• 検索結果がありません。

小児がん拠点病院を軸とした 

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "小児がん拠点病院を軸とした "

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

厚生労働科学研究費補助金(がん対策推進総合研究事業) 

総括研究報告書   

小児がん拠点病院を軸とした 

小児がん医療提供体制のあり方に関する研究 

 

研究代表者    松本  公一    国立成育医療研究センター 小児がんセンター   

[研究要旨]本研究では、拠点病院及び小児がん診療病院における診療連携方法の確立を研究し、

チーム医療を推進することで、真に機能する連携のあり方を検討し、長期にわたるフォローアップ のしくみを構築することを目的とする。 

  小児がん拠点病院選定後の患者動態では、血液疾患は均てん化、固形腫瘍および脳腫瘍に関して は、集約化の進んでいる事が明らかになった。小児がん看護スタッフのアンケートでは、きょうだ いを含めた家族支援、緩和ケア、在宅支援、遺族への看護は十分といえない事が明らかとなり、小 児がん看護研修の実施および参加率が半数程度に留まっている事が課題であった。QI に関しては、

7つの構造指標、8の過程指標、23 の結果指標を選定し、大阪市立総合病院での検討を経て、15 施設での検討を開始したところである。医療の質の可視化を行うことで、各拠点病院の医療の質を 自律的に向上させるような仕組みに資することを期待する。小児がん経験者や家族の実態調査では、

拠点病院の相談員との情報共有を行うことで、実態から課題を相談支援へと結びつけることができ、

長期支援における相談支援体制整備につなげる事ができると考えられた。また、フォローアップ計 画策定システムを基に、「JPLSG 治療のまとめ」からフォローアップ計画を算出するようにした。課 題を抽出により、拠点病院での応用を目指す。今後、患者動態調査、QI の作成、小児がん経験者の 実態調査などにより、小児がん医療の実態を明らかにするとともに、患者およびその家族が安心し て医療を受けることができる小児がん医療体制につなげることを最終的な目標としている。 

   

A.研究目的 

  平成 24 年 2 月に小児がん拠点病院(以下「拠 点病院」)が全国に 15 施設指定されたが、小児 がん医療の実態と理想の間には、依然として乖 離がある。今回、拠点病院が指定されたことは、

理想実現の第一歩であり、今後は拠点病院の医 療の質を向上させることで、より理想的な小児 がん診療を行うことの出来る体制を構築する必 要がある。また、小児がんの治療成績の向上を

反映して、治療が終了した小児がん患者、すな わち、小児がん経験者が長期に生存することが 可能になったため、二次がんを含み晩期合併症 と呼ばれる種々の臓器機能障害に対する対応や、

こころの問題に対する対応が必要となってきて いる。また、これらの身体的な障害やこころの 問題が原因となって就学や就労の面でも様々な 困難が生じることが判明してきており緊急な対 応が必要な状況である。 

(2)

  本研究では、拠点病院及び小児がん診療病院 における診療連携方法の確立を研究し、チーム 医療を推進することで、真に機能する連携のあ り方を検討する事を目的とする。小児がん看護 に関わる看護師長および看護師スタッフの実態 調査、QI の作成および医療の質の可視化、小児 がん医療の実態を明らかにするとともに、患者 およびその家族が安心して医療を受けることが できる小児がん医療体制につなげることを最終 的な目標としている。 

 

B.研究方法 

1)小児がん診療連携方法の確立とチーム医療 のあり方 

  それぞれの拠点病院で取り組んでいる小児が ん医療提供は、地区や医療機関の性格から異な っている。関東甲信越地区では、小児がん診療 病院の疾患別新入院患者数、造血細胞移植患者 数、再発患者数などを収集し、WEB 上に公開す る仕組みを構築した。収集したデータにより、

新入院患者数、患者在院延べ日数を比較して、

小児がん患者の動態調査を行った。小児がん拠 点病院指定後の小児がん患者動態調査を行うこ とで、診療連携の方法などについて検討を行っ

た。 

  また、職種間の連携では、小児がん拠点病院 に勤務する看護体制、業務内容、教育体制、業 務上の課題、問題点を明らかにすることを目的 として、小児がん看護に関わる病棟看護責任者、

外来および病棟看護スタッフ、相談支援センタ ー看護師を対象に質問紙調査および面接調査を 実施した。 

 

2)小児がん診療における Quality Indicator  (QI)の作成 

  論文公表されている小児がん診療についての QI としては唯一のものであるカナダ Pediatric  Oncology Group of Ontario(POGO)の QI や英 国国立臨床研究所をはじめとする国内外の小児 がん診療に関するガイドライン、小児がん拠点 病院・地域がん診療連携拠点病院における厚生 労働省の指定要件、日本病院会の QI を参考にし、

さらに各小児がん拠点病院の意見も聴取して、

38 指標の QI を選定し、その特性について検討 した。 

 

3)小児がん経験者や家族の実態調査 

  小児がん拠点病院として指定された 15 施設

(3)

で把握している小児がん経験者の実数ならびに 実態をアンケート調査等で把握するための調査 票を作成した。厚生労働省の「小児がん病院の あり方調査事業(2012)」の受託研究と同様の調 査内容で、継続的に調査する事が可能となると 考えられた。 

  アンケート調査票の配布・回収の方法につい ては、基本的に医師が配布し、相談支援センタ ーが回収する方法とした。また、実名で回収し、

その結果に基づいて、各施設の相談支援センタ ーが個々の小児がん経験者と直接コミュニケー ションできるように、医師らと相談支援センタ ーで小児がん経験者リストを共有することを必 須とした。   

4)小児がん経験者を長期にフォローし支援す る仕組みの検討 

  小児がん経験者を長期にフォローし支援する ためには、フォローアップのシステムを構築す る必要がある。経済産業省実証事業で開発した、

フォローアップ計画策定システムを基に、シス テムの改良を行い、「JPLSG 治療のまとめ」から フォローアップ計画を算出するシステムを構築 した。 

  国立成育医療研究センター小児がんセンター にて、フォローアップされている患者データ 100 症例を対象として、フォローアップ計画を 算出し、実地診療での計画と比較した。 

 

C.研究結果 

1)小児がん診療連携方法の確立とチーム医療 のあり方 

  関東甲信越地区で収集したデータによれば、

2013 年の小児がん患者は、新入院患者数、患者 在院延べ日数で見る限り、4拠点病院に集中し ており、拠点病院指定後も、この傾向は変わら なかった。しかし、小児がん新規入院患者数を 前年比で見た場合、4 拠点病院中3病院で前年

比を上回るものの、伸び幅は、全体からすると 決して多くなく、拠点病院指定前後で大きな変 化は認められなかった(図1A,B)。反面、入院 患者延べ数に関しては、必ずしも 4 拠点病院が 多いという傾向を示していない。これは、固形 腫瘍のように短期入院を繰り返す患者が多い施 設では、入院患者延べ数が多くなる傾向にある ことを反映していると考えられた(図1C)。    疾患別に検討した場合、血液悪性腫瘍患者は、

拠点病院の患者数は減少しているが、固形腫瘍、

特に脳腫瘍に関しては、拠点病院への緩やかな 集約化が認められた(図2)。これは、血液疾患 は、小児血液腫瘍科医師のみで完結する事が多 く、治療プロトコールも全国的に統一化されて

0"

2,000"

4,000"

6,000"

8,000"

10,000"

12,000"

14,000"

16,000"

0"

0.5"

1"

1.5"

2"

2.5"

0"

200"

400"

600"

800"

1000"

1200"

A

B

C

図1   関東甲信越における 2 0 1 3 年の小児がん患者数

A ) 小児がん患者在院延べ日数  B) 小児がん新規入院患者数 前年比

B)      C) 小児がん入院患者延べ数

(4)

いるため、均てん化が進んでいることの結果で あると考えられた。 

  小児がん看護に関わる実態調査の対象は、看 護師長 14 名(回収率 100%)、看護師 167 名(回 収率 33.4%)、相談支援センター看護師 8 名(配 置率 57.1%)であった。小児がん看護に関わる 専門もしくは認定看護師を配置する施設は 14 施設中 9 施設だった。病院の体制として、家族 に対する設備、看護体制が十分とはいえないも のの、緩和ケア、化学療法に対して、看護師の 配置は充足しつつあることが、示された。治療 上の症状マネージメントは実践しているが、多 職種連携、きょうだいを含めた家族支援、緩和 ケア、在宅支援、遺族への看護は十分といえな い事が明らかとなった。また、全施設が小児が ん看護研修の必要性を考えているが、実施およ び参加率は半数程度であった。 

 

2)小児がん診療における Quality Indicator (QI)の 作成 

  選定された QI の指標を 表に示す。構造の指標は 7、

過程の指標は8で、残る 23 が結果の指標であった。構 造の指標は「中央・拠点病 院全体として達成すべき目 標」であるのに対し、過程 と結果の指標は「必要な水 準に対する施設ごとの達成 度の評価項目」と「施設間 比較のための項目」の2つ に分けられると考えられた。

課題として、構造の指標に ついてはベンチマーキング を行うための目標値を決定 する必要が、過程と結果の 指標についてはその意義を 明確にするために測定の目的を定める必要があ ると考えられた。試験的に大阪市立総合医療セ ンターで QI の算定を行ったが、診療情報管理士 の協力のもと十分算出可能な指標である事が示 された。今後、拠点病院に対象を拡大する際の 問題点を抽出する必要がある。 

 

3)小児がん経験者や家族の実態調査 

  アンケート用紙の回収は各施設の相談支援セ ンターで行い、個人情報は削除したうえで、国 立成育医療研究センターに送付し、データベー スに入力する仕組みを作成した。現在、国立成 育医療研究センターの倫理委員会承認後、各拠 点病院での倫理審査を依頼しているところであ る。2015 年 11 月からアンケート調査を実施し ており、次年度中には一定数の回収が見込まれ、

解析の予定である。なお、15 施設における 20

0"

5"

10"

15"

20"

25"

30"

35"

40"

45"

50"

0"

0.5"

1"

1.5"

2"

2.5"

0"

10"

20"

30"

40"

50"

60"

0"

0.5"

1"

1.5"

2"

2.5"

3"

3.5"

0"

5"

10"

15"

20"

25"

30"

35"

0"

0.5"

1"

1.5"

2"

2.5"

3"

3.5"

血液腫瘍

固形腫瘍

脳腫瘍

血液腫瘍

固形腫瘍

脳腫瘍

2 0 1 3 小児がん新規入院患者数 小児がん新規入院患者数 前年比

図2   2 0 1 3 疾患別小児がん新規入院患者数およ び前年比 5 施設

1 0 施設

(5)

歳以上の小児がん経験者は最低でも 2,000〜

3,000 名と見込まれる。 

 

4)小児がん経験者を長期にフォローし支援す る仕組みの検討 

  国立成育医療研究センターの対象症例 100 例 に対して、フォローアップ計画を策定し、臨床 実践と比較した。実際の算定様式は図3に示し た通りである。普段の長期フォローアップでは、

抜けがちになる検査などが網羅されている点は よかった。しかし、計画がリスクに対応した計 画であるため、実際には全項目を参照する事に なる。フォローアップのためには、リスクによ る分類よりも、フォローアップの時間に応じた 内容が望ましい事がわかった。また、現在のよ うにシステムが VMware をベースのしているた め,その使用に慣れていないと上手く活用する 事が困難となる点も課題であった。今後、シス テムの改良を行い、次年度 15 拠点病院で運用予 定とする。 

    D.考察 

  今後、共通のフォーマットで全国の小児がん 診療病院の情報を収集し、公開することを計画 し、他のブロックでも関東甲信越と同様の傾向 があるかについて検討する予定である。また、

小児がん診療病院の診療情報を一般に公開する ことで、小児がん患者が病院選択する際の参考 となる事が期待される。小児がん拠点病院にお ける看護量調査に関しては、今後さらに分析を 加え、看護の質の向上および施設間の格差を是 正するために教育体制の整備や、一定の能力が 担保された看護師を全施設に配置するための検 討を行う必要がある。 

  15 拠点病院の QI を検討する事で、それぞれ の小児がん拠点病院が、自施設の医療の質を自 律的に向上させる仕組みを作成することができ、

日本全体の小児がん診療レベルを底上げするこ とが期待できる。また、小児がん医療に対する 施策が現実的に有用なものかどうか評価するこ とが可能となる。 

  小児がん経験者や家族の実態調査に関しては、

本年度中にすべての小児がん拠点病院で本研究 の倫理審査承認を得ることが出来、来年度前半 で、小児がん拠点病院における成人に達した小 児がん経験者の大半に係る調査が終了すること が期待できる。この分析は今まで行われた同様 の調査ではわが国では最大の規模であり、その 分析結果は実態把握に役立つ。また、個々の小 児がん経験者が持つ課題が明確になるため、相 談支援センターが、小児がん経験者への支援を 考える際の情報として役立つばかりでなく、今 後の小児がん医療・支援に関する政策に対する 提言につなげたいと考える。 

  長期フォローアップに関しては、フォローア ップ計画の策定が容易になる事が期待される。

今後は長期フォローアップを視野に入れた、詳 細な治療歴を含む小児がん登録を現実のものと し、患者中心の永続性のあるシステム作りを目 指す。 

   

図3   治療のま と めから 算出さ れたフ ォ ロ ーア ッ プ 計画の実例

(6)

E.結論 

  小児がん拠点病院を中心とした患者動態調査、

QI の作成、小児がん経験者の実態調査などによ り、小児がん医療の実態を明らかにすることが できた。小児がん患者およびその家族が安心し て医療を受けることができる小児がん医療体制 を構築する事が重要である。 

 

F.健康危険情報  なし 

 

G.学会発表、論文発表 

1. 松本公一,富澤大輔,寺島慶太,湯坐有希, 金子  隆,後藤裕明,康  勝好,花田良二.

関東甲信越地域における小児がん拠点病

院選定後の小児がん医療の変化.第 118 回 日本小児科学会学術集会 大阪、2015 年 4 月 17 日 

2. 松本公一. 小児がん拠点病院と中央機関 の役割.  第 389 回東北医学会例会シンポ ジウム, 2015 年 11 月 17 日, 仙台  3. 松本公一. 小児がん,AYA 世代のがんの課

題. がん患者学会 2015  2015 年 12 月 19 日, 東京 

 

H.知的財産権の出願・登録状況  なし

 

参照

関連したドキュメント

統制の意図がない 確信と十分に練られた計画によっ (逆に十分に統制の取れた犯 て性犯罪に至る 行をする)... 低リスク

子どもたちは、全5回のプログラムで学習したこと を思い出しながら、 「昔の人は霧ヶ峰に何をしにきてい

注1) 本は再版にあたって新たに写本を参照してはいないが、

・本計画は都市計画に関する基本的な方 針を定めるもので、各事業の具体的な

モノづくり,特に機械を設計して製作するためには時

○安井会長 ありがとうございました。.

★分割によりその調査手法や評価が全体を対象とした 場合と変わることがないように調査計画を立案する必要 がある。..

下山にはいり、ABさんの名案でロープでつ ながれた子供たちには笑ってしまいました。つ