序 文
Cryptosporidium parvum や Giardia lamblia は 消 毒薬耐性を有し,水系感染を起こすヒト腸管寄生 病原性原虫として知られている
1).諸外国ではこ れらによる水系流行が多く, わが国でも 1994 年に 神奈川県平塚市で,また,1996 年には埼玉県越生
町で飲料水中を汚染した C. parvum が原因と思わ れる集団下痢症が発生
2)している.
環 境 水 中 の Cryptosporidium お よ び Giardia に 関する疫学調査は,海外の多くの国々でなされて おり,地下水,湖水あるいは井戸水などとともに 水道原水となる河川表流水を対象とした調査・報 告が最も多くみられる
3).これらによれば, 調査し たほとんどの環境水から C. Parvum が検出されて おり,本原虫は世界中の環境水に広く分布してい ることが明らかにされている.
第74回日本感染症学会総会学術講演会座長推薦論文
河川水からの Cryptosporidium と Giardia の検出状況
1)兵庫県立衛生研究所微生物部,2)国立感染症研究所寄生動物部
小野 一男
1)辻 英高
1)島田 邦夫
1)増田 邦義
1)遠藤 卓郎
2)(平成 12 年 8 月 16 日受付)
(平成 12 年 11 月 27 日受理)
1999 年 7〜10 月に兵庫県の 3 地域の 13 水道水源河川から採取した表流水について,免疫磁気ビーズ を用いCryptosporidiumoocyst とGiardiacyst の検出を行なった.その結果,Cryptosporidiumは 13 河川 中 9 河川(69%),69 採水地点中 38 地点(55%)から,また,Giardiaは 13 河川中 5 河川(38%),69 採水地点中 9 地点(13%)から検出された.併せて行なった糞便性汚染指標菌は 13 河川中 10 河川(77
%),69 採水地点中 54 地点(78%)から検出され,検出率はCryptosporidiumと近似した値であった.こ れらの成績を地形および農業環境の異なる 3 つの地域内で比較したところ,Cryptosporidiumおよび Giardiaの地域別の陽性率は,それぞれ 37〜100% および 10〜20% であり,Cryptosporidiumの方に地域 差が認められた.地域別の検出率とそれぞれの地域における飼育家畜の種類と頭数との関係を調べたと ころ,ウシの飼育頭数とCryptosporidium検出率との間に強い相関(r=0.91)がみられた.さらに調査河 川から検出されたCryptosporidiumを用いて PCR-RFLP 法による遺伝学的解析を行なったところ,これ
らはCryptosporidium parvumのウシ型と同定された.これらの結果から河川から検出されたCrypto-
sporidiumは河川流域で飼育されているウシから排泄されたものと考えられた.また,糞便性汚染指標菌
はCryptosporidium汚染の指標となり得ると考えられた.
〔感染症誌 75:201〜208,2001〕
要 旨
別刷請求先:(〒652―0032)神戸市兵庫区荒田町 2 丁 目 1 番 29 号
兵庫県立衛生研究所微生物部
小野 一男
Key words: Cryptosporidium parvum, Giardia lamblia,immunomagnetic separation
これまでわが国ではこれら原虫による感染は散 発的で, 水系感染例も知られていなかったために,
環境試料からの検出方法や環境中の汚染状況につ いての報告は少なく,汚染の実態はほとんどわ かっていないのが現状である.検出方法について は 1996 年にクリプトスポリジウム暫定対策指針
(厚生省) の中で示された.さらに,1998 年には指 針の改正がなされ,試験方法も大幅に改善された が,未だ基準化された検出方法はない.
環境からのこれら原虫の検出は感染実態や感染 予防を知る上で極めて重要である.兵庫県下の水 道水源である主要な河川水系を対象に,新しい原 虫 検 出 法 の 一 つ で あ る 免 疫 磁 気 ビ ー ズ immu- nomagnetic separation beads(IMS)を用いて Cry- ptosporidium と Giardia の汚染実態調査を行なっ た.また,それぞれの調査河川地域における家畜 の飼育状況を調べ,これら原虫による河川水汚染 実態との関係を検討するとともに,調査河川で検 出 さ れ た Cryptosporidium に つ い て,PCR-RFLP 法による遺伝子解析を行なった.さらに,河川水 中の糞便性汚染指標菌と Cryptosporidium の相関 関係についても検討した.
対象と方法
1.調査および試料採取地点
1999 年 7〜10 月の期間に兵庫県の主要 13 河川 について,69 試料採取地点で調査を行った.調査 地域をそれぞれの地域特性に基づいて, 淡路地域,
西播磨地域および但馬地域に分類した. すなわち,
淡路地域は畜産と漁業が盛んな南部の内海に位置 する島,西播磨地域は農業が盛んな農村地域,そ して但馬地域は農業と漁業が盛んで,冬場の降雪 量が多いという特徴を有する地域である.それぞ れの地域における調査河川数と検体採取地点数を Fig. 1 に示した.調査では Cryptosporidium oocyst
(CO)と Giardia cyst(GC)の他に,水温と濁度の 測定さらに糞便性汚染指標菌の検出を併せて行っ た.
2.試料の採取方法
河川水は,水温を測定後,ポリエチレン製のバ ケツと漏斗を用いてユニオンコンテ ナ ー に 20l を,滅菌ポリエチレン製試験管に 100ml を採取し
たが,いずれの検体も県立衛生研究所へもち帰り 24 時間以内に分析した.
3.試験検査 1)CO と GC の検出
採取した試料は,セルロースアセテート膜(孔 径 1.2
µm)を装着したデスクフィルターホルダー を用いて,加圧器により濾過濃縮した.膜面上の 捕捉物の回収にはペンシル型超音波発生器(Heat Systems・Ultrasonics, 50W, 23KHz)を用いて 超 音波を膜面上に照射して捕足物を剥離させ,0.15 M リン酸緩衝食塩水,pH 7.6 中に浮遊させた.得 られた浮遊液はダイナビーズ抗 Cryptosporidium
・Giardia キット(Dynal)を用いて IMS により分 離 し,最 終 的 に FITC 標 識 抗 Cryptosporidium・
Giardia モノクローナル抗体液(Cellabs)を用いて
蛍光抗体法を行い計数した. 同定は既報
4)と同様の
Fig. 1 Map showing the areas , where the surveywas carried out Symbole ● shows sampling po- ints of survey
Table 1 Cryptosporidium, Giardia and fecal bacteriological indicators found in the river in the three areas
No. of river contaminated with No. of
river
tested fecal bacteriological
indicators(%)
Giardia
(%)
Cryptosporidium
(%)
Areas
4
(100)
2
(50)
4
(100)
4 Awaji
4
(100)
2
(50)
4
(100)
4 Nishiharima
2
(40)
1
(20)
1
(20)
5 Tajima
10(77)
5
(38)
9
(69)
13 Total
Table 2 Cryptosporidium, Giardia and fecal bacteriological indicators found in the 69 river water samples in the three areas
No. of positive(%)
No. of samples
tested fecal bacteriological
indicators Giardia
Cryptosporidium Areas
10(100)
2
(20)
10(100)
10 Awaji
33(83)
4
(10)
21(53)
40 Nishiharima
11(58)
3
(16)
7
(37)
19 Tajima
54(78)
9
(13)
38(55)
69 Total
方法で行い,Cryptosporidium は蛍光抗体法,蛍光 法,ノマルスキー微分干渉像の 3 法すべてが陽性 を示した試料を陽性とした.
2)糞便性汚染指標菌の検出と濁度測定 滅菌遠心管に採取した試料について,糞便性大 腸菌,糞便性腸球菌および Clostridium perfringens の検出を上水道試験法
5)に基づいて行った.
3 種類のうち,1 つでも検出されれば陽性とし た.濁度は濁度・色素測定装置 (日本電色工業) を 用いて測定した.
4.CO の PCR-RFLP 分析
調査河川のうち,常にこれら原虫を検出する試 料採取地点 2 個所で,新たに採取した試料 100l から検出した CO について,Awad-EI-Kariem ら の方法
6)に準拠して制限酵素切断多型性 Restric- tion fragment Length polymorphism(RFLP)分析 を行なった.すなわち,それぞれの oocyst から抽 出した DNA について,18Sr RNA 遺伝子を標的 とするプライマーを用いて PCR を行なった.増幅 産物は制限酵素 Mae I で消化後,電気泳動を行い,
そのパターンより種の特定を行なった.標準対照 として,生後 6 カ月齢未満の和牛とジャージ種の
子牛糞便から分離した C. parvum の 2 株と同齢の ジ ャ ー ジ 種 か ら 分 離 し た Cryptosporidium ander- soni(C. muris の新呼称
7))の 1 株,および下痢症 患者糞便から分離された遺伝学的にウシ型と同定 された C. parvum oocyst(CPO:Cp h8:国 立 感 染症研究所より分与)の精製 DNA を用いた.
5.地区における家畜飼育状況調査
それぞれの地区における家畜飼育数および飼育 状況調査は,現地における聞き取り調査と農林水 産省近畿農政局兵庫統計情報事務所発行の 1999 年家畜家禽飼育状況の統計資料を併用して行なっ た.
成 績
1.河川の原虫および細菌汚染調査
13 河川中 9 河川(69%)から,69 採水地点中 38 地点 (55%) から CO が検出されたのに対して,GC は 5 河川(38%),9 地点(13%)から検出され,
その検出率には差が認められた.一方,糞便性汚 染指標菌は 10 河川(77%),54 地点(78%)から 検出され, Cryptosporidium と似通った結果であっ
た. Giardia および糞便性汚染指標菌もいずれも
調査を行なった 3 地域すでてから検出された (Ta-
Table 3 Relationship between intensity of Cryptosporidium contamina- tion in river and number of livestock raised in three areas
No. of livestock No. of positive
samples(%)
No. of samples tested Areas
Chiken Pig
Cattle
6,000 9,300 43,100 10(100)
10 Awaji
59,200 8,600 26,900 21(53)
40 Nishiharima
34,600 11,800 9,000 7
(37)
19 Tajima
A A
B B ble 1,Table 2) . Cryptosporidium と糞便性汚染指
標菌の地域別検出率は,淡路地区が両者とも 100
%であったのに対して,但馬地区は有意に低く,
それぞれ 37%(p<0.05)と 58%(p<0.05)であ り,いずれも地域差が認められた.Giardia のそれ は 20% と 16% と地域差は認められなかった (Ta- ble 2) .
2.地域別 Cryptosporidium の検出と飼育家畜数 Table 3 に 地 域 別 の Cryptosporidium の 検 出 数 と,それぞれの地域ごとのウシ,ブタおよびニワ トリの飼育頭数を示した.検出率の最も高かった 淡路地域および最も低かった但馬地域の汚染度の 傾向を,同地域で飼育されているウシ,ブタおよ びニワトリの飼育頭数と比較した.CO 汚染の程 度はウシ飼育頭数との間に有意差(p<0.05)が認 められたが,ブタおよびニワトリとの間には相関 はみられなかった.
3.PCR-RFLP による CO の同定
試料から検出した CO ならびにウシ由来 CPO と C. andersoni oocyst(CAO)およびヒト由来ウシ 型 CPO の PCR 増幅産物の電気泳動像は,Fig. 2 A に示した通り,いずれも 556bp 付近に主要な単 一バンドを認めた.これに対して,これらの PCR 産物の RFLP パターンは,標準対照 CPO 3 株は消 化後いずれも 286bp 付近に主要バンドが認めら れた(Fig. 2B) .一方,CAO については,500,
286,200,80bp 付近に 4 本のバンドが形成され た.Mea I 制限酵素を用いた RFLP は明確に CPO と CAO を鑑別できた.CO の PCR 増幅産物の電 気泳動像および制限酵素切断パターンは CPO の それらと一致したため,本調査を通じて検出され Cryptosporidium はウシから排泄された C. parvum であると推定した.
考 察
Cryptosporidium は胞子虫類に属する原虫で,こ のうち下痢を主徴とするヒトのクリプトスポリジ
Fig. 2 PCR-RFLP analysis of sixCryptosporidiumoo-cyst isolates.(A)Undigested PCR products.(B)
MaeI digests of PCR products.
M:size markers(100bp ladder), lane 1 and 2:bo- vine CPO isolates, lane 3:bovine CAO isolates, lane 4:human CPO isolates(Cp h8), lane 5 and 6:
river water CPO isolates.
ウム症の原因となるのはほとんどが C. parvum で ある.経口的に摂取された oocyst は小腸絨毛内で 急激に増殖し,塩素耐性で環境抵抗性が強い莫大 な数の感染性 oocyst が糞便とともに排出され環 境を汚染する.また,Giardia は鞭毛虫類に属して
おり, G. lamblia がジアルジア症の原虫となる.
cyst は十二指腸や小腸に寄生して下痢を起こし,
CO と同様に環境を汚染する. C. parvum はウシ,
ブタ,マウス,イヌなどの哺乳類を宿主として自 然感染しており, G. lamblia は家畜の他,ビーバな どの野生動物にも広く感染しており,いずれも宿 主特異性はなく世界各地に広く分布している
8). 水系感染の原因としては水道水の原水である河川 や湖沼などの表流水や地下水の汚染が挙げられ る.汚染の原因として,感染家畜や野生動物の糞 便やヒト由来の CO や GC の流入が考えられてい る
9). G. lamblia が 1965 年に水系感染原虫として 報告されているのに対して, C. parvum は 1984 年に最初の水系感染による集団発生が報告
10)され た.しかし,1 事例の患者数が 1,000 人以上という 大規模な流行が頻発したために,これら原虫の環 境水を対象とした疫学調査が世界各地で行われる ようになった.
我国では過去に 2 つの Cryptosporidium および
Giardia の疫学調査が行なわれている.橋本ら
11)に
より,1996〜7 年に行なわれた神奈川県での調査 結果によれば,相模川の 13 地点での Cryptosporid- ium と Giardia の検出率は,それぞれ 67〜75% と 83〜92% と報告されている.これに対して全国の 94 河川・277 地点を対象とした厚生省の水道水源 における調査
12)では,検出率はそれぞれ 2.9%(8 地点)と 8.7%(24 地点)であった. Cryptosporid- ium については,橋本らの検出率は我々の成績に ほぼ近似したが,厚生省の全国調査では我々や橋 本らの成績と比較しても有意に低値であった.厚 生省の成績が低値であった理由は,調査場所や時 期ではなく,むしろ調査方法に関係していると考 えられる.これまで Cryptosporidium の水からの回 収に関しては,米国環境保護庁(EPA)の Infor- mation collection rule で採用された標準法および その改 正 さ れ た Method 1622 法
13)が 知 ら れ て い
る.我が国においては,1998 年に米国の標準法を 日 本 の 実 状 に 合 わ せ た 暫 定 法(nitrocellulose membrane で濾過後,acetone にて溶解) が発表さ れ,これまでの調査で使用されている.しかしこ の検査法は, 著者らが調査に際して検討した成績
4)から判断すると,その回収率の低さや変動幅の大 きさなどのために, 信頼性についての疑問が残る.
厚生省の成績は暫定法に基づき 10l の河川水を用 いた検査結果であるのに対して,橋本らの調査で はその 10 倍量を検査する変法を用いていること が両者の陽性率に差が生じた一因と考えられる.
我々の調査方法は IMS 法を用いて検査したとい う点で, これらとは異なる. 我々の方法は予め行っ た実験によって,62%〜88% の回収率が得られて おり
14),IMS を用いたこの方法が疫学調査に有効 であることを示している.同様の報告は Bukhari ら
15)によっても報告されている.
一方,Giardia については,我々の成績は橋本ら の 7 分の 1 の検出率に過ぎず,全国調査に近似し た値を示した. これまで Cryptosporidium と Giardia とを同時分析した報告
16)17)では,Cryptosporidium
の方が Giardia よりも常に高い頻度と濃度で検出
されており,検出率は 2〜6 倍,濃度は平均数で 3
〜30 倍である.我々の成績は,これらの報告と同 様の結果であったが,橋本らと全国調査の成績は
逆に Giardia の検出率が高い結果を示した.これ
は検出方法が異なる他に,調査地域の家畜や野生 動物分布などの環境の違いなど,さまざまな要因 が組み合わさって影響していると考えられる.
Cryptosporidium の河川の汚染源としては,家畜 として飼育されているウシやブタなどの糞便,野 生動物の糞尿,さらにはヒトからの下水や処理水 の流入が考えられている.橋本らの汚染源調査で は,調査河川の上流にある大規模なブタ飼育施設 からの排水が河川を汚染した可能性を考察してい るが,本調査地域には大規模ブタ飼育施認はない し,寄生率も低い(567 頭中陽性 0 頭;宇賀ら私 信)ため,ブタが汚染源となっている可能性は低 いと考えられる.
調査地域のうち西播磨地域や但馬地域にはシカ
やイノシシ等の野生動物が出没するが,その数は
少なく,西播磨地域の野生シカの実態調査
18)でも CO は検出されず問題とはならないと考えられ る.この地域の下水道普及率は 77% であるが,一 部では家庭浄化槽による処理が行なわれているた め,家庭浄化槽からの排水が河川に流入する可能 性は否定できないが,下水処理水については厳し い水質管理が行われており,このことも特に問題 とはならないと考えられる.
これに対して, 本邦におけるウシの飼育場では,
これら原虫の存在を念頭に置いた糞便の処理は行 われておらず,これらウシから排出された oocyst が環境を汚染する可能性は極めて高い. Crypto-
sporidium の地域別汚染率は淡路地域が最も高く,
逆に但馬地域が最も低かった.この傾向は地域で 飼育されているウシの頭数に相関しており,ウシ から排出された oocyst が環境を汚染しているこ とが強く示唆された.著者らの本県におけるウシ の保有調査
4)では 4.2% から CO が検出され,その
うち C. parvum の検出率は 2.4% で,すべて子牛
からであった.そこで,調査河川から回収された CPO は PCR-RFLP 分析の結果,その遺伝子型が ウシ型であったという事実から,同地域の河川に
おける C. parvum の汚染源は,同地域で飼育され
ているウシであることが示唆された.
河川水の原虫検査は濾過濃縮に多大な労力を要 するのに加えて,捕足や染色に煩雑な操作が必要 である.さらに最終的な判定にはある程度の習熟 を要するため, その検査は必ずしも容易ではない.
そこで,原虫の代わりに容易に検査可能な別の指 標を用いて原虫の汚染状況を把握しようとする試 みがなされている.Hansen and Onrerth
19)は大雨 による増水によって Cryptosporidium 汚染が増加 するために,浄水の濁度のモニタリングが汚染事 故を防ぐ上で重要であると報告している. しかし,
今回の調査では Cryptosporidium の検出と濁度と の間に有意な相関は認められなかった (r=0.05) . 従来水環境中の原虫類は動物の糞便汚染に由来す ると考えられてきたため,その汚染指標として大 腸菌および大腸菌群が用いられてきたが,これら は原虫と比較すると水中での死滅速度が速く汚染 指標としての評価は定まっていない.例えば,
Rose ら
16)は河川水調査で Cryptosporidium や Gia- rdia 濃度は大腸菌群や糞便性大腸菌との間に相関 がみられなかったと報告しているのに対して,
Lechevallier and Norton は
20)原 水 の 調 査 で Cryp-
tosporidium 数と大腸菌群数の間に有意な相関を
認めたと報告している.我々は前回の調査
18)にお い て 採 取 し た 試 料 す べ て か ら 大 腸 菌 群 と clos- tridia が検出されたため,今回の調査では糞便性 汚染指標菌について, その汚染実態を調査したが,
その汚染率は, Cryptosporidium のそれと近似して い た.こ の こ と は 糞 便 性 汚 染 指 標 菌 が Crypto-
sporidium 汚染の指標になる可能性を示唆してい
ると考えられる.
今回の調査は,兵庫県内の河川の Cryptosporid- ium 汚染が極めて広汎におよぶこと,その検出方 法として IMS 法が有用であったこと,さらに糞便 性汚染指標菌が汚染の指標として有効である可能 性を明らかにした.
なお,本調査は平成 9〜11 年度厚生省地域保健推進特別 事業により行なった.本論文の要旨は第 74 回日本感染症 学会総会において発表した.
稿を終えるにあたり,本調査研究の推進にご協力とご支 援をいただきました,以下の関係施設ならびに関係者に深
謝致します(敬称略).神戸大学医学部保健学科 宇賀昭
二,神戸大学医学部医動物学 Shibata Kumar Rai,神戸大
学医学部微生物学 堀田 博,県立加西農業普及所 中西
重喜,国立感染症研究所 八木田健司,県立衛生研究所
山本昭夫,川村 隆 ならびに保健所,水道事業体および
兵庫県健康福祉部生活衛生課 文 献
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Isolation and Incidence of Cryptosporidium and Giardia from River Water Kazuo ONO
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1), Kunio SHIMADA
1)Kuniyoshi MASUDA
1)& Takuro ENDO
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2)Department of Parasitology, National Institute of Infectious Diseases