 な 商 品 学 書 と して は,D・A・ANDRSEEVICHI:"Tawarovedenie"

(1955),G.A.ORLOV:"Spravochniktawarovedapromyishlennyikh

Tawarov"(1956),其 の 他 ナ ウ カ社 の 図 書 目録 に よ る と ,1950〜60年 代 に7冊 の 食 料 商 品,工 業 製 品,繊 維 商 品,商 品 辞 典 及 び 実 験 演 習 に 関 し た 商 品 学 書 が み ら れ る 。 中 共 で は 中 国 人 民 大 学 商 品 学 研 究 室 編:商 品 学 教 科 書,上 巻PP・1〜352, 下 巻PP・1〜429(1957)が 代 表 的 な も の で,こ れ は 貿 易 経 済,貿 易 統 計 な ど の 専 門 学 生 が 商 品 学 課 定 を 学 習 す る た め に 編 さ ん さ れ た も の で あ る 。

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産業 の進歩 と商品 の品質 につい て(斎 藤)

一19一

ら,こ の要 望 に こた え る形 態 の商 品 学(Tawarovedenie)が 本 格 的 に 研究 さ れ る よ うに な った 。 そ の 研 究 の動 機,対 象及 び 内容 に前 述 の19世 紀 末 に発 生,発 達 した ドイ ツ派 商 品学 と類 似性 が認 め られ る こ とは興 味 深 い 。

一 方 中共 が ソ連 商 品 学 を根 源 と して導 入 した こ とは ,同 国 に おけ る代 表 的 な商 品学 書 で あ る 中国 人民 大 学(北 京)の 商 品 学 教 科 書 の序文 に 「ソ連 商 品 学 を学 習 して,斬 新,指 導 的 な科 学 理 論 の基 礎 の 上 に,中 国 の実 際 材 料 … …」

とあ る こ とか らも理 解 され,ま たそ れ に よ る と両 国 で は 自然 科 学 的 色 彩 の極 め て強 い商 品 研 究 が 強 烈 な イ デオ ロギ ーの も とに進 め られ て い る こ と も うか が え る。 た とえば,そ の研究 対 象 と 使 命 に つ い ての 考 え方 を 要 約す る と,

「商 品学 は 偉 大 な るMARXの 理 論 に基 づ い てー 商 品 の使 用価 値 を 研 究 す る科 学 で あ っ て,社 会 主 義 国 家 に お け る商 品学 の本 質 は資 本 主 義 国家 の そ れ とは 根 本 的 に異 な る。 資 本 主義 制 度 の もとで は商 品学 は商 工 資 本 家 に 利 用 され て 高 額 利 潤 を 獲 得す るた め の道 具 と化 す る必 然 性 が あ るた め,研 究 の 重 点 は 商 品 の様 式,表 装(前 述 の 品質 二 次 要 因 を意 味 す る と解 す る)と い うよ うな 表 面的 な特 徴 とか 広 告 及 び販 売 手 段 に移 行 し,消 費 者 に とっ て 最 も重 要 な品 質 問題(前 述 の 品 質 一 次 要 因 を意 味 す る と解 す る)に 関 す る追 求 は 軽 視 され る こ とに な る。 か よ うな 研究 態 度 は 資本 家 の利 益 に奉 仕 す る もので あ っ て消 費 者 を無 視 した もの で あ る。 た だ 社 会 主義 制 度 に お い て のみ 商 品学 は 品 質 とそ の関 連 問題 に つ い て深 く追求 す る こ とが 可 能 で あ り,こ れ が社 会主 義 経 済 の 発 展 を促 進 し,か くして商 品学 は労 働 人 民 の物 質 的 福 利 を 向上 させ る斗 争 的 科 学 とな り得 る」 と論 じて い る。 そ の 内容 に は形 式 的 教 条 のた め 一 部納 得 し か ね る点 もあ るが,資 本 主義 社 会 に おけ る商 品 の矛 盾 した 性 格 の一 面 を鋭 く 指 摘 してい る。

前 述 の よ うに我 々の周 囲 を み る と,使 用 価 値 とは直 接 関 係 の ない 品 質 二 次

要 因 の改 変 に 主 力 をお き,広 告,そ の他 の販 売 活動 に よっ て 消費 者 の購 入 動

向 を心 理 的 に 誘 導 支 配 し よ うと して 生靡 され る商 品 拳 るい は 消費 を 意 識 的 に

(20)

一20一 商 学 討 究 第16巻 第1号

くユ  

創 出 しよ うと して生 産 され る商 品 が多 い事 実 に多 少反 掻 を 覚 え る昨 今,そ の 強 烈 な教 条 に 快 感 を 感 ず るの も否 定 出 来 ない 。

社 会主 義 社 会に おい て,か よ うな 研究 動 向 が成 立 す るの は,原 則 的 に 資 本 主 義 的 な市 場 が 存 在 しない た め,独 占的 資本 主 義 社 会 の よ うに 生 産 者 の利 潤 獲 得 とい う目的 が 品 質 に 導 入 され る こ と,即 ち品 質 の使 用価 値 か らの乖 離 現 象 が 殆 ん どな く,工 場 で の 生産 物 の使 用 価 値 は,そ の ま ま品 質 へ と転 化 し, 消 費 者 に移 行 して 実 現す る とい うメ カ ニズ ムが成 立 す るた め と解 され る。換 言す れ ば,こ れ らの 国 に お い て は商 品 の品 質 が 使 用 価 値 の 直接 的 現 象形 態 と

して成 立す るの で あ る。従 って,そ れ に関 す る研 究 を主 目的 とす る社 会主 義 国 家 の商 品学 が 自然科 学 的 理 念 を 基 盤 と した ものに な る こ とは 必 然 的 な帰 結 と もい え る。 しか し,経 済 の体 質 改 善 方 策 の 一環 と して 消費 財商 品 の生 産 性 向上 に も意 を注 ぐ ソ連 で は,そ の生 産,消 費 の 非 能 率性 とか 不 合理 性 を克 服 す る手段 と して,最 近,商 品 生 産 に お け る利 潤 観 念 と市場 概 念 の部 分的 導 入

   

とい う問題 が論 ぜ られ,一 部実 施 され てい る よ うで あ るが,こ の場 合に は資 本 主 義 国家 とは異 な る意 味 で の 品 質乖 離 現象 が伴 うもの と推 察 され,そ の分 析 は 興 味 深 い 課題 で もあ る。

と ころで 資 本主 義 体 制,社 会主 義 体 制 の如 何 に拘 らず,消 費 者 は 自己 の本 能 的 また は 意 識 的 な欲 求 を充 たす た め に商 品 を求 め るので あ るが,求 め る も の は 本 質 的 に は商 品 そ の もの で は な く,商 品 に 具 象 化 され て い る有 用 な 品質

(17)V・PACKARD:"TheWasteMakers"N・Y.(1960),南 博,石 川 弘 義 訳

『浪 費 を つ く り 出 す 人 々 』 ダ イ ヤ モ ン ド社(1961)ま たD・MCCONKEYの"Out

ofYourPocket"紫 田 徳 衛 訳 「独 占 資 本 の 内 幕 」 岩 波 新 書,(1955).な どに は, 利 潤 獲 得 を 唯 一 の 目 的 と す る 生 産 者 や 販 売 業 老 が,商 品 に 非 良 心 的 な 性 格 を 加 え

よ う と し て い る 様 子 が 描 か れ て い る 。 そ れ ら の 例 は 現 実 の 市 場 に お け る品 質 乖 離 の 一 側 面 を 物 語 っ て い る と思 う。.

(18)1962年9月 発 表 のEリ ー一ベ ル マ ン(ハ リ コ フ技 術 経 済 大 学 教 授)の 「企 業 の 生 産 指 標 に 利 潤 を 取 り入 れ よ 」 と 唱 え る,い わ ゆ る リー ベ ル マ ン 提 案(1964年

9月 に 補 強 論 文 発 表)と,そ れ を さ らに 発 展 さ せ た と い わ れ るV・ トラペ ズ ニ コ フ(科 学 ア カ デ ミア 会 員)の 「弾 力 的 な 企 業 管 理 の た め に 」 と い うよ うな 論 文 の 要 旨 と 関 連 事 項 を 解 説 した 新 聞 記 事(北 海 道 新 聞.昭 和39年11月19〜20日,朝 刊, 朝 日新 聞t昭 和40午4月9日 、 夕 刊)に ょ るg

(21)

産業 の進 歩 と商 品の品質につ い て(斎 藤)

一21一

を求 め て い るの で あ る。 か よ うな 消費 者 の欲 求 を商 品 に優 先 的 に反 映 させ る

べ きで あ る こ とは 経 済 の 基本 路線 が 消費 を ゴ ール と して い る こ とか らも当 然

の姿 で あ る。即 ち 消費 を 無視 した 生産,配 給 は本 来 あ り得 な い とい う意 味 に

お い て,現 実 の 独 占的 資 本 主義 社 会 に お い て も,商 品生 産 の反 社 会的 性 格 の

究 明 と共 に 消費 を 基 本 観 点 とす る品質 理論 の動 態 的 追求 が前 述 の 消費 者 運 動

の 志 向,発 展 と平 行 して,ま す ます 必 要 な事 態 に な る もの と思 わ れ る。

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