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(1)

乳がん看護の厳選 ポイント

埼玉医科大学国際医療センター 看護部 乳がん看護認定看護師

小島 真奈美

(2)

乳房超音波検査

<目的>

・乳がん検出手段

・良悪性の鑑別

・臨床的腫瘍径の評価

・若年者、妊娠、授乳中の 患者に用いることができる

<診断>

・腫瘤像形成病変

(3)

細胞診

<検査方法>

・穿刺吸引細胞診

超音波ガイド下で針を穿刺し、吸引し細胞 を採取する。

・捺印細胞診

分泌物をプレパラートに捺印し、95%の エタノールで固定する。

<目的>

・がん細胞の有無を調べる。

(Class1~5に診断される。)

(4)

CT・PET・骨シンチ

<CT>

遠隔転移の判定、乳がんの広がり診断、術前 の病気診断(腋窩リンパ節の転移状況確認)

<PET>

遠隔転移、リンパ節転移、局所再発の検出 など

<骨シンチ>

骨転移の検出

(5)

MRI

<目的>

マンモグラフィや超音波検査で良悪性の判別が困 難な症例の検査

乳房温存療法の適応を検討するための乳がんの広 がり診断

術前評価

術前化学療法の効果判定

再発診断

(6)

乳房全摘術

乳房をすべて摘出する。

<メリット>

・乳房内再発が低下する

・断端陽性による再手術はない

・同時再建術が可能である

・安心感がある

<デメリット>

・傷が目立つ

・乳房がなくなる(悲しさ)

・手術後ドレーンが入る(リンパ液)

(7)

乳房温存術

乳房を部分的に摘出する。

<メリット>

・整容性が維持できる

・翌日退院できる

<デメリット>

・乳房内再発が乳房全摘よりやや低い

・放射線治療は必須である

・断端陽性による再手術がある

・乳房が変形する場合もある

(8)

乳房温存術の適応

腫瘍径3cm

多発病巣がない

術後放射線照射が可能である

広範囲な乳管内進展がない

患者の希望

(9)

腋窩リンパ節郭清

日本乳癌学会:患者さんのため乳癌診療ガイドラインより

意義:病理診断、局所制御

<メリット>

・術後の治療方針の判断

(転移の有無、転移個数)

<デメリット>

・リンパ浮腫や感覚神経障害 が発生するリスクがある。

・温存術の領域により、傷が

2か所になる。

内胸 リンパ節

(10)

腋窩リンパ節のレベル

レベルⅠ

小胸筋外側縁より外側のリンパ節

・レベルⅡ

小胸筋より背側および胸筋間のリンパ節

・レベルⅢ

小胸筋内縁より内側のリンパ節

(11)

センチネルリンパ節生検

がんが最初に到達し、転移が形成されるリンパ節 センチネル

(見張り番)という意味 転移があると周囲のリン パ節の順次転移する。

*センチネルリンパ節でマクロ転移(2mm以上)

であれば、腋窩リンパ節郭清を行う。

*陰性であっても稀にスキップ転移がある。

(12)

乳房再建

乳がん術後の乳房欠損や変形に対して、人工物 または自家組織を用いて乳房をつくる方法。

<方法>

1.人工物(インプラント)

2.自家組織(広背筋、腹直筋)

3.乳輪、乳頭再建

<時期>

・一次再建・・・乳房切除と同時に再建術を開始

・二次再建・・・術後ある程度時間をあけて再建 術後行う

(13)

乳がんの治療で行われる化学療 法1

種類 一般名 商品名

アルキル化剤 シクロフォスファミド エンドキサン® 抗がん性抗生物質 アドリアマイシン

(ドキソルビシン)

アドリアシン®

エピルビシン ファルモルビシン® 代謝拮抗剤 フルオロウラシル

5-FU

®

葉酸拮抗薬 メトトレキサート メソトレキセート® プラチナ製剤 カルボプラチン カルボプラチン® 微小管阻害薬 ドセタキセル ワンタキソテール®

パクリタキセル タキソール® 分子標的治療薬 トラスツズマヴ ハーセプチン®

(14)

乳がんの治療で行われる化学療 法 2

(主に手術不能、再発・転移に使用)

種類 一般名 商品名

代謝拮抗剤 カペシタビン ゼローダ® テガフール・ギメラシ

ル・オテラシルカリウム

TS-1

®

ゲムシタビン ジェムザール® 微小管阻害薬 エリブリン ハラヴェン®

ビノレルビン ナベルビン® 分子標的治療薬 ベバシズマヴ アバスチン® ラパチニブ タイケルブ®

エベロリムス アフィニトール® パルボシクリブ イブランス®

オラパリブ リムパーザ® アメマシクリブ ベージニオ®

(15)

乳がん治療薬剤と副作用症状

副作用症状 薬剤

末梢神経障害 微小管阻害薬(ビノレルビン,パクリタキセル,ドセタキセ ル)

プラチナ製剤(カルボプラチン),エリブリン

皮膚障害 フルオロウラシル,カペシタビン,メトトレキセート,ドキソ ルビシン、TS-1, ,UFT,パクリタキセル,ドセタキセル、

ラパチニブ,エベロリウム

脱毛 シクロフォスファミド、ドキソルビシン、パクリタキセ ル、ドセタキセル、エピルビシン

悪心・嘔吐

CEF療法、AC療法、EC療法、カルボプラチン、ドキソ

ルビシン、 エピルビシン、パクリタキセル,TS-

1,UFT,カペシタビン

性機能障害

CMF,CEF,CAF,AC療法

タキサン系薬剤、分子標的製剤

(16)

副作用の発現時期

発現時期 症状

開始前 精神心理的悪心・嘔吐、

治療当日 アレルギー症状、アナフィラキシー症状、発熱、

即時型悪心・嘔吐、不整脈、出血性膀胱炎

1~2日

発疹、全身倦怠感、食欲不振、遅延型悪心・嘔吐、

肝障害、腎障害、

2~7日

下痢、口内炎、(抗がん剤の直接作用による)、

肝障害、腎障害、

7~21日

白血球、血小板減少、口内炎(白血球低下によ

る)下痢、脱毛

21~数ヶ月

貧血、臓器障害(肺線維症、心筋毒性など)色素

沈着、末梢神経障害、

数ヶ月~数年 不妊症、性機能障害、二次発がん、中枢神経障害

(17)

副作用(薬物有害反応)の観察

CTCAE

で評価する

頻度:入院は毎日、通院は来院ごとに行う

Grades

定義

Grade1

軽症;症状がない、または軽度の症状がある;臨床所 見または検査所見のみ;治療を要さない

Grade2

中等症;最小限/局所的/非侵襲的治療を要する;

年齢相応の身の回り以外の日常生活動作の制限

Grade3

重症または医学的に重大であるが、ただちに生命を 脅かすものではない;入院または入院期間の延長を 要する;活動不能/動作不能;身の回りの日常生活動 作の制限

Grade4

生命を脅かす;緊急処置を要する

Grade5 AEによる死亡

有害事象共通用語規準(CTCAEv4.0)日本語訳JCOG版

(18)

化学療法のリスクマネジメント

1.安全な投与管理

・適正なレジメン

・インフュージョンリアクション、過敏症対策

・血管外漏出の対応

・適正な器材の選択

2.曝露対策

・エプロン、マスク、手袋、ゴーグル着用

・排泄物の処理(尿、便、吐物など)

3.副作用管理

・支持薬の確実投与

・セルフケア支援

(19)

乳がん内分泌の作用機序

(20)

乳がんの内分泌療法の選択

閉経前 閉経後

1

LH-RHアゴニスト 製剤

アロマターゼ阻害薬

2

抗エストロゲン薬 抗エストロゲン薬

3

黄体ホルモン剤 黄体ホルモン剤

(21)

内分泌療法薬の種類(閉経前)

一般名 商品名

抗エストロゲン薬 タモキシフェン タスオミン® ノルバデックス®

LH-RH

アゴニスト製剤

ゴセレリン酢酸塩 ゾラデックス® リュープロレリン

酢酸塩

リュープリン® 黄体ホルモン剤 酢酸メドロキシ

プロゲステロン ヒスロンH®

(22)

内分泌療法薬の種類(閉経後)

一般名 商品名

アロマターゼ 阻害薬

(非ステロイド型)

アナストロゾール アリミデックス® レトロゾール フェマーラー®

(ステロイド型) エキセメスタン アロマシン® 抗エストロゲン薬 トレミフェン フェアストン®

フルベストラント 注射剤

フェソロデックス® 黄体ホルモン剤 酢酸メドロキシ

プロゲステロン

ヒスロンH®

(23)

術後照射

適応 照射方法 効果

乳房温存 手術後の 照射

乳房温存術後 ・術後3~4週を目安に 乳房に照射する。

・1日1回、月~金

16回あるいは25回

・断端陽性の場合は、

25回+ブースト照射 を行う。

・1回線量:2.0Gy、

総線量50Gy。

・Stage1、2期の 浸潤がんの再発を 10年間で半減させ る。

乳房切除 後の照射

・腋窩リンパ節 転移4個以上

・リンパ節転移を 伴う局所進行例

・腋窩リンパ節 転移が1~3個で も高度なリンパ 管浸潤を伴う例

・胸壁と鎖骨上窩リンパ 節を照射する。

・1回線量:2.0Gy、

総線量50Gy。

・遺残が疑われる場合は 10Gy/1週間追加 照射される。

・胸壁再発の予防

(24)

転移・再発時の照射

適応 照射方法 効果

骨転移 骨転移 ・8Gy/1回

・神経障害性疼痛や脊髄 圧迫がある場合は、30

~40Gy/10~20回。

・疼痛緩和の奏効率は、

60~90%。

脳転移 脳転移 ・1個であれば、定位 放射線照射

・多数であれば全脳照射

・1回の照射

・脳転移の制御

・痙攣や頭痛など75

~85%軽減する。

再発の 腫瘍から の出血

腫瘍からの出血 ・20Gy/5回 ・症状の対処療法

(25)

放射線治療の副作用

急性期有害事象

放射線照射中~終了直後に発生する症状

晩期有害事象

治療が終了してから半年~数年に発生する症状

(26)

2.乳がんと診断された時のケア

1)告知後の患者、家族のケア

(27)

診断をうける乳がん患者の観察と アセスメント 1

<診断時>

・1人で説明を聞くのか、家族が付き添うのか 確認する。

・患者の表情、言動などを観察する。

・心身の状況を把握する。

・家族の表情、言動などを観察する。

・家族の心身の状況を把握する。

(28)

診断をうける乳がん患者の観察と アセスメント 2

<診断後>

・心身の状況を確認する。

・帰宅方法を確認する。(1人、車?)

<診断後~>

・医師からの説明をどのように理解したか確認する。

・診断時からこれまでの生活状況について確認する。

食事量、睡眠状況など)

・精神状況を確認する。(抑うつ、意欲、希死 念慮など)

・子供がいる場合は、告知について確認する。

(29)

2)治療選択をする乳がん患者の

意思決定支援

(30)

術式・治療選択時の乳がん 患者の観察とアセスメント

どのような選択肢が提示されているのか把握する。

選択肢を与えられた意味を理解しているのか 確認する。

・どのような治療を希望しているのか把握する。

・何に迷っているのか、何を知りたいのか確認 する。

・どのように、誰と決めたいのか確認する。

・乳房への価値について把握する。

・心身の状況を観察する。(適応障害、うつなど)

(31)

3.乳がんと遺伝

(32)

遺伝とは

生殖によって親から子へ形質が 伝わる現象のこと

(33)

遺伝の形式

https://www.ganchiryo.com/about_cancer/genetic.phpより

(34)

主な遺伝性腫瘍の発生頻度

遺伝性腫瘍 頻度(集団頻度) 参考

遺伝性乳がん卵巣がん症候群

(HBOC) 1/200 全乳がんの5~10%

Lynch症候群

(遺伝性非ポリポーシス大腸がん) 1/250 全大腸がんの2~4%

全子宮体がんの約2%

神経線維腫症1型(NF1) 1/3,500 結節性硬化症 1/6,000

家族性大腸ポリポーシス(FAP) 1/17,000 全大腸がんの1%未満

Li-Fraumeni症候群 1/20,000 若年乳癌

多発性内分泌腫瘍1型(MEN1) 1/30,000 多発性内分泌腫瘍2型(MEN2) 1/35,000 遺伝性網膜芽細胞腫 1/38,000 Von Hippel-Lindau病 1/38,000

Cowden症候群 1/100,000

赤字:乳がんとの関連が報告されている遺伝性腫瘍

(35)

拾い上げの必要性

• HBOCの基準は、家族歴の聴取から!

だが、患者さんは、治療をするため病院に来ている。

(36)

家系図の書き方について

標準化された記載法に基づく(1995年米国人類遺伝学会誌(2008年更新))

従来使われてきた記号と意味が異なる

基本は黒塗り

複数疾患への罹患は塗分ける 右上から斜線

マークは使わない 二重線は近親婚 婚姻関係は一本線 発端者

Proband 来談者

家系内で遺伝学的問題に 気がつく契機となった人

(必ず来談しているとは限らない)

P

(37)

遺伝カウンセリング

遺伝カウンセリングは、疾患に対する遺伝学的寄 与のもたらす医学的、心理的、家族的影響に対して、

人々がそれを理解し適応していくことを助けるプロ セスである。

(38)

認定遺伝カウンセラーとの連携

認定遺伝カウンセラー 看護師

・遺伝情報や社会の 支援体勢等を含む さまざまな情報提供

・心理的、社会的サポ

-トを通して当事者 の自律的な意思決定 を支援

・病状や治療、治療の 有害事象についての 情報提供、意思決定 支援

・治療のセルフケア 支援

・挙児、就労などの 支援

当院の場合

(39)

遺伝医療に関わる社会資源

1.医療費支援 2.社会福祉支援 3.患者支援団体

・クラヴィスアルクス(HBOC患者、未発症者)

https://www.clavisarcus.com/より

(40)

生殖細胞系列変異と体細胞変異の違い

生殖細胞 体細胞

細胞の 種類

精子、卵子 脳、筋肉、皮膚、骨、

内臓などの細胞

特徴 受精卵の時から 存在

親の遺伝子情報を 子どもへ伝える 役割

受精後あるいは出生後 に細胞に変異

(41)

遺伝性腫瘍に影響する問題

HBOCは、20~40歳代の若年に多い。

・対側の乳がんの罹患

・結婚

・挙児

・就労

・保険加入(民間)

(42)

サーベイランスの必要性の理解

対側乳がんの罹患

(10 年で22.0%、15 年33.8% )

卵巣癌の罹患

70才までに(BRCA1: 40% BRCA2:18%)

遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)診療の手引き 2017年より

(43)

43

婦人科腫瘍科

25歳~:視触診・問診

1回/ 6~12ヶ月)

25~29歳:乳房MRI

(1回/年)

30~75歳:乳房MRIと

MMG

(1回/年)

75歳以上

個別対応

HBOCサーベイランスの状況

30歳~:

経腟超音波

CA125

(1回/6ヶ月)

対象:BRCA遺伝子検査陽性者

男性(発端者・血縁者)

40歳~:

PSAスクリーニング

泌尿器腫瘍科

乳腺腫瘍科

(44)

予防的切除

(45)

エビデンスレベルの解説

推奨 の強

推奨文 臨床的意味

前版の推 奨グレー

1

行うことを 強く推奨す

行うことが強く勧められると読

み替えることもできる A

2

行うことを 弱く推奨す

必ずおこなわなければならない ということではなく,益と害の バランスおよび患者の価値観な どを踏まえ,現場で相談し,ど ちらかというと行うことを勧め

BC1

3

行わないこ とを弱く推 奨する

弱く推奨する裏返しであり,益 と害のバランスおよび患者の価 値観等から,どちらかというと 行わないことを勧める

C2

4

行わないこ とを強く推 奨する

害が大幅に益を上回る介入であ

り,行わないことを強く勧める D

ガイドラインによりグレードの表記が違います。

疫学、予防は、確実やほぼ確実というレベル表記をします。

Convincing(確実)

発癌リスクに関連することが,確実であると判断で きる十分な証拠があり,予防行動をとることが勧め られる

Probable(ほぼ確実)

発癌リスクに関連することが,ほぼ確実であると判 断できる十分な根拠があり,予防行動をとることが 一般的に勧められる

Limited-suggestive(可能 性あり)

「確実」「ほぼ確実」と判断できないが,発癌リス クとの関連性を示唆する根拠がある

Limited-no conclusion(証 拠不十分)

データが不十分であり,発癌リスクとの関連性につ いて結論付けることができない

Substantial effect on risk unlikely(大きな関連な し)

発癌リスクに対して実質的な影響はないと判断する 十分な根拠がある

(46)

今後の遺伝診療

(47)

がんゲノム検査とは

生検や手術などで採取されたがんの組織 を用いて、高速で大量のゲノムの情報を 読み取る「次世代シークエンサー」という 解析装置で、1回の検査で多数(数十~

数百)の遺伝子を同時に調べていく検査。

国立がん研修センター がん情報サービスより

(48)

遺伝子パネル検査の例

家族性大腸 腺腫症

HBOC

リ・フラウメニ症候群

PTEN 過誤腫症候群 リンチ症候群

多発性内分泌腫瘍症2型 家族性甲状腺髄様癌 網膜芽細胞腫

フォンヒッペル・リンドウ病

NCCオンコパネル

国立がん研究センターでカスタムした多遺伝子診断キット。

114遺伝子の変異・増幅および、13遺伝子の融合の有無が1アッセイで解析可能。

:遺伝性腫瘍関連 遺伝子(一部のみ)

(49)

乳がん看護厳選ポイント

東北大学病院 緩和ケアセンター 看護部 金澤 麻衣子

[email protected]

49

2019年6月29日(土曜日)

(50)

午後の内容

1.

手術

2.

化学療法

3.

内分泌療法

4.

放射線治療

5.

進行・再発乳がん患者のケア

50

(51)

乳房喪失へのケア

患者会の活動・支援 術後上肢のリハビリ 進行再発時のケア 診断・告知時の 心理的支援

乳がん看護の焦点の変遷

術式選択の支援 治療選択の支援

妊よう性・再建などを 含む治療選択の支援

乳房温存療法 術前化学療法 薬物療法の拡大 整容性・再建の拡大

リンパ浮腫予防のケア 化学療法のセルフケア

補整具・下着の紹介

乳がん看護相談

療養の場の選択の支援

地域連携の支援

がんリハビリ セクシュアリティのケア

遺伝カウンセリング 51

(52)

乳がん患者のたどる経過(受診~術後補助療法)

52

MMG・エコー 細胞診

針生検

拡がり診断 CT・MRI 骨シンチ

病院

選択 検査 告知 初期治療 乳房切除術 乳房温存術

(乳房再建)

リンパ節郭清

センチネルリンパ節 生検

術前化学療法 異常

発覚

術後 補助療法 病理

結果 説明

化学療法 内分泌療法 放射線療法

(53)

乳房再建について

53

(54)

54

乳房再建に関する名称について

一次再建 二次再建

一期再建 一次一期再建 二次一期再建 二期再建 一次二期再建 二次二期再建

1.手術を行う時期

①乳がん手術と同時に行う“一次再建”

②乳がん手術を終えてから改めて行う“二次再建”

2.再建術の回数

①1回の手術で再建を完了する“一期再建”

②最初にティッシュエキスパンダー(組織拡張器)

を挿入し、胸の皮膚と筋肉を引き延ばした後に 再建を完成させる“二期再建”

(55)

人工乳房を用いた再建

日本乳癌学会編:Q24図3,患者さんのための乳がん診療ガイドライン2016年度版,

http://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/guidline/g4/q24/:アクセス日2017年10月3日

(56)

腹直筋皮弁法

56

②乳房の傷を閉じて 手術終了

手術時間は4時間程度で、

専門医のいる形成外科で 対応可能

筋肉を一部切り取るため、

腹筋が弱くなる

過去に腹部の手術を受けた 方、妊娠・出産を予定して

いる方は適応にならない ①腹部の脂肪、皮膚

筋肉の一部に血管 をつけた状態で、

胸に移植する方法

日本乳癌学会編:Q24図3,患者さんのための乳がん診療ガイドライン2016年度版,一部改変 http://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/guidline/g4/q24/:アクセス日2017年10月3日

(57)

穿通枝皮弁法

57

②乳房の傷を閉じて 手術終了

高度な技術を要するため、

手術時間は長く(6~10 時間程度)対応できる施設 は限られる

筋肉を切り取らないため、

腹筋は弱くならない

過去に腹部の手術を受けて も、手術は可能

妊娠・出産を予定している 場合には、適応にならない

①腹部の脂肪だけを 血管をつけた状態 で取り出し、胸に 移植する方法

日本乳癌学会編:Q24図3,患者さんのための乳がん診療ガイドライン2016年度版,一部改変 http://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/guidline/g4/q24/:アクセス日2017年10月3日

(58)

乳頭・乳輪再建による影響

刺青以外の方法は、保険適用である

健側乳頭の乳管が残っていれば、授乳や性的 感覚 は問題ない

患側による皮弁法は、乳頭の支持性を保つた め、

3~6か月は圧迫を避けるように保護する

58

(59)

乳房再建に関する要因

• 健康状態

(高齢でも全身麻酔がかけられる健康状態であれば基本的に 問題はない)

• ステージ

(再発・転移がある場合は、基本的に乳がん治療に専念する)

• 胸のサイズ

• 利用可能な組織の量

• 経済的な負担

• 検討している術式

• 乳房の外観と自分の願望

59

(60)

乳がん手術前の看護

60

(61)

手術前の患者の心理

手術そのものに対する恐怖感

手術による乳房の切除、変形に対する喪失感

術式に対する迷い、術後の後遺症・生活に対する 不安

手術によって悪いものを取り除くという期待感

61

患者の期待と不安が入り混じった気持ちを理解し、

その気持ちに寄り添いながら、ともに手術に対す る準備を整えていくことが必要

(62)

(内富庸介:がん医療の現在,P5-18,医事出版社,2001) 62

がんに対する反応の経過と心理的反応

患者はこの時期をどのように過ごしているか入院

(63)

がんから最初に

達するリンパ節

(センチネルリンパ節)

さらに中枢側リンパ節 に順次転移する

日本乳癌学会 編:患者さんのための乳がん診療 ガイドライン2014年度版 .金原出版,201470 図1.より改変転載

日本乳がん看護研究会 乳がん看護Webセミナー

センチネルリンパ節生検

ラジオアイソトープ法と色素法、両者の併用に よって同定されたセンチネルリンパ節を摘出する

腫瘍摘出のための皮膚切開とは別に、センチネル リンパ節生検のための皮膚切開を行うこともある

(64)

入院前・入院中に確認すること

64

【身体面】

栄養状態、合併症、乳がんの家族歴、月経状況

患側の乳房(腫瘍の大きさ、色、変形の有無、疼痛など)

術前検査の異常の有無

肩関節周囲炎の既往の有無、上肢拳上の状態の確認

【精神面】

痛みに対する認識と 過去の経験

告知後の思い

術式選択への思い

【社会面】

年齢

結婚歴・出産歴

経済的負担

仕事や家庭の役割の変化

周囲のサポートの有無

(65)

乳がん手術後の看護

65

(66)

化学療法を受ける患者への看護

66

(67)

化学療法の目的

微小転移を根絶し、再発率と死亡率を低下させる

67

微小転移:どんな検査でも見つからない。目に見えないほど の極初期の転移。浸潤がんの場合、微小転移があると考えた 上で再発予防の治療を行う。

※再発の場合は、目的が大きく異なる

(68)

術前化学療法の標準治療レジメン

68

HER2陽性乳がん

アンスラサイクリン系→タキサン系+トラスツズマブ

トラスツズマブは、術後も継続使用する(計1年)

患者が乳房温存手術を希望しているが、腫瘍が大きい ため乳房温存術が困難な場合

腫瘍径、リンパ節転移、ホルモン感受性、HER2発 現状況、増殖能などを考慮し、適応を検討する

レジメンは、AC、AC→タキサン、FEC→タキサン など

術前化学療法と術後化学療法の予後は同じである。

(69)

術後化学療法の標準治療レジメン

69

HER2陰性、再発リスクが低い場合

アンスラサイクリン系

タキサン系+トラスツズマブ

タキサン単独化学療法+トラスツズマブ

• TCH

(ドセタキセル+カルボプラチン+トラスツズマブ)

HER2陽性の場合

• CMF(シクロフォスファミド+メトトレキサート+

フルオロウラシル)

タキサン単独

• TC(ドセタキセル+シクロフォスファミド)

レジメンの基本は、アンスラサイクリン系とタキサン系

*トラスツズマブは1年間使用

(70)

薬剤の特徴と注意すること①

• CMFは、他の標準治療レジメンに比べて

脱毛が少ない

アンスラサイクリン系薬剤は、心臓への 累積毒性がある。治療前や治療中に心機 能(左室駆出率50%以上)を確認する。

トラスツズマブは、心毒性に注意し、

定期的な心機能検査が必要である。タキ サン系薬剤と同時併用あるいは順次併用 する。

70 ドキソルビシン10mg

(アドリアマイシン®

(写真:サンドHP)

エピルビシン

(ファルモルビシ ®

(写真:ファイザーHP)

メトトレキサート50mg

(メソトレキセート®

(写真:ファイザーHP)

トラスツズマブ

(ハーセプチン® と溶解液

(写真:中外製薬HP)

(71)

薬剤の特徴と注意すること②

パクリタキセルには、専用の輸液ルート

(PVCフリーやDEHP対策済み)を準備 する。また、アレルギー症状(過敏症)

が発現しやすいので、アレルギー症状

(過敏症)を予防する薬を必ず使用する

パクリタキセルとドセタキセルには、

無水エタノールが含有されているので、

アルコール過敏の人には注意する。

自家用車での通院は控える。

71

(写真:ブリストルマイヤーズ)

パクリタキセル

(タキソール® 注射液30mg

(写真:サノフィー株式会社)

ドセタキセル

(ワンタキソテール® 点滴静注20㎎

(72)

CMF療法

○ ◎ ○ ◎ ○ ○ ○

AC

療法

EC

療法 ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ○ ◎

CAF

療法

FEC

療法 ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ◎

ドセタキセル ◎ ◎ △ ○ ○ ◎ ◎ ◎ ○ ○ 浮腫 パクリタキセル ◎ ◎ △ ○ ◎ ◎ ○ ○ ◎ ○

TC

療法 ◎ ◎ △ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ○ ○

トラスツズマブ ◎ 下痢

C

:シクロフォスファミド、

M

:メトトレキサート、

F

:フルオロウラシル

A

:ドキソルビシン

/

アドリアマイシン、

E

:エピルビシン、

T

:ドセタキセル

◎特に注意が必要 ○注意が必要 △軽度

72

(73)

治療について

治療目的、内容、方法、期間

治療当日の流れ(病院受診から治療、帰宅までの流れ)

治療環境の見学

副作用とセルフケアについて

起こりうる副作用症状

副作用に対する治療の内容

セルフケアの方法、日常生活の過ごし方

困ったときの対処について

病院に連絡すべき症状・連絡方法・受診方法

経済的負担の程度

73

看護オリエンテーションの内容

(74)

情報収集の項目

年齢、身長と体重、既往歴、アレルギー、検査デ ータなどの身体状況

病態、治療決定までの経緯、治療目的と治療内容

治療に対する患者の理解、受け止め方、思い

家族背景、社会や家庭での役割などの社会状況

経済状況

大切にしていること、今後の希望など、治療を乗 り越え支えとなるもの

治療を受ける気持ちの準備、治療に取り組む姿勢 が整っているか

74

(75)

患者に必要なセルフケア

治療目的、治療計画(使用する薬剤、スケジュール

)、副作用と対処方法を理解する

自分の身体を継続して観察する

治療を継続しながら日常生活を調整する

適切な副作用の予防行動ができる

副作用出現時は適切な対処ができる

必要時、医療機関を受診する

75

(76)

セルフケア支援

治療や副作用、日常生活への不安や気がかりに対する 相談に応じ、問題解決にみちびく

視聴覚教材などを用いて、副作用の種類、発現時期と 消失時期、対処方法(病院受診が必要な症状、緊急時 の受診方法)の理解を促す

治療環境を整える

通院手段や通院時間の把握(タキサン系はアルコール含 有のため自家用車での通院は禁止)

家族、周囲、同僚のサポート体制の把握

相談窓口の情報提供(医療相談、サポートセンター等)

受診時間を調整する

76

(77)

治療当日の看護

治療開始前

バイタルサイン、検査データーの把握

副作用のアセスメントと症状マネジメント

困っていること等の把握とセルフケア支援

パクリタキセル投与時は、PVCフリーの輸液セットを準備

治療中の看護

確実な副作用予防薬と治療薬の実施

副作用のモニタリング

症状出現時の早期対応

治療終了後の看護

受診が必要な症状、受診方法、連絡先を伝える

処方薬の把握と服薬アドヒアランスの支援

77

(78)

看護のポイント

治療前

マニュアルと救急カートの準備

症状を伝え、体の変化があれば訴えるように説明する

治療中

アレルギーを予防する薬の使用

治療開始10分間は患者の側を離れない、

モニタリング

発症時

薬剤を中止し、患者の側を離れず、応援を呼ぶ

心理的支援

78

(79)

抗がん剤治療の苦痛度ランキング

(80)

内分泌療法を受ける患者への看護

80

(81)

セクシュアリティへの支援の姿勢

性に対するとらえ方、要望や希望など、患者やパー トナーがどのような価値観を持っているかを理解す る

「質問に答える」は個別の問題が大きく、医療者側 は正解はないということを自覚する

患者とパートナーの問題として受け止め整理できる ように関わる

81

(82)

性の解説小冊子

82

アストラゼネカ株式会社発行

(83)

放射線療法を受ける患者への看護

83

(84)

治療計画時の看護

【看護師の役割】

バスタオルなどで不必要な乳房の露出を避ける配慮をする

患者の傍に寄り添い、感情表出を促す

室温調整、音楽をかけるなどリラックスできる環境を整える

治療室は1人になるので、モニターで見守っていることを 伝える

皮膚マーキングへの支援をする

84

放射線療法の照射時は、乳房を露出する

患者は羞恥心を伴う

(85)

AYA世代のがん患者について

85

(86)

がん罹患することで

できなくなること/できにくくなること

・学業

・友人関係

・恋愛

・アルバイト

・仕事

・昇進

・恋愛、結婚

・家事

・育児

・出産

・就職

(87)

再発・転移乳がん患者への看護

87

(88)

乳がん看護の書籍(一部抜粋)

88

①2003年

⑨2010年

②2005年

(89)

①ナースのための最新乳癌テキスト.真興交易(株)医書出版部,2003.

②乳がん患者へのトータルアプローチ.ピラールプレス,2005.

③乳がん患者ケアガイド.学研,2006.

④ブレストケアナース 役割と実践.日総研,2006.

⑤がん看護 実践シリーズ8 乳がん,メヂカルフレンド社,2007.

⑥ナーシング・プロフェッション・シリーズ がん看護の実践-2 乳がん患者への看護ケア.医歯薬出版株式会社,2008.

⑦乳がん看護トータルガイド.照林社,2008.

⑧乳腺外科ナーシングプラクティス.文光堂,2009.

⑨乳がん看護困った!にこたえるサポートブック.メディカ出版,2010.

⑩乳がんケア.学研,2013

⑪乳がん患者ケア.学研,2017 89

(90)

ご案内

乳がん学会看護セミナー

7月13日(土)

【乳がん患者の

リハビリテーション】

第15回乳がん看護研究会

10月12日(土)

【アドバンス・ケア・

プランニング】

90

(91)

参考資料

91

(92)

よくある術後の場面

考えてみましょう!

Q:入院時の患者の表情が険しい

Q:センチネルリンパ節生検の結果、リンパ節郭清になった Q:温存術後、断端陽性となり術式変更になった

Q:ドレーンがなかなか抜けません

Q:術後、回診の時の創を見ることも、シャワーもできません Q:術後、リハビリがすすみません

92

(93)

補整パッド・下着について

93

補整パッド(リマンマ)の目的

• 手術で切除した乳房を補整して左右のバランスを 整える

• 胸部への衝撃から創部を保護する

• 創部の保温

補整パッドを使用しないときのデメリット

• 外見上のバランスが悪い

• 身体の左右のバランスが悪い

(肩こり・腰痛・頭痛の原因となる)

※補整パッドを使用しないときのデメリットを強調しすぎない

(94)

下着選ぶときのポイント

94

• 患者のからだとパッドにあわせることが大切

• カップの内側にパッドを入れるためのポケットが 付いているもの

• パッドをカップ内のポケットに入れたときに安定 感があるフルカップのもの

• 肩や体幹に負担の小さいストラップおよびブラ ジャーの横幅が広いもの

• 長さ調節をするアジャスターは創部に当たらない よう背中側にあるもの

補整下着の洗濯では、乾燥機を使用しないようにしましょう

(95)

補整パッドの種類

95

種類 長所 短所

ウレタン製軽い

リラックスするときなど、手軽 に使用できる

安価

ずれやすい

身体の重心バランスを整えるに は不十分

シリコン製に比べ耐久性に劣る

乳房の質感がない シリコン+

ウレタン製

(ウレタンの 中心部分にシ リコンを使 用)

ウレタン製より重みはあるが、

シリコン製より軽い

比較的安価

ウレタン製に比べ安定感はある が、シリコン製ほどではない

身体の重心バランスを整えるに は不十分

シリコン製に比べ耐久性に劣る シリコン製重さは軽い素材のものから様々

乳房と同じ程度の重さのパッド は、身体のバランスを整えるこ とができる

ずれが少ない

乳房に近い質感がある

耐久性に優れている

皮膚に直接貼るタイプもあり

重みがある

(ただしカップ内のポケットに入 れて使用するとそれほど重さを感 じない)

価格が高い

蒸れや暑さ対策 が必要

(96)

乳がんの術後経過と下着

ソフトブラ 胸帯ブラ

(乳がん専用)

授乳・術後兼用ブラ

術後用伸縮胸帯

術直後から術後1~3か月後まで 術後1~3か月後以降

普通のブラ

普通のブラに補整 パッド用のカバーを 縫い付けて使用する 切除術後用補整下着 パッド用ポケットつき

96 温存術後用補整下着 ビーズパッド用ポケット つき

日本乳がん看護研究会 乳がん看護Webセミナー

(97)

乳房切除術後の補整下着・補整パッド

補整パッド

・シリコン製 切除術後用補整下着

パッド用ポケットつき

普通のブラに補整 パッド用のカバーを 縫い付けて使用する

補整パッド

・ウレタン製

・スポンジ製

皮膚に直接貼る シリコンパッド

・既製品

・オーダーメード 普通のブラ

ノンワイヤーが よりよい

97 日本乳がん看護研究会 乳がん看護Webセミナー

(98)

乳房温存術後の補整下着・補整パッド

補整パッド

・シリコン製

皮膚に直接あてるシリコ ンパッド(乳房切除術後 用より薄い)

普通のブラ ノンワイヤーが

よりよい

98 温存術後用補整下着

ビーズパッド用ポケットつき

日本乳がん看護研究会 乳がん看護Webセミナー

(99)

補整パッド・下着を紹介する時に確認すること

99

• 患者の経済的背景を把握しておく

• 患者が購入できる方法を把握する

☑店舗に出かけられるのか

インターネットはできるのか

☑FAXはあるのか

• 可能であれば、下着メーカーで開催している試着 会などで試着することを勧める

(試着会の情報は、各下着メーカーのホームページや、

近隣の乳がん看護認定看護師にたずねるとよい)

(100)

患者情報サイト・補整パッド・下着メーカー

株式会社VOL-NEXT

がん患者サービスステーションTODAY!

http://www.v-next.jp/

❖ワコールリマンマ

http://www.wacoal.jp/remamma/

❖KEA工房

Body care

http://www.kea-kobo.com/bodycare/

❖ユコー株式会社

http://www.yukor.co.jp/

100

(101)

101

補整パッド・補整下着メーカー

❖株式会社 竹虎

http://www.taketora-web.com/

❖株式会社池山メディカルジャパン

http://www.ikeyama-mj.com/

❖株式会社マエダモールド

http://www.maeda-mold.co.jp/

❖株式会社ブライトアイズ

http://www.be-japan.com/

❖有限会社モーハウス

http://shop.mo-house.net/fs/mohouse/c/300

参照

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