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HMD を用いた視覚刺激による触錯覚誘発の検討

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Academic year: 2021

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HMD を用いた視覚刺激による触錯覚誘発の検討

Examination of the haptic illusion indecement by the visual stimulation using HMD

1W090120-1

小山 心平 指導教員 河合 隆史 教授

OYAMA SHIMPEI Prof. KAWAI TAKASHI

概要: 近年、ウェアラブルな視覚ディスプレイの発達が目覚ましく、そのサイズや重量のコンパクト化やコン ピュータの高性能化が進んでいる。特に、

HMD

(ヘッドマウントディスプレイ)などを用いた人間の認知特性を 利用した錯覚の研究が盛んに行われている。そこで、現在シースルー

HMD

を用いた触錯覚として微触感の誘発環 境に関する研究を行っている。微触感とは、シースルー

HMD

に映る視覚刺激に触れることで微弱な触覚を感じる ことを意味する。今回は、刺激の大きさや触り方、触る場所を要因として比較実験を行った。実験の結果、炎や 氷など物の特性が想像しやすいコンテンツの方が単純刺激より錯覚誘発度が大きいと示された。

キーワード:シースルーHMD 、錯覚、触覚、3D

Keywords: see-throughHMD, illusion, tactile sense, 3D

1.はじめに

微触感とは、触覚ディスプレイを用いない視覚 デバイスからの視覚刺激のみにより誘発される 微弱な触錯感覚である。シースルーHMDを用いて 立体映像刺激を呈示し、手で映像を動的に触れる ことで、簡単に微触感を誘発することが可能とな った。しかし、微触感に関しては特性や発生条件 など分からないところが多い。そこで本実験では、

触り方(受動的接触、能動的接触)、大きさ(接 触面積の差)、触れる身体部位(感覚受容器の密 度の差)、表現方法の違い(見た目の温冷)を比 較検討し、その発生条件を明らかにすることを目 的とする。

1

微触感刺激の呈示

2

球の触り方

3 実験環境

2.実験方法

実験には、触り方(3)、大きさ

(2)、触る場所(2)

を要因とする

12

条件と実験刺激として炎、氷、

移動しない球の

3

種類刺激を用いた。触り方は頭 を動かす(図

2

左)、手を動かす(図

2

中)、映像 で動く(図

2

右)、の

3

パターン、大きさは大(目

30

㎝直径

3cm)と小(目先 30

㎝直径

3cm)の 2

種類、触る場所は指先と手のひらで

2

箇所と設 定した。

実験環境は図

3

のようになる。シースルーHMD

EPSON

社の

MOVERIO

を用いた。評価項目は、主 観評価として、感じ方の強度を

5

件法で答える錯 覚誘発度、

SAM

[1]を用いた情動価(快と不快)と 覚醒度(リラックスと動揺)、どのような感覚だ ったのか自由記述などを用いた。客観評価として 皮膚電位を測定した。参加者は

20

代の健常者

20

名であった。

(2)

2

3. 結果・考察

・三要因比較

球の触り方、球の大きさ、触れる場所を変えても、

錯覚の誘発度に有意な差は表れなかった。平均値 の比較では、受動的に接触した方が能動的に接触 したよりも錯覚誘発度が高い結果となった。快不 快の評価では、受動的接触より能動的接触の方が

「不快」という結果が示された。受動的接触は参 加者にとって快刺激であることが考えられる。今 回はこの錯覚の呈示が参加者にとって新しいも のであって、錯覚が起る=新しい=楽しい=快と いう結果につながったと考えられる。人は能動的 接触のほうが随意運動であるがゆえ探索運動の 速さを自在にコントロールして重要な情報を得 ることが出来る利点がある[2]。そのように、能動 的に接触したとき受動的に接触するより、「そこ に何も無い」という情報を探ることができたため

「受動的に接触した方が錯覚誘発される」という 結果に繋がった可能性がある。「受動的に接触し たほうが快」という結果が「受動的に接触した方 が錯覚誘発される」ことにつながる可能性につい ては今後さらなる検討が必要である。覚醒度は触 り方、大きさ、触る場所のどの要因においても有 意差は見られなかった。

4 三要因比較の錯覚誘発度平均

・炎、氷、移動なし球、移動あり球の平均の比較 炎と移動なしの球、炎と移動あり球の平均では 錯覚誘発度は炎のほうが有意に高いという結果 となった。つまり炎と球の間に錯覚誘発度の有意 な差があるといえる。錯覚は自分の記憶または経 験に結びついており、この微触感の呈示において

もより想像しやすい視覚刺激の方が錯覚誘発度 が高いことを表す。また氷と炎、氷と球に有意な 差は現れなかった。自由記述の回答では、三要因 比較の条件の回答の中で「冷たい」が回答された 回数が

0

回だったのに比べ、「暖かい」「熱い」が 回答された回数が

20

回だったことから、今回の 条件では微触感の錯覚は冷覚より温覚が誘発さ れた可能性がある。温覚を誘発しうる炎という刺 激が、錯覚誘発度の高い評定結果に影響を与えた と考えられる。

覚醒度の評価において、炎と氷のコンテンツを 用いた条件のグループの方が、球を用いた条件の グループより有意に高い評価があった。この結果 からコンテンツの表現によって印象が変わるこ とが示唆された。

5 コンテンツごとの錯覚誘発度平均

5.まとめ

今回の実験では受動と能動に置いて触錯覚誘 発度に差は認められたが、物体の大きさや触る場 所の要因には差が表れなかった。また、物の特性 が想像しやすいコンテンツよりの炎や氷と球を 比較したほうが錯覚誘発度の差が大きかった。今 後は、さらなる基礎特性の解明とともに様々な表 現方法のコンテンツを用いて比較する必要があ る。

参考文献

[1] (self-assessment manikin; Bradley & Lang, 1994; Lang et al. 1999)

[2]

岩村吉晃,タッチ,医学書院,東京,2001

1 1.52 2.53 3.54 4.55

錯覚の誘発度

*P<0.05 感じる

感じない

* *

参照

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