Komazawa University
NII-Electronic Library Service 『
禅
源
諸
詮
集
都
序
』の
訳
注
研
究
(五
)小 石
井
丿
修
隆
道
N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
Kom 三1z三1w三1 Umversrty 几
例 一 、 凡 例 は 『 駒 沢 大 学 仏 教 学 部 研 究 紀 要 』 第 五 十 四 号 に 準 ず る 。
巻
〔 〔 〔 〔 〔 〔 〔 〔 八 七 六 五 四 三 二 上 一 〕 〕 〕 〕 〕 〕 〕 〕 禅 源 諸 詮 集 都 序 目 次 裴 休 の序
駒 澤 大 學 佛 教 學 部 研 究 紀 要 第 五 十 五 號 禅 源 諸 詮 集 と は 何 か 根 源 と し て の禅
五 種禅
の 分 類−
禅
の 四種
と 達 磨 禅 な ぜ 教 家 の 人 は禅
宗 を誹
謗
す る か な ぜ 教 禅 一 致 を 主 張 す る か禅
偈 を纂
集 す る 意 図禅
語 の 性格
平 成 九 年 三 月 〔 〔 〔 〔 〔 〔 〔 〔 〔 〔 〔 〔Si
L
△ 占 さ 型
記
ロ9
空
〔 二 一 〕禅
偈 を纂
集 す る 必 要 性禅
語 と 経 文 と の 関 連 を証
明 す る 十 の 理 由 教禅
一 致 の 正 当 性 い か に し て 禅 宗 諸 派 の 教 説 を 整 理 す る か 禅 の 邪 正 を 定 め る 基準
は 経論
で あ る 経 の 真 仮 は仏
意 に よ る 因 明 の 三 量 よ り み た 経文
の 必 要 性禅
宗 に 対 す る 疑 問 や 批難
『 起 信 論 』 の 法 と 義 よ り み た 教禅
一致
の 正 当 性 四 種 の 心頓
と漸
と は 矛盾
し な い真
の禅
は頓
悟 と漸
悟 を そ な え て い る ( 以 上 『紀
要 』 第 五 十 三 号 )禅
の 三宗
と 教 の 三 教 一 九Komazawa University
NII-Electronic Library Service Kom 三1z三1w三1 Umversrty 『 禅 源 諸 詮 集 都 序 』 の 訳 注 研 究 ( 五 ) ( 石 井 ・ 小 川 )
巻
n n m @ ロ ロ m ロ ロ ロ ロ ロ@ n ロ ロロ
翫
荒
美論
≡
下≡
三
δ堯
荒
話 壼 〕 〕 l 〕 L ノ 〕 〕 〕 L ノ 〕 〕 〕@ 〕@ 〕 〕〕
〕 息 妄 修
宗
泯 絶寄
宗
真 顕 心性
宗
密 意 依 性 説相
教 ( 以『
紀
要 』 第 五十
四
号 )ォ
識
破 境 教 と 息修
心
宗 密 意 破 相 顕性
教ァ
意破
相 顕 性 教と
泯
絶 無 寄 宗 顕 示 真 心 即 性 教(
以
上 『 論 集』
第
二 十 七)
達 磨 禅 と 知 の 一 字 衆 妙門
自 性清
浄
心
を
い
か
に
修
す
る
か 絶 対 の 心 以 上 今 号)
空宗
性 宗 の 十 の 相 点法
と 義 の釈
の相
違 性と
心相
違 性 の解
釈 の 相 違智
と 知 の 解 釈 の 相 違有
我 と無
我 の 解 釈相
違 真理
あ らわ し方 の相 違i 消極 性と 積極 性 名 と体の相違 n ロ ロ m n@n
r
− ’JN
n
n
n
s7
n
n
五 五五
五 五 五 五 五 五 五 四 四 四 四四 四四 四 九 八七 六五 四 三 ニ ー 〇 九 八 七 六 五 四 三 ニ ー 〕 〕 〕 〕 〕 〕 〕 〕 〕 〕〕
一 ノ〕
〕〕
〕〕 二 〇 二 諦 と
諦
の 解 釈 の 相 違 三 性 説 の 解 釈 の 相 仏 徳 の 有 無に
つ
い
て の 相 違 禅の
宗
は 根 本 に お い て 一つ
で あ る 頓 教の
二 の 意 味 逐 機の
頓 と 化 儀の
頓
頓漸
の
種 々 な 解釈
一 真心
体こ そ 教 法 の 根 源 で る 仏 が 経 を 説 い た 本 意 仏 の 本意
と三
種
の 教と
衆 生 、悟
迷
と の 関 係す
が た 迷 いの
程
ー 凡 夫 の 相 − 悟 り へ の 道 悟 り と 迷 い体
系
を 図 示 す る 由 悟 と 迷 い の式
蛯 閧ニ迷い の図 式によ っ て 反 省自覚すべき こ と 修道 の 心 が ま えKomazawa University
NII-Electronic Library Service Kom 三1z三1w三1 Umversrty 〔 三 〇 〕 達 磨
禅
と 知 の 一 字 衆 妙 の 門 (1
)既
馬 鳴標
心 爲本
源、 文 殊 揀 知爲
眞 體 、 如何
破 相 之 黨 但 云 寂 滅、 不 許眞
知
、 説 相 之 家、 執 凡 異 聖 、 不 許 師 佛 。 今 約佛
教
到
定
、 正爲
斯 人 。 故前
叙 西 域傳
心 、多
兼經
論 、無
異
途 也 。 但 以 此 方 迷 心 執 文 、 以名
爲
體 故 、 達 磨 善 巧 、 揀 文 傳 心 、 標 擧 其毳
堤 黙 示證
螺
是 聯 以鬚
蜘 棚令
絶 諸 縁 。 譖 縁 絶 時 、 隙 斷滅
否
。 引 。答
、 錐 絶 諸 念 、 亦 不斷
滅
。 問 、 何 以證
驗
、 云 不 斷滅
耶 。 答 、 了 了 自 知、 言 不 可み 及 。 師 部 印 云 、 只 此 是
自
性
清 淨 心 、 更 勿 疑 也 。 若 所答
不契
、 但遮
諸
非
、更
令觀
ネ
察
、畢
竟
不 與 他 先 言 知字
。直
待 他 自 言 、方
驗實
是
。親
證 其體
、然
後
印 之、令
絶 餘 疑 。故
云 黙傳
心 印 。 所 言黙
者
、 唯 黙 知字
、 非惣
不 言 。 六代
相傳
、 皆 如 此 也 。 (2
) 至 荷 澤時
、 他 宗競
播
、 欲 求 黙 契 、 不 遐機
縁
、 又 思 惟達
磨 懸 絲 之 記 困 鍵 蠕鏨
ハ娵 鰍 紺 呱 叩
恐
宗 旨 滅絶
、 遂 明 言 知 之 一 字衆
妙
『 禅 源 諸 詮 集 都 序 』 の 訳 注 研 究 ( 五 )( 1 ) え ら ( 2 )
既
に 馬 鳴 は 心 を 標 し て 本 源 と為
し 、 文 殊 は 知 を 揀 ん で真
体
と 為 せ る に 、如
何 ぞ( 3 )
破
相
の 党 、 但 だ寂
滅
を の み 云 い て 、 真 知 を 許 さず
、 説相
の家
、 凡 の 聖 に 異 な る こ( 4 ) と に の み 執 し て 、 即 仏 を 許 さ ざ る や 。
今
、 仏 の 教 に 約 し て判
定 す る は 、 正 し く斯
の 人 の 為 に す 。 故 に前
に 西 域 の 心 を 伝 う る は多
く 経 論 を兼
ね て 、 異 途 無 き こ と を の ( 5 ) み う し な叙
べ た り 。 但 だ 此 方 は 心 を 迷 い 文 に 執 し 、 名 を 以 て体
と為
す が 故 に 、達
磨
は善
( 6 ) ( 7 ) 巧 も て 、 文 を 揀 ん で 心 を 伝 え 、 其 の 名 く 心 は 是 れ 名 な りV
を標
挙
し て 、 其 の 体 く 霊( 8 ) お し ( 9 ) 知 は 是 れ 心 な り
V
を 黙 示 し 、 喩 う る に 壁観
を 以 て し て く 上 に 引 き し 所 の 如 しV
、 諸 縁( 10 ) を 絶 た し め た る な り 。 「
諸
縁
の 絶 す る 時 、 問 う 、 断 滅 す る や 否 や 」 。答
う、 「諸
々 の念
を絶
す と 雖 も、 亦 た 断 滅 せ ず 」 。 問 う 、 「 何 を 以 て 証 験 し 、 断滅
せず
と 云 う や 」 。 答 う 、 「 了 了 と し て 自 知 す 、 言 は 及 ぶ べ か ら ず 」 。 師 即 ち 印 し て 云 く 、 「 只 だ 此 れ( 11 ) ぞ 是 れ
自
性
清 浄 の 心 な り 、 更 に疑
う こ と 勿 れ 」 。若
し答
う る 所契
わ ず ん ぽ、 但 だた め 諸 々 の
非
を 遮 す る の み に し て 、更
に 観 察 せ し め 、 畢竟
、 他 の 与 に 先 に は 知 の 字 をは じ め あ か 言 わ
ず
。直
に 他 の自
ら 言 う を 待 っ て 、 方 て実
に 是 れ な り と験
す 。 其 の 体 を 親 証 し( 12 ) て 、
然
る後
に 之 れ を印
し 、 余 の疑
を絶
た し む る な り 。 故 に 黙 し て 心印
を 伝 う と 云 う 。言
う所
の 黙 と は 、 唯 だ 知 の字
を黙
す る の み 、 総 べ て 言 わ ざ る に は 非 ず 。 六代
の 相伝
は皆
な 此 の如
く な り 。 ( 13 ) 荷 沢 の 時 に 至 っ て 、 他 の 宗 競 播 し 、 黙 契 を求
め ん と 欲 す る も、機
縁
に 遇 わ ず 、( 14 ) 又 た
達
磨
の 懸 糸 の 記 〈 達 磨 云 く、 「 我 が 法 は 第 六 代 の 後 は 命 は 懸 糸 の 如 き な り 」 〉 を 思惟
か く ( 15 ) し、
宗
旨 の 滅 絶 せ ん こ と を 恐 れ て 、 遂 て 明 か に 知 の 一 字 衆 妙 の 門 な り と 言 い 、 学 ( 石 井 ・ 小 川 ) 二 一 N工 工一Eleotronlo LlbraryKomazawa University
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『 禅 源 諸 詮 集 都 序 』 の 訳 注 研 究 ( 五 ) ホ 之 門、
任
學
者 悟 之 淺深
、 且 務 圖 宗 教 不 斷 。亦
是
此 國 大 法、運
數所
至 、 一 類道
俗 、 合得
普
聞 。 故感
應 如 是 。其
黙 傳者
、餘
人 不 知 、 故 以 袈 裟爲
信 。其
顯 傳 者 、 學 徒 易 辨 、但
以 言 説 除疑
。 況 既 形 言、 足 以 經 謝 爲 證 ・ 前舞
難 云、 今 時 傳 法 者馨
慕
猿
以 此 答 也 。 法 是 達 磨 之 法、 故 聞 者 淺 深 皆 釜 。 但 昔 密 而 今 顕、 故 不 名 ホ ネ 密 語 。 豈 可 名 別 而 法 亦 別 。 ( 石 井 ・ 小 川 ) 二 二 ( 16 ) 者 の 之 れ を 悟 る の浅
深
に 任 す も 、 且 ら く 宗 教 の断
ぜ ざ る を 務 め 図 れ り 。 亦 た 是 れ ま さ 此 の 国 の 大法
の 運 数 の 至 る 所 、 一類
の 道 俗 、 合 に 普 ね く 聞 く を得
べ き も の た り 。 し る し 故 に 感 応 す る こ と 是 の 如 し 。 其 の 黙 伝 は、余
人 知 ら ず 。 故 に 袈裟
を 以 て 信 と 為 ( 17 ) す 。其
の 顕 伝 は、 学 徒 も 弁 じ 易 け れ ば 、 但 だ 言説
を 以 て 疑 を除
く の み 。 況 ん や 既 あ ら に 言 に 形 わ せ ば 、 経論
を 以 て 証 と 為 す に 足 る を や 〈 前 に 叙 す 外 難 に 云 く、 「 今 時 の 伝 い な ( 18 ) 法 者 は 密 語 を 説 く や 不 や 」 と 。 今 ま 此 を 以 て 答 う る な り 。 法 は 是 れ 達 磨 の 法 、 故 に 聞 者 は 浅 に て も 深 に て も 皆 な 益 す 。 但 だ 昔 は 密 に し て 今 は 顕 な れ ば、 故 に 密 語 と 名 づ け ず 。 豈 に 名 別 な れ ぱ 法 も 亦 た 別 な る べ け ん や 〉。N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
Kom 三1z三1w三1 Umversrty * 標 11 標 ( 底 ) ( 高 ) ( 弘 ) 、 以 下 同 。 * 異 n 二 ( 高 ) ( 弘 ) ( 明 ) 。 * 〈 名
V
” 〈 名 也V
( 高 ) ( 弘 ) ( 明 ) 。 * 〈 靈V
月 ナ シ ( 高 ) ( 弘 ) ( 明 ) 。 * 〈 心 〉 ロ 〈 心 也 〉 ( 高 ) ( 弘 ) ( 明 ) 。 * 喩 H 論 ( 底 ) 。 * 〈 引V
貯 〈 叙 〉 ( 高 ) ( 弘 ) ( 明 ) 。 * 諸 縁 絶 冂 絶 諸 縁 ( 高 ) ( 弘 ) 門 問 諸 縁 絶 ( 明 ) 。 * 問 ” 有 ( 明 ) 。 * 何 以 “ 以 何 ( 高 ) ( 弘 ) ( 明 ) 。 * 耶 H ナ シ ( 高 ) ( 弘 ) ( 明 ) 。 * 心 ” ナ シ ( 底 ) 。 * 但 ” 即 但 ( 高 ) ( 弘 ) ( 明 ) 。 * 他 ” ナ シ ( 明 ) 。 * 言 ” 悟 ( 高 ) ( 弘 ) ( 明 ) 。 * 實 n 眞 實 ( 高 ) ( 弘 ) 。 * 〈 絲 〉 冂 〈 絲 也 〉 ( 高 ) ( 弘 ) 。 * 明 門 ナ シ ( 高 ) ( 弘 ) 。 * 淺 深 悶 深 淺 ( 高 ) ( 弘 ) 。 * 辨 凵 辯 ( 高 ) ( 弘 ) 。 * 以 H 可 引 ( 高 ) ( 弘 ) ( 明 ) 。 * 論 旺 論 等 ( 明 ) 。 * 〈 不 〉 踊 く 否V
( 高 ) ( 弘 ) ( 明 ) 。 * 〈 今V
“ 〈 余 今 〉 ( 高 ) ( 弘 ) 。 * 〈 淺 深 〉 門 く 深 淺V
−ー ( 高 ) ( 弘 ) 。 * 〈 而 〉 劉 ナ シ ( 高 ) ( 弘 ) ( 明 ) 。 * 〈 別 〉 冂 〈 別 也 〉 ( 高 ) ( 弘 ) 冂 〈 別 耶 〉 ( 明 ) 。 え ら や か ら (1
) 馬鳴
は 心 を 本 源 と し て 示 し 、 文 殊 は 知 を 真 体 と し て 揀 び 出 し て い る の に 、 ど う し て破
相 の党
は 、 た だ寂
滅
だ け を 言 っ や か ら て真
知 を認
め よ う と し な い の か 。 ま た 、 説 相 の 象 は 、凡
夫 が 聖 人 と 異 な る こ と に の み 執 着 し て 、 即 仏 を 認 め よ う と し な い の か 。今
、仏
の 教 え に 照 ら し て 判 定 す る の は 、 正 し く こ う し た 人 の為
で あ る 。 そ れ故
、 前 に述
ぺ た よ う に 、 イ ン ド に お け る 心 の伝
授 で は 、 そ こ に 経論
を兼
ね る の が普
通 で あ っ て 異 な っ た 途 が あ る 訳 で は 無 か っ た の に、 た だ 中国
に お い て は、 心 を 見 失 っ て文
字 に執
着
し 、 名辞
を 本体
と 思 い な す よ う に な っ て い た た め 、達
磨
は 善 巧方
便
で文
字
を 捨 て て 心 を伝
え 、 そ の 名 を 表 し て 〈 心 れ し は 名 前 で あ る 〉 そ の 本体
は 無 言 で 示 し 〈 霊 知 は 心 で あ る 〉 、 壁 観 ( 心 が 壁 の よ う で あ る と 観 察 す る ) を 喩 え て く 上 に 既 に 引 用V
諸 々 の 心 の 攀縁
を 絶 ち 切 ら せ た の で あ っ た 。Komazawa University
NII-Electronic Library Service Kom 三1z三1w三1 Umversrty (
達
暦 ) 、 「 諸 々 の 心 の 攀 縁 を 絶 ち切
っ た 時、 さ て 、 ( 心 は ) 断 滅 し て し ま う の か 」 。( 慧 可 )
答
う 、 「 諸 々 の念
は絶
ち 切 る け れ ど も 、 断滅
す る こ と は な い 」 。 問 う 、「 ど の よ う な
証
拠 で も っ て 断滅
し な い と 言 う の か 」 。 答 う 、「
あ
り あ り と自
ず
か ら 知 る が 、 言葉
で は 言 う こ と が で き な い 」 。師
( 達 磨 ) は そ こ で そ れ を 印 証 し て 言 っ た 、 「 他 な ら ぬ そ れ こ そ が自
性清
浄 の 心 で あ る 。 決 し て 疑 っ て は な ら ぬ 」 。 あ や ま り つ ま り、 答 え が ピ タ リ と 合致
し て い な い う ち は 、 た だ 諸 々 の 非 を 否定
す る だ け で更
に つ づ け て 観察
さ せ 、 け し て先
に 「 知 」 の字
を 言 っ て や っ た り は し な い 。 そ の 人 自 ら が言
う の を待
っ て は じ め て そ の と お り だ と 言 い 、 自身
で そ の 本 体 を証
明 し た そ の 上 で こ れ を 印 証 し 、 の こ り の疑
い を 絶 ち 切 ら せ る の で あ る 。 そ れ 故 に 「黙
っ た ま ま 心 の 印 を 伝 え る 」 と 言 う の で あ る 。 こ こ で 言 う 「 黙 る 」 と は 、 た だ 「 知 」 の 字 を 言 わ ぬ こ と で あ っ て 、全
く も の を 言 わ な い わ け で は な い 。 六代
の 祖 師 の 相 伝 は皆
な こ の よ う で あ っ た 。 (2
) と こ ろ が 、荷
沢 神 会 の 時代
に な る と、 他 の 宗 派 が 競 っ て伝
播
し 、 黙 っ た ま ま の契
合 を求
め よ う と し て も 、 機 縁 は契
わ な つ り さ が つ た お し え く な っ て い た 。 ま た 、 神 会 は 、達
磨
が 言 っ た 「懸
糸 の よ う だ 」 と 言 う 予 言 〈 達 磨 は 「 吾 が 法 は 第 六 代 の 後 は、 ( そ れ を 伝 え ら れ た 人 の ) 命 が 懸 糸 の よ う に 危 う く な る 」 と 言 っ た 〉 を 思 い
起
こ し た 。 そ こ で 、 神会
は 宗 旨 が 絶 滅 し て し ま う こ と を 恐 れ 、 か く し て 「 知 の 一 字 衆 妙 の 門 」 と は っ き り と 口 に 出 し て 説き
、 修 行 者 の悟
り の 浅 い深
い は と も か く と し て 、 と り あ え ず 根本
の 教 え が 断 絶 し な い よ う に 務 め た の で あ る 。 一方
、 こ の 国 の大
法 の 展 開 の 必 然 と し て 、 あ る種
の 道 俗 た ち も 、 そ れ を 普 ね く聞
く こ と が で き る 段階
に な っ て い た 。 そ れ 故 に こ の よ う な 感 応 が起
こ っ た の で あ る 。黙
っ た ま ま に 伝 え る も の は 、 他 人 に は 知 る こ と が で き あ ら わ な い か ら 、 袈 裟 を 証拠
の 品 と し た 。 顕 に 伝 え る も の は 、 学 ぶ 者 も 見 分 け が つ き 易 い の で 、 た だ 言 葉 で 疑 い を 除 く の み で あ っ た 。 ま し て 言 葉 に 表 さ れ た も の は、 経 論 で証
明 と す る こ と が でき
る で は な い か 〈 前 に 述 べ た 外 か ら の 非 難 に、 「 今 時 の 法 を 伝 え る 者 は 秘 密 の 言 葉 を 説 く か 」 と い う の が あ っ た 。 今 こ れ を も っ て そ の 答 え と す る 。 法 は 達 磨 の 法 で あ る か ら 、 聞 く 者 は 深 浅 に か か わ ら ず 皆 な 利 益 を 受 け る 。 た だ 昔 は 秘 密 で あ っ た も の が 今 は 顕 わ と な っ て い る の で 、 そ れ 故 に 密 語 と は 名 づ け な い 。 名 が 別 で あ る か ら と い っ て、 ど う し て 法 も 別 で あ ろ う か 〉 。 ( 1 ) 馬 鳴 は … … 門 二 九 段 お よ び そ の 注 ( 20 ) 参 照 。 ま た 、 一 七 段 と そ の 注 (9
) に も 示 し た よ う に 、 『 起 信 論 』 の 「 立 義 分 」 の 「 言 う 所 の 法 と は 衆 生 心 を 謂 う 。 是 の 心 は 則 ち 一 切 の 世 間 法 と 出 世 門 法 と を 摂 す れ ぽ、 此 の 心 に 依 り て、 摩 訶 衍 の 義 を 顕 示 す れ ば な り。 何 を 以 『 禅 源 諸 詮 集 都 序 』 の 訳 注 研 究 ( 五 ) ( 石 井 ・ 小 川 ) 二 三 N工 工一Eleotronlo LlbraryKomazawa University
NII-Electronic Library Service Kom 三1z三1w三1 Umversrty 『 禅 源 諸 詮 集 都 序 』 の 訳 注 研 究 ( 五 ) ( 石 井 ・ 小 川 ) 二 四 て の 故 に 。 是 の 心 の 真 如 の 相 は 即 ち 摩 訶 衍 の 体 を 示 す が 故 な り 、 是 の 心 の 生 滅 の 因 縁 の 相 は 能 く 摩 訶 衍 の 自 の 体 と 相 と 用 と を 示 す が 故 な り 」 ( 岩 波 文 庫 本 二 三 頁 ) を 踏 ま え る 。 馬 鳴 に つ い て は、 一 一 段 注 (
8
) 参 照 。 同 注 に 馬 鳴 と 『 起 信 論 』 の 関 係 に つ い て も 触 れ て お い た 。 『 円 覚 経 大 疏 』 の 宗 密 の 「 序 」 の 「 常 楽 我 浄 は 仏 の 徳 な り 。 一 心 に 本 つ く 」 ( 続 蔵 経 一 四 ー 一 〇 八 左 下 ) を 『 大 疏 鈔 』 巻 一 上 に 釈 し て い う 。 「 疏 に 一 心 に 本 つ く と は、 上 に 引 く 所 の 論 の 中 の 真 如 の 四 徳 の 文 な り 。 是 れ 立 義 分 の 中 に、 論 主 は 総 じ て 一 心 を 立 て て 本 と 為 す 。 中 に 於 て、 真 如、 生 滅 の 二 門 有 り。 心 真 如 は 常 等 の 四 徳 を 具 す 。 心 生 滅 の 中 に 始 本 不 二 を 究 竟 覚 と 為 す も、 亦 た 是 れ 四 徳 な り 。 み 『 勝 鬘 』 等 の 意 も 皆 な 然 り 。 故 に 知 り ぬ、 倒 正 の 常 等 も 並 な 心 を 離 れ ず 。 仏 も 亦 た 一 心 に あ ら ざ る は 無 し 」 ( 同 − 二 〇 八 左 上 ) 。 論 主 は も ち ろ ん 『 起 信 論 』 の 撰 者 の 馬 鳴 を さ す。 ( 2 ) 文 殊 は 知 を … … 囗 『 華 厳 経 』 巻 一 三 の 菩 薩 問 明 品 の 文 を さ す 。 二 九 段 お よ び そ の 注 (22
) に 詳 細 に 述 べ ら れ て い る の を 参 照 さ れ た い。 ( 3 ) 破 相 の 党 … … ” 密 意 破 相 顕 性 教 を さ し、 二 七 段 に そ の 説 を 示 す。 集 団 と し て は、 三 論 宗 を 中 心 に 考 え て い る 。 ( 4 ) 説 相 の 家 … … n 密 意 依 性 説 相 教 を さ し、 二 五 段 に そ の 説 を 示 す 。 集 団 と し て は 、 法 相 宗 を 中 心 に 考 え て い る 。 ( 5 ) 前 に 西 域 の 心 … … 11 一 一 段 を さ す 。 (6
) 善 巧 肘 善 巧 方 便 の こ と 。 九 段 注 ( 2 ) 参 照 。 (7
) 但 だ 此 方 は … … 凵 『 円 覚 経 大 疏 』 巻 上 一 に、 法 蔵 の 五 教 判 の 頓 教 を 説 い て い う 。 「 四 に 頓 教 と は、 但 だ 一 念 生 ぜ ざ る を 即 ち 名 づ け て 仏 と 為 す 。 地 位 漸 次 に 依 ら ず し て 説 く が 故 に 立 て て 頓 と 為 す 〈 『 思 益 』 に 云 く、 「 諸 法 の 正 性 を 得 る 者 は、 一 地 よ り 一 地 に 至 る に あ ら ず 」 。 『 楞 伽 』 に 云 く、 「 初 地 は 即 ち 八 と 為 し 乃 至 所 有 無 き に 何 ぞ 次 せ ん 」 〉 。 総 じ て 法 相 を 説 か ず、 唯 だ 真 性 の み を 弁 ず。 一 切 の 所 有 は 唯 す べ だ 是 れ 妄 想 な る の み に し て、 一 切 の 法 界 は 唯 だ 是 れ 絶 言 な る の み 。 五 法 ・ 三 自 性 は 皆 な 空 に し て、 八 識 ・ 二 無 我 は 都 て 遣 る 。 教 を 呵 し ニ ほ 離 を 勧 め、 相 を 毀 ち 心 を 泯 ず 。 心 を 生 ず れ ぽ 即 ち 妄 に し て、 生 ぜ ざ れ ば 即 ち 仏 な り 。 亦 た 仏 も 無 く 不 仏 も 無 く、 生 も 無 く 不 生 も 無 し 。 あ ら わ 浄 名 の 黙 住 の 如 き は、 是 れ 其 の 意 な り 。 問 う、 「 此 れ 若 し 是 れ 教 な ら ば、 更 に 何 ぞ 是 れ 理 な ら ん 。 」 答 う 、 「 頓 に 此 の 理 を 詮 す が 故 に 頓 教 と 名 つ く 」 。 別 に 一 類 の 念 を 離 る る 機 の 為 に 、 故 に 亦 た 相 〈 空 と 有 な り 〉 に 滞 る の 人 を 対 治 す べ し 。 故 に 即 ち 禅 宗 に 順 ず る な り 」 ( 続 蔵 巻 一 四 ー 一 一 六 右 上 ) 。 こ の 文 を 『 円 覚 経 大 疏 鈔 』 巻 三 上 に 釈 し て お り、 既 に 二 七 段 の 注 (10
) お よ び 一 六 段 の 注 ( 8 ) に 引 用 し た 。 そ の 最 後 の 一 部 は 次 の よ う に な る 。 「 即 ち 禅 宗 に 順 ず る と は、 達 磨 大 諦 の 心 を 以 て 心 に 伝 う る と は、 正 し く 斯 の 教 を 用 う る な り 。 若 し ご 言 を 指 し て 以 て 直 に 即 心 是 仏 を 説 く に あ ら ず ん ば 、 心 要 は 何 に 由 り て か 伝 う べ け ん 。 故 に 無 言 の 言 に 寄 せ て、 直 に 言 絶 の 理 を 詮 と ど わ す な り 。 教 も 亦 た 明 ら か な り 。 南 宗 の 禅 門 は 、 正 し く 是 れ 此 の 教 の 旨 な り 。 北 宗 は 漸 に 調 伏 す る と 雖 も 、 然 も 亦 た 名 言 に 住 ま ら ず 。 皆 な 頓 教 を 出 で ざ る な り 。 故 に 禅 宗 に 順 ず る と 言 う な り 」 ( 同 − 二 六 三 左 上 ) 。 同 様 の 文 が 『 略 疏 』 巻 上 一 ( 同 巻 一 五i
六 〇 右 下 ) と 『 略 疏 鈔 』 巻 四 ( 同 一 二 四 右 下 〜 左 下 ) に も 見 え る 。 こ れ ら の 説 は 、 元 来 、 澄 観 の 『 演 義 鈔 』 巻 八 ( 大 正 巻 三 六 ー 六 二 ab ) . に よ る 。 な お、 以 心 伝 心 不 立 文 字 の 語 釈 に つ い て は 、=
段 と そ の 注 (13
) お よ び 一 六 段 と そ の 注 (8
) を 参 照 。 ま た 、 『 裴 休 拾 遺 問 』 ( 前 掲 書 ) 三 一 頁 参 照。 (8
) 霊 知 は 是 れ 心 な り 昌 崇 禎 元 年 ( 一 六 二 八 ) の 朝 鮮 本 や 元 禄 十 一 年 ( = ハ 九 八 ) 本 u 大 正 蔵 経 甲 本 は 「 知 是 体 也 」 に 作 り 、 鎌 田 本 も こ N工 工一Eleotronlo LlbraryKomazawa University
NII-Electronic Library Service Kom 三1z三1w三1 Unlverslty れ に 従 う 。 (
9
) 上 に 引 き し … … 冂 二 六 段 お よ び そ の 注 ( 20 ) 参 照 。 (10
) 「 諸 縁 の 絶 す る … … H 既 に 二 六 段 と そ の 注 ( 20 ) お よ び 二 九 段 の 注 (7
) に 指 摘 す る よ う に 、 以 下 の 問 答 は 『 伝 燈 録 』 巻 三 の 菩 提 達 た 磨 章 に 引 用 さ れ る も の 。 「 『 別 記 』 に 云 く 、 師、 初 め 少 林 寺 に 居 す る こ と 九 年 な り 。 二 祖 の 為 に 説 法 す 。 祇 だ 教 え て 曰 く、 「 外 は 諸 縁 を あ え 息 め、 内 心 は 喘 ぐ こ と 無 く、 心 は 牆 壁 の 如 く、 以 て 道 に 入 る べ し 」 。 慧 可 は 種 種 に 心 性 の 理 を 説 く も 道 は 未 だ 契 わ ず。 師 は 祇 だ 其 の 非 す で を 遮 す る の み に し て 、 為 に 無 念 の 心 の 体 を 説 か ず 。 慧 可 曰 く、 「 我 れ 已 に 諸 縁 を 息 む 」 。 師 曰 く、 「 断 滅 を 成 し 去 ら ざ る こ と 莫 し や 」 。 可 曰 く 、 「 断 滅 を 成 さ ず 」 。 師 曰 く、 「 何 を 以 て 之 れ を 験 し 、 断 滅 せ ず と 云 う や 」 。 可 口 く 、 「 了 了 と し て 常 に 知 る。 故 に 言 の 及 ぶ べ か ら ず 」 。 師 曰 く、 「 此 れ は 是 れ 諸 仏 の 伝 う る 所 の 心 の 体 な り 。 更 に 疑 う こ と 勿 れ 」 」 ( 禅 文 化 研 究 所 本 三 三 頁 ) 。 宗 密 の 壁 観 の 解 釈 に 関 し て 、 こ の 『 別 記 』 を 問 題 に し た の が、 柳 田 聖 山 『 初 期 禅 宗 史 書 の 研 究 』 ( 前 掲 書 ) 四 二 六 〜 八 頁 で あ る。 (11
) 自 性 清 浄 の 心 門 前 段 を 踏 ま え て 底 本 は 「 自 性 清 浄 」 に 作 る も、 他 本 に よ り 「 心 」 を 補 う 。 前 段 の 『 別 記 』 で は 「 諸 仏 所 伝 心 体 」 に 作 る 。 ( 12 ) 黙 し て 心 印 を 伝 う 群 『 円 覚 経 大 疏 』 巻 上 二 の 「 八 の 修 証 階 差 と は 、 謂 く、 若 し 但 だ 教 文 の み に 約 せ ば、 唯 だ 義 解 の み を 生 ず 。 詮 を 忘 れ て 修 証 す る に、 復 た 其 の 門 有 り 」 ( 続 蔵 巻 一 四 ー 一 一 九 左 上 ) を 『 大 疏 鈔 』 巻 三 下 に 「 禅 宗 を 叙 ぶ 」 と し て 釈 し て 言 う 。 「 初 中 に 二 に ム あ き ら か 分 つ 。 初 め は 前 を 躡 み 後 を 標 す 。 中 に 於 て、 初 の 二 句 は 前 の 七 門 を 躡 み 、 七 門 は 皆 な 仏 の 言 教 を 論 ず 。 教 は 義 を 詮 に し、 教 に 約 し て も 義 を 解 す 。 但 だ 是 れ 聞 慧 の 境 な る の み 。 設 し 自 ら 義 に 依 り て、 観 察 思 惟 す る も、 思 う 所 の 義 も 亦 た 唯 だ 思 慧 の 境 な る の み 。 皆 な 未 だ 是 れ 縁 を 忘 じ て 寂 照 す る こ と あ ら ず 。 若 し 上 上 根 智 な ら ば、 即 ち 言 に 即 し て 言 を 忘 れ、 相 に 即 し て 相 を 忘 る 。 此 に 復 び は 論 ぜ ず 。 今 ま 中 ラ こ の か 下 の 流 の 為 に、 須 く 機 を 忘 れ 志 を 寂 す る の 方 便 を も て 慧 を 発 し 証 に 契 う の 玄 門 を 開 く べ し 。 故 に 西 域 ・ 束 夏 に、 上 を 承 け て よ り 已 来 た、 斯 の 宗 有 り 。 已 下 の 二 句 は 後 を 標 す 。 詮 を 忘 る 等 と 言 う は 、 意 は 上 の 釈 の 如 し 。 詮 と は、 詮 量 揀 択 の 謂 な り 。 即 ち能
詮 の 教 な り 。 忘 と は、 即 ち 『 周 易 略 例 』 の 中 に、 言 を 将 っ て 象 を 顕 わ し、 象 を 得 て 言 を 忘 れ 、 象 を 以 て 意 を 顕 わ し 、 意 を 得 て 象 を 忘 る 。 筌 蹄 を 以 て あ も ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ へ も も ヘ ヘ ヘ ヘ へ 魚 兎 を 取 る が 如 き 等、 前 に 巳 に 釈 有 り 。 復 た 其 の 門 有 り と は、 必 ず し も 経 論 を 攀 縁 せ ず 、 白 ら 黙 し て 心 印 を 伝 う る 門 有 る な り 」 ( 同 ー 二 七 五 左 上 ) 。 因 み に こ こ に 引 く 王 弼 『 周 易 略 例 』 明 象 の 釈 は 、 『 大 疏 鈔 』 巻 一 下 ( 同 ー 二 ニ ニ 右 下 〜 左 上 ) に 見 ゆ 。 (13
) 荷 沢 の 時 ” 荷 沢 神 会 の 知 の 主 張 に つ い て は、 特 に 一 二 段 の 注 (3
) 参 照 。 (4
ユ ) 達 磨 云 く … … 月 同 様 の 文 が、 一 一 段 の 注 ( 15 ) の 達 磨 伝 に 出 づ 。 『 神 会 語 録 』 の 達 磨 章 に 、 「 第 六 代 の 後 に 至 り て 法 を 伝 え る 者 は、 命 は 懸 糸 の 如 し 」 ( 鈴 木 ・ 公 田 校 訂 本 五 四 頁 ) と あ る 。 同 文 は 『 裴 休 拾 遺 間 』 ( 前 掲 論 文 ) 二 五 頁 に も 出 づ 。 (15
) 知 の 一 字 … … ロ ニ 四 段 お よ び そ の 注 (14
) と 二 九 段 の 注 (22
) 参 照 。 『 円 覚 経 大 疏 鈔 』 巻 一 上 に は、 「 知 の 一 字、 衆 妙 の 門 。 恒 沙 の 仏 法 は 此 に 因 り て 成 立 す 」 ( 続 蔵 巻 一 四 − 二 一 三 右 下 ) と あ る 。 ま た 、 「 善 男 子 。 無 上 の 法 王 に 大 陀 羅 尼 門 有 り て 名 づ け て 円 覚 と 為 す 」 の 経 文 の 「 門 」 を 『 大 疏 』 巻 上 三 に 釈 し て 言 う 。 「 門 と は 、 是 れ 出 と 入 と の 義 あ り 。 出 と は、 一 切 の 染 浄 の 諸 法 は、 皆 な 円 覚 よ り 流 出 す 〈 浄 よ り 出 つ る は 次 の 文 の 如 し 。 染 よ り 出 つ る は 下 の 文 の 如 し 〉 。 入 と は 、 若 し 円 覚 を 悟 ら ば、 則 ち 百 千 万 法 は 悉 く 皆 な 悟 入 す 。 故 に 『 禅 源 諸 詮 集 都 序 』 の 訳 注 研 究 ( 五 ) ( 石 井 ・ 小 川 ) 二 五 N工 工一Eleotronlo LlbraryKomazawa University
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『 禅 源 諸 詮 集 都 序 』 の 訳 注 研 究 ( 五 ) ( 石 井 ・ 小 川 ) 二 六 さ と 下 の 文 に 云 く、 覚 円 明 の 故 に 心 清 浄 を 顕 わ す 。 乃 至、 偏 満 等 な り 。 是 に 知 り ぬ、 万 法 を 了 ら ん と 欲 せ ば、 須 く 円 覚 の 中 よ り 入 る べ し 。 又 た 本 よ り 末 を 起 こ す を 出 と 為 し、 末 を 摂 め て 本 に 帰 す る を 入 と 為 す 。 之 れ に 迷 わ ば 則 ち 出、 之 れ を 悟 ら ぽ 則 ち 入 な り 。 出 と 入 と の 義 有 る が 故 に 名 づ け て 門 と 為 す 。 此 中 の 門 と は、 是 れ 根 本 の 義 な り 。 世 法 の 門 は 浅 く 室 は 深 ぎ と 同 じ か ら ず。 故 に 『 宝 積 経 』 に 次 前 を 連 ね て 云 く、 是 の 門 に 由 り 故 に 広 大 差 別 の 覚 慧 を 出 生 す。 此 は 則 ち 無 門 の 門 な り、 門 清 浄 な る が 故 に 。 形 相 の 門 は 、 則 ち 門 に あ ら ず と 為 へ も も へ も ヘ ヨ し エ ち も ヘ モ セ も ヤ も ヘ へ も も す。 言 う 所 の 門 と は 、 猶 お 虚 空 の 如 し 。 一 切 諸 法 は 虚 空 に 依 り て 生 滅 有 り 。 又 た 荷 沢 は 知 の 一 字、 衆 妙 の 門 と 云 う 。 皆 な 根 本 を 説 く 。 名 づ け て 円 覚 と 為 す と は、 正 し く 其 の 属 す る 所 を 指 す は 、 本 体 に 当 る な り 。 義 は 題 中 に 具 す 。 二 は 徳 用 を 彰 わ す 」 ( 同 − 一 三 〇 右 下 〜 左 上 ) 。 『 略 疏 』 巻 上 一 ( 続 蔵 巻 一 五 − 六 三 左 上 ) に 同 様 の 文 が あ る 。 (
16
) 宗 教 “ 根 本 の 教 え の 意 。 「 一 粛 δ ロ の 翻 訳 語 と し て の 意 味 で は な い 。 『 裴 休 拾 遺 問 』 ( 前 掲 書 ) 二 八 頁 に も 出 づ 。 (17
) 袈 裟 を 以 て … ・ − u 一 六 段 お よ び そ の 注 (7
) と 六 段 の 注 ( 2 ) に 既 出 。 『 大 疏 鈔 』 巻 三 下 の 慧 能 伝 に も い う。 「 後 に 嶺 南 新 州 の 盧 行 者 う ナ な る も の 有 り 。 年 二 十 二 に し て 来 た り て 大 師 に 謁 す 。 初 め 作 仏 の 語 を 答 え て、 与 に 師 心 に 契 う。 米 を 春 つ き 偈 を 題 す 。 師 資 道 合 す 。 後 さ と か く に 乃 ち 三 夜 共 に 語 り、 直 に 見 性 を 了 る 。 遂 て 密 語 を 授 け、 付 す る に 法 衣 を 以 て す 。 夜 に 自 ら 送 り、 九 江 口 を 過 ぎ、 嶺 南 に 向 わ し む 。 後 に 曹 渓 山 に 在 り て 、 禅 を 開 き 宗 旨 を 弘 揚 す る が 故 に、 時 に 南 宗 と 号 す 。 其 の 神 秀 等 の 十 人 は 、 証 悟 未 徹 と 雖 も、 大 師 許 し て 云 く、 「 各 々 一 方 の 師 と 為 す に 堪 え た り 」 。 秀 、 後 に 嵩 山 に 於 て 、 大 師 の 宗 教 を 伝 え 、 帝 の 師 と 為 り、 勅 し て 大 通 禅 師 と 諡 す 。 時 に 北 宗 と 号 す 。 故 に 云 く、 南 北 に 又 た 分 か る、 と 。 余 は 別 巻 の 如 し 。 慧 能 第 六 。 〈 始 興 ・ 南 海 の 二 部 ( 郡 ) に 在 り 。 得 来 り て 十 六 年 、 竟 に 未 だ 開 法 せ ひ モ か ず 。 因 み に 広 州 の 制 止 寺 に 在 り て、 印 宗 法 師 の 『 涅 槃 経 』 を 講 ず る を 聴 く 。 夜 に 諸 僧 と 風 の 幡 竿 を 動 か す の 義 を 論 ず 。 法 師 竊 に 聞 き て 細 か に 問 う に、 是 れ 東 山 の 門 下 に て 便 ち 刺 頭 を 為 し、 逆 に 曹 渓 に 帰 る を 知 る 。 二 十 日 の 夜、 後 に 印 宗 自 ら 道 俗 百 余 人 と 往 詣 し て 禅 門 を マ マ ロ 開 か ん こ と を 請 う 。 神 龍 元 年 ( 七 〇 五 )、 勅 し て 請 す る も 入 ら ず 。 両 度 勅 書 し て 云 云、 と 。 襄 州 神 会 有 り 。 姓 は 嵩 。 年 十 四 に し て 往 き ほ マ ヤ ね て 謁 す 。 因 み に 無 位 を 本 と 為 し 、 見 は 即 ち 是 れ 性 な り と 答 う。 諸 難 を 校 試 し、 夜 喚 び て 審 問 す 。 両 心 既 に 契 い 、 師 資 道 合 す 。 神 会 北 遊 か く し て、 其 の 聞 見 を 広 め、 西 京 に 於 て 受 戒 す 。 景 龍 年 中 ( 七 〇 七 〜 一 〇 )、 曹 渓 に 却 帰 す 。 大 師 は 其 の 純 熟 せ し こ と を 知 り 、 遂 て 黙 し て 密 語 を 授 く 。 達 磨 の 懸 記 に 縁 る に、 六 代 の 後 、 命 は 懸 糸 の 如 し 。 遂 て 法 衣 を 将 っ て 山 を 出 だ さ ず 。 能 大 師 説 法 す る こ と 三 十 七 年 な り 。 七 十 六 に し て、 先 天 二 年 ( 七 二 二 ) 八 月 三 日、 滅 度 す 。 元 和 十 年 ( 八 一 五 ) に 至 り て、 勅 し て 大 鑑 禅 師 と 諡 し 、 塔 を 元 和 盧 ( 霊 ) 照 と 号 すV
」 ( 続 蔵 巻 一 四 − 二 七 七 右 上 下 ) 。 (18
) 前 に 叙 す 外 難 … … H 一 六 段 を さ す 。N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
Kom 三1z三1w三1 Unlverslty 〔一 一 = 〕 自 性 清 浄 心 を い か に 修 す る か 問 、 悟 此 心 已 、 如 何 修
之
。 還 依 初 説 相教
ヰ中
令 坐 禪 否 。 答 、 此有
二 意 。 謂昏
沈
厚 問 う 、 此 の 心 を悟
り 已 り て は 、 に 依 っ て 坐 禅 せ し む る や 。 如 何 が 之 れ を 修 す る や 。 な還
お 初 め の 説 相 教 の 中Komazawa University
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重 、 難 可
策
發 者 、掉
擧 濫 利 、 不 可抑
伏 ネ 者 、貪
瞋熾
盛 、觸
境
難 可 制 者 、 師 用前
教
中
種
種 方 便 、隨
病 調伏
。 若 煩悩
微
薄
、慧
解
明 利、帥
依 本 宗 本 教 一 行 三昧
。 ホ如
起
信 論 云 、 若 修 止 者 、 住 於靜
處
、端
身
正意
、 不依
氣 息 形 色 、 乃 至 唯 心 無外
境 ホ界
。 金 剛 三 昧 經 云 、 禪 師是
動 。 不 動 不禪
、 是無
生禪
。 法 句 經 云 、若
學
諸 三 昧、是
動 非 坐 禪 、 心 隨 境 界流
、 云何
名
爲
定
。淨
名
云、 不起
滅
定 、 現 諸 威 儀 、 駈 唯 坐 不 於 三 界 現 身意
、 是 爲 宴 坐 、 佛 所印
可 。 據 此 、 則 已達
三 界 空 花 、 四 生夢
寐
、 依 體起
行 、修
而 無 修 。 尚 不 住佛
住 心 、 誰 論 上 界 下 界 。 前 叙 攤 云 據 教 須 引 上 界 薦 定 者、 以 管 窺 天 、 但 執 一 門 之 説。 見 此 了 教 所 明 、 豈 不 懐 慚 而轡
こ ん じ ん が た じ よ う こ答
う、 此 に 二意
有 り 。 謂 く 昏 沈 の厚
重 に し て策
発
し難
可 き 者 、掉
挙
の 猛 利 に し ( 1 ) が た ( 2 ) て抑
伏 す べ か ら ざ る者
、貪
瞋
の 熾 盛 に し て境
に触
れ て制
し 難 可き
者
は 、 即 ち 前 教 の 中 の種
種 の 方 便 を 用 い て 、 病 に 随 っ て 調伏
す 。若
し 煩 悩 微 薄 に し て 、慧
解 明 利 〔 3 ) な ら ば、 即 ち 本 宗 本 教 の 一行
三 昧 に 依 る な り 。 『 起 信 論 』 に 云 う が如
し 、「 若 し 止 を 修 め ん と せ ば 、 静 処 に 住 し 、
端
身 し て意
( 4 ) を 正 し て 、 気 息 に も 形 色 に も 依 らず
、 乃 至 、 唯 心 の み に し て 外 の境
界
無
し 」 と 。 ( 5 ) 『 金 剛 三 昧 経 』 に 云 く、 「 禅 は即
ち 是 れ 動、 不動
不 禅 は 是 れ 無 生禅
な り 」 と 。 『 法 句 経 』 に 云 く、「 若 し
諸
々 の 三 昧 を 学 せ ば 、 是 れ動
に し て 坐 禅 に非
ず
。 心 は 境 界 ( 6 ) に 随 っ て 流 る、 云 何 が名
づ け て 定 と為
さ ん や 」 と 。 『 浄 名 』 に 云 く 、 「滅
定 よ り 起 たず
し て 、諸
々 の 威 儀 く 行 住 坐 臥 な りV
を 現 じ、 三界
に於
て 身 意 を現
わ さ ざ る 、是
( 7 ) れ を 宴 坐 と 為 す 。 仏 の 印 可 す る 所 な り 」 と 。 ( 8 ) ( 9 ) 此 れ に 拠 ら ば 、 則 ち 巳 に 三 界 の 空花
、 四 生 の 夢寐
な る に 達 し 、体
に依
っ て 行 を ( 10 ) 起 こ し 、 修 し て 而 も 無修
な り 。 尚 お 仏 に 住 し 心 に 住 す る こ と す ら せ ず 、 誰 か 上界
( 11 ) と 下 界 と を 論 ぜ ん 〈 前 に 難 じ て 教 に 拠 ら ば 須 ら く 上 界 の 禅 定 を 引 く べ し と 云 う を 叙 せ し う か が ( 12 ) は 、 管 を 以 て 天 を 窺 う も の、 但 だ 一 門 の 説 に 執 す る の み。 此 の 了 教 の 明 か す 所 を 見 な ば、 は じ お も 山 豆 に 慚 を 懐 い て 退 か ざ ら ん や 〉 。N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
Kom 三1z三1w三1 Umversrty * 昏 ” 棔 ( 高 ) ( 弘 ) 。 * 者 ” ナ シ ( 高 ) ( 弘 ) ( 明 ) 。 * 者 ロ ナ シ ( 高 ) ( 弘 ) ( 明 ) 。 * 可 凵 ナ シ ( 高 ) ( 弘 ) ( 明 ) 。 * 論 門 ナ シ ( 高 ) ( 弘 ) ( 明 ) 。 * 經 1ー ナ シ ( 高 ) ( 弘 ) 。 * 印 冂 即 ( 高 ) 。 * 可 闘 身 ( 明 ) 。 * 則 ” 即 ( 高 ) ( 弘 ) ( 明 ) 。 * 已 達 悶 以 答 ( 明 ) 。 * 住 冂 不 住 ( 明 ) 。 * 〈 禪 〉 門 ナ シ ( 高 ) ( 弘 ) ( 明 ) 。 * 〈 一 門 〉 目 く 一 宗
V
( 高 ) ( 弘 ) 11 〈 口 宗 〉 ( 明 ) 。 * 〈 所 明 豈 不 〉 習 〈 理 應 〉 ( 高 ) ( 弘 ) ( 明 ) 。 * 〈 退 > −− 〈 退 也 〉 ( 高 ) ( 弘 ) 。 問 う 、 こ の 心 を 悟 っ て 後 に 、 ど の よ う に こ れ を 修 め る の か 。 な お も 初 め の 説 相 教 に 随 っ て 坐 禅 さ せ る の か 。 『 禅 源 諸 詮 集 都 序 』 の 訳 注 研 究 ( 五 ) ( 石 井 ・ 小 川 ) 二 七Komazawa University
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『 禅 源 諸 詮 集 都 序 』 の 訳 注 研 究 ( 五 ) ( 石 井 ・ 小 川 ) 二 八 答 う 、 こ れ に は 二 つ の 解 釈 が あ る 。 ( 第 一 ) 、
沈
欝
の 煩 悩 ( 棔 沈 ) が 重 く て 活 発 に な れ な い 者、 ま た 心 が 猛 烈 に 跳 ね 上 が っ て ( 掉 挙 ) 抑 え の き か な い者
、貪
り や 瞋 り の 心 が 燃 え 盛 り 対 境 に触
れ て 抑 制 で き ぬ 者 、 こ う し た 人 は 前 教 ( 説 相 教 ) で 説 く 種 々 の方
便 を 用 い て 、 病 に応
じ て 心 を 調 え 収 め て い く の で あ る 。 ( 第 二 ) 、 も し煩
悩
が 微 か で智
慧
が 明 晰 で あ る な ら ぽ 、 こ の直
顕 心 性 宗 と こ の 顕 示真
心 即 性 教 の 一 行 三昧
に 依 る よ う に さ せ る の で あ る 。 と ど こ こ ろ こ の こ と を、『 起 信 論 』 に は 「 も し 心 を 止 め た 状 態 に し よ う と す れ ば 、 静 か な 処 に
身
を 置 き 、 正 身 端 坐 し て 意 を 調 え 、 息 遣 い や 見 る対
象 の 形 色 に 惑 わ さ れず
、 さ ら に た だ 心 の み と な っ て 外 の 境 界 を無
く し て し ま う 」 と 言 い 、 『 金 剛 三 昧 経 』 に は 、 「 禅 と は動
で あ り、 動 で も な く 禅 で も な い の が無
生禅
で あ る 」 と 言 い 、 『法
句 経 』 に 、 「 も し諸
々 の 三 昧 を 学 ぼ う と す れ ば 、 そ れ は動
で あ っ て 坐禅
で は な い 。 心 は 対境
の 世 界 に応
じ て 流 れ る も の 、 ど う し て 定 と 名 づ け ら れ よ う か 」 と 曇 . 口 い 、 『 浄 名 経 』 に 、 「 滅 尽 定 よ り 起 た ず し て諸
々 の 威 儀 く 行 住 坐 臥 の こ とV
を 表 し 、 三界
に お い て身
体
の 意 図 を 現 わ さ な い、 こ れ を 宴 坐 と す る 。 こ れ が 仏 の印
可 さ れ た も の で あ る 」 と 言 っ て い る 。 こ れ ら に よ れ ば 、 既 に 三 界 が 眼病
の 空 花 の よ う で あ り 、 四 生 ( 卵 生 ・胎
生 ・ 湿 生 ・ 化 生 ) が 夢 の よ う に 実 体 の 無 い も の で あ る こ と に 通 達 し て い る の で 、 体 そ の も の か ら行
を起
こ し、 修 し て い な が ら し か も 修 し て い な い の で あ る 。 ま し て 仏 に も 心 に も と ど 住 ま ら な い の に、誰
が 上 界 と 下 界 の 区 別 な ど論
じ よ う か 〈 前 に 「 教 に よ る な ら ば 上 界 の 禅 定 を 引 く べ き で あ る 」 と 言 う 非 難 を 述 べ た く だ の ぞ が 、 そ れ は 管 で 天 を 覗 き 見 る よ う な も の で あ り、 た だ 一 門 の 説 に 執 着 す る だ け の も の で あ る。 こ の 完 全 な 教 え の 明 ら か に す る と こ ろ を 見 た な ら ば、 恥 ず か し く 思 っ て 引 下 が ら ぬ わ け に は い く ま い 〉 。N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
Kom 三1z三1w三1 Umversrty ( 1 ) 昏 沈 … 掉 挙 … 門 『 成 唯 識 論 』 で は、 二 十 随 煩 悩 の う ち 、 掉 挙 ・ 悟 沈 ・ 不 信 ・ 懈 怠 ・ 放 逸 ・ 失 念 ・ 散 乱 ・ 不 正 知 の 八 を 大 随 惑 と い う 。 そ の 中 に、 掉 挙 と 僭 沈 に 対 し て 「 云 何 な る か 掉 挙。 心 を し て 境 に 於 て 寂 静 な ら ざ ら し む る を 性 と 為 し、 能 く 行 捨 と 奢 摩 他 と を 障 ゆ る を 業 と 為 す 」 ( 小 島 本 一 六 五 頁 ) と あ り、 ま た、 「 云 何 な る か 悟 沈 。 心 を し て 境 に 於 て 堪 任 無 か ら し む る を 性 と 為 し 、 能 く 軽 安 と 眦 鉢 舎 那 と を 障 ゆ る を 業 と 為 す 」 ( 同 一 六 六 頁 ) と 説 明 す る 。 ま た 『 天 台 小 止 観 』 の 正 修 行 に 、 坐 中 に お い て 止 観 を 修 す る 五 意 を 説 く 。 コ に は 初 心 の 麁 乱 を 対 破 す る に 止 観 を 修 す 。 二 に は 心 の 沈 浮 す る 病 を 対 治 す る に 止 観 を 修 す 。 三 に は 便 宜 に 随 っ て 止 観 を 修 す 。 四 に は 定 中 の
Komazawa University
NII-Electronic Library Service Kom 三1z三1w三1 Unlverslty 細 心 を 対 治 す る に 止 観 を 修 す 。 五 に は 定 慧 を 均 斉 な ら し め ん に 止 観 を 修 す 」 。 こ の 二 を 説 い て 、 「 第 二、 心 の 沈 浮 の 病 を 対 治 し て 止 観 を と う も う ま さ 修 す と は 、 行 者、 坐 禅 の 時 に 於 て 、 其 の 心 闇 塞 し、 無 記 欖 漕 に し て 、 或 時 は 睡 り 多 し 。 爾 の 時 応 当 に 観 を 修 し て 照 了 す べ し 。 若 し 坐 中 ぽ さ と ど に 於 て、 其 の 心 浮 動 し、 軽 躁 に し て 安 ん ぜ ざ れ ば、 爾 の 時 応 当 に 止 を 修 し て 之 れ を 止 む ぺ し。 是 れ 則 ち 略 し て 心 の 沈 浮 の 病 を 対 治 す る け ぴ ゃ く に 止 観 を 修 す る の 相 を 説 く な り 。 但 だ 須 く 善 く 薬 と 病 と を 識 り て、 相 対 し て 之 れ を 用 う べ し 。 一 一 に 対 治 す る を 得 ざ れ ば、 乖 避 の 失 あ り 」 ( 大 正 四 六 ー 四 六 七