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当院における残置薬の実態調査

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(1)

当院における残置薬の実態調査

福家秀敏,小野木薫*,落合

         伊 藤 立 志

        はじめに

 病院薬局における残置薬発生にはノンコンプラ

・イアンス防止対策の一貫として苦慮していること

である。著者らは残置薬発生に影響を及ぼす因子

を中心に実態調査を行なったので報告する。な

お,1984年3月より慢性疾患の薬剤長期投与が

開始され,さらに10月より健康保険改正による

医療費一割自己負担が導入された。これらが残置

薬に影響を及ぼす因子となるかどうかについても

調査した。

調査方法

 渋谷ら1)は,残置薬とは「病院・診療所の外来調

剤室で調剤されたものの患者もしくは,その家族

によって受け取られないまま残った薬剤」と定義

し,佐藤ら2)によって残置される状態は次の3種

に分けられた。

 ①調剤が終了し「薬渡し口」で患者の名前を

   呼んでも取りに来ないで残置した薬剤

 ②患者を呼んでも取りに来ないでその日の業

   務終了後も残置している薬剤(当日残置薬)

 ③調剤した日に受け取られず,一定期間もし

   くは最終的に患者が受け取りに来ない薬剤

   (最終残置薬)

 著者らは調査の際,当日残置薬を翌日業務開始

前に受け取られなかった薬剤とし,最終残置薬を

医師の処方日数を過ぎた薬剤とした。

 調査期間は1982年6月から1984年12月まで

の30ケ月間および1985年1月27日から2月16

日までの3週間のデータを検討対象とした。また

当院における待時間と残置薬の関係を調査するた

め,1984年11月19日から12月1日までの2週間

および1985年1月27日から2月16日までの3週

間について,外来ピークがほぼ終了する午後1時

までの時間帯で待時間を調査した。待時間は処方

せん受付時刻から調剤監査終了時間までとした。

’東北会病院薬局

結果および考察

 1982年6月から1984年12月までの調剤期間

における全処方せん数に対する当日残置薬数およ

び最終残置薬数を表1に示した。全処方せん

(471,216枚)に対する当日残置薬(11,134件)の

割合は2.36%で,渋谷ら1)の2.8%,山岡ら3)の

3.24%に比較すると低い値を示した。最終残置薬

は30ケ月間で349件,全処方せんの0.074%で

あり,当日残置となった薬剤を患者あてに電話ま

たは葉書によって連絡する等の積極的な対策を

とった小林ら4)の施設におけるデータ(0.067%)

とほぼ一致し,渋谷ら1),山岡ら3)の報告(0.58

%,0.2%)より低い値を示した。これら低い値を

示す因果関係については当院で外来患者に対し午

後8時まで与薬業務を行なっているが,その影響

なども考えられる。

 30ケ月間の処方せん枚数,当日残置率,最終

残置率を図1に示した。当日残置率は1984年か

ら2%前後で横軸に対して平行状態であり,最終

残置率は約0.05∼0.10%の幅で存在した。

 1984年3月より慢性疾患に対する長期投与が

開始され,さらに10月より医療法改正により医

療費の一部負担が実施された。これに伴い,当院

の処方せん枚数,当日残置率,最終残置率の変化

の有無をみると,処方せん枚数は3月,10月の

それぞれ前後の月が減少を示すが,当日残置率お

よび最終残置率にはほとんど変化が認められず,

長期投与および医療法改正による医療費一割負担

(2)

Table 1. Sheet Number of Prescriptions and Unreceived Drugs and Final Unreceived Drugs of Each Month

Year

Month

Sheet Number of  Prescriptions Unreceived  Drugs Ainal Unreceived     Drugs

1982 1983 1984

6789012123456789012123456789012

    111       

111       

111

779257286855240055649785447085228973199899352748973831052955792772504901562566515313260893244

55454563464455555564454565545451111111111111111111111111111111

315703746827682411990708367442012548212537867638879818830324103323346434333433333223223333334

 1 1111  1 111 1 11 

8176408799165159096148327544730

111 11111

Tota1 471216 11134 349 Fig.1. sheet no.     17000 も8o ロ 且口。⑲o﹂エ o

Z

]Φ Φ £ oり 0 2 0 1   。乃8=臼﹂8Φ占日 。。 eぬ づ占ロΦ﹀苗8ヒO  ち.oZ盲o 罵匡    ︶0  5  0

0%1 0

   ︵0  ∩︶              。う = o言C8㊤占 εωbo己自廿ω≧Φ8旨O 完ロ蛋ぎ.oZ盲〇一補鑑 16000 15000 14000    0 (%)  4.0  3.0

      6789101112123456789101112123456789101112

      1982       1983      1984 Relationships between Sheet Number of Prescriptions and Ratio of Number of Final Unreceived Drugs and Number of Unreceived Drugs to Sheet Number of Prescriptions.

(3)

0 1 2 3 4(%) ‘       l       I       I 勿1       1 ヨ       1 %4       1 否       1 引        1 乙4      1 勿      1 Int. Ined. Surg. OrthOP. Ophthalm. Pediat. Oto. Gyne、 Derma、 Radiol. Dent. Urol. Anesth. Psychlat. Neurosurg. 笏       1 | 刀   1 ち4      1 4       1 刀         1 Fig.2. Ratio of Number of Unreceived Drugs and Number of Final Unreceived drugs to Sheet    Number of Prescriptions on Each Department(January∼December,1984),

の実施による影響は少ないように思われる。

 表2,図2より,1984年1月から12月までの

1年間の診療科別の処方せん枚数,当日残置率,

最終残置率について検討した。発行処方せん枚数

は内科が最も多く,処方せん枚数全体の3割を占

め,次に小児科,眼科が多かった。当日残置率の

高い診療科は整形外科(3.6%),放射線科(3.2%)

および耳鼻咽喉科(2.9%)であり,当日残置薬数

の多い診療科は内科(1,332件),整形外科(384

件),眼科(371件)および耳鼻咽喉科(342件)で

あった。最終残置率の高い診療科は整形外科(0.18

%),産婦人科(0.16%),耳鼻咽喉科(0.11%)お

よび内科(O.08%)であった。表2と図2を比較す

ると,処方せん枚数の多い診療科ほど当日残置薬

数が多いが,処方せん枚数と残置率とは必ずしも

パラレルではないことがわかる。

 図3は,平均残置薬数と平均待時間および平均

処方せん枚数を曜日別に示した。待時間は,月曜

日が最も長くそのピーク時は42分であり,土曜

日は最も短かくピーク時は21分であった。処方

せん枚数は月曜日,金曜日が多く,当日残置薬数

は土曜日が少なく,金曜日が最も多かった。これ

ら得られたデータから,処方せん枚数の動向と待

時間の増減はやや似た傾向を示した。

m

40 20 Φ套↑b氾ξ言≧5。芝 sheet no. §8°° 量,。。

§… 三 皇2。。

sheet no. 甘冨30 ξ…2°

躍10

騨゜

Σ6  Fig.3, Mon. Tus. Wen. Thu. Fri. Sat.

      Weekdays

Relationships between Number of

Unreceived Drugs and Sheet Number of Prescriptions and Mean Waiting Time on Weekdays(19, N ovember∼1, December, 1984&27,January∼16, February,1985).

残置薬発生には多くの因子が影響しあっている

(4)

Table 2. Sheet Number of Prescriptions and Number of Unreceived Drugs and m. 1 2 3 4 Int. med. Sheet no. Prescriptions Unreceived Drugs Final Unreceived Drugs 4631 100   0 4750 119   3 5133 110   3 4489  91   2 Surg. Sheet no. Prescriptions Unreceived Drugs Final Unreceived Drugs

−OOO

31

9 944 23  0 1031  16   0 1007  19   1 OrthOP. Sheet no. Prescriptions Unreceived Drugs Final Unreceived Drugs 836 32  3 833 19  0 855 30  1 881 32  4 Ophthalm. Sheet no. Prescriptions Unreceived Drugs Final Unreceived Drugs 1264  31   1 1323  26   0 1599  28   2 1487  23   2 Pediat. Sheet no. Prescriptions Unreceived Drugs Final Unreceived Drugs 2318  11   2 1824  24   1 1887  23   0 1787  30   2 Oto. Sheet llo. Prescriptions Unreceived Drugs Final Unreceived Drugs 863 36  2 898 25  0 988 28  1 1011  30   0 Gyne、 Sheet no. Prescriptions Unreceived Drugs Final Unreceived Drugs 330  9  0 332  2  0 354  9  1 319  8  1 Derma. Sheet no. Prescriptions Unreceived Drugs 27 Final Unreceived Drugs 1205  27   1 1190  17   0 1306  39   0 1220  22   1 Radiol. Sheet no. Prescriptions Unreceived Drugs Final Unreceived Drugs 0乙

10

2 1

9∩UO

2

010

29﹂0∩U Dent. Sheet no. Prescriptions Unreceived Drugs Final Unreceived Drugs 172  0  0 152  0  0 139  0  0 135  0  0 Urol’ Sheet no. Prescriptions Unreceived Drugs Final Unreceived Drugs 597 12  0 646  9  0 648  9  0 603 14  0 Anesth. Sheet no. Prescriptions Unreceived Drugs Final Unreceived Drugs

400

2 2

600

3

000

3

0フ00

Psychiat. Sheet no. Prescriptions Unreceived Drugs Final Unreceived Drugs 417 11  0 482 10  0 502 15  0 435  7  0 Neurosurg. Sheet no. Prescriptions Unreceived Drugs Final Unreceived Drugs 724 11  2

OC︶0

7 7 845  9  0 782  4  0 Total Sheet no. Prescriptions Unreceived Drugs Final Unreceived Drugs 14334  299   11 14189  289   4 15337  317   8 14218  280   13

ことが考えられるが,薬局における因子には処方

せん枚数,待時間等種々の要因が関与していると

思われる。これを防止するより効果的な対策とし

てぱ薬局業務だけの問題として取り上げるのでは

不十分で,病院全体での視野でとらえていくこと

が必要である。また残置薬をなくし,ノンコンプ

ライアンスを防ぐための根本的な改善対策として

は,処方された薬剤が薬物療法において患者自身

にとっていかに必要なものであるかを理解させる

よう指導することであると考える。

(5)

Final Unreceived Drugs on Each Department(January∼December,1984.) 5 6 7 8 9 10 11 12 Total 4843   95    4 4862 106    3 4689 113    4 4674 102    7 4451 119    3 4602 118   10 4440 108    2 4596 151    5 56160 1332    46 1086   22    1 1008   20    0 1033   24    0 1031   23    0 998 24   0 1034   21    0 986 29   2 1111   30    0 12200   269     4 946 46   0 300リム 0︼4 9 915 26   1 992 40   1 880 31   1 858 26   2 827 28   3 840 31   1 10656   384    19 1638   32    1 1688   21    2 1656   31    0 1731   35    2 1517   37    1 1614   46    0 1479   30    0 だ U−∩U Ω03 5 1 18582   371    11 2119   18    0 2458   28    1 2440   23    0 2268   19    1 1985   18    3 2304   28    1 2164   23    0 2379   33    1 25933   278    12 1074   24    3 1074   27    2 1010   26    0 1013   34    2 CUワ’O O O 1 8 1047   30    1 り O QOO乙 ワ‘∩乙 9 1162   37    0 ll999   342    13 353   8   1 360 11   0 453   5   0 413 13   0 384   5   1 348   6   0 364   6   1 420 16   2 4430   98    7 1285   18    2 1320   42    3 1434   29    0 1567   34    1 1065   34    1 1183   22    0 1072   22    2 1134   35    0 14981   341    11 り乙10 2 2

110

り 0

10

2 2り

000

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3

700

283   9   0 146   0   0 143   0   0 127   0   0 142   0   0 154   2   1 り O

10

9 150   1   0 CUう●0 3 1 1689    6    1 699 10   0 742 17   2 639   8   0 750 14   0 638 12   0 683 18   2 604 10   1 656   9   1 7905 142    6

700

4 4

500

3

700

3

400

3

CUOO

5リム00 4

400

β 0

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4 460   0   0 512   8   0 8001⊥

71

4 492   7   0 467 11   0 499 11   1 523 10   0 519 12   0 508 13   0

489ム

?﹂∩乙

81

5 835   6   0 862   4   1 876 13   0 892 12   0 824 12   2 896 16   1 834 15   0 881 12   0 10021   120     6 [ O O O 2

081

ρ0∩乙 5 1 16054   333    17 15824   306     5 15997   337    14 14350   324    14 15258   344    17 14475   312    13 15492   400    10 181133   3820    138 1) 2)       文   献 渋谷文則:残置薬の実情とその影響,薬業時報 (臨時増刊),5900,10,1978. 佐藤 勲:残置薬の実態,医薬ジャーナル,15, 1766, 1979. ︶ 3 4) 山岡桂子,渡利築紫,佐々木真理子他:病院薬 剤部における残置薬数と諸要因間の関係,薬剤 学,38,109,1978. 小林晃子,中山和文,向 孝次:残置薬に対す る措置,医学ジャーナル,16,949,1980.       (昭和61年10月21日 受理)

参照

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