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夜間睡眠中に4秒の洞停止を呈した3例

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(1)

日本小児循環器学会雑誌 6巻2号 306〜314頁(1990年)

〈症  例〉

夜間睡眠中に4秒の洞停止を呈した3例

(平成1年10月ll日受付)

(平年2年4月4日受理)

     福井心臓血圧センター小児科

     林   鐘  声*

       福井愛育病院小児科

早野 尚志* 岡本  力  石原 義紀

*現在 京都府立医科大学小児疾患研究施設内科部門

key words:洞停止,洞不全症候群,ホルター心電図,心房オーバードライブペーシング

      要  旨

 洞不整・洞徐脈のために実施したホルター心電図によって,4秒を越える洞停止・心停止を発見した 3例(6歳の女児,15歳と16歳の男子)について報告した.

 洞停止は夜間睡眠中に限られていた.2例に胸痛を認めたが,不整脈との関連はなかった.3例とも 脳虚血症状はなく,運動負荷時の心拍数の上昇は良好であった.電気生理学的検査では,1例は自動能

回復時間5,100msec,1例は洞結節回復時間3,520msecで,ホルター心電図の所見と併わせてRuben−

stein II群の洞不全症候群と診断した.16歳の男子例は洞結節回復時間は正常であった.この例では一時 期に長い洞停止が確認できただけで,過度のトレーニングに伴う迷走神経緊張によるか,あるいは潜在 性の心筋炎を併発した急性の洞結節機能不全と考えられた.

 一見,健康を考えられる小児でも,夜間睡眠中に長い洞停止・心停止のありうることを示す症例であっ

た.

      緒  言

 健康小児や成人でも,夜間睡眠中には洞停止は稀な らず出現しているが,2秒を越える例はごく少数で異 常とみなす報告が多い1ト5).

 今回,私達は洞停止が夜間睡眠中に限って集中し,

最長4秒を越える心停止を示した3例を経験した.洞 結節回復時間は1例は正常,1例は安静時に延長を示 し硫酸アトPピン静注後に正常化し,他の1例は同薬 剤の静注後も延長したままであった.一見健康と考え られる若年者でも長い洞停止を示す例のあること,4 秒を越える長い洞停止を示しても必ずしも洞不全症候 群を診断できない例のあることを示していた.3例の 心電図所見を中心に報告する.

別刷請求先:(〒602)京都市上京区河原町広小路梶井町      京都府立医科大学小児疾患研究施設内科      部門       林  鐘声

      症例報告  症例1:Y.T.6歳,女.

 主訴:不整脈

 家族歴:特記すべきことなし.

 既往歴・現病歴:39過,2,950g,正常分娩,心室中 隔欠損(軽症)として福井愛育病院で経過観察をうけ ていたが,2歳時に自然閉鎖したとして経過観察不要 となった.小学1年生の心電図検診で初めて不整脈を 指摘され,当科を初診した.自覚症状はなかった.

 理学的所見及び検査所見:身長117cm,体重19kg,

心雑音はなく,肝脾腫,浮腫もなかった.胸部X線写 真では,心臓,胃泡は正位で心胸郭比0.59,肺血管陰 影は正常であった.心電図は洞調律以外に図1に示し た下部心房調律を認めた.マスター運動負荷3分後(図 1下段)に洞不整・洞徐脈のために房室解離となり,

59/分の房室接合部調律が一過性に出現した.ホルター 心電図(図2)では,日中は洞不整と房室接合部補充

(2)

日小循誌 6(2),1990

〔安静時〕

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図1 症例1の心電図.下部心房調律時の心電図と,

 マスター運動負荷後に洞徐脈となり房室接合部調律  (59/分)となった時の心電図を示す(↑はP波を示  し,3,7拍目のP波は心室捕捉している).

収縮のみで洞停止の所見はなかった,一方,夜間睡眠 中は3秒前後の洞停止が頻回に出没した.長い洞停止 を図2に示した.午前1時36分には3.36秒,2.40秒の 洞停止が連続した.午前2時53分には長い洞停止のた め4.26秒後に補充収縮がみられ,3時59分では4.48秒 の洞停止,心停止を認めた.いずれも,心拍数が上昇 した後に長い洞停止が出現していた.その時の心電図 は基線のゆれがなく,苦しんでもがいている様子はな く,本人の自覚症状もなかった.トレッドミル運動負 荷では心拍数は180/分まで容易に上昇したが,終了後 早期に洞不整,洞徐脈となり補充収縮が出現した.

 1ヵ月後に電気生理学的検査を行った.その時,カ テーテルの走行異常から下大静脈欠損・奇静脈接合が あることに初めて気付いた.上大静脈に流入する拡大 した奇静脈の陰影は,胸部X線単純写真では明瞭では なかった.心内奇形の合併はなく,左右心耳の形態に 異常なく,左右肺動脈は正常に分岐していたことから left isomerismはないと判断した.電極カテーテルは 1本を右心房に,1本を右心室へ入れて,心房オーバー

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図2 症例1のホルター心電図.日中と夜間睡眠中の圧縮心電図の一部を示すととも  に,夜間のみに出現した長い洞停止の代表例を右下段に示した.

(3)

308−(86) 日本小児循環器学会雑誌 第6巻 第2号

Atrial Overdrive SupPression Test

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図3 症例1の電気生理学的検査の結果,高頻度心房ペーシングで洞結節は著明に抑  制をうけた.最大自動能回復時間(ART)は5,100msec,修正自動能回復時間  (CART)は4,020msec,硫酸アトロピン静注後はARTは3,090msecであった.房  室結節有効不応期(AVNERP)は370msecと正常であった.

ドライブペーシングを施行した.図3に示すように,

最大自動能回復時間5,100msec,修正自動能回復時間 4,020msecと著明に延長していた.カテーテルの走行 異常のためH波は記録できなかったが,心房早期刺激 法から房室結節有効不応期は370msecと推定した.硫 酸アトロピン0.5mg静注後は,最大自動能回復時間 3 , 090msec,修正自動能回復時間2,540msec,房室結節 有効不応期310msecであった.以上より, Rubenstein II群6)の洞不全症候群と診断した.3−E禁で2年間経過 をみているが,著変を認めていない.なお,本例は心 内奇形のない多脾症候群が疑われるが,脾シソチは未 施行である.

 症例2:E.Y.16歳,男.

 主訴:胸痛.

 家族歴・既往歴:特記すべきことなし.

 現病歴:野球部のクラブ活動中に時々,前胸部痛が 出現するため近医を受診した.その時のホルター心電 図に3〜4秒の洞停止が認められたため当科へ紹介と なった.眩量,失神などの他の自覚症状はなかった.

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 理学的所見及び検査所見:身長161.2cm,体重71.5 kg.理学的所見,血液生化学検査に異常を認めなかっ た.胸部X線写真では心胸郭比0.46であった.心電図

(図4)はP波,QRS波電気軸は正常, PQ時間0.16秒,

洞徐脈,洞不整が強く,P−P間隔は1、08秒から1.96秒へ 変動した.運動負荷心電図に異常なかった.ホルター 心電図(図5)では,日中は稀にウェンケバッハ型房 室ブロックが出現していた.夜間ではウェンケバッハ

(4)

平成2年7月1日

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        1987.6.18

図5 症例2のホルター心電図,日中は稀にウェンケバッハ型房室ブロックが出現し  ていたが,夜間は長い洞停止が頻発していた.

型房室ブロックに加えて,3秒以上の洞停止が頻発し,

午前3時20分,3時42分には3.84秒,4.02秒の長い洞 停止,心停止が出現した.無自覚であった.

 野球部を休部させて経過をみた.3ヵ月間に3回の ホルター心電図を行ったが,洞停止は消失し,ウェン ケバッハ型房室ブロックも殆ど消失した.初診より4 ヵ月後に電気生理学的検査を実施した.A・H時間120 msec, H−V時間35msec,洞結節回復時間1,360msec,

修正洞結節回復時間が250msec,房室結節有効不応期 360msecと正常であった.硫酸アトロピン1.Omg静注 後,A−H時間105msec,洞結節回復時間700msec,修正 洞結節回復時間130msec,房室結節有効不応期270 msecと正常であった(図6).

 過度のトレーニングに基く迷走神経過緊張状態が,

本例の洞停止に強く関与したものと考えた.その後,

本人の強い希望もあり再び野球部の活動を許可したと ころ,2秒前後の洞停止が出現するようになった.し かし,以前ほど長い洞停止は出現しなかった.胸痛は クラブ活動の再開後に時に訴えたが,我慢のできる程 度であり,他に有意の症状もないことから,特別の指

導はせずに2年間経過をみている.

 症例3:M.T.15歳,男.

 主訴:胸痛.

 家族歴・既往歴:特記すべきことなし.

 現病歴:労作と関係なく胸痛が時々出現するため,

当科へ紹介となった.来院時には胸痛は消失していた.

眩量,失神などの他の自覚症状はなかった.

 理学的所見及び検査所見:身長167cm,体重55kg,

理学的所見,血液生化学検査に異常を認めなかった.

胸部X線写真では心胸郭比0.44であった.心電図(図 7)では,75〜60/分の洞不整を認めた.PQ時間O.16 秒で他に著変なかった.マスター運動負荷後に著明な 洞不整となりP−P間隔は0.72〜1.34秒と変動した.ホ ルター心電図(図8)では,日中は洞不整のみであっ た.夜間睡眠時に周期的に4秒前後の長い洞停止,心 停止が出現した.最長は午後10時58分の4.56秒であっ た.無自覚であった.トレッドミル負荷心電図は正常 であった.その後のホルター心電図でも同様の結果で あった.胸痛は消失し,不整脈との関係はないものと 考えられた.

(5)

310−(88)

Atrial Overdrie SupPression Test

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       E Y  16yr M 図6 症例2の電気生理学的検査の結果.洞結節回復  時間(SRT)は1.360msec,修正洞結節回復時間  (CSRT)は250msecと正常で,硫酸アトロピン静注  後も正常であった.房室結節の機能は正常であった,

 当科初診より7ヵ月後に電気生理学的検査を実施し た.A−H時間130msec, H−V時間50msec,洞結節回復 時間3,520msec,修正洞結節回復時間2,760msec,房室 結節有効不応期460msecであった.硫酸アトロピン 1.Omg静注後, A−H時間70msec, H−V時間50msec,

洞結節回復時間630msec,修正洞結節回復時間90

msec,房室結節有効不応期230msecと正常化した(図

9).Rubenstein II群の洞不全症候群と診断した.症 例1とは異なり,硫酸アトロピン投与で洞機能,房室 結節機能が正常化したところから,迷走神経緊張の関 与も強くあることが示唆された.3−E一禁で3年間経過 をみているが,著変ない.

      考  察

 報告した3例は洞徐脈,著明な洞不整(P・P間隔の変 動70〜90%)以外に12誘導心電図に問題はなかったも のの,ホルター心電図によって予期しない4秒を越え る洞停止,心停止を発見した例であった.

 当施設に在任した2年間に約150件のホルター心電 図検査を施行したが,洞徐脈,洞不整を理由に初診者 に実施したのは9例で,そのうち1例が2.46秒の洞停

日本小児循環器学会雑誌 第6巻 第2号

〔安静時〕

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図7 症例3の心電図.安静時心電図は洞徐脈,運動  負荷後には洞不整が目立った.

止,3例がここに紹介した4秒を越える洞停止例で あった.いずれも睡眠中に出現したものであった.

 洞房ブロックや洞停止は夜間睡眠中には稀ならず出 現するが,7〜11歳の104人の結果では最長の洞停止は 1.88秒3),10〜13歳の131人の男子の結果では洞停止は 1.60秒2),14〜16歳の100人の男子の結果では1.88秒4),

50人の男子医学生の結果では2.06秒であった1).また 新生児から15歳までの360人の結果では,中学生の1人 に3.1秒の洞停止のあったことが報告されている5).一 方,20歳台を中心とするスポーッ選手35人の結果では 2秒を越えた洞停止が13人(37.1%)であり最長2.76 秒,同年代の35人では2秒を越えたのは2人で,最長 は2.60秒であった7).以上の報告からみると,ここに報 告した3例はtrained vagotoniaがあると考えられる スポーツ選手と比較しても極端に長い洞停止例であ り,洞機能障害を示すものである.その原因として,

洞不全症候群の他に夜間睡眠中に集中していたことか ら睡眠時閉塞性無呼吸8),REM睡眠に伴う洞停止9)も 考えられた.そこで,睡眠時の心電図,呼吸,脳波の 多チャソネル同時記録を行った.症例1,症例3は洞 停止に無呼吸が関与していないことが明らかとなっ た.一方,脳波は記録が不十分で判定できなかったも のの,洞停止は睡眠中の全時間帯に出没していたこと からREM睡眠の関与も否定的であった.症例2は長 い洞停止を呈したのは1回の記録のみであったので,

多チャンネル同時記録は実施しなかったが,一過性に

(6)

平成2年7月1日 311−(89)

Holter ECG

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図8 症例3ホルター心電図.夜間に洞停止が頻発し,最長は午後10時58分の4.56秒  であった.

経過したこと,睡眠中の全時間帯に頻回に洞停止がで ていたことなどから,REM睡眠や睡眠時閉塞性無呼 吸とは無関係と考えた.

 洞不全症候群は器質的な洞結節機能不全による不整 脈に基く症候群で,その診断は心電図所見によってな

される.Rubensteinの分類6)が臨床的によく用いられ ている.1群:原因不明の持続性の洞徐脈,II群二洞 房ブPtックもしくは洞停止, III群:徐脈一頻脈症候群 の3群である.ホルター心電図では,1,II群は夜間 に最長R−Rを示す例が多く,しかも夜間に限って出現 する例の多いことが知られ1°),私達の例はこの点で一 致する.ホルター心電図から小児の洞不全症候群を診 断する基準としてEctorらの報告がある11).①40/分以 下の徐脈が長時間続くこと,②3秒以上の洞停止のあ ること,③2:1や3:1の洞房ブロックのあること,

以上の3項目のうち2項目以上を満足する場合,洞不 全症候群と診断するとしている.その他,成人では1 日の総心拍数を問題とする報告もみられる.しかし,

心拍数は種々の内的・外的因子とくに自律神経の影響

をうけるので,異常の基準をどこに設定するかは未だ 確立しておらず,洞停止時間の絶対値についても同様 である.私達の3例をEctorらの基準で検討すると② を満足するのみで,彼らの診断基準にあてはまらない ものであった.そこで,診断を確定するために電気生 理学的検査を実施した.右心房にてオーバードライブ ペーシングによる洞結節回復時間を測定すると,症例 1では自動能回復時間5,100msec,症例3では洞結節 回復時間3,520msecと著明に延長していた.

 ホルター心電図の所見と併わせてRubenstein II群 の洞不全症候群と診断した.房室結節有効不応期は症 例3で延長していたが,硫酸アトロピン投与後に正常 化した.症例2は洞結節回復時間1,340msecと正常で あった.洞不全症候群では洞結節回復時間に異常がで ない例もあるが,本例の場合は電気生理学的検査時に は心電図異常は消失しており,洞結節機能不全はな かったものと解釈した.一過性に異常を示した原因と しては,臨床経過から,過度のトレーニングによる迷 走神経緊張が深く関与していたと考えた.また,スポー

(7)

312−(90) 日本小児循環器学会雑誌 第6巻 第2号

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図9 症例3の電気生理学的検査の結果,洞結節回復時間は3,520msecと延長してい  た.硫酸アトロピン静注後は630msecと正常化した.

ツ心臓としては洞停止の程度が強かったこと,胸痛が あったこと,一過性の経過を示したことなどから,そ の時に潜在性の心筋炎に罹患していた可能性も否定は できないが,臨床的に診断に足る根拠は不十分であっ

た.

 洞不全症候群の診断にあたって,洞結節は種々の影 響をうけるので除外項目が必要である.すなわち,迷 走神経緊張,頚動脈洞反射充進,甲状腺機能低下症,

スポーッ心臓,高K血症や薬剤による徐脈などであ る.洞不全症候群の診断は洞結節及び周辺組織の器質 的病変を前提としているためであるが,実際のところ,

機能的異常と考えられる迷走神経緊張や頚動脈洞反射 冗進と明瞭に鑑別できない例のあることも事実であ

る.最近ではsinus node dysfunction一洞結節機能不 全一という言葉が用いられ,器質的病変のあるもの(洞 不全症候群に相当する),機能的なものと大別し,臨床 経過から急性,慢性とする分類法が用いられている12).

私達の症例の症例1,3は器質的病変のある慢性経過 を示すものとして分類してよいものと考えられるが,

症例3は硫酸アトロピン投与で洞結節回復時間が正常

化したことから機能的要素も強くあることが考えられ た.症例2は過度のトレーニングによると考えると機 能的異常,潜在性心筋炎が関与していたとすると器質 的異常で急性経過を示したものと分類できる.いずれ にしろ,臨床的に器質的か機能的かを鑑別するのに困 難な例のあることから,洞結節機能不全の概念は有用 なものである.

 最後に,これら3例の治療及び予後について述べる.

3例とも洞停止に関連した症状がなかったことから無 治療で経過をみた.症例2は一過性に長い洞停止を示

し,症例1,3は現在も長い洞停止を示しているが,

著変なく経過している.若年者の洞不全症候群の自然 経過は十分に解明されていないが,一部には突然死し たり,稀には寛解するものもあるようである13).ペース

メーカーの植え込みに関しては,一般的には脳虚血症 状があったり,最大心停止時間が5秒以上の場合は適 応を考慮すべきとされているが14},5秒とする根拠は 不明で3秒,あるいは4秒が適応なしとする根拠も不 明である.現時点では慎重な総合判断が必要であり,

症例1,3に関しては,運動に伴う心拍数の上昇が良

(8)

平成2年7月1日

好なこと,自覚症状がないことから,適応なしとして 経過をみている.たまたま,ホルター心電図によって 見つかったこれらの症例が,今後,どのような経過を 示すかは予断を許さず,慎重に経過観察を続けている.

       結  語

 洞徐脈・洞不整を認めたため,ホルター心電図を施 行したところ,夜間に4秒以上の長い洞停止,心停止 を示した3例を経験したので報告した.1例は一過性 に経過したのみであったが,他の2例は慢性に経過し,

いわゆる特発性洞不全症候群と考えられた.これらの 例の今後の自然歴が注目される.

 最後に御校閲頂きました,京都府立医科大学小児疾患研 究施設内科部門教授,尾内善四郎先生にお礼を申し上げま

す.

       文  献

 1)Brodsky, M, Wu, D., Denes, P., et al.:Arr−

   hythmia documented by 24 hour continuous    electrocardiographic monitoring in 50 male    medical students without apparent heart dis−

   ease. Am. J. CardioL,39:390,1977.

 2)Scott,0., Williams, GJ. and Fiddler, G.1.:

   Results of 24 hour ambulatory monitoring of    electrocardiogram in 131 healthy boys aged 10    to 13 years. Br. Heart J.,44:304,1980.

 3)Southall, D.P., Johnston, F, Shinebourne, EA.,

   et al.: 24 hour electrocardiographic study of    heart rate and rhythm pattems in population of    healthy children. Br. Heart J.,45:281,1981.

 4)Dickinson, D.F. and Scott, O.:Ambulatory

  electrocardiographic monitoring in 100 healthy   teenage boys. Br. Heart J.,51:179,1984.

5)Nagashima, M., Matsushima, M., Ogawa, A., et   al.:Cardiac arrhythmias in healthy children   revealed by 24 hour ambulatory ECG monitor・

  ing. Ped. Cardiol.,8:103,1987.

6)Rubenstein, JJ., Schulman, C.L., Yurchak, P.

  M.,et al.:Clinical spectrum of the sick sinus   syndrome. Circulation,46:5,1972.

7)Viitasalo, M.T., Kala, R, and Eisalo, A.:

  Ambulatory electrocardiographic recording in   endurance athletes. Br. Heart J.,47:213,1982.

8)Tilkian, A.G., Guilleminault, C., Schroeder, J.S.,

  et al.:Sleep−induced apnea syndrome−

  Prevalence of cardiac arrhythmia and their   reversal after tracheostomy. Am. J. Med.,63:

  348,1977.

9)Guilleminault, C., Pool, P., Motta, J., et al.:

  Sinus arrest during REM sleep in young adults.

  N.E.J.M,311:1006,1984.

10)早川弘一:洞結節機能の臨床的評価.洞結節.金原   出版,第1版,p.125−129,1987.

11)Ector, H. and Van del Hauweert, LG.:Sick   sinus syndrome in childhood. Br. Heart J.,44:

  684,1980.

12)Bashour, T.T.:Classification of sinus node   dysfunction. Am. Heart J.,110:1251,1985.

13)木谷文博,本田幸治,北野幸英,他:若年者の洞不   全症候群について.心臓,12:973,1980.

14)深谷真彦,橋場邦武:洞不全症候群の治療.洞結   節.金原出版,第1版,p.188−194,1987.

(9)

314−(92) 日本小児循環器学会雑誌 第6巻 第2号

Three Cases of Sinus Arrest for More Than 4 Seconds During Sleep at Night

       Shosei Hayashi*

         Division of Pediatrics, Fukui Circulation Center

 Takashi Hayano*, Tsutomu Okamoto and Yoshinori Ishihara

      Division of Pediatrics, Fukui Aiiku Hospital

*At Present:Division of Internal Medicine, Children s Research Hospital,

       Kyoto Prefectural University of Medicine

   Three apparently healthy cases complicated with sinus arrest for more than 4 seconds during sleep at night were reported. They were a 6・yearっld girl,15−year−old and 16−year−old boys.

   Sinus arrest was documented by Holter ECG monitoring, which was performed because of sinus arrhythmia and bradycardia. Two patients occasionally complained of vague chest discomforts, which were not related to their arrhythmias. No symptoms of brain ischemic episode occurred,and heart rate increased appropriately according to the degree of exercise. Electrocardiophysiological studies were undertaken in three. Maximal automatic recovery time was 5100 msec in one, and maximal sinus node recovery time was 3520 msec in another. These patients were diagnosed as sick sinus syndrome of the second group of Rubenstein s classification. The other patient of 16 years old showed normal maximal sinus node recovery time. He developed long sinus arrest transiently for afew days, due to acute sinus node dysfunction resulting from over・trained vagotonia or an occult myocarditis.

   The possibility of nocturnal asystole should be considered in patinets such as these described here.

参照

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