論文内容要旨
Risk factors predicting osteosarcopenia in postmenopausal women with osteoporosis: A retrospective study
(閉経後骨粗鬆症患者におけるオステオサルコペニアのリスクファクターの検討:
後ろ向き研究)
PLoS One. (No.8, Vol.15, e020237454, 2020年)
外科系整形外科学 岡村博輝
近年オステオサルコペニアという概念が提唱されている.オステオサルコペニアは骨 粗鬆症とサルコペニアが併存している状態であり,骨粗鬆症,サルコペニアを単独で有 する場合よりもフレイルの発生リスクを高めるとされる.また,栄養療法や運動療法の 介入がサルコペニアの改善に寄与することが報告されており,サルコペニアの早期発見 が重要となる.そこで, 我々は閉経後骨粗鬆症患者においてサルコペニア,フレイルと の関連性,オステオサルコペニアのリスクファクターについて調査した.対象は,2016年 10月1日から2017年9月31日までの間に昭和大学骨粗鬆症外来通院患者のうち,原発 性骨粗鬆症の女性で各種項目を測定し得た65歳から97歳までの276名である.検討項 目は,年齢,BMI,転倒スコア,フレイルスコア,サルコペニア診断項目,血液検査,骨密度, 脆 弱 性 骨 折 の 既 往,骨 粗 鬆 症 治 療 薬 で あ る.対 象 を, Asian Working Group for
Sarcopeniaの診断基準に従ってOP(骨粗鬆症単独)群とOS(オステオサルコペニア)群に
わけ,それぞれを3群(65-74歳,75-84歳,≥85歳)とし,各種項目に対しMann-Whitney U 検定,χ²検定にて比較した.次に,各年齢群に対しサルコペニアの有無を目的変数とし, その他項目を説明変数とした多重ロジスティック回帰分析を行った.脆弱性骨折の既往, 骨粗鬆症治療薬はそれぞれダミー変数(有:1,無:0)を使用した,統計的有意水準は5%
とした.276 人の患者のうち,54 人(19.6%)がオステオサルコペニアであった.さらに OS 群はOP群と比較しフレイルのリスクが高かった(odds ratio 2.33; 95% confidence interval, 1.13–4.80, P=0.028).全年齢群において,BMIに有意な相関が認められ,さら
に 65-74 歳の群では eGFR,HbA1c において有意な相関が得られた.骨粗鬆症患者はサル
コペニアのリスクであることがこれまでの研究で分かっているが,本研究により閉経後 骨粗鬆症患者において,特に 65-74 歳の年齢層では eGFR,HbA1c がサルコペニアのリス クファクターとなることが示唆された.したがって,同年齢層の骨粗鬆症患者において 腎機能障害,糖尿病などの併存疾患を有する場合はサルコペニアを調べることによりオ ステオサルコペニアの早期発見,早期治療に寄与するのではないかと考えられた.