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ハイリスク新生児を持つ父親の思いについて          〜アンケート調査を通して〜

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Academic year: 2021

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ハイリスク新生児を持つ父親の思いについて

         〜アンケート調査を通して〜

佐藤摩奈美,青木 美香,小林 ちおり,平林 弘恵,須藤 由紀子,増川 昭子

北海道社会保険病院 4階病棟 新生児室

Key Words:

ハイリスク新生児、 父子関係確立、経済的不安、医療費制度、早期介入

      要  旨

 当病棟では、年間60から80名のハイリスク新生児が入院している。ハイリスク新生児の入院は、父親が一 人で初回面会することが多い。父親は、児の予期せぬ入院で喜びよりも困惑などの感情が強いのではない かと考えた。そこで、児に対する思いや不安を明らかにするためアンケート調査を実施した。結果、児に対 して肯定的な感情を持っていた。また経済面に不安を感じている父親が多かった。早期に医療費制度の情 報を提供することで父親の対処行動に有効であった。

         はじめに

 ハイリスク新生児は、出生後十分に母親と面会で きないまま入院となることがある。初回面会は、母 親が出産直後のため父親が多い。父親は、児と母親 を支え、父親としての役割を早期に求められる。そ こで父親の児に対する思いや不安を明らかにし、父 親への看護を考えるためアンケート調査を行った。

その結果から新生児室の看護師の役割について検討 したので報告する。

         研究目的

 ハイリスク新生児を持つ父親の児への思いや不安

を明らかにする。

         研究方法

期間:平成15年!0月1日から平成16年8月30日 対象:新生児室に入院し保育器収容となった児を持  ち、調査に同意を得られた父親40名

調査方法:質問紙法で、初回面会直後にアンケート  を渡し次回面会時に回収した。

(回収率100%)

調査内容:「赤ちゃんに対して」、「父親になって」、

 「妻に対して」、「その他」に関しての思いを質問

分析方法:5段階回答を単純集計

         結  果

 40連中初産の家庭23名、経産の家庭17名であった。

父親の属性は、平均年齢31。5歳、職業の有無は、父 親のみ有職25名、共働き!3名、共に無職2名であっ た。(図ユ)アンケートの結果では、父親の思いとし ての項目は、 「赤ちゃんが生まれて嬉かった」 「父 親になって嬉しく思う」など「とても思う」 「思

う」の回答を合計して、ほぼ100%であった。(図2

)また、父親として不安に思う項目は、「赤ちゃんの 今後の発育が心配」「妻の体が心配」についで、「経

図1 父親の属性

一19一

(2)

北海道社会保険病院

第5巻 2006

済的なことが心配」が「とても思う」「思う」の回答 を合計して37%であった。(図3)

4.赤ちゃんが生まれたので頑張ろうと

   思った

図2 アンケート結果(父親の思い)

■とても思った

ロ思った

ロどちらともい えない ロほとんど思

わない

■思わない

■とても思った

□思った

□どちらともい えない 口ほとんど思わ

ない

■思わない

図3 アンケート結果(父親の不安)

         考  察

 父親の児に対する思いについて、私たちは、予期 せぬ児の入院で出産直後の妻を支えるなど様々な状 況の変化のため、父親は、喜びよりも困惑などの否 定的な感情が強いのではないかと考えた。しかし結 果は、多くの父親が「赤ちゃんが生まれて嬉しかっ た」など肯定的な感情を持っていた。私たちは、初 回面会時、父親に児の表情や仕草、がんばっている 様子を言葉で伝え、児に触れることを促している。

そのことで「わが子ががんばって生きている」とい う実感につながり父親の肯定的な感情を高められた のではないかと考えられた。

 先行研究では、初回面会時における低出生体重児 の父親の没入感情に関する検討を行っている。その 中で、低出生体重児の父親と正常新生児の父親の感 情を比較しており、「赤ちゃんの誕生に感動してい

る」「仕事への意欲がわいた」などの項目では、両者 に差がなかった。今回のハイリスク新生児を持つ父 親の感情は、先行研究の父親の感情と同様であった

と考えられる。父親は、出生直後、父親としての自 覚や責任感を持ち始め、父親としての役割を果たそ

うとしている。ハイリスク新生児の父親に対し、早 期接触が出来るように、面会時間の調整を行い、父 子関係確立が促進されるように継続していくことが 重要である。(図4)

図4 父子関係確立への援助

 また、父親として不安に思う項目は、経済面であ った。私たちは、父親が持つ不安を最も把握しやす い立場にあり、安心してわが子と面会できるように 情報を共有し、解決に向けて援助していくことが必 要である。そしてそれは、父親としての自信や親の 役割行動への積極性につながる。そこで、経済面に 対し早期介入で父親の経済的不安が軽減できないか と考えた。入院のしおりの中に医療費制度・ソーシ ャルワーカーの紹介を追加し、初回面会時には、児 に適応する医療費制度の情報や医療費に関して相談 窓口があることを紹介した。また看護師が、その児 に適応する医療費制度を把握できない場合は、ソー シャルワーカーに相談していった。(図5)医療費制 度の説明をすると、「初めて知った」「今まで聞いた ことがなかった」という返答があり、知識を持って いないと考えられる。その結果、ソーシャルワーカ ーの相談件数は、説明前一年間3件から、説明後一 年間10件と増加した。(図6)これは、初回面会時に 父親が、医療費制度の情報を得ることで、早期にソ ーシャルワーカーへ相談する対処行動をとることが できたと考えられる.r父親は、親となったとき、経 済的な責任を強く感じると言われている。職業人と

一20一

(3)

ハイリスク新生児を持つ父親の思いについて        〜アンケート調査を通して〜

図5 経済面への介入

しての役割の充実感は、親としての自信や親役割行 動への積極性につながっている。1)」と述べられてい るように、早期に介入することが重要である。

         結  論

1.ハイリスク新生児を持つ父親は、「赤ちゃんが生 まれて嬉しかった」「父親になって嬉しく思う」な  ど肯定的な感情を持っていた。

2.経済的なことを心配している父親は、37%と多

 い。

3.早期に医療費制度の情報を提供することは、父 親の対処行動に有効である。

叢1

 §

説明前1年間 説明後1年間

図6 ソーシャルワーカーへの相談件数

         引用文献

1)中浦由紀子:父親の家庭参加を支援する,ペリ

 ネイタルケア,vo 1.21(9), p18〜21,2002

         参考文献

!)マーチン・グリーンバーグ,竹内徹訳:父親の   誕生。メディカ出版,1994

2)田中佐由里、松本まりこ、下瀬茂美、ほか:初   回面会時における低出生体重児の父親の没入感   情に関する検討。第28回日本看護学会集録(母

  性看護):21−23,1997

一21一

参照

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