教職センターの機能とその充実に関する調査報告 The Investigation Report about the Function and it’s Substantiality of
Center for Teacher Development
河崎雅人,小池和男,赤羽根直樹,神谷純子,
平田敦義,鈴木貴史,長嶺宏作,
杉本 信(帝京科学大学)
Masato KAWASAKI , Kazuo KOIKE ,Naoki AKBANE , Sumiko KAMITANI , Atsuyoshi HIRATA , Takashi SUZUKI ,Kousaku NAGAMINE , Shin SUGIMOTO(Teikyo University of Science)
要約: 本研究は,本学教職センターに期待される発展の方向性を明らかにすることを目的に実施 された.全国の保育士・教員養成課程をもつ249大学に教職センターの機能・支援に関する質問票 を郵送し,実態を調査した.その結果,私立大学や短期大学では学生の履修指導や教員採用試験対 策などの学生に対する支援や指導を主な業務とし,国立大学は調査・研究を主な業務内容とするな ど,実施している業務内容や今後行いたい業務内容に違いがあること等がわかった.
Ⅰ.はじめに
平成27年12月21日の中央教育審議会答申「これ からの学校教育を担う教員の資質能力の向上につ いて~学び合い,高め合う教員育成コミュニティ の構築に向けて~)」(文部科学省,2015)におい て,教職課程認定大学に対して,教職支援セン ター機能の充実が求められている.答申に例示さ れている機能は以下のとおりである.
・教職課程のカリキュラムの充実や複数の教職課 程間における科目の調整
・教育実習の適切な実施
・教育委員会との連携によるカリキュラムの改善
・学生への教職指導や教職課程を担当する教員に 対するFDの実施
・学校インターンシップ等の企画・実施等の機能 本学では2014年に教職センターを設置し,教員免 許の取得および教員採用試験に対する支援が実施 されている.これまで,学生の教職への動機を高 めるためのガイダンスや教員採用試験対策,基礎 学力対策等について検討し,実施してきた.さら に,2016年3月に教職センター紀要を創刊した.
本研究紀要は,本学の教職員だけではなく,近隣 地区学校教員及び他大学教職員も投稿することが できるため,地域の教職実践研究において大きな
役割をもつとともに,地域の教職実践研究に積極 的に関わることを目指している.
本研究で明らかになるように,私立大学の教職 センターの機能の中心は,教育実習に関わる業務 と教員採用試験に限定されやすく,教職課程カリ キュラムの調整や教育研究業務を中心的に行って いる大学は多くはない.
この中にあっても玉川大学では平成24年に教職 センターを改組し「教師教育リサーチセンター」
を設置し,教師教育に関する研究・調査を行う研 究基幹的要素をもたせ,さらには教育委員会,小・
中・高等学校,幼稚園,保育所との連携を推進す る機能をもつ全学教員養成の全体を包括する組織 として位置付けている.
このように,教職センターに研究機能をもたせ る動きはいくつかの大学でも見られる.また,教 職を目指す学生に対する支援だけではなく保育士 を目指す学生への支援をしている例もある.
そこで,本研究では,本学教職センターの発展 の方向性について検討するために,全国の大学や 短期大学を対象に調査し,本学教職センターに必 要な機能を明らかにすることにした.
Ⅱ.調査方法
はじめに,アンケートによって各大学に設置さ
れている教職センターの実態調査を行う.その分
河崎雅人 小池和男 赤羽根直樹 神谷純子 平田敦義 鈴木貴史 長嶺宏作 杉本 信 教職センターの機能とその充実に関する調査報告
析結果から,4大学の教職センターを抽出し,イ ンタビュー調査を行う.これらの実態調査に基づ き,本学教職センターに必要な機能について検討 する.
1.アンケート調査
調査は全国の教職課程を有する249大学を対象
とし,質問票(表1)により平成29 年2月に郵送 法によるアンケート調査を実施した.
2.インタビュー調査
次に,本研究では質問紙調査だけでは聞くこと ができない具体的な実態を解明するために,教職 センターを担当する専任教員に対するインタ
「教職センター」の現状に関する調査
平成29年2月帝京科学大学教職センター 平成27年12月の中央教育審議会答申を受け、教職課程をもつ各大学では教職センター機能の充実が求められています。帝京大学では、「教職セン ターの機能の充実に関する調査研究」を行い、教職センターの今後のあり方について検討したいと考えております。ご多用の折誠に申し訳ありませ んが、下記アンケート調査についてご記入を賜りたくお願い申し上げます。
1.教職センターの正式名称または教職センター的機能を持つ部署の名称
2.設立年度
3.構成員
専任教員 名 非常勤教員 名 専任事務員 名
非常勤事務員 名 その他( )名
4.業務内容(当てはまる項目に○をしてください)
業務内容 業務の具体的な項目 現在 今後
教職課程の履修に関すること
①授業の履修や単位の修得に関する相談及び指導
②教員免許状等の取得に関する相談及び指導
③教職履修カルテに関する相談及び指導
④その他
教員採用試験に関すること
⑤全国の教員採用試験の内容や採用状況に関する情報提供や受験相談
⑥出願書類の等の添削、小論文や面接に関する添削と指導
⑦教員採用試験に関する教育委員会の説明会の開催
⑧教員採用一次および二次試験対策講座及び個別指導
⑨教員採用試験合格者に対する「入職前指導」
⑩教職課程・教員採用に関する教職関係の情報・資料提供
⑪その他
教育実習に関すること
⑫教育実習に関する事務手続き(配属校・教委他との連絡調整など)
⑬教育実習指導(事前指導・事後指導)の企画・運営
⑭教科指導や学習指導など授業づくりに関する個別相談及び指導
⑮教育実習に関する個別相談及び指導
⑯その他
研究に関すること
⑰教職に関する調査・研究
⑱近隣地区学校職員との共同研究及び研究支援
⑲卒業生および社会人への研究支援
⑳その他
その他
㉑教育ボランティアに関すること
㉒地域と連携した教育活動
㉓卒業後に教職をめざす人の相談・支援
㉔介護等体験に関すること 自由記述
表1 アンケート調査質問票
5.利用状況
(1)利用目的(利用者の多い順に1〜5の番号を記入してください。)
ア.教職課程の履修に関すること イ.教員採用試験に関すること
ウ.教育実習に関すること エ.研究に関すること オ.その他
(2)利用人数(平成28年4月から29年1月までのおよその利用者数をご記入ください。)
対象 1年 2年 3年 4年 院生 その他
利用総数
6.今後取り組みたい事業につてご記入ください。
7.教養センターの業務を進めていく上での課題や困難点、及び教職センターのあり方等について自由にご記入 ください。
回答者プロフィール 職位は□内に「レ」マークを入れてください。
職位 □ 教授 □ 准教授 □ 講師 □ 助教 □ その他( )
氏名 大学名
学部・研究科 学科・専攻
電話番号 FAX
e-mail URL
ご協力ありがとうございました。
ビュー調査を実施した.
調査対象としたのは,東海・中部地域の教職セ ンターをもつ国立大学1校,私立大学3校である.
また,調査対象校は,大学のホームページや質問 票によるアンケート調査の結果から教職センター を中核的に機能させている国立大学と私立大学を 選び,私立大学については規模や教育内容が異な る学部・学科を対象となるようにした.調査内容 は,アンケート調査質問票の調査項目を基に,① 組織上の位置づけ,②構成員,③意思決定機関,
④業務内容,⑤独自の取り組み,⑥教職センター の問題点の6項目とし,それぞれについて詳しく 聞き取りを行った.
Ⅲ.アンケート調査結果
国立4年制大学17,公立4年制大学3,私立4 年制大学52,私立短期大学6の合計78大学から回 答を得た.回収率は31.3%であった.
1.構成員数について a.教員
国公立4年制大学(以下 国立),私立4年制大 学(以下 私立),私立短期大学(以下 短大),
専任,非常勤別に教員の構成員数を表2に示す.
平均の構成員数は,国立は専任3.3 人,非常勤3.2
人,私立は専任5.0人,非常勤3.5人,短大では専任
7.5人,非常勤10.5人と短大が最も多く,国立が最
も少ない.しかし,最頻値は,国立は専任0から
3人,非常勤0人,私立は専任1人,非常勤0人
である.これらのことから,専任,非常勤にかか
わらず大学によって構成員数が大きく異なること
勤1.2人,短大では専任3.2人,非常勤0人と短大が 最も多く,国立が最も少ない.しかし,最頻値は,
国立は専任0人と2人,非常勤1人と2人,私立は 専任1人,非常勤0人,短大は1人と3人である.
これらのことから,私立,短大では専任が多く,
国立は非常勤が多いことがわかった.
2.業務内容
a.教職課程の履修に関すること
表4に,教職課程の履修に関する項目について,
国立,私立,短大別に「現在行っている業務」「今 後行いたい業務」として〇を付けた校数と回答大 学に対する割合を示した.
国立で実施している割合は約50%であるが,私 立や短大では約70%以上の大学ではすでに実施し ていることがわかった.
b.教員採用試験に関すること
表5に,教員採用試験に関する項目について,
国立,私立,短大別に「現在行っている業務」「今 後行いたい業務」として〇を付けた校数と回答大 学に対する割合を示した.
多くの私立では教員採用試験の対策を実施して いることがわかった.合格者に対する入職前指導 を実施している割合は50%で未満である.
c.教育実習に関すること
表6に,教員実習に関する項目について,国立,
表3 構成員数(職員)
人数 国立 私立 短大
専 非 専 非 専 非
0 4 2 4 14 2
1 0 5 12 7 2 2 4 4 8 2 3 0 1 6 2 2 4 1 1 7 1 1
5 3 1
6 3
7 1 1 1
8 1
平均 1.3 1.5 2.7 1.2 3.2 0.0
表2 構成員数(教員)人数 国立 私立 短大
専 非 専 非 専 非
0 3 3 2 9 1 1
1 3 2 12 4
2 3 1 3 4
3 3 3 1
4 1 1 5 2
5 1 2 2 1 1
6 1 2 2 1
7 2 2
8 2 1 1
9 1 2
10 1
11 1 2
12 1
13 1
15 1
16 1
19 1
21 1 1
36 1
平均 3.3 3.2 5.0 3.5 7.5 10.5
表4 教職課程の履修に関する実施・実施予定業務 国立 私立 短大
授業の履修や単 位の修得に関す る相談及び指導
現在 校数 9 36 5
割合 45.0 69.2 83.3
今後 校数 7 17 2
割合 35.0 32.7 33.3
教員免許状等の 取得に関する相 談及び指導
現在 校数 10 41 6
割合 50.0 78.8 100.0
今後 校数 8 17 2
割合 40.0 32.7 33.3
教職履修カルテ に関する相談及 び指導
現在 校数 10 36 0
割合 50.0 69.2 0.0
今後 校数 10 19 0
割合 50.0 36.5 0.0
がわかった.
b.職員
国立,私立,短大,専任,非常勤別に職員の構 成員数を表3に示す.平均の構成員数は,国立は 専任1.3 人,非常勤1.5人,私立は専任2.7人,非常
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表5 教員採用試験に関する実施・実施予定業務 国立 私立 短大 全国の教員採用
試験の内容や採 用状況に関する 情報提供及び受 験相談
現在 校数 10 47 1
割合 50.0 90.4 16.7
今後 校数 10 23 0
割合 50.0 44.2 0.0
出願書類等の添 削,小論文や面 接に関する添削 と指導
現在 校数 12 46 3
割合 60.0 88.5 50.0
今後 校数 12 22 1
割合 60.0 42.3 16.7
教員採用試験に 関する教育委員 会の説明会の開 催
現在 校数 8 43 3
割合 40.0 82.7 50.0
今後 校数 7 23 0
割合 35.0 44.2 0.0
教員採用一次及 び二次試験対策 講座及び個別指 導
現在 校数 12 46 3
割合 60.0 88.5 50.0
今後 校数 11 23 0
割合 55.0 44.2 0.0
教員採用試験合 格 者 に 対 す る
「入職前指導」
現在 校数 6 25 0
割合 30.0 48.1 0.0
今後 校数 7 15 0
割合 35.0 28.8 0.0
教職課程・教員 採用に関する教 職関係の情報・
資料提供
現在 校数 12 46 3
割合 60.0 88.5 50.0
今後 校数 11 22 1
割合 55.0 42.3 16.7
表6 教員実習に関する実施・実施予定業務 国立 私立 短大 教育実習に関す
る 事 務 手 続 き
(配属校・教委他 との連絡調整な ど)
現在 校数 9 37 2
割合 45.0 71.2 33.3
今後 校数 7 15 0
割合 35.0 28.8 0.0
教 育 実 習 指 導
(事前指導・事後 指導)の企画・
運営
現在 校数 16 37 2
割合 80.0 71.2 33.3
今後 校数 14 16 1
割合 70.0 30.8 16.7
教科指導や学習 指導など授業づ くりに関する個 別相談
現在 校数 8 35 2
割合 40.0 67.3 33.3
今後 校数 9 15 1
割合 45.0 28.8 16.7
教育実習に関す る個別相談及び 指導
現在 校数 13 43 4
割合 65.0 82.7 66.7
今後 校数 12 17 1
割合 60.0 32.7 16.7
私立,短大別に「現在行っている業務」「今後行い たい業務」として〇を付けた校数と回答大学に対 する割合を示した.
多くの私立では教育委員会との調整,教育実習 指導の企画・立案,個別相談を実施していること がわかった.国立は付属学校があるためか,私立 と比較して実習校との調整をしていない.学部が 調整をしている可能性もある.教科指導や授業づ
くりに関する指導の割合は,他の項目と比較して 高くはない.教科教育法を担当する教員との連携 が図られていないことがうかがえる.
d.研究・研究支援に関すること
表7に,研究・研究支援に関する項目について,
国立,私立,短大別に「現在行っている業務」「今 後行いたい業務」として〇を付けた校数と回答大 学に対する割合を示した.
国立では教職・教育に関する研究を業務として 実施している大学が多い.しかし,近隣地区の教 員や卒業生に対する研究支援を実施している大学 は多くない.教員養成は大学・教育委員会・実習 校の連携で行うことが必要であることから考えれ ば,近隣地区の教員と課題を共有し,共同して研 究を進めることは重要である.
e.その他の業務に関する実施・実施予定業務
表8にその他の業務について,国立,私立,短
大別に「現在行っている業務」「今後行いたい業
務」として〇を付けた校数と回答大学に対する割
合を示した.その他の業務では,国立では地域と
表7 研究・研究支援に関する実施・実施予定業務 国立 私立 短大
教職に関する調 査・研究
現在 校数 16 23 1
割合 80.0 44.2 16.7
今後 校数 14 14 1
割合 70.0 26.9 16.7
近隣地区学校職 員との共同研究 及び研究支援
現在 校数 6 10 1
割合 30.0 19.2 16.7
今後 校数 7 12 0
割合 35.0 23.1 0.0
卒業生及び社会 人への研究支援
現在 校数 6 9 1
割合 30.0 17.3 16.7
今後 校数 6 12 0
割合 30.0 23.1 0.0
表8 その他の業務に関する実施・実施予定業務 国立 私立 短大
教育ボランティ アに関すること
現在 校数 11 36 3
割合 55.0 69.2 50.0
今後 校数 10 18 1
割合 50.0 34.6 16.7
地域と連携した 教育活動
現在 校数 12 24 3
割合 60.0 46.2 50.0
今後 校数 11 15 1
割合 55.0 28.8 16.7
卒業後に教職を め ざ す 人 の 相 談・支援
現在 校数 9 38 2
割合 45.0 73.1 33.3
今後 校数 9 20 0
割合 45.0 38.5 0.0
介護等体験に関 すること
現在 校数 10 36 3
割合 50.0 69.2 50.0
今後 校数 9 15 1
割合 45.0 28.8 16.7
表9 利用目的
1位 2位 3位 4位 5位 得点 教職課程の履修 19 9 17 7 1 197 教員採用試験 26 11 19 3 0 237
教育実習 16 27 9 2 2 221
研究 1 1 2 19 17 70
その他 2 10 7 10 14 105
連携した教育活動を実施している大学が多いが,
私立ではボランティアや介護等体験などの学生を 対象とする業務を実施している大学が多い.
3.利用目的
5つの利用目的に1から5位の順位をつけても らったところ,表9のようになった.1位を5点,
2位を4点,3位を3点,4位を2点,5位を1 点として合計得点を求めたところ,教員採用試験 を目的とした利用が多いことがわかった.
しかしながら,答申等で示されている教職セン ターの業務から考えれば疑問が残る.
Ⅵ.インタビュー調査結果
先述したとおり,本研究では質問票によるアン ケート調査だけでは聞くことができない具体的な 実態を解明するために,教職センターを担当する 専任教員に対するインタビュー調査を実施した.
この調査では教職センターに所属する教員数,組 織,業務と機能の違いは何に起因するものかを聞 いた.
調査対象としたのは,東海・中部地域の教職セ ンターをもつ国立大学1校,私立大学4校である.
また,調査対象校は,大学のホームページやアン ケート調査の結果から教職センターを中核的に機 能させている国立大学と私立大学を選び,私立大 学については規模や教育内容が異なる学部・学科 を対象となるようにした.
1.概要
教職センターの配属されている専任教員のイン タビュー調査結果の概要を表10に示す.
2.詳細事例 a. 国立A大学
国立A大学は,当該県において教員養成の中核 的な役割を果たしており,県教委とのつながりも 多く,共同で行っているプロジェクトもある.国
河崎雅人 小池和男 赤羽根直樹 神谷純子 平田敦義 鈴木貴史 長嶺宏作 杉本 信
立A大学における教職センターの名称は「教職支 援センター」であり,もともと旧教養学部の流れ をくむ全学的な組織を改編したものである.国立 A大学のセンターの管轄は,教育学部以外の複数 のキャンパスにまたがり,5つの学部にある教員 養成課程である.具体的には,教科に関する科目 は各学部での責任となり,教職科目(指導に関す
る科目)がセンターの責任となっている.
したがって,教育学部の教職課程については,
センターは,ほとんど関与していない.また,教 職大学院についても,教育学部の下にある.ただ し,国立A大学の「教職支援センター」の組織上 の位置づけは,2017年4月より学長直属組織とし て再編されている.
国立大学A 私立大学B 私立大学C 私立大学D
組織上 の位置 づけ
教育学部と教育学部以外 の課程に分け,教育学部以 外を管轄
3キャンパスに教職関係の 委員会があり,本キャンパ スでは教職センターが事務 を行い,他のキャンパスは 教務課が行う.
教職だけでなく学芸員など の資格に関する指導支援を 行う全学的な組織
学科内2専攻の教員で構成 される一委員会組織.
構成員 専任6名,特任5名(元管理 職),兼務教員5名
専任8名(元管理職)教職 相談員(非常勤)
専任9名(元管理職8名,助 教1名),専任事務員1名,
非常勤事務員2名,その他 業務委託3名.
特任教授1名(学科兼担),
非 常 勤 講 師3名( 元 管 理 職).
意思決 定機関
教職委員会:学部長級会議 実質的な教職センターで週 1回程度会議
「教員養成カリキュラム委 員会」「教育実習委員会」
「免許更新講習委員会」を 全学と各キャンパスの分会 で行う.ただし,実習の ルール,シラバスなど全学 で統一している.
学科会議.教職センター
(委員会)としては月に一 回程度,情報共有してい る.
業務内 容
①「教職教育部門」設置認 可,現場との調整,教員 作用対策
②「地域連携部門」県の研 修センターとの連携,県 教委との連携,現職教員 向けの講座
③「学芸員・理数系教員養 成支援部門」理科教員の 専門性支援等
①教員採用対策
②来年度より紀要を発行 予定
③現場との調整
④設置認可,教育実習,教 職課程に関することは,
各学科と委員会で調整
①教員採用対策
②教育実習
③介護等体験
④履修カルテ
⑤教員免許状申請
①教員採用対策
②進路相談
独自の 取り組 み
実習日誌,介護日誌などの デジタル化,指導記録の透 明化.
特になし 教職に就いた卒業生と教職 を目指す学生との接続(講 演会,情報交換会,合格体 験発表会,対策講座の企 画,研究年報の発行など)
教職相談室の設置(特任教 授1名 と 非 常 勤 講 師 が 対 応)
教職セ ンター の問題 点
①再課程認定
②学科間の調整
①再課程認定
②初等教育に特化,中等教 育の採用が少ないことも あり手薄
①教員養成を主とする学科 との連携
①部局ではなく,委員会組 織
②学科間の連携 表10 インタビュー調査の概要
次に意思決定機構(決定権限)についてみてい きたい.意思決定には,「教職委員会」において 行っている.しかし,この「教職委員会」は学部 長級の会議であり,最終的な決定機関であるため,
主に大学全体での決定となり,手続き的な性格が 強い.したがって,実務的なことについては,「教 職支援センター」での会議を週1回程度開催し,授 業等の担当者を決めているということである.
ただし,先述したように「教職支援センター」
という名称に,支援が入っている意味は,課程認 定や実習等の指導は基本的には各学科で責任をも ち,センターは,それを支援する役割であるとい う点にある.したがって,毎年度,教職課程をお く学部・学科との業務分担では,調整が求められ るなどの苦労があるそうである.
国立A大学は,他大学の教職センターと比較し て規模も大きいように,業務内容も多岐にわたる だけでなく,現職教員の研修などの専門的な業務 も行っている.
国立A大学の業務内容は,「教職教育部門」「地 域連携部門」「学芸員・理数系教員養成支援部門」
の三分野がある.
「教職教育部門」は,主に次の3つの業務であ る.①設置認可の業務は,教職支援センターの教 員が各学部教員と兼任する形で申請している.主 に,教職教養科目はセンター教員の全員で担当し,
全学部共通で兼任している.②教育実習の業務 は,支援センターがコーディネートする.基本的 には学科教員が中心となるが,現場との調整の一 部は,支援センターが行っている.③教員採用試 験の業務については,小論文・面接・採用対策な どについて特任教員(元管理職経験者)が中心と なっている.一次試験対策についても,特任教員 が行っている.
「地域連携部門」の業務は,主に次の3点であ る.①県の総合教育センターと連携協定書を結び,
大学の授業を解放して,現場の教員を招待する.
また,総合教育センターの研修の仕事を引き受け,
行っている.その代わりに指導主事に大学の授業 に来ていただいている.②県教委には教育課程研 究会という組織があり,それに学生を参加させて いる.③今年からは教職実践演習で現場教員に参 加してもらう企画をたてている.
「学芸員・理数系教員養成支援部門」の業務は,
主に次の3点である.①CST(コア・サイエン ス・ティーチャー),専門性の担保,JST(Jap
an Science and Technology Agency)の認証を行 い,②理科の教材を作成している.また,③学芸 員養成も入っている.
国立A大学の独自の取り組みとしては,教職 ポートフォリオの作成がある.具体的には,教育 実習日誌,介護等体験の日誌等もデジタル化し,
それをポートフォリオとしてアップロードしてい る.学校現場では,まだまだデジタル化されてい ないことも多いが,その際は手書きのものをスキャ ンする形で行っている.ポートフォリオは4年次 の教職実践演習と接続するとともに,履修カルテ の機能を果たしている.
また,特任教授の小論文・面接指導などの指導 記録も書かせるなどを行っている.両方の取り組 みも,いわゆる「見える化」を進め,学生の指導 に役立てたいと考えている.
最後に,国立A大学の課題として,再課程認定 については,何をどこまで求められているのか,
模索している段階で,今後の対応が求められてい る.また,発足時からの課題として,学科間の調 整は引き続き課題として残っている.
b.私立B大学
私立B大学は,県内最大の教職課程の学生数を もつ大学であり,3キャンパスをもつ総合大学で ある.教職センターの名称は, 「教職支援センター」
であり,文部科学省が教職センターの設置を提唱 したのを受けて,平成25年頃に設立された.
教職センターは,各キャンパスに設置され,「教 員養成カリキュラム委員会」 「教育実習委員会」 「免 許更新講習委員会」の3つの委員会に位置づけら れている.この3つの委員会は,それぞれ全学の 委員会とともに,分会でも組織され,そこで各学 科とセンターの調整・決定を行っている.
なお,それぞれの委員会の事務について本部キャ ンパスでは「教職支援センター」が行い,他のキャ ンパスでは教務課が行っている.事務の取り扱い の違いは,本部キャンパス以外のセンターでは配 属されている教職員が少ないことである.
次に教職センター全体の構成員であるが,管理 職経験者を中心に8名配置しており,また,セン ター配置の教員は課程申請の関係もあり,学科付 きとし兼任している.その他,教職相談員(時給 1400円)を置いている.
教職センターの人事には,専任教員については 学長が中心として行うが,教職支援センター関係 の委員会で審議されている.
河崎雅人 小池和男 赤羽根直樹 神谷純子 平田敦義 鈴木貴史 長嶺宏作 杉本 信 教職センターの機能とその充実に関する調査報告
なお,この数年内で上記の委員会等で審議され,
教育実習のルールを本部キャンパスのルールに統 一している.また,再課程申請にむけて教職課程 のカリキュラムについても内容を統一し,シラバ スの統一も行っている.
教職センターの業務は,①設置認可に関するこ と,教職課程のカリキュラム,授業配置に関する こと,教職課程に関すること,教育実習に関する ことである.ただし,教職センターと関係する委 員会で調整して,決定・実施している.②教員採 用試験に関することは,教職センターが中心であ る.③教職センターの研究に関することは,2018 年度から紀要を発行することを検討しているが,
まだ途上にある.④教育委員会と学校現場との連 携は,元校長のような管理職経験の教員が中心と なって行っている.ただし,ボランティアセンター でも学校現場での学生の派遣は行っている.この 他に介護等体験実習は教務課が中心で,教職セン ターは,その支援を行っている.
教職センターの業務での困難点と課題は次の二 点である①初等教育に特化し.中等教育は手薄で ある.その理由は採用者数が少ないために合格し にくいことに関係している.②文科省からの指示 で,免許を与える都道府県教委と教員養成大学と の連携を目指して,協議会が作られることが求め られ,そこでの調整をしなければいけない.
c.私立C大学
私立C大学における教職センターの正式名称は,
「教職・司書・学芸員教育センター」であり,教職 以外の資格取得に関する支援も行っている.9学 部を擁する総合大学の資格取得および就職に関す る指導・支援を行うことを目的としている.
全学的な委員会である教職課程委員会が各学部 学科と連携を取り,意思決定を行う.文学部長が 教職センター長を兼ねており,とりわけ国文学科,
英文学科,教育学科を擁する文学部との意思統一,
連携が円滑になるよう配慮されている.センター 長を含めて専任教員8名はすべて,元小中高教員 であり,おもに教職に関する支援を想定した教員 構成になっている.ただし,教職センターの中心 的な業務は,教育学科(小学校)を除く中高免許 であり,幼稚園教諭・保育士は対象外である.
また,そのほかに助教1名と事務職員6名(専 任事務員1名,非常勤事務員2名,業務委託3名)
が在職し,教職員計15名の構成である.
学生が入りやすいセンターを目指し,部屋はガ
ラス張りで入りやすい構造で,教職員全体が明る く丁寧な窓口対応である.センター内に相談ス ペース,学習スペース,PCのほか,黒板を設置 して板書の練習ができる.また,ビデオカメラや 書籍の貸し出しなどで,教採対策,自習をサポー トしており,センター内で閲覧できる「教育新聞」
に,教採情報など学生が読むべき箇所に付箋を付 け,学生が手に取りやすいように工夫している.
教職センターの方針として,教職に適性のない 学生に教員免許を取らせないようにしており,学 生の教職に対する意欲・適性について随時チェッ クすることに取り組んでいる.その例として,教 育実習の条件,GPA2.0に加え,教職教養チェッ クテスト(1年3月,2年5月,2年9月)計3 回実施し,1年次より教員採用試験の教職教養の 問題に取り組んでいる.1回でも80%以上クリア できた学生のみ教育実習を認めることとしており,
この件については,1年次4月のガイダンスに学 生に周知し,厳密に運用している.また,他学科 履修による副免許取得制度があり,主免小学校履 修者の中高免許取得,中高保健体育免許履修者の 小学校免許取得が多い.なお,副免取得の条件は,
GPA2.5以上としている.
そのほかの支援として,近隣学校におけるボラ ンティア派遣手続きを行っており,①ガイダンス,
②センターで面接,③希望アンケート,④母校ま たは教育委員会で配属(主に2,3年生)などを経 て,意欲と適性のある学生を派遣している.この 近隣の学校でのボランティアは,授業の空きコマ などを活用する.その際,時間を有効に使うため,
ボランティア用の自転車を教職センターで購入し,
学生に貸し出しを行っている.さらに,教職に就 いた卒業生と教職を目指す学生とのパイプ役とな ることを目指して,講演会,情報交換会,合格体 験発表会,対策講座の企画,研究年報の発行など を行っている.
実績として,平成29年度採用の小学校免許取得 者の教員採用試験合格率は定員に対して50%を超 えている.しかし,唯一の教員養成を主とする学 科である教育学科との連携が円滑ではなく,効果 的な支援が難しいことが教職センターの課題であ る.
d.私立D大学
私立D大学は,1学部2学科の大学である.教 員養成を主とする学科では,小学校教諭のほか,
幼稚園教諭,特別支援教諭の各免許が取得でき,
他学科履修により中高英語免許の取得が可能であ る.
教職センターは,1学科内の2つの専攻(保育・
特別支援系,初等教育系)にまたがる委員会組織 であるため,専任の教職員はおらず,学科教員が 一委員として在籍する.別途,教職相談室を設置 し,学科兼担の特任教授と非常勤講師(3名)が 相談にあたっている.これらの教員は,教職科目 の講義のほか,教員採用試験対策も行っている.
月に1回程度,情報共有を目的として委員会を 開催意思決定を行っているが,教員免許取得に関 する具体的な意思決定は学科・専攻が行っている.
教員養成に関する方針として,1年次より学校 現場における体験を重視しており,必修授業にお いて,近隣の学校における観察およびボランティ アなどに派遣する.教員採用試験の対策として,
一次試験対策は,大手資格予備校に依頼している が,二次試験対策は専任教員で行っている.
教職センターが委員会組織であるため,それぞ れの学科・専攻に意思決定が委ねられていること があり,全学的な取り組みが不十分であることが 課題として挙げられている.
Ⅵ.まとめ
1.調査結果に基づく考察
アンケート調査結果を概観すると,国立と私立 で構成員数と業務内容で相違があることわかる.
私立の構成員数は,国立と比較して,教員・職員 とも多い.これは国立と私立・短大の教職員組織 の違いが影響していることも考えられるが,本ア ンケートからは実施している業務の違いが影響し ていることが示唆される.
具体的には,インタビュー調査の対象となった 4校を比較すれば,組織の位置づけも全学組織で ある場合や,委員会の組織である場合,特定の学 部・学科に所属する組織とあり,また,所属する 教職員も10人近くの規模の場合から兼任を含めた 数人で運営しているものもある.当然ながら,そ の位置づけと規模に応じて,業務内容が異なる.
私立・短大では,実施している業務の多くは学 生に対する履修や実習に関する指導や相談,教員 採用試験対策に関するものである.「面倒見のよ さ」や「採用試験の合格者数」は受験生の大学選 びの重要なポイントである.そのため,学生個人 に対する支援が求められ,構成員数も多くなりが ちである.
インタビュー調査からもわかるように,教職セ ンターの位置は,設置の経緯などから各大学の事 情に応じて組織されていることがわかる.例えば,
国立A大学の場合は,もともと教養学部にあった 全学組織を活用して再編されている.一方で私立 大学の場合は,学部・学科の改編と統合,文部科 学省の提言を受けての対応などの外在的な理由に よる場合が多い.このことは業務内容として,教 職センターが何を担うかにも関わる.
教職センターの共通する業務は,一つは教育実 習などの学校現場との調整が必要となる業務であ る.もちろん,教育実習の何を分担するかは各大 学において異なる.単に実習校への訪問に限定さ れる場合もあれば,教育実習前の指導だけを行っ ている場合もある.また,学校種においても,幼 稚園を含むかどうか,あるいは,小学校課程と中 学・高校課程のどの養成課程を含むのかは,各大 学における養成課程の状況によって異なる.一般 的に,小学校の養成課程は教育学部等の専門課程 におかれる場合が多いので教職センターの業務か ら外れる場合があり,幼稚園についても同様であ る.
次に,教職センターに共通する業務は,教員採 用試験対策である.全ての大学に共通して教職セ ンターで行っており,主に2次試験対策が中心と なっていることが多い.特に私立D大学のように,
規模が小さいところでは教員採用試験対策が実質 的に大学から期待され,主となる業務となってい る.もちろん多くの私立大学では,学校現場や採 用後を見越しての指導と兼ねている場合もあるが,
学生側からすれば,実質的には採用にむけた講座 となっている場合が多い.
また,採用試験対策などの進路に関する業務で は,国立A大学と私立C大学のように教員免許以 外の学芸員課程・司書などの資格全般にわたる業 務も行っている大学がある.今回の調査した大学 にはないが,教職センターが他の資格養成や進路 をあつかうキャリアセンターと同一組織となって いる場合があり,大学の業務において専門的な授 業の外側にある領域を担当しているともいえる.
一方で,調査・研究に焦点をあてたときに国立 A大学の他に,免許更新講習以外の現職教員の研 修や教材開発を行っている大学はなかった.もち ろん,私立大学でも個別の教員で行っていると考 えられるが,組織的なプログラムとなると,国立 大学のように教員養成の中核的な大学でなければ,
河崎雅人 小池和男 赤羽根直樹 神谷純子 平田敦義 鈴木貴史 長嶺宏作 杉本 信 教職センターの機能とその充実に関する調査報告
機能させることが難しいのが実情であろう.さら に,多くの国立大学では教職に関する調査・研究 を実施し,学生個人に対する支援より,調査・研 究を主業務と考える傾向にあり,教職センター専 任教員への期待される役割も異なる.
言うまでもないことであるが,多くの専門的な 教員が多数所属していない私立大学の教職セン ターが,教材開発などの専門的な内容を提供する には,やはり,一定数の人材が必要である.しか も,教職センターにおいては専門的な力量のある 元校長のような管理職経験者が多くいる場合でも,
その専門的な知見は既に教育委員会が行っている 研修内容と重なりやすく,新たに企画する目的が 明確になりにくい.
このような観点から考えれば,教職センターは,
調査・研究は主たる業務とはなっていないのが現 状であり,今後の発展が望まれるところである.
ただし,「教職センター」がもともと,教員養成 における開放制の原則の下,複数学部において教 員養成を行っている私立総合大学において,全学 的な教職課程や教員養成に関わる業務を円滑に運 営するために設置されてきたものであると指摘さ れるように(渡辺2013),教職センターがもつべき 機能の,もう一つには「教員養成カリキュラム委 員会」などの組織による大学の教職課程の議論す る場の設定がある.
この点については,アンケート調査からもイン タビュー調査からも共通する課題としてみえるも ので,全学的な組織として,どのように教員養成 課程と教職センターが連携・分担するかという課 題でもある.
教職センターが,教育委員会や実習校がもつ教 員養成に関する課題をもとに,養成科目を担当す る教員と連携を図りつつ教員養成カリキュラムを 策定し,「教科指導や学習指導など授業づくりに関 する指導」を行うことが求められてくる.
しかし,国立A大学の場合も教員養成を主とす る教育学部と,それ以外の教員養成課程と教職セ ンターは担当を分けて運営されていた.私立大学 でも同様であり,全学的な組織とした場合に,教 員養成のどこの部分,どの範囲の学生までカバー するのかが問われている.私立B大学の場合は,
学科の改編・新設,また,再課程認定にあわせて,
教員養成課程を再編する必要があり,その経緯の なかで教職センターが作られていた.そのため教 職科目のシラバスの共通化,実習の細かなルール
の共通化が行われたと答えてあり,現実的な必要 性から生まれている.
さらに,今回のインタビュー調査では,例えば,
教職センターに関わる内規や委員会のルールなど は,この数年で整備する,あるいは,これから整 備しているとインタビュー調査で答えている大学 が2校あった.
以上のことから,教職センターの機能と役割は,
まだ途上にあるといえる.「教職センター」が大学 としての教員養成の中核となるとはいえず,現実 的には今まで大学で教員養成を担ってきた学部や 組織が基盤として教員養成を行っており,逆に今 まで行うことが難しい,あるいは,してこなかっ た領域を中心に担当しているといえる.
今後の教員養成の動向からいえば,大学全体で 教員養成の理念と内容を整備する必要があり,中 心的な役割は各大学において委員会組織であるな ど多様であるが,教職センターも,その選択肢の 一つとなっていくことは確かであろう.
2.教職センターの機能の充実について
主に教員養成を目的にする学科と単に教員養成 課程をもつ学科では教職センターに期待する機能 は異なる.本学は,中高理科教員養成課程をもつ 非教員養成学科があるなかで,教員養成学科が設 置され,その後教職センターが設置された.この 経緯から,本学の教職センターは,全学的な教職 課程や教員養成に関わる業務を円滑に運営するた めに機能すべきである.この視点にたてば,本学 教職センターに必要な機能は,①学生に対する支 援,②学科に対する支援,③地域に対する支援,
④研究支援であろう.
①学生に対する支援
学生に対する支援として,教員免許取得のため の履修指導,実習指導,教員採用試験合格に向け た指導,採用試験合格者に対する入職前指導,採 用試験不合格者に対する就職支援などが想定され る.受験生の大学選びのポイントは,「採用試験の 合格率」と合格に向けた「面倒見のよさ」である ことを考えれば,本支援は重要である.さらに,
今後,教職についている学生のネットワーク作り も必要となる.
②学科に対する支援
学科に対する支援としては,カリキュラムの策 定,教科教育法に関する科目の指導方法・シラバ スの調整等が想定される.
教科教育法は教員免許取得に必要な科目である
が,多くの場合,授業内容は担当教員に任されて いる.小島(2004)は,所属校の平成15年度の教 科教育法の授業内容の共通的な特徴を3つに整理 した上で,学習指導案が書けること,つまり,ど う授業を組み立て,展開するかという授業計画を 立てることができるということが教科教育法の中 心にあるという認識が科目としての基本的な性格 への共通認識であると述べている.この認識を共 有し,質の向上を図るには教員養成に関わる教科 目を担当している教員と連携した取り組みが必要 であり,この調整を行う機能が求められる.さら に,教育委員会との連携によるカリキュラムの改 善を推進する機能も必要である.
③地域に対する支援
学校インターンシップや学校ボランティアにつ いて企画し,学校や教育委員会と実施学科との調 整,現職教員に対する学びの機会の提供などの支 援が想定される.
④研究支援
2016年3月に教職センター紀要を創刊し,近隣 地区学校教員も投稿することができる.しかしな がら,現場の教員が独力で研究することは,指導 者や時間的な困難さがある.そこで,教職センター が地域に対する支援を行うなかで,現場の教員の 研究に関する要望を把握し,本学教員との共同研 究にすることによって,現場の教員の研究を支援 することが可能となろう.
さらに,これらの支援を推進するには,教職セ ンターと教員養成課程を持つ学科との緊密な協力 が必要である.そのためには,教職センターと学 科教員が参加する委員会を立ち上げることも必要 である.
付記
本研究は平成28年度帝京科学大学教育推進特別 研究(研究代表者 河崎雅人)の助成を受けて実 施されたものである.
参考文献
小島律子(2004) .「教科教育法の現状と課題」.『大 阪教育大学教科教育学論集』3,1-4
文部科学省(2015).「これからの学校教育を担う 教員の資質能力の向上について ~学び合い,高 め合う教員育成コミュニティの構築に向けて~
(答申)」http://www.mext.go.jp/component/b_
menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfi
le/2016/01/13/1365896_01.pdf( 最 終 参 照 日:
2017年8月27日)
渡辺恵子(2013).「「教職センター」の機能充実,
「実務家教員」の活用」.工藤文三(研究代表 者).『教員養成の改善に関する調査結果 ‐ 教員 養成等の在り方に関する調査研究(教員養成改 善班)報告書』(pp.34-38).国立教育政策研究所.
河崎雅人 小池和男 赤羽根直樹 神谷純子 平田敦義 鈴木貴史 長嶺宏作 杉本 信