コンパクト熱交換器におけるフィンの伝熱促進に関 する研究
著者 平松 道雄
雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告
巻 13
ページ 152‑153
発行年 1992‑03‑30
出版者 静岡大学大学院電子科学研究科
URL http://hdl.handle.net/10297/1748
氏名 。(本籍
)
平松
道
雄 (愛知県
)
学 位 の種 類 工 学 博 士 学 位 記 番 号
工博乙第
32
号引圏鶏0日付
平 成 3年 1月 28日 難 授与の要件
学位規則第5条第2項該当
学位論文題ロ
コンパク ト熱交換器 におけるフィンの伝熱促進に関する研究
論文審査委員 (委員長
)
教 授
児 山
仁
教 授 清 水
孝
教 授 荒 木 信 幸 教 授 内 田 重 男
助教授 中 山
顕
論 文 内 容 の 要 旨
ここで取 り上げるコンパ クト熱交換器は,自動車用の空調機器やエンジンの冷却,家庭用の空調機 などに,幅広 く用いられている。その生産台数 もかなりの数にのぼり,産業界への波及効果 も大きい ことか ら,小形,高性能化への要求が一段 と強 くなってきている。とくに,自動車用 に代表されるコ ンパ クト熱交換器では,ルーバ付のコルゲー トフィン形熱交換器が多 く採用されている。この理由は, ルーバなど伝熱促進のためのフィン加工がコルゲー ト成形と同時にでき,他のフィンに比べ生産性が 高いこと,および,偏平チュープとを組み合わせることによって,小形軽量化が容易であること,な どである。
このルーバフィンは,1950年代に米国で採用されたのに続いて,わが国でも広まり,性能向上に関 する基礎的研究をはじめ,いくつかの検討がなされてきた。 しか しながら, これらの報告は,ある限 られたフィン仕様での実験データであったり,データそのものも仕様が古 くなっているため,汎用性 に欠けることが多い。また,解析 も細部にわたったものではなく,フィンの熱伝達性能に関する具体 的な改良方法や,ルーバの角度,寸法,配列 ピッチなど,いくつかある形状因子を含めた理論的な性 能予測手段については,あまり,報告例をみないのが実状である。
ルーバフィンのように,断続 したフィン断面をもつフィンは,基本的には層流境界層に支配 される 熱伝達特性を有 し,ルーバによる境界層の分断により,フ ィンの伝熱促進を図っている。しかし,個々 のルーバを単なる平板群の集まりとして扱 うには無理がある。たとえば,今までのルーバフィンに関 する性能測定において,平板境界層理論から逸脱するような伝熱特性を示す こともあり得る。これは, ルーバ間における流線の挙動 と,フ ィンの伝熱性能 との因果関係にある。ルーバに沿 うような流れの
場合,平板に近い特性を示すが,そうでないときには,当然なが ら,熱伝達率は低下するようになる。
また, フィンの伝熱性能に関 し,境界層の発達に伴 うフィン後流の影響 も重要な役割を担っている。
しか し,複数のルーバがある角度やピッチで配列されているとき,それぞれのフィン配列構成が流れ や熱伝達におよぼす影響については,まだ詳細には明 らかにされていない。
以上の背景にもとづき,本研究は,従来あまり研究がなされていないと思われる熱交換器のフィン 設計に必要な技術ノウハウを構築するために,膨大な時間を要する実験のみに頼ることな く,いろい ろなフィンの特性が理論的に解析できる汎用性のある数値解析方法の確立をはかり,ルーバフィンを はじめ各種 フィン形状の熱伝達 と圧力損失の特性および最適条件を明 らかにしようとしたものである。
本研究のベースとなる数値解析法では,フィンの傾斜に合わせた差分格子の採用と,それに伴 う座 標変換をそれぞれの格子点に対 して行い,対象となるフィンの形状の自由度を増 している。
その解析方法を用いて,流体が常にルーバ角度に沿 って流れるとは限 らないというルーバフィン特 有の現象を,.流れの可視化 と数値計算の両面か ら考察 し,従来か らみられたルーバフィンに関する性 能低下の原因を理論的に解明 した。
また,各種のフィンの幾何学的配列状態が流れと熱伝達に及ぼす影響を検討 したところ, ここで取 り上げたすべてのフィンの熱伝達率および圧力損失の特性は,ルーバ角鹿 ルーバピッチ,フィンピッ チで定義される無次元のパ ラメータである流路其によって,相関づけられることがわかった。その結 果,フ ィンの熱伝達率が最大 となる条件,および,圧力損失当 りの熱伝達性能でみた場合の最適条件 が明 らかになった。
・最後に,熱交換器の幅広い用途を考慮 して,流れの非定常性を含めた検討を行 った。通常の使用条 件において,コ ンパクト熱交換器の空気側のフィンは,ほとんど流れの安定な層流状態におかれてい ると考えても差 し支えない。 しか し,熱交換器の管内側は,単相流,二相流を問わず,流れが非定常 になることが多い。
とくに,熱交換器の管内側に用いられるインナーフィンは,熱交換器の空気側のフィンに比べ,一
―桁大きい風速で使用される。 したがつて,完全な乱流にはならなくとも,フィン後端部では非定常な 流れの剥離を伴ったものとなるので,非定常状態の流れと伝熱の計算が必要になる。ここでの解析は,
フィン表面の境界層を乱流とは考えずに層流とみなして,フ ィン後流の乱れた流れが後方のフィンに 及ぼす影響について検討 したものであり,その後流が乱れることによつてフインの熱伝達が促進され
ることを,理論的に明らかにしたものである。
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