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学 生 の相 互 評価 にお け る 自己評価 と他 者 評 価 に関す る分 析

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(1)

学 生 の相 互 評価 にお け る

自己評価 と他 者 評 価 に関す る分 析

一 プ レゼ ン テ ー シ ョ ン演 習 に お け る試 み 一

木 村 富 美 子

1.は じ め に 2.教 育 評 価 の 背 景

3.学 生 の プ ロ フ ィ ー ル と課 題 の 概 要 4.学 生 に よ る 相 互 評 価

5.ま と め と 課 題

i.は じ め に

一般 的 な評価 に関す る定義 には,① 品物 の価格 を定め る こ と。 また評定 した価格 。

② 善 悪 ・美醜 ・優劣 な どの価 値 を判 じ定 め る こ と。 特 に,高 く価 値 を定 め る こ と。

な どが挙 げ られ てい る(広 辞苑第5版)。 す な わち,① 金 額 の 決定,② 価 値 の決 定, で あ り,「評価 とは,価 値 判断 の基準 に照 ら して,そ の程度 を判定 す る こ と」 で ある。

また,評 価 の構成 要素 に は,① 評価対 象 ② 評価 領域 ③評 価基準,な どが挙 げ ら れ てい る。

教育 の場 面 におけ る評価 は教 員 に よる学 習者 の成績 評価 が一般 的 であ る。教 育評 価 の 目的 には,到 達水準 へ の達成度 を測定 す る こ と,教 材 ・教授 方略 の見直 しな ど 教 育過程 に活用す るこ と,目 標 との乖 離 を明確 に し,そ の評価 を学習者 に フィー ド バ ッ クす る こ と で,自 主 的 な 学 習 を促 す こ と,な どが挙 げ られ て い る(梶 田,

2002)o

通 常,成 績評価 は教 員が到 達 目標 との関連 で行 う教 育評価 を指 すが,今 回の分析 対 象科 目で は,学 習者 自身 が他の学 習者 を評価 す る体 験 を通 して,自 己 の作 業 を客 観 的 に検 討 す る視 点 を養 うこ とを狙 い と して,プ レゼ ンテー シ ョ ン演 習 にお いて, 各 自に評価 シー トの記 入 を義 務付 け,プ レゼ ンテ0シ ョン資料 とあ わせ て,成 績採 点 時 にお け る評 価 用 資料 と し て用 い た。 こ の 資 料 が 利 用 可 能 で あ る こ と か ら,学 生

の 自己評価 と他 者評価 に関 して,分 析 お よび考察 を試み た

本 論文 で は,実 習授 業 の一環 と して行 ったプ レゼ ンテー シ ョン時 に学生 自身 が記 入 した相 互評価 シー トの結 果 を もとに 「自己評価 」 と 「他 者評価 」 につ いて考察 す る。学習 者 を評価 す る主体 には同一科 目を履修 してい る他 の学 習者 と教 員 とが考 え

(2)

られ るが,本 論 文 で は,学 生 間の相 互評 価 を 中心 に分析 ・考 察 を行 うので,「 他 者 評価 」の 意味 を 「他 の学習者 に対 す る評価 」 とす る。教 員 に よる評価 は 「成績」 と

して扱 うこと とす る。

採 点時 に評価 シー トを集計 す る過 程 で,相 互評価 にお ける学 生 自身 の 「自己評価 」 お よび,他 者 に対 す る評価 を整理 ・分析 した。そ の際 次の2点 に注 目した。① 自 己評価 と他 者か らの評価 は一 致 してい るか。 も し,一 ・致 して い るの であ れ ば,一 致 度 は どの程 度か,② 自己評価 と他者 に対 す る評価 に際 して評価 者 自身が用 い る基準 は安定 してい るのか。 す なわ ち,自 己 を客観 的 に評価 で きてい るか,の2点 であ る。

評価 シー トの分析 に先 立 ち,第2節 で は教育 評価 の背景 を概観 す る。特 に,小 学 校 ・中学校 ・高等 学校 の学校教 育現 場 で採 用 され てい る教 育評価 と,高 等教 育機 関 であ る大学 での教 育評価 の考 え方 の相違 につ いて整 理す る とともに,自 己評価 と他 者 評価 につ いて も整理 す る。 第3節 で は本 論文 で の分析 対 象科 目を履修 した学生 の プ ロフ ィール,課 題 の概 要,実 習手 順,学 生が相 互 評価 す る際 に使用 す る評価 シー トを提示 す る。 第4節 で は学生 間の相 互 評価 シー トを用 いて現状 を把握 す る 目的 か ら,「 自己評価⊥ 「他 者 に対 す る評価 」,「他者 か らの評価 」,の3点 につい て,評 価 シー トの集計結 果 を示す 。最後 に,自 己評価 と他 者 か らの評価 の一致 の程度,自 己 評価 の場 合 と,他 者 に対 す る評価 を行 う場 合 の評価基 準 の妥 当性 と安 定性 につい て 考 察す る。考察 にあ たって は,教 員 に よる 「評価 」 であ る 「成績 」 と自己評価,他 者 評価 の 関連 につ いて も言及す る。

2.教 育 評価 の背 景

2.1教 育評価 の定 義

教 育 の場面 にお け る評価 の定 義 につい て は,教 育評価 に関す る議 論 と して種 々行 われ てい る。 まず,「 教 育 評価 」 と 「教 育測 定 」 を明確 にす る必要 が あ る。「測 定 」 は現 状認 識 であ り,教 育評価 のため の道具 で あ り,学 習者 の現状 を把握 し,指 導 に 活 かす ことであ る。

梶 田(2002)は 次 の ように整理 して いる。教 育 の場 面 で評価 を検 討 す る際 に考慮 す る要素 には,評 価 の類 型 評価 対象 評価 方法 な どがあ る。評価 の類型 には,① 実態 把握 を 目的 とす る情報 収集,② 学 習者 の特性 を数値 的 に表現 しよ うとす る 「測 定 」,測 定 的評 価 の場 合 に は,評 価 論 理や 評価 基準 が 重要 ③狭 義 の 「評価 」 と も いえ る 目標 到達 性 の把 握 ④ 各種 の表彰,資 格 認定 な どにみ られ る 「査 定」,が あ げ られ てい る。

評価 対象 は学 習者 の学習 過程全 般 であ る とされ るが,教 育 測定 運動 の展 開 によ り, 測 定 可 能 な対 象 を評 価 す る との 考 え方 か ら,客 観 テ ス ト法 の 開発 が 提 唱 され た 。 評 価 の歴 史 を振 り返 る と,心 理 学 にお け る 「個人 差 の研 究」(1796年),教 育測 定運 動 (educationalmeasurementmovement),ソ ー ンダイク による心 理検 査 の開発(1904年), 数量 化 困 難 な領域 を対 象 と し,「 測 定」 か ら 「評価 」 へ の動 き(1930年)が 挙 げ ら れ てい る。

(3)

木村富美子 学生の相互評価 における自己評価 と他者評価 に関する分析

表1評 価 法 の比 較(橋 本 重 治,1976>

評価の規準 その規準の性格 結 果 の 表 し方

1.合 ・否

絶対評価 教 育 目標 達 成 の有 無 ・程 度 教育 目標に 対 し直接的

生徒 に 外在的

2.素 点(正 答 率) 3.段 階 評 価 4.誤 答 分 析 1.順

相対評価 所属する母集団の成績分布 教 育 目標 に 対 し間 接 的

生徒 に 外在的

2.段 階 設 定(%を 考 え る) 3.パ0セ ン タ イ ル 4.偏 差 値

1.長 ・短 所

個人内評価 同 一 生 徒 の示 す 他 の教 科 ・目 標 や 過 去 の 時 点 で の成 績 水 準

生徒に 内在的

2.進 歩 の 状 況 3.プ ロ フ ィ ー ル 4.成 就 値

評 価 方 法 に は 大 き く分 け て 絶 対 評 価 と相 対 評 価 とが あ る と さ れ る が,教 育 評 価 の 方 法 に は 上 の3つ が あ る と さ れ る(橋 本,1976)。

さ ら に,横 断 的 評 価 は 個 人 の 特 性 ご と の 比 較 で あ り,縦 断 的 評 価 は 時 間 の 経 過 に 伴 う 進 歩 が 見 ら れ た か ど う か の 評 価 で あ る 。

ま た,評 価 の 時 期 に よ る 教 育 評 価 に は 以 下 が 示 さ れ て い る(梶 田,2002)。

1.診 断 的 評 価(diagnosticevaluation):指 導 開 始 前 に,出 発 点 に お け る 学 習 者 の 実 態 を 把 握 す る た め の 評 価,

2.形 成 的 評 価(formativeevaluation):指 導 活 動 の 進 行 中 に,目 標 を 達 成 さ せ る た め に 行 わ れ る 評 価 。masterytestが 理 想 的 に 実 行 で き た と き,完 全 習 得 学 習

(maSterylearning)が 成 立,

3.総 括 的 評 価(summativeevaluation):指 導 活 動 が 完 了 し た 時 点 で,そ の 成 果 を 一 般 的 に 評 価 す る こ と,

で あ る 。

教 育 評 価 の 定 義 は,「 教 育 活 動 の す べ て を,教 育 目標 の 価 値 基 準 に 照 ら し て 科 学 的 に 判 定 し,そ の 結 果 を教 育 活 動 お よ び 教 育 目標 へ と フ ィ ー ドバ ッ ク す る 過 程 で あ る 。」 と さ れ て い る(梶 田,2002)。

学 習 の 成 果 と し て,目 標 と す る 水 準 に 到 達 で き た か 否 か が 重 要 で あ る とす る な ら ば,絶 対 評 価 が 採 用 さ れ よ う 。 し か し,高 等 教 育 機 関 で あ る 大 学 教 育 で は,目 標 水 準 に 到 達 す る の は 最 低 限 の 要 請 で あ り,当 然 到 達 す べ き で あ る 。 到 達 か 否 か で は な

く,む し ろ 同 一 学 習 集 団 の 中 で の 到 達 レ ベ ル,す な わ ち 相 対 的 な 水 準 を 重 視 す る の で あ れ ば,相 対 評 価 が 採 用 さ れ る こ と と な ろ う 。 こ の よ う な 場 面 で は 評 価 の 基 準 と

し て の 「規 準(criteria)」 と,比 較 ・評 価 の 基 礎 と な る 判 断 基 準 と し て の 「基 準 (standard)」 と を 明 確 に す る 必 要 が あ ろ う 。

梶 田(2002)は 評 価 基 準 と評 価 類 型 に つ い て,表2に 示 す よ う に 整 理 し て い る 。 本 学 に お い て も,様 々 な 状 況 で,学 生 の 成 績 評 価 の 指 標 と し てGPAを 活 用 す る

(4)

表2評 価 基 準 お よび 評 価 者 の側 か ら見 た教 育 評 価 の類 型(梶 田,2002)

到 達 目標 の意 識

評価 の基準 外 的 ・客 観 的 目標 ・ 基 準

評 価 者 の 内 的 目

標 ・基 準 集 団内 の他 者 当人 の過去 の実績

目標到 達 度の評価 内的基準 満足 度の

評価 優劣 度 の評 価 進歩度 の評価

[到 達 度 評 価]

[絶 対 評 価1]

[認定 評 価]

[絶対 評 価H] [相 対 評 価] [個 人 内 評 価]

目標到 達度 の 自己

評価

内的基準 満足 度の

自己評価 優 劣 度の 自己評価 進歩度 の 自己評価 学 習者 自身

達 成 ・未 達 成 の 感 満 足 ・不 満 足 の 感 優 劣 ・劣 等 の 感 覚 進 歩 ・停 滞 の 感 覚

覚 と認 識 覚 と認識 と認識 と認識

場 面 が 増加 して い る。学 生個 人 のGPAは 学 習 集 団のGPAと あわせ て 評価 に用 い られ る場 合 があ り,こ れ は,相 対評価 の重 視 とい え よう。

評価 を教育 に活用 す る場合 には,評 価 を学習者 に フィー ドバ ックす る こ とで,自 主的 な学習 を促 す こ とが考 え られ る(松 本,2000)。 教 育 の場面 で の相 互 評価 を活用 す る意 義 は,他 者 を評価 す る こ とを通 して,評 価 者 と しての視点,評 価 基準 な どに 思 い をめ ぐらせ,そ れ が 自己の学習 過程 に影響 を与 え る面 に期待 で きる こ とが考 え られ る。評価 デ ー タを学 習者 に フ ィー ドバ ック し,学 習 の改善 に活か して い くこ と に重 点 をお い た事例 と して,Webサ ーバ ー お よび ブ ラ ウザ を利 用 した相 互評価 シ ステ ムの 開発例 も報 告 され てい る(柴 田ほか)。

小 学校 ・中学 校 ・高等 学校 まで は文部科 学省 の指導 に よ り,戦 後一貫 して相 対評 価(5段 階評価など)が 行 われ て きた。 一方,相 対評 価 に よる弊 害 も指摘 され,「 ゆ と り教育 」 の一環 と して,到 達度評価(目 標への到達程度)が 提 案 され た。 これ は絶 対 評価 の採 用 で あ る(梶 田)。大 学 で の共 通科 目 ・実習科 目にお い て は,ど ち らの 評価 が適 してい るので あろ うか。

2.2自 己 評 価 と他 者 評 価

「教 育 評 価 」 に 関 し て は,タ イ ラ ー(Tyler,R.W.),ブ ル ー ム(Bloom,B.S.),梶 叡 一,な どが 挙 げ ら れ る 。 評 価 の 役 割 に は,① 企 画 活 動 の 事 前 評 価 ② 活 動 中 の 軌 道 修 正,③ 活 動 終 了 時 の 成 果 把 握,④ 活 動 の あ り方 を 客 観 的 に 吟 味,な ど が 挙 げ ら れ て い る 。

こ こ で は,③ 「活 動 終 了 時 の 成 果 把 握 」 を 対 象 と す る 。 す な わ ち,実 習 授 業 の 最 終 回 に 各 自 が 事 前 に 結 成 し た チ ー ム 単 位 で プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン を 行 い,「 プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン 」 に 関 し て 自 己 評 価 お よ び 他 の 学 習 者 に 対 す る 評 価 を 行 う こ と と し た 。

「自 己 評 価 」 と 「他 者 評 価 」 に つ い て,評 価 軸 と 評 価 結 果 の 組 み 合 わ せ を 図 に 示 す 。

「自 己 評 価 」 と 「他 者 に よ る 評 価 」(図1a)は,自 己 認 識 に よ る 評 価 と 他 者 に よ る 評 価 の 関 連 を 示 し,「 自 己 評 価 」 と 「他 者 に 対 す る 評 価 」(図1b)は 評 価 時 に 用 い る 基 準 を 示 す も の と考 え ら れ る 。

(5)

木村 富美子 学生 の相互評価 におけ る自己評価 と他者 評価 に関す る分析

他 者 に よ る評 価

C A

自己 評

D B

他 者 に対 す る評 価

G E

一}一

自 己評

H F

図1a自 己 認 識 の評 価 軸 図1b他 者 認 識 の 評 価 軸

まず,図1aに つ い て検 討す る。自己評価 を横 軸,他 者 による評価 を縦軸 に とる と, 評価 の高 ・低 の組 み合 わせ は4通 りのパ ター ンとな る。す な わち,

A:自 己評価 ・他者 による評価 と もに高 いケー ス, B:自 己評価 は高 いが,他 者 に よる評価 は低 い ケース,

C:自 己評価 は低 いが,他 者 に よる評価 は高い ケース, D:自 己評価 ・他者 による評価 と もに低 いケー ス, で あ る。

自己評 価 と他者 に よる評価 が 同 じ傾 向 を示すAとDは 自己評価 と他者 に よる評 価 とが 一致 し,自 己 を客 観 的 に認 識 で きて い る もの と考 え られ る。 これ に対 して, 自己評価 と他 者 に よる評価 が逆 の傾 向 を示す ケ ース につ い て は,自 己評価 が高 く, 他 者 に よる評 価 が低 いBの ケー ス は 自己 に甘 い評価 基 準(過 大評価)を,自 己評価 が低 く,他 者 による評価 が高 いCの ケ ース は 自己 に厳 しい評価 基準(過 少評価)を, そ れぞれ示 す もの と考 え られ る。

次 に,図1bに つ いて検 討す る。 図1aに な らって 自己評価 を横 軸,他 者 に対 す る評 価 を縦軸 に とる と,評 価 の高 ・低 の組 み合 わせ は図1aと 同様 に4通 りのパ タ ー ン となる。す な わち,

E:自 己評価 ・他者 に対す る評価 ともに高いケ ース, F:自 己評価 は高 いが,他 者 に対 す る評価 は低 いケ ース, G:自 己評価 は低 いが,他 者 に対 す る評価 は高 いケ ース, H:自 己評価 ・他者 に対す る評価 ともに低 いケ ース, で あ る。

ここで問題 とな るの は,評 価 基準 の妥 当性 で ある。す なわ ち,自 己評価 の場合 と 他者 に対 す る評価 の場合 とで,① 同一 の評価基 準 で評価 して い るのかe評 価 基準 の 安 定 性 は確 保 され て い るか,② 評 価 基 準 の 客 観 性 は確 保 され て い る か,の 吟 味 が 必 要 となろ う。

後 者 の評価基 準 の客観 性 に関 して は,同 一者 に対 す る他 の評価 者 の評価傾 向 と比 較 す るこ とで検 証が可 能 となる。他 の評 価者 に よる評価 の平均値 と比 較 して,当 該 評価 者 の評価 が高 い場合 は,当 該 評価 者の評価 基準 が甘 く,評 価 が低 い場合 は評価

(6)

基準 が厳 しい傾 向 を示 す と考 え られ る。

学 習者 間の相互 評価 にお け る 自己評価 と他者 に よる評価 の一・致 の度合 い,評 価 者 の評価 基準 と他 の評価者 の評価 基準 との一・致 度 に影響 を及 ぼす 要 因は なにか を調 べ るこ とを 目的 として,プ レゼ ンテー シ ョン実習(発 表)時 に学生 自身 に よる他 の学 生 に対 す る評価 を分析 し,学 生 自身の 自己評価 と他者 に よる評価 を対比 す る こ とで 自己評価 の客観 性 ・妥 当性(自 己評価 と他者か らの評価の一致度),お よび個 々の学 生 による他 の学習者へ の評価 と,他 の学生 に よる評価 の傾 向 は妥 当で あ るか,つ ま り 評価 のバ ラ ツキが あ るのか否 か につい て分析 した。

3.学 生 の プ ロ フ ィ ー ル と課 題 の 概 要

3.1学 生 の プ ロ フ ィ ー ル

本 論 文 で 対 象 と す る 科 目 は 共 通 科 目 ・学 術 基 礎 科 目 の コ ン ピ ュ ー タ リ テ ラ シb (半期,2単 位,実 習 科 目)で あ る 。 履 修 者 は パ ソ コ ン入 門(コ ン ピ ュ ー タ リ テ ラ シa) を 履 修 済 み あ る い は 同 等 レ ベ ル の 学 生 で あ り,そ の 内 訳 は,1年 生19人,2年

20人,3年 生11人,4年 生9人,4年 生 以 上1人,の 合 計60人 で あ る 。

授 業 開 始 時 に 実 施 し た ア ン ケ ー トの 集 計 結 果 は 表3に 示 す と お りで あ る 。 授 業 形 態 は パ ソ コ ン教 室 で 実 習 を 行 う た め,パ ソ コ ン 台 数(60台)に よ り履 修 可 能 人 数 に 制 約 が あ る 。 授 業 開 始 時 ア ン ケ ー トは 履 修 希 望 者 全 員(71名)が 記 入 し た が,教 設 備 の 制 約 に よ り,実 際 の 授 業 で は 定 員60人 の 履 修 制 限 を 行 い,履 修 登 録 者 数 を

60名 と し た 。

表3の 質 問8(こ の 授 業 を 通 し て で きる よ う に な りた い こ と)の 回 答 で,Excelと PowerPointの 希 望 が 多 か っ た こ と を 踏 ま え て 実 習 内 容,提 出 課 題 の 内 容 を 決 定 し

た 。

3.2課 題 の 概 要

授 業 は2005年9月26日 か ら2006年1月16日 ま で の 週1回,合 計 で13回 実 施 し, 課 題 と し て 以 下 の4課 題 を 設 定 し,Web上 の レ ポ ー トボ ッ ク ス に 提 出 す る こ と と

し た 。

課 題1(目 標 到 達 と計 画):6ヶ 月 の 受 講 終 了 時 点 で の 各 自 の 到 達 目 標 ・現 状 ・目 標 達 成 の た め の 計 画 案 を 作 成 し,A4用 紙1枚 に 収 ま る よ う に ま と め る こ と 。

課 題2(デ ー タ分 析):授 業 開 始 時 ア ン ケ ー トの 集 計 結 果(表3)に つ い て の 比 較 。 具 体 的 に は,前 期 の 履 修 生 に 対 し て 行 っ た ア ン ケ ー ト集 計 結 果 と,今 回 の 履 修 生 に 対 し て 行 っ た ア ン ケ ー トの 集 計 結 果 に 関 し て,① 前 回(2005年 度前 期)と 今 回(2005 年 度 後 期)の 共 通 点 と相 違 点 を 整 理 し て 示 す こ と,② 今 回 の 回 答 の 集 計 結 果 と 自 己 の 回 答 内 容 と を 比 較 し,意 見 を 示 す こ と,の2点 をA4用 紙2枚 以 内 で 示 す こ と で あ る 。

課 題3(レ ポ ー ト作 成):「 情 報 倫 理 教 育 の 必 要 性 」 に つ い て,A4用 紙3〜4枚

(7)

木村 富 美子 学 生 の相 互 評 価 にお け る 自己 評価 と他 者 評価 に 関す る分 析

表3授 業 開 始 時 ア ン ケ ー ト結 果 2005年 度 後 期 開 始 時 ア ンケ ー ト集 計(回 答 数:71=男34+女37)

質 問1 学科 は? 回答数 10

経済 18 25.4

経営 6 8.5

教育 4 5.6

文学 28 39.4

そ の他 15 21.1

質 問2 学 年 は? 回答数 %

1年 生 26 36.6

2年 以 上 45 63.4

質 問3 パ ソ コ ンの経験 年 数 は? 回答数 %

3年 以 上 32 451

1年 以 上3年 未 満 25 35.2

1年 未 満 14 19.7

質 問4 パ ソ コ ン を 持 っ て い ます か?(複 数 可) 回答数 %

自分 専 用 43 .!・

家 族 で1台 を共 有 18 25.4

も っ て い な い 10 141

質 問5 イ ン タ ー ネ ッ トの 利 用 頻 度 は? 回答数 %

毎 日利 用 28 39.4

週 に1度 利 用 37 52.1

月 に1度 利 用 4 5.6

そ れ以 下 2 2.8

未使用 a o.o

質 問6 パ ソ 滋 ンで よ く利 用 す る 内容 は?(複 数可) 回答数 %

電 子 メ ー ル 37 52.1

チ ャ ッ ト,掲 示 板 17 23.9

情報検索 65 91.5

ニ ュ ー ス 閲 覧 33 46.5

文章作成 50 70.4

デ ー タ処 理 16 22.5

ゲ ー ム 13 18.3

そ の他 7 9.9

質 問7 キ ー ボ ー ドタ イ プ は で き ます か? 回答数 %

ブ ラ イ ン ドタ ッ チ が で き る 11 15.5

自己流 だが 不 自由 な くで きる 38 53.5

あ ま り得意 で はな い 22 31.0

質 問8 こ の授 業 を通 して で きる よ うに な りた い こ と(複 数 可) 回答数 % PowerPointを 使 っ て 研 究 発 表 用 資 料 ・プ レゼ ン テ ー シ ョ ン用 資 料 の 作

成 が で き る 。 47 66.2

ワ0プ ロ を使 っ た レ ポ ー ト ・論 文 が 書 け る 。 24 33.8

Excelの 関 数 デ ー タベ ー ス 機 能 を 使 っ て デ ー タ の 処 理 や 分 析 が で き る 。 55 77.5

資格 試 験 に備 えた い。 24 33.8

そ の他 9 12.7

2005年9月26日 実 施 ア ン ケ ー ト回 答 数71

(8)

度 の レポー トを提 出す る こと。

課題4(プ レゼ ンテーション ・グループ学習)=2〜3人 で チ ー ム を作 り,自 由 にテ ーマ を設 定 しプ レゼ ンテ ー シ ョンを行 うこ と。発表 は最後 の授 業時 間 を利用 し,グ ルー プ ご とにPowerPointの ス ライ ドを提 示 し,1チ ー ムの持 ち時 問 は約3分 程 度

として行 った。 この課題 に関 して は,約1月 前 に課 題内容 を示 しチ0ム を結 成 し準 備 を進 め る よ うに指示 した。

学生 の能 力の代 理変 数 には,当 該科 目の成績 を用 い る こと とした。成 績評価 の対 象 は上 記 の課題1〜 課題4の 評 価 お よび筆 記試験 の 点数 と し,こ れ らを総合 的 に評 価 し採 点 した。具体 的 に は,各 課題 お よび筆記 試験 に ウェ イ トを与 え,こ れ らを加 重 平均 して採 点 した。学 生の相 互評価 の対 象 は課 題4の プ レゼ ンテ ー シ ョンのみ で あ るが,能 力の代 理 変数 と して の成 績 は,課 題1〜 課題4,お よび筆 記試験 の成績 もあ わせ た総合 評価 で あ るこ とか ら,成 績 を能力 の代 理変 数 と して採用 す る こ とと した。教 員 は学生 の相 互 評価 の外 部 で学生 とは異 なる評価規 準 を持 ち,教 員 と して の判 断基 準 に基 づ き採 点 を行 うこ とか ら,客 観性 の確保 も可 能 であ る と考 える。

3.3プ レゼ ン テ ー シ ョ ン演 習 実 施 手 順

相 互 評 価 に 用 い る 評 価 シ ー トは 表4に 示 す 形 式 と し た 。1枚 目 に は 自 己 評 価 欄(表 4の 上 部),グ ル ー プ 記 入 欄(表4の 下 部)が3ブ ロ ッ ク,2枚 目 以 降 は グ ル ー プ 記 入 欄 が4ブ ロ ッ ク 続 き,全 体 で6枚 つ づ り と な っ て い る 。 学 生 は 評 価 シ ー トの 自 己 評 価 欄 に 項 目 別 評 価 と総 合 評 価 を そ れ ぞ れ5段 階 で 記 入 し,実 施 結 果 に つ い て の 感 想

を 文 章 で 記 入 す る 。

一 方,他 の チ ー ム の 発 表 に 際 し て は,グ ル ー プ 単 位 で 個 別 項 目 お よ び 総 合 評 価 を 5段 階 で 記 入 し,良 か っ た 点 や ア ドバ イ ス な ど の コ メ ン トに つ い て も 記 入 す る 。 他 の チ ー ム の 評 価 は グ ル ー プ 単 位 で 発 表 グ ル ー プ 分 を 記 入 す る 。 今 回 は 全 部 で21グ

ル ー プ の 発 表 が あ っ た の で,学 生 は20グ ル ー プ 分 を 記 入 す る こ と に な る 。

自 己 評 価 に つ い て は 課 題4に 参 加 し た 学 生 数 他 者 に 対 す る 評 価 は グ ル ー プ 数 の デ ー タ が 収 集 で き た 。 評 価 者 の デ ー タ は 学 習 者 ご と の 個 別 デ ー タ で あ る が,評 価 対 象 は,グ ル ー プ 単 位 で あ る た め,他 者 か ら の 評 価 は チ0ム に 対 す る 評 価 で あ り,グ ル ー プ の メ ン バ ー 全 員 が 同 一 評 価 を 受 け る も の と し て 扱 っ た 。

自 己 評 価 は 各 自 が 行 う 個 別 評 価 で あ る が,今 回 の 収 集 デ ー タ の 制 約 か ら,他 者 か ら の 評 価 デ ー タ は 分 析 用 と し て は 不 十 分 な デ ー タ で は あ る が,全 体 の 傾 向 を 分 析 す る 上 で の 補 助 的 な 資 料 と して の 利 用 は 可 能 で あ る と判 断 し た 。

課 題4の プ レ ゼ ン テ0シ ョ ン は 最 終 回 の 授 業 時 間(2006年1月16日:3時 限 目=

13時5分 〜14時35分)に 実 施 し た 。 課 題4に 使 用 す る ス ラ イ ド(PowerPointフ ァイ ル) は チ ー ム の 代 表 者 が 当 日 の 正 午 ま で にWeb上 に あ る 教 員 の レ ポ ー トボ ッ ク ス の 該 当 科 目 ・該 当 課 題 宛 に 提 出 を 済 ま せ て お き,午 後1時30分 か ら,チ ー ム ご と に プ

レ ゼ ン テ ー シ ョ ン を 行 う こ と と し た 。

学 生 は6枚 つ づ りの 評 価 シ0ト の 先 頭 に 氏 名 ・学 籍 番 号 を 記 入 し,自 己 評 価 欄 の

(9)

木村富美子 学生の相互評価 にお ける自己評価 と他者評価 に関す る分析

表4課 題4=プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン 評 価 シ ー ト

記 入 日:2006年1月16日

自己 評価1.伝 え た い こ と は 明 確 に で き た か 5 5段 階評価4 3 2 1

2.協 力 して 作 業 で き た か 5 4 3 2 1

3.チ ー ム へ の 貢 献 は 十 分 か 5 4 3 2 1

4.プ レゼ ンテ ー シ ョ ン は 全 体 的 に う ま くい っ た か 5 4 3 2 1

5.感

グ ル ー プ: 5段 階 評価

1.内 容(明 確,簡 潔):伝 え た い こ と は 明 確 に伝 わ っ た か 5 4 3 2 1 2.資 料 素 材(フ レー ズ,画 像 デ ー タ な ど): 内 容 を伝 えやす い素材 か 5 4 3 2 1 3.素 材 の 使 い 方(表 現 ・配 置 な ど):内 容 を 理 解 しや す い 使 い 方 か 5 4 3 2 1

4。 話 し 方(明 瞭 さ,速 さ な ど): 5 4 3 2 1

5.態 度(ボ デ ィ ラ ン ゲ ー ジ,ア イ コ ン タ ク ト な ど) 5 4 3 2 1

6.総 5 4 3 2 1

良 か っ た 点: ア ドバ イ ス な ど:

項 目別 評 価 お よ び 総 合 評 価 を 記 入 し,自 己 評 価 とす る 。 ま た 感 想 欄 に は 文 章 で 記 入 す る 。 以 下 の グ ル ー プ 欄 に は,グ ル ー プ ご と に 項 目別 評 価 お よ び 総 合 評 価 を 記 入 し,

良 か っ た 点,お よ び ア ドバ イ ス な ど を 文 章 で そ れ ぞ れ の 欄 に 記 入 す る 。

発 表 当 日 の 参 加 エ ン ト リ ー の 内 訳 は,21チ ー ム,53人 分 で あ っ た が,当 日,2 名 の 欠 席 が あ っ た た め 回 収 し た 評 価 シ ー ト は51部 で あ っ た 。 ま た,51人 の 中 で3 名 は グ ル ー プ 作 業 を 行 っ て い な い た め,発 表 は で きず,当 日 は 評 価 者 の み の 役 割 を 果 た し た 。 し た が っ て 自 己 評 価 デ ー タ は48人 分 で あ っ た 。

4.学 生 に よ る 相 互 評 価

4.1評 価 の現 状

対 象 に対 す る評価 を評価 主体 で分 け る と 「自己評価 」 と 「他 者 か らの評価 」 とが あ る。教 育 評価 の場 面 で の他 者 に よる評 価 は,一 般 的 に は教 員 に よる評価 であ る。

今 回は学 生 の相 互評価 を検 討す るため,学 生 自身が行 う 「自己評価 」 と 「他 の学習 者 に対 す る評価 」 に注 目す る。 他者 に対す る評価 は評価 を受 ける側 か らみ る と,他

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図2自 己評 価 と他 者 評 価

他 者 、

他 者 へ の1!t 評 価 対 象

プ レゼ ンテ ー シ導ン

者 か ら の 評 価 で あ る 。 こ れ に は 評 価 シ ー トの 「グ ル ー プ 評 価 」 の 「総 合 」 評 価 を 採 用 す る 。

他 者 か ら の 評 価 を 指 標 と し て 用 い る 場 合,個 別 デ ー タ と 平 均 値 と が あ る 。 「他 者 か ら の 評 価 」 の レ ベ ル(平 均 値),一 致 度(バ ラ ッ キ)と 「自 己 評 価 」 と の ズ レ は あ る の か 否 か 。 ズ レ が あ る な ら ば そ れ は,ど の 程 度 で あ る の か ,な ど を集 計 結 果 か ら 検 討 す る(図2)。

評 価 者iの 第jグ ル ー プ に 対 す る 「6.総 合 」を5段 階 で 評 価 し た 値 をEGijで 表 す 。 iは1か ら51,jは1か ら21の 範 囲 で あ り,EGijは51行21列 の 行 列 で 表 示 で き る 。 EGijをjに つ い て 平 均 し た 値Miは,評 価 者iが 示 し た 他 者 に 対 す る 評 価 の 平 均 値

を 表 す 。 こ れ に 対 し てEGijをiに つ い て 平 均 し た 値Njは 第jグ ル ー プ が 他 者 か ら 受 け た 評 価 の 平 均 値 を 示 す 。

こ の 関 係 は,行 列 表 記 を 用 い る と 次 の よ う に 示 せ る 。 す な わ ち ,51行21列 の 行 列 の 要 素EGA;,そ の 行 方 向 の 平 均 値M1を 要 素 とす る 列 ベ ク トル,お よ び 列 方 向 の 平 均 値N;を 要 素 と す る 行 ベ ク トル を あ わ せ た52行22列 の 表 示 と な る 。

EGljとNjの 差 はjグ ル ー プ に 対 す る 評 価 者iの 評 価 と 集 団 平 均 値 と の 差 を 示 す 。 一 方,自 己 評 価 は,評 価 シ0ト の 自 己 評 価 欄 の 「4.プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン は う ま く い っ た か 」 を5段 階 で 評 価 し た 値 で あ る 。 こ れ をESiで 表 す 。

ま た,教 員 に よ る 評 価(成 績)は 課 題1,課 題2,課 題3,課 題4 ,筆 記 試 験 に よ る 総 合 評 価 で あ る 。 本 論 文 で 分 析 対 象 とす る 学 生 の 相 互 評 価 は ,課 題4の み を 対 象 と し て い る が,学 生 の 潜 在 能 力 の 代 理 変 数 と し て,成 す な わ ち 教 員 に よ る 評

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木村 富美子 学生 の相互評価 にお ける自己評価 と他 者評価 に関す る分析

EGII…

EGkI

1莇

EGi;

…EGII

…EGkz

...Nc

舩猛

Mh

価 を 用 い る 。

4.2評 価 の 傾 向 (1)自 己 評 価

自 己 評 価 は 自 身(自 己)に つ い て の 満 足 ・不 満 足 を 示 す 指 標 で あ る(溝 上 慎 一, 2002)。 自 己 評 価 は 自 己 認 識 の 一 面 を 示 す と も 考 え ら れ る 。 評 価 シ ー トの 自 己 評 価 欄 に は 自 己 が 描 く,あ る べ き 姿(こ の 場 合 は プ レゼ ンテ0シ ョンの 成 果)を 評 価 規 準 と

し,規 準 と の 比 較 に お け る5段 階 評 価 が 実 施 さ れ た と想 定 す る 。

ES、 と 自 己 の グ ル ー プ が 他 者 か ら受 け た 評 価 の 平 均 と の 差 を 「自 己 評 価 」 と 「他 者 か ら の 評 価 」 の 差 で あ る とみ な す と,そ の 差 が 小 さ い 程,一 致 度 が 高 い こ と を 示 し て い る と言 え よ う 。他 者 か ら の 評 価 が 現 実 の 一 面 を 示 す も の で あ る と想 定 す る と, 他 の 学 習 者 か ら の 評 価 の 平 均 値 と 自 己 評 価 と の 差 は 自 己 認 識 ギ ャ ッ プ を 示 す と も 考 え ら れ よ う 。

(2)他 者 に 対 す る 評 価

今 回 の プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン演 習 で は,他 の 学 習 者 に 対 す る 評 価 を,個 々 の メ ンバ ー で は な く

,グ ル ー プ 単 位 で 評 価 を 行 っ た の で あ る が,個 々 の 評 価 者 は ま と ま り と し て の グ ル ー プ に 対 し て 評 価 を 行 っ た 。

評 価 者iに よ る 評 価 対 象 グ ル ー プjに 対 す る 評 価 をEGljで 表 示 す る と,同 一 グ ル ー プ に 対 す る 評 価 を

,他 の 評 価 者 の 評 価 と 比 較 す る 場 合 に は,行 列EGijの 行 ベ ク トルEGAが 利 用 可 能 で あ る 。 学 習 者iの 評 価 は 要 素EGA・ か ら な る 行 ベ ク トル と し て 観 察 で き る 。

評 価 者 の 特 性 ・傾 向 は,EGi・ を 用 い る と,平 均 値,最 大 値 と 最 小 値 の 幅,他 の 学 習 者 の 平 均 値 と の 比 較 な ど が 可 能 と な る 。 他 の 評 価 者 と の 比 較 に お い て は,平 均 値 を 利 用 し,平 均 値 と の 差 が プ ラ ス の 場 合 は,評 価 が 甘 い 傾 向 が あ り,マ イ ナ ス の 場 合 は,評 価 が 厳 し い 傾 向 を 示 す と 考 え ら れ る 。 他 の グ ル ー プ に 対 す る 評 価 が 全 て 平 均 以 上 で あ っ た(評 価 規 準 が 甘 い)評 価 者 は3名 い た が,そ の 評 価 者 の 成 績 は 優,良, 可,で あ り,評 価 規 準(甘 い か厳 しい か)に 関 し て は,こ の 資 料 の み で は 傾 向 は 観 測

で き な い と考 え る 。

ま た,今 回 は 文 章 で の コ メ ン トに 関 し て の 分 析 を 行 っ て い な い が,プ ラ ス 面,マ イ ナ ス 面 に 関 す る 記 入 の 有 無 は,評 価 対 象 を 良 く観 察 し て い る か 否 か の 判 断 資 料 と

し て の 利 用 も 可 能 で あ ろ う 。 記 入 の 有 無 を,有(1),無(0)で 数 値 化 し整 理 す

(12)

る と,数 量 的 な分析 も可 能 となろ う。

(3)他 者 か らの評価

他 者 か らの評価 は行 列EGA;の 列 ベ ク トルで表 示 で きる。 第jグ ルー プ に対す る 他 の学 習 者か らの評価 はEG・jと して観 察 で きる。他 の学習 者 か らの評価 の平均 値 と自己評 価 との比較 が可 能で あ り,自 己評価 と他 の学 習者 か らの評価 の平 均値 との 差 は,自 己認 識ギ ャ ップ を示 す と も考 え られ よ う。 また,他 の学習 者か らの評価 の 最大値 と最小値 の幅 が小 さい場合 は他 の学習 者 間での評価 の一致度 を示す とも考 え

られ よ う。

5.ま と め と 課 題

5.1分 析 と 考 察

履 修 登 録 し た 学 生 数 は60人 で あ り,成 績(教 員 に よ る 総 合 評 価)の 分 布 は 次 の 通 り で あ る 。A=13人(22%),B=38人(63%),C=4人(7%),D=5人(8%),

で あ る 。

課 題4の プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン に 出 席 し 評 価 シ ー トを 提 出 し た 学 生 は51人 で あ っ た が,プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン を 行 わ ず,評 価 の み に 参 加 し た 学 生 が3名 い た た め,自 己 評 価 デ ー タ は48人 分 で あ る 。

表5自 己評 価 と成 績

成績 自己 評価(平 均 との 差) プ ラ ス マ イ ナ ス

優i 6 7

11 20

3 1

自己評価 と成 績 の関係 を表5に 示 す。成績 は優 ・良 ・可 の3段 階で示 した。課題 4の 実習 に参加 した学 生 は全 員 が単位 を取得 したため,不 可 の欄 は ない。 自己評価 の結 果 を 自己評価 の平 均 との差 で示 す と,成 績上位(優)の 学生 は 自己 に 自信 があ る タイプ と自己 に厳 しい タイプ とに ほぼ二分 されて い る。 成績 中位(良)の 学生 で は 自己 に 自信 が あ る タイ プ と 自己 に厳 しい(あ るいは自己に自信がない)タ イ プの比 率 が1対2と な ってい る。 これ らの傾 向 に対 して,成 績 下位(可)の 学 生 で は 自己 に 自信 が あ る(あ るいは自己に甘い)学 生 と自己に厳 しい(あ るいは自己に自信がない) 学生 との比 率が3対1と なってお り,自 己 を客観 的に把握 で きてい ない可 能性 が読 み取 れ る。

自己認 識 と成績 との 関連 を図3に 示 す。横 軸 には 「成 績 一成 績 の平均 」 を と り, 縦 軸 に は 「成績 一自己評価 」 を とった。横 軸 での プ ラス は成 績 が平均 以 上 であ り,

(13)

木村富美子 学生の相 互評価 にお ける自己評価 と他者評価 に関す る分析

図3自 己評 価 と成 績

自己評価 と成績

成績‑自己評価

3

2 ◆ ◆◆ ◆

f・

1

◆ ◆ ◆

1◆ ◆ ◆ f・

1.00◆ 9

‑0 .50 O

o.001 ◇ ◆ ◆ ◆ ◆0 .5。 1.0;

1

0

2

成績(平 均 との差)

図4a他 者 に対 す る評 価 傾 向(平 均)

他者に対する評価(平均との差)

他 者に対 する評価傾 向(平 均)

f・ i 1.00‑0.50

◆ ◆

◆ ◆

「95

1

成績(平 均 との差)

.5

1

.5

ぐboo

.5

1

◆ ◎

s

◆ ◆ ◆蕊 。ひ1

.。

5

0

(14)

図4b他 者 に 対 す る 評 価 傾 向(最 大 値)

他者 に対す る評価傾 向(最 大値)

他者に対する評価・最大値(平均との差)

◆ ◆ ◆ ◆ ◆q夕

1.00

ff

‐a .50 111

◆q夕 ◆ ◆

1

‑1 .5

2

o.5a

◆ ◆ ◆ ◆

1,00

成績(平 均 との差)

図4C他 者 に 対 す る評 価 傾 向(最 小 値)

他者 に対す る評価傾 向(最 小値)

他者に対する評価・最小値(平均との差)

2◆坊

0.5

一1 .00

‐a .50 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

0

◆0.00◆

‑0 .5

1

‑1 .5

‑2

2.5

◆◆罐 馬 ◆

1.00

成績(平 均 との差)

(15)

木村富美子 学生の相互評価 における 自己評価 と他者評価 に関する分析

マ イ ナスは成績 が平均 以 下 を示 す。縦 軸 では成績 よ りも自己評価 が高 い,す なわ ち 自己 を過 大評価 す る場 合 はマ イナス とな り,成 績 よ りも自己評価 が低 い,す なわ ち 自己 を過小 評価 す る場 合 に はプ ラス となる。

図3か らは,成 績 が平均 以上 の学生 は,自 己 を過大評 価す る傾 向 よ り,過 少 評価 す る傾 向 を示 しが ち であ る こ とが読 み取 れ る。 逆 に成績 が平 均 以下 の学 生 の場合, 過 少評価 の傾 向 も観 察 で きるが,過 大 評価 の傾 向 を示 し,か つ過 大評価 の幅 も,成 績 が平均 以上 の学生 よ りも大 き くなって い る点が特 徴 といえ る。

次 に,他 者 に対 す る評価 傾 向 を図4a,b,cに 示す 。横軸 には図3と 同様 に 「成 績 一成績 の平均 」 を と り,図4aの 縦 軸 は 「他者 に対 す る評価 」 の平均値 に関 して 平 均値 との差 で示 した。他 者 に対す る評価 デ ー タはプ レゼ ンテ ー シ ョン出席者 全員 の51人 分が 利用 可 能で あ る。他者 に対 す る評 価 には,他 の グ ルー プ に対 す る評価 の平均値 を用 い た。 これ は前節 で示 したEGA;を1に つ い て平均 した値Miで あ る。

図4bの 縦 軸 は 「他者 に対 す る評価 」 で最大値 を得 たグルー プ に対 す る,個 々の 学 習 者 の評 価 を平均 値 か らの差 で示 した。 これ はEGi、 をiに つ いて平 均 した値Nj

の最大値(j=max)を 示す列EGim。xに つ い て,平 均値 との差 を示 した図で あ る。

図4cの 縦 軸 は 「他者 に対 す る評価 」 で最小値 を得 たグルー プ に対 す る,個 々の 学習 者 の評 価 を平 均値 か らの差 で示 した。 これ はEGi、 をiに つ い て平均 した値N;

の最小値(j=mini)を 示 す列EGimi。iにつ いて,平 均 値 との差 を示 した図 であ る。

図4bと 図4cを 比較 す る と,最 大値 を得 た グル0プ に対す る評価 は,平 均 値 よ り上 を示 す傾 向があ る。 また,平 均 値 を下 回 る場 合 で もその幅 は小 さ く,評 価 者 間 で の評価 の一致 度が観 察で きる。特 に,成 績 が平均値 以 下の評価 者 か らの評価 が 平 均 値 以上 を示 す割 合が 多 い点が特徴 と言 える。

一 方,他 者 か らの評価 が最 小値 で あ ったグル ープで は,多 くの評価 者が平 均値 よ り下 の評価 を示 す傾 向が ある。 また,評 価 の幅が大 きい。成績 が平均 値以 上の評価 者 も平均値 以下 の評価 者 もと もに,平 均 値以 下 の評価 が多 く,ま た,マ イナス幅 も 大 きい。 しか し成績が 平均値 以下 の評価 者 か らは高い評価 も得 て いる。

5.2課

今 回 の 分 析 で の 評 価 対 象 は グ ル ー プ 単 位 で あ る た め,他 者 か ら の 評 価 は 同 一 グ ル ー プ 所 属 の 全 員 が 同 じ評 価 を 受 け た こ と と し,グ ル ー プ 全 員 に 同 じ 評 価 値 を 与 え た た め,他 者 か らの 評 価 に 関 し て は,補 助 的 資 料 と し て の 利 用 の 範 囲 内 に と ど め,考 察 の 対 象 外 と した 。

し か し,他 者 に 対 す る 評 価 に 関 し て は,平 均 値,最 大 値,最 小 値 を 取 り上 げ,評 価 の 傾 向 に つ い て 検 討 し た 。 全 グ ル ー プ を 対 象 と す る に は,処 理 デ ー タ量 が 多 く な る た め,今 回 は3事 例 を 代 表 と し て ピ ッ ク ア ッ プ し て 比 較 を 行 う こ とで,評 価 傾 向 を 検 討 し た 。

今 回 の デ ー タ は 分 析 目 的 で 収 集 し た の で は な く,教 育 の 一・環(評 価 者 の視 点 を持 つ こ とで,プ レゼ ンテ ー シ ョ ン演 習 の 充 実 化 を 目的 と して),採 点 時 の 参 考 資 料 と し て の 活 用,を 目 的 と し て 学 生 に 提 出 を 義 務 付 け た デ ー タ で あ っ た が,副 次 的 に,上 記 の 分

(16)

析 が可能 となった。今 後,教 育 に関す る評価 を検討 す る場 合 に向 けての論 点整理 に はな った と考 えてい る。

今 後,も し個 別 の評 価 デ ー タ と して,縦 に評価 者,横 に評 価対 象 を と り,行 列 EGij(た だし,i=1の 正方行列)が 収集 で きる機 会 が あれ ば,行 方 向で は他 者へ の評価 を示 す デー タ,列 方 向で は他 者 か らの評価 のデー タと して扱 え るの で,上 記の検 討 課題 に取 り組み たい と考 えてい る。

参 考 文 献

天 野 正 輝 「教 育 評 価 史 研 究 』 東 信 堂,1993

橋 本 重 治 「新 ・教 育 評 価 法(上 ・下)』 金 子 書 房,1976 梶 田 叡 一 「教 育 評 価(第2版 補 訂 版)』 有 斐 閣双 書,2002 熊 谷 一 乗 編 著 「新 ・人 間性 と教 育 』 学 文社,2002

松 本 重 男 「チ ー ム で プ ロ ジ ェ ク ト活 動 を 行 う科 目 で の 教 育 評 価 一 学 生 の 相 互 評 価 と教 員 の 評 価 観 点 一 」,『日本 教 育 工 学 会 誌 』24,93‑98,2000

永 間 玲 子 「自 己評 価 を支 え る要 因 の 検 討 」,『自 己 意 識 研 究 の 現 在 』 ナ カニ シ ヤ 出 版,2002 溝 上 慎 一 「自己 評 価 の 規 定 要 因 と人 と の 関 係 性 」,「自 己 意 識 研 究 の現 在 』 ナ カ ニ シ ヤ 出 版,

2002

柴 田 義 章 ・小 川 亮 「相 互 評 価 シ ス テ ム の 開 発 と大 学 情 報 科 目 に お け る 利 用 」,『日本 教 育 工 学 会 誌 』25(Suppl.),33‑38,2001

高 浦 勝 義 『絶 対 評 価 と ル ー ブ リ ッ クの 理 論 と実 際 』

参照

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