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Prognostic SignificanceOncogene Product in Nonof the Expression of ras- Small Cell Lung Cancer

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 原 田 真 雄

学 位 論 文 題 名

 Prognostic Significance

Oncogene Product in Non of the Expression of ras

‑ Small Cell Lung Cancer

(非小細胞肺癌におけるras 癌遺伝子産物発現の予後因子としての意義)

学位論文内容の要旨

Iはじめに

  ras癌遺 伝子の 遺伝子産 物ras p21は,細胞 膜の内側に存在する分子量21,000の蛋白質で,

G蛋白 質の一種 と考え られている。ras癌遺伝子は突然変異ないし遺伝子発現の亢進により活性 化される 。いく っかのヒ トの癌腫 におい てras癌遺伝子の異常と腫瘍の悪性度や予後との関連 性が報告されているが肺癌におけるその臨床的意義は未だ確立されていない。我々はこれまで,

葛巻らによヮて作製された抗ras p21モノクローナル抗体rp・28及びrp、35を用いて非小細胞肺 癌におけ るras p21の発現を 検討し 腫瘍径と の関連性などを報告した。本研究ではモノクロー ナル抗体rp・35を用いて非小細胞肺癌組織のパラフィン包埋標本におけるras p21の発現を免疫 組織化学的に検討し,種々の臨床病理学的パラメーターとの関係及び予後因子としての重要性を 明らかにした。

H材料と方法 1.・材料

  1975年から1985年までの間に当病院で手術をうけた非小細胞肺癌116例(男性76例,女性40例,

平均年令61才)の腫瘍組織を材料とした。組織型別には腺癌51例,扁平上皮癌54例,大細胞癌7 例 ,腺 扁 平 上皮 癌4例で あ る 。術 後 病 理学 的 病 期 分類(pTNM)はUICC(1978)の 分類 に 従 つ た。予 後の検討 においては,経過観察期間が3年以上の症例で,術後3力月以内の死亡及び術後 5年以内の他病院を除く94例を対象とした。

2.免疫組織化学的方法

  通 常 のavidin・biotin ‑ complex immunoperoxidase法(ABC法 )で免疫 組織化 学染色を 行なっ た。ホル マリン固定パラフィン包埋標本から5ロmの切片を作り,脱パラフィン化及び加

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水処理の後,0.3%HユOzを含むメタノールで処理し内因 性ペルオキシダ―ゼを抑制した。1次 抗 体と して は葛 巻ら によ って作製された抗ras p21マウスIgMモノクロ ―ナル抗体rp・35を用 い た 。 陽 性 対 照 は肺 癌培 養細 胞株A 2182を 用 い, 陰性 対照 は1次抗 体を3.482ない しPBSで 置 換 し た 。 染 色 の 強 さ を 陰 性 ( ・ ) , 陽 性 ( 十 ) , 強 陽 性 ( 十 十 ) の3群 に 分 け た 。 3.統計解析

  染色性と種々のパラメーターとの相関にっいてはェ゜検定を用いた。生存期間は手術臼から死 亡 まで の期 間と し, 生存 曲線にはKaplan・Meier法を,生存曲線の有意差検定にはgeneralー ized Wilcoxon testを 用 い た 。 多 変 量 解 析 に はCoxの 重 回 帰 型 生 命 表 を 用 い た 。

m結  果

1. ras p21の発現と組織型,病 期分類,喫煙との関係

  rp,35は癌細胞の他に非癌細胞(大部分の気管支上皮細胞,一部の気管支腺細胞,肺胞マクロ フ ァ ー ジ ) と も 反 応 を 示 し た 。 い ず れ の 場 合 も 細 胞 質 が び ま ん 性 に 染 色 さ れ た 。   116例 中,41例(35.3%) が陰性,42例(36.2%)が陽性,33例(28.4%)が強陽性の染色性 を 示 し た 。 組 織 型 別 で は 腺 癌 と 扁 平 上 皮 癌 で 染 色 性 に 有 意 な 差 異 を 認 め な か っ た 。   TNM分 類 と の 関 係 で は ,Tl症 例 はT2.T3症 例 に 比 べ て 有 意 に 強 陽 性 例 が 少 なか った(p く0. 05)。N因子 ,M因子 と染色 性との間には相関関係を認めなかった。I期症例はu〜N期症 例に 比べて有意に染色性が弱かった(pく0. 05)。

  患 者の喫煙歴との関係では,腺癌症例において,喫煙指数 (1日の喫煙本数x喫煙年数)が40 0以 上 の 群 は400未 満 の 群 に 比 べ て 有 意 に 陽 性 ・ 強 陽 性 例 が 多 か っ た(pく0.05)。 2.ras p21発現の予後因子としての意義

  94症例において染色性と予後との関係を検討した結果,染色陰性例は陽性例ないし強陽性例に 比べ てそれぞれ有意に生存期間が長かった(pくO.05,pく0.005)。5年生存率は,陰性例64.1

%, 陽性例38.O%,強陽性例11.5%であった。組織型別に腺癌ないし扁平上皮癌に分けた場合で も, 陰性例は強陽性例に比べて有意に生存期間が長かった(pく0. 05)。異なる手術根治度や病 期 ,T因 子,N因子 ごと の解 析でも,陰性例は強陽性例に比べ て有意に予後良好であった(pく 0.05)。

  予後 因 子の 重み をras p21の 染色 性 ,病 期,T因 子,N因子 にっいて多変量解析で検討した 結果 ,ras p21の染色性が生存期 間と最も強く有意な関連性を示した(pく0.0005)。組織型別 に 腺 癌 と 扁 平 上 皮 癌 に 分 け た 場 合 もras p21の 染 色 性 は 有 意 な 予 後 因 子 で あ っ た 。

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V考  察

  ras癌遺伝子の発現が,細胞の 造腫瘍性や転移能,さらに放射線や化学療法剤に対する抵抗性 と関 連するという最近の実験結果から,ras癌遺伝子の異常が,ヒトの癌においてもその悪性度 や臨 床像,さらに予後にも影響を与える可能性が推測される。事実,モノクローナル抗体を用い た免 疫組織化学ないし免疫ブロッティング法による検討により,いくっかのヒトの癌腫において rats p21の発現と腫瘍の悪性度との関連性が報告されてきた が,肺癌においてはその臨床的意 義は 未だ確立されていない。我々は以前,腫瘍径が30mmを超える非小細胞肺癌は30mm以下のもの に 比べ てrp,35に対する反応性が強いことを報告し た。本研究では,Tl症例ないしI期症例に 比べ て進行例の染色性が強かった。

  腺 癌症例において喫煙指数b<400以上の群で陽性反応が有意に多かったことは,喫煙が肺腺癌 に おけ るras p21の発現 亢進の一因である可能性を示唆している。またK‑ rasの 点突然変異を もつ 肺癌の大部分は喫煙者の腺癌であるという報告があり,喫煙とK ‑ rasの点突然変異の因果 関 係が 推 測されている。従って喫煙がras遺伝子の活性化を引き起こすことによ って一部の肺 腺癌 の発生と進展に関与している可能性が示唆され興味深い 。

  本研 究 の主目的はras p21の発現と予後との関係の検討である。大腸癌や乳癌 などにおいて はras p21の発現が亢進 している症例の予後が不良であることが報告されている 。本研究でも ras p21の発現が亢進している症 例は有意に予後不良であった。組織型別に腺癌ないし扁平上皮 癌 に分 け た場 合で もras p21の 発現 と 予後 との 有意 な相 関関 係を認めた。病期 やT因子,N因 子 ,手 術 根治度で層別化した場合にも同様の結果が 得られた。多変量解析ではras p21の染色 性が 最も有意な予後因子であった。以上よルモノク口ーナル抗体rp・35を用いた免疫組織化学的 評 価に よ るras p21の発 現性は,病期分類とは独立した重要な非小細胞肺癌の予 後因子である こと が示された。今回の免疫組織化学的方法は臨床上,非小細胞肺癌患者の術後予後を推定し治 療計 画を立てる上で有用であると考えられる。

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   学 位論 文 審 査の 要旨 主 査    教 授    川上 義和 副 査    教 授    葛巻    暹 副査   教授   細川真澄男

  目 的 :ras癌 遺伝 子産物rasp21の発現亢進と腫瘍の悪性度や予後と の関連性がいくっかの癌     腫で報告されているが,肺 癌における検討はなされていなかった。本研究では非小細胞肺     癌 にお けるras p21の発 現を 免 疫組 織化 学的 に調 べ, 臨床 病理 学的 パラメーターとの関     連性及び予後因子としての 意義にっいて検討を行った。

  材料:1975年〜1985年に手術 を行った非小細胞肺癌116例 (腺癌51例,扁平上皮癌54例,大細     胞 癌7例, 腺扁 平上 皮癌4例) の腫 瘍組 織を材料とした。予後の 検討では術後早期死亡及     び他病死を除き3年以上経過観察された94例を対象とし た。

  方 法 :ホ ルマ リン 固定 パラ フィ ン包 埋標 本に対して通常のABC法で免疫染色を行った。1次     抗 体は 葛巻 教授 らが 作製 した 抗ras p21マウスIgMモノクロ―ナ ル抗体rp・35を用いた。

  結果:全116例中,陰性例は35.3%,陽性例は36.2%,強 陽性例は28.4%であった。組織型に     よ る差 異は 認め なか った が,Tl症 例な いし1期症 例に おい て染 色性 が弱かった。腺癌症     例においては,喫煙指数が400未満の群に比べて400以上の群で陽性以上の反応が多かった。

    予 後の 検討 では,陰性例は陽性例, 強陽性例に比べて術後生存期間が延長していた(5年     生 存率 はそ れぞれ64.1%,38.0%,11.5%)。さらに多変量解析の結果から,ras p21の     染色性は,腺癌と扁平上皮 癌の両者において病期分類とは独立した有意な予後因子であっ     た。

  以上の結果は,@喫煙が肺腺 癌におけるras p21の発現亢 進の一因である可能性があること,

◎ras p21の発 現性 は非小細胞肺癌の悪性度を示す生物学的指標のー っであり,また重要な術 後予後因子であることを示して いる。

  な お 口 頭 発 表 に 際 し , 葛 巻 教 授 か らDNAやRNAレ ペ ル で の 検 討, 癌 抑制 遺伝 子と の関 係 にっ き ,細 川教 授から染色性の判定,非 癌細胞における発現,肺癌の進展におけるras p21の 発現 亢 進の 時期 などにっき,柿沼教授か らras p21の発現亢進の機序 や点突然変異との関係に っき,また吉木教授から分化度 との関連性や小細胞癌での検討にっき質問があったが,申請者は ほぼ妥当に答えた。

  ま た 箇 別 に 葛 巻 , 細 川 両 教 授 か ら 諮 問 を う け 合 格 と の 御 返 事 を い た だ い て い る 。

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  以上,本研究はras p21の発現性が非小細胞肺癌の予後因子として重要であることを明らか にしたもので,博士(医学)の学位に相当するものと認めた。

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参照

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