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Detection of Antarctic coastal polynyas from passive microwave data and estimation of sea ice production therc \ re

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Academic year: 2021

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博 士 ( 地 球 環境 科 学)田 村岳史

学 位 論 文 題 名

Detection of Antarctic coastal polynyas from  passive microwave data and estimation of       sea ice production therc       ¥      re

(マ イク ロ波 デー タに よる 南極 沿岸 ポリ ニヤ の検出と      そこ での 海氷 生産 量の 見積 もり )

学位論文内容の要旨

   南極沿岸ボリニヤは主に風や海流によって海氷が運ばれることが原因で出現し維持され、冬季における ここでの熱損失は非常に大きい。また、水深が浅く水温が結氷点に近い大陸棚域に形成されるため、海洋 下層からの熱の供給を無視できる。そのため、ここでは冬季を中心に海氷が活発に生産されている。この 沿岸ポリニヤにおける海氷生産は南極の海氷総生産に対してのみならず、ブライン排出による塩分生産に よって、南極底層水形成に対しても重要な役割を果たしていると考えられている。しかしながら、現場観 測が極めて難しい海域であるため、海氷生産・塩分排出に関して、定量的には明らかになっていない。衛 星データを用いて沿岸ポリニヤを検出し、表面熱収支を計算する事によって海氷生産量を求める方法が、

現時点では最も有効である。厳しい寒さのため、南極沿岸ポリニヤの開水面はすぐに結氷し、そのほとん どは薄氷で覆われている。表面熱収支は海氷厚に大きく依存するため、ポリニヤの領域とその薄氷厚をよ り正確に見積もることが重要である。また、沿岸ポリニヤは空間的時間的に大きく変動するので、その大 きさ及びそこでの大気・海洋・海氷間熱交換を一日単位で測る必要がある。マイクロ波データならば、雲 や夜の影響を受けずに全南大洋をカバーするデータを一日単位で取得することができる。そこで、マイク ロ波データの中でも空間解像度が12.5km と細かい、SpecialSensor MicrowaveImager (SSM/I)  85GHz 輝度温度データを主に使用して薄氷厚アルゴリズムを作成することにした。このデータを使うことによっ て、南極海沿岸に多く存在する大きさ15 〜 20km 程度の沿岸ポリニヤを検出することができる。アルゴリ ズム作成にあたって、比較・検証データが必要である。南極沿岸ポリニヤでの氷厚に関する現場観測デー タは限られており、その中で数十km の空間解像度を持つSSM/I のグリッドスケールを代表できるデータ を得るのは難しい。空間解像度数km のAdvanced Very High Resolution Radiometer (AVHRR) データに よる表面温度からは氷厚を原理的に導出でき、SSM/I のグリッドスケールでの比較・検証が可能となる。

この氷厚導出はAVHRR データから見積もられた海氷表面温度と客観解析データを用いた熱収支計算に基

づいていて、北半球の季節海氷域で現場観測データと比ぺて確かめられている。この方法を南極沿岸ポリ

ニヤに適用し、2003 年に行われたオーストラリア主催の国際海氷観測に参加して取得した現場観測データ

と比較して、この方法の南極海における有効性を確かめることにした。以上のことから、下記の三っの研

究を行うことにした。(1 )AVHRR データから計算される氷厚の確からしさを南極沿岸ポリニヤでの現場

     ー1383 ―

(2)

観 測 デ ー タ を 用 い て 検 証 す る 。 (2)AVHRRデ ー タ か ら 得 ら れ る 氷 厚 を 比 較 ・ 検 証 デ ー タ と し て 用 い る こ と に よ っ て 、SSM/Iデ ー タ か ら 南 極 沿 岸 ポ リ ニ ヤ の 薄 氷 厚 を 見積 も る ア ル ゴ リ ズム を 作 成 す る 。 (3)SSM/I の ア ル ゴ リ ズ ム と 客 観 解 析 デ ー タ を 用 い て 熱 収 支 計 算 を 行 う こ と に よっ て 、 海 氷 生 産 量を 見 積 も り 、 そ の 空 間 分 布 と 年 変 動 を 明 ら か に す る 。 こ の 研 究 の 意 義 は 、 全 南 極 海 に 適用 で き る ア ル ゴ リズ ム を 用 い て 海 氷 生 産 を 見 積 も る こ と に よ っ て 、 南極 海 に お け る 海 氷 生成 域 や 生 産 量 の 年変 動 を 明 ら か に でき る こ と で あ る 。

(1)AVHRR氷 厚 推 定

  AVHRRデ ー タ か ら 得 ら れ る 海 氷 表 面 温 度 を 用 い て 熱 収 支 計 算 を す る こ と に よ っ て 氷 厚 を 求 める 方 法 を 、 南 極 ウ ィ ル ク ス ラ ン ド 沖 の ヴ ィ ン セ ン ネ ス 湾 ポ リ ニ ヤ に 適 用 し 、 氷 厚の 現 場 観 測 デ ー タと 比 較 す る こ と に よ っ て こ の 方 法 の 有 効 性 を 示 し た 。2003年9〜10月 に 行 わ れ た オ ー ス ト ラ リ ア 主 催 の 国 際 海 氷観 測 に 参 加 し て 現 場 観 測 デ ー タ を 取 得 し た 。 船 首 に 設 置 し た 放 射 温 度 計 ( 海 氷 表面 温 度 を 観 測 ) と船 が 観 測 し て い た 気 象 デ ー タ を 用 い て 熟 収 支 計 算 か ら 求 め た 氷 厚 ( 現 場 デ ー タ の み を 用い て 導 出 し た 氷 厚) と 、 舷 側 に 設 置 し た ビ デ オ で 観 測 し た 氷 厚 を 比 較 デ ー タ と し て 用 い た 。 ポ リ ニ ヤ 域 に お い て 、AVHRRデ ー タ とECMWF デ ー タ を 用 い て 熱 収 支 計 算 か ら 求 め ら れ る 氷 厚 は 、 現 場 観 測 デ ー タ か ら 得 ら れ る 氷 厚 と よ く 一 致 し た (Bias: 0.5cm,STD: 2cm)。AVHRRデ ー タ か ら 得 ら れ る 氷 厚 は 、 マ イ ク ロ 波 デ ー タ か ら 氷 厚 を 見 積 も る 際 の 比 較 ・ 検 証 デ ー タ と し て 使 用 で き る こ と が 南 極 海 に お い て も 示 唆 さ れ た 。

(2)SSM/I薄 氷 厚 ア ル ゴ リ ズ ム

  南 極 海 に お い てssrvuiデ ー タ を 用 い て 、 定 着 氷 を 検 出 し た 上 で 海 氷の 薄 氷 厚 を 見 積 も るア ル ゴ リ ズ ム を 作 成 し た 。AVHRRデ ー タ か ら 得 ら れ る 氷 厚 を 比 較 ・ 検 証 デ ー タ と し て 用 い る こ と に よ っ て 、SSM/Iの85・ 37GHz輝 度 温 度 の 極 性 比 くPR‑85. PR‑37)か ら0.2m以 薄 の 氷 厚 を 検 出 し 、 そ の 厚 さ を 見 積 も る 式 を 提 出 し た 。 こ の ア ル ゴ リ ズ ム は 沿 岸 域 に 限 ら ず 氷 縁 も 含 め て 全 南 極 海 に 適 用 で き 、 空 間 解 像 度12.5kmで 一 日 二 回 の デ ー タ を 提 供 す る も の で あ る 。 こ の ア ル ゴ リ ズ ム が 薄 氷 と 厚 氷を 正 し く 区 別 し てい る 精 度 は 約95% で あ る 。SSM/Iア ル ゴ リ ズ ム と AVHRRデ ー タ か ら 得 ら れ る 氷 厚 の 差 のSTDは 約5cmと 小 さ く な い が 、 地 域 差 ・ 季 節 差 に よ る バ イ ア ス は ほ と ん ど な く 、 地 域 や 季 節 に 関 係 なく 適 用 で き る 。 沿岸 ポ リ ニ ヤ は 強 い 沖 向 き の 風 に よ っ て 生 成 さ れ る が 、 沖 向 き 風 速 と の 対 応 も よ い 。 こ の結 果 は 本 研 究 の 薄氷 域 検 出 の 確 か ら し さ を 支 持 す る も の で あ る 。 よ っ て こ の ア ル ゴ リ ズ ム を 全 南 極 海 に 適用 し て 、 熱 フ ラ ック ス ・ 海 氷 生 産 量 を 求 め 、 そ の 地 域 差 や 年 変 動 に つ い て 程 度 議 論 す る こ と が 可 能 と 考 え ら れ る 。

(3) 海 氷 生 産 量 推 定

  SSM/Iア ル ゴ リ ズ ム を 使 っ て 得 ら れ た 沿 岸 ポ リ ニ ヤ に お け る 氷 厚 の デ ー タ と 、ECMWF高 分 解 能 再 解 析 デ ー タ ( 気 温 ・ 風 速 ・ 海 面 気 圧 ・ 露 点 温 度 ) 、ISCCPデ ー タ ( 全 雲 量 ) 、OISSTデ ー タ ( 海 面 温 度 ) を 用 い て 熱 収 支 計 算 を 行 っ た 。 解 析 期 間 は1992〜2001年 で 、 全 南 極 海 域 で 解 析 を 行 っ た 。 海 氷 域 内 の グ リ ッ ド に お い て 海 洋 か ら 大 気 に 奪 わ れ た 熱 は 全 て 海 氷 生 産 に 使 わ れ る も のと し て 海 氷 生 産 量を 見 積 も っ た 。 海 洋 下 層 か ら の 熟 の 供 給 は な い も の と し て い る 。 南 極 沿 岸 ポ リ ニ ヤ で の海 氷 生 産 は 高 く 、特 に 東 南 極 沿 岸 で 海 氷 生 産 の 高 い 領 域 が 半 島 な ど の 突 起 の 西 側 ( 南 極 沿 岸 流 の 下 流 側 )に 存 在 す る 。 ロ ス海 沿 岸 で は 南 極 海 で 最 も 高 い 海 氷 生 産 が 示 さ れ 、 こ れ は ロ ス 海 で 高 塩 の 南 極 底 層 水 が 生産 さ れ て い る 事 実に 対 応 し て い る 。 一 方 、 ウ ェ ッ デ ル 海 沿 岸 は 、 南 極 底 層 水 の 主 要 形 成 域 で あ る に も か かわ ら ず 、 海 氷 生 産が 比 較 的 低 い 。 ま た 、 東 南 極 沿 岸 の プ リ ッ ツ 湾 の 西 側 に あ る ケ ー プ ダ ー ン レ ー ポ リ ニ ヤに お い て 、 ロ ス 海に 次 い で 二 番 目 に 高 い 海 氷 生 産 が 示 さ れ た 。 そ れ ぞ れ の 南 極 沿 岸 ポ リ ニ ヤ に お け る 海 氷生 産 量 の 年 変 動 を見 る と 、 ロ ス 海 沿 岸 ポ リ ニ ヤ で の 年 変 動 が 南 極 海 で 最 も 大 き く 、 そ こ で の 海 氷 生 産 は1990年 代 中 盤 か ら2000−2001年 に か

― 1384 ‑

(3)

け て 大 き く 減 少 し て い る 。 こ の 結 果 は 、 現 場 の 海 洋 観 測か ら 得 ら れ た 近 年の ロ ス 海 底 層 水 の 塩分 減 少 に 対

応 し て い る 。

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学位論文審査の要旨

主査   助教授   大島慶一郎 副査   教授   若土正暁 副査   教授   江淵直人 副査   教授   池田元美

副査   教授   榎本浩之(北見工業大学土木開発      工学科)

副査   教授   西尾文彦(千葉大学環境リモート      センシング研究センター)

     学 位 論 文 題 名

Detection of Antarctic coastal polynyas from     I

  passlVemlCrOWaVedataandeStimationof      ●

    SealCeproduCtiontherE      `    !

(マイクロ波データによる南極沿岸ポリニヤの検出と      そこでの海氷生産量の見積もり)

   南極海は世界で最も重い水が作られる海域で、ここで沈み込んだ南極底層水は全世界の海 の底層に拡がり、大規模な海洋深層循環を駆動している。この重い水を作っているのが南極 沿岸ポリニヤである。ポリニヤとは、海洋がある程度厚い海氷で覆われているはずの時期に、

海氷が部分的に開水面または薄氷域になる領域のことである。南極沿岸ポリニヤは主に風や 海流によって海氷が運ばれることが原因で出現し維持され、冬季におけるここでの熱損失は 非常に大きい。また、水深が浅く水温が結氷点に近い大陸棚域に形成されるため、海洋下層 からの熱の供給は小さぃと考えられる。そのため、ここでは冬季を中心に海氷が活発に生産 されている。この沿岸ポリニヤでの高い海氷生産によるブライン(高塩分水)排出が、南極 底層水のもととなる高密度水の生成のもととなっている。しかしながら、南極沿岸ポリニヤ は現場観測が極めて難しい海域であるため、そこでの海氷生産がどの程度であり、またどの 海域で大きいのかといったことや、生産量の年々変動はどのようなものか、といった定量的 なことはほとんど明らかになっていない。申請者の研究は、衛星データを用いて沿岸ポリニ ヤを検出し、表面熱収支を計算することによって海氷生産量を求めることを試みたもので、

南極海に おける海氷生成域や生産量の年変動を明らかにすることをめざしたものである。

   厳しい寒さのため、南極沿岸ポリニヤの開水面はすぐに結氷しュそのほとんどは薄氷で覆 われている。表面熱収支は海氷厚に大きく依存するため、海氷生産を求めるにはポリニヤの 領域とその薄氷厚をより正確に見積もることが重要である。また、沿岸ポリニヤは空間的時 間的に大きく変動するので、その大きさ及びそこでの大気・海洋・海氷間熱交換を一日単位

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(5)

で測る必要がある。マイクロ波データならば、雲や夜の影響を受けずに全南大洋をカバーす るデータを一日単位で取得することができる。

   申請者は、まず、AVHRR デー タから得られる海氷表面温度を用いて熱収支計算をするこ とによって氷厚を求める方法を、南極ウィルクスランド沖のヴィンセンネス湾ポリ,ニヤに適 用し、氷厚の現場観測データと比較することによってこの方法の有効性を示した。この研究 は、オーストラリアの砕氷船による国際海氷観測に実際に参加して自ら取得した現場観測デ ー タに基づぃている。この研究から、AVHRR データから得られる氷厚は、マイクロ波デー タから氷厚を見積もる際の比較・検証データとして使用できることが南極海においても示さ れたことになる。

   次に、申請者は、南極海においてマイクロ波の SSIvUI データを用いて、定着氷を検出し た 上で海氷の薄氷厚を見積もるアルゴリズムを開発した。 具体的には、AVHRR データから 得 られる氷厚を比較・検証データとして用いることによっ て、SSIVUI の85 ・37GHz 輝度温 度 の 極性 比(PR‑85 ・PR‑37) から0.2m 以薄の氷厚を検出し、その厚さを見積もる式を提出 し た 。 SSMfl ア ル ゴ リ ズ ム と AVHRR デ ータ から 得ら れる 氷厚 の差 の STD は約 5cm と 小さ くないが、地域差・季節差によるバイアスはほとんどなく、このアルゴリズムは地域や季節 に関係なく適用できるものである。

   さらに、申請者は、 SSM/I ア ルゴリズムを使って得られた沿岸ポリニヤにおける氷厚の デ ータと、ECMWF 再解析データ 等の気象データを用いて海氷生産量の見積もりを行った。

解 析期間は1992 〜  2005 年で、全南極海域を対象に、海氷域内のグリッドにおいて海洋から 大気に奪われた熱は全て海氷生産に使われるものとして海氷生産量を見積もっている。その 結果、南極沿岸ポリニヤでの海氷生産は高く、特に東南極沿岸で海氷生産の高い領域が半島 などの突起の西側(南極沿岸流の下流側)に示された。ロス海沿岸では南極海で最も高い海 氷生産が示され、これはロス海で高塩の南極底層水が生産されている事実に対応している。

一方、ウェッデル海沿岸は、南極底層水の主要形成域であるにもかかわらず、海氷生産が比 較的低いという結果となった。注目される点は、東南極沿岸のプリッツ湾の西側にあるケー プダーンレーポリニヤにおいて、ロス海に次いで二番目に高い海氷生産が示されたことであ る。これはここで南極底層水が作られている可能性を示唆しており、過去の海洋観測結果と も対応している。それぞれの南極沿岸ポリニヤにおける海氷生産量の年変動を見ると、ロス 海 沿岸ポリニヤでの年変動が南極海で最も大きく、そこでの海氷生産は 1990 年代から2000 年代にかけて大きな減少が示された。この結果は、現場の海洋観測から得られた近年のロス 海底層水の塩分減少を説明している可能性がある。

   申請者の研究は、南極海において初めて海氷生産量分布やその経年変動を示した研究であ り、南極域の海氷・海洋研究だけでなく、衛星リモートセンシングによる海氷研究にも大き く 貢献するものと判断される。審査員一同はこれらの成果を高く評価し、また研究者とし て 誠 実か つ熱心であり、大学院博士 課程における研鑽や修得単位などもあわせ、申請者 が 博 士 ( 地 球 環 境 科 学 ) の 学 位 を 受 ける のに 充分 な資 格を 有す る もの と判 定し た。

−1387一

参照

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