当院における破損破棄医薬品の実態調査と改善への取り組み
新木 誠,横山 敏紀,相馬 貴史,渡辺 博文
北海道社会保険病院 薬剤部
Key Words:
要 旨
医薬品の破損破棄伝票を分析し現状を調査するとともに、そこから抽出された課題へ対応策を試みた。
また、破損破棄伝票の運用を効率化するため伝票の書式見直しを行った。取り扱い方法が問題と思われ る破損破棄事例については、院内へ情報のフィードバックを行い情報の共有化を図った。さらに、注射 処方せんの分析を行い、薬剤を規格単位以外で使用する場合を調査した結果をもとに、アミノフリード 500π9に対し1,000漉を、またネオファーゲン20漉に対し100漉を規格追加し前後での削減金額を比較検討
したところ、アミノフリード500漉に対し1000漉を規格追加することにより2ヶ月で154,980円(薬価)、
またネオファーゲン20漉に対し100漉を追加では5ヶ月で187,000円(薬価)の削減となった。
はじめに
出来高制からDPCへとシフトしつつある現在の 診療報酬体系において、医療機関は高度で良質な医 療を提供するとともに、適切なコスト管理も必要と
されている。特に医薬品費は医療費全体に占める割 合が高いことから、適切に効率よく管理していくこ
とが病院運営へ大きく影響すると考えられる。今回 我々は、薬剤師の立場から当院における医薬品破損 破棄の現状を調査し、その減少へ向け問題点に対し ては適正使用を促すため、冊子等を作成しフィード バックを行った。また、採用規格の見直しなどに介 入することで、医薬品費の抑制に効果が得られるか
検討を試みた。
バックを行い情報の共有化を図った。さらに、注射 処方せんの分析を行い、薬剤を規格単位以外で使用 する場合を調査した。ここから得られた結果をもと
に、採用規格の変更および追加の検討を試みた。
結果・考察
外来および全病棟を対象とし、2006年2月から5 月までの期間に報告された破損破棄伝票の理由につ いて内容別に集計した所、最も多かった理由として 調剤時の汚損26件、ついで落下破損20件、ほか調整 後の指示変更・異なる薬品や量の準備を行っていた 等の原因がみられた。また、状況が不明なまま補充
をなされている例が9例みられた(図1)。
方 法
医薬品の破損破棄伝票を分析し現状を調査すると ともに、そこから抽出された課題へ対応策を試みた。
また、破損破棄伝票の運用を効率化するため伝票の 書式見直しを行った。取り扱い方法が問題と思われ
る破損破棄事例については、院内へ情報のフィード
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北海道社会保険病院
第6巻…2007
調整時の汚損 落下破損 調整後の指示変更 異なる薬品・量の準備 調製後時間超過 配合変化 紛失 破損発見 不明
0 5 10 15 20 25 30
(件)
図1 破損破棄伝票の理由
一 1
以前より当院で使用している破損破棄伝票では、
理由の欄がフリーコメントのみとなっており(図2)、
これにより原因の分類に手間取る結果となった。そ こで主だった理由を選択肢として提示し、必要であ れば詳しい内容を記入する形式に改め、今後の原因 分析に役立てるよう改良した(図3)。
医薬品廃棄・返却伝票
@ 年 月 日
B 名・ 頁者・
内容 廃棄□ 返却□
品名/規格 数量 交換薬品
1 必要・不要
2 必要・不要
3 必要・不要
4 必要・口裏
5 必要・不要
(報告事項)
責任者 薬剤部 備考
伝票の流れ:依頼者一り責任者r(カード回収BOX>一辱(SPDセンター1→藁剤都
図2 旧伝票
廃棄理由の中で複数報告が挙がっているものにつ いては対策方法を提示することとした。生理食塩液 のキット製品であるTNでの調整操作が不適切なた めに起きたと推測される液漏れや薬品漏れ破損事例、
調整時にゴム栓へ連結針の刺し方が不適切なため起 きたと推測される液漏れ事例が報告されていた。ま た、返品された薬品のうち、酸素遮断用の外袋が開 封されているため再利用が出来なくなっているもの も多くみられた。これらの事例に対しては、適切な 取り扱い方法を周知することで防ぐことが出来ると 考え、当院の薬剤部が発行している院内向け薬局ニ ュースにおいてこれらの事例を報告し、適切な取り 扱い方法を院内に周知することとした(図4〜6)。
D鷲◎㈱◎,回線
医薬品廃棄・返却伝票 年 月 日
拍趨シ・ 者・
内 廃棄ロ 返却ロ
品名/規格 数量 交換薬品
1 必要・不要
2 必要・不要
3 必要 ・不要
4 必要・不要
5 必要・不要
廃棄理 1;調製時の汚損
@ 2=落下破損
@ 3=調整後の指示変更
@ 4=異なる薬品・畳の準備
@ 5=調整後時間超過
@ 6・の他(,に記入下さい・ ) 任者 剤。 備考
伝票の滴れ :依頼者一責任者一・(カード回収BOX)→(SPDセンター)一薬剤都
図3 新伝票
図4 薬局ニュース
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図5 周知例(その1)
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図6
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周知例(その2)
後発品や他社製品に関してはその同等性・安全性 などの検討に時間を要し、また注射剤については既 に一部製品において後発品の導入を行っていた。規
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当院における破損破棄医薬品の実態調査と改善への取り組み
格の再検討に関しては、抗癌剤に対しては既に実施 しており、薬品費削減に効果をあげていた。そこで 既採用薬品に関して規格の再検討を行う事とした。
対象の選定にあたっては、規格追加によりバッグ交 換頻度の減少・半量抜き取り等の手間を省く等病棟 看護師の業務量軽減が期待できるもの、過去の実績 からある程度の回転が見込め期限切れを起こさない もの、規格間の薬価差が大きく採用規格を増加する 事で確実なコスト削減が期待できるものを対象とし
た。
その結果アミノフリード500漉に対し1000漉(薬 価差369円)、またネオファーゲン20漉に対し100漉
(薬価差170円)を規格追加することとし、その前後 での削減金額を比較検討したところ、アミノフリー ド500漉に対し1000漉を規格追加することにより2
ヶ月で154,980円(薬価)、またネオファーゲン20漉に
対し100漉を追加では5ヶ月で187,000円(薬価)の削
減となった。
まとめ
今後の課題として、一つの薬剤について複数規格 が存在する事により取り違えが起こる可能性、規格 の追加にあたっては医事課や看護局などと連携し、
より効率的な選定が必要であると考えられた。医薬 品破損破棄の減少や注射剤の採用規格の見直しなど、
薬剤師の立場から医薬品の適正な配置使用に向け積 極的に介入することにより、限られた医療財源から 効率のよい医療を提供することが可能になると思わ
れる。
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