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急性期・亜急性期病院機能別の学生の学びの比較

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(1)

− 153 −

秋庭 由佳  柿崎 はるな  松島 正起

急性期・亜急性期病院機能別の学生の学びの比較

要旨

 患者に提供される医療や看護が病院の機能や特徴によって異なることが、実習で看護を実践す る学生の学びにも、少なからず影響するのではないかと考えた。そこで本研究は、基礎看護学実 習Ⅱにおいて、急性期・亜急性期病院機能別による学生の学びを質問紙を用いて比較検討すること を目的とした。質問内容は先行研究から抽出した15項目に A 大学実習報告会で報告された4項目を 加えた19項目について、理解の程度と習得の程度を5段階で尋ねた。58名の有効回答(有効回答率 65.9%)から、以下の内容が明らかになった。

 実習の学び19項目すべてにおいて、理解の程度が習得の程度と比べ有意に高く、理解はしたもの の患者を受け持ち、看護を実践する一度の実習経験では、身についたとは言えない状況だった。実 習の学びのうち、「看護学生として責任ある態度」は理解の程度・習得の程度共に高く、「患者の退 院後を視野に入れた日常生活の支援」は理解の程度・習得の程度共に低かった。このことから、学 生は、初めて患者を受け持つ実習を通して責任感を身に着けるが、患者の退院後をイメージして必 要な生活の支援を理解し、それを習得することは難しいことが伺えた。また、亜急性期病院で実習 した学生は急性期病院で実習した学生に比べ「看護をチームで継続するための適切な記録と報告」

の理解の程度が有意に高く、「患者の退院後を視野に入れた日常生活の支援」や「患者理解・援助 を適切に実施するための指導者との関わり」の習得の程度が高い傾向にあった。このことから、初 めて患者を受け持ち看護を実践する実習の学びに、病院機能の影響は少なからずあることが示唆さ れた。そのため、実習の学びを共有する場面では具体例を挙げてそれぞれの学びを話し合えること が重要と考える。

講義・演習で修得した知識・技術・態度を実際 の場面をとおして看護に統合していく学習過程 であると述べている。また、看護の実践は看護 する人の看護観を反映するものであり、日々研 鑽を重ね、専門職業人となってもさらに高め続 けなければならないことを、初期の時点から明 確に示す必要性を指摘している。したがって、

キーワード:基礎看護学実習、病院機能別、学び

Ⅰ はじめに

 実習で患者と関わり、患者にとって必要な援 助を考え、実践することから得る学びは、学生 にとって貴重な経験となる。特に初めて患者を 受け持つ実習における学びは、関わりや援助面 で反省点ばかりであったとしても、生涯忘れ得 ぬ学びとなり得る。三上(2015)は、臨地実習は、

(2)

− 154 − 実習の実践で学んだ看護に関する考えを、意識 して言語化し、見える化することが、学生の看 護観育成にとって重要なことと考える。

 A 大学では2018年度から急性期病院以外に亜 急性期病院での基礎看護学実習を行っている。

その背景には患者の入院期間の短縮化や医療の 高度化・重症化に伴い、じっくり患者と関わり、

患者のニーズを把握して看護を展開するには、

急性期病院の患者像では展開が難しくなってい ることがある。急性の状態にある人への看護は、

生命の維持、苦痛の緩和、合併症予防が重要と され(林直子他、2011、pp219-220)、症状の観 察、異常の早期発見等、刻々と変化する状況に 対して緊張感とスピード感が求められる。これ に対し、亜急性期に求められる医療は、急性期 を経過した患者や在宅・介護施設等から症状の 急性増悪した患者に対して、在宅復帰に向けた 医療を提供する(厚生労働省、2013)と謳われ、

その看護は、患者が在宅に向かうための生活支 援や生活するための資源・環境の調整などが求 められる。それら病院の機能や特徴によって患 者に提供される医療や看護が異なることが、初 めて看護を実践する学生の学びにも少なからず 影響するのではないかと考えた。

 老年看護学実習においては、皮膚・運動器セ ンター 3病棟と回復期リハビリテーション病棟 1病棟で学んだ学生の学習経験評価を比較分析 し、病棟間の学習経験に有意差が認められない ことが指摘されている(福武ら、2017)。しか し、初めて患者を受け持つ基礎看護学実習にお いて、実習での学びは報告されている(千田ら 2015、草原ら2017)が、病院機能別に学生の学 びを分析したものは見当たらなかった。そこで、

基礎看護学実習において、急性期・亜急性期病 院での学生の学びを比較分析し、学びの違いの 有無と違いが有るとしたらどのような内容かを 明らかにしたいと考えた。この事が明らかにな ることで、実習の学びの共有において、どのよ うな配慮が必要か、それぞれの強みを生かした

実習学生配置や共有場面でのグループ分け等に 活かすことができると考えた。

Ⅱ 研究目的

 本研究の目的は、初めて患者を受け持ち、日 常生活援助を行う基礎看護学実習Ⅱにおいて、

急性期・亜急性期病院機能別による学生の学び を比較検討することである。

Ⅲ 方法 1.研究デザイン  質問紙調査 2.研究対象 

 2019年度基礎看護学実習Ⅱを履修した2年次 学生88名

3.データ収集期間

 成績評価が修了した、2020年1月10日~ 1月 23日

4.調査内容

(1)個人特性  年齢

(2)基礎看護学実習Ⅱを経験した病院  病棟は特定せず、実習施設を問うた。4つの 病院のうち、公立系2病院を急性期群、急性期 病院退院患者の療養先になることがある2病院 を亜急性期群とした。

(3)実習の学びについて

 先行研究(千田ら2015、草原ら2017)で、初 めて患者を受け持ち、看護過程を展開する基礎 看護学実習の学びを内容分析した結果、【患者 の理解や援助に必要なコミュニケーション力】

【看護に必要な情報を意図的に収集する力】【患 者情報と知識を統合するアセスメント力】【看 護問題の明確化と具体的な患者目標の設定】【患 者の個別性・自立性を考えた看護計画の立案】

【患者の状態変化に応じた根拠ある援助の実施】

【患者に寄り添う、患者の立場に立って考える 看護】【患者目標に対する看護実践の評価と計 画の修正】【患者理解・援助を適切に実施する

(3)

− 155 − ための指導者との関わり】【看護をチームで継 続するための適切な記録と報告】【チーム医療 の実践】【カンファレンス運営に必要な討議力】

【看護学生として責任ある態度】【看護する上で 自己の課題を見出す力】【看護に関する理解の 深まりややりがい】の15項目が抽出された。さ らに、A 大学で2019年9月に行われた基礎看護 学実習終了後の学内報告会では【わずかな患者 の変化も捉える観察力】【患者の生活の場とし てベッド周囲の環境調整】【患者の退院後を視 野に入れた日常生活の支援】【学生グループ内 で切磋琢磨し合えるグループワーク力】の4項 目が報告された。それら19項目に、その他の自 由記述を加えた全20項目について尋ねた。看護 過程の展開は初めてであることから、各項目に ついて理解はできても習得するには難しいこと もあると考え、理解の程度と習得の程度の2側 面を5件法で回答を求めた。理解の程度につい ては、「とても理解した5点」「まあ理解した4点」

「どちらとも言えない3点」「あまり理解してい ない2点」「全く理解しない1点」、習得の程度は

「とても身についた5点」「まあ身についた4点」

「どちらとも言えない3点」「あまり身について ない2点」「全く身についてない1点」とし、得 点が高いほどその項目に関する理解や習得の程 度が高いことを示す。

5.データ収集方法

 基礎看護学実習Ⅱの成績が公開された後に、

他の教員による実習ガイダンスの際に、研究依 頼文と質問紙を配布し、質問への回答を依頼し た。質問紙の回収は、研究者の目に触れる機会 の少ない階の鍵付きボックスとし、質問紙の回 収をもって研究への同意を得たものとした。

6.分析方法

 急性期病院2施設で実習した学生を急性期群

(以下、急性期群とする)、亜急性期病院2施設 で実習した学生を亜急性期群(以下、亜急性 期群とする)とし、基礎看護学実習での学び 19項目の理解と習得の程度について、t 検定を

用いて比較検討した。分析には SPSS21.0 for windows を用い、有意水準は5%未満とした。

また、5%以上10%未満を「傾向あり」と表現 した。

7.倫理的配慮

 本研究は青森中央学院大学倫理委員会の承認

(T19-06)を得て実施した。アンケート配布時 に、研究の目的、調査方法、調査への協力は自 由であること、プライバシーを保護すること、

協力の有無による不利益は一切ないこと、回答 された質問紙をもって研究協力の同意とするこ と、研究結果は目的以外には使用しないこと、

得られたデータは責任をもって管理すること、

研究成果を公開することを口頭及び文書で説明 を行った。

Ⅳ 結果

 学生62名(回収率70.5%)から回答を得、そ のうち実習施設や学びの回答に欠損のあった4 名を除き58名分を分析対象とした(有効回答率 65.9%)。そのうち、急性期群は35名、亜急性 期群は23名だった。急性期群の平均年齢は19.7

±0.44歳、亜急性期群の平均年齢は19.8±0.42 歳だった。

1.実習の学びに関する理解と習得の程度につ いて

 実習の学びとして、「その他」には自由記述 の記載がなかったため、先行研究や学内報告会 で抽出された実習での学び19項目について分析 した。まず、実習の学び19項目に関する理解の 程度と習得の程度について平均値・標準偏差を 求め、理解の程度の高い順に並び替えた。さら に、その程度の相違を、t 検定を用いて検証し た(表1)。

 19項目全てで、理解の程度は4点の「まあ理 解した」から5点の「とても理解した」の間の 平均値だった。理解の程度で最も高いのは、「看 護学生として責任ある態度」4.78で、逆に最も 低いのは、「患者の退院後を視野に入れた日常

(4)

− 156 − 生活の支援」4.22だった。習得の程度は、3 ~ 4点代で、「看護学生として責任ある態度」が4.55 と最も高く、「患者の退院後を視野に入れた日 常生活の支援」「チーム医療の実践」が3.55と 最も低かった。19項目全てで、習得の程度が理 解の程度に比べ有意に低かった(p<0.01)。

2.実習の学びに関する理解の程度の群別比較  19項目の実習での学びをどの程度理解したか について、群別の平均値と標準偏差を求め、急 性期群の平均値から亜急性期群の平均値を引い た差の大きい順に並び替えた。さらに群間の相 違を、t 検定を用いて検証した(表2)。

 急性期群・亜急性期群ともに最も高いのは、

「看護学生として責任ある態度」で、それぞれ 4.74、4.83だった。逆に最も低いのは、急性期 群は「患者の退院後を視野に入れた日常生活の 支援」4.14、亜急性期群は「カンファレンス運

営に必要な討議力」4.30だった。

 群間の比較で有意差を認めた項目は、「看護 をチームで継続するための適切な記録と報告」

で、亜急性期群が有意に高かった(p<0.05)。

その他、亜急性期群が急性期群の平均値より0.1 以上高い項目は、「患者の状態変化に応じた根 拠ある援助の実施」「患者の退院後を視野に入 れた日常生活の支援」等9項目だった。反対に、

急性期群が亜急性期群に比べ有意に高い項目は なく、急性期群が亜急性期群の平均値より0.1 以上高い項目は、「カンファレンス運営に必要 な討議力」「学生グループ内で切磋琢磨し合え るグループワーク力」「わずかな患者の変化を 捉える観察力」だった。

3.実習の学びに関する習得の程度の群別比較  19項目の実習での学びをどの程度習得したか について、群別の平均値と標準偏差を求め、急

4

19

項目全てで、理解の程度は

4

点の「まあ理解した」から

5

点の「とても理解した」の 間の平均値だった。理解の程度で最も高いのは、「看護学生として責任ある態度」

4.78

で、

逆に最も低いのは、「患者の退院後を視野に入れた日常生活の支援」

4.22

だった。習得の程 度は、

3

4

点代で、「看護学生として責任ある態度」が

4.55

と最も高く、「患者の退院後を 視野に入れた日常生活の支援」「チーム医療の実践」が

3.55

と最も低かった。

19

項目全て で、習得の程度が理解の程度に比べ有意に低かった(

p<0.01

)。

2.

実習の学びに関する理解の程度の群別比較

19

項目の実習での学びをどの程度理解したかについて、群別の平均値と標準偏差を求め、

急性期群の平均値から亜急性期群の平均値を引いた差の大きい順に並び替えた。さらに群 間の相違を、

t

検定を用いて検証した(表

2

)。

表1 実習の学びに関する理解と習得の程度 n= 58

平均値 標準偏差 平均値 標準偏差 17看護学生として責任ある態度 4.78 0.42 4.55 0.50 **

1患者の理解や援助に必要なコミュニケーション力 4.69 0.50 4.12 0.75 **

8患者の生活の場としてベッド周囲の環境調整 4.66 0.55 4.29 0.84 **

18看護する上で自己の課題を見出す力 4.59 0.59 4.29 0.75 **

9患者に寄り添う、患者の立場に立って考える看護 4.59 0.56 4.26 0.69 **

19看護に関する理解の深まりややりがい 4.55 0.63 4.33 0.69 **

16学生グループ内で切磋琢磨し合えるグループワーク力 4.53 0.60 4.16 0.77 **

7患者の状態変化に応じた根拠ある援助の実施 4.52 0.60 3.98 0.87 **

13看護をチームで継続するための適切な記録と報告 4.52 0.57 3.97 0.77 **

12患者理解・援助を適切に実施するための指導者との関わり 4.48 0.63 3.97 0.86 **

6患者の個別性・自立性を考えた看護計画の立案 4.47 0.66 3.79 0.87 **

3看護に必要な情報を意図的に収集する力 4.47 0.60 3.76 0.76 **

15カンファレンス運営に必要な討議力 4.47 0.63 3.71 0.80 **

2わずかな患者の変化を捉える観察力 4.43 0.65 3.91 0.76 **

4患者情報と知識を統合するアセスメント力 4.36 0.58 3.69 0.73 **

5看護問題の明確化と具体的な患者目標の設定 4.34 0.61 3.83 0.82 **

14チーム医療の実践 4.33 0.71 3.55 0.88 **

11患者目標に対する看護実践の評価と計画の修正 4.31 0.68 3.83 0.73 **

10患者の退院後を視野に入れた日常生活の支援 4.22 0.82 3.55 1.03 **

*:p<0.05、**:p<0.01 **:p<0.01

理解の程度 習得の程度

(5)

− 157 − 性期群の平均値から亜急性期群の平均値を引い た差の大きい順に並び替えた。さらに群間の相 違を、t 検定を用いて検証した(表3)。

 急性期群・亜急性期群ともに最も高いのは、

「看護学生として責任ある態度」で、それぞれ 4.51、4.61だった。逆に最も低いのは、急性期 群は「患者の退院後を視野に入れた日常生活の 支援」の3.34、亜急性期群は「カンファレンス 運営に必要な討議力」の3.35だった。

 群間の比較で、亜急性期群が急性期群より有 意に高い項目はなかったが、「患者の退院後を 視野に入れた日常生活の支援(p≂0.056)」「患 者理解・援助を適切に実施するための指導者と の関わり(p≂0.069)」は亜急性期群が高い傾 向があった。その他、亜急性期群が急性期群の 平均値より0.1以上高い項目には、「看護問題の 明確化と具体的な患者目標の設定」「患者の個 別性・自立性を考えた看護計画の立案」「患者

の状態変化に応じた根拠ある援助の実施」「患 者目標に対する看護実践の評価と計画の修正」

「患者に寄り添う、患者の立場に立って考える 看護」「看護に必要な情報を意図的に収集する 力」「患者情報と知識を統合するアセスメント 力」等11項目あった。反対に、「カンファレン ス運営に必要な討議力」は急性期群が亜急性期 群より有意に高かった(p<0.01)。その他、急 性期群が亜急性期群の平均値より0.1以上高い 項目は、「学生グループ内で切磋琢磨し合える グループワーク力」だった。

Ⅴ 考察

1.実習の学びに関する理解と習得の程度につ いて

 先行研究や学内報告会で明らかになった実習 の学び19項目のすべてにおいて、理解の程度が 習得の程度に対して有意に高かった。理解の程

5

急性期群・亜急性期群ともに最も高いのは、「看護学生として責任ある態度」で、それぞ れ

4.74

4.83

だった。逆に最も低いのは、急性期群は「患者の退院後を視野に入れた日常 生活の支援」

4.14

、亜急性期群は「カンファレンス運営に必要な討議力」

4.30

だった。

群間の比較で有意差を認めた項目は、「看護をチームで継続するための適切な記録と報告」

で、亜急性期群が有意に高かった(

p<0.05

)。その他、亜急性期群が急性期群の平均値より

0.1

以上高い項目は、「看護をチームで継続するための適切な記録と報告」「患者の状態変化 に応じた根拠ある援助の実施」「患者の退院後を視野に入れた日常生活の支援」等

10

項目 だった。反対に、急性期群が亜急性期群に比べ有意に高い項目はなく、急性期群が亜急性期 群の平均値より

0.1

以上高い項目は、「カンファレンス運営に必要な討議力」「学生グループ 内で切磋琢磨し合えるグループワーク力」「わずかな患者の変化を捉える観察力」だった。

3.

実習の学びに関する習得の程度の群別比較

19

項目の実習での学びをどの程度習得したかについて、群別の平均値と標準偏差を求め、

急性期群の平均値から亜急性期群の平均値を引いた差の大きい順に並び替えた。さらに群 間の相違を、

t

検定を用いて検証した(表

3

)。

表2 実習の学びに関する理解の程度

群間差 平均値 標準偏差 平均値 標準偏差 急性―亜急性

15カンファレンス運営に必要な討議力 4.57 0.56 4.30 0.70 0.27 16学生グループ内で切磋琢磨し合えるグループワーク力 4.60 0.55 4.43 0.66 0.17 2わずかな患者の変化を捉える観察力 4.49 0.66 4.35 0.65 0.14 5看護問題の明確化と具体的な患者目標の設定 4.34 0.64 4.35 0.57 -0.01 4患者情報と知識を統合するアセスメント力 4.34 0.59 4.39 0.58 -0.05 8患者の生活の場としてベッド周囲の環境調整 4.63 0.60 4.70 0.47 -0.07 1患者の理解や援助に必要なコミュニケーション力 4.66 0.54 4.74 0.45 -0.08 6患者の個別性・自立性を考えた看護計画の立案 4.43 0.70 4.52 0.59 -0.09 17看護学生として責任ある態度 4.74 0.44 4.83 0.39 -0.09 9患者に寄り添う、患者の立場に立って考える看護 4.54 0.61 4.65 0.49 -0.11 11患者目標に対する看護実践の評価と計画の修正 4.26 0.70 4.39 0.66 -0.13 12患者理解・援助を適切に実施するための指導者との関わり 4.43 0.66 4.57 0.59 -0.14 19看護に関する理解の深まりややりがい 4.49 0.70 4.65 0.49 -0.16 3看護に必要な情報を意図的に収集する力 4.40 0.60 4.57 0.59 -0.17 14チーム医療の実践 4.26 0.74 4.43 0.66 -0.17 18看護する上で自己の課題を見出す力 4.51 0.66 4.70 0.47 -0.19 10患者の退院後を視野に入れた日常生活の支援 4.14 0.81 4.35 0.83 -0.21 7患者の状態変化に応じた根拠ある援助の実施 4.43 0.66 4.65 0.49 -0.22 13看護をチームで継続するための適切な記録と報告 4.40 0.60 4.70 0.47 -0.30

*:p<0.05 急性期群n = 35 亜急性期群n = 23

(6)

− 158 − 度はすべて4点代で、「4:まあ理解した」から

「5:とても理解した」の間で推移しているのに 対し、習得の程度は3 ~ 4点代で「3:どちらと も言えない」から「4:まあ理解した」「5:と ても理解した」の間で推移していた。このこと から、それぞれの項目に関して理解はしていて も身についたとは言えない状況であることが伺 えた。しかし、19項目のうち、「看護学生とし て責任ある態度」が理解の程度、習得の程度共 に最も高く、初めて患者を受け持つ実習で、患 者や家族、看護ケアの実践等に対して、看護学 生として責任を感じており、実習を通して責任 感を身に着けていることが伺えた。

 19項目のうち「患者の退院後を視野に入れた 日常生活の支援」は、理解の程度、習得の程度 共に最も低かった。急性期病院では特に、在院 日数が短縮し、継続した医療や看護が必要な状 況のまま退院する患者も多くなっている。看護

師の退院支援においても、経験年数のある看護 師は、今までの経験知から、患者・家族、他職 種と必要な情報を交換して、退院支援が行える が、経験の浅い看護師は、在宅での問題点を予 測することが困難であり、主体的に支援を進め ることができないことが指摘されている(坂田 ら、2013)。看護師であっても経験が少なけれ ば退院後を見据えた支援が難しい中、初めて患 者を受け持ち看護を実践した学生にとっては、

患者の退院後をイメージして必要な生活の支援 を理解することや習得することは難しいことが 容易に想像できる。他に最も習得の程度が低い 項目が、「チーム医療の実践」であった。この

「チーム医療の実践」の理解の程度は4.33と低 いものの最下位ではなく、必要性は理解しつつ も、実際に能力として身に着けることが困難で あることが伺えた。学生は患者に関わる看護師 や他の医療従事者と接触はあるものの、チーム

6

急性期群・亜急性期群ともに最も高いのは、「看護学生として責任ある態度」で、それぞ れ

4.51

4.61

だった。逆に最も低いのは、急性期群は「患者の退院後を視野に入れた日常 生活の支援」の

3.34

、亜急性期群は「カンファレンス運営に必要な討議力」の

3.35

だった。

群間の比較で、亜急性期群が急性期群より有意に高い項目はなかったが、「患者の退院後 を視野に入れた日常生活の支援(

p

0.056

)」「患者理解・援助を適切に実施するための指導 者との関わり(

p

0.069

)」は亜急性期群が高い傾向があった。その他、亜急性期群が急性期 群の平均値より

0.1

以上高い項目には、「看護問題の明確化と具体的な患者目標の設定」「患 者の個別性・自立性を考えた看護計画の立案」「患者の状態変化に応じた根拠ある援助の実 施」「患者目標に対する看護実践の評価と計画の修正」「患者に寄り添う、患者の立場に立っ て考える看護」「看護に必要な情報を意図的に収集する力」「患者情報と知識を統合するアセ スメント力」等

11

項目あった。反対に、「カンファレンス運営に必要な討議力」は急性期群 が亜急性期群より有意に高かった(

p<0.01

)。その他、急性期群が亜急性期群の平均値より

0.1

以上高い項目は、「学生グループ内で切磋琢磨し合えるグループワーク力」だった。

Ⅴ 考察

1.

実習の学びに関する理解と習得の程度について

先行研究や学内報告会で明らかになった実習の学び

19

項目のすべてにおいて、理解の程 度が習得の程度に対して有意に高かった。理解の程度はすべて

4

点代で、「

4

:まあ理解し た」から「

5

:とても理解した」の間で推移しているのに対し、習得の程度は

3

4

点代で

3

:どちらとも言えない」から「

4

:まあ理解した」「

5

:とても理解した」の間で推移して いた。このことから、それぞれの項目に関して理解はしていても身についたとは言えない状 況であることが伺えた。しかし、

19

項目のうち、「看護学生として責任ある態度」が理解の

表3 実習の学びに関する習得の程度

群間差 平均値 標準偏差 平均値 標準偏差 急性―亜急性

15カンファレンス運営に必要な討議力 3.94 0.64 3.35 0.89 0.59 **

16学生グループ内で切磋琢磨し合えるグループワーク力 4.20 0.76 4.09 0.79 0.11 1患者の理解や援助に必要なコミュニケーション力 4.14 0.65 4.09 0.90 0.05 19看護に関する理解の深まりややりがい 4.34 0.68 4.30 0.70 0.04 2わずかな患者の変化を捉える観察力 3.91 0.74 3.91 0.79 0.00 18看護する上で自己の課題を見出す力 4.29 0.75 4.30 0.77 -0.01 17看護学生として責任ある態度 4.51 0.51 4.61 0.50 -0.10 4患者情報と知識を統合するアセスメント力 3.63 0.69 3.78 0.80 -0.15 3看護に必要な情報を意図的に収集する力 3.69 0.76 3.87 0.76 -0.18 13看護をチームで継続するための適切な記録と報告 3.89 0.80 4.09 0.73 -0.20 9患者に寄り添う、患者の立場に立って考える看護 4.17 0.66 4.39 0.72 -0.22 11患者目標に対する看護実践の評価と計画の修正 3.74 0.70 3.96 0.77 -0.22 7患者の状態変化に応じた根拠ある援助の実施 3.89 0.87 4.13 0.87 -0.24 6患者の個別性・自立性を考えた看護計画の立案 3.69 0.90 3.96 0.83 -0.27 5看護問題の明確化と具体的な患者目標の設定 3.71 0.83 4.00 0.80 -0.29 14チーム医療の実践 3.43 0.85 3.74 0.92 -0.31 8患者の生活の場としてベッド周囲の環境調整 4.17 0.92 4.48 0.67 -0.31 12患者理解・援助を適切に実施するための指導者との関わり 3.80 0.90 4.22 0.74 -0.42 † 10患者の退院後を視野に入れた日常生活の支援 3.34 1.03 3.87 0.97 -0.53 †

†:0.05≦p<0.1 **:p<0.01 急性期群n = 35 亜急性期群n = 23

6

急性期群・亜急性期群ともに最も高いのは、「看護学生として責任ある態度」で、それぞ れ

4.51

4.61

だった。逆に最も低いのは、急性期群は「患者の退院後を視野に入れた日常 生活の支援」の

3.34

、亜急性期群は「カンファレンス運営に必要な討議力」の

3.35

だった。

群間の比較で、亜急性期群が急性期群より有意に高い項目はなかったが、「患者の退院後 を視野に入れた日常生活の支援(

p

0.056

)」「患者理解・援助を適切に実施するための指導 者との関わり(

p

0.069

)」は亜急性期群が高い傾向があった。その他、亜急性期群が急性期 群の平均値より

0.1

以上高い項目には、「看護問題の明確化と具体的な患者目標の設定」「患 者の個別性・自立性を考えた看護計画の立案」「患者の状態変化に応じた根拠ある援助の実 施」「患者目標に対する看護実践の評価と計画の修正」「患者に寄り添う、患者の立場に立っ て考える看護」「看護に必要な情報を意図的に収集する力」「患者情報と知識を統合するアセ スメント力」等

11

項目あった。反対に、「カンファレンス運営に必要な討議力」は急性期群 が亜急性期群より有意に高かった(

p<0.01

)。その他、急性期群が亜急性期群の平均値より

0.1

以上高い項目は、「学生グループ内で切磋琢磨し合えるグループワーク力」だった。

Ⅴ 考察

1.

実習の学びに関する理解と習得の程度について

先行研究や学内報告会で明らかになった実習の学び

19

項目のすべてにおいて、理解の程 度が習得の程度に対して有意に高かった。理解の程度はすべて

4

点代で、「

4

:まあ理解し た」から「

5

:とても理解した」の間で推移しているのに対し、習得の程度は

3

4

点代で

3

:どちらとも言えない」から「

4

:まあ理解した」「

5

:とても理解した」の間で推移して いた。このことから、それぞれの項目に関して理解はしていても身についたとは言えない状 況であることが伺えた。しかし、

19

項目のうち、「看護学生として責任ある態度」が理解の

表3 実習の学びに関する習得の程度

群間差 平均値 標準偏差 平均値 標準偏差 急性―亜急性

15カンファレンス運営に必要な討議力 3.94 0.64 3.35 0.89 0.59 **

16学生グループ内で切磋琢磨し合えるグループワーク力 4.20 0.76 4.09 0.79 0.11 1患者の理解や援助に必要なコミュニケーション力 4.14 0.65 4.09 0.90 0.05 19看護に関する理解の深まりややりがい 4.34 0.68 4.30 0.70 0.04 2わずかな患者の変化を捉える観察力 3.91 0.74 3.91 0.79 0.00 18看護する上で自己の課題を見出す力 4.29 0.75 4.30 0.77 -0.01 17看護学生として責任ある態度 4.51 0.51 4.61 0.50 -0.10 4患者情報と知識を統合するアセスメント力 3.63 0.69 3.78 0.80 -0.15 3看護に必要な情報を意図的に収集する力 3.69 0.76 3.87 0.76 -0.18 13看護をチームで継続するための適切な記録と報告 3.89 0.80 4.09 0.73 -0.20 9患者に寄り添う、患者の立場に立って考える看護 4.17 0.66 4.39 0.72 -0.22 11患者目標に対する看護実践の評価と計画の修正 3.74 0.70 3.96 0.77 -0.22 7患者の状態変化に応じた根拠ある援助の実施 3.89 0.87 4.13 0.87 -0.24 6患者の個別性・自立性を考えた看護計画の立案 3.69 0.90 3.96 0.83 -0.27 5看護問題の明確化と具体的な患者目標の設定 3.71 0.83 4.00 0.80 -0.29 14チーム医療の実践 3.43 0.85 3.74 0.92 -0.31 8患者の生活の場としてベッド周囲の環境調整 4.17 0.92 4.48 0.67 -0.31 12患者理解・援助を適切に実施するための指導者との関わり 3.80 0.90 4.22 0.74 -0.42 † 10患者の退院後を視野に入れた日常生活の支援 3.34 1.03 3.87 0.97 -0.53 †

†:0.05≦p<0.1 **:p<0.01 急性期群n = 35 亜急性期群n = 23

(7)

− 159 − での情報共有や協働する能力の獲得には至って いないと推察された。ケアコーディネーション は、患者が継続的・効果的なケアが受けられる ように、利用可能な人・場・情報を整理し、支 援体制を構築できる能力と定義され、臨床1年目 で最も低い能力であるが、5年目では最も伸び率 が高いことが指摘されている(中山ら、2010)。

患者にとって必要なケアをチームとしてアプロー チしていく重要性は学生時代から理解しつつも、

その能力を培うには臨床の場に身を置いて経験 を積むことが必要であることが示唆された。

2.急性期群と亜急性期群の実習の学びに関す る比較

 亜急性期群の理解の程度が急性期群より有意 に高い項目に、「看護をチームで継続するため の適切な記録と報告」があった。これは、看護 をチームで継続するための記録や報告の場面を 経験したことによる理解の高まりと推察され、

亜急性期病院という環境からの影響と考えられ た。また、習得の程度でも「患者の退院後を視 野に入れた日常生活の支援」「患者理解・援助 を適切に実施するための指導者との関わり」は 亜急性期群が急性期群より高い傾向にあった。

この他に、亜急性期群が急性期群の平均値より 0.1以上高い項目が11項目あった。これらの内 容は情報収集、アセスメント力、目標設定や計 画立案、援助の実施や評価といった看護過程の 展開に関する項目と、患者中心の看護、退院を 見据えた生活支援、指導者との関わり等であり、

看護過程の実践を通して指導者の支援をもらい ながら患者の立場になって考えること、患者の 退院を見据えた生活支援の仕方を身に着けてい ることが伺えた。やはりそれは、病気を持ちな がら生活する患者を捉えた亜急性期病院の看護 を反映した学びであるように考える。また、看 護についての習得の実感が高いということは、

自分の看護実践を肯定的に捉えられたというこ とであり、看護観の育成にもつながると考える。

 一方で、急性期群は、「カンファレンス運営

に必要な討議力」の習得の程度が、亜急性期群 より有意に高く、「学生グループ内で切磋琢磨 しあえるグループワーク力」は、亜急性期群の 平均値より0.1以上高かった。実習の学びに関 する理解の程度では、これら2項目に加え「わ ずかな患者の変化を捉える観察力」が亜急性期 群の平均値より0.1以上高かった。急性期群の 討議力やグループワーク力は理解・習得の程度 共に高く、学生の資質として他者や集団で交流 する能力が高い集団だったか、あるいは周囲の 環境、指導方法により適切な交流が促されたの か、その要因については、今後さらなる検討が 必要である。また、急性期病院での実習で、患 者の変化を捉える観察力の必要性を亜急性期病 院の実習生以上に理解したことが伺えた。

 以上のことから、亜急性期群では退院を見据 えた生活支援や継続看護のあり様を、急性期群 では患者の変化を捉える観察力の必要性を、他 の群よりも良く学んでいたことから、学びを共有 する場面では具体例を挙げてそれぞれの学びを 話し合えることが重要と考える。デューイ(2004)

は、経験はあたかも個人の身体と精神の内部で のみ進行するものであるかのように取り扱われ るが、経験を引き起こす源は、個人の外にあり、

経験は個人と環境との相互作用であると述べて いる。したがって、実習を行う臨床環境の特徴 からどのような学びが得られるかを、指導する 教員も意識して関わることが必要と考える。

Ⅵ 結論

 初めて患者を受け持ち、日常生活援助を行う 基礎看護学実習Ⅱにおいて、急性期・亜急性期 病院機能別による学生の学びについて、理解と 習得の程度を58名の質問紙調査結果から比較検 討した。

1.実習の学び19項目全てにおいて、理解の程 度が習得の程度と比べ有意に高く、理解はした が患者を受け持ち、看護を実践する一度の実 習経験では身についたとは言えない状況であっ

(8)

− 160 − た。中でも、「看護学生として責任ある態度」

が理解の程度、習得の程度共に高く、「患者の 退院後を視野に入れた日常生活の支援」は、理 解の程度、習得の程度共に低かった。

2.亜急性期群の理解の程度では「看護をチー ムで継続するための適切な記録と報告」が有意 に高く、習得の程度では「患者の退院後を視 野に入れた日常生活の支援」「患者理解・援助 を適切に実施するための指導者との関わり」が 高い傾向にあった。このことから、経験で得た 学びは環境との相互作用によるものと考えられ た。そのため、実習の学びを共有する場面では 具体例を挙げてそれぞれの学びを話し合えるこ

とが重要である。

Ⅶ 研究の限界と今後の課題

 本研究の限界は、1校の基礎看護学実習後の 質問紙調査の結果であり、一般化できないこと である。

 今後の課題として、基礎看護学実習で力を入 れて培う能力を精選して実習環境を整えた上で 横断的に研究を継続すること、また、必要だと 認識した学びが実習を重ねるうちにどのように 習得の程度が変化していくのかを縦断的に捉え ることである。

文献

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中山洋子、工藤真由美、丸山育子、石井邦子、石原昌、大平光子、大見サキエ、小松万喜子、田村 正枝、土居洋子、戸田肇、永山くに子、東サトエ、松成裕子、黒田るみ(2010)、 看護実践能 力の発達過程と評価方法に関する研究 . 科学研究費補助金研究成果報告書 .

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千田美紀子、今井恵、松永早苗、井上美代江、辻俊子、井下照代、上野範子、森下妙子(2015)、

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(青森中央学院大学 看護学部 教授 あきば ゆか)  

(青森中央学院大学 看護学部 助手 かきざき はるな)

(青森中央学院大学 看護学部 講師 まつしま まさき)

参照

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