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(1)

日本語テキストのための鍵盤配列(その一) : タ イプライティングにおける指間遷移速度行列の特異 値分解

その他のタイトル Keyboard Layout for Japanese Text, Part I : Singular value decomposition of transitional speed matrix between fingers in typewriting

著者 辻岡 美延, 雨宮 俊彦

雑誌名 関西大学社会学部紀要

15

2

ページ 137‑162

発行年 1984‑03‑28

URL http://hdl.handle.net/10112/00022759

(2)

日本語テキストのための鍵盤配列(その一)

ー タ イ プ ラ イ テ ィ ン グ に お け る 指 間 遷 移 速 度 行 列 の 特 異 値 分 解 一

キーワード

特異値分解速度行列 タイプライティング H本語テキスト 鍵盤配列 Key words 

singular value decomposition,  speed matrix,  typewriting,  Japanese text,  keyboard layout 

〔 問 題 〕

最近におけるコンビュータやワードプロセッサの発達普及にともない所謂コンビュータ人口が 爆発的に増大しつつある。また,これに併行したオフィス・オートメーションの進展によって,

わが国の労働人口のうち,将来は 1,000万人以上の人たちが多かれ少なかれキーボードとかかわ るようになるといわれている。このような現状を考えるとき,日本語テキストの入力にふさわし い鍵盤を早急に規格化することが望まれる。ところが現状のJIS規格鍵盤 (JISC0803,  B9509,  C6233) 人間工学的検討を充分に経て決定されたものとは言い難く,種々の欠点を内包して

いるように思われる。一例をあげると,日本語に多い拗音に頻用される小文字のヤユヨは不便な 所に配置され,その上シフトキーを使わなければならない。また左右の手の分担や,日本語の文 字間遷移確率を考慮した鍵盤配列などの効率性についての配慮は全く無視されているように思わ れる。

日本のオフィス作業の望ましい将来像を考えるとき,この問題は,実は非常に重要な問題であ りながら,一部のメーカーを除いて(神田・白鳥・中山・田中・池上 1979),どちらかと言えば 等閑に付されて来たように思われる。なんとなれば,人間の手や指0)辿勁学習においては,一旦 ひとつの運動パタンが習得固定されると,新しい別種のパタン形成には負の学習転移が生じる傾 向があるので,若い世代間に古い規格の鍵盤が多量に出回る前に,前もって人間工学的に充分に 検討された効率的な鍵盤の規格を決定しておく必要があるからである。通産省においてもこの必 要性を認識し,すでにこのための研究委託に着手しているが(日本電子振興協会1982, 1983)

‑137‑

(3)

関西大学『社会学部紀要」第15巻第2

れらの研究報告を見る限り,研究の方法論に関して,従来の古典的な方法論の域を出ず,多変凪 解析的な新しい発想に乏しいように思われる。この原因を考えると,欧米では,タイプライタが 既に普及し,表音文字の分かち曹きによるテキストが用いられるので, Dvorak,A., Merrick,  N. L., Dealey, W. L., & Ford, G. C.  (1936)などによる鍵盤配列改良の研究例もなくもない が,英文入力の効率性の良否の問題は,日本語テキストの入力ほど,さほど深刻な問題ではな く,したがって学問的にすぐれた研究例もさほど多くは見当らないように思われる。しかもその 上,日本語入力という日本固有の問題を解決するための方法論のモデルとなる研究が外国には見 当らないというのが日本の研究陣の当面している実状であるといえよう。

日本語テキストは,単語,文節などによって,旬点の付け方も一定せず,分かち書きされない 表意文字と表音文字との混合文である。しかも漠字は時により任意にかな文字によっても書か れ,このため,文字間の遷移確率を求めることも,鍵盤のアーキテクチャ(設計思想)や形式に よって一定しないという困難に悩まされる。このように, 日本語テキストの入力鍵盤に対して は,欧米には存在しない日本語固有の難問を克服するような方法論が創出されてこそ,この問題 は合理的,科学的に解決されうるのであって,欧米の研究の模倣によって解決されるという問題 ではない。

このように,日本語入力に適した鍵盤配列を考える上で,克服しなければならない重要な研究 課題は四つある。その第ーは,人間の手や指の運動について,とくにタイプライティング作業と いうどちらかといえば,人間の本能的運動とはかなりかけ離れた巡動機能についての人間工学的 研究であり,その第二の研究領域は,日本語テキストの言語学的特性を研究し, そ れ ら の 特 性 が,公文書,事務帳票,小説,新聞雑誌,教科書,学術論文などにおいて,いかに分布するかに ついての言語学的研究である。その第三は,上の両者をいかに結合してその相乗効果を最大化す るかの数理的方法論を開発する研究である。そして第四にこれらの研究によって,この効果を最 大化しうるような鍵盤を技術的創意や工夫をもって汎用の状況において求め,これを規格化する

という技術的側面がある。

本論文は,このうち最初の理論的基本問題, すなわち, 人間の手や指の運動の効率性につい て,多変量解析的手法のうち,特異値分解とよばれる方法を適用したものである。先の研究にお いて雨宮 (1983)は,タイビング作業における手や指の運動の効率性を規定する諸要因について の内外の諸研究の概観を試み,それにつづいてそれらの研究において,最も研究の立ちおくれて いた同手打ちにおける指と鍵盤の上下段の組み合わせ条件についての実験を試みた。しかし,こ の雨宮 (1984)の研究は,方法論としては分散分析と数量化I類を用いて,手や指および段の条 件などの主効果とそれらの交互作用の統計学的有意性や打鍵速度への予測的回帰のための重みづ けをあきらかにするものではあったが,実際に観察される指や段の遷移速度 (transitional speed)そのものを直接的,構造主義的に説明しうるものではなかった。

(4)

日本語テキストのための鍵盤配列(その一)(辻岡・雨宮)

〔 方 法 と 結 果 〕

(1)  平均相対速度行列

そこで,本論文では,先の雨宮 (1984)の研究にひきつづいて,この雨宮の実験デークをその まま,構造主義的な観点から分析した。当然のことながら,被験者は先の研究と全く同じ10 15秒間,マイコンのディスプレイ上にランダムに提示された2文字を繰り返し出来るだけ速 く打鍵させるという連続作業を行わせ,誤打鍵を除いた正打鍵数を測度とした。提示される 2 字は,左手と右手についてそれぞれ, 1125 11段と皿段25 I段と皿段25 I段とIV 25対の100対,計200対のなかからランダムに選ばれ,各一回ずつ提示された。なお,途中で,休 憩が自然な形で挿入された。

この実験データは,

後 打 II 

II  822  ill 

Fig.  1.  のように段についての44の超行列と考えると,実際に施行さ れたのは, Fig.1. 内の S22, S23,  S13,  Suであり, Ill 

813  S2a 

Su 

欄の部分は省略されている。そして,それぞれの小行列 5X5個の要素からなっている。

Fig.1  速度行列

本研究は,タイプライティングにおける純粋な手と指 の遷移運動の機能を調べることを目的としたので,すで に普及している規格鍵盤に対する経験効果,すなわち,

被験者の文字使用頻度による練習効果などの要因を可能 な限り除去しようとしたため,わざわざ, Su, S33,  844  を実際の実験から求めずに, S22でこれを代置した。換 言すると,本実験のような15秒間の連続2文字打鍵では,

手もとのI段目の5鍵に対する運指速度とIl段目に対するそれとは,相対的に同一であると仮定 したことになっている。

(1)  S22=811 =Sss=S44 

この仮定は, Il段と皿段との鍵に対する速度は一段差 (reach)であるから, 皿段とIV段の一 段差と(2)式のように同等であるとするものであり,

(2)  S2s =S,2 =Ss4 

手もとのI段と皿段の二段差(hurdle) (3)式のようにIl段とIV段の打鍵に等しいと考える ことになる。

(3)  Su=S24 

これに対し, Il段のあるキー(たとえばI)を先打し,次に皿段のあるキー(たとえば L) を 打鍵することと,先に皿段のそのキー (L) を打ち,次にIl段の当該キー (I)を後打すること 2打鍵の連続作業であるから,最初の 1打が異るだけで,途中の作業は同一内容であるか

ら,例えば小行列のうち

‑139‑

(5)

関西大学『社会学部紀要」第15巻第2

(4)  Sa2=S2a',  Sa, =Sia',  Su =Su' 

などのように,それぞれの転置となる。このように, (1) (2) (3) (4)式を考慮に入れて,

この遷移速度行列を構成すると,次の(5)式のような 2ox20次の打鍵度数行列が得られる。

151 

s-[~:   . E   : : :

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このような個人別相対速度行列を被験者10人について右手,左手別々に求め,さらにこのすべ ての対応要素ごとに平均したものが Table1の平均相対速度行列である。 この平均相対速度行 列は,左手と右手について求められる。当然のことながら,これらの全要素の平均は左,右共に 1.00となる。各行および各列,換言すれば各段の各指が先指・後指の場合の相対速度の平均値が 表の下二段に示されている。表の見出しは,左手では指

C J ,

I,  M, R, L)が段 (1 4)の左 側に,右手では指が段の算用数字の右側に表示されている。以下の表示はすべてこの方式を採用 している。 Jは人さし指内側, Iは人さし指外側 (II段ではホーム・ポジション), Mは中指,

Rは薬指, Lは小指を意味している。平均相対速度は,両手ともII段の

J

Iが大きく, I段の

Lが最も小さい。

上述のように, Table1の左右の平均相対速度行列は各人の相対速度行列を平均したものであ り,また各人の相対速度行列も, 400要素のうち実際は 100対が実査され,残りは拡大されたもの であるから,かなりモデル化されたものであることを忘れてはならない。そのため,かなり純粋 化された状態での手と指と段との組み合せの運動機能が表現された遷移速度行列 (transitional speed matrix)だといえる。 ここでこの行列を簡略して「速度行列」とよび,やはり今後の数 式展開でも S瓜左), S瓜右)と表記することにした。

(2) 特異値分解

このようにして求められた平均相対速度行列,略して速度行列は,左手分 SL, 右手分 SRそ れぞれ20X20次の正方行列である。しかし,対称行列ではない。なんとなれば,主対角小行列,

換言すれば同段の5X 5次の小行列は非対称であるから,全体としての2QX20次の行列も非対称 とならざるを得ない。勿論,段違い運指の部分の小行列,たとえばIl段とIII段の部分の 55 の小行列も非対称である。しかし,超行列全体としてみると,かなり対称に近い非対称行列とな っている。そして行が先打ち,列が後打ちのキー位置を示している。

(6)

Table 平均相対速度行列と行および列平均(10人分平均)上左手,下右手

141 │ 

OIISl!R¥BD SPl!BDTRIXH細) Jl 11 Ml Rl Ll  Jl 1,061 0,963 1,372 1.018 1.197  ll 0,926 1.052 1,559 1.413 1.271  Ml 1.154 1.318 1,105 l.187 0.940  Rl 1.211 l.206 1,183 1.164 0.912  L1 1.173 1.239 1.020 0,874 "o.977  J2 1.031 0,917 1,220 1.108 0.897  12 0.998 1,047 1,102 1.173 1.098  M2 1.343 1.172 1,017 1.024 0.801  R2 1.188 1.209 1,159 0.966 0,863  10 L2 1.131 1.210 0,896 0,039 0,879  11 JJ o.an o.897 o,aJ2 o.905 o.a 12 IJ 0,828 0,808 0, 788 0.911 0,884  13 MJ 1.。●1,021 o,884 o.aos 0,752  14 RJ 1.104 1.028 0.822 o.ao• o,678  15 LJ 1.034 1.160 0,624 O.ol3 0, 745  16 J● 0.81b O. 725 0, 707 0, 760 0.829  17 I● o. 777 o. 77• o. 723 o. 7● u, 7●●  18 M4 0.957 l,047 O, 77& 0, 7C4 O, 750  19 R● l.022 0.97b o. 729 0. 704 O,b 20 L4 o.8b8 .l.014 O,o80 o., •• 0.624  先措平均l,0271,043 0,Y70 0,928 0,868  後指平均1.0311.065 0.943 0,9.29 0,867  OBSERVED SPEEDTRIX(RIGHT HAND)  lJ 11 1M lR lL  lJ 1.130 1.005 1,271 l.Jb5 1,111  11 1.09b l.122 1.377 1.lbl 1.214  lM 1,322 1,292 1.039 1.049 0.959  lR 1,115 l,lJ● 1.177 l.025 0.868  lL l.213 l,150 0.913 0;8bl 1,022  2J 0,998 0,907 l,009 1.026 1,028  21 l,032 0.%1 1,040 l,094 1,126  2M 1,327 1,210 0.992 0,923 0,824  2R 1,192 1,307 l.052 0,971 0,806  10 2L l,223 1,lbl 0.879 O. 788 0.887  11 JJ o.908 o.877 o.a● o. 783 1,012  12 JI 0.937 0.883 0.853 0.955 0.984  13 3M 1,281 1.124 0.872 0,866 O. 708  1● JR 1.193 1.160 0.809 0.843 0.717  ~5 JL 1.128 1.100 O. 719 C.623 0, 791  16 4J 0.845 o. 782 o. 772 o. 715 o. 7i8  17Io.788 O.BJl 0,816 P.791 o.787  18 4M 1.079 l.036 0.824 O. 752 O. 759  19 4R l.009 l.029 O. 736 O. 782 0,631  20 4L 0,905 1.018 0,675 0.592 0,663  先指平均1,0861,060 0.937 0,898 0.881  後指平均1.0891.071 0.932 0.891 0.880  10  J2 12 M2 R2 L2  1.031 0.998 1,343 1.188 1,131  0.917 l.047 1,172 1.209 1,210  1,220 1,102 1.011 1,159 0,896  1.108 1,173 1.024 0.966 0,839  0.897 1.098 0,801 0.863 0,879  1.06! 0.963 1.372 1.018 1,197  0.926 1.052 1,559 1.413 1,271  1,154 1.318 1,105 1,187 0,940  1.211 1,206 1.183 l.164 0,912  1.173 1,239 l,020 O.BH 0.977  l.031 0.917 1.220 1.108 0.897  0.998 1.047 1.102 1.173 1.098  1,343 1.112 1.011 1,024 0.801  l.lBR 1.209 1.159 0.966 0,863  1.131 l.210 o.d96 0,839 0.879  0.011 o.&97 o.s,2 o.965 o.s•o O.B2R O.b68 O. 788 0.911 0,88●  1.049 1.021 ‑o.as● o.sos 0.152  1.10● 1.02a o.&22 o.so9 o,&78  1.034 1.160 O.d24 0.813 0.745  l.064 l,087 1,057 l.023 0,934  1.068 l.109 1.030 1.024 0,934  10  2J 21 2M 2R 2L  0.99R l.032 l.327 l.192 l.223  0.967 0.9bl 1.210 l.307 l.161  1.009 1.0•0 o.992. 1.052 0.a19  l.026 1.094 0.923 0.971 0.788  l.02R l.126 0.824 0.806 0.887  1.130 1.065 1.211 1.365 1.111  l.096 1.122 l.377 l.161 1.214  1.322 l.292 1.039 1.0•9 C.959  1.115 l.13• l.177 1.025 0.8&8  l.213 1.150 0.913 0.861 1.022  0.99R 0.967 l.009 1.026 l.028  1.032 0.9&1 1.040 l.094 1.126  1.327 1.210 0.992 0.923 0.824  1.192 1.301 1.os2 o.971 o.eo&  1.223 1.1&1 0.879 0. 788 0.887  0.90R 0.877 0.846 0. 783 1.012  0.937 0.883 0.853 0.955 0.984  1.281 1.120.8720.866 0. 708  1.193 1.160 0.889 0.843 o. 717  1.12s 1.100 o.719 o.623 0.191  l.106 1.088 1.010 0.983 0.950  1.109 1.099 1.000.9760.949  11 12 13 14 15  JJ 13 MJ RJ LJ  0.871 0.828 1.049 1.104 1.034  0.897 0.868 1.027 1.028 1.160  0.832" o. 788 0.884 0.822 0.824  0.965 0.911 0.805 0.809 0.813  0.840 0.884 o. 752 0.678 o. 745  1.031 0.998 1.343 1.188 1.131  0.917 1.047 1.172 1.209 1.210  1.220 1.102 1.017 1.159 0.896  1.108 1.113 1.02• o.906・o.839  o.897 1.098 0.801 o.863 o.&79  1.061 0.963 1.372 1.018 1.i97  0.926 1.052 1.559 1.413 1.211  1.154 1.318 1.105 l.187 0.940  1.211 1.206 1.1aJ 1.16• o.912  1.173 1.239 1.020 O.o74 0.977  1.031 o.917 1.220 1.108 o.897  0.998 1.047 1.102 1.173 1.098  1.343 1.172 1.017 1.024 0.801  1.186 1.209 1.159 0.966 0.863  1.131 1.210 0.696 0.839 0.879  1.

401.052 1.075 1.030 0.968  1.044 1.074 1.049 1.031 0.968  11 lV 13 14 15  3J 31 3M JH JL  o.9oB o.937 1.2a1 1.193 1.12a  0.877 0.883 1.124 1.100 1.100  0.846 D.853 0.872 0.869 0.7i9  O. 783 D.955 0.866 D.843 0.623  1.012 o.984 0.10a 0.111 0.191  0.998 l.032 l.327 l.192 l.223  0.967 0.961, 1.210 1.307 1.161  l.009 1.0● 0.992 1.052 0.679  l.026 l.09● 0.923 0.971 o. 788  1.02a 1.126 o.a2● o.ao6 o.as1  1.130 1.065 l.271 l.365 1.111  1.096 1.122 1.317 l.161 1.214  1.322 1.292 1.039 l.O● o.959  1.115 1.134 l.177 l.025 0.868  1.213 l.150 0.913 0.861 1・.022  o.99a o.967 1.009 1.026 1.02a  1.032 0.961 1.040 1.094 l.126  l.327 1.210 0.992 0.923 o.a2• 1.192 1.307 1.052 0.971 0.806  1.223 1.161 o.&79 a. 7as o.aa1  1.055 1.062 10441.020 0.957  1.058 1.012 1.038 1.012 0.956  16 17 18 19 20  J4 14 M4 H4 L4  0.816 o. 777 0.957 1.022 0.868  o. 725 o. 778・l.047 0.976 1.014  o. 707 0.723 o. 776 o. 729 0.680  o. 760 o. 746 o. 704 a. 704 o.566  0.829 o. 784 o. 750 0.640 0.624  o.au o.&2a 1.049 1.104 1.034  o.897 o.a6a 1.021 1.02a 1.160  o.832 a. 788 0.884 o.822 o.824  0.965 0.911 0.805 0.809 0.813  o.840 o.884 o. 752 o.678 o. 745  1.031 0.998 1,343 1.1ee 1.131  0.917 1.047 l.172 1.209 1.210  1.220 1.102 1.017 1.159 0.896  1.108 1.173 1.024 0.966 0.839  0.897 1.098 0.801 Q.863 0.679  1.061 0.963 1.372 l.018 1.197  0.926 1.052 1.5'9 l.'+13 1.271  1.154 1.318 1.105 l.187 0.940  1.211 1.206 l.183 1.164 0912 1.173 1.239 1.020 0.87'+ 0.977  0.947 0.964 1.017 0.978 0.929  o.951 o.986 0.991 o.979 o.928  16 l7 18 19 20  4J 41● 4R 4L  0.845 0.786 i.079 1.009 0.905  o. 782 0.831 l.03& l.029 l.018  o.772 o.s1&·0.s2• o.736 o.675  o. 715 o. 791 o. 752 o. 782 0.592  o. 718 o. 787 o. 759 o.631 o.663  0.908 0;937 1.281 1‑193 1.128  0.877 0.883 l.124 1.160 1.100  0.846 0.853 0.872'0.889 o. 719  o. 783 o.955 c-.•&& o.8● 0.623  1.012 0.984 c. 708 o. 717 o. 791  0.998 l.0・32 1.327 1.192 1.223  0.967 0.961 l.210 l.307 l.161  1.009 1.040 0.992 1.052 0.879  l0261.094 0.923 0.971 o. 788  1.028 1.12& 0.82• o.so& o.887  1.130 l.065 1.271 1•365 1.111  1'.096 l.122 l.377 1.161 1.214  1.322 1.292 1.039 1.

490.959  1.115 1.134 1.177 1.025 0.868  1.213 1.150 0.913 0.861 1.022  o.958 o.9B2 1.01a o.989 0.916  0.961 0.992 l.Q12 0.982 0.915 

H汁甜7Xてミ 53濫賭閉浬︵ポ3ー︶︵汗耳・西叫︶

(7)

関西大学『社会学部紀要」第15巻第2

さて,このような遷移速度行列 SL, SRを特異値分解 (singularvalue decomposition) ると

(6)  SL=P, LQL''SR=P,RQR'

の形に分解することができる。ここで, PL, PRはそれぞれ左手分,右手分の「左固有ベクトル 行列」で, 20X20次であり, QL, QRはやはり2ox20

.  . 

次の「右固有ベクトル行列」である。

た,山、となは「固有値対角行列」とよばれ,一般的にはやはり20X20次の大きさである。こ の特異値分解(柳井1983), 数学的には一般に Eckart‑Young分解 (1936)とか, Horst

(1965)によれば「行列の基本構造」とよばれるもので,頻用される因子分析や主成分分析も広 義の特異値分解の特殊例と考えられる。(ただし,この特異値分解は,正方非対称行列の単なる 固有分解とは同じではない。後者の場合は, P'Qが対角行列,つまり左右の固有ベクトルが独 立となる場合の分解である。)

さて, (6)式の算法としては,&の主積率を固有分解すると,下の(7)式最右辺から, PL と j2L  が求まるので,

(7)  &S'L=PLQL'QLPL'=PL.d2LPL'

元の(6)式 の & に 左 か ら PL'を さらにその左から .d2Lの一一乗,つまり .11ILを掛けると

QL'が求まる。このようにして

~ べ)right  hand 

•--,. left  hand 

︵ 苓

(8)  Li九PL'SL=Ll1LPL'P.且心1L=QL1 求めた PL, QLおよび LlL と PR, QRおよ LlRが Table2‑1 (左手分) Table

2‑2 (右手分)であり,固有ベクトルおよ び固有値は第7因子まで表示してある。また LlL と LlRの固有値の推移を百分率グラフに 示したのが左の Fig.2である。

Table 2‑12‑2の最下行2行には第 7因子までの固有値と左固有ベクトル P 右固有ベクトル Qの一致性係数すなわち,

PL'QL と PR'むの対角の値が記入されてい る。固有ベクトルは,

(9)  PLPL'=PL'PL=QLQL'=QL'QL=l  PRPR'=PR'PR =QRQR'=QR'QR =I  すなわち内部間では正方正規直交であるの PL'QLや PR'QRの対角要素がそのまま 1 2 3 4 5 6 7 8 91011121314151617181920 

一致性係数 (coefficient of  congruence)  Fig. 2 右手,左手の固有値の百分率の推移

をあらわすことになり,この一致性係数が

(8)

H本語テキストのための鍵盤配列(その一)(辻岡・雨宮)

Table 21  左手特異値分解( 左固有ベクトル(上),右固有ベクトル(下),

固有値と一致性係数 )  EIGENVECTOR (P

;; 

1 Jl  0.229  ‑0.228  0.238  o.o.3.3  0.217  ‑0.314  ‑o .113  2 Il  0.2.36  ‑0.300  .329  0.41.3  ‑0.013  ‑0.196  0.258  3 Ml  0.211  0.324  ‑0.08l  0.099  0.069  0.4.37  ‑O.l.32  4 Rl  0.201  ‑0.315  ‑0.168  0.119  0.207  0.106  0.1.07  5 Ll  0.193  ‑0.227  ‑0.187  • .344  ‑0.215  0.068  ‑0.096  6 J2  0.2J8  ‑0.0'65  0.251  ‑0.220  o.i61  ‑0.218  0.315  7 12  0.247  ‑0.143  .317  ‑0.268  0.323 ‑0.213  ‑0.421  8 M2  •. 2.31  ‑0.154  ‑0.151  ‑0.230  0.096  0.438  0.044  9 R2  0. ;229  ‑0.163  ‑0.172  ‑0.149  0.101  ‑0.083  ‑0.184  10 L2  0.209  ‑0.157  0.221 ‑0.052  0.399 -o. 。 ~8 0.058  11 J3  0.2.3.3  0.171  0.225  0.041 0.113  0.099  ‑0 .314  12  1:3  0.240  0.188  0.303  ‑0.346  0.27.3 0.251  o.351  13 M3  0~2.35 0.147  ‑o. 18.3  ‑0.162  0.247  ‑0.074  0.056  14 R3  0.231  0.119  ‑0.178  ‑0.307  0.141  ‑0.067  ‑0.037  15 L3  0.216  0.0.34  ‑0.243  ~0.048 ‑D .320  ‑0.092  0.404  16 J4  0.212  0.267  0.171  0.164  ‑0.005  0.28.3  ‑0.315  l7  14  0.220  0.361  0.246  0.389  ‑0.075  0.212  0.172 

~8 M4  0.221  0.257  0.202 0.205  0.19'+  ‑0.278  0.025  19 R4  0.219  0.285  ‑0.191  0.119  0.262  o.oos  0.001  20 L4  0.208  0.231  ‑0.261  0.095  ‑0.353  ‑0,264  ‑0.209 

EIGENVECTOR CcL) 

7. 

1 J1  0.228  ‑0.206  ‑0.278  ‑o.oos  0.153  0.295  ‑0.061  2 11  0.231  ‑0.226  -0.~11 0.182  ‑0.245  0.174  ‑0.037  3 Ml  0.211  ‑0.397  0.112  0.300  o.344  ‑0 .367  0.198  4 Rl  0.207  ‑0 .;20  0.155  0.147  0.155  0.216  o.135  5 Ll  0.194  ‑0.2.35  Q.170  0.346  ‑0.155  ‑0.127  ‑0.108  6 J2  o.z..37  ‑o.oss  0.281 ‑0.162  0.211  0.132  0.073  7 12  0.241  ‑0.],.04  ‑0.297  ‑0.051  ‑0.283  0.154  0.110  8 M2  0.2.37  ‑0.191  0.176  ‑0.465  0.110  ‑0.412  ‑0.397  9 R2  0.229  ‑0.163  0.158  ‑0.166  ‑0.054  0.263  ‑0.466  10 L2  0.209  ‑0.162  0.206  ‑0.057  ‑0.338  ‑O.l78  0.168  11  J3  0.232  0.153  ‑0.253  o.ozs  0.251  ‑0.071  0.054  12  13  0.234  0.152  ‑0.278  ‑0.125  ‑0.190  ~0.217 0.185  1.3  M.3  0.241  0.186  0205 ‑0.331  0.135  0.215  0.177  14 R3  0.231  0.121  0.166  0.311  0.111  0.165  o.245  15  L3  0.217  0·.03~ 0.231  ‑0.057  ‑0.:305  ‑0.0.3.3  0.245  16  J4  0.211  .o. 244  ‑0.199  0.059  0.121  ‑0.2.30  ‑0.430  17  14  0.215  0.292  -0.~19 0.129  ‑0.150  ‑0.313  0.026  is M4  0.221  0.332  0.214  0.416  O.Q98  0.295  ‑0.259  J,9  R4  0.219  0.285  0.177  0.173  0,321  ‑0.085  0.234  20 L4  0.20s  0.2.35  o.2so  0.104  ‑0.38 o.

't7 ‑0.103 

EI GEN 

VALUE  20.070  2.282  1.863  0.798  0.574  0.542  0.43'9  Pl.'cL 1.000  0.986  ‑0.995  0.795  0.876  ‑0.841  .355 

‑143‑

(9)

関西大学「社会学部紀要」第15巻第2

Table 22  右手特異値分解(表順は左手に同じ)

ElGEN VECTOR  CPR) 

1 lJ  0.242  ‑0.395  0.053  0.027  0.028  ‑0.438  0.058  2 11  0.237  ‑0 • .397  0.058  ‑0.195  0.241  ‑0.003  ‑0.251  3 1M  0.20s  ‑0.201  ‑0.211  ‑0.037  0.274  0.276  0.043  4 lR  0.199  ‑0.180  ‑0.265  0.168  .358  ‑0.058  ‑0.004  5 lL  0.197  ‑0.050  ‑0.290  ‑0.410  0.009  .399  0.058  6 2J  0.247  ‑0.184  0.230  0.134  ‑0.219  0.020  ‑0.265  7 21  0.244  ‑0.249  0.17.3  ‑0.033  ‑0.296  ‑0.182  0.075  8 2M  0.225  ‑0.056  ‑o. 239  0.146  ‑0.254  0.177  0.351  9 2R  0.218  ‑0.086  ‑0.255  0.243  0.052  ‑0.012  ‑0.060  10  2L  0.212  0.079  ‑0.245  ‑0.402  ‑0.1.32  ‑0.252  0.100  11  3J  0.236  0.024  0.334  ‑0.010  ‑0.110  0.491  ‑0.245  12 31  0.238  ‑0.039  0.309  0.009  ‑0.228  ‑0.024  0.054  13 3M  0• 2.3.3  0.189  ‑0.125  0.225  ‑0.201  0.161  0.199  14 .3R  0.221  0.114  ‑0.1.37  0.342  ‑0.144  ‑0.180  ‑0.010  15  3L  0.214  0.244  ‑0.125  ‑0.306  ‑0.319  ‑o.

46 ‑0.116 

16 4J  0.214 

° 

158 .340  ‑0.049  0.307  ‑o. 074  o.682  17 41  0.221  0.112  • .355  ‑0.126  0.307  0.143  ‑0.005  18  4M  0.226  0.348  ‑0.041  0.083  0.290  ‑0.190  ‑0 • .318  19 4R  0.220  0,290  ‑0.009  0.370  0.105  0.097  ‑0.071  20  4L  0.205  0.382  ‑0.016  ‑0,280  0.068  ‑0.258  ‑0.155 

EIGEN VECTOR  (cR) 

1 lJ  0.241  ‑0.028  ‑0 .395  ‑0.046  ‑0.041  0.290  • .365  2 11  0.235  ‑0.015  ‑o .391  ‑0.062  0.184  0.178  ‑0.024  3 1M  0.209  ‑0.325  ‑0.151  ‑0.014  0.462  ‑0.173  ‑0.012  4 lR  0.201  ‑0.338  ‑0.087  0.135  0.250  ‑0.255  0.088  5 lL  0.197  ‑0.275  ‑0.006  ‑0.470  O.Q3l  0.247  ‑0.288  6 2J  0.246  0188 ‑0.233  0.066  ‑0.245  ‑0.044  0.035  7 21  0.242  0.115  ‑0.281  0.082  ‑0.198  ‑0.012  0.11.3  8 2M  0.226  ‑0.258  ‑0.019  0.209  ‑0.249  ‑0.350  ‑0.106  9 2R  0.220  ‑0.286  0.021  0.181  ‑0.016  0.149  ‑0.353  10 2L  0.212  ‑0.199  0.106  ‑0.429  ‑0.150  ‑0.111  0.424  11 ,3j  0.235  0.331  ‑0.063  ‑0.059  ‑0.116  0.139  ‑0.191  12 31  0.236  0.273  ‑0.122  0.099  ‑0.099  0.010  ‑0.073  13  3M  0.234  ‑0.012  0.204  0.321  -0.~5:3 ‑0.172  ‑0.231  14 .3R  0.229  ‑0.112  0.194  0,224  ‑0.155  0.273  0.001  15  3L  0.215  ‑0.042  0.238  ‑0.319  ‑0.339  ‑0.105  0.054  16  4J  0.213  0.362  0.062  ‑0.121  0.300  ‑0.434  ‑0.011  17  41  0.218  .339  o.oos  ‑0.045  0.264  ‑0.146  ‑0.220  18  4M  0.228  0.064  0.350  0.169  0.307  0.449  o.oss  19  4R  0.222  0.061  0.331  0.259  0.147  ‑0.003  0.512  20 4 0.205  0.099  0.353  ‑0.321  0.036  0.061  ‑0.156 

EIGEN 

VALUE  20.083  1.958  l.940  (i).674  0.566  0.358  0.351 

PR1lfcR  1.000  0.250  ‑0.247  0.939  0.952  ‑0.174  ‑0.02.3 

‑144‑

(10)

日本語テキストのための鍵盤配列(その一)(辻岡・雨宮)

+l. 00であれば左右の固有ベクトルが完全に比例的であることを示す。また一1.00であれば比例 関係が符号的に完全に逆転していることを示すことになる。

いま, Table2 Fig.2の固有値の推移を見ると, 1因子は20.07( 20.08(右)と きわめて大きな値であるのに対し,第2因子以降は急速に減少する。第6因 子 以 降 の 減 少 傾 向 は,ゆるやかであり,また第5因子までの .d2の累積寄与率も,左手では99.7%, 右手では99.8

%となるので,観察された速度行列は,この第 5因子まででほぽその全容を再構成できると考え てよい。また一致性係数の値は,左手では第5因子までの順に1.000,  0. 986,  ‑0. 995,  0. 795,  0.876となり第6因子でも一0.841とかなり高い値をしめしている。一方右手では第5因子までの 順に1.000,  0. 250,  ‑0. 247,  0. 939,  0. 952となり,第2因子と第3因子の一致性係数が低い 値を示している。これは,後述するように,左固有ベクトルと右固有ベクトルの抽出順位の不整 合によるもので,順序を入れかえると0.963, 0.965の高い一致性係数が得られる。

(3)  固有ペクトルの順合・逆合と速度増(減)分行列

Table 2‑1の最下行の一致性係数の値を第5因子までのみ見ると,左手第3因子の対応する 固有ベクトル間に一0.995という負の高い一致性係数が認められ,他は正の値をしめしている。

このように対応する固有ベクトル間の一致性係数が正の値を示す場合を「順合」, その逆に負 の値を示す場合を「逆合」とよぶことにする。このように特異値(対応する左固有ベクトルおよ び右固有ベクトル)が,順合する場合と逆合する場合とで,相対速度の増・減分が全く符号を逆 にして寄与することになる。先の(9)式の正規直交の条件から自明のとおり,これらの多次元的な 速度の増分・減分,換言すれば,加速度は直交直和の形式をとる。つまり,観察された相対速度 行列 SLや SR は,第 5因子までで打切ると, (10)式のようにあらわされる。

.  .  . 

(10)  &=PLL/LQL'+EL,  SR= PRLIRQR'+ ER 

ここで, PL は20X 5, QL' は5X20次の行列である。右手についても同様である。この(10) 式の行列表示は,&が5個の2ox20の行列の和であることをあらわしており, この5個の行列 には, L1L5個の主対角要素にあるそれぞれの固有値がスカラーの重みとして寄与しているこ とを示している。これらの直交直和の行列を「速度増分行列」, 残りの ELを「残差速度行列」

とよぶことにする。とくに第1因子の寄与部分を「一般速度行列」とよび,他の4個を「加速度 行列」と考えてもよい。

次頁の Table3は,左手と右手の一般速度行列である。この第1因子の寄与は行列の全要素 にわたって正の値であり,とくに1I段と皿段自身およびその組み合わせの要素の値が大きく, W 段自身とW段と他の段との組み合わせの箇所の値が小さくなっている。この傾向は左手右手とも に共通である。このような増分の傾向を視覚的に直観化したものが, Fig.4以降の「特性布置 図」である。

‑145‑

Table 1  平均相対速度行列と行および列平均(10人分平均)上左手,下右手
Fig.  4 ‑ 2   段因子と指因子の混合関係布置図(右手)
Table  5  指因子A (左手),指因子A ・段因子A 混合関係(右手)の速度増分行列

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