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自分を見つめ,自分のよさに気付き,互いのよさを認め合う態度をはぐくむ指導の工夫 ー 6学年学校と家庭との連携を図る「夢カード」を活用した学級活動を通して ー

多賀城市立山王小学校 及川 理恵

概要

児童が生活習慣や家庭での学習習慣を身に付けることは,学習活動に大切なだけではなく 自分への評価を高め,周りから認められて過ごすために大切なことではないかと考える。本 研究は,児童が自分の生活習慣や家庭での学習習慣,友達関係を見つめる「夢カード」を家 庭や担任と連携を図りながら実践し 「夢カード」を活用した学級活動を通して自分のよさに, 気付き,互いのよさを認め合う態度をはぐくむ指導の一試みである。

1 主題設定の理由

6学年の児童は自他の違いを自覚し始める時期に入ってくる。自分中心から抜け出すこの時期は,

周りの友達と比較して自分に自信をなくしたり,友達の言葉に傷つきやすくなったりしやすい不安定 な時期といえる。反面,その不安定さの解消に向けて,自分を見つめ,解決しようと考えたり,行動 につなげたりすることができる時期ともとらえることができる。

学校生活で大きな比重を占めているのは学習活動である。学習には生活習慣や家庭での学習習慣が 大きく関わっている。児童自身が自分の生活習慣や家庭での学習習慣を見つめて,めあてをもち継続 的に習慣の形成に取り組む活動を行い,その活動を通して自分のがんばりに気付いたり,家庭や友達 から認めてもらったりすることは充実した学校生活につながるものと考える。そのためには家庭との 連携や学級の普段の友達関係の在り方も大切になってくるものと考えられる。

児童が自分自身を見つめ,自分の問題に気付いて解決しようとする意欲をもち,実際にめあてを設 定し行動に移していく手だてとして「夢カード」を作成したいと考えた。児童が自分の生活習慣や家 庭での学習習慣,友達関係を見つめて振り返り,これに対してまず,教師が細やかに児童の実態を把

, , , , 。

握し 児童を励まし 認めながら 児童自身の改善点に気付かせたり 改善策に取り組ませたりする そして,児童の生活の様子や学校で行った児童に対する働き掛けの様子を家庭に知らせることで,家 庭は児童の日常生活に今まで以上に関心を向け,児童の努力の様子を認めたり,家庭の協力が必要で あることを感じたりすることができ,児童の習慣形成に不可欠な家庭の協力も得られるのではないか と考える。今年度は6学年に所属し算数少人数,家庭科,学年体育,行事に関わっていることから,

家庭科の「生活を見直そう」の発展として担任と連携してこの活動に取り組んでいきたい。

その後 「夢カード」を活用し 「自分はがんばっている」と自分のよさに気付き「友達もがんば, , っている」と友達のよさを認める学級活動を担任とのT.Tで実施していきたい。学級の中では積極

, ,「 」

性や交友関係 学習成績などによって自分や友達への評価が固定化している面があるが 夢カード という観点から自分や友達を見つめ直すことで,この活動を定着・継続する意欲を高め,互いのよさ に気付き,認め合う態度をはぐくむことができるのではないかと考える。

以上のことから,家庭との連携を図り,児童一人一人に自分自身の生活習慣や家庭での学習習慣を 見つめさせる「夢カード」を活用した学級活動を通して,自分のよさに気付き,互いのよさを認め合 う態度をはぐくみたいと考え,本主題を設定した。

2 研究目標

学校と家庭との連携を図る「夢カード」を活用した学級活動を通して,児童が自分を見つめ,自分 のよさに気付き,互いのよさを認め合う態度をはぐくむ指導の在り方を明らかにする。

(2)

3 研究仮説

学級において以下のような手だてをとることで,児童は自分を見つめ,自分のよさに気付き,互い のよさを認め合う態度をはぐくむことができるであろう。

(1) 自分の生活や家庭での学習,友達関係について記入する「夢カード」を作成し,児童が自分自身 を振り返る活動に継続的に取り組ませる。

(2)家庭や担任と連携を図りながら,必要に応じた個別指導を行う。

(3 「夢カード」を振り返る活動を通して児童が互いの実践の様子を学級で共有し,自分のよさに気) 付き,互いのよさを認め合う学級活動を行う。

4 研究の対象と方法

4.1 研究対象

多賀城市立山王小学校 第6学年1組(37名)

4.2 研究方法

(1)先行事例,文献の資料収集

(2)生活習慣,家庭での学習習慣,友達関係に関する実態調査

(3 「夢カード」の作成と自分自身を振り返らせる活動の継続的な実践) (4) 家庭や担任と連携を図った個別指導の実施

(5 「夢カード」を活用した学級活動の実践) (6)事後調査による仮説の検証

(7)研究のまとめと今後の課題の考察

5 研究の概要

5.1 研究主題・副主題について 5.1.1 「自分を見つめ」について

望ましい生活習慣や家庭での学習習慣を身に付けるには,自分自身で自分の生活を見つめ振り返ら せることが大切であると考える。今まで習慣化が図られていなかったり,自己肯定感が低かったりす る児童には,結果の改善を急がずに児童自身が気付いたことをもとに自分で解決していこうとする意 欲をもたせることが必要である。本研究では自分を見つめることを,自分の問題点に気付きめあてを 見出してよりよい生活習慣や家庭での学習習慣,友達関係をつくっていこうとする意欲をもつことと 考えた。

5.1.2 「自分のよさに気付き,互いのよさを認め合う態度」について

自分を見つめ,めあてを設定して取り組む中で児童は自分の努力や意欲の変化に向き合うことにな

。 , ,

る めあてが達成できる場合とできない場合が考えられるので 児童の実態や気持ちの変化を把握し 励ましたり認めたりする教師側の働き掛けが大切になる。自分の努力やできたことから,がんばる自 分やがんばろうとする自分に気付くことを自分のよさに気付くことと考えた。また,友達の変化や努 力,取り組み方にも目を向け,自分とは違っていてもその取組の様子を互いに尊重する気持ちをもつ ことを互いのよさを認め合う態度と考えた。

5.1.3 「学校と家庭との連携を図る『夢カード 」について 』

, 「 」 ,

児童が自分自身の生活習慣や家庭での学習習慣 友達関係について振り返る 夢カード を作成し 自分を見つめるきっかけにしたいと考える。児童が毎日この「夢カード」に記入することで教師側が 細やかに生活習慣や家庭での学習習慣,友達関係について児童の実態を把握し,児童を励ましたり認 めたりしながら児童の意欲を高め,改善点に気付かせたり改善策に取り組ませたりする。児童が生活

(3)

習慣や家庭での学習習慣を身に付けるには,家庭の協力が不可欠である 「夢カード」によって児童。 の取組と教師の働き掛けを家庭に知らせることで児童に対する家庭の関心を高め,児童が家族から認 められたり,励まされたりする機会を提供し,家庭が生活習慣や家庭での学習習慣の形成に役割を果 たせるようにすることができるのではないかと考えた。

5.1.4 「学級活動に活用」について

望ましい生活習慣や家庭での学習習慣,友達関係を築くためには自分自身の振り返りを継続してい くことが大切になる。個人の活動である「夢カード」への記入を,学級の児童が共通の活動ととらえ る場として学級活動を設定することによって児童が互いを刺激し合い,意欲の継続を図れるのではな いかと考える。また,児童それぞれの取組を紹介し合うことで自分のがんばりを認めてもらったり,

友達のがんばりに気付いたりすることができ,互いのよさを認め合う態度をはぐくむことにつながる のではないかと考えた。意欲を継続し,互いのよさを認め合う手だてとして「夢カード」を学級活動 に活用したい。

5.2 実態調査

5.2.1 実態調査のねらい

児童一人一人の生活習慣や家庭での学習習慣,友達関係について調査し,児童理解の資料にすると ともに 「夢カード」の内容や学級活動のねらいの焦点化に役立てる。,

5.2.2 調査対象

多賀城市立山王小学校第6学年1組37名

5.2.3 調査方法・期日

質問紙法による記名調査 平成20年6月13日(金)実施

5.2.4 調査結果と考察

生活習慣として起床時刻,就寝時刻,朝食の摂 取について調査を行った。起床時刻は,大部分の 児童が決まっており朝食をとる習慣も身に付いて いる。

就寝時刻に関しては決まっていない児童が23名 いた(図1)。習い事があったり,テレビの視聴時

図1 就寝時刻

間が長くなったり,遊びが先行して宿題をする時間

が遅くなったりすることがあって就寝時刻が決め られない様子がうかがえた。

就寝時刻が決まっていても10時以降に就寝する 児童も4名いた(図2)。毎日11時以降に就寝して いる児童もいる。自分の生活習慣で改善したいこ とという自由記述に「もっと早く寝ること」と書 いた児童が16名いた。「夢カード」や学級活動で

。 就寝時刻を見つめさせる必要があると考えられる

図2 決まっている就寝時刻

また,児童への働き掛けだけでは改善できない場合

も考えられるので家庭に協力を求めていく項目と して押さえていく必要があると考える。

家庭での学習時間は60分未満が20名だった。本 校では6年生は60分との目安を示しているがなか なか60分には及ばない児童が多いことが分かった。

60~90分未満の11名も大部分が60分だった(図3 。) 29名が家庭学習で毎日宿題や自主勉強に取り組む

図3 家庭での学習時間

と回答しているが,8名は自主勉強にはまだ十分取

(4)

り組めていない。改善したいこととして13名が時間を増やすこと,6名が時間帯の工夫を挙げた。帰 宅後の時間の使い方や学習時間の確保について自分自身を振り返り,よりよい習慣が身に付くように

「夢カード」や学級活動での働き掛けを大切にしていきたいと考える。

友達関係に関してはとてもよいが20名,よいが 14名,あまりよくないが3名だった(図4 。けん) かや悪口,人の嫌がることをしないようにがんば っているとの記述が見られる一方で,26名が「仲 間はずれにしない 「言いたいことをきちんと言え」 るようになりたい」「無視しないようにしたい」「嫌 いな人と区別しない」等を改善していきたいこと としてあげている。教師側で児童の交友の様子を

図4 友達関係

「夢カード」で細やかに把握し,学級活動で互いの よさを認め合う態度につなげていきたい。

5.3 指導対策 資料1 「夢カード」

5.3.1 「夢カード」の作成と実施(資料1)

児童の負担を考慮して,継続できるように1週 間で1枚になるような分量を考えた。自分自身で めあてを設定させるために「こんな自分になりたい な」と「そのために今週がんばりたいこと」の欄を 設けた。

生活,学習,友達関係については,3段階で自 己評価させる。大まかに児童の状態が把握できる のではないかと考えた。具体的に振り返らせるた めに,前日の就寝時刻やその日の起床時刻を書き 入れ,朝食や準備物,宿題,自主勉強,友達関係 について○△×の自己評価をさせる欄を設けた。

その上で「自分や友達について考えたこと」を記 述させれば自分のよかった点や問題点がはっきり とつかめるようになるのではないかと考えた。

教師は,毎日この「夢カード」に目を通して励 ましや賞賛のコメントを加えたり,問題点につい て助言したりすることで児童の意欲を高められる ようにする。また,自分で改善点に気付いたり,

友達に対して考えたことを学校生活に生かしたり できるようにする。

. . )

5 3 2 家庭や担任と連携した個別指導(図5

(1)家庭との連携

「夢カード」を実施するにあたっては,家庭科 通信で趣旨説明を行い,定期的に児童のがんばり や課題意識を紹介する。家庭には1週間ごとに児 童の記入欄や学校側からのコメントを読んでもら い,週末に「夢カード」にコメントをもらう。家 庭においても児童を認め励まし,児童の学校生活 を支えてもらうとともに,必要がある場合には改善

図5 家庭や担任との連携

策を話し合い,習慣の形成を図っていく。

(5)

(2) 担任との連携

「夢カード」によって把握できた情報や児童のがんばり,問題点について担任に連絡し,担任が把 握した児童の学級での様子を連絡してもらう双方向の連携を図り,児童の生活や学習,友達関係の実 態を把握する。意欲が継続しない場合,3段階の自己評価が低いままの場合,各項目の○が少ない場 合,友達関係で問題が生じている場合などには,担任と連携して個別指導を行う。

5.3.3 自分のよさに気付き,互いのよさを認め合う学級活動

自分の生活を振り返っていく児童個人の活動は継続させることが大切である。「夢カード」を活用 し,生活習慣や家庭での学習習慣を身につけるために工夫していることやがんばっていることを発表 し合う学級活動を担任とのT.Tで行い(表1 ,刺激を受けたりよりよい生活へのヒントを得たり) して自分の生活をよくしていこうとする意欲を継続させていきたい。また,発表を聞き合う活動を通 して自分に必要な事柄や自分のよさに気付いたり友達のよさに気付いたりすることにつなげていきた い。

表1 学級活動指導計画

時期 題材名 ねらい

9月 「自分の工夫,みんなの工夫」 ・夢カードに記入する活動の振り返りを通して生活習慣や家庭での 学習習慣,友達関係についてそれぞれの工夫を共有する。

・自分を振り返る活動を継続しようとする意欲をもつ。

。 10月 「見つけたⅠ」 ・夢カードに記入する活動の振り返りを通して自分のよさに気付く

・自分を振り返る活動を継続しようとする意欲をもつ。

。 11月 「見つけたⅡ」 ・夢カードに記入する活動の振り返りを通して友達のよさに気付く

・自分を振り返る活動を継続しようとする意欲をもつ。

5.4 実践の概要

5.4.1 「夢カード」の実施

表2 「こんな自分になりたいな」の内容

7月7日から始めて1学期の2週間,9,10

(人) (人) (人)

月と11週にわたって生活習慣や家庭での学習習 内容 1週目 6週目 11週目

学習 4 8 8

慣,友達関係について自分を見つめ振り返る活

友達関係 6 7 9

動を行った。

運動 7 2 3

(1 「こんな自分になりたいな」の欄について)

健康 1 0 0

「夢カード」の書き方を説明する際に「なり

将来の仕事 10 0 0

たいもの,理想,夢を記入しよう」と働き掛け

生活習慣 2 13 17

たので,1週目は将来の仕事や所属するスポー

その他 7 2 1

ツ少年団のめあてについて書いた児童が多かっ

た。次第に表2のように「早寝早起き 「勉強をがんばる人」「友達にやさしい人」等の自分の生活」 習慣や家庭での学習習慣,友達関係に関する記述が増えてきた。生活習慣の中では特に「就寝時刻を 早める」「早寝早起き」など就寝時刻に関する記述が多くなった。

(2 「そのために今週がんばりたいこと」の欄について)

「こんな自分になりたいな」と関連させて「就寝時刻を早めるためにテレビの時間を減らす 「宿」 題を忘れないようにゲームの前に勉強する 「忘れ物をしないように朝に確認する 「友達と仲良く」 」 するためにいいところを見つける」などのように具体化しためあてを立てることができるようになっ てきた また 例えば 「就寝時刻を早める とめあてが同じであっても ゲームの時間を減らす 「帰。 , , 」 「 」 ったらすぐ宿題をする」等,自分の問題点を見付け,自分なりの改善点を記入できるようになってき た。

(3 「生活 「学習 「友達」の欄について) 」 」

3段階の自己評価は,取り組み当初は「3を増やしたい」という記述があるなど意欲を高めるのに 有効に感じられたが,週ごとに行っていた合計点では学級全体としての向上は見られなかった。むし

(6)

ろ起床時刻や就寝時刻,学習時間の記入や朝食,準備物,宿題,自主勉,友達の欄の○付けが「この 頃…なので」という反省につながっており,教師側でも児童の生活の様子を把握するのに役立った。

「 」

(4)「自分や友達について考えたこと の欄について」

資料2 自分や友達について考えたこと

「がんばりたいこと」についての反省やその日あ った友達関係の相談,その日の日記のようなもの が見られた。内容が多岐にわたり児童の生活全般 や考えていることを知ることができた(資料2 。) めあてに対しての反省に内容を絞るように指導す ることも考えたが,習慣形成のための教師側から の指導や評価よりも児童自身の本音やペースに合 わせることを考え,自由な記述で通した。教師の コメントは,めあてに対してがんばることを働き 掛けるように心掛けつつ,その日の児童の気持ち に沿ってよいところを認めたり励ましたりした。

この欄を楽しみに「夢カード」に取り組む児童も見 られた。

5.4.2 家庭や担任と連携した個別指導 資料3「家庭からのコメント」

( ) 家庭との連携1

7月に家庭科だよりを配布し「夢カード」の趣 旨や書き方を説明して1週間ごとのコメントを依 頼した。家庭からのコメントには生活習慣や学習 に関して改善点を指摘するものや友達関係へのア ドバイス,児童のがんばりを認めるコメントがあ

資料4 家庭科だより

った(資料3 。児童が「夢カード」に意欲的に取り)

組んだ場合や今までできていなかったことが改善 されてきた場合には温かい言葉が記入され,ます ます児童の活動意欲が高まるように感じた。厳し い言葉のコメントもあったので,その場合には「先 生から」の欄に親の考えを補って励ますようなコ メントを記入するようにした。また 「夢カード」, に関しては友達関係や児童が考えていることがわ かってよいというコメントもあった。8,9,10 月の家庭科だよりには「夢カード」のおおまかな 傾向や学級活動の実践の様子を知らせ,協力の継 続を呼び掛けた。11月には学級活動の様子と児童 の事後調査の結果を掲載して配布した(資料4 。) (2) 担任との連携

担任も毎日「夢カード」に目を通しており,気 にかかる児童について気軽に話し合った。

自己評価が低い場合には「夢カード」の内容に限らず,学級の活動や授業,行事などでよいところを 見つけて,担任とともにほめたり励ましたりした。

意欲が継続しない場合,各項目の○が少ない場合は,「夢カード」に継続の大切さや励ましをコメン トしたり,直接声掛けしたりしたが,宿題や自主勉強,忘れ物などの個別の事案に関しては内容を把 握している担任による個別指導となった。

友達関係に関しては「夢カード」によってけんかや仲直りなどの情報が把握しやすく,担任が問題

(7)

解決にあたり,その後の気持ちの落ち着き方を「夢カード」を通して確認することができた。

5.4.3.自分のよさに気付き,互いのよさを認め合う学級活動

(1) 実践1「自分の工夫,みんなの工夫 (9月8日)」

①学習活動 ②実際の活動の様子

実態調査から指導が必要と思われた就寝,学習,友達関係 の3点について,「夢カード」の内容から前もって代表児童を 選び,それぞれの工夫を発表する活動を中心に学習活動を行 1 7,8月の活動で気付いたことを振り

った。生活面では毎日就寝時刻が9時30分頃と決まっている 返り発表する。

児童を代表に選び,児童はこの時間に就寝するための工夫と

・よかったこと

して帰宅後の時間の過ごし方を発表した。自分の時間の使い

・もっとがんばりたいこと

方と比較して聞く様子が見られた。学習面では帰宅後にすぐ 2 代表児童が自分の工夫を発表する。

宿題に取り組む児童を取り上げた。毎日の学校生活の中では

・生活面

控え目な児童がまじめに家庭での学習に取り組んでいること

・学習面

に感心する声があがった。友達関係では,夢カードに「毎日

・友達関係

友達にしてもらってうれしかったこと」を記入していた児童 3 グループ内で自分の工夫について教え

が発表した。発表を聞いて友達に「~をしない」だけでなく 合いクラス全体に発表する。

「よいところを見つける工夫」が友達関係の改善に役立つこ 4 感想を発表する。

とを感じることができたようだった。9月のめあてを設定す 5 今後の取り組みを考え9月のめあてと

る段階では3人の活動を参考にしてめあてを記入する姿が見 週のめあてを夢カードに記入する。

られた。

6 次時の予告を聞く。

(2) 実践2「見つけたⅠ (10月1日)」

①学習活動 ②実際の活動の様子

本時は自分のよさを見付けることに活動の中心を置いた。

1 9月の活動で気付いたことを振り返り

, 発表する。 今回は就寝時刻を早めるためにテレビ番組を我慢した児童

自主勉強をがんばった児童,習い事までの短時間と習い事が

・よかったこと

終わってからの時間に学習する内容を振り分けている児童,

・もっとがんばりたいこと

友達関係でよかったことと直したいことを見付けた児童が発 2 代表児童が「自分ががんばったこと」

表を行った。教師は小さな進歩でも気持ちが前向きになって を発表する。

, 。

・生活面 ・学習面 ・友達関係 いる大切さ等に言及し 発表しやすい雰囲気づくりを行った 全員がそれぞれグループで自分のよさを発表する前には自分 3 グループ内で 自分ががんばったこと「 」

の発表内容をB6版の用紙に記入する活動を取り入れた(資料 について教え合う。

5 。配慮の必要な児童の机間指導に担任があたったことも

4 感想を発表する。 )

あり 「夢カード」をめくりながら1か月を振り返り,どの 5 今後の取り組みを考え10月のめあてと ,

児童も自分のがんばりやよさを記入することができた。10月 週のめあてを夢カードに記入する。

のめあてには,学習方法や就寝時刻を改善し,より積極的な 6 次時の予告を聞く。

取組をしようとする意欲が見られた。

資料5 見つけた…自分のよさ

(8)

(3)実践3「見つけたⅡ」(10月29日)

①学習活動 ②実際の活動の様子

本時は,グループの友達の活動に対するコメントを中心に

。 ,

1 10月の活動で,気付いたことを振り返 行った 今回は時間的に代表児童の発表を行えなかったので 最初の「自分ががんばっていたこと」の発表ではグループ内 り発表する。

に緊張が感じられたが,次第に声が大きくなり雰囲気が和ら 2 グループ内で「自分ががんばっていた

いできた。発表に対してのコメントは回し書きをしてそれぞ こと」について教えあう。

れが書いたり,係を決めて記入したりしていた。内容は,自 3 グループ内の友達の発表に対してコメ

分が知らなかった友達の努力に対する賞賛,以前との比較で ントを記入し発表する。

改善を認めるもの,めあてに向かって努力する姿勢を評価す 4 グループの話合いをクラス全体に発表

るもの,友達と自分とを比べて刺激を受けたものなどがあっ する。

た(資料6)。

5 感想を発表する。

友達からコメントを受けた感想には,認められたうれしさ 6 がんばったことを認めてくれている家

, ,

庭からのコメントを聞く。 と これからもがんばろうとする気持ちを記したものが多く たくさんの笑顔が見られた。家庭からのコメントにも満足気 7 「夢カード」に記入する活動を振り返

な表情が見られた。

って気付いたことや感じたことを記入

最後には活動のまとめとして「夢カード」の感想の記入や事 する。

後調査を行った。

8 まとめの話を聞く。

資料6 見つけた…友達のよさ

5.5 実践を終えて

10月29日に欠席1名を除く36名に対して事後 調査を行った (質問紙法による記名調査)。

5.5.1「夢カード」の作成と実施について

「夢カード」に記入する活動を通して自分を見 つめることができた事項を尋ねると,生活習慣,

家庭での学習習慣,友達関係のどの項目でも肯 定的な回答が多かった(図6 。また,実際に就) 寝時刻,忘れ物をしない工夫,宿題の習慣を改

図6「夢カード」を通して見つめることができた事項 善できたという児童がそれぞれ20名以上いた。友

達関係や自主勉強の習慣,学習時間の確保を改 善できた児童もそれぞれ半数近くになった。実 態調査から改善したいと考えていたことにも効 果があったことを示している 「夢カード」の活。 動を続けるのに役立ったことは「自分の変化が わかる」が一番多く,次に多かったのは「教師 からの励まし」だった (図7 。「自分の変化が。 )

図7 「夢カード」を続けるのに役立ったこと

わかる」という回答には児童がこの活動に一生懸

(9)

命取り組んだことが表れており,がんばることが できたという実感が「夢カード」を通して自分のよ さに気付くことができたという回答につながって いると考える(図8 。)

5.5.2 家庭や担任と連携した個別指導

( ) 家庭との連携1

1週間ごとに「夢カード」を見ることによって

図8「夢カード」を通して自分のよさに気付いたか 子どもの生活習慣や家庭での学習習慣,友達関係に

ついて関心を高め,子どもを認める機会が増えたと する回答が7~8割だった。2~3割が不十分と 考えており,特に望ましい子どもの変容を尋ねた 項目では3割以上が不十分と考えていることが分 かった(図9 。14名が自由記述を寄せ 「子どもの) , 考えや様子を感じることができた 「親子の会話が」 増えた 「よい機会になったので続けていってほし」 い」などが複数あった。

(2)担任との連携

担任からは,教室で見ているだけでは分からな い児童の様子が「夢カード」で分かるという感想

図9 家庭との連携

があった。教室の様子だけでは分かりにくい児童の

がんばりやトラブルを把握することで個別指導や家 庭への働き掛けに生かしてもらうことができた。

5.5.3 自分のよさに気付き,互いのよさを認め合う学級活動

3回行った学級活動がどんな役割を果たしたか

尋ねた(図10 。どの項目も肯定的な回答と言える) が,特に「夢カードを実践する意欲を継続するこ と 「自分よさに気付く 「友達のよさに気付く」」 」 の項目は9割以上が「よくできた 「できた」と回」 答した。「自分が改善したいことへの気付き と 友」 「 達からの認め」についても8割が肯定的な回答だ った 「夢カード」の日常的な実践だけでは自分の。

( ,

よさに気付けなかった児童が8名いたが 図8)

ここでは3名に減少している。

6 研究のまとめと今後の課題 図10 学級活動でできたこと

6.1 研究のまとめ

(1)「夢カード」の作成と実施

「夢カード」を使って自分の生活習慣や家庭での学習習慣,友達関係を見つめることで,自分の問 題点に気付いて自分で必要なめあてを見出し,よりよい生活習慣や家庭での学習習慣,友達関係をつ くっていこうとする意欲をもつことができた児童が多かった。

問題点に気付くためには具体的な項目で生活習慣や家庭での学習習慣,友達関係を記録していくこ とが大切で,自分の変化が分かる記録の仕方が児童の意欲を継続させるのに役立つことが分かった。

1週間に1枚の形式は週ごとに児童が新たな気持ちで始めることができるよさがあった。

教師がその日の児童の取組を認めたり,励ましたりする立場に立ってその児童のペースで毎日の活

(10)

動を見守るコメントを続けることも児童が自分を見つめる活動を支えることが分かった。

自分の問題点に気付きめあてを立てて取り組む意欲を継続させることが,児童が自分の生活習慣や 家庭での学習習慣,友達関係の改善を図るのに役立ち,がんばる自分から自分のよさに気付くことに つながってきた。

(2) 家庭や担任との連携

家庭からは,毎週たくさんのコメントをもらうことができた。「夢カード」や家庭科通信を通して児 童の取組の様子や考えていることを知らせる機会を設けることが連携の一歩になることが分かった。

また,個人の生活習慣や家庭での学習習慣を改善しようとするときにも学級集団が役割を果たしてい ることから,家庭での過ごし方についても学校と家庭が連携して児童を見守る大切さに改めて気付か された。

担任との連携に関しては学級を複数の目で見ることの大切さを実感した。教師の個性が生かされた り,互いの指導の意図を児童に話して聞かせたりフォローし合って進めることができ,うまく活動が 進まない児童に対して見守る姿勢をもち続けることができた。このことが毎日の教師のコメントにも 表れ「夢カード」に取り組む意欲を継続させることにつながったのではないかと考える。

(3) 自分のよさに気付き,互いのよさを認め合う学級活動

学級活動は,月ごとに行ったことが次の月のめあての設定や意欲の継続に効果的だった。個人の活 動だけでは意欲を継続するのが難しい場合でも,学級活動を行うことでまた新たな意欲をもつことが できたと考える。

学級の中では自分や友達への評価が固定化している面があるので,活動内容のすばらしい児童とと もに,児童同士では気付きにくいよさをもっている児童を代表児童に選んだことも互いの認め合いに 効果があったと思う。工夫の発表,自分のよさ,友達のよさと3回の学級活動を積み重ねていったこ とが,友達の工夫や友達のがんばりを知ることで自分もがんばろうという意欲をもち,自分もがんば っていることを教える活動につながり,友達のよさに気付いて認め合う態度をはぐくむことができた と考える。学級で共通の課題に取り組んで,個人の活動を励まし,その過程で互いのがんばりを知ら せ合う学級活動は,自分のよさに気付き,友達のよさに気付いて認め合うことに有効であったと言え る。

6.2 今後の課題

(1) 「夢カード」についてはさらに工夫が必要であると考える。必要な事項の精選や自己評価につい て考えていく必要がある。また「意欲的に夢カードの活動に取り組めなかった 「あまり自分のよさ」 に気付くことができなかった」と回答した児童に対する指導の在り方も今後の課題として残った。

(2)家庭との連携に関しては,さらに個別指導の在り方を工夫していきたい。また,事後調査で「家 庭から見た望ましい子どもの変容」の数値が「子どもへの関心の高まり」や「子どもとの触れ合い」に 比べて低かったことも今後の課題である。家庭が「望ましい子どもの変容」としてどんな考えをもっ ているのかを把握したり,児童の小さな変化をともに喜び合うような情報の交換を行ったりすること を工夫していきたい。

(3)学級活動は3時間行った。「夢カード」を継続していくのに必要な活動であるので,学級活動の 時数に組み込まない時間を設定する工夫が必要になってくると考えられる。学級活動を通して「改善 したい事柄に気付くこと 「友達から認められた」と感じる児童を増やしていく工夫を図っていきた」 いと考える。

主な参考文献

[ ]1 文部科学省: 小学校学習指導要領」「

[2] 文部科学省:「平成19年度全国学力・学習状況調査追加分析結果」 2008 [3] 國分康孝 大友秀人著: 授業に生かすカウンセリング」「 誠心書房 2001

[4] 栗原慎二: 新しい学校相談の在り方と進め方」「 ほんの森出版 2002

参照

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