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JAIST Repository: 国立大学に所属する特許発明者に関する分析

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JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/

Title

国立大学に所属する特許発明者に関する分析

Author(s)

細野, 光章; 中山, 保夫; 富澤, 宏之

Citation

年次学術大会講演要旨集, 30: 736-739

Issue Date

2015-10-10

Type

Conference Paper

Text version

publisher

URL

http://hdl.handle.net/10119/13380

Rights

本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す

るものです。This material is posted here with

permission of the Japan Society for Science

Policy and Research Management.

(2)

1.はじめに

筆者らは、大学における科学研究はイノベーティブな新 技術の源泉であり、学術論文に加えて、知の社会還元の ための両輪として特許取得・利用活動の実態を把握する 必要があるとの考えから、その分析のためのデータ・情報 基盤として、「国立大学が発明した特許1」、すなわち、国立 大学の教職員等による職務発明について特許権を取得す るために出願した特許データベースの構築(特許公報が 電子化された 1993 年以降を対象)を行っている。 国立大学が発明した特許は、全てが特許を受ける権利 を承継して国立大学が出願人となっている訳ではなく、公 開公報から網羅的にそれらを探し出すには単純な検索作 業では済まない。次項に記すように、出願人が国立大学で はない特許の特定には、発明者の発明当時の所属(国立 大学に所属していること)を判別基準として用いている。こ の判別基準を適用する前段として TLO やファンディング機 関などからの出願など一次候補を抽出しているが、そこに は延べ 20 万人超の発明者が含まれ、故に所属判別作業 は道半ばである。 このため、本稿の分析対象は、先行的にデータを作成し 分析利用が可能となっている 2004 年度から 2007 年度に出 願された特許に絞り、且つ発明者という「人を対象」にした 分析結果を報告する。

2.国立大学が発明した特許の特定

発明の特許出願に関する大学の実態を正しく分析する ためには、分析の基盤となるデータベースを精度高く構築 することが求められ、発明に関する権利の帰属、譲渡等の 状況により変化する特許出願実態を考慮した木目細かな 国立大学が発明した特許の特定手法が必要となる。 国立大学の研究者の職務発明について、特許権を取得 するために出願した発明は、国立大学法人(法人化後の 場合)が権利を承継し出願した場合のみならず、TLO や ファンディング機関を通じた出願、また、国立大学が権利 を承継せず発明者帰属とされ発明者個人からなされた出 願、さらに、国内営利企業(以下、企業と略す)や試験研究 独立行政法人(現国立研究開発法人)など特許を受ける 権利を譲渡されたと考えられる機関からの出願など、その 出願形態は多様である。 このため、国立大学の発明に関する特許出願を公開公 1 国立大学の教職員等による職務上の発明を特許出願したものであり、外国出 願や国立大学以外からの出願も含む。原則、公開特許公報(公表、再公表) の発明者には大学教員など国立大学所属の発明者が含まれる。 報から特定するためには、出願人のみならず、発明者に着 目した国立大学の教職員等が含まれている特許を見つけ 出すことが必要になる。これを正確に行うためには、発明 が行われた当時の発明者の所属機関を判別する情報が 必要であり、参考情報として発明者住所に記載された機関 名に加え、研究者 CV(Curriculum Vitae)情報、論文著者 情報などインターネットから取得できる情報の活用や、特 許情報の類似性の評価による発明者同定の仕組み(国立 大学教職員と同姓同名の発明者を同一人か否か判別し同 一人の特許を寄せる)などを駆使して特定を行っている。

3.特許発明者の同定(名寄せ)

例えば、職務発明について、国立大学が権利を承継せ ず発明者(個人)や企業等から特許出願された場合、また、 出願前に大学から企業等に権利の有償譲渡が行われ企 業等から特許出願された場合などには、国立大学所属発 明者の住所には往々にして居所が使われ、国立大学の名 称や住所が使われていないことがある。 こうした場合、特許書誌に国立大学が発明した特許とし て見つけ出すための情報がなく、通常の検索手法では見 つけ出すことはできない。 筆者らは、このような状況に対応し、既に確定している国 立大学が発明した特許の情報とそれに関与した大学発明 者の情報をリスト化し、その情報を利用して公開公報から 同一人が発明したと考えられる特許の抽出を行っている。 これは、一般に発明者同定と称せられるものであり、核と なる処理に、特許情報(全文)を自然言語処理によって特 徴づけし、国立大学所属の発明者の特許と同姓同名の発 明者の特許を類似度等により評価し同定する手法を開発 し用いている。また、処理課程で新たに得られた書誌情報 (所属、住所、共同出願人など)を発明者のプロファイルに 追記する学習をさせ、特定プロセスを、追記情報が得られ なくなるまで再帰的に実行し、同定の幅を拡げている。 なお、発明者同定手法の詳細は、本大会の別講演(2H 13「内容の類似性評価を利用した同一発明者の特定」)で 報告する。

4.出願人の構成

図 1 は上記により特定した 2004~2007 年度に出願され た国立大学が発明した特許の出願人の構成である。 複数の出願人に重複しない横棒はその出願人の単独 出願特許を、複数の出願人に重複した横棒はそれら出願 人の共同出願特許を意味する。 例えば、7,533 件は国立大学が単独出願した特許(但し、 複数国立大学の共同出願も含む)であるし、168 件は国立

国立大学に所属する特許発明者に関する分析

○細野 光章 文部科学省科学技術・学術政策研究所 (岐阜大学) 中山 保夫 文部科学省科学技術・学術政策研究所 富澤 宏之 同 上

2F11

(3)

大学と TLO が共同出願した特許であることを意味する。 出願人「その他」は、研究独法、財団法人等の諸団体、 地方自治体、個人などであり、科学技術振興機構(JST)な どファンドにより創出された発明の出願もここに含まれる。 図中の角丸四角で囲った出願は、国立大学以外の機関 による出願(全体の 19.4%)であり、このうち、公報書誌(発 明者住所)に国立大学の住所・名称が使われていない出 願は、前項の発明者同定の手法を利用して国立大学の教 職員等が発明に関与した特許であることを特定している。 図1 国立大学が発明した特許の出願人の構成

5.国立大学に所属する発明者

5.1 発明者同定を利用した実発明者数の把握 国立大学が発明した特許の公開公報に記載される発明 者には、国立大学の教職員等のみの場合だけではなく、 共同発明の場合は、企業、公的研究機関、地方公共団体、 各種団体などの共同発明者も含まれている。 ちなみに、教職員等には、教員のほかに技術職員、研 究員、学生、留学生なども含んでいる。 2004~2007 年度に出願された国立大学が発明した特 許に記載される発明者について同定し、同姓同名の別人 を区別し、同一人をユニークにカウントした実発明者数を 表1にまとめた。 なお、複数の発明がある者について、表中の(A)列は、 発明時の所属が異なる場合でも、現実通り一人として寄せ た発明者の数であり、(B)列は発明時の所属が異なる場 合は別カウントとした数である。 表中②行目の(A)(B)の差分から、2004~2007 年度の 間に約 180 名(約 0.9%)の発明者が異動前後の両大学で 特許発明をしたことがわかる。なお、(A)列では、企業等か ら国立大学に異動した人、或いは大学の職務のほかにベ ンチャー企業等の立場の発明もある人などは②と③で 各々カウントされることから、その和は①とはならない。 年度ごとに見ると、国立大学所属発明者は 5,941 名→ 7,557 名→7,890 名→7,339 名と推移している。 表1 発明者同定による実発明者数 同一人寄せ (A) 所属別同一人寄せ (B) ①発明者総数 33,259 33,707 ②国大所属発明者総数 18,886 19,059 ③企業等所属発明者総数 14,540 14,648 注:発明者数は FY2004~2007 国立大学発明特許において 5.2 国立大学の発明特許数と発明者数 2004~2007 年度に出願された国立大学が発明した特 許について、国立大学ごとの発明特許数と国立大学に所 属する教職員等の発明者数を図 2 に示す。 なお、発明特許数は、発明者に国立大学所属者が含ま れる場合について、当該国立大学の発明特許としてカウン トしている。(例外として、国立大学が出願人であるものの、 公報公開時点の発明者に国立大学所属者を含まない特 許が僅かに存在し、それらは出願国立大学にカウントして いる) また、発明者数は、当該国立大学発明特許の国立大学 所属発明者について、同一人は名寄せ集約してユニーク にカウントした実発明者数である。 図を二分する斜線は、斜線より上に布置される大学は発 明特許数>発明者数であり、複数の発明を行う発明者が 多い、又は、同じ大学に所属する共同発明者数が平均的 に少ない傾向がある。こうした、発明者ごとの特許出願数 の格差については、5.4 項で詳述する。 拡大図 図 2 国立大学の発明特許数と発明者数 5.3 発明者ごとの発明特許数と発明特許数上位者 図 3 は、表1-②(A)の国立大学所属発明者 18,886 名の各人について、発明特許数の階級別に人数を示し たものである。ここで、発明特許数は整数カウント法によっ ている。 図 3 から、国立大学所属発明者は二万名弱存在するも のの、過半数を超える約 6 割の発明者は発明特許数が1 件のみであることがわかる。それら実績1件の発明者につ いて、当該特許が何名の発明者によったものかを示した 東京大 東北大 大阪大 東京工業大 京都大 北海道大 名古屋大 九州大 広島大 東京農工大 名古屋工大 信州大 山口大 千葉大 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 発 明 特 許 数 国立大学所属発明者数 大規模大学 中規模病院有大学 中規模病院無大学 理工系中心大学 医科大学 大学院大学 静岡大 筑波大 岡山大 九州工業大 神戸大 電気通信大 長岡技科大 徳島大 横浜国立大 豊橋技科大 群馬大 岐阜大 NAIST 金沢大 熊本大 新潟大 鹿児島大 東京医歯大 香川大 三重大 福井大 富山大 JAIST 長崎大 宮崎大 岩手大 埼玉大京都工繊大 愛媛大 山梨大 鳥取大 佐賀大 宇都宮大 大分大 高知大 秋田大 弘前大 山形大 東京海洋大 浜松医科大 島根大 帯広畜産大 北見工業大 琉球大 茨城大 室蘭工業大 0 100 200 300 400 0 100 200 300 400 発 明 特 許 数 国立大学所属発明者数 枠内拡大図参照

(4)

のが図 4 である。単独発明は 450 名(450/10,896=4.1%) に過ぎず、3 名による共同発明が一番多いことがわかる。 図 5 は、発明特許数上位 54 名について、所属大学と 整数及び分数カウントした件数を示したものである。 上位者のうち、10.5 名は東北大学の所属者であり、うち 3 名はベスト 5 に名を連ねている。ここで 0.5 は、大学間を 異動し二つの大学で出願実績を持つ発明者について半 分のスコアとしたものである。 また、分析対象期間の発明特許数合計では 86 大学中 33 位である香川大学から 3 名の発明者が図の上位者に 含まれているも一つの特徴である。 10,896  3,413  1,495  894  594 416  257  185  142 97 300 95  41  23  14  7  6  1 10 100 1,000 10,000 100,000 国 立 大 学 所 属 発 明 者 数( 対 数 軸) 特許出願数 図3 国立大学所属発明者の発明特許数 図4 出願実績 1 件の発明者の共同発明者数分布 図5 発明特許数上位者 5.4 発明者の発明特許数の格差 国立大学によっては、一人で多くの発明を行う教職員 が存在し、個々の発明者の発明特許数に格差が生じる。 図 6 はローレンツ曲線を利用して、表1-②(A)の国大 所属発明者 18,886 名の発明特許数データを使い、発明 者個々人を発明特許数の少ない順に並べ、横軸に発明 者数の相対累積比を、縦軸に発明特許数の相対累積比 をとり、発明者数と発明特許数の分布をグラフ化したもの (図の弓形実線)である。 0% 20% 40% 60% 80% 100% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 累 積 相 対 特 許 出 願 数 累積相対発明者数 弘前大学 ジニ係数:0.317(最小) 発明特許数:201件 発明者数:119名(名寄済み) 香川大学 ジニ係数:0.587(最大) 発明特許数:376件 発明者数:110名(名寄済み) 国立大学所属全発明者 ジニ係数:0.463 発明特許数:45,554件 発明者数:18,886名(名寄済み) 図6 発明者ごとの発明特許数の格差 図 6 では、全ての発明者の発明特許数が等しければ均 等分布線となるが、実際は発明者個々の発明特許実績 はばらついており弓形(ローレンツ曲線)になる。 ジニ係数は「均等分布線と弓形で構成する面積」の「均 等分布線で二分した三角形の面積」に対する比であり、 格差の大きさを示すものである。完全均等ならば 0 で1に 近いほど格差が大きいことを意味する。平たく言い換える と、発明を多数行う教職員が存在する国立大学ほどジニ 係数は 1 に近くなると解釈して良い。 図 6 の国立大学全発明者のジニ係数 0.463 は、発明特 許数上位 20%の発明者を基準にいえば、それら発明者に よる発明特許の合計が全発明特許数の大凡 55%を占める 程度の格差であると読み替えることもできる。 また、図 6 には 2004 年度から 2007 年度の累積発明特 許が 100 件以上の国立大学のうち、ジニ係数が最大の大 学(香川大学)と最小の大学(弘前大学)のローレンツ曲 線も示した。同様に、前者では、「出願数上位 20%の発 明者による出願数は同大学の約 70%を占める」のに対し て、後者では同大学の約 45%を占める程度の格差である と読み替えられる。 なお、香川大学では、5.3 項に示したように、複数の発 明特許数上位者が存在し、このことが大学としてジニ係数 が大きくなっている要因である。 香川大 東北大 名古屋工大 東京農工大 東京工業大 静岡大 豊橋技科大 JAIST 岐阜大 信州大 北海道大 東京大 山口大 大阪大 広島大 山梨大 九州工業大 名古屋大 岩手大 長岡技科大 九州大 神戸大 宮崎大 三重大 京都大 電気通信大 新潟大 NAIST 福井大 横浜国立大 群馬大 東京医歯大 熊本大 愛媛大 千葉大 富山大 筑波大 宇都宮大 埼玉大 佐賀大 大分大 鳥取大 岡山大 長崎大 高知大 京都工繊大 徳島大 金沢大 鹿児島大 秋田大 山形大 弘前大 0.3 0.35 0.4 0.45 0.5 0.55 0.6 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 ジ ニ 係 数 国立大学所属発明者数 大規模大学 中規模病院有大学 中規模病院無大学 理工系中心大学 医科大学 大学院大学 図7 各国立大学のジニ係数と発明者数 累積発明特許 100 件以上の国立大学のジニ係数は図 7 に発明者数情報を加えた散布図で示した。国立大学の 450 1819 2697 2351 1585 899 442 28116889 37 25 19 21 13 0 2 6 2 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 該 当 発 明 者 数 当該出願特許に記載される発明者数 157 9185 78 70 5251 48 47 44 42 41 38 37 36 35 34 32 31 30 29 28 27 46.0  40.3  23.1 23.0  62.6  19.3  23.3  0 20 40 60 80 100 120 140 160 東 北 大 東 京 大 東 北 大 東 北 大 香 川 大 大 阪 大 大 阪 大 東 京 大 名 古 屋 工 大 北 海 道 大 名 古 屋 大 東 北 大 東 京 工 業 大 東 京 大 東 北 大 大 阪 大 信 州 大 東 京 工 業 大 東 京 大 浜 松 医 科 大 東 京 大 東 北 大 京 都 大 名 古 屋 工 大 東 京 工 業 大 東 京 工 業 大 信 州 大 東 北 大 九 州 大 東 北 大 大 阪 大 ・ J A I S T 名 古 屋 工 大 静 岡 大 岐 阜 大 北 海 道 大 東 京 大 東 京 農 工 大 北 海 道 大 香 川 大 東 京 工 業 大 大 阪 大 九 州 大 広 島 大 東 北 大 北 海 道 大 香 川 大 東 京 農 工 大 信 州 大 東 北 大 名 古 屋 大 ・ 東 京 大 東 北 大 ・ 大 阪 大 浜 松 医 科 大 広 島 大 東 京 大 特 許 出 願 数 国立大学所属発明者(2004‐2007特許出願数[整数カウント]上位54名) 特許出願数(整数カウント) 特許出願数(分数カウント) 大学名 発明者数 大学名 発明者数 1 東北大 10.5 9 九州大 2 2 東京大 7.5 10 東京農工大 2 3 東京工業大 5 10 広島大 2 3 大阪大 5 10 浜松医科大 2 5 北海道大 4 13 名古屋大 1.5 6 名古屋工大 3 14 京都大 1 6 信州大 3 14 静岡大 1 6 香川大 3 14 岐阜大 1 17 JAIST 0.5

(5)

ジニ係数は、大凡 0.4 から 0.6 の値をとり、大規模大学で は大阪大学と東北大学に、また、理工系中心大学が比較 的格差の大きい傾向が見える。

6.女性発明者の占める割合

ここでは、国立大学所属の特許発明者に関して、女性 発明者の占める割合について推定を試みる。 公開公報には、当然、発明者の性別情報などは記載さ れていない。発明者氏名や出願機関、発明者住所を頼り にインターネット情報を拾えば判別できる場合もあるが極め て限定的であり、探し出す負担は大変なものとなる。 一番簡易な方法は、発明者の名前から判別する方法で あるが、拠り所となる性別判定のできる名前辞書の存在、 或いは性別が明確に区分できない名前の存在など幾つか の障害がある。そこで、ここでは、それらの障害を承知した 上で、試行的な意味を含めて推定を試みた。 名前辞書として、インターネットに公開される以下の名前 辞書に登録されるデータを利用した。 ♂ 男の子の名前-名前大辞典- (2015.2.15 時点掲載 54,129 件) http://name.gwoood.com/ ♀ 女の子の名前-名前大辞典- (2015.2.15 時点掲載 35,803 件) http://namae.gwoood.com/100/110/ これら名前辞書の本来の目的は、赤ちゃんの命名にお ける利用が主目的と見られるが、登録された名前には一部 現代的な名前も含まれるものの、推定試行という目的には 耐えうる件数が含まれるものと判断した。 名前辞書は、使用した辞書以外にももっと多くの名前が 登録された辞書がインターネット上に存在する。しかし、こう した利用目的では、数だけ多ければ良いという訳ではなく、 逆に、その副作用が問題になった。副作用とは、一般的に 男性名、女性名と区分できる名前にまで、希な名付けを考 えてか男女両者の辞書に登録され、結果、判別不能となる ケースが急増し、却って精度に問題が生じたことである。 また、公開公報の発明者表記には、留学生等と見られる カタカナ書きの外国人名や台湾・中国・韓国等の漢字名も 含まれる。名前辞書では、それらは取り扱えないため、ここ では外国人名は除外して取り扱いをしている。 男女判別対象者 18,886 名(表1-②同一人(ユニークカ ウント))に対し、次のルールを適用し、女性発明者の人数 を推定した。 ①名前辞書(女子名)のみと一致した発明者は女性と判 定する ②名前辞書(男子名)と名前辞書(女子名)の両者に一 致した発明者の半数を女性と判定する ③上記①による判定数を最少人数、①+②を最大人数 とする 名前辞書とのマッチング結果を表 2 に、また、表 2 に基 づき女性発明者の占める割合を推定したグラフを図 8 に示 す。 この結果から、国立大学に所属する特許の発明者のうち 女性の占める割合は、各年度 5~9%程度であり、少しずつ 右肩上がりの状況になっていると推定できる。 図 8 には、参考用として、(一社)国立大学協会の「国立 大学における男女共同参画推進に関する追跡調査」から、 教員(助手を除く)に占める女性割合の調査結果を示した。 これらには理学・工学等の自然科学分野のみならず人文・ 社会科学分野も含まれることから、特許を前提とした発明 者に限れば女性が占める割合はもう少し低いであろうこと が推測される。 この意味からは、図 8 の推定結果は、実態とそう遠くない 状況を示していると思われる。 なお、企業所属の発明者(11,218 名)についても同様の 推定を試みた。結果は、最少 5.5%/最大 8.7%(FY2004)、 5.6 % /8.7 % ( FY2005 ) 、 5.6 % /8.7 % ( FY2006 ) 、 5.7 % /9.0%(FY2007)で推移し、国立大学所属の発明者よりも 僅かに女性発明者の占める割合が高くなっていることが見 て取れる。 表2 国立大学に所属する女性発明者の占める割合 図8 国立大学に所属する女性発明者の占める割合

5.おわりに

本稿は、国立大学が発明した特許DBのうち、利用可能 な一部期間のデータを用いて行った報告である。今後の 課題の第一は、このDBを一日も早く完成し、特許取得・利 用活動の実態把握の分析に供することにある。 また、国立大学発明特許の出願機関(国大のみならず 企業、公的研究機関など)を明らかにすることにより、機関 レベルで論文データと接続することが可能になり、テクノロ ジー・サイエンス両面からの分析を可能にすることができる。 さらに、発明者同定と発明当時の所属機関の特定により、 機関レベルから研究者レベルのデータ接続に進化させる こともでき、これらの実現に向けて努力する。 【参考文献】 [1]中村達生ほか,類似度評価を加味した発明者名寄せ手法, 第 11 回日本知財学会学術研究発表会,4,2013 [2]中山保夫,細野光章,国立大学の特許の特色:発明者と技術領域 の分析, 研究・技術計画学会第 29 回年次大会, 6, (2014) [3]中山保夫,細野光章,国立大学研究者が発明した特許の民間企業 への権利譲渡に関する分析, 研究・技術計画学会第 28 回年次大 会, 6, (2013) [4]中山保夫,細野光章,国立大学に関連する特許の分析:発明技術 領域及び関連企業業種による差異,研究・技術計画学会 27 回年次 大会, 5, (2012) 発明者数 割合(%) 発明者数 割合(%) 発明者数 割合(%) 発明者数 割合(%) 辞書(男子名&女子名)と一致 375 6.3 486 6.4 496 6.3 442 6.0 辞書(女子名)と一致 269 4.5 387 5.1 401 5.1 402 5.5 辞書(男子名)と一致 4,708 79.2 5922 78.4 6203 78.6 5623 76.6 辞書と不一致 370 6.2 470 6.2 468 5.9 442 6.0 外国人名(カタカナ、中国・台湾・韓国等 219 3.7 292 3.9 322 4.1 430 5.9 合計発明者数 5,941 100.0 7557 100.0 7890 100.0 7339 100.0 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度 7.6 8.3 8.6 8.7 4.5  5.1  5.1  5.5  8.0  9.3 11.4 0 5 10 15 20 25 30

FY2004 FY2005 FY2006 FY2007 割 合( %) 女性発明者の割合推定 国立大学における男女共同参画推進の実施に関する追跡調査 最大 最少

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