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通勤電車運行スケジュールにおける 遅延計算モデルの構築

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Academic year: 2021

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(1)

中央大学大学院理工学研究科情報工学専攻 修士論文

通勤電車運行スケジュールにおける  遅延計算モデルの構築

 

Simulation model to analyze delay in commuter train schedule

入学年度

2002

学籍番号 

02N8100038J

中村  幸史

Yukihito NAKAMURA

指導教員    田口 教授

2004

3

(2)

あらまし   

  本論文は,電車の遅延を解析するシミュレーションモデルを用いて,遅延が鉄道輸送に及 ぼす影響を分析し,通勤電車の運行スケジュールを評価したものである. 

  東京首都圏における鉄道は,通勤,通学の足という重要な役割を担っており,ラッシュ時 間帯には利用者が殺到し,激しく混雑している.とくに,混雑が激しい路線においては,慢 性的に遅延が発生している.通常,乗客数が増えると乗降にかかる時間が長くなって遅れが 発生し,それにともなって先々の駅で電車を待つ利用者が増加するため,遅延が拡大する.

本研究では,このような遅延を解析するモデルを構築し,遅延が鉄道輸送に及ぼす影響を分 析する. 

  電車の運行スケジュールを表現するために,空間的な移動と時間の進行を表現する時間−

空間ネットワークを構築する.次に,大都市交通センサスより抽出した交通需要データをこ のネットワークに付加して,鉄道網における動的な交通流を再現する.さらに,各駅での遅 延に合わせてこのネットワークを変形するモデルを考える.すなわち,電車の乗降人数と混 雑度から停車時間を算出し,停車時間が予め見積もられた調整時間を超えたときに遅延が発 生するものとし,駅間所要時間や,電車運転間隔の制約を考慮して遅延を計算する,その値 に基づいてネットワーク構造を変化させて,遅延を含む運行スケジュールを作成する.

  構築したシミュレーションモデルを東急田園都市線に適用し,遅延が鉄道輸送に及ぼす影 響を分析する.また,各駅停車と急行の役割に注目して,全ての電車を各駅停車にする運行 スケジュールを提案し,その効果を検証する. 

キーワード:乗り換えネットワーク,停車時間関数,遅延計算モデル 

(3)

 

目次 

 

1章  序論

···1

1.1  研究の背景···1

1.2  電車の運行···2

1.3  研究の目的···3

2章  ネットワークモデル

···

4

2.1  利用データ···4

  2.1.1  電車時刻表···4

  2.1.2  国土地理院  数値地図2500(空間データ基盤)···6

  2.1.3  電車定員···7

2.2  鉄道ネットワーク···10

  2.2.1  首都圏鉄道網···10

  2.2.2  鉄道ネットワークの構築···10

2.3  時間−空間ネットワーク···11

  2.3.1  概要···11

  2.3.2  単一路線内のネットワーク···12

  2.3.3  乗り換えネットワーク···14

3章  交通量配分

···18

3.1  通勤利用者移動データ···18

  3.1.1  大都市交通センサスデータ···18

  3.1.2  抜き出してソートした人···20

  3.1.3  出発時刻の平均化···22

3.2  利用電車割り当てアルゴリズム···24

4章  遅延計算モデル

···29

4.1  概要···29

4.2  停車時間の算出···29

  4.2.1  乗降人数と停車時間の関係···29

  4.2.2  現地調査···30

  4.2.3  停車時間関数···33

(4)

4.3  調整時間の算出···34

  4.3.1  標準所要時間···34

4.4  遅延計算アルゴリズム···35

5章  東急田園都市線への適用

···

42

5.1  東急田園都市線···42

5.2  シミュレーション結果···44

5.3  運行スケジュール代替案···57

6章  結論

···66

6.1  まとめ···66

6.2  今後の展望···67

謝辞

···68

参考文献

···

69

(5)

1 章 

序論   

1.1

  研究の背景 

  日本の大都市圏における鉄道網は,都市の基盤となる重要な交通機関であり,通勤,通学 の足という重要な役割を担っている.それゆえに,朝夕の通勤,通学時間帯には多くの利用 者が殺到し,その混雑は非常に激しい状況にある[1]

  このような状況を改善するために,列車の長編成化,線路容量限界までの増便,あるいは 新規路線の開業といった対策がとられ,更に近年は複々線化や多扉化などにより収容力を増 した車両の投入などが行われている路線も少なくない.しかし,列車の編成を長くするため には,全ての駅のホームを延長しなければならないため,土地や費用の面で制約が多く,ま た,JR山手線を始め,1時間に30本近い電車を運行している路線において,これ以上の増便 は安全上不可能であると言える.以上のような理由により,混雑緩和に向けた動きは順調に 進んでいないのが現実である.

  鉄道は,大量の乗客を低い環境負荷で輸送できる優れた交通機関であるが,レールの上を 走るという特性上,予め計画された運行スケジュールに従って運行されなければならない.

そのため,一旦事故や設備・車両の故障,あるいは混雑によって遅延が発生すると,運行ス ケジュールが混乱して乗客に多大な影響を与える.

  通常,電車が混雑すればするほど利用者の乗降にかかる時間が長くなり,電車の運行に遅 延が生じる.このような状況に対して,鉄道会社は,利用者が集中するために電車の停車時 間が長くなることを考慮して,予め余裕のある運行スケジュールを計画している.それでも なお,首都圏鉄道網において慢性的に遅延が発生している.

  東京都市圏のように高頻度で電車が運転されている区間において,何らかの理由によりあ る電車が遅れたとすると,その遅れた分だけ前の電車との時間間隔が広がるとともに,先々 の駅で待っている利用者数が増加する.待っている利用者が増加すれば,それにともなって 乗降にかかる時間が長くなり,さらに電車が遅れるという悪循環に陥ることがある.この電 車の後続の電車は,この電車ほど混雑しないと思われるため,間隔が詰まり,その間隔を開 けるために後続の電車も遅れていく.このようにして,一度発生した遅延は,後続電車に波 及して増大していくという特徴がある[2]

(6)

1.2

  電車の運行 

  電車の運行は,予め決められた運行スケジュール(ダイヤと呼ばれる)に従って行われて いる.これを図表化したものが図 1.1 に示す運行図表(ダイヤグラム)と呼ばれるものであ る.これは,縦軸に起点からの距離を,横軸に時刻をとり,電車をこれらの間の折れ線で表 したものであり,電車の運行が一目で分かるようになっている.図 1.1 において,青色の線 が各駅停車を表し,赤色の線が急行を表す.

7:30 7:40 7:50 8:30 8:00 8:10 8:20

渋谷 三軒茶屋

鷺沼

青葉台 長津田

中央林間 二子玉川 溝の口

1.1  運行図表(東急田園都市線)

また,設定される電車の種類も,1種類(普通,各駅停車)のみの路線と,数種類(快速,

車(普通,各駅停車等)

3 つの型に分類す 停車パターンの電車のみが運行されている(図1.2参照).他のダイヤ

・緩急結合ダイ ,途中で追い越しながら運転されてい

 

急行等)設定されている路線がある.普通,快速,急行等のことを電車種別といい,大きく 分けて緩行電車と優等電車に区別される.

・緩行電車:原則的に全ての駅に停車する電

・優等電車:駅の通過が主体となる電車(快速,急行,特急,準急等)   鉄道の運行ダイヤは一見して複雑なように見えるが,まとめると以下の ることができる[3]

・平行ダイヤ:同一の

型に比べ,全ての駅間での旅客処理能力が最も優れ,輸送力も大きいが,所 要時間は最も長くなる欠点がある.

ヤ:緩行電車と優等電車を組み合わせ

(7)

る(図1.3参照).平行ダイヤに比べ,長い区間における所要時分は大きく短 縮できるものの,追い越される緩行電車の所要時分が伸び,また混雑も優等 電車に集中しやすい.また,線路容量一杯まで電車本数が増加すると,優等 電車の所要時分が緩行電車と大差ない程にまで延びてしまう欠点がある.

:一定の区間内において,優等電車と緩行電車の停車パターンが等しくなる

・区域別ダイヤ

  研究の目的 

て,慢性的に発生している遅延を解析することが,本研究の目的で

鉄道利用者をデータどおりに移動させること

の変化として扱うことによって,電車の遅延を解析する ように運転されている(図1.4参照).放射状路線のように,区域毎に通過需 要に大きな差があるものの,区域による各駅の乗降者数の差が少ない路線で 採用される型である.区域によって平行ダイヤの特性と緩急結合ダイヤの特 性が分かれる.各駅の乗車機会の公平性が保持されやすい一方で,区域によ る所要時間の差が大きくなりがちである.

    図1.2  平行ダイヤ        1.3  緩急結合ダイヤ        図1.4  区域別ダイヤ

1.3

  朝の通勤時間帯におい

ある.まず,鉄道網における利用者の動きと,電車の運行スケジュールを表す,時間−空間 ネットワークを構築する.その際,他路線からの影響も考慮できるよう,できる限り広範囲 のネットワークを構築することを試みる.

  次に,鉄道網上の交通流を再現するために,

を試みる.アンケート調査による誤差や,電車に乗車する順序等を考慮することによって,

より現実的な交通流を再現する.

  そして,遅延をネットワーク構造

シミュレーションモデルを構築する.このモデルを東急田園都市線に適用して,遅延が鉄道 輸送に及ぼす影響を分析し,通勤電車運行スケジュールを評価する.また,普通(各駅停車)

と急行の役割に注目して運行スケジュール代替案を提案し,既存の運行スケジュールと比較 する.

(8)

2 章   

ネットワークモデル   

2.1

  利用データ 

2.1.1  電車時刻表

  本研究で構築するネットワーク(2.3節で詳細に説明する)は,時間と空間を同時に表現す るものである.したがって,ネットワークを構築するためには,各ノードの時刻座標が必要 となる.そこで,首都圏の路線の出発時刻が詳細に記載されている時刻表[4]から電車の出発 時刻を抽出し,各駅における電車の出発時刻を各ノードの時刻座標として扱った.

  ここで問題となるのは,時刻表[4]を始めとして,私達が入手可能な時刻表のほとんどが紙 媒体であるということである.電子データが全く存在しないわけではないのだが,非常に高 額なものであり,入手することは金銭的に困難である.

  以上の理由により,紙媒体の時刻表[4]から手作業によって電子データの時刻表を作成する 必要がある.しかし,本研究の対象範囲には 128 路線が存在するため,その全ての路線の時 刻表を手作業で入力することは非常に困難であり,研究の本質的な作業とは異なる.したが って,以下に示す方法で時刻表を作成した.

  Step1.各路線において,大体6時前後に出発した電車から,11時前に終着駅に到着する電

車を対象に,各電車の始発駅における出発時刻と電車種別(各駅停車,急行等)を 抽出する.(図2.1 ( a ) 参照)

  Step2.抽出した電車を種別毎にまとめる.(図2.1 ( b ) 参照)

  Step3.種別毎に代表的な電車を選び出し,それぞれの電車における各駅の出発時刻を抽出

する.(図2.1 ( c ) 参照)

  Step4Step 3で抽出した電車の各駅間の所要時間をStep 1で抽出した始発駅の出発時刻に

付加する.(図2.1 ( d ) 参照)

  この方法で作成した時刻表は,駅間の所要時間や駅における電車の発車順序が,実際の運 行スケジュールと大きく異ならないため,分析計算を行う際に大きな誤差が生じることはな いと思われる.ただし,5 章においてモデルを適用する東急田園都市線の時刻表のみ,[4] ら各駅における各電車の出発時刻を正確に抽出し,手作業で入力した.

(9)

各駅 通快 各駅 各駅 各駅 通快

川越 - 552 - - 854 914

南古谷 - - -

指扇 543 - -

日進 - -

大宮 606 900 北与野

与野本町 南与野 中浦和 武蔵浦和 北戸田 戸田 戸田公園 浮間舟渡 北赤羽 赤羽 十条 板橋 池袋 新宿 渋谷

恵比寿      

川越 - - - 854 552 621 854 914

南古谷 - - - 指扇 543 - -

日進 - -

大宮 606 900 北与野

与野本町 南与野 中浦和 武蔵浦和 北戸田 戸田 戸田公園 浮間舟渡 北赤羽 赤羽 十条 板橋 池袋 新宿 渋谷 恵比寿

各駅 通快

    ( a ) Step1     ( b ) Step2

川越 - - 615 - - 552 708 723 737 914

南古谷 - - 620 - - 728

指扇 543 616 624 629 - 733

日進 628 - 738

大宮 634 900 743

北与野 636 -

与野本町 638 -

南与野 640 -

中浦和 642 -

武蔵浦和 645 750

北戸田 648 -

戸田 650 -

戸田公園 656 -

浮間舟渡 658 -

北赤羽 700 -

赤羽 703 800

十条 705 802

板橋 708 805

池袋 711 809

新宿 717 815

渋谷 722 820

恵比寿 724 822

各駅 通快

( c ) Step3

(10)

川越 - - 615 - - 552 708 723 737 914 南古谷 - - 620 - - 557 713 728 742 919

指扇 543 616 624 629 - 602 718 733 747 924

日進 547 620 628 633 - 607 723 738 752 929 大宮 553 626 634 639 900 612 728 743 757 934 北与野 555 628 636 641 902 - - - - - 与野本町557 630 638 643 904 - - - - - 南与野 559 632 640 646 907 - - - - - 中浦和 601 634 642 648 909 - - - - -

武蔵浦和604 637 645 650 911 619 735 750 804 941

北戸田 607 640 648 652 913 - - - - - 戸田 609 642 650 654 915 - - - - - 戸田公園615 648 656 659 920 - - - - - 浮間舟渡617 650 658 702 923 - - - - - 北赤羽 619 652 700 705 926 - - - - -

赤羽 622 655 703 708 929 629 745 800 814 951

十条 624 657 705 711 932 631 747 802 816 953

板橋 627 700 708 713 934 634 750 805 819 956

池袋 630 703 711 716 937 638 754 809 823 ###

新宿 636 709 717 722 943 644 800 815 829 ###

渋谷 - 714 722 727 948 - 805 820 - ###

恵比寿 - 715 724 730 951 - 807 822 - ###

各駅 通快

( d ) Step4

2.1  時刻表作成例(JR埼京線)

2.1.2  国土地理院  数値地図2500(空間データ基盤)

  前節でも述べたように,本研究で用いるネットワークは,時間と空間を同時に表現するも のである.したがって,ネットワークを構築するためには,各ノードの空間座標が必要とな る.そこで,数値化された地図データ[5]から各駅の座標を抽出し,それを各ノードの空間座 標として定義した.

  数値地図2500(空間データ基盤)は,地理情報システム(Geographic Information System , GIS を構築する際の最も基本的な項目のディジタル図形データである(データ項目を表 2.1 に示 す).この中でも,大量の空間データを相互に関係づけるために,正しい位置の情報を有した 最も基本的かつ骨格的な項目から成るものを,特に「空間データ基盤」と呼んで区別してい る.この数値地図 2500(空間データ基盤)は,国土地理院が先導的に具体化した空間データ 基盤のプロトタイプの一つである.全国の都市計画区域(約 96,000平方キロメートル)を対 象に,道路,河川,行政区域界等の骨格的地図項目を数値化していて,基本的に2,500分の1 地形図と同等の空間解像度を持っている.

(11)

2.1  データ項目一覧(世界測地系)

No 項目 構造 属性

1 行政区域・海岸線(町丁目/大字 まで区分)

ベクタ線情報でポリゴンを構成 点情報(位置参照情報)

行政コード,

名称 2 街区(住居表示の「番」 ベクタ線情報でポリゴンを構成

点情報(位置参照情報)

街区符号

3 道路中心線(ネットワーク) ベクタ線情報で道路ネットワーク を構成

主要なものの 名称

4 鉄道,駅 ベクタ線情報,駅については点情

名称(路線名)

5 内水面,公園等の場地(都市公園,

飛行場等)

ベクタ線情報でポリゴンを構成 名称

6 公共建物 ポリゴン 種別・名称

7 測地基準点(三角点) 点情報 名称

2.1.3  電車定員 

  鉄道において,電車に乗車可能な最大人数(以下,電車容量と呼ぶ)は,車両の「大きさ」

1 つの車両に乗車できる人数)や「長さ」1 本の電車を構成する車両数)によって決定さ れる.その人数は路線によって異なるため,路線毎に固有の電車容量を定義することが重要 である.

  これをネットワーク問題に置き換えると,電車容量が,リンクを通過可能な最大交通量に 相当する.したがって,電車での移動を表すリンクの容量には,その電車の電車容量を用い る.一般的に,電車容量は,電車定員の2.5倍〜3倍程度と言われているため,電車での移動 を表すリンクにおいて,リンク容量を電車定員の3倍として定義した.

  図2.2[6]に混雑率の目安を示す.混雑率とは,乗車人数を定員数で除した数である.この図

において,( a ) ( e ) はそれぞれ以下のような状況を表している.

  ( a ) 定員乗車(座席につくか,吊革につかまるか,ドア付近の柱につかまることができる)

  ( b ) 肩が触れ合う程度で,新聞は楽に読める.

  ( c ) 体が触れ合うが,新聞は読める.

  ( d ) 体が触れ合い相当圧迫感があるが,週刊誌程度なら何とか読める.

  ( e ) 電車が揺れるたびに体が斜めになって,身動きができず手も動かせない.

この図からも,定員の 3 倍以上の人間が電車に乗車することは,非常に困難であることが分 かる.

  電車の定員は,座席数とつり革数を足し合わせた数とほとんど等しいとされているが,特 に通勤用電車に関しては,JIS規格の規格番号JIS E 7103 : 1994 [7]で定められている.[7]によ ると,乗客定員は座席定員と立席定員との合計とされている.座席定員と立席定員の定義を

(12)

それぞれ以下に示す.

  座席定員:腰掛幅を乗客1人当たり占める長さ(430mmとする)で除した数.

  立席定員:座席用の床面及び座席前縁から 250mm の床面を除いた客席床面のうち,有効

550mm以上で有効高さが1,900mm以上確保できる床面の面積を,乗客1

当たりが占める広さ(0.3

m

2とする)で除した数.

  この規格に従って各路線の定員を定義することができれば,より現実に近いネットワーク を構築することができる.しかし,各路線の定員を正確に定義するためには,各路線の車両 設計図を入手する必要があるが,車両設計図は一般に公開されておらず,入手することは現 実的に不可能であると思われる.また,もし入手できたとしても,全路線の定員を算出する ことは非常に困難である.したがって,鉄道会社が発表している主要諸元表と,各路線の車

両編成表[8,9]を利用して,電車の定員を定義した[10-29].主要諸元表の例を表2.2に,車両編

成表の例を図2.3に示す.

       

  ( a ) 100%        ( b ) 150%        ( c ) 180%        ( d ) 200%        ( e ) 250%

2.2  混雑率の目安

2.2 a  主要諸元表(営団地下鉄丸の内線)

←荻窪 池袋→

02-100 02-200 02-300 02-400 02-500 02-600

CT1 M T M' M CT2

主    要    諸    元

自重 ( t ) 23.1 28.4

定員(人) 124 136

最大長さ ( mm ) 18,000

最大幅 ( mm ) 2,830

最大高さ ( mm ) 3,495

車体構造 全軽合金製

(13)

2.2 b  主要諸元表(営団地下鉄丸の内線)

電車線方式 DC600V  第3軌条方式 軌間 ( mm ) 1,435

最高速度 ( km / h ) 80

加減速度 ( km / h / s ) 加速度:3.2 / 減速度:(常用)4.0  (非常)5.0 制御方式 チョッパ方式 / VVVFインバータ制御方式 ブレーキ方式 回生ブレーキ付電空演算形電気指令式空気ブレーキ

列車保安装置 CS-ATC

運転方式 カ行時手動運転,ブレーキ時自動運転(TASC制御方式)

2.3  車両編成表(東急田園都市線)

(14)

2.2

  鉄道ネットワーク

2.2.1  首都圏鉄道網

  東京首都圏の鉄道網は,圧倒的な人口と経済活動を背景に,世界的にも例のない高密度の 輸送を行っている.図2.4に示すように,今日の鉄道網は,環状に走るJR山手線を境界とし て,外へは放射状に,内へはくもの巣状に張りめぐらされている.図2.4において,緑色で示 した線が山手線である.また,JR 線は多くが緩急分離の複々線になっているが,私鉄線は改 良途上にあり,都心部の地下鉄網との相互直通運転もその特徴である[30]

  本研究の対象範囲を図2.5 に示す.この範囲の鉄道網は,128路線1815 駅で構成されてい る.

 

      図2.4  首都圏鉄道網      図2.5  対象範囲の鉄道網

2.2.2  鉄道ネットワークの構築

  鉄道ネットワークというと,ほとんどの人が図 2.42.5 のような地図的なイメージの路線 図を想像するだろう.確かにそれは間違いではなく,鉄道の持つネットワーク構造が最もよ く現れている例である.鉄道旅客の流動予測や鉄道網の混雑計算においても,ほぼこのまま の形のネットワークがしばしば用いられてきた.単一路線のみで構成される鉄道ネットワー クの例を,図2.62.7に示し,複数路線によって構成される鉄道ネットワークの例を,図2.8 に示す.

  図2.6において,各ノードが駅を表し,ノード間を結ぶ各リンクが鉄道による駅間の移動を 表している.また,図2.7において,赤いリンクが優等列車(快速,急行等)による移動,青 いリンクが各駅停車による移動をそれぞれ表し,破線のリンクが異なる種別の電車へ乗り換

(15)

える移動を表している.

  より詳細な分析を行うためには,乗り換え,待ち時間,優等列車等の効果を考慮すること が必要不可欠であるが,このネットワークではこれらの効果を反映することができない.そ こで,図 2.62.8 に示したような鉄道ネットワークを,時間−空間ネットワークに拡張して いく.

  図2.6  単一路線の鉄道ネットワーク          2.7  単一路線の鉄道ネットワーク

(列車種別を考慮したもの)

  時間−空間ネットワーク

は,駅間の移動のような空間的な移動はもちろんのこ なって変化する時間の進行も考える必要がある.通常,時間の進行を考える

間−空間ネットワークと呼ぶ.こ 2.8  複数路線の鉄道ネットワーク

2.3

2.3.1  概要 

  鉄道利用者の移動を表現するために と,それにとも

場合,動的に問題を解く必要があるが,本研究で扱う鉄道網のように,大規模なネットワー クフロー問題を,動的に解くことは非常に困難である.

  この問題を簡単かつ正確に解く手段として,ネットワークを時間方向に拡張して問題を静 的に解く方法がある.ここで,拡張したネットワークを時

の方法を用いると,ネットワークの規模(ノード数,リンク数)は非常に大きくなってしま うが,動的に問題を解くことに比べて,遥かに簡単に解を得ることができる.

(16)

  時間−空間ネットワークは,2次元平面上で表現されているネットワークに時間軸を設ける ことによって,ネットワークを3次元的に拡張したものである.

  本研究で構築したネットワークに置き換えてみると,駅毎にノードを定義するのではなく,

駅で電車が発車する毎にノードを定義することを意味する.このようなネットワークを用い

2.62.7 に示したような単一路線のみで構成された鉄道ネットワークを,時間−空間ネ

する行動.

行動.

り換える行動.

め,上記の行動をネ

電車リンク:電車に乗車して駅間を移動する行動.

行動.

ノード,到着ノードは,各利用者に固有のもので るため,これらのリンクとノードは利用者によって変更される.したがって,それらを除

印が待ちリンクを表している.

ることによって,運行スケジュール上の時刻を追っての電車選択,乗り換えのための駅と電 車選択等の(準)動的な交通需要分析を,ネットワーク上での静的な交通需要分析に置き換 えて行うことが可能になる[31]

2.3.2  単一路線内のネットワー

 

ットワークに拡張する.

  単一路線のみの鉄道網を考えた場合,駅において鉄道利用者が取り得る行動は,以下のよ うに区分することができる

・駅に到着して,電車に乗車する行動.

・電車に乗車して次の駅へ移動

・前の駅から電車に乗車して移動してくる

・電車から降車して,異なる種別の電車に乗

・電車から降車して,鉄道の利用を終了する行動.

  構築するネットワークは,鉄道利用者の移動を再現するものであるた ットワークにおけるノード,リンクとして定義する.

  出発リンク:駅に到着して,電車に乗車する行動.

 

  待ちリンク:次の電車の到着を待つ行動.

  到着リンク:電車から降車し,鉄道の利用を終了する   駅ノード:各駅における各電車の停車.

  出発ノード:利用者の鉄道利用開始.

  到着ノード:利用者の鉄道利用終了.

  ここで,出発リンク,到着リンク,出発

いた図2.9に示すようなネットワークを構築する.以下では,これを単一路線における「乗り 換えネットワーク」と呼ぶ[32,33]

  図2.9において,円が駅ノードを表し,青色の矢印が緩行電車を表す電車リンク,赤色の矢 印が優等電車を表す電車リンク,緑色の矢

(17)

2.9  単一路線の乗り換えネットワーク

2.10  利用者移動ネットワーク例 電車リンク(各駅)

電車リンク(緩行)

N+2本目電車

N+1本目電車

N本目電車

k k+1 k+2 k+3 k+4

電車リンク(優等)

待ちリンク 駅ノード

駅ノード 出発ノード 電車リンク(優等)

到着ノード 待ちリンク

出発リンク 到着リンク

(18)

  なお,電車リンクの属性は,移動時間,定員,列車種別であり,駅ノードの属性は,時刻,

ードをネットワークに付加することにより,ネットワ

.3.3  乗り換えネットワーク 

,単一路線のみの分析を行う場合に,詳細な分析計算を可

析計算を行う際に,前節で説明したネットワーク構造には「他路線への乗り

路線における乗り換えネットワークのも

乗り換えリンク:電車から降車して,異なる路線のホームへ移動する行動.

2.11 に示したように,単一路線のネットワークを乗り換えリンクによって複数結びつけ

は,異なる 2 本以上の路線が接続している駅(以下,連絡駅と呼ぶ)において行 駅名である.また,待ちリンクのコストは,リンクの移動時間,つまりリンクの始点と終点 との時刻の差で定義した.

  各利用者は,各自固有のリンクとノ

ーク上を移動することができる.出発ノードは,利用者の鉄道利用開始時刻と鉄道利用開始 駅で定義され,出発リンクは,出発ノードから乗車可能な全ての駅ノードへのリンクと定義 する.また,到着ノードは,利用者の鉄道利用終了駅で定義され,到着リンクは,鉄道利用 終了駅を表す全てのノードから到着ノードへのリンクと定義する.図 2.10に,各利用者固有 のネットワーク例を示す.

2

  前節で説明したネットワークは

能にする.しかし,実際の鉄道網は,複数の路線が結びつくことによって構成されているた め,より現実的な解を求めるためには,単一路線のみの分析を行う場合においても,他路線 からの影響を考慮する必要がある.また,複数路線あるいは鉄道網全体の分析を行うことも 考えられる.

  このような分

換え」という概念がないため,この構造のままでは対応できない.そこで,このネットワー ク構造を基にして,複数路線で構成される鉄道網を表現できるようなネットワークに拡張す る.拡張したネットワークの例を図2.11に示す.

  各リンクと各ノードの定義は,前節で述べた単一

のと等しい.ただし,乗り換えリンクを以下のように定義する.

 

 

ることにより,複数路線のネットワークを構築することができる.しかし,乗り換えリンク は,電車リンクのように起終点の時刻が決まっているわけではなく,電車を降車してから乗 り換える電車のホームへ移動する時間によって決まってくる.したがって,乗り換えリンク を定義する際には,駅における路線の接続形態,あるいは駅の構造等を十分に考慮する必要 がある.

  乗り換え

われる.また,連絡駅における路線の接続形態によって,乗り換え方法は異なる.路線の接 続形態と乗り換え方法は,表2.3のように分類することができる.

(19)

2.11  乗り換えネットワーク

2.3  路線の接続形態と乗り換え方法

No 接続形 乗り換え方法

1 直通運転 乗り換えなし

2 同一ホームにて接続 電車から降車したホームで電車を待つ

3 同一改札内の異なるホームにて接続 階段,通路等を経由し,別のホームに移動して 電車を待つ

4 改札を経由して接続(同一駅名) を経由して改札を通過し,別鉄道 路,階段等を経由し 階段,通路等

会社の改札まで移動する そして,改札を通過し,通 てホームに移動し電車を待つ 5 改札を経由して接続(異なる駅名)

移動する際に一度地上に出る場 4とほぼ同様

ただし,駅間を

合が多く,そうでない場合でも長い距離を移動 しなければならない

駅ノード(路線 ) 駅ノード(路線 ) 電車リンク(路線 ) A

待ちリンク(路線 ) 電車リンク(路線 )

待ちリンク(路線 ) 乗り換えリンク

A

B B

A B

(20)

  表2.3に示したように,駅における路線の接続方法によって,乗り換えのための移動時間(移

ずに乗り換えができる駅同

2.4  同一駅の例

No 路線

動距離)は大きく異なる.1の場合,乗り換えにかかる時間は全く無く,2の場合にも移動す る時間は無いに等しい.また,45 の場合に関しては,駅によって差はあるものの,いずれ にせよ,ある程度の距離を移動しなくてはならない.ただし,3の場合に関しては,ほとんど の乗り換えにおいて12分程度で移動することができるが,駅の構造によっては,長い距離 を移動しなければならない場合がある.例えば,JR 東京駅の山手線から京葉線に乗り換える 場合,同じ改札内であるにも関わらず,少なくとも 5 分以上はかかってしまう.しかし,同 駅の山手線から中央線に乗り換える場合,1分程度で移動することができる.この2つの乗り 換えは明らかに種類が異なるものであり,同一視することは非現実的であると考えられる.

  大都市交通センサスでは,路線毎に固有の駅コードがあるため,以上のことを考慮して,

各駅コードを同一駅と乗り換え可能駅に分類する必要がある.

  原則として,同じ鉄道会社内での乗り換え,つまり改札を通ら

士を「同一駅」と定義し,異なる鉄道会社間の乗り換え,つまり改札を通過して乗り換えが できる駅同士を「乗り換え可能駅」と定義する.ただし,同一会社内での乗り換えにおいて も,路線間の距離が長く,乗り換えに要する時間が長い場合,それらの駅同士も「乗り換え 可能駅」と定義する.本研究で分類した同一駅の例を表2.4に示し,乗り換え可能駅の例を表 2.5に示す.

駅名 同一視する

1 渋谷

急田園都市線 営団地下鉄半蔵門

12 中野 停車

JR中央本線

JR総武線各駅 営団地下鉄東西線 2 有楽町 JR京浜東北・根岸線

JR山手線

23 東京 根岸線

JR中央本線

JR京浜東北・

JR山手線

3 大手町

丸の内線 営団地下鉄

営団地下鉄千代田線 営団地下鉄半蔵門線

次に,分類した駅間の移動を表す,乗り換えリンクのコストを定義する必要がある.「同一  

駅」間の乗り換えは,移動時間がほとんどかからない(1分未満で移動できる場合が多い)た

(21)

め,リンクコストを 0 とする.これは,ネットワークにおける時刻座標の単位が「分」であ るため,1 分未満の移動は0分に等しいからである.一方,「乗り換え可能駅」間の乗り換え は,駅の構造等により,大きく変わってくる.そこで,乗り換える駅間の距離を時間に換算 し,リンクコストを与える.

  移動する2点の座標を,それぞれ (x1,y1)(x2 y2) とすると,2点間の移動時間は,

(

x1x2

) (

2+ y1y2

)

2 ×

1 . 3 70

+

2

(分) ( 2.1 ) とする.( 2.1 ) 式において,利用者の速度は分速70 m

2.5  乗り換え可能駅の例

No 駅名 路線名 能路線

(時速4.2 km)である.

乗り換え可

3 東京 JR京葉線

JR東海道線

・根岸線 JR中央線

JR京浜東北

JR総武本線 JR山手線

JR横須賀線

4 東京 JR各線

の内線 営団地下鉄丸 東北新幹線 上越新幹線 東海道新幹線

5 東京 東京駅各線

線(日比谷駅,大手町駅)

二重橋前駅)

都営地下鉄三田

営団地下鉄銀座線(京橋駅)

営団地下鉄丸の内線(大手町駅 営団地下鉄日比谷線(日比谷駅)

営団地下鉄東西線(大手町駅)

営団地下鉄千代田線(大手町駅,

営団地下鉄有楽町線(有楽町駅)

営団地下鉄半蔵門線(大手町駅)

(22)

3 章 

交通量配分   

3.1

  通勤利用者移動データ 

3.1.1  大都市交通センサスデータ

  大都市交通センサスは,首都圏,中京圏,近畿圏の三大都市圏における鉄道,バス等の大 量輸送交通機関を対象に,定期券利用者に対するアンケート調査や普通券の使用状況等につ いての実態調査を行い,その利用実態を包括的かつ詳細に把握し,公共交通政策を検討する ための基礎資料を得ることを目的に実施している交通統計調査である[34,35].この調査は,

昭和35年以来5年毎に,国土交通省において行われているものであり,最新の調査は,第9 回目にあたる平成12年に実施されたものである.

  調査期間は,対象となる年の秋の定期券売り場が混雑するシーズン(9 月頃)を避けた平 日の数日間(平成 12年の調査では 10 23日〜27日)である.その期間内に,調査対象圏 域内で定期券及び普通券を購入する利用者のうち,利用区間の起点及び終点が調査対象圏域 内にある利用者を対象として調査票を配布し,調査項目に回答を記入してもらい,その場で 回収する,あるいは郵送等により回収するという方法がとられている.この方法は,当然な がら全ての利用者が対象となっていないサンプル調査であるため,統計的な誤差をともなう ものである.路線によって異なるが,全利用者の約30人に1人の割合でサンプルが選ばれて いる.

  主なデータとして,鉄道,バス及び路面電車の,それぞれ定期券及び普通券(定期券では ない利用者,回数券含む)のデータがある.鉄道に関するデータのみを抜粋すると,以下の ようなものがある.

・鉄道定期券利用者調査(トリップ分解後)

・鉄道普通券調査(着時間帯別駅間移動人員)

・基本ゾーン間移動人員

・初乗り・最終降車駅間経路別人員

・鉄道駅名データ

・鉄道路線名データ

・鉄道輸送サービス実態調査(線別着時間帯別駅間輸送人員)

・鉄道利用実態調査

(23)

  本研究では,平成12年のデータを利用した.通勤時間帯を対象としているため,この中か ら鉄道定期券利用者調査,鉄道駅名データ,鉄道路線名データを利用した.実際には,普通 券を利用して通勤,通学をしている利用者もいると思われるので,鉄道普通券調査も利用し たかったが,データの精度が鉄道定期券調査と比べて非常に粗かったため,利用することが できなかった.

  鉄道定期券利用者調査には,実際の乗客の行動が詳細に記述されており,表 3.1 のような データがレコード形式で収録されている.なお,レコードのフォーマットと各データ項目の 詳細については,付録に掲載する.

3.1 a  定期券利用者調査収録項目

No 項目名 項目内容

1 識別コード

2 事業者コード 鉄道事業者のコード

3 定期券発売所コード 定期券販売所(駅)のコード

4 調査票番号 調査票の番号

5 定期券種別 通勤定期,通学定期の区分 6 調査票記入の有無 調査票記入経験の有無

7 性別 性別の区分

8 年齢 10段階に分けた年齢の区分 9 居住地ゾーンコード 居住地の区分

10 勤務地・就学地ゾーンコード 勤務地,就学地の区分

11 出勤・登校しなかった曜日 調査の前週に出勤,登校しなかった曜日 12 フレックスタイム制の選択 フレックスタイムの有無

13 コアタイムの開始時刻 コアタイムの開始時刻 14 コアタイムの終了時刻 コアタイムの終了時刻 15 住まいの出発時刻 自宅を出発する時刻 16 乗車時刻 鉄道の利用を開始する時刻

17 鉄道駅までの利用交通手段 自宅から鉄道利用開始駅までの全利用交通手段 18 鉄道駅までの合計所要時間 自宅から鉄道利用開始駅までの所要時間 19 鉄道利用回数 鉄道の利用路線数

20 鉄道利用方法 利用路線毎の乗車駅,降車駅,列車種別

21 鉄道駅からの利用交通手段 鉄道利用終了駅から勤務地,就学地までの全利用 交通手段

22 鉄道駅からの合計所要時間 鉄道利用終了駅から勤務地,就学地までの所要時

(24)

3.1 b  定期券利用者調査収録項目

No 項目名 項目内容

23 降車時刻 鉄道の利用を終了する時刻 24 勤務地・就学地の到着時刻 勤務地,就学地に到着する時刻 25 前日の曜日 調査前日の曜日

26 前日の帰宅のための乗車時刻 調査前日の帰宅のために鉄道利用を開始した時刻 27 前日の帰宅のための降車時刻 調査前日の帰宅のために鉄道利用を終了した時刻 28 前日の帰宅のための乗車駅コード 調査前日の帰宅のために鉄道利用を開始した駅 29 前日の帰宅のための降車駅コード 調査前日の帰宅のために鉄道利用を終了した駅 30 帰宅時刻 自宅に帰宅する時刻

31 拡大率 このデータが何人分を代表するかを表す数   本研究では,このデータから以下の項目を抽出し,利用した.

・調査票番号

・乗車時刻

・鉄道利用回数

・鉄道利用方法

・拡大率

3.1.2  抜き出してソートした人

  3.2節で詳細に説明するが,本研究で用いる利用電車割り当てアルゴリズムとは,大都市交 通センサスデータに記載されているとおりに,鉄道利用者を移動させるものである.この方 法で利用者の移動を再現することによって,朝の通勤時間帯における首都圏の鉄道利用状況 を詳細に把握することができる.

  通常,電車を利用する人は,駅のプラットホームで利用したい電車の到着を待つ.その際,

到着する電車の停車位置が決まっているため,利用者はそれぞれ乗車したい扉の前に 2 列か 3 列で整列して待つ.そして,電車が到着したら,列の先頭の人から順に電車に乗車して いく.

  しかし,大都市交通センサスデータの定期券利用者調査に記載されている順で,利用者を ネットワークに割り当てようとすると,駅において電車に乗車する順序が必ずしも正しくは ならない.つまり,センサスデータの並びの先頭の人が一番最後に電車に乗車したり,列の 最後尾の人が一番最初に電車に乗車するというような,実際にはほとんど起こりえない状況 が発生してしまう可能性がある.

  他の利用者からの影響を全く考えない場合はこのままでも問題がないのだが,鉄道のよう 1 本の電車に乗車することができる最大人数(容量)が決まっている場合(本研究では,

各電車の容量を,列車定員の 3 倍としている),このような状況を無視することはできない.

(25)

なぜなら,電車に乗車する順序を無視してしまうと,本来は電車に乗車することができるは ずの利用者が,他の利用者を先に乗車させてしまったことにより,その電車に乗車すること ができないという状況が発生するからである.このような状況を避けるために,駅に到着し た順で利用者を電車に乗車させる工夫が必要となる.そこで,利用者データを並び換えるこ とによって,前述したような状況を回避している.

  本研究の対象範囲は,128 路線,1815 駅と広域であるため,全ての駅において乗車順序が 正確になるように利用者を移動させることは非常に困難である.そこで,4 章で説明する遅 延計算モデルを適用する東急田園都市線においてのみ,以下の手順で,乗車順序が正確にな るように利用者データを並べ替えた.

  ここで,

・データ数:N

・対象路線利用者データ数:TN

・対象路線非利用者データ数:FN

(

=NTN

)

・利用者データ:Di

(

i=1,L,N

)

・対象路線利用者データ:TDj

(

j=

1 ,

L

,

TN

)

・対象路線非利用者データ:FDk

(

k =1,L,FN

)

・対象路線の利用開始時刻:tj

(

j=

1 ,

L

,

TN

)

と定義する.

  Step1i=1 j=0k=0とする.

  Step23.2節で説明するアルゴリズムを用いて,Diをネットワークに割り当てる.

  Step3Diが対象路線を利用した場合,j= j+1TDj =Diとし,そうでなければ,k=k+1

k

k D

FD = とする.また,対象路線を利用した場合,対象路線の利用開始時刻を と する.

tj

  Step4i<Nならば,i=i+1としてStep 2へ戻る.

  Step5. が早い順にtj TDjをソートし,TDを作成する.

  Step6TDの後にFDを挿入し,D′を作成する.

  図 3.1 に,上記手順のイメージを示す.この操作を行うことによって,対象路線の利用者 を先に移動させ,その後で対象路線の非利用者を移動させることができる.対象路線の利用 開始時刻が早い順に利用者をネットワークへ割り当てているため,対象路線に限り,前述し たような非現実的な状況を回避することができる.

(26)

1 2 3 4 5

N-4 N-3 N-2 N-1 N

D

M

    1 2 TN-1

TN

1 2 3

FN-2 FN-1 FN

TD

FD M

M

    1 2 TN-1

TN

TD'

M

    1 2 TN-1

TN TN+1 TN+2 TN+3

N-2 N-1 N

D

M

M ソート

3.1  利用者データ並べ替えイメージ

3.1.3  出発時刻の平均化

  前述したように,大都市交通センサスはアンケート形式で実施されている.したがって,

調査対象者の回答に誤りがあったとしても,それが明らかな誤りでない限り,判断すること は難しい.特に,時刻に関しては分単位で記入しなければならないが,対象者が最小単位ま で正確に記入しているとは言い切れない.なぜなら,自分の乗車する電車の発車時刻を正確 に把握していない利用者が存在するからである.

  通勤時間帯において,電車が10分に1本程度,あるいはそれ以下の頻度でしか運行してい ない路線の利用者は,自分が電車に乗車する時刻を分単位で正確に記憶しているかもしれな い.なぜなら,乗車するはずの電車を乗り過ごしてしまうと,次の電車が到着するまで,長 時間待つことになってしまうからである.しかし,都心部を走る多くの路線において,運転 間隔は23分程度になっているため,利用者は乗車時刻を正確に記憶する必要がない.また,

JR 山手線のように,朝のラッシュ時間帯には時刻表の提示がない路線も存在していること,

慢性化している遅延によって,電車の発着時刻があいまいになっていること等も原因である と言える.

  今回利用したデータにおける乗車時刻別の移動人数を,図 3.2 に示す.このグラフでは,

各時間の 0 分,5 分,10 分というように,5 分刻みで高い山ができている.通常,電車の時 刻表はこのような形になっていないため,この山にはアンケート回答者の人為的な問題があ ると思われる.

表 2.1   データ項目一覧(世界測地系) No  項目 構造 属性 1  行政区域・海岸線(町丁目/大字 まで区分)  ベクタ線情報でポリゴンを構成 点情報(位置参照情報)  行政コード,名称  2  街区(住居表示の「番」 ) ベクタ線情報でポリゴンを構成 点情報(位置参照情報) 街区符号 3  道路中心線(ネットワーク) ベクタ線情報で道路ネットワーク を構成 主要なものの名称 4  鉄道,駅 ベクタ線情報,駅については点情 報 名称(路線名) 5  内水面,公園等の場地(都市公園, 飛行場等) ベ
表 2.2 b   主要諸元表(営団地下鉄丸の内線) 電車線方式  DC600V   第 3 軌条方式 軌間  ( mm )  1,435  最高速度   ( km / h )  80  加減速度   ( km / h / s )  加速度: 3.2 /  減速度:(常用) 4.0   (非常) 5.0  制御方式 チョッパ方式  / VVVF インバータ制御方式 ブレーキ方式 回生ブレーキ付電空演算形電気指令式空気ブレーキ 列車保安装置 CS-ATC  運転方式 カ行時手動運転,ブレーキ時自動運転( TA
図 2.9   単一路線の乗り換えネットワーク 図 2.10   利用者移動ネットワーク例電車リンク(各駅) 電車リンク(緩行)N+2本目電車N+1本目電車N本目電車k駅k+1駅k+2駅k+3駅k+4駅電車リンク(優等)待ちリンク駅ノード駅ノード出発ノード電車リンク(優等)到着ノード待ちリンク出発リンク到着リンク
図 2.11   乗り換えネットワーク 表 2.3   路線の接続形態と乗り換え方法 No  接続形 態 乗り換 え方法 1  直通運転  乗り換えなし  2  同一ホームにて接続 電車から降車し たホームで電車を待つ 3  同一改札内の異なるホームにて接続 階段,通路等を経由し,別のホームに移 動して 電車を待つ 4  改札を経由して接続(同一駅名) を経由して改札を通過し,別鉄道 路,階段等を経由し階段,通路等会社の改札まで移動するそして,改札を通過し,通 てホームに移動し電車を待つ 5  改札を経由し
+7

参照

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