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ナースの適性を自我構造の比較検討よりみる
川崎医療短期大学
第一看護科
太 湯 好 子 中西 啓子
酒 井 恒 美 谷 原 政 江
杉 田 明 子 登 喜 玲 子
初鹿真由美 渡邊ふみ子
(
平 成 元 年
8月
28日受理)
A Comparative Study of Self‑structure and Vocational Aptitude for Nursing
Yoshiko FUTOYU, Tsunemi SAKAI, Akiko SUGITA, Mayumi HATSUSHIKA, Keiko NAKANISHI, Masae TANIHARA,
Reiko TOKI and Fumiko WATANABE
Department of Nursing, Kawasaki College of Allied Health Professions Kur四hiki,Okayama 701‑01, Japan
(Received on Aug. 28, 1989)
Key words:
交 流 分 析, 自我構造,ナースの適性, YG 性格テスト
概 要
k
短大看護科 の最上級学年在学生および卒後間もないナースを対象に, 交流分析 の構造分析の理論を用いて 自我構 造の分析および YG 性格テストをおこない
,多変拭解析を用いて,ナー スとしての適性の侵劣と自我構 造との関係を検討し,またそれによ
る適性の予測を試みた。自我構造の分析には適性科 学研究センターの
TAOKを用いた。
その結果,エ ゴグラムのトータルエネルギー
(TE
)と大人の自我状態 (A
)が高く,批判的親 (CP)と自
由な子供
(FC
)の自我状態の低い者
の適性がすぐれていた。また,YG 性格テストでは,情緒安定租極型である Dタイプの者の適性が高く ,不適応型
のB , E タイプの者の適性が低か
った。合成得点に基づく適性の高い群と低い群の判別的中 率は
74%であ
った。I . は じ め に
一
般 的 ナ ー ス 像 をイメ ー
ジ化してもらうと,
今
で も 白 衣 の 天 使 を イ メ ー ジ し ,奉 仕 の 精 神 を もった心豊 か な 人 を 想 像 す る 人 は 多 い
。日本の看護学生がイメ ー
ジする理想的ナー ス
のタイプは,人柄 と し て は 優 し さ と 機 敏 さ を あ げ, 対 人 関 係の 要 素 と し て は , 相 互 理 解 と 協 調 性 を 支 持 す る 者 が 多 い
1)0一方,ナースを志す学生自身も社会的変化の中
でナースという職業を他の女性がつく職種と同じ 考え方で捉える 者が多 くなり,ナースを理想的 ナ ー ス 像 の 中 で 聖 職 者 と し て 位 謹 づ け る 学 生 を 労 働 者 と 誇 識 す る 学 生 の 層 が 上 回 る 傾 向 である
鸞こ の よ う な 実 情 の 中 で , ど の よ う な タ イ プ の 学 生 が 看 護職 に 適 性 を も つ の か , そ の 判 断基 準 は 多 く の 議 論 を よ ぶ と こ ろ と な り , ナ ー ス 像 の 現 状 分 析 や 理 想 的 ナ ー ス 像 の 追 求 に関 す る 研 究
も,数多くみられる
2‑1010また,近年,交流分析
(TA)の 構 造 分析 の 理
論 を 用 い て ,ナー スの自我構 造 に つ い て 考 察 を している研究
5‑10lゃ Y
G性 格 検 査 を 用 い て ナ ース 像 と 社 会 的 性 格 と い う 視 点 か ら の 研 究
4)など が多くみられる
。しかし
,この よ う な 尺 度 に よ
って ナ ー ス の 適 性 の 優 劣 を 評 価 す る 研 究 は 余 りみられないよう に思える
。そ こ で , 筆 者 ら は , 看 護 科 学 生 の
3年 間 の 学
業 や 看 護 実 習 , あ る い は 卒 業 後 の ナ ー ス と し て
16
太 湯 好 子
・酒 井 恒 美 ・ 杉 田 明 子 ・ 初 鹿 真 由 美 ・ 中 西 啓 子
・谷 原 政 江 ・ 登 喜 玲 子 ・ 渡 溢 ふ み 子
の 勤 務 状 況 な ど を 通 じ て , ナ ー ス と し て の 適 性 の 優 劣 を 評 価 し , 適 性 が 優 れ た 者 と 劣 っ た 者 と を比較して
TAOK及 び
YG性格テストの結果に み ら れ る プ ロ フ ィ ル を 検 討 し , ま た そ の 結 果 か ら ナ ー ス と し て の 適 性 の 優 劣 が ど の 程 度 予 測 で きるのかを検討した
。Il.
研 究 方 法
1.調 査 対 象 者k
短 大 看 設 科
12期 生
(1984年 入学
):
47人 ,
13期 生
(1985年 入学
):
55人 ,
14期 生
(1986年 入 学) :
56人 ,
15期 生
(1987年 入 学):
59人 , 計
217人
2.自我構造 の 測 定
適 性 科
学研 究 セ ン タ ー の
TAOKを用いた
。そ の 結 果 か ら は 自 我
I犬態
(エゴグラ
ム) として 批判的 親
(CP), 保 設 的 親
(NP),大人
の自我 状 態
(A),自 由な子供
(FC),順応の子供
(AC)のそ れぞれの偏差値,エゴグラム
5尺度の 偏差値の合計(トータルエネルギー,
TE
と略す),ピークエゴグラムの型,
基 本 的 な 対 人 態 度
(OKグラム)として 自己肯定
(I+)
,自己否定
(I‑),他者 肯定(
U+),他 者 否 定
(U‑)とその
基本 的 構 え
の型,集団内自我状態,個 人 適 応 の 型 , 集 団 適 応 の 型 の
16項目がえられた
。 実施 時 期 は12‑14期
12期生 13期 生 14期生
15期生 計
そ れ ぞ れ 適 性 が あ る と 思 え る も の を
A群とし
,適 性 の 低 い も の を
C群 と し た
。そのどれにも属 さないものを
B群とした
。 評価 の 時 期 は1989年 の
5月であり,
3年在学 中 〜 卒 後
2年である
。5.統 計 学 的 解 析
平 均 値 の
差の 検 定 に は 分 散 分 析 を , 比率 の差 の検定にはフィノシ
ャー 直 接 確 率 計 算 法 を , 多変 量 解 析 に は 数 量 化 理 論 第
2類 を 用 い た
c皿.結 果
1. TAOKお よ びYGテストの結果における群 別 プ ロ フ
ィー ル の 比較
表
1は各群別の学 生数の一覧である
。 A群 ,
C群ともにまず
10名を選びだ
し,A群と
表1 群別被検者数
A
群
B群
c群
計,
32 6 47 7 38 10 55 8 41 7 56,
44 6 59 33 155 29 217生
:1986年
9月 ,
15期 生
:1987年
4月である
。 表2群別の
TAOKエゴグラムおよび
OKグラムの数値 3. YG性 格 検 査(YGテストと略す)
YG
テストは,入
学時 に 実 施 し た ものであり,その結果は
A,B, C, D, Eの
5型とそれに準じた準型, その 型のくずれた亜型の
15型に分類した。
4.
教
員 に よ る 適 性 評 価学
生 の 教 育 に 携 わ
っていた6名の 教
員の 合 議 に よ り , 学 業 成 績 全 般 や 看 護 学 全 般 へ の 取 り 組 み の 態 度 等 の 個 人 的 ス キ ル と 友 人 や 看 護 婦 と の 関 係 や 患 者 へ の 接 し 方 等 の 対 人 的 ス キ ル の 両 面 よ り , ナ ー ス と し て の 適 性 を持
って い る と 思 わ れ る 学 生 と 適 性 が低いと思われる学生をよりだし,
A
群
B群CP 47.2土96 46.4士9.5 NP 50.2士86 50.2土 9.0 A 48.1士9.3 45 5土 98 FC 51 9土9.0 53.4士81 AC 53 3士9.0 54.6土86 TE 250. 7士243 250.1士21.8 I(+) 42.7士8.0 46.5士8.9 I(‑) 50.5土82 51.6士9.3
u (+) 49.2士99 48 6土9.2 U(‑) 43.7士80 46.0土99
注 平均値士標準偏差を示す。ns:P >0.05
C
群
差の検定47 4土8.1 ns 47 1士11.0 ns 45 7士94 ns 54.6土7.2 ns 53.0士94 ns 247. 7士217 ns 45.6士11.6 ns 54.1士11.1 ns 47 1土10.1 ns 46 2士92 ns
ナ ー ス の 適 性 を 自 我 構 造 の 比 較 検 討 よ り み る
17し て リ ス ト さ れ て い て も 教 員 の 合 議 で 異 議 の で た 学 生 は は ず し て い
った。C群についても同じ 手順をと
った。表 2は ,
TAOKによるエゴグラムとそのトー タルエネルギー
(TE)および OKグラムの
10項 目の数値について,
A,B, C3群 別 平 均 値 お よ び 標 準 偏
差を求
めた成紹である
。この表
2を基に
A, B, C群 の エ ゴ グ ラ ム と O
Kグラムを図示し たものが図
1である
。い ず れ に も 群 に よ る 有 意 の 差 は み ら れ な か
った。しかし,傾向と
して,
A群は
C群 に 比 較 し て 保 渡 的 親
(NP), 大 人 の 自我状態
(A), トータルエネルギー
(TE),他 者肯定
(U+)が面い
。表3は群別の
YGテスト の結果を
示したものである
。例 数 が 少 な い の でいずれのタイ
プの 率 に も 群 に よ る 有 意 の 差 は 認められなか
った が , 傾 向 と し て A群は C群 と 比 較 し て 情 緒 安 定 消 極 型
(C)と 情 緒 安 定 積 極 型
(D)が多い点が特記できる
。次 い で, A群と C群 の TAO
KおよびYGテス トの結果における対照的な
プロフィールを多変
醤解析によ
って検討した。16項 目 の
TAO
Kおよ び
YGテ ス ト の 結 果 の う ち , 表
4に示した
11項 目を説明変批とし, A群 お よ び C群 を 外 的 基 準 として,数量化理論第
2類 に よ る 解
A
群
B群 c 群
差の検定工
ゴ グ ラ ム
゜ K グ ラ
ム
A
① ② ③
1 (3 0) 18(11 6) 4 (13 8)ns
ss 60
50
40
40
50
60
数値は偏差値
/
―
A群
‑‑‑‑‑‑B
群
ー・ー •C 群
CP NP FC AC
u‑ U + A I+ I‑
\
\(Uは他者 [は自己 +は肯定 ーは否定)
図1 群別OKエゴグラム
表3 群別のYGテスト結果 YGタイプ
B C D D E
④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ ⑫ ⑬ ⑭ ⑮
4(12.1) 4 (12.1) 14(42.4) 10(30.3)゜
10(6.5) 8 (5.2) 64(41 3) 55 (35. 5)
゜
5 (17.2) 1 (3.4) 6 (20 7) 12(41.4) 1 (3.4) ns ns ns ns ns
析をおこな
った。その成組が表
5お よび図
2である
。図
2には,偏相関 係 数 が
0.1以 上 の 説 明 変
量のみを示 してあり,正の絶対値が大きいスコ ア ー の カ テ ゴ リ ー を 属 性 と す る も の が A群の特性をも
っていることにな る。 なお, 説 明 変醤 として
16項 目 の す べ て を 取 り 上 げ た 場 合 , 説 明 変 量 を 種 々 に 取 捨 選 択 し た 場 合, またカ
注人数(%)を示す。ns:P>0.05
テ ゴ リ ー 区 分 を 種 々 に 変 え た 場 合 な ど, 多 く の 解 析 を 試 み た が, 重 相 関 係 数 は 上 記 の 説 明 変 量 を 取 り 上 げ た 場 合 と 比 べ て 低 く , 良 い 結 果 は 得 ら
れなか
った。数量化理論による解析からは A群 , す な わ ち ナ ー ス と し て 適 性 の よ い 群 は エ ゴ グ ラ ム で は ト ー タ ル エ ネ ル ギ
‑(TE)
と大人の自我状態
(A)が 高く,批判的親
(CP)と自由な子供
(FC)が低く,
OKグ ラ ム で は 自 己説明変屎
Yl: CP Y2: NP Y3: A Y4 ・ FC Y5: AC Y6 TE
表4 説明変量とカテゴリー
カテゴリー 説明変屎 カテゴリー
Cl: 47以下
Y 7 : I (+) Cl: 39以下 CZ・ 48以上 C2:40以上 Cl・ 48以下
Y 8: I(‑) Cl 52以下 C2:49以上 C2: 53以上 Cl. 46以下
Y 9: U(+) Cl: 48以下 CZ: 47以上 C2:49以上 Cl: 53以下
YlO:U(‑) Cl: 40以下 CZ・ 54以上 C2 41以上 Cl: 57以下 Cl. D
型 ⑩
CZ: 58以上 Yll:YG C2: A型 C型 ,
C 1 : 244以下テスト
D型
(⑩を除く
) CZ: 245以上 C3: B型 ,
E型
18
太湯好子 ・ 酒井恒美 ・ 杉田明子 ・ 初鹿真由美 ・中 西啓子 ・ 谷原政江・登喜玲子・渡造ふみ子
表5
数 璽化理論第
2類による解析結果
説明変且偏相関係数
( スコアーのレンジ )
CP 0.182 (0.870) NP 0.038 (0.196) A 0.134 (0.608) FC 0. 204 (0 967) AC 0. 013 (0 059) TE 0.210 (1 260) I(+) 0 150 (0 740) I(‑) 0.069 (0.325)
u (+) 0. 098 (0 504)
u
( ‑ )
0 008 (0. 043) YGテスト
0 217 (1 493)重相関係数
0.451肯定(I+ ) が低いプロフィールをもち ,YGテ ストでば情緒安定積極型の D: ⑩ 型 の 者の適性 が品く,情緒の不安定な不適応タイプの B , E型 の者の適性が低いという結果が得られた 。一方 , NP, AC, I ( + ) , U ( + ) , U( 一)は適性の優劣 にほとんど寄与していないという結果であった 。
2.
数量化理論による合成得点に基づ<
A群と C群の判別
上記の解析によ って得られたスコア ーに基づ いて, 各被検者の説明変量における属性から合 成得点を算 出 し,その得点から, どのくらい正 し<A群の者を A群と,また C群の者を C群と 判別 しうるかを検討した。判別点数 を一
0.1およ び
0点とした場合の結果は表
6のようである
。累積度数分布 図から ,合成得点 ー0.05 以上を
A群,ー0
.05未満を
C群と した場合の 的中率は
74%であ った。次に, 全被検者
(A, B, C 3群)の 中か ら
A群の判別を試 みた。 そのために ,改め てA群と B , C2 群を合わせた群を 外的基準とし,
CP 0 75
0 50
0 25 ス
コ ゜
ア I
‑0 25
‑0 50
‑0 75
l
Cl C2
A FC TE I(+) YGテスト
Cl C2 Cl C2 Cl C2 Cl C2 Cl CZ C3 図2
各カテゴリーのスコアー
ー数 量化理論第
2類による解析結果一
表6
合成得点による
A群と
C群の判別
判 別
占ヽ"数
A
群: こー
0.1,C群 : <ー
01 A群 :
;:;;o,C群
'<o正しい 判別人数 誤った判別人数 正しい判別人数 誤った判別人数
( % ) ( % ) ( % ) ( % )
A
群
25 (75.8) 8 (24.2) 24 (72.7) 9 (27 3)C
群
21 (72 4) 8 (27.6) 22 (75.9) 7 (24 1)ナースの適性を自我構造の比較検討よりみる
19上記と同様の
11項目を説明変益に取り上げて数 量化理論第
2類による解析を行
った。解析の結果に基づく合成得点によって求めた的中率は
63%であった
。また同様にして,全被検者の中から
C群の者 の判別を試みた。数犀化理論に基づく解析結果 から求めた的
中率は72%であ
った。N
.考 察
1.対象者の特徴とエゴグラムからみたナース の適性
日本人の典型的なエゴグラムは
,NPをピーク とし,
ACへと
下がっていく「への字型」である
。それに対し,合理性を要求するアメリカ社会で は , A をピークとする「ベル型
・吊鐘型」であ るとされている
。また,我が国の理想のナース 像としては俊しさと思いやりがあげられている
。そのエゴゲラムは
NPの俊位な形と考えられて いる
。飯田ら
8)は,
専門職業人としての望ましいナースのエゴグラムは
NPが
Aより高いかある い は 同 じ 値 で 項 点 を 示 し , 職 業 人 と し て の 価 値 信 念 を 表 す
CP,さらに
,ありのままの私の
FCが そ れ ら に 次 い で 嵩 い 「 へ
の字型」であるとい
っている。これは,遠山ら"の指摘する傾
向と
一致する
。また
Marco')による良いナース のエゴグラムは
CPが低く,
A,FCが高く,
ACが低い。 この研究においては
NPの要素が抽出
されていないので, それについては言及できな いが, どの国にも共通する良いナースのエゴグ ラムのパターンは見出せるように思える
。次にナースの描いた理想のナースのエゴグラ ムを見ると, A をピークとする「ベル型」であ る。客観的な判断は豊かにするが,主観的な自 己 主 張 は 控 え
目にし
, 内 面 的自信はしっかり ともっている
ACの低いタイプを理想としてい る
olこれは,筆者ら
16)が
J看護学校の学生に ついて調査した理想のナ
ース像と一致し, Aをピ
ークとし,次いでNPが高く,
ACの低い「ベ ル型」を看護学生やナースが一 致 して,理想的 なナ
ース像としている傾向があるようである。荒 井
19)は「親切で優しく
,病む人を明るくいたわり励ます
中で,細やかな心配りをしながらケアをする積極的な
専門職の看 護者を育てるこ とは困難な課題ではあるが,全うしなければな
らない」と述べ,「この問題をさけて通ることが 職業的に不可能な,人間とのかかわりの深い職 業が看設なのである」といっている。この荒井 のいうナ
ースのエゴグラムを想定してみると,ナースの描く理想のエゴグラムと一致している ようである
。この理想のエゴグラムは看殿職の 目指す目標ともいえ,ナース自身が自分のエネ ルギー配分を変え,望ましい自分に変化 してい こうとする時の目標となる
。次に経験年数とエゴグラムの変化をみてみる と,どの年代においても
NPが常にピークであ る
8)0ナースを職業選択しようとする者にとって は ,
NPは 母 性 性 と の
関 連 からも重要な意味を 持つといえる
。一方,
CP,NP, Aは加齢ととも に高くなり
,FCが低くなり,
ACはほとんど変 化しない
17)0 この点からみても, ナースの適 性
と
NPの高さは関連深いように思える
。さて,本報の成組でナースとしての適性の高 い群,すなわち A群とその低い群,すなわち C 群のエゴグラムを単純に比 較すると,
NPとA
が嵩
<,FCが 低 い 傾 向 を 認 め た
。しかし
,多変 批解析 の 結 果 で は
Aの高い者,
CPの低い者,あるいは
FCの低い者の適性が高いという結果 であった
。また NP,ACの適性への寄与が認め られないという結果を得た
。この結果を上記の 文 献 の 指 摘 と 対
比すると
,NPや
ACの適性へ の寄与が認められなかった点に大きな不一致が ある
。この理由の
1つとして,多変旦解析によ る結果である
ことがあげられる。さらに,対象 者の
TAOKを用い て の エ ゴ グ ラ ム の 特 徴 に ふ れておく必要がある
。そのパターンは,前報15)の 報 告 と 同 様,
NPが高く,また
FCとACの高 ぃ
c主 導 型 の エ ネ ル ギ
ー配分を示し,思春期のエゴグラムに
近いパターンを示す。この特異な
パターンは対象者の特異性からきているのか,
適用した
質問紙の違いに基づきはしないか,などいろいろ考えられるが,現時点ではあきらか にすることができない。 しかし,本報で得られ た成績の文献
8,9)との不一致は,このことと関連 があるかもしれない。
次に,心的エネルギー,すなわち,
TEについ
てみると
,その高い者の適性が高くでた
。各 個人の
心的エネルギーの総和は,体のエネルギーに似て
,だいたい一定に保たれているといわれ
20
太 湯 好 子
・酒井恒美・杉田明子
・初 鹿 真
由美・中西啓子
・谷原政江
・登喜玲子
・渡沿ふみ子
ている
18)0川端ら61によると
,実習場所により,必ずしも
TEの高い学生の評価が良くないと報 告されている
。これは,心的エネルギーの配分 の仕 方によっては,ナースとしての適性に問題 が生じるところを示唆しているもので,多変量 解析 による本報の成績とあいいれないものでは ない
。また,
OKグラムの
I( +)の低い者の適性が よいとでた結果については,
FCの高さは
I(+)と結びつくことから,
FCの低い者が適性が高い とでたことと関連があるように思える
。前にも述べたように,調査対象者の子ども (
C)のエネ ルギーの闇さと関係しているようにも思われる
。2. YGテストよりみるナースの適性
遠
山ら
41は,社会的性格という側面からナース 像を捉え
,YGテストの結果との関連でナース としての適応の型に
D型と C 型をあげている
。この
2つのタイプの共通性は適応性と情緒の安 定性である
。D型は活動的,積極的,外向的を
, C型は消極的,内向的,持続性を特徴とするタ イプである
。また,ナースは「慎重ではあるが,楽観的,行動的であり,情緒安定性や,社会適 応性が高く, タイプとしては外交的,活動的な 外交型群と内向的,持続的な内向型群があり,
経験年数の増大ともに安定性,持続性,内向性 のタイ プが次第に増える
。このような姿がナー ス の 社 会 的 性 格 と し て 特 徴 づ け ら れ る
。」と述 べている
。本報では, A群すなわちナースとしての適性 の 高 い 群 で は , 単 純 な 比 較 で
D,Cタイプの者 が多い傾向がみられ,遠山らの指摘するところ と 一 致した
。多変量解析では,C タイプに属す 者が少なく,独立カテゴリーとして扱うことが
出来なかったため,それについては言及できないが,
D:⑮ タ イ プ の 者 の 適 性 が 高 <,B
,Eタ イプの者では低いという成績が得られた
。対象が学生であることから考えて,
D:⑩タイ プの者 の適性が特に高くでたことはうなづける
。さら に , YG テストの結果がナースとしての適性の 優劣に最も大きな寄与を示したことは注目に値
する
。ナースの仕事は人の世話をする仕事である
。この点から考えても,
D, Cタイプに共通する適 応性や安定性は重要と考える
。3. Burn Out現象とエゴグラム
ナ ー ス の 適 性 と し て 重 要 な 条 件 の
1つに,
Burn Out
に陥りやすいか否かがあげられる
。看護の専門能力としては
① 看護職としての専門知識
② 技能を含んだ技術
③ 看護職としての自覚と心の持ち方に代表 される態度
の
3つが重要な要素として指摘される。ことに
,ナースには心から優しく人に接することができ る人間性と態度が重要視される
。勿論これらは誰もが認めることである
。しか し , これらを兼ね備えることは生身の人間であ るナースにと ってはそうたやすいことではない
。また,近年の医療の進歩はこれをより困難な状 況 に 追 い 込 み, そ の 結 果 と し て
,看 護 職 に も Burn Out現象が多くみられるようにな った。こ の
BurnOutとエゴグラムとの関連を文献でみ ると,
ACの品い人には
BurnOutが多く,
NP,Aの高い人には少ない傾向 にある
IO,13)0エゴグラムの
NPゃ
Aの低い人や
ACの高い人 は
BurnOutに陥り易いといえる
。これらは,
ストレッサーを肯定的に捉える自我が
A,NPで あることや,反対に否定的に捉える自我が
ACであることと一致する
11)0稲岡ら]
4)は
BurnOutに陥り易い人は「
a)非 現実的な理想,希望,期待感を抱き,妥協を拒 み , どちらかといえば完全主義で短期間に成果 を見極めたい人,
b)他人に認めてもらいたいと いう欲求をもち,他人からの無視に耐えられな い人,
c)責任感,使命感が強く
,非常に自信の有る人」としている
。エゴグラムでは, a)は高 い
CP,b)は高い
AC,c)は高い
CPに一致 す るように思われる
。ナースには優しさ,思いやり,世話など高い
NPと緊急時の適切な判断等,
高い
Aが要求される
。これらからもNP,Aの低
さは
BurnOutに陥り易いことと関連がある
。以上のことからあらためてナースの適性を考
えてみると,
NP,Aが低く,
AC,CPの高い人は
適性が低いといえ,本報の成績はこの一面を示
しているように思われる
。だが,FCに関しては
今後検討の余地 が残された。 また,自我構造パ
ターンについては論究しなか ったが,今後は全
体的なエゴグラムパターンとの関連において検
ナ ー ス の 適 性 を 自 我 構 造 の 比 較 検 討 よ り み る
21討 し て い く 必 要 が あ る と 考 え る
。4.自 我構造およびYGテ ス ト に よ る ナ ー ス の 適 性 の 予 測
本 報 の 成 績 は , 自 我 構 造 お よ び
YGテストの 結果から
,ナー スとしての適性をも
っているも の と そ の 適 性 の 低 い も の の 予 測 が か な り の 程 度 可 能 で あ る こ と を 示 し て い る よ う に 思 わ れ る
。しかし,必ずしも十分といえる成紹ではなかっ た。 自我構造と
YGテストの情報だけからでは,そ の 判 別 に 限 界 が あ る の は 当 然 か と も 考 え ら れ る。 さ ら に 多 く の 情 報 に 基 づ い て の 予 測 を 試 み るべきであろう
。さらに本報での教員による適 性 評 価 が,果
たして
理想 的 ナ ー ス 像 を 適 切 に と ら え た う え で の も の で あ っ た か ど う か が問われ なければならないであろう
。ナ ー ス の 適 性 の 予 測 に つ い て は , 理 想 的 ナ ー ス 像 の 追 求 と と も に 今後の追求課題である
。v . ま と め
ナ ー ス の 適 性 を 交 流 分 析 の 構 造 分 析 の 理 論 を
用 い て , 自 我 構 造 の 側 面 よ り 検 討 し た。多変批解析 によ
ってえられた結果は次のよう である
。1 ‑ナースとして
の 適 性 の 高 い 群 は
,エゴグラ ムの
TEと
Aが闇
<,CPと
FCの 低 い 者 で あった
。また,
OKグラムでは
I(+)の低 い 者であ
った。
2 ・ YGテストでは,準型
と亜型を除いた
Dタ イプの者の適性が高く,
B,Eタイプの 者 の 適性 が 低 か
った。3.
適 性 の 嵩 い 群
(A群)と
,適 性 の 低 い 群
(C群 ) の 合 成 得 点 に 基 づ く 判 別 で は , 的
中率 が 74%であった
。引 用 文 献
l)島村忠義:看護学生の意識と看護教育ー 全国調
査の結果から,看護展望,
21(3), 133‑137 (1980) 2)渋谷侵子,他
:日本の看護学生と教育像
(その
2)ー
全国の看渡学校の種別による比較を中心と して
一理想的看渡婦像,第
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3
)藤原ヤスエ,進藤正代:看渡婦像に関する
一調査,看獲教育,
21(10), 624‑633 (1980) 4)遠山敏,藤田美津子 :看 護 婦 の 社 会 的 性 格 一
YG
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5)川端寿美子,他:
看護学生のエゴグラムにみる 各学年の指導のボイント
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6
)川端寿美子,他:実習成紺とエゴグラムとの相 関について
の一考察 〈第
2報〉 ,看設展望,
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内海滉訳): 看護婦について実施し た交流分析自我状態の測定,看護研究,
13(2),141‑146 (1980)
8 ) 飯田真佐子,他: エゴグラムからみた看護婦の 成熟性について,看護展望,
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)遠山敏,藤田美津子 :エゴグラムによる看護婦
の自我状態の特性について, 看護展望,
13(7),90‑97 (1988)
10)
松田久美子
:看護婦の
BurnOutとエゴグラム に示される個人特性との関連,看護研究,
21(2), 181‑188 (1988)11)
佐伯恵子,安森由美
:看獲者の仕事ストレス認 知とエゴグラムの関係,交流分析研究,
13(1・ 2), 45‑52 (1988)12)
安森由美,佐伯恵子
:看護婦にみられる
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,交流分析研究,
13(1・ 2), 53‑59 (1988) 13)中村久美子,稲岡文昭:看護婦にみられる
BurnOutとエゴグラムに示される個人特性と
の関連,
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,17‑20 (1985)14)
稲岡文昭
:燃えつき症候群に陥
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,看股学雑誌,
48(9),993‑997 (1984) 15)太湯好子,他 :看護学生の自我状態と基本的
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