iii まえがき
ま え が き
本書は、大学、短期大学、専門学校で生物学を学ぶ学生諸君のための入門 書である。高等学校で生物を履修した学生にとっては、少し重複感があるか もしれない。一方、高等学校で生物未履修の学生にとっては、中学校の知識 があれば一人で読み進めるのにそれほど困難はないであろう。
生物学は現在、急速に進展している学問分野である。生物学のニュースが 新聞等で報じられない日はほとんどない、といってもいい過ぎではない。特 に
iPS
細胞などの幹細胞や、それを用いた再生医療のニュースは、私たち の健康や病気の治療とも密接に関係しているので、大きく取り上げられるこ とが多い。また、環境問題も人間にとって重要な関心事である。それでは、私たちは、再生医療や環境問題の基盤にある生物学的な知識をどれほど理解 しているだろうか。そのような知識をもたずに、これらの重要な問題を考え るのは、時として判断を誤る原因になるかもしれない。
また私たちは、この科学の時代にあっても、迷信やうわさや宣伝に迷わさ れることが多い。多すぎるほどの情報のなかから、正しい情報を選択するた めには、やはり正しい知識が必須である。本書は、そのような判断に必要な 生物学の知識をわかりやすく伝えることを目的としている。
そのような理由から、ヒト(人間)についての記述をできるだけ多くする ようにした。書名を「ヒトを理解するための」としたのも同じ理由である。
もちろんヒトも生物であるから、生物に共通する現象や基礎的事項はヒトに も当てはまるので、それらを理解しないとヒトを理解することはできない。
そこで本書では、前半では生物に共通する細胞や分子のことを学び、後半は 主としてヒトの体や病気との闘い、そしてヒトの特性について考えることに した。
多くの大学、短期大学、専門学校では、この内容を
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学期で学習すること を考え、全体は1
学期の授業数に合わせて15
章からなっている。また、各 章の最後には、やや発展的な内容を付け加えた。それぞれの章に関心をもっ た読者は、ぜひ発展の節を勉強して欲しい。生物学の基礎を学ぶ多くの読者 が本書を、教科書として、また副読本として活用して下されば幸いである。iv まえがき
執筆に当たっては裳華房の野田昌宏さん、筒井清美さんに終始大変お世話 になった。厚く御礼申し上げる次第である。また、カイメンの写真の利用を 許可して下さった東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所の伊勢優史先 生に心から御礼を申し上げる。
2013年
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月八杉 貞雄