弘前大学教育学部紀要 第50号 :45‑60(1983年9月) Bull.Fac.Educ.HirosakiUnLV.50:45‑60(Set).1983)
小学校教員養成課程学生 の意識調査
一 体 育 科 の実 技 授 業 を 中心 と して‑
(1983.7.14受理)
麓 信 義 キ・小 山 秀 哉 キ
Questionnairetostudentsoftrainingcourseforelementaryschoolteachers
‑ mainlyastophysicalexerciseclasses‑
NobuyoshiFumoto& ShuyaOyama
子供 の発達初期においては,知能 と運動能力の発達は深 く関連 してお り,病気等で十分な身体運動が行え ない と一時的な精神発達 の遅滞が生 じることは, よ く言われ ることであ る。 また,言語能力の十分発達 して いない段階において,子供は,動作を繰 り返 し行 うことに よって様 々な概念を獲得 して行 くことが ピアシェ0カ に よって明 らかに されてきている。
生理学 の方面か らは,神経系の発達は成長の ご く早 い時期にその ピークがあ るとされ (スキ ャモンの発育 4d 曲線),小学生の問に様 々な運動を体験 させ,神経系の発達を促す ことが必要であ ると言われ てきて い る。
運動を好んで行 う人間, いわゆ るスポーツマ ンには,情緒 の安定 した外 向的な望 ましい性格特性があ る, と
(4) (a)
い う研究や,運動遊びが心理的に好 ましい影響を与え るとい う研究があ ることと結びつけて考え ると,小学 校期は様 々な運動能力を開発 させ るための大切な時期であ り,そ こで開発 された能力は,一生を通 しての財 産 とな ると考え られ る。
さらに,近年は,身体の動 き, いわゆ る大筋運動を用 いて,算数,数学か ら物理学,ほては経済学の よう的
な社会科学 の概念 まで も教 えて行 こうとす る試み もな されている。
この ように,身体運動は,子供に とって重要な活動であ り,身体の教育,すなわち,体育は小学校におけ る重要な教科であ る。
身体を実際に動かす ことの重要性は,体育に限 らず音楽や図画工作 (図工)について もいえ ることであ り, その ことは,小学校教諭免許状の授与にあた って, これ らの3教科の うち2教科以上について,それぞれ2 単位以上を取得す ることが定め られ ていることとも無関係ではない ように思われ る。
この ように考え ると, これ らの教科の実技の習得 と,小学生に とっての実技の意味づけほ,小学校教員に なる場合,必要不可欠な もの とな るであろ う。
それでは,その小学校教員を養成す る大学 の カ リキ ュラムは どうな っているであろ うか。昭和53年に 日本 (9)
教育大学協会が行 った調査に よると,ある教科の授業を多 くとり,その教科について深 い研修を積む ととも に,他の小学校教科全般を浅 く広 く学習す る, いわゆ るピーク制の制度を とっている大学が,51大学 (北海 道教育大学は5つに教え る)中,48校であ った。
本学も,以前は, この制度を採用 していたが,昭和54年 の入学生か ら,制度が変更にな った。 ピーク制 の 長所短所は,上記調査 の報告書で も議論 されている。 ここではその是非には触れないが, この改正で,それ まで音楽 ・図工 ・体育の 3教科 (以下,実技 3教科 と称す る) とも実技単位それぞれ 2単位必修であ った も のが,免許法にあ る通 りの2教科選択必修にな った。学生に とっては負担減であ り,教え る側に とって も, 200人近 くの学生を相手にす る授業か ら,若干の学生減 とな り,負担減 とはな った。
しか し, ピアジェの言 う具体的操作期にあた る小学校教育の現場か らみ ると, この改正が免許法の考え方 をその まま踏襲 した もの として も,適切であ ったか ど うかは問題であ る。
* 保健体育科教室
そ こで本研究においては,小学校課程の学生の意識調査を,体育実技科 目に対す る意見を中心 として行 っ た。主な調査対象は,上記制度変更後一期生の昭和54年4月入学 の小学校教員養成課程 (小学校課程)の学 生であ る。本学部小学校課程の体育実技科 目は,小学専門体育 Ⅰ (小専体育 Ⅰ) と,同 Ⅱ,それぞれ1単位 よりな り, 体操 と器械運動 ・サ ッカー ・水泳(I),バスケ ッ トボール ・ダンス 。スキー(Ⅲ)を主 として教え ている。 これ らは,%単位ずつ当該教官が授業を担当 し, 3種 目すべてに合格 しない と合計1単位 として認 定 されない。そ して, ダンスとスキーを除いてテス ト課題があ り, 基準に達 しない と,授業に出席 しただけ では単位が取得できない ことにな っている。た とえば,水泳の場合,30∽泳げ ること, とな っている。 これ らの基準は,各種 目の理想的最 低限の 目安に対 して,現実の学生の能力や,練習環境を考慮 して経験的に各 教官が定めているものである。十分練習を積めば,教員 として最低限の身 体的資質を持 っている学生に とっ ては, 不可能な基準ではな く, 真面 目に練習 した学生は単位を修得で きる。 水泳の場合, 日本赤十字社の
「『水 上安全』 のてび き」に よると, 2種 目で100m以上泳げ ることが安全に泳げ る基準であ ると してお り, 指導者になる場合 も,泳げ る距離が長い方が望 ましい と考え られ るが,学生の 9割以上が25m泳げ るよ うな
(7;19)
大学の場合 と異 り,25m以上泳げる者が女子の28%,男子の49%しかいない(54年生の場合)本学部小学校 課程 の学生に対 しては,現実的な基準 と考え られ る。
調査の主題は, これ らの授業において,基準を設けて,達成で きない学生を不可 と してい ることの是非, そ して,音楽,図工,体育の実技3教科必修を, 2教科選択必修に変えた ことの是非について,上記学生に たずねて,体育実技科 目に対す る彼 らの意識を検討す ることであ る。なお,昭和58年に入学 した同課程の学 生 と,改正前年度の昭和53年同課程入学 の学生に対 して も同 目的の調査 を行い,比較対照 して考察 した。
また,小学校で教 える8教科についての意識 も,休青の位置づげを調べ る意味で,調査項 目に加えた。 こ の調査項 目について も,注 目すべ きデータが得 られたので報告す る。
(方 法)
主な調査対象は,昭和54年入学の小学校課程の学生である。 調査境 目は,小学校で教え る8教科について, その重要度, 自分が好 きか どうか,教え易いか ど うか,を5段階評価でたずねた もの,実技科 目の受講状況 調査,実技3教科必修の是非,小学専門体育の授業で合格基準を設定す ることの是非をたずねた もの,教 育 学部志望理 由の実態調査 よ りな る。
これ と比較対照す るため,改正前の最終学年であ る昭和53年入学の小学校課程の学生に,体育実技科 目の 必修,合格基準制度の是非をたずねた面接調査を行い,昭和58年入学の小学校課程の学生に対 して も,上記 調査の一部分についての質問紙法に よる調査を行 った。後者は,主な対象者であ る昭和54年入学生の意識に,
2年半の大学での教育の影響があるか ど うかを検討す るために行 った0
昭和54年入学生については,3年後期初めに,体育教材研究の授業中に,昭和58年入学生については,1 年前期, 5月初旬に,教養部の体育実技の授業中に用紙を配 布し調査 した。
昭和53年入学生については,4年後期に,同学年の保健体育科教室の所属の学生を使 って面接調査を行 っ た。そのためサ ソプル数が在籍 人数の%弱に しか達 しなか った。
具体的な調査項 目は,結果 の ところで記述す る。
調査 人数は,昭和53年入学生,男子25人,女 子32人,昭和54年入学生,男子51人, 女子76人,昭和58年入 学生,男子75人 女子95人であ る。定員は, この間170人で変化 していない。
く結 果)
1.昭和54年入学について (1)学生の プロフ ィール (図1)
昭和54年入学生 (54年生)は,男子の80%,女子の86%が現役であ り,本学校教育学部を第1志望の者は, 男子49%,女子60%であ った。第1志望でない学生につ いての調査では,本学他学部,他大学教育学部,他 大学他学部が男女 ともほぼ%ずつであ った。
小 学校教員養成課 程学生 の意 識調査
本学教 育学部 は第1志望 か
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第1忘望 は
教 育学部 第1志望.rJ:戟師 こな 「'こ′て‑I
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現役で入≠ したか
所 属 サ ー クル
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図1 昭和54年入学生 (左) と昭和58年入学生 (右)のプロフ ィール
(上段が男,下段が女。単位は%。二者択一の白抜 きは 「はい」,横縞は 「いいえ」;(参の白抜 きは 「本 学他学部」,横縞は 「他大学教育学部」,縦縞は 「他大学他学部」;・④の白抜 きは 「ど うして もな りたか
った」,横縞は 「な りたか ったが,労働条件の よい方が主な理 由」,縦縞は 「何 とな く」)
本学,他大学を含め,教育学部志望者の8割以上は,男女 とも教員志望であ り,その理 由をみ ると, どう して も教 員にな りたか った とい う意見は,男子56%,女子29%で,男女差が認め られた。 また,女子にあ っ ては,男女平等,休みが 多い等,教員に有利な労働条件を最 も考慮 した とい う者が,男子 より1割がた多か った 。
さらに,所属 クラブをみ ると,女子に文化部所属の者が多 く,男子は運動部所属の者が半数であ ったo (2)小学校課程の実技教科について
音楽 ・図工 ・体育の実技3教科の実技科 目をすべて受講 している学生に難易度をたずねた ところ,男子の 6割は,音楽が最 も難 しい と答えたの対 して,女子では,4割に止 ま り,図工,体育 と答 えた者 も3割程度 であ った。 また,途中放棄 しそ うな教科があ るか, とい う問いについては,5割近 くが,ない, と答えてお
り,それ以外の回答は3教科にほぼ等 し く分布 していた (図2)。
調査時点で,実技3教科すべて2単位以上受講 していた者は,男女 とも80%であ り,受講 していない者の 主な理由は,別の必修 とぶつか っている (男子29%,女子33%),お よび,その科 目が得意でない (男子29
%,女子44%)であ った。
3教科必修の是非をみ ると,女 子は男子の2倍以上の58%が,3教科必修に賛成 している (図2)0 次に,体育の実技についてみ ると,小専体育 Ⅰは,男女共9割以上,同 Ⅲも8割以上が受講 した。 しか し, 小専体育 Ⅰの単位を取得 した者は,男子 の5割強,女子 の8割であ った。 これは,主 として器械運動のテス
トに合格 しないためであ る。 しか し,彼 らのほ とん どは,卒業 までに合格基準に達 し,単位を修得 している。
末修得の者 に,あ きらめ るか, と聞いた ところ, この調査時点で,女子の約% (5名)が,あき らめ ると答
実技3号文京斗で どれが最 も美佳しいか
途中で放棄 しそ うな教科は
3教科必修の是非
実技3教科 とも単位を取ろうと′喜、うで、
3教科必修の是非
図2 昭和 54年入学生 (上3つ) と昭和 58年入学生 (下2つ)の実技3教科についての意識調査
(甘 と②の白抜 きは 「音楽」,横縞は 「図工」,縦縞は
「体育」,黒ぬ りは 「な し」;③ と⑤ の白抜 きは 「教員 養成機関だか ら3教科が よい」, 横縞は 「大 多数が3 教科履習す るか ら必修は2教科で よい」, 縦縞は 「不 得意な教科を無理に受講 させ る必要はないか ら2教科 で よい」; ① の白抜 きは 「小学校の先生に必要だか ら 3教科 とる」, 横縞は 「3教科履習す るつ もりだが, 1つは放棄す るか もしれない」, 縦縞は 「不得意な教 科があ るので2教科 しか とらない」)
小字専門体育Iを受講 したか
単位 を修得 したか
小学専門体育 Hを受講 しているか
図3 昭和54年入学生の小学専門体育に 関す る実態調査
(③の横縞は 「決めていない」, 縦縞は
「あ きらめない」)
えてお り,男子では,あ きらめ ると答えた者は,1名にす ぎなか った (図3)0
体育実技科 目で,基準を設けて,その基準に達 しない と不可にす ることの是非を回答 させた ところ,基準 を設け ることについては,不必要 と答えた著は,男女 とも1割に満たず,おおむね了承 され ていると考え ら れ る。 しか し,不可にす ることに対 しては,男子では3乱 女子では5割 しか賛成 していない。 この割合が 高いか低いかは,判断が難 しいが,男子 よ り女子に賛成者が多い ことは,確かであ る。 これは,熱心に練習 したか ど うかに 「はい」 と答えた者が,女子の方が25% も多いこと,そ して,基準がな くて も, 同程度に熱 心にや ったか, とい う問いに 「はい」 と答えた者が, 男子 よ り1割少ない ことと関連す ると思われ る (図
4)0
(3) 8教科に関す る意識について
8教科 の重要度,好み,教 え易 さについての5段階評価を,5‑ 1として,全回答著の平均点を算出 し, 各観点の測度 とした。それを図示 したのが図5であ る。
これを見 ると,重要度では ,国語 ・算数が第1グループ,理科 ・社会 ・体育が第2グループ,家庭 ・音楽 ・ 図工が第3ブル‑プとい う傾 向がみ られ るo
次に,好みでは,かな り男女差がみ られ,男子は,体育が第1位であ り,女子は国語が第1位であ る。 ま た,家庭は,男子では第8位,女子では第2位であ る。 この図か ら,女子は,国語が特に好 きな他はふつ う であ るのに対 して,男子では,体育が特に好 きで,音楽 と家庭が特に嫌 いであ る, とおお まかに把握で きる
小学校教員養成課程学生の意 識調査
合 ノ略基 準 の設 定 に つ い て
基 準 に達 す るため 熱 心 に練 習 したか
基 準 が な くて も同 程 度 に練 習 したか
基 準 に達 しない と不 可 にす るのは反 対 か
図4 昭和54年入学生 (左) と昭和53年 入学 生 (右) の小学専門体育 の合格基準 につ いての意識調査
(i)の白抜 きは 「授業 だか ら当然」,横縞は 「目安 としてあ る方が よい」,縦縞は 「設け る種 目 と設けない種 目があ って よい」,票ぬ りほ 「不必要」; ② の白抜 きは 「した」,横縞は 「ふつ う にや った」,縦縞は 「あ ま り熱心にや らなか った」,黒ぬ りほ 「基準に達 しない種 目な し」)
雷 呈 iE 社 EE 家
看 要 言
好 み
享失え易 さ
体 書
体 図 書 家
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真 理 体 社 書 国 家
図5 昭和54年入学生の8教科 の評厄平均値
(重要度は 〔非常 に重要であ る‑‑・あ ま り重要でない〕, 好みは 〔好 き‑‑‑嫌 い〕, 教 え易 さは 〔教 え易 い‑‑教 えに くい〕 の5段階評 価)
49
と思われ るO
教え易さでは,男女 とも算数 と体育が高 く評価 され てお り,国語が低 く評価 されている。 また,女子は, 音楽を教え易い と思 う者が多い傾 向にあ り, 男子は,理科を教えやす く思い,家庭を教えに くく思 う傾 向に あ る。
2.昭和58年入学生 について
昭和58年入学生 (58年生)については,54年生 と異な る点のみ以下 に記す。
(1)学生の プロフ ィール (図1)
58年生について,女子は,現役が75%であ り,54年生 と大差ないが,男子の53%は浪人であ り,54年生 と 大 きな違 いがあ ったO
本学教育学部を第1志望 とす る者は,男女 とも抑 こす ぎず,第1志望でない者の うち過半数は,他大学の 教育学部であ り,54年生に比べ て,教育学部志望者が大幅に増加 しているO教育学部第1志望の9割は教 員 志望であ り, この点では,54年生 とほぼ同 じであ る。 しか し,何 とな く教 員にな りたい と思 った, と答え る 著は少な くな り, どうして も教 員にな りた くて教育学部を志望 した者の割合が,54年生 よ りも増加 している。
現時点で, ど うして も教員にな りたい, と考えている者は,男子の73%,女子の74%である (図な し)0 男子は運動訊 女子は文化部に所属 している者が多 く, この点 も54年生 と同 じであ るが, どこに も所属 し ていない学生が,男女 とも過半数であ るO
(2)小学校課程の実技教科について
音楽 ・図工 ・体育の実技科 目につ いて,あ らか じめ, 3教科必修か ら,2教科選択必修になった ことを説 明し,3教科必修の是非を54年生に同様にたずねた ところ, 3教科必修に賛成の者は,男女 とも全体の2割
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図6 昭和58年入学生の8教科の評価平均値
小学校教員養成課程学生の意識調査 51 にす ぎなか った (図2)0
(3) 8教科に関す る意識 につ いて
重要度 に関 しては,54年生 と大差 な い結果 であ った。 しか し, 好み と,教 え易 さにつ いては,54年生 との 間 に,若干 の相違がみ られ た (図6)。 好み にお いては, 男子 で国語 と算数,理 科 と社会 の順位が入れかわ り, いわ ゆ る,文科,理科 に分け た場 合の文科的傾 向が強 まった と考 え られ るO女子 にあ ってほ, もともと文科 的傾 向に あ り,算数 よ り国語,理 科 よ り社 会 の方が好 きな傾 向にあ ったが,58年生 は, 男女 とも国語 と社会 が,算数 と理 科 よ り好 きな傾 向であ った。 さ らに,58年生 の女子 は,家庭が もっとも嫌 いであ り,54年生で は, 2番 目に好 きであ った ことと比較す るとかな り異 った結果 と言 え る。
音楽 ・図工 ・体育 につ いて教 え易 さをみ ると,音楽 は, 男女 とも54年生 の方が順位が低いが, 図工 ・体 育 をみ る と, 男子 の図工が 同順 位であ った他は,54年生 の方が順位が 高 くな ってい る。
3.昭和53年入学生 について
昭和53年入学生 (53年生 )につ いては, 3教科必 修 の是非 と,体育 の実技科 目につ いての意見 のみ を回 答 させた。
小専 体育 Ⅰと Ⅱは (この学年 は必 修)男子 の64%,女子 の91%が3年終 了時 に単 位を修得 してお り,54年 生 と同様,女子 の方が 高 い修得率 とな っていた (図7)0
・\享 言 ≡ヨ体 育ir:3三 三 .7)うちにノ賢声 したか
小幸専≡『体育 は必修 で よかったか
3 3教科必修と2敦Jl仁選試走甥 ととちらがよいか
図7 昭和53年 入学 生 の小学 専門体育・3教 科必修 に関す る設 問 (3)の横縞は 「今 は修得 してい る」,縦 縞は 「まだ修得 して いない」;③ の白抜 きは「3教科 」,横縞は「2教科」)
小専 体育 の必修 につ いては, 男女 とも90%以上,実技3教科2単位必修につ いて も, 6割以上 の学 生が賛 成 してい る(図7)。 しか し, 小専 体育で,合 格基 準に達 しない学 生を, 不可にす ることにつ いては, 男 子の 半数 弱, 女子のliLか賛 成 していな い(図4)O 各種 目に 基準 を設 け る こ とに反 対の少ない こと, 基準が な く とも同程度熱心に行 ったであろ う, と答えた者 の割 合が,女子 の方が1割少 ない ことは,54年生 と同 じであ ったが,実際,熱心に練 習 したか とい う問 いに対 して,基準に達 しな い種 目はなか った, とい う回答が女子 で%に も達 し, この点は,54年生 と異 っていた。
〈考 察〉
1.教育学部志望 の動機
本学教 育学 部 を第1志望 とす る者 は,54年生 につ いては, ほぼ半数 であ ったが,58年生につ いてはI3'にす ぎなか った。 また,他大学 を第1志望 と しなが ら本学 教育学 部に入学 した学 生の うち,他大学 の教育学 部を 第1志望 とす る者 は,54年生では亮にす ぎなか った。 しか し58年生 では, 男子 の80%, 女子O‑)65%が他大学 の教育学 部 を第一志望 としてい る。 この点か ら,58年 生の方が教育学 部 第1志望 の者が 多 い と言 え る。 この 傾 向は男子 で特 に頚著 であ り,本学 他学 部 を第1志望 と しなが ら教育学 部に入学 した学 生が,54早生 では14
% であ った のに対 して,58年生 では1%にす ぎなか った。 これか らも,54年生か ら58年生にかけ て,教 育学
部志望者が教育学部‑, とい う好 ましい傾向が生 じている と考え られ る。
この理 由 と して,54年生が共通一次 の第1期であ り,58年生 は共通一次 の成績に よる序列化がかな り明確 にな った段階にあ ることの影響が考え られ る。一般的には,共通一次に よ り大学 の序列化が進み,入 りた い 大学 よ りも入れ る大学に, とい う好 まし くない傾向が生 じてい る, と言われ てい る。 この ことを考えてみ る と,少 な くとも,教育学部志望者が教育学部に集中す るとい う意味では,58年生の傾向はむ しろ好 ましい こ とであ る。 しか し,本学教育学部を第1志望 とす る者が少な くな った とい うことに関 しては,全国の教育学 部問の共通一次成績に よる序列化が進行 し,本来,本学教育学部 を第1志望 と考え るべ き学生が,序列 の上 位校 を第1志望 と考え るよ うにな り,共通一次 の成績, あ るいは経済的理 由 (本 県出身の学生 の場合)で, 本学教育学 部‑ の入学 を余儀 な くされた と考え るべ きか もしれない。共通一次の実施 に よ り,今 まで大学単 位で漠然 と序列化 され ていた ものが,各学部 ごとに第1位か ら最下位 までかな り明確に序列化 され, 自分の 志望学部内での選択が可能にな った ことが,教育学 部志望者 の増加 と本学部第一志望者 の減少に結びついて い ると推論 され る。 しか し, この推論 は,他学部のデー タや本学部 の継続的 データに よる裏付けを必要 とす るであろ う。
次に教 育学部志望 の動機 は,教員にな りたい とい う理 由が両学年 とも大 多数 を占め,教育学部が教員養成 の機 関であ る特殊性を示 してい る。 さらに,教 員志望 の動機 は,58年生において何 とな くとい う理 由が減 り, ど うして も教 員にな りたか った と答えた者が男女 と も1割がた増 した他は,両学年 とも同 じ傾向であ った。
男子 よ りも女 子に,労働条件の方に大 きな ウエ イ トを置 いた と答えた者が多か った ことは,教 員が公務 員と 並んで数少ない男女平等 の職場 であ ると考え るためだ と思われ る。
胸
54年生につ いては,豊嶋が4年生の時にかな り詳 しい教職志望に関す る意識調査 を行 ってい る。それに よ ると,入学時に教職志望が強か った者 は小 ・中学校課程あわせ て,全体 の7割であ った。本調査 では,第1 志望が教 育学部 でなか った者は調査か ら除 いてあ るので直接比較 はで きないが, 同 じ調査対象 を用 いている ので,教育学部が第1志望でない著 も,入学 の時点ではかな りの割合で教 員になろ うと思 っていた と思われ る。豊嶋 の調査 では,志望動機において労動条件等 の理 由をあげ る者 の割合に男女差が ない, と報告 され て い るが, この調査 は 自由記述 と無制限選択法で行 ってお り,調査方法 の違 いに よる もの と思われ る。
u71
山本 も,和歌 山大学 の教 育学部の学生につ いて,豊嶋 と同様,入学者全 員につ いて調査 し,昭和54年か ら 57年 までの間,志望理 由の第1位に 「教 員にな るため」をあげ る学生が,常 に 6割以上 であ ることを報告 し(5) てお り,本学 の割合 とほぼ似 ていた。 また伊藤 は,静 岡大学 の教 育学部につ いて51.3%とい う数字 を報告 し ている。
2.音楽 ・図工 ・体育の3教科の実技 について
実技3教科の中で最 も難 しい ものは,男女とも音楽であ った。特に男子は6割が音楽 を最 も難 しい教科 と してお り, これが,後に考察す る8教科の好み,教え 易さの回答傾 向の男女差 に反映 していると思われ る。
しか し,途中で放棄す るか も知れない教科につ いては,3教科 ともほぼ同 じ回 答率であ った。音楽が最 も難 しいに もかかわ らず,放棄す る気持 ちがそれほ どで もないのは,必修であ る音楽教材研究 との絡みが考え ら れ る。 音楽教材研究で要求 され るピア ノの技術が小学専門音楽 (音楽の実技教科 の名称) と同等 であ るため, 教材研究に合格す るだけの技術があ る者 は,小学専門音楽 の単位の修得 も容易であ り,単位修得 の困難 な者 は修得で きるほ どに上達 しない と必修の教材研究 の単位が危 くな るとい う実状にあ るため と考え られ る。 ま た,1年次に履習で きる科 目があ ることも理 由の1つか も知れ ない。
次に, 3教科必修の是非につ いての回答を考察す る。 この設問は,調査対象 とした3学年 の学生すべ てに 回答を求めてい る。主 な対象であ る54年生につ いてみ ると,女子において, 3教科必修 の方が良い と答 え る 者が過半数 を占めている。学生 の立場か らみ ると必修 は少なければ少 ないほ どよい, とい うことにな ると考 え られ るが,過半数が必修を増 した方が よい と答えた ことは,小学校教員に とって実技教科が重要であ ると い う認識 に よるもの と思われ る。 ところが,58年生につ いてみ ると,男女 とも, 3教科必修 を支持す る者 は 2割にす ぎない。前述 した よ うに,58年生 の方が教 育学部第1志望の者が多 い ことを考え ると,58年生 の方 が教 員養成学部の使命に関 していいかげんであ るとは考え られず,2年半 の大学教 育の影響で,実技 の大切 さを認識 して きた と考 え るべ きであろ う。53年生につ いてみ ると,3教科必修 の賛成者は,男子で60%,女
小学校教員養成課程学生の意識調査 53 子では78%の高率であ った。53年生については,回答を3教科必修が よいか, 2教科選択必修が よいか とい
う二者択一で求めてお り, この設定が賛成の回答を多 くした もの と思われ る。つ ま り54年生の選択肢にある よ うに,大部分が 3教科を とるので,必修は 2教科で よい, と考えている者が,二者択一で回答を求め られ た時, 3教科必修に賛成 した可能性があ る。54年生で上記の回答を した者 も, 3教科 とも取 ることが望 まし い とい う点では, 3教科を必修にすべ きだ と回答 した者 と同意見であ る。 この点は ともか く,単に2教科で よい とい う意見は,53年生 も男子の4割,女子の2割 しかない。53,4年生は,大学での教育に よって,実 技教科の大切 さの認識を探めた と考 えるのが妥当であろ う。そ して,その影響は女子で特に大 きか った。 し か し,53, 4年生の間では,完全に同 じ設問ではな く, また53年生のサ ンプル数が少ない ことか らも, 3教 科必修制度の学生 (53年生) と2教科選択必修制度の学生 (54年生)の意識の差 は明確にで きなか った。た だ し,54年生 も大多数が 3教科の実技単位を履習 していることを考えると,大 きな差はないのではないか と 思われ る。
(2)
麓は,中高年合同の男女の運動経験が健康意識に与 える影響を調査 し,男子 よ り女子に意識変革が顕著で あることを報告 してお り,実技体験が女子に大 きい影響を与 えるとい う意味では同様の結果 と考えて よいだ ろ う。 しか し上述 の報告では,女子の未熟な健康意識が男子並みにな った とい う一面が指摘 され てお り,本 調査 の54年生女 子と58年生女子の意識の差を説 明す る要因については,58年生の継続的調査を待 って さらに 考察す る必要があろ う。
クロス集計を行 ってみ ると,54年生につ いては,男子では教 育学部が第1志望でなか った者に必修賛成者 がやや少な く,女子では現役入学者に賛成者がやや多い とい う傾向がみ られた(蓑 1)。58年生では,教員志 望か ど うか,その理 由,教育学部が第1志望か ど うか等に よる差が認め られなか った。
表1 3教科必修の是非を中心 とした クロス集計
(左が昭和54年入学生,右は上2つが昭和58年入学生,下が昭和53年入学生) 3教科 実質 3教科 2教科
現役 浪人
教育学部第1志望 その他
小専体育不可反対
〟 賛成
10(30) 10(13)1 12(12) 3 (9 ) 1 7(5)1 7(6)
7(14)1 12(31)1 16(26) 7(6)1 12(9)l 20(9)
12(16)1 19(33)1 32(25)
2 (4 ) l 4(8)1 4(ll) 3教科 2教科
9(15)1 5(6)
6 (10)1 5(1)
(男子実数表示,括弧内は女子) 3.小学専門体育の授業について
実技3教科中, 2教科選択必修であ るので,学生が2教科 しか選択 しないとす ると,各教科67%が平均受 講率 とな る。小専体育 Ⅰの履習率は,男女 とも90%を越えた。 また受講者のかな りの割合が,単位認定 され ていないに もかかわ らず,小専体育 ]の受講率はそれ程減少 していない。小専体育 Ⅰを修得 して も,同 Ⅰを 修得で きなければ実技の選択必修の教科 としては認め られない。 したが って,効率的に卒業に必要な単位を 取 ろ うとすれば, この単位を放棄 して,実技は音楽 と図工, とい うよ うに考える学生がいて もよいはずであ る。男子が6%減少 しているが,その中には4年生で単位を取 ろ うとしている者 もいる。 したが って,最終 的には何人が卒業時に小専体育の単位を修得 していたか も問題 となる0
そ こで,54年生が正規の修了年限で卒業 した昭和58年3月の時点で実技3教科の単位を どの よ うに修得 し ていたかを,学籍簿か ら調査 した ところ, 3教科 とも4単位以上修得 した者は,全体の45%であ った。 4単 位 とい うのは本学部小学校課程の 「6教科,4単位以上選択必修」の規定の1教科 とす るために必要な単位
数であ る。体育 の場合,計6単位分毎年開講 しているが,教科 として選択す るためには,実技2単位を とら ねば な らず,講議だけ4単位の者は統計に含 めなか った。以前の履習規定にあ る3教科 とも実技単位2単位 以上を修得 した学生は,全体の62%であ り,約%の学生が,以前の規定で も卒業で きるだけの単位数を満 し てい ることがわか る。 さらに履習届を出 して授業に出席 しなが ら,合格基準に達せず,再 テス トを放棄 して, 小専体育 の末修得者が26名 もいる。彼 らも必修であれば再 テス トを受けた と思われ,それ を加 えると,結果 で も述べた3年次 の受講率 と同 じ8割 の者は旧規定 の履習を満た してい ることにな る。 また,音楽や図工を 途中で放棄 した者 もい ることを考えあわせ ると,卒業 までに, さ らに多 くの学生が3教科 の実技を受講 した ことになろ う。そ の意味 では,3教科必修につ いて,実際には大多数が3教科 とるので, 2教科選択必修で よい, とい う回答は現実的であ ると言 える。
次 に,成績簿か ら小専体育につ いてみ ると,小専体育 Ⅰを履習 しないで,今年3月卒業 した者 は,男子で は3名, 同 Ⅱでは2名にす ぎず,最終的に Iを修得で きない者 も全員,小等俸育 Ⅲの履習届を提 出 し受講 し ていた。一方,女子においてほ,小専体育 Ⅰ,Ⅰともそれぞれ9名が非履習の まま卒業 している。 この うち I,Ⅰの両方 とも非履習者 は,そ の うちの8名であ り,小専体育 Ⅰのみを非履習の1名は同 Ⅰを途中で放棄 した者であ った。つ ま り, これ らの10名ほ どは体育が嫌 いでや りた くない, とい う学生 と思われ る。彼 らに, 在学中に体育 の実技を経験 させ るためには,体育を必修にす る必要があろ う。
58年生に実技 3教科の受講意志をたずねた調査 で も, まずは 3教科 とも取 るとい う学生が大 半であ り (図 2), 3教科必修に しな くとも, 多 くの学生が実技教科を履習 して卒業す ると思われ る。 しか し,不得意教 科 は受けない, と決 めてい る学 生に,実技教科 の履習を うながすには,必 修教科を増やす ことが必要 と思わ れ る。
次に,実技 の合格基準を設定 し,それに達 しない と不可にす ることにつ いての意見につ いて考察す る。 こ の回答は,53年生,54年生に同 じ設問で回答を求めてい る。基準設定 自体を不必要 とす る学 生は, 両学年 と も少 ない。 しか し,合格基準に達 しない と不可にす ることにつ いては,半数以上が反対 している。54年生に つ いては,女子のはば半数 は不可 とす ることに賛成 してお り, これは男子 よ り多 く, 3教科必修に賛成す る 者が女子に多い とい う結果 と一致す る。 しか し,53年生は, 3教科必修につ いて,女子に賛成者が多いに も かかわ らず,不可に賛成す る者は女子の方が少 ない。 これ は53年生 のサ ンプル数が少な く,あ る程度かた よ ったサ ンプ リングにな ったためか も知れない。事実,基準に達す るための諌習につ いて,基準に達 しない種 目はなか った と答 えた者が他 の群 と比較 して多か った。53年生の結果はやや割 り引いて考 え る必要があろ う。
しか し,小専 体育が必修 で よか ったかにつ いて,男女 とも9割以上が, よか った と答 えてい ることは特筆に 値す るであろ う。
クロス集計を行 ってみ ると,54年生で3教科必修に積極的に賛成す る者 は,小専体育で不可にす ることに 賛否半ばであ るが,他の回答をす る者では,不可に反対 の者が多 い(表1)。53年生の女子 も同様であ る。 ま た,教 育学部が第 1志望であ ったか ど うかは, 3教科必修に関す る回答 と異 な り,不可に 対しての回答傾 向 に影響 しなか った。つ ま り, 3教科必修につ いては,あ る程度理解 を示すか,努 力すればで きるに もかかわ らず,合格基準 に達 しない と不可にす ることには抵抗があ る, とい うのが全体像の よ うであ る。
4.小学校の8教科についての意識
小学校教 員が各教科に対 して, どの よ うな意識を持 ってい るかは,教 員の実態を把捉 し,研修計画 を作成 す るために も,教育行政上で基礎的な資料 とな ると思われ るが,その よ う:‑i:実態調査は,なかなか行われ な い よ うであ る。 国立教育研究所紀要 をみ て も,教員養 成 カ リキ ュラムの実態調査 は行われ ているが,教 員の 意識につ いては,新 任教諭に教科に対す る希望 を調査 した程度の もの しか ない。教 員が不得意 と感 じてい る 教科につ いて数多 くの研修 カ リキ ュラムを阻む のが教 育委 員会の使命であ り,学 生に とって不得意 と思われ る教科 の必 修単位を増加 させ て,立派な教 員を送 り出す のが,教育学部 の使命であ ると考え られ るが,その 基礎 となるべ き教科に対す る意識調査 は, ほ とん ど行われ ていない よ うであ るO‑つは,教科間の比較が容 易でな くた とえあ る教科が 多 くの教員に教 え易い と評価 され て も,それが 本当に易 しいか ら大学 で教え る時 間を減 して もよい ものか ど うかの判断がつけに くい, とい うのが理 由にな ってい るのであ ろ う。 また,教科 間を比較 した り,格差 をつけ ること‑ の無意識 の反発 もあ るのか も知れ ない。
小学校教員養成課程学生の意識調査 55 本研究においては,小学校教員養成機関の学生について, 2学年にわた り調査 した。その結果,い くつか の共通点 と相違点を得た。 この2学年に共通な傾向は,おおむね小学校教員養成課程の学生に共通す るもの と考えて よいであろ う。重要度において,国語 と算数が第1グループ,理科,社会,体育が第2グループ, その他が第3グループであ る。好みにおいてほ,音楽 と家庭が女子の方が よ り好んでいること,教 えやす さ も好み と同様であ ること,算数が数えやす く,国語が教えに くい こと,男子は体育が好 きであ り,女子では 国語が最 も好 きであ ること等である。
(61
8教科の意識調査は,伊藤が一対比較法を用 いて,小学校教員養成課程の学生に対 して,興味度 と難易度 を調査 した ものがあ る。 しか し, これは男女 別の集計を してお らず,興味度は,教 えるのが好 きか, と質閉 してお り, 直接 の比較はで きない。男女の回答傾向に差があ るので, 男女合計 して算出 した尺度は,あ ま り 意味がない と思われ るが,他に比較 デー タが見当 らなか ったので比較 してみ ると,難易度について本調査で, 男女 とも難か しい と評価 している国語が,伊藤 の調査で も, もっとも高い (難 しい)値を示 している。男女 とも易 しい と評価 している算数は,伊藤 の調査 では,下か ら4番 目であ り,中頃である。 しか し,主要4教 科の中では,最 も易 し く評価 されている。 この調査では,主要4教科 の尺度値が高い方にかた まっていて, 休青が最 も教え易い教科にな っている。調査方法の相違 も影響 しているのか もしれない。
体育は,好み と教 え易さにおいて, 男子の方が女子 よ り高い評価を している。東京都の小学校教員を対象
r7)
とした調査で も,他の教科 と比較 して体育は教 えに くい と答 えた者が,女子では男子の2倍以上にのぼ って いた。 また,女教師は教 えに くい理 由 として,運動技術に 自信がない,指導法がわか らない,をあげ る著が それぞれ2割ほ どいた。 これ らは, 男教師が全 くと りあげなか った理 由であ る。 この点,体育実技を経験 し た ことに よ り,本学 の女子学生 の場 合,女教師に特有の欠点を是正で き,その体験が,女子学生の意識をめ ざめ させた, と考え ることもで きよ うD これが, 前述 した ように,3教科必修について女子に積極的賛成者 が 多い理 由か も知れない。
次に,54年生 と58年生の相違について考察す る。 この両学年は,54年生が入学者数 の73.8%,58年生が 99.4%の学生か ら回答を得てお り,本調査の結果は,学年の全体像 と考えてよいであろ う。両学年 の差は, 入学年 の相違 と,2年半の大学での体験の有無 とに よって生 じていると解釈 され る。 しか し,8教科の重要 度の評価にあ ま り差がない ことか ら考え ると,両学生の差 で特に顕著な ものは,大学での経験の差 を反映 し ていると考えるべ きだ と思われ る。
主要4教科の好みについてみ ると,58年生は,男女 とも国語 ・社会を算数 ・理科 よ り好んでいる。 これは, 二次試験に国語のみを課 しているので, いわゆ る文科系に有利な情況があ るため と推察 され る。事実,筆者
らが北海道 ・東北以外 の遠方 の県か らの最近の入学生に,志望理 由をたずねた ところ,遠 く‑行 きたか った とい う回答の他は,共通一次に失敗 して,第1志望に入れず,数学が苦手であ ったので,本学を選 んだ とい う回答であ った。共通一次元年 の54年生は ともか く,前述 した志望学部別の序列化 とい う現象が,少 な くと も教育学部については,進行 しているよ うに思われ る。
次に,54年生 と58年生の意識 の相違を よ り明確にす るため,両学年の平均評価点の差を図8に示 した。重 要度はすべ て プラスであ り,54年生の方が58年生 よ りも全体的に重要度を高 く評価す る傾 向がある。男子の 理科,女子の家庭は,評価が1以上 も違 っている。女子の家庭は,相対的な評価順位で も2位 (54年生) と 8位 (58年生) と異 ってお り, 大学での教育内容に よ り, 重要度が高 まった と考え るのが妥当である。 そ うす ると,高校 までの家庭科 の教 育内容が問題 となろ う。一方,理科につ いては,女子で も重要度で2番 目 に差 の大 きい教科であ り,二次試験の影響で理科系に弱い学生が多 くな った ことも,一つの要因 と考え られ る。
好みについては,男女 とも家庭が54年生に よ り好 ましく思われ ている傾向があ る他は,大 きな変化はない よ うであ る。 ところが,教え易さは,大学での教育を うけているはず の54年生の3年次の調査 の方が教 えに くい, と答える者 の多い教科があ り,男女 とも社会科でその差が大であ る。女子では,主要4教科の うち国 語以外は教え易 さの評価が低下 し, よ り教 えに くい と考える傾向にな っている。一方,音楽 ・図工 ・体育の 教科についてみ ると,図工 と休青は,男女 とも54年生の方が教 え易い とい う評価にな っているのに対 して, 音楽では正反対であ った。
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図8 昭和54年入学生 と昭和58年入学生 の評価平均値 の差 (プラスは54年生の方が大 きい ことを示す)
十1.0
次に,体育 の評 「面を中心に,各設 問 との クロス集計を行 って,体育の評価 と,他の設問に対す る回答傾 向 を考察す るO以下 の考察は5段階評価を3段階評価 (1と2,4と5を合計)に直 して クロス集計 したデ‑
タに基 く (蓑 2)0
54年生を中心 として,教科 としての体育の意識 をみ ると,男女 とも好 きだ と思 ってい る学生に教 え易い と 思 ってい る者が多い傾 向であ る。 これは58年生 も同様であ るO
次に, 3教科必 修の是非,基準未達成者 を不可にす ることの是非 に対す る意見 との関連 をみ ると,男子に ついては,必 修の是非 とあ ま り関連がない よ うであ ったが,女子では体育を重要 と思 ってい る者,好 きだ と 感 じてい る者に,必修賛成の割合が大 きい。 58年生は,女子で体育 を重要,好 きと思わない者は全 員必修に 反対 であ った。
一方,不可にす ることにつ いては, 男子 をみ ると,3観点 の評価 とも5または4と答 えた者,つ ま り重要 だ と思 ってい る者,好 きだ と感 じている者,教 え易 いと思 っている者以外 では不可に賛 成す る者はほ とん ど いない。 女子 では上記 の意識 と不可 の是非 は,ほ とん ど関係ない よ うであ る。授業 内容 よ りも単位修得に 目 が行 く傾 向が男子に強 い と言 え よ う。
次に,基準がな くとも同程度熱心に練習 したか,についてみ ると,男女 とも体育を重要だ と思 っている者 に 「ほい」の答 えが多い傾 向であ った。 また小専体育 Ⅰの修得につ いては,体育を好 きだ と思 っていない者 に未修得の割合が高か った。
教育学部を第1志望 と していたか,教員志望の理 由が ど うであ ったか等 は, 体育や実技3教科につ いての 意識や修 得状態 と直接結びつかなか った。 高校時代 の考 え方が,大学 に 入ってか らも影響す ることはあ ま り