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平成 29 年 9 月 7 日

中国石油企業の海外ダウンストリームビジネスプロジェクト

今年 3 月、中国の民間化学繊維企業 である浙江恒逸集団公司はブルネイ経 済開発庁などとブルネイのムアラ・ベ サール島(PMB)で計画している石油精 製・石油化学プロジェクトについて投 資契約に調印、2019 年からの商業生産 に向けて34億5,500万ドルの投資を正 式決定した。 また、中国山東省の独立系石油精製 企業(地煉)である山東恒源石油化工 股份有限公司は今年 6 月、2016 年に Shell の子会社である Shell Overseas Holdings(SOHL)から 51%の株式を買

収したマレーシアの Port Dickson 製油所について、石油製品の品質向上などに向けた近代 化プロジェクトを実施することを正式決定した。

また、中国石油化工集団公司(Sinopec)は今年 3 月、Chevron Global Energy との間で 南アフリカ Cape Town で製油所を操業する Chevron South Africa の株式 75%の買収契約に 調印した。 さらに今年 7 月、スリランカ政府は同国南部の Hambantota 港の運営権を中国企業に譲渡 する契約を結んだが、中国の独立系石油精製企業である山東東明石化集団有限公司は、 Hambantota 港での製油所建設を検討していることが明らかになっている。 これら、最近の中国企業による海外石油精製事業関連のトピックを抽出したが、かつて の国有石油企業(三桶油)を中心とした産油国における石油資源確保とリンクした石油精 製事業と異なり、資源開発とは独立した動きとして、国有企業に加えて民営企業が活発な 海外事業を展開し始めており、さらに「一帯一路」戦略と連動したプロジェクトが増加し ていることがみてとれる。 もちろん、サウジアラビアなど産油国と中国国有企業との大型精製プロジェクトも進行 している。中国の海外石油精製プロジェクトの現状と計画について概観する。 1.中国の対外投資と一帯一路戦略 中国経済の減速が続くなか、2016年の中国の対外直接投資は、対前年比29.6%増の1,888 2017 年度

第 3 回

1. 中国の対外投資と一帯一路戦略 2. 国有大手石油3社 2-1. PetroChina 2-2. Sinopec 2-3. CNOOC 3. 国有大手石油 3 社以外 3-1. 浙江恒逸集団 3-2. 山東恒源石油化工公司 3-3. 山東東明石化集団 3-4. 広東振戎能源公司 3-5. 中国化工集団公司

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億ドルに達し、過去最高を更新した。中国商務省などによれば、これは一帯一路関係国へ の投資が拡大した結果だとされるが、中国経済に不透明感が強いため、人民元の先安観か ら外貨資産を狙った動きが加わったためと見る向きもある。 2017 年の対外直接投資は、当局の規制強化で大幅に減少しているが、一帯一路関係国へ の投資は大幅に増加、8 月半ばまでに「一帯一路」関係国 68 カ国で 330 億ドルの買収取引 があり、すでに 2016 年通年の 310 億ドルを突破してしまったという。また、ここ数年の傾 向として、先進国への投資拡大、民営企業の比率拡大が明確になっている。 図 1.中国の対外直接投資 図 2.一帯一路と石油ガスパイプライン

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2.国有大手石油 3 社 2-1.PetroChina

PetroChina は 2009 年 5 月、シンガポール法人の PetroChina International (Singapore) を通じてシンガポールの政府系企業である Keppel Oil and Gas Services が保有する Singapore Petroleum Company Ltd.(SPC)の株式買収に合意した。これにより PetroChina は、SPC が Singapore Refining Company Ltd(SRC)の株式 50%を持っていることから、 シンガポールの石油精製事業に参入を果たすことになった。

PetroChina は、3 大国有石油企業にあって原油・天然ガス生産量トップを誇り、海外油 ガス田権益確保に向け積極的な投資を進めてきた。ライバルの Sinopec と比較し、もとも と上流部門の強い PetroChina にとって、総合力強化に必須となるのが精製および石化事業 の強化とされる。SPC 株買収は、こうした PetroChina の発展戦略にとって極めて大きな意 味をもつとみられる。当時、同社は Hin Leong Treading が Jurong 島西部に建設したアジ ア最大級の石油ターミナルに参画し、目標の 1 つとしてアジア最大の燃料トレーダーとな ることをあげていた。同社の対シンガポール戦略で、最大の課題は石油精製事業となって いたとみられ、2008 年 3 月にはシンガポールで世界規模の大型製油所建設を計画している と伝えられたことがある。この話題は、同社トップが全面否定したことで収束したが、同 社がシンガポールでの精製事業に大きな関心を持っていることは間違いないとみられてい た。 SRC の原油処理能力は 29 万 5,000bpd で、ExxonMobil や Shell の大型製油所に比べ見劣 りするのは事実。また、ExxonMobil や Shell に比べ下流に石油化学部門を有していない。 SRC は 2014 年 2 月、排ガス規制の強化に対応するとともにエネルギー効率改善に向け、 日揮に 2 万 6,000bpd のガソリン脱硫およびアミン処理、3 万 2,300bpd の重質ナフサ・ス プリッター、36MW のコジェネ 2 基などを発注した。 続いて 2016 年 9 月には、Jacobs Engineering にナフサ・スプリッター、ナフサ水素化 精製装置、接触改質装置などの概念設計(プレ FEED)と基本設計(FEED)業務を、10 月に は Amec Foster Wheeler(AFW)に常減圧蒸留装置の加熱炉の FEED を発注した。

2-2.Sinopec

1)南アフリカ Cape Town 製油所

Sinopec は今年3 月、Chevron Global Energy との間で南アフリカのChevron South Africa の株式75%およびボツワナの Chevron Botswana の株式 100%を9 億ドルで買収する契約に調 印した。Chevron は、南アの Cape Town に 10 万 bpd の製油所、 Durban に潤滑油製造工場 を、南アとボツワナに 820 カ所のサービスステーション、220 カ所のコンビニエンススト アを展開している。Sinopec にとって、アフリカにおける最初のメジャーな製油所となる もので、資産買収が完了次第、5 年から 6 年の間にステーションのロゴマークや石油製品、 潤滑油などのブランド名を「Caltex」から「Sinopec」に変更し、南アでの石油精製・販売

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事業を強化する。

南アでのガソリン、軽油など石油製品の需要は、中産階級の増加に伴い過去 5 年間で年 率平均 5%近く上昇し、現在では約 2,700 万トンとなっている。南ア政府は、Sinopec に対 し、Cape Town 製油所の処理能力増強を要望している。

2)サウジアラビア Yanbu Aramco Sinopec Refining

2016 年 1 月、Sinopec と Saudi Aramco の合弁事業である Yanbu Aramco Sinopec Refining (YASREF)の正式操業か開始され、記念式典にはサウジを公式訪問した習近平主席も出席 した。また、Sinopec と Aramco は YASREF の操業開始とともに、Sinopec に Aramco が供給 する原油の競争力を高めるための戦略的協力協定に調印した。協力協定により、両社は、 石油・ガス、精製、化学、原油供給、販売などの主要分野での協力の機会を探り、石油、 石油化学、新エネルギー技術の開発と促進を進める。

YASREF は、2012 年 1 月に Sinopec が 37.5%、Aramco が 62.5%の出資比率で設立、ペルシ ャ湾の Manifa 油田で生産した Arabian Heavy 原油の処理を目的としており、Yanbu では第 2 製油所となる。520 万 m2 の用地に原油処理能力 40 万 bpd のトッパーや二次処理設備を建 設し、日量 9 万 bbl のガソリン、同 26 万 3,000bbl の超低硫黄軽油、同 3,000bbl のベンゼ ン、同 6,200 トンの石油コークス、同 1,200 トンの硫黄ペレットなどを生産、将来的には パラキシレンやトルエンの生産も行う。

主要設備は、常減圧設備のほか、Chevron Lummus Global 技術の 12 万 4,000bpd 水素化 分解設備、ConocoPhillips(Phillips 66)技術の 11 万 7,000bpd ディレードコーカー、UOP 技術の 8 万 5,000bpd ナフサ水素化精製設備、8 万 4,000bpd 連続触媒再生式接触改質設備 (CCRU)、17 万 7,000bpd の軽油水素化精製設備、2 万 bpd の異性化設備、2 万 bpd のベン ゼン抽出設備、Air Liquide 技術の 2 億 6,200 万 cf/d の水素製造設備、3,400t/d のイオウ 回収設備。建設にあたっては、KBR が基本設計(FEED)を実施、韓国 SK Engineering & Construction (SKEC)がトッパー、大林産業や Tecnicas Reunidas が二次処理設備、Air Liquide が水素設備、インド Punj Lloyd がオフサイトパイプライン、エジプト Engineering for the Petroleum and Process Industries(ENPPI)がタンクヤード、サウジ Rajeh H.Al-Marri がオンサイトパイプライン、SaudiServices が高圧電気系統、Petro-Chem Zamil がコーカーファーネス、Techint がコークス貯蔵・出荷設備を担当した。

原油を供給する Manifa 油田は 1957 年に発見された埋蔵量 200 億 bbl という巨大油田だ が、重質油であるため販路が限定され、長期にわたって開発中止となっていた。2000 年代 中期に Aramco が開発を決定し、2006 年 11 月に FEED とマネジメント業務を Foster Wheeler に発注した。ただ、開発は大きく遅れ、掘削作業を開始したのは 2010 年 3 月。最終生産目 標は日量 90 万 bbl で、3 期に分けて各 30 万 bbl の開発を進める。生産した重質油は、そ れぞれ日量 40 万 bbl を Yanbu 製油所と Jubail 製油所に送る。開発コストは 100 億ドル規 模で、今後のサウジの原油生産を大きく左右する巨大プロジェクト。Sinopec 中原油田が 油井建設を受注している。 3)シンガポール潤滑油事業

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Lubricant (Singapore)を通じて潤滑油 8 万トン/年およびグリース 2 万トン/年の合計 10 万トン/年の調合設備を操業している。シンガポールでは、Total や Shell も潤滑油調合事 業を展開しており、3 社が Tuas 地区潤滑油産業団地に共有インフラ基地として Singapore Lube Park(SLP)を建設、2016 年 5 月より操業を開始した。Shell によれば、こうした共 同事業のコンセプトは潤滑油産業では初めてのケースだという。

SLP は、Shell 傘下の Shell Eastern Petroleum と Sinopec 傘下の Sinopec Lubricant (Singapore)、Total 傘下の Total Oil Asia Pacific が 2013 年 7 月の合意に基づいて設立 された。当時、Sinopec は 10 万トン/年の調合設備の竣工式を行ったばかり。Shell は、 Woodlandsに調合設備を保有していたがTuas地区への移転を決めた。また、Totalは、Jurong Pandan と Pioneer の既存潤滑油調合設備を廃止して、Tuas 地区に 31 万トン/年という世界 最大規模の調合設備を新設した。

SLP の設備は、輸出入埠頭、パイプライン、貯蔵容量 15 万 9,000m3 のタンクなどからな り、建設資金の一部はシンガポール経済開発庁(EDB)および Jurong Town Corp(JTC)の 援助により賄われた。 なお、Sinopec は、「一帯一路」戦略のなかで潤滑油事業の海外展開を強化すると表明し ている。Sinopec ブランドの潤滑油は今やアジア最大の潤滑油ブランドに成長しており、 全世界 50 カ国以上に供給されているという。このうえで、現地ニーズに適合した Sinopec ブランドの潤滑油の生産・供給・サービスの提供を進め、海外の中国企業とパートナーに 高品質の製品を提供するとしている。 2-3.CNOOC

CNOOC が 50%の株式を保有するアルゼンチンの Bridas Corporation(Bridas)は 2011 年 2 月、ExxonMobil がアルゼンチンで操業していた製油所やウルグアイおよびパラグアイの サービスステーションなどの全資産を 8 億 5,000 万ドルで買収することに合意した。アル ゼンチンにおいて ExxonMobil は、Buenos Aires 近郊の Campana で製油所と潤滑油プラン ト、Campana、San Lorenzo および Galvan の 3 カ所で石油製品流通ターミナル、500 カ所以 上で Esso ブランドのステーション、さらに航空・舶用燃料の販売事業と Mobil 潤滑油の販 売事業を展開していた。 Campana 製油所は、10 カ所あるアルゼンチン製油所のなかで 4 番目の規模があり、その 歴史は 1911 年の Standard Oil による石油製品事業開始まで遡ることができる。現在の原 油処理能力は 8 万 7,000bpd で、二次処理能力は流動接触分解が 2 万 6,0000bpd、接触改質 が 1 万 1,000bpd、水素化精製が 3 万 2,000bpd、ディレードコーカーが 1,000bpd など。 また、ExxonMobil は同国石油製品小売市場において、Repsol YPF、Shell に次いで約 14% の販売シェアを確保しており、Bridas はその市場を引き継いだ。現在、精製事業は、Bridas 全額出資の AXION Refinery として推進している。

CNOOC は 2010 年 3 月、Bridas Energy Holdings Ltd(BEH)が保有している Bridas の株 式の 50%を約 31 億ドルで買収することに合意、同年 5 月までに出資を完了して折半出資 の合弁会社とした。Bridas が株式の 40%を保有(60%は BP が保有)する Pan American Energy

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LLC(PAE)は、アルゼンチン、ボリビア、チリに油ガス資産をもっており、Bridas は南米 南部共同市場(Mercosur)進出への上陸拠点と位置づけられている。

CNOOC は、Bridas への参加に続く Esso の精製・販売事業買収で、アルゼンチンを含む南 米南部共同市場(Mercosur)へ、上流から下流までの一貫プレーヤーとして本格参入する ことになった。ただ、CNOOC は、Bridas を通じて BP から PAE の株式 60%を 70 億 6,000 万 ドルで買収することに合意していたが、これは独禁法上の認可の取得に失敗している。 表 1.大手石油 3 社の海外ダウンストリームプロジェクト 3.国有大手石油 3 社以外 3-1.浙江恒逸集団 中国企業による海外石油精製事業の大きな転換点となったのが、浙江恒逸集団のブルネ イ PMB での製油所・芳香族・石油化学プロジェクトで、浙江恒逸集団が 70%と、ブルネイ Strategic Development Capital Fund(SDCF)傘下の Damai Holding Ltd.が 30%を出資す

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る合弁事業である。この計画は 2010 年頃から構想が練られ、2011 年 7 月のハサナル・ボ ルキア・ブルネイ国王による承認をもって準備作業がスタートした。 1994 年に設立された浙江恒逸集団は、高純度テレフタル酸(PTA)からポリエチレンテ レフタレート(PET)、ポリエステル繊維まで一貫生産する民間企業で、PTA の生産能力は 中国トップ、世界でも BP に次ぐ規模を誇る。当時、中国では PTA の需要が急増、相次い で大型プロジェクトが打ち出され、原料のパラキシレン(PX)確保が課題となっていた。 しかし、中国の PX 増産は、騰龍芳烴公司が福建省厦門市で計画していた計画が 2007 年 段階で住民の激しい反対運動によって延期-建設地変更を余儀なくされたのを皮切りに、遼 寧省大連市、浙江省寧波市、広東省茂名市などでも住民の反対運動が展開され、順調には 進まなかった。例えば中国石油天然ガス股份有限公司(PetroChina)が雲南省安寧市でミ ャンマーからの原油を処理するために計画した雲南製油所では、PX の生産を計画していな いことを住民に説明するなど、極めてセンシティブな製品として扱われた。ともあれ、中 国の PX 増産は、現在に至るも思うように進んではおらず、輸入依存を脱却するには、民営 企業の大型プロジェクトを待つ必要がある。 一方、人口の少ないブルネイにはこれまで本格的な製油所はなく、唯一、ブルネイ政府 と Shell が折半出資する Brunei Shell Petroleum(BSP)が Seria で操業する 1 万 bpd の 小規模な製油所があるのみ。しかし、ブルネイでも石油製品の需要が拡大、増産とハイグ レードの製品製造が求められるようになっていた。また、それまでにも何度か第 2 製油所 の建設が提案され、同国政府は、これに貯蔵タンク群や VLCC 用の港湾設備を加えた総合石 油ハブ構想を検討してきた。2008 年 1 月に首相府 Petroleum Unit が PetroBru との間で PMB における 20 万 bpd(最大 50 万 bpd)の製油所と貯蔵設備を建設するための FS を実施する 契約に調印し、この計画にマレーシアの TRC Synergy を迎えることにも合意した。Wood Mackenzie をコンサルタントに起用して、環境影響評価を含む全面的なスタディを実施し、 2009 年 8 月に輸入原油を処理するエクスポート・リファイナリー計画が提案された。しか し、2010 年に入って、この計画の消息は途絶え、浙江恒逸集団の計画が取って代わった。 同計画は、2011 年 7 月のスルタン承認後、同年 11 月の温家宝中国首相のブルネイ訪問 で、BSP および Brunei Shell Marketing(BSM)と浙江恒逸集団が、原油供給および生産し た石油製品の引き取りに関する覚書に調印した。2012 年 4 月には恒逸の取締役会が 42 億 9,200 万ドルの第 1 期投資を承認し、2013 年 2 月に中国政府が事業計画を認可、ブルネイ 開発省も 4 月に環境影響調査を承認した。2014 年 1 月にブルネイ経済開発庁と建設用地 260ha の賃借契約を結び、同年 2 月には事業主体となる合弁業設立協定に調印した。その 後、2014 年 10 月、浙江恒逸集団は、第 1 期計画の操業開始を当初予定の 2017 年から 1 年 遅らせて 2018 年にすると発表した(2017 年 6 月の発表では、2018 年 10 月に建設を終え、 2019 年に操業を開始する)。これは、インフラ整備や水路の浚渫などプロジェクトの進行 に拘わる複数の変更があったためと建設用地は海抜が低く洪水に見舞われやすいことが判 明したためとされる。また、ディレードコーカー(DCU)および一点係留ブイ(single buoy mooring)の建設のために再設計、ユニットの再構成も実施した。 現時点で判明している計画の概要は、処理能力 800 万トン/年の常減圧蒸留装置と 220 万トン/年の水素化分解設備、100 万トン/年のジェット燃料水素化精製設備、150 万トン/ 年の軽油水素化精製設備、150 万トン/年の連続触媒再生式接触改質設備から芳香族抽出・

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パラキシレン分離までの一貫設備、埠頭および発電所からなる。軽質ナフサを年間 150 万 トン、ガソリン 40 万トン、ジェット燃料 100 万トン、軽油 150 万トン、ベンゼン 50 万ト ン、パラキシレン 150 万トンを生産する。Honeywell UOP が、水素化分解設備、連続触媒 再生式接触改質設備、Parex 法パラキシレン分離・抽出設備、スルフォラン法芳香族抽出 設備、Tatoray 法トルエン不均化設備、Isomar 法メタキシレン異性化設備などにライセン スを供与するほか、触媒、吸着剤および専用機器を提供、基本設計(FEED)は Sinopec 傘 下の中国石化煉化工程公司(SEG)が担当している。また、Sinopec が開発した軽油液相水 素化精製技術による水素化精製設備が建設される。

原油は、出資パートナーの Damai Holding が Shell を通じて 30%を供給し、残りの 70% は恒逸がスポット市場から 30%、ターム契約で 40%を確保する。生産した石油製品は、ブ ルネイ国内のガソリンやジェット燃料需要を賄うために 20%を供給し、重質ナフサは PX プ ラント向け、残りのガソリンや軽油は東南アジアで販売するとしている。 3-2.山東恒源石油化工公司 山東恒源石油化工司の Port Dickson 製油所買収は、独立系精製企業によるメジャーの製 油所買収であり、ここ数年の中国独立系精製企業の躍進を物語る事例である。独立系精製 企業単独での初の海外精製事業であるとともに、「一帯一路」市場への進出としても評価さ れているという。 山東恒源石油化工公司は、1970 年創設の臨邑県石油化工廠を母体とし、1997 年に資本金 1 億 5,000 元で設立された。原油処理能力は 350 万トン/年で、二次処理設備として 80 万 トン/年の流動接触分解設備、40 万トン/年の残油流動接触分解設備、80 万トン/年の軽油 水素化精製設備、100 万トン/年のディレードコーカー、35 万トン/年のガス分離設備、1 万トン/年の MTBE 設備、12 万トン/年のポリプロピレン製造設備などを保有している。2016 年 7 月に 350 万トンの輸入原油使用権を取得した。

Port Dickson 製油所は、Shell のマレーシア子会社、Shell Refining Company(Federation of Malaysia)が 1963 年に開設した製油所で、原油処理能力は 15 万 6,000bpd。マレーシア では 2 番目に古い歴史をもち、Shell の出資比率は、当初 75%だったが、2004 年に 24%を 放出して 51%となっていた。Shell は 2015 年以降、原油価格下落と精製マージン低下を受 け、Port Dickson 製油所について売却あるいは貯蔵ターミナルへの転換を含めた可能性を 検討していた。2016 年になり、Shell は、山東恒源石油化工公司との間で株式売却に合意 した。

マレーシアには、かつて Petronas の Kertih 製油所と Melaka-1 製油所(PSR-1)、 Petronas/Phillips 66 の Melaka-2 製油所(PSR-2)、Shell の Lutong 製油所と Port Dickson 製油所、ExxonMobil の Port Dickson 製油所があったが、すでにマレーシア初の製油所で ある Shell の Lutong 製油所は操業を停止し、ExxonMobil の Port Dickson 製油所もフィリ ピン San Miguel に、Phillips 66 の Melaka-2 も Petronas に売却され、同国精製事業から メジャーが撤退することになった。

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Refining Co Bhd(HRC)と名称を変更した。買収に伴い恒源石化は、総投資額 1 億 6,000 万ドル規模の製油所近代化プロジェクトを策定、2017 年 6 月に最終決定し、8 月から作業 を開始した。第 1 段階では 1 億 3,500 万ドルを投下、2018 年第 4 新規までに EURO–4M 規格 に準拠する年間 115 万トンのガソリンの生産を可能にする。これに続いて、第 2 期には 2,500 万ドルを投下、残油接触分解装置の改良などを行う。恒源石化は、同製油所の製品 を最終的には EURO–6 規格にまで引き上げるとともに、石油化学設備の建設なども検討して いく方針。 3-3.山東東明石化集団 中国最大の独立系石油精製企業である山東東明石化集団は、スリランカ南部の Hambantota 港で製油所建設を検討している。2016 年 7 月の Malik Samarawickrema スリラ ンカ発展戦略・国際貿易相の訪中後に行なわれた取引の 1 つだとされている。

スリランカ政府は今年 7 月、Hambantota 港の株式の 70%を中国の招商局港口(China Merchants Port Holdings)に 11 億ドルで売却する契約を結んだ。同港は、インド洋のな かでも屈指の良港とされ、ラジャパクサ前政権時代に中国の協力で開発が始まった。現在 は拡張プロジェクトが進められている。 東明石化の製油所は構想段階とみられ、実現可能性は不明だが、スリランカは「一帯一 路」における最重要拠点の 1 つであり、建設が実現すれば、中国にとって大きな戦略的意 義をもつものになる。中国は、Hambantota 港で LNG 気化ガスを燃料とする 500MW の発電所 建設も計画している。 スリランカを巡っては、中国とインドが激しい鍔迫り合いを演じており、インドの Indian Oil(IOC)は、スリランカの Ceylon Petroleum と共同で、同国北東部の Trincomalee で 10 万 bpd の製油所建設を検討している。また、Ceylon Petroleum が運営する同国唯一 の製油所についても近代化・増強プロジェクトが計画され、中国とインドが参画を検討し ているといわれる。 山東東明石化集団は、1987 年設立の東明県石油化工廠を母体に 1997 年に集団化され、 2007 年から中国企業トップ 500 にランクインしている。2015 年 7 月に 750 万トンの輸入原 油使用権、同 8 月に 750 万トンの原油非国家貿易輸入資格、同 12 月には石油製品輸出資格 を取得している。2016 年 2 月末に同社が中心となり、原油共同輸入組織の「石油採購聯盟」 を設立した。原油処理能力は 750 万トン/年、250 万トン/年の流動接触分解設備、400 万ト ン/年の水素化分解設備、100 万トン/年の水素化精製設備、200 万トン/年のディレードコ ーカー、100 万トン/年のガス分離設備、3 万トン/年の MTBE 設備などを持つ。 3-4.広東振戎能源公司

広東振戎能源公司(Guangdong Zhenrong Energy)は、珠海振戎公司(Zhuhai Zhenrong Corp) の子会社で石油製品、LPG、石炭、石油化学原料、鉱産物などの輸出入を行っている。親会

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社の珠海振戎は、世界有数の軍需企業である北方工業公司(Norinco)傘下の石油トレーダ ーで、イラン原油の輸入などを手がけている。

1)ミャンマーDawei 製油所計画

広東振戎能源は 2010 年 10 月、ミャンマー国防省系企業であるミャンマー連邦経済特別 会社(UMEHL)との間で原油処理能力 500 万トン/年の合弁製油所建設に合意し、2011 年 4 月に覚書(MoU)に調印した。同プロジェクトには、ミャンマー民間企業の Htoo Group も 参加、アンダマン海に臨む Tanintharyi 管区の港湾都市、Dawei の経済特別区(Dawei SEZ) で 25 億ドルを投下して製油所を建設する計画。製品グレードは中国の国四(Euro IV 相当) 規格を満たし、製品はミャンマー国内市場に供給する。事業権益は広東振戎が 70%を保有 している。この計画は、中国政府の推し進める一帯一路戦略に沿った事業でもある。 ミャンマーには、Yangon 管区 Thanlyin の第 1 製油所(2 万 bpd)、Magway 管区 Chauk の 第 2 製油所(6,000bpd)、同管区 Thanbayakan の石油化学コンプレックス(2.5 万 bpd)の 3 製油所があるが、国内の原油生産が 1980 年代後半から大幅に減少したことや精製ユニッ トの老朽化、立地的な制約などから、稼働率は低い。このため、エネルギー省は、中国向 け原油パイプラインから一部原油の供給を受けて 5 万 bpd 規模の新製油所建設を検討、 Magway 管区 Minhla 郡に建設する構想を持っている。また、タイの Thai Oil Plc(TOP)も、 既存製油所の増強近代化とともに Thanlyin で 15 万 bpd の製油所建設を提案している。 2011 年の覚書調印時には 2015 年の完成を目指すとしていたが、環境問題の懸念から一 部で反対運動が起きた。このため、珠海振戎は 2013 年に 30 人ほどの住民代表を中国に招 待して洛陽の製油所と広東の石油ターミナルを視察、2014 年 5 月には 1,370 人の住民がエ ネルギー省に建設推進の請願書を提出したという。2012 年に UMEHL は製油所用地として Nyin Maw 村近郊のアブラヤシ農場とアブラヤシ工場を買収し、2013 年 8 月には UMEHL と Htoo が建設予定地の住民と環境問題に関する話し合いを持ち、必要な工業用水は近くの Tha Phar 滝にダムを建設して供給するため水不足が発生する懸念はないなどとの説明を行 った。 この結果、2014 年 11 月には中国国家発展・改革委員会(NDRC)が同計画を承認、翌 2015 年 1 月にはミャンマー政府に事業認可を申請するに至った。そして 2016 年 4 月、ミャンマ ー投資委員会(MIC)は同プロジェクトを承認した。 なお、この製油所建設計画とは別に、広東振戎能源は Yangon で 10 万 m3(63 万 bbl)の 石油製品貯蔵設備を建設、2012 年に完成した。 2)キュラソー製油所近代化

広東振戎能とキュラソー子会社の China Zhenrong Holding (CZR)は 2016 年 11 月、キュ ラソー政府との間で製油所近代化に関する協定に調印した。キュラソー政府と広東振戎能 は、同 9 月に老朽化した Isla 製油所の操業と約 100 億ドルの設備近代化事業に関して覚書 (MoU)の仮協定に調印しており、CZR をプロジェクト実施企業として設立した。また、同 10 月には BP との間で Isla 製油所への原油供給および生産した石油製品の全量を BP の販 売ネットワークを通じて南北アメリカ市場で販売することに合意している。

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Isla 製油所の原油処理能力は 33 万 5,000bpd で、ベネズエラの北西 48km に位置してお り、ベネズエラ国営石油会社の PDVSA が操業してきた。老朽化のため、キュラソー政府は 設備の近代化を計画、PDVSA に約 15 億ドルの投資を要請したが、PDVSA はこれに応じなか った。キュラソーとしては、環境問題が深刻化しており、第三者の支援を仰ぐことにした もの。広東振戎は、製油所近代化や貯蔵ターミナルおよびドックに投資するほか、ガスタ ーミナル建設、給水および電力設備の近代化も支援する。 なお、PDVSA にとって Isla は、VLCC の受入れも可能で、中国などアジア市場向け原油タ ーミナルとして重要な戦略的意味を持っている。PDVSA とのリース契約は 10 年ごとに更新 され、現在の契約は 2019 年末に満了となるが、2017 年末までに解除を通告しなければ自 動延長される。 3)ブラジル Ceará 州の製油所計画

広東振戎能源は 2016 年 11 月、ブラジルの Ceara 州政府と Ceara 州輸出加工区(EPZ)で の製油所建設に関する調査に向けて覚書(MoU)に調印した。製油所の原油処理能力は 30 万 bpd、投下資金は 40 億ドルで、中国政府とブラジル政府が調印した協定に基づき、中国 の金融機関が融資を行なう。また、調印式にはポリウレタン生産企業の青島新宇田化工公 司(Qingdao Xinyutian Chemical)も出席した。

3-5.中国化工集団公司

中国化工集団公司(ChemChina)とロシア国営石油会社の Rosneft は、2016 年 9 月に杭 州市で行なわれた G-20 サミットで「Far Eastern Petrochemical Company(FEPCO):遠東 石化(極東石化)」プロジェクトの推進と合弁会社設立に関する枠組協定に調印した。両社 は 2016 年 6 月に FEPCO プロジェクトの共同 FS を実施することに関して基本合意書(HoA) に調印しており、9 月の枠組協定では FS の推進および合弁会社設立について確認した。 FEPCO は、Rosneft が Nakhodka 近郊 Pervostroyiteley に石油化学コンプレックスを建設す るために設立した Vostochnaya Neftechemicheskaya(VNHK)を改称したもの。合弁会社に は Rosneft が 60%、ChemChina が 40%を出資する。また、基本設計(FEED)の日程および サイトプレパレーション開始や計画実施の概略的な行程表なども設定した。 計画は、3 期に分けて進められ、第 1 期で東シベリア太平洋石油パイフライン(ESPO) の原油を処理する 1,200 万トン/年の製油所、第 2 期で年間 340 万トンのナフサを原料にエ チレン 140 万トン/プロピレン 60 万トン規模の石油化学コンプレックス。3 期は、これを 倍増して 2,400 万トンの製油所と 680 万トンのナフサを投入する石化コンプレックスを建 設するという大型プロジェクト。 両社は、2016 年 12 月に高分子ポリマー塗料生産合弁設立について基本合意書に調印し た。沿海州にある Bolshoy Kamen 優先開発区に合弁会社を設立し、年産 5 万トンのポリマ ー塗料プラントや研究開発施設の建設に関して FS を行う。同プロジェクトの実施により、 ロシアにおける北極海航行船舶用の塗料を生産する最大の施設が設立されることになる。 このほか、両社は、ChemChina 傘下の中国化工油気股份有限公司(CCPC)に対して ESPO

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原油およびサハリンの Sokol 原油を供給する覚書に調印している。ChemChina は、合計で 2,500 万トン/年の原油処理能力があり、2013 年に原油輸入割当として 1,000 万トンの認可 を得て精製事業強化に向けた体制を整えている。さらに、Rosneft は CCPC の株式 30%を引 受けることにも合意している。 表 2.大手石油 3 社以外の海外ダウンストリームプロジェクト <参考資料> 中国の石油産業と石油化学工業 各年版(東西貿易通信社) East & West Report 各号(東西貿易通信社)

以上 本資料は、一般財団法人 石油エネルギー技術センターの情報探査で得られた情報を、整理、分析 したものです。無断転載、複製を禁止します。本資料に関するお問い合わせは[email protected]

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