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平成 16 年度報告書 「ナノテクノロジーをテーマとした博物館活動事例調査」

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平成 16 年度報告書

「ナノテクノロジーをテーマとした博物館活動事例調査」

財団法人 日本科学技術振興財団

(2)

は  じ  め  に

本調査報告書は平成

16

年度に日本自転車振興会の補助金を得て、財団法人  日本科学技術振興 財団が実施した「ナノテクノロジーをテーマとした博物館活動事例調査」をとりまとめたもので ある。

近年のナノテクノロジーの進歩は目覚しく、電子顕微鏡や原子間力顕微鏡等が発展しナノメー トルサイズの分析・加工技術が産業に応用されるのに伴い、「フラーレン」「カーボンナノチュー ブ」に代表される新物質やナノ粒子を使った新しい材料の可能性が明らかになってきた。それら の応用技術の研究が進められ、すでに化粧品、染料、光触媒等身近な製品にも応用され始めてい る。ナノテクノロジーは、政府の政策としても、世界的にも重点分野の

1

つとなっている。

このような状況では、一般国民においてナノテクノロジーに対する基本的なコンセンサスを形 成することが重要であり、そのために、博物館・科学館が社会教育施設として果たす役割は大き く、積極的に活動を展開していくべきではないかと考えられる。

しかしナノテクノロジーを啓発・普及するにあたっては、この分野の特性が問題となり、博物 館・科学館の活動の中でナノテクノロジーを扱うことが難しくなっている。その問題となる特性 とは、ナノテクノロジーが非常に広範囲の技術を含み、展示対象として整理しにくいこと、科学 と技術が密接に関わり合い進歩し続けていて複雑であること、ナノメートルの領域では量子力学 が支配的となり日常の経験からは理解しがたい現象が起きていること等である。

  これらの問題を克服し、ナノテクノロジーをテーマとした博物館活動の然るべき方向性を模索 するため、本事業では、博物館・科学館、研究機関、教育機関、一般の来館者等それぞれの立場 からの博物館活動への基礎的なニーズを分析し、海外も含めた一部の博物館・科学館の先進的な 事例も調査する。その上で、博物館活動の中で現実的・具体的にナノテクノロジーを扱うための、

1

つの指針を示すことを目指している。本年度はその手始めとして、国内の博物館に対するアン ケート調査、研究・教育関係者に対するヒアリング調査、そして歴史的にナノテクノロジーと関 連の深い欧州の博物館等のナノテクノロジーに対する考え方や展示物の構成方法の実態の調査を おこなった。これらによって、基礎的なニーズ分析と展示等の手法の検討を行ない、ある程度の 方向性を定めることができた。

  本報告が、より多くの博物館・科学館において、ナノテクノロジーやそれに関連する科学技術 分野を扱う際の参考にしていただければ幸いである。

  なお、今回の調査で多大なるご指導を賜りました委員各位並びに、調査にご協力を賜りました 関係施設、団体、企業の皆様には、ここに改めて心より御礼申し上げる次第である。

平成

17

3

財団法人  日本科学技術振興財団/科学技術館

(3)

目  次

序  調査概要

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 1  ナノテクノロジーと社会教育・学校教育 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 1.1  社会とナノテクノロジー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3

1.2  最先端の科学を知ってもらうために−研究者の手による科学教室の開催 ・・・・・・・・・・・・・・ 8

1.3  ナノテクノロジーと初等中等教育 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13 2  ヒアリング調査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 2.1  ナノテクノロジー展示の現状と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

2.2  ナノフォトニクス領域からのナノテクノロジー啓蒙のアプローチ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21

2.3  理科教育におけるナノテクノロジーの視点 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 37

3  欧州の博物館・科学館等のナノテクノロジー展示に対する取り組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 45

3.1  科学博物館 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 45 3.2  ラ・ビレット産業科学都市 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 60 3.3  ドイツ博物館 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 70 3.4  ナノ・トラック ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 86 4  国内博物館に対するアンケート調査結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 95 4.1  各設問の回答の傾向と考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 95

4.2  アンケート結果から見えるナノテクノロジーに関する活動の展望 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 114

5  まとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 129

 

 

 

 

 

 

 

 

(4)

序  調査概要

(1)  調査の目的

科学館・博物館にとって、常に発展しつづける科学技術に対する国民的コンセンサスを醸成し、

未来の科学技術の最先端を担う人材を育成するのが、重要な使命の1つである。しかし、これを 遂行するためには、絶えず新しい科学技術をキャッチアップし、それに対する博物館活動のあり 方を検討し、実施してゆくことが重要である。

  現在特に発展が目覚しく、その成果に対する期待も大きい分野は、

IT

分野、生命科学技術分野、

ナノテクノロジー、環境科学などであるが、これらの革新的な発展の背景には、ナノテクノロジ ーの分野が、ようやくナノスケール(ナノメートルサイズ)の加工・分析が産業的に応用可能な レベルにまで到達し、他の分野の発展を起こすための核になり始めたということがある。

  しかし、活発かつ重要なナノテクノロジーを扱った展示やワークショップといった博物館活動 が行われている例は、未だごく少数である。今後の発展が望まれるが、そのためには、少なくと も以下3点の問題について十分に調査し、対策を考えていく必要がある。

このような問題がナノテクノロジーに対する博物館活動の取り組みを難しくしている。そこで 本調査では、科学館・博物館が社会教育施設として伝えるべき内容、実現可能性のある活動の手 法を、学校教育、社会との関わりを考慮しつつ検討する。 

   

問題

1:分野の幅が広い

  ナノメートルのスケールでの現象を利用するものが全て関わってくるので、広範囲の情報 を整理して、わかりやすく体系化する方法は、十分に調査・検討する必要がある。

問題

2:テクノロジーとサイエンスの密接な関連

一般市民においてテクノロジーとサイエンスは、それぞれ個別のものとして捉えられやす い傾向がある。しかし、ナノテクノロジーの領域では特に、テクノロジーとサイエンスは相 互発展するものであり、その境界が曖昧で複雑に一体化しているため、わかりやすい視点か ら導入する必要がある。

問題

3:ナノスケールの力学とマクロスケールの力学とのギャップ

ナノテクノロジーでは、ナノメートルのスケールで起きる特異な現象を利用するが、それは 古典(ニュートン)力学ではなく量子力学が支配的に作用することに起因している。この力 学が概念として高度に抽象的で複雑なだけでなく、日常体験の延長では考えられない、異質 な部分が多い。このようなナノスケール固有の現象を、わかりやすく咀嚼して伝える必要が ある。

(5)

(2)  調査内容   

  ①アンケート調査  (全国の科学館・博物館) 

  ②ヒアリング調査      国内 

      ・応用物理学会会長  榊  裕之  先生 

・東京大学大学院工学系研究科  大津  元一  教授 

・国際基督教大学高等学校  滝川  洋二  教諭      海外 

      ・科学博物館(英国) 

      ・ラ・ビレット産業科学都市(フランス) 

      ・ドイツ博物館(ドイツ) 

      ・ドイツ技術者協会および FLAD&FLAD Communication 社(ドイツ) 

 

(3)  調査の方法 

  本調査を行うにあたり、学識経験者からなる委員会を設置し、委員の方々の助言を受けて、事 務局でアンケート調査、ヒアリング調査等を行った。委員の構成および事務局は次の通りである。 

    委員 

    主査  佐藤  勝昭  東京農工大学大学院共生科学技術研究部  教授 

小森  和範  独立行政法人物質・材料研究機構  超伝導材料研究センター  研究員  渡部  智博  立教新座中学高等学校  教諭 

高木  憲治  日本電子株式会社東京支店電子光学営業グループ  課長   

事務局 

      田代  英俊  財団法人  日本科学技術振興財団        渡部  伸之    財団法人  日本科学技術振興財団        丸山  義巨  財団法人  日本科学技術振興財団   

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1   ナノテクノロジーと社会教育・学校教育

1.1  社会とナノテクノロジー

東京農工大学大学院工学教育部 教授  佐藤勝昭

はじめに

2001

年、日本人の科学に対する関心は先進国では最低のレベルにあるというOECDのレポ ートが出され、多くの人々にショックを与えました。日本は、最先端の科学技術に支えられた電 子機器、光学機器、医療機器や自動車を世界中に輸出して外貨を稼いでいる国ですし、電化製品 は街にあふれ、世界で最も安くブロードバンドを家庭に引くことができる国でもあります。その ように日常生活が科学技術に支えられている日本にいながら、一般の人々が科学技術に関心がな いどころか、科学アレルギーともいうべきネガティブなイメージで科学をとらえている人が多い ということは本当に残念なことです。

さらに、もっと心配なことは青少年の学力低下や理科離れが急速に進んでいることです。その 原因については、さまざまなことが考えられ論じられていますが、その一員が教育システムにあ ることは明らかです。どのようにして楽しく学べる場を青少年に提供し、科学技術への関心を引 き出し、科学リテラシーの向上へ結びつけるか、それが教育機関や科学系の博物館に課せられて いる課題です。

もちろん科学の基礎から積み上げ式できちんと学ばせることは大切なのですが、動機付けがな ければ、その入り口にさえ来てもらうことができません。今の科学技術がどれくらい進歩してい るのかに驚きをもって接し、未知なるものへの好奇心とさらなる探求へのあこがれを育むことこ そ、科学教育に関わっているものの使命でしょう。

このたび、「ナノテクノロジーをテーマとした博物館活動事例調査」が行われました。全国の 科学系の博物館へのアンケート調査からは、半数の館が展示の必要性を認めながらも、82%の館 が、予算・人員などの問題を指摘しています。また、アンケートの回答を通じ、博物館学芸員で すら「ナノテクノロジー」がどのようなものであるかについて十分理解していない状況が浮かび 上がってきました。従って「ナノテクノロジーとは何か」の理解なしには、つぎに進むことはで きないでしょう。この稿では、「ナノの世界」がどのようなものかという話からはじめて、どのよ うに作られ、どのように観測するのか、さらには現実社会にどのように貢献しているかを述べ、

ナノの科学技術をどのようなスタンスで展示すべきか、どうすればよい展示ができるかについて 私見を述べたいと思います。

(7)

ナノの世界入門

ナノというのは10億分の1を表す補助単位です。ナノを長さの単位[m]につけたものがナノ メートル[nm]、時間の単位[s]につけたものがナノ秒[ns]です。ナノテクノロジー、ナノサイエン スと呼ばれるのは、前者、すなわち、ナノメートルを単位として長さを測定するスケールの技術 や科学のことを指しています。

ナノメートルのスケールといっても、ぴんとこないかもしれません。ヒトの髪の毛は細いよう ですが、意外に太くて、その直径は約

100

マイクロメートル=10万ナノメートルですから、ナノ メートルの世界から見ると巨大な円柱に見えるでしょう。ナノスケールの物体は、通常の光学顕 微鏡では回折限界のために見ることができないので、光の波の代わりに電子の波を使う電子顕微 鏡や、電子のトンネル現象を利用した

STM

という特殊な顕微鏡などを使ってようやく観察でき ます。原子のサイズは

0.2 nm

です。STMを使うと物体の最表面をプローブでなぞっていくこと で原子の位置やその並び方を確認することができます。さらに

STM

を使うと、物体から原子を つまみ上げて、別の場所に移動して降ろし、原子で文字を書くこともできます。

さて、ナノスケールという小さな世界で起きている物理現象は、私たちが生活している巨視的 なスケールで起きている事象からは想像もつかないくらい異なっています。このような小さい世 界で起きている現象がどうなっているかを調べるのがナノサイエンスです。先程述べた

STM

で は、プローブの中の電子が空間を通り抜けて物体の中にはいりこみ電流が流れます。これをトン ネル電流といいます。電子がワープするのです。ナノの世界を支配する原理は量子論で、トンネ ル効果もその1つの現れです。

ナノスケールの世界に人間を導き入れてくれる観測や計測の技術、さらにはナノスケールの構 造を作り出す加工技術、ナノサイエンスを通じて得られた知見を応用する技術などを総じてナノ テクノロジーと呼んでいます。

身の回りのナノテクノロジー

ナノメートルスケールの厚みの薄膜を精度よく作る技術は半導体工学においてかなり以前か ら確立していました。衛星放送の受信アンテナに組み込まれている

HEMT

という半導体素子は、

ナノメートルの超薄膜作製技術に支えられています。

成膜技術が発達したので、金属においてもナノメートルスケールで膜の厚さを精度よく積んで いくことができるようになりました。最近人気の携帯用音楽端末や

DVD

録画機に搭載されてい るハードディスクの磁気センサとして用いられる

GMR(巨大磁気抵抗)素子は、数 nm

の厚さの磁 性金属、非磁性金属を何層にも重ねて作った構造を持っています。

面に垂直な方向の制御はナノ領域に入っているのですが、これに比べて面に平行な方向にナノ サイズの構造を作るための技術は今なお未完成です。現状では、設計通り正確に加工できる最小 のサイズは

20-30 nm

程度であるといわれています。このため、

1 nm

まで行かなくても

50-100 nm

あたりを扱う技術でも広い意味でナノテクノロジーとして扱われています。このあたりのサイズ のナノテクノロジーは既に多くのエレクトロニクス製品の素子として使われて私たちの日常生活

(8)

を支えています。

携帯電話や

IC

カードには半導体チップと呼ばれる集積回路が入っています。数

mm

角の素子 の中に数億個を超えるトランジスタやキャパシタが作り込まれ、金属配線が縦横に走っています。

これもナノテクノロジーの産物です。集積回路を作るときの物差しのことをルールといっていま すが、最新の半導体チップには

65nm

のルールが使われるようになってきました。

半導体だけではありません。先に述べたハードディスクにもナノテクノロジーがふんだんに使 われています。ハードディスクでは高速回転している円盤(ディスク)状の磁性媒体に、磁気ヘ ッドと呼ばれる素子を近づけて円盤の磁気状態を変えて記録するのですが、磁気ヘッドはディス クから上、たったの

10nm

の距離しか浮いていないのです。記録密度は今では

1

平方インチあた り

100

ギガビット(1000億ビット)にも達しており、1ビットの情報を記録するために、たったの

600

平方

nm(正方形に換算すると約 80nm

角)の面積しか占めていないのです。磁気ヘッドを

望みのトラック位置にもっていくのもナノメートルの精度で移動させるメカに支えられています。

技術者は数年後には

1

平方インチあたり

1

テラビット(1兆ビット)という高密度を達成しようと努 力していますが、これだと1ビットを

25 nm

角の領域に記録しなければなりません。

最近カーボンナノチューブ(CNT)ということばを耳にします。炭素でできた六角形のカゴメで 編んだナノサイズの円柱です。科学者が電子顕微鏡でカーボンの粉末を観察している過程で見つ かったものですが、カゴメの作り方で半導体にも導電体にも変わります。この

CNT

を電極につ かった

FED

という新しい薄型ディスプレイが注目されています。家庭に入る日はそう遠くないと おもわれます。

このようにナノスケールの技術の一部は、すでに日常生活の場に入っているのですが、一般の ユーザーは、ほとんどそのことを知りませんし、知らなくても差し支えありません。縁の下の力 持ちなのです。

ボトムアップで次世代のナノ材料を作る

ナノの構造をつくるのに、トップダウンとボトムアップの2つのアプローチがあります。大き なものを加工して小さなものを作るのがトップダウン、逆に小さなものから出発して、ナノサイ ズの配列などを作るのがボトムアップのアプローチです。これまで、フォトリソグラフィー、電 子ビームリソグラフィーといって、光や電子線を使って回路や素子を半導体上に焼き付けて加工 し築きあげる技術が使われてきました。しかし最近になってトップダウンには技術的な限界が見 えてきましたので、ボトムアップのアプローチに注目が集まっています。金属や半導体などのナ ノ微粒子に有機物の鎖が無数に生えているような複合体を多数集めると、ひとりでに整列して格 子状の構造を作ることがあります。このやり方を自己組織化と呼びます。永久磁石材料である鉄 と白金の合金のナノ微粒子に有機分子を修飾してやるとひとりでに整列します。このナノ微粒子 1個1個に1ビットずつ磁気記録できることが示されています。この方法で

1

平方インチに

1

兆 ビット以上の記録密度を達成できます。

(9)

ナノをみる

ナノの世界を見るにはどうすればよいのでしょうか。「ナノの世界入門」の項で、光学顕微鏡 では回折限界のためナノスケールの観察ができないと書きましたが、ほんとうは正しくありませ ん。物体の高さ方向の分解能は高く、微分干渉顕微鏡を使うとナノメートルの凹凸を見ることが できることは以前から知られていました。これに対し回折限界で制限されて観察が難しいのは空 間的な分解能の方です。もっとも、光学顕微鏡であっても、近接場技術を使うと回折限界を超え ナノの世界を見ることができるのです。詳しくは、大津先生のインタビュー記事をお読みくださ い。

ナノの世界を直接なぞって観測しようというのが走査型プローブ顕微鏡です。観測するにはい ろいろな物理的相互作用をプローブとして用います。

STM(走査型トンネル顕微鏡)のプローブは先端に導体を被覆したシリコンのナノ針を使いま

す。観測しているのは針と試料との間に流れるトンネル電流です。この電流の大きさが一定にな るようにアクチュエータで試料を上げ下げしてなぞっていくのです。アクチュエータに流す電流 を使って試料の凹凸を画像化できます。AFM(走査型原子間力顕微鏡)はプローブと試料との間に 働くファンデアワールス力を用いています。プローブを振動させて試料に近づいたときに働く力 を振動の振幅の変化として検出し画像化します。SNOM(走査型近接場顕微鏡)は光ファイバを細 くした針から出た近接場光を試料に照射し、散乱された光を検出して画像化します。このほか磁 性体の針を用いる

MFM(磁気力顕微鏡)、ホール素子や SQUID

という超伝導素子をプローブとし て、試料の磁気を画像化するものもあります。

このような画像化ができるのは試料をナノスケールで前後左右に動かして試料上をなぞって いくことのできるピエゾアクチュエータが発達したことによります。ナノテクノロジーがナノ観 察技術を支えています。プローブ顕微鏡はプローブが命です。熟練したオペレータによる注意深 い操作をしないとよい画像を得ることができませんし、ちょっとしたミスがプローブに損傷を与 え装置を故障させる原因となります。プローブ顕微鏡は、専門家の指導のもとに習熟すれば高校 生くらいでも扱えますが、メンテナンスも含め専門家がいなければ使えない装置です。

ナノの世界を観測するのに最もよく用いられるのが電子顕微鏡です。真空を必要とするのが欠 点ですが、比較的容易にナノスケールの世界に私たちを誘ってくれます。電子顕微鏡には

TEM(透

過型電子顕微鏡)と

SEM(走査型電子顕微鏡)があります。高分解能の TEM

を使うと結晶のナノス ケールの格子像を見ることができます。格子像は決して1つ1つの原子がみえているわけではあ りませんが、原子の周期的な並びによって電子波が回折を起こすことによって、格子像が再構成 されています。高分解

TEM

を使うときの技術的問題はサンプル作りです。電子が通り抜けるほ ど薄い試料をどうやって準備するかは、専門技術者の腕に依存しています。小中学生対象の理科 教室で使う程度の倍率ならば、サンプル作りもそれほど難しくないし、電子顕微鏡の装置も比較 的メンテナンスフリーです。ただし、これを用いてナノの領域に踏み込むのは難しいでしょう。

観測するということは、プローブと対象物体の間に働く物理的な相互作用によりプローブに生 じた何らかの変化を見ることです。このことは、対象となる系に影響を及ぼすことなく「観測」

(10)

することはできないということを意味しています。対象が小さくなればなるほど、プローブが系 に与える影響が大きくなります。ここにナノを見ることの難しさが内在しています。

科学系の博物館でどのような展示をするか

大学の物理系の学生でさえ、力学や電磁気学を基礎から一歩一歩積み上げていくやり方には、

ついていけなくなっています。学んでいることとナノサイエンスなど最先端の研究とのあまりの ギャップに立ちすくんでしまう学生が多いようです。「こんなつまらない基礎的な勉強をやってい て将来何の役に立つのだろう」と疑問に思うみたいです。わたしは、1年生に電磁気学を教えて いますが、例えば磁気を教えるときパワーポイントで最新の磁気の応用を見せ、電磁気学がどの ように活かされているかをお話しします。こうすることによって、学生の電磁気学学習のモチベ ーションを高められることを経験しています。

科学技術館をはじめとする科学系の博物館のミッションは一般市民の科学的啓蒙ですが、もと もとこういった博物館に足を運ぶ人は科学技術に関心のある人なので、そうでない人にどうやれ ばこういう場所に来て頂けるかを工夫することが大切です。このためには、展示用自動車を用い た巡回型の展示も有効でしょう。まずは、来てもらわなければなりません。

つぎに、せっかく来て頂いた来館者の気持ちになって、ナノの科学技術の実際にふれ、現実社 会にいかに寄与しているかを知って驚いていただく必要があるでしょう。このために、身近なエ レクトロニクス製品、例えば、携帯電話をもってきて分解してみせる。中からチップを取り出し、

チップの中身をクイズ形式で当てさせる。チップを分解して電子顕微鏡で見せる。大きさの比較 をクイズ形式でおこなう。そのチップが作られるプロセスをムービーで示す。・・・と、体験型の 導入と必要に応じたビデオ教材との組み合わせで、だんだんにナノの世界に誘っていくことが効 果的であろうと思います。そして、さらに将来どのような寄与が考えられるのか、問題があると すれば何であるかを、来館者に考えさせる場を提供する必要があるでしょう。また、分解する対 象が来館するたびに違うとか、ナノはナノでも使われている物理現象が毎回異なるとか、来るた びに新しい発見があるような工夫をして、リピーターを増やす努力も必要でしょう。

小中高の理科を教えている教員を博物館にお誘いしナノの科学技術に触れてもらうことも有 効でしょう。初等中等教育の理科教員の多くが、先端技術を知らないし、日頃教えている理科の 基礎とどうつながっているかを正確にこたえることができません。来館した教員らに素直に驚き、

かつ面白がってもらいたいものです。日頃子どもたちに接している教員の目で展示を評価しても らい、それをフィードバックしてよりわかりやすい展示に変えていくことができるでしょう。1 人の教員が

100

人の生徒にその率直な驚きを伝えてくれれば、1000人の教員が

10

万人の子供に 科学的好奇心を育むことができるでしょう。また、結果的に来館者も増えるでしょう。

今回の「ナノテクノロジーをテーマとした博物館活動事例調査」を通じて、世界的にもこの分 野の博物館活動はこれからの課題であることがわかりました。今回の調査を活かして、産官学の 関係者の協力を得て、ナノテク先進国の日本ならではの「さすが」といわれるような展示方法を 世界に対しても発信していきたいものです。

(11)

1.2  最先端の科学を知ってもらうために − 研究者の手による科学教室の開催

 

独立行政法人  物質・材料研究機構  研究員  小森  和範 

 

はじめに  ―先端科学を解説する難しさ― 

  ナノテクノロジーをはじめとする、最先端科学に関する話題がマスコミなどで取り上げられる たびに、それを学校などで生徒に対して解説される先生方のご苦労を思う。こういった分野の進 展は近年めざましく、日進月歩、あるいはそれ以上のスピードでたえず研究が進んでいる。たと え現場の研究者であっても、数ヶ月程度情報を遮断されたならば、最新情報の水準に追い付くの は相当に困難である。解説を求められる方々にとっては、一体このような最新の情報をいつ、ど のように効率よく集めるかという問題は非常に難しい課題であり、相当に悩ませられるだろうと 推察する。また先端科学の面白さであり、最も興味深い部分は、従来の科学的見地からすると特 異な現象であることが多い。これを扱うためには、まずは教科書で教える基礎的な科学知識−例え ば超伝導現象にとっては電気抵抗におけるオームの法則など−がそこでは 全く通用しない とい うところから解説をはじめなければならない。研究者にとってはそれこそが研究の醍醐味なので あるが、科学の入り口に立ったばかりの者にとっては、初めての土地でいきなり地図を取りあげ られるようなもので、さぞかし混乱するであろうと思う。ましてその分野の専門家ではない引率 者にしてみれば、何を頼りに解説をするべきなのかと途方に暮れてしまうのではないだろうか。 

  しかしながら、先端科学技術を広く解説することは、言うまでもなく重要な事項である。付加 価値の大きい先端科学技術は、一つの発見のみですぐに利用できるというものではなく、それを 支える周辺技術があってはじめて利用できる形状になるものであり、価値の高い物を作ろうとす るほど、周辺技術にも高度な技術が要求される。従って、先端科学技術を支える底辺のかさ上げ を図るならば、一握りの先端技術者だけではなく、それを支える一般技術者に対しても十分な先 端技術の啓発を行わなければならない。また新しい技術の導入は従来の社会にしばしば大きな変 革をもたらす。この変革を正負のいずれととらえるかは、こうした技術的恩恵に預かり、また社 会的影響にさらされる一般の市民の判断するところであり、ここに理科教育・生涯学習といった 機会を通して先端科学技術の啓発を推進する理由がある。日本が科学技術立国を国の目標とする ならば、いわゆる文系・理系の如何を問わず、広く国民が科学に興味を持ち、その内容や影響に ついて理解するようでなければならないだろう。 

  これまで、このような科学技術の啓発は、多くの場合科学ジャーナリスト・博物館・教師など といった解説の専門家によってなされてきた。彼らは研究者に比べて、より市民に近い視点と言 葉を持っており、科学技術の市民側からの理解のよりどころとなってきた。しかし先述のように、

先端科学の分野−殊更にナノテクノロジー分野の展開は非常に速い。既存の学問は再編され、研究 は新しい学際領域へと移行している一方で、現象を記述する新しい概念が次々に生み出されてい る。用語一つをとってみても、まだ研究者間でも十分な互換がとられてはおらず、ある分野の研

(12)

究者には普遍的に用いられる語句が、他の分野では全く異なる意味で用いられていることすらあ る。こうした解説の専門家は、広く多岐に渡る分野をカバーするものであるから、深さという意 味では、ある専門分野の研究者に十分に匹敵する程のレベルではない場合の方が多いであろう。

私はある研究分野において、最も正しい(「判りやすい」ではない)イメージングを行っているの は研究者だと考えている。彼らは実際に実験をし、情報や想像の正誤について十分な検討を常に 重ねているからである。しかし研究者による最初の解説において、専門用語だけが飛び交うよう な説明が行われれば、そこに誤解が生じ、より砕いた解説が誤った方向に進む可能性もある。こ ういった知見を与えるについては、求める側のレベルに応じた、正確な解説が不可欠であろう。 

  科学技術基本法と、これに基づいて定められた科学技術基本政策によれば、科学技術に対する 理解と関心を深めるための教育機会は社会に必要不可欠なものであり、最先端の科学技術の意義 や内容を解説することは研究者の責務であるとされている。このような目的をもって、研究者に より行われる解説は、同じ分野の研究者や一部の専門家だけに理解されればいいというものでは なく、広範なレベル、より低い知識レベルからの要求に対しても十分開かれたものでなければな らないと考える。 

 

研究者による試み  ―各種機関の取り組み― 

  最近ではこのような考えから、大学や研究機関、各分野の学会などにおいて、研究者から直接 に一般に向けた講座が積極的に開催されている。このような試みでは、実務にあたる研究者が実 際の解説を行っており、関心のある参加者からはおおむね好評であると聞いている。参加者にと っては、研究内容の解説も重要だが、研究者がどのような部分に惹かれて研究を行っているのか などの実直な意見は、理解が難しい現象に対してもなお興味を持つためには、より重要なもので あろう。 

  私の属する研究機関でも、年間にいくつもの一般向け研究公開や科学教室などを行っている。

その多くは政策として国や地方が行う事業であり、このような多くの要請に対して、研究機関と して積極的に手を挙げている。一方で、近隣住民レベルでの要請、例えば個別の小・中・高等学 校や大学からの見学依頼や出展要請も少なくはない。これらは引率者である教師・父母などが計 画し、研究機関に依頼を行っている。当機関のある地域には、公的・民間含め多くの研究機関が あり、このような依頼への窓口は多く開かれているとのことである。 

  これまでに行われたいくつかの取り組みと対象層を以下に挙げてみる。 

 

  研究所一般公開  (研究所近隣の住民、専門科大学・大学院生) 

  つくばサイエンスフェスティバル(研究所近隣の住民、生徒) 

  科学技術週間  青少年向け行事  (近隣の小学生、中学生) 

  サイエンスキャンプ  (全国から募集した高校生) 

  ティーチャーズサイエンスキャンプ  (全国から募集した高校教員) 

  スーパーサイエンスハイスクール交流行事  (指定校の高校生) 

(13)

  中学生博士教室  (県から募集した中学生) 

  研究者出前レクチャー  (研究所近隣の中学生) 

  科学の祭典  (会場近隣、あるいは全国からの参加者) 

  大学祭出展  (一般大学生) 

 

この他にも小学校から専門学校・大学まで各種の学校による修学旅行、社会科見学などがある。

このような取り組みに対する要請がいかに幅広い層から求められているものであるか、おわかり いただけると思う。 

  こうして我々の研究機関で行われている各種の実験教室では、行事によって対象層こそ異なる が、最先端あるいは基礎科学としての材料学に触れてもらい、材料研究そのものに興味もっても らうことが目的である。私見であるが、我々の行うような材料学は、展示としてなかなか市民の 関心を引きにくい分野であると考えている。材料実験では、耐久性や耐食性などその性能差が現 れるまでに長い時間が必要であったり、その変化が(研究者にしてみれば十分だが、市民にとっ ては)劇的というほどでもなかったりするものが多く、さらには多くがすでに身近なところに使 われていたりしており、例えばロボットや宇宙研究に比べて動き、トピック、規模などの点で、

参加者の興味を引きにくい。また機器は様々な材料によって構成されているのだが、その機器の 動作や目的が全面に出されることに対して、「なぜこの部分がこの材料でなければならないのか」

など、使用環境や目的と材料との関連を前面に出すことはほとんど行われていない。そういった 現状から、『機構』や『現象』には目を向けても、『材料』には関心が少ないのである。そのため、

我々が行う実施プログラムについても、そのレベルを考慮し、同じテーマであっても難易度を変 えたいくつかのコースを用意するなどしている。実際、知識レベルや専門性の高い層については、

実験プランの立案と実験・考察・発表に至る研究の過程を体験させるなどの手法が行われる。十 分な関心と興味を持って参加する彼らは、事前の勉強がよくされており、時には驚かされるほど 高度な知識−研究者と専門用語を使って十分に会話ができるほど−を持っている者もいる。しかし 時には独自に行った学習のため、研究者からすると現象の理解が大きく間違っていることもある。

これを修正し、彼らに正しい情報を与えるには、いくつもの実験結果を提示し、それと彼らの考 えが相容れないことを示さなければならない。それにはその分野に携わる研究者が、直接彼らに 話さなければならないだろう。一方でより小さな子供たちに向けては、関心を引くための「派手 な、わかりやすい」実験が用意される。超伝導材料や形状記憶合金など動きや現象が奇妙な物質 の実験や、より原理的な実験、例えば鋼とステンレスを常温と液体窒素温度でハンマーで叩いて 砕く、また金属やセラミックス、樹脂らを並べ子供に硬さなどの物性を、実際に手にとって自由 に比べさせるのは評判のよいプログラムである。同じ大きさのタングステンとチタンの重さ比べ など、割と面白がって興味を持っていただける。これらは誰でもできる簡単な実験ではある。し かし、そこで生じる子供の素朴な疑問、電気の流れ方の違い、磁力の違い、金属の色の違いなど、

いざ説明を求められたならそれに応えられるのは十分な知見を持った研究者なのだから、研究者 はそこにいるべきである、と考える。 

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研究者による試み  ―個人の取り組み― 

  私はこれとは別に、個人的な活動として科学技術振興事業団 (JST)の行うサイエンス・レンジ ャー事業にも参加している。この事業は科学実験教室の開催を計画する父母会や自治体の支援と して、実験テーマなど計画の助言や技術指導、講師としての参加などを行うものである。 

  サイエンス・レンジャー活動では、実験テーマや実験内容をその都度開催者と協議し、参加者 のレベルに合わせて決めているために、私の専門である超伝導をはじめとした材料工学だけでは なく、物理・化学の広範な範囲から内容を決めることになる。最近では超伝導以外に無電源ラジ オの制作、真空や空気の流れ、シャボン玉、独楽とジャイロ効果、酸化還元や酸・塩基と色の変 化などをテーマとした実験教室を行った。このような計画には、私の研究者としての専門分野外 の知識(たとえば回転翼の揚力計算など)がしばしば必要となる。近年は比較的容易に、多くの 簡単な科学実験の情報を得ることができるが、こういった資料を参考にし、あるいは全く新たに 実験内容を開発する途中において、予備実験などが計画通りうまくいかずに、考えさせられるこ とも多い。 

  しかし、こうした失敗は、必ず参加者によって重ねられる。そこで子供たちが抱く疑問につい て答え、かつ十分に納得させるためには、自信がこういった吟味を重ね、内容のブラッシュアッ プを図っていく他はない。過程の中で自分自身が様々な疑問を持つこともあるし、それを用いて 新たな問いかけを子供たちに行うことも可能になる。 

  今回のナノテクノロジー分野の展示についても、私たちが新規に内容を検討する場合と同様の 問題が内包されていると考える。もちろん展示内容を開発するという点もそうだが、より重要な のはその内容である「ナノテクノロジーとは何か」が十分に理解されていないのが現状という点 である。つまり、すでによく知られた現象に関する展示のように、事前に十分な検討を行えば当 分はその内容が変わらないというものではなく、理解の進展に応じて非常に短期的に内容がブラ ッシュアップされていかなければならないという点である。初期には一見して解りやすい展示が 関心を引くために必要であろうし、参加者の理解が進めば、高度な説明が必要であるが、より根 本的な原理の部分を展示することが必要になるであろう。 

 

研究者が科学教室を行うことは難しいのか? 

  最後に、研究者が科学教室を行うことについての雑感を記したい。これまで研究者の科学教室 への参加についていろいろと述べたが、現在ではそうした試みを行っている研究者はごく一部な のだと考える。実際に対象層が低くなるにつれて、そこに参加する研究者も減っていくように思 う。参加をしない研究者に聞いてみると、「一般市民には説明が難しいから」、あるいは「特殊な 素養が必要だから」という。が、本当にそうであろうか? 

  確かに現在の先端科学研究は内容が非常に高度であり、正確な理解をするには大学一般教養レ ベルの基本知識が最低でも必要であろう。さらには研究分野の細分化・専門化が進んだことで、

研究者であっても分野が異なれば理解が困難なほどである。また確かにまた工作やプレゼンテー

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ションの技術もいくらかは求められるだろう。 

  しかし、研究者にとって学会でのプレゼンテーションは職務である。そこには分野違いの、よ りアンテナを広げている研究者も参加しており、「専門外からの質問ですが、教えてください」と の質問もよく聞く。「異分野でも研究者ならば十分な知見があり、解説も簡単かとは思うが、一般 向けだとどこまで掘り下げるべきかがわからない」との声も聞くが、先述の通り、中には研究者 に匹敵する知識を持ってくる高校生もいるのである。彼らには、私の経験上から、解説の手加減 はほぼ無用である。それならば参加していただけるだろうか。昨今は実験ブームとでも言うべき か、いろいろなメディアで科学実験が紹介されそれに啓発されている人も多い。おもしろい、で 終わる人もいるだろうが、その先へ進む人も幾分はいるだろう。全ての層に解説を行うのが無理 であるなら、十分な興味と科学的知見を持ってくる人だけで良い。 

欧州の科学博物館の来訪では、こういった研究者が率先して、市民や子供たちに研究を語るとい う話があった。もちろん彼らにわかるレベルの話では、研究の深淵まで踏み込んだものではない だろう。むしろ研究の面白さ、不思議さなどをいかに語るか、ということだと思う。繰り返すが、

自らが扱う対象、また研究という作業に対する興味をかき立て、求められる解説を行うことは、

研究者としての責務であると考える。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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1.3  ナノテクノロジーと初等中等教育

 

立教新座中学校・高等学校  教諭  渡部  智博    中等教育の現場で考えてみると,いわゆる化学の授業で学習していることは,ほとんどナノサ イエンスに含まれてしまう。特に,中学校の理科や高等学校の化学は,原子や分子といった基本 的な粒子概念から物質を理解できるようになることが主たる目的だからである。 

文部科学省の学習指導要領1, 2)の一部を抜粋すると,次のようにと書かれている。 

 

中学校;理科  〔第1分野〕 

  目標;(3)科学的な事物・現象について観察,実験を行い,観察・実験技能を習得させ,観 察,実験の結果を考察して自らの考えを導き出し表現する能力を育てるとともに,身の回りの 物質,化学変化と原子,分子,物質と化学反応の利用などについて理解させ,これらの事象に 対する科学的な見方や考え方を養う。 

  内容;(4)化学変化と原子,分子    化学変化についての観察,実験を通して,化合,分解 などにおける物質の変化やその量的な関係について理解させるとともに,これらの事象を原子,

分子のモデルと関連付けてみる見方や考え方を養う。 

 

高等学校;化学 I  

  目標;化学的な事物・現象についての観察,実験などを行い,自然に対する関心や探究心を 高め,化学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則を理解させ,

科学的な自然観を育成する。 

  内容;(1)物質の構成    化学の役割や物質の扱いを理解させるとともに,物質に対する関 心を高め,物質を探究する方法を身に付けさせる。また,物質の構成粒子を観察,実験などを 通して探究し,基本的な概念を理解させ,物質について微視的な見方ができるようにする。 

 

中学校の理科には「原子」,「分子」といった基本的な粒子モデルを理解させることが主たる目 標であることが明確に記されている。このため,高等学校の内容に記されている「物質の構成粒 子」も原子や分子のことであり,「微視的な見方」とは原子や分子といった基本的な粒子による見 方を意味していることが明らかである。すなわち,中学生や高校生が学ぶ基本的な概念としては,

すでに「ナノ」サイズの理解を前提としていることがわかる。 

一般に,日本語で「微視的」と「巨視的」は対照的な用語として使われている。そして,高等 学校の化学 I の内容の説明にも使われている用語である。それぞれの英訳は「microscopic」と

「macroscopic」であろう。これまで「微視的」な概念と言えば,「顕微鏡 microscope」で観察で きる程度と理解されていたわけであるから,「micro」の日本語訳が「微」であることも理解でき

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る。しかし,今後,「nanoscopic」,「picoscopic」などという表現が一般的になれば,「微視的」

という日本語だけであると不十分であるかもしれない。「微」は「小さい」という意味で用いられ る言葉であるが,表1に記したように,漢数詞 3)には定量的な意味があることもふまえておきた いからである。「ナノ」サイズの話題を提供する際には,「塵」という漢字を積極的に使用したい ものである。 

 

表1 SI接頭語と漢数詞

倍数 接頭語

記号 漢数詞 読み方

1

一 いち

10

-1 デシ

deci d

分 ぶ

10

-2 センチ

centi c

厘 りん

10

-3 ミリ

milli m

毛 もう

10

-4

糸 し

10

-5

忽 こつ

10

-6 マイクロ

micro

μ 微 び

10

-7

繊 せん

10

-8

沙 しゃ

10

-9 ナノ

nano n

塵 じん

10

-10

埃 あい

10

-11

渺 びょう

10

-12 ピコ

pico p

漠 ばく

10

-13

模糊 もこ

10

-14

逡巡 しゅんじゅん

10

-15 フェムト

femto f

須臾 しゅゆ

10

-16

瞬息 しゅんそく

10

-17

弾指 だんし

10

-18 アト

atto a

刹那 せつな

10

-19

六徳 りっとく

10

-20

虚 きょ

10

-21 ゼプト

zepto z

空 くう

10

-22

清 せい

10

-23

浄 じょう

10

-24 ヨクト

yocto y

 

(18)

小中高大と進むにつれて,私達の日常生活で認識しやすい大きさから順に,小さな概念まで学 習するようになっていると言えよう。それぞれの大きさに対応する粒の一例を思い浮かべてみた い。それそれの段階で何を学ぶかという線引きは明確にできないものであるが,おおよそ,表2 のように,それぞれを学習する段階が対応する。また,小中高の学校教育の各段階では,その段 階で学習する粒の概念に基づいて,実際の現象を説明することに努めている。また,それぞれの 粒は,いろいろな手続きで見ることになるが,おおよその手続きは表2で理解して頂けるだろう。 

表2 長さとその例

倍数 接頭語 長さ 波 粒 段階 分野 見る

1 m

超短波 人

10

-2 センチ

cm

マイクロ波 ビー玉 肉眼

10

-3 ミリ

mm

赤外線 ゴマ粒

小学校 Ю 中学校

算数/理科 Ю

理科 虫眼鏡

10

-6 マイクロ

µm

可視光線 細菌 生物 光学顕微鏡

10

-9 ナノ

nm X

線 原子/分子 化学

STM 10

-12 ピコ

pm

ガンマ線

高等学校

物理

10

-15 フェムト

fm

電子/原子核 大学 理学/工学 加速器

中学校や高等学校において,近年,「マイクロスケール化学実験」4)が注目されているが,実際 の実験で行われるレベルは「ミリリットル」程度である。現実的には,さらに小さな「ナノスケ ール」の化学実験を中等教育で行う試みはない。 

一方,一般的な高校化学の授業では,いわゆるナノテクノロジーの話題と言えば,フラーレン やカーボンナノチューブのことを炭素の同素体の一つとして教えていることくらいである。また,

化学反応ということで見てみると,全て広い意味でナノサイエンスという切り口であるとしても 良いだろう。そして,高校の普通科では,「テクノロジー」に関することはほとんど学習すること がなく,高校の切り口ということであれば,「ナノサイエンス」になる。もちろん,小学校で「ナ ノ」の話題は皆無と言って良い。 

一方で,フェムト秒の測定器,アト秒のパルスレーザーの開発,スピントロニクスがナノ領域 の新しいパラダイムとして注目されているなど,中等教育までの学習内容と最先端とでは大きな 隔たりがあることは否めない。 

このような現状をふまえると,「ナノテクノロジー」を一般市民向けに紹介するという試みは 無理ではないかという結論に達してしまいそうである。しかし,次のような事例は,それを覆す 根拠となると思われる。 

それは,「流体力学」に関わる分野のことである。この分野は,きちんと把握するためには高 度な数学が必要となるため,高校では学習しない。しかし,小学生の自由研究などには,「流体力 学」に関わるものが比較的多く見受けられる。これは,小学生には理論は無理であるが,実際の

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現象としては比較的面白く,実験がしやすいということがある。ところが,高校生がこの分野に 取り組もうとすると,急に難しいところまでやりたくなり,また要求のされるため,実際に取り 組むテーマとしてはかなり困難であることに原因があると思われる。 

最先端では,いわゆる「ナノテクノロジー」の技術 5)をはじめとする極小のモノを積極的に取 り扱う時代である。しかし,高校までに学習する内容を「ナノテクノロジー」に近づけることは,

教育段階を無視したカリキュラムとなってしまうため,そのままでは無理であると言えよう。し かし,「ナノテクノロジー」を意識したカリキュラムであったり,科学系の博物館で「ナノテクノ ロジー」の具体的な事例を紹介することは,中等教育に在籍する児童生徒の興味・関心を引き出 すものになると考えられる。 

今後は,最先端の科学技術の現状,博物館などの展示,社会的な意識の醸成などを総合的に検 討し,さらに,それらに相応しい中等教育のカリキュラムの検討を具体的に進めていかなければ ならないと考える。 

       

参考文献 

1)文部省,「中学校,学習指導要領」平成10年12月. 

2)文部省,「高等学校,学習指導要領」平成11年3月. 

3)宇野正宏,建畠朔弥,福士顥士,山縣朋彦著,「理科年表読本  理科年表をおもしろくする本」

丸善株式会社,p.51(平成11年). 

4)日本化学会化学教育協議会,日本化学会関東支部「化学と教育,マイクロスケール化学実験

―マイクロスケール実験の広場から―」2003 年 3 月 26 日発行. 

5)河田聡監修,佐藤銀平著,「図解  ナノテクノロジー」技術評論社(平成17年).   

                 

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2   ヒアリング調査

2.1  ナノテクノロジー展示の現状と課題

調査先:応用物理学会会長  榊  裕之  先生

  東京・台場にある日本科学未来館には、ナノテクノロジーの展示コーナーがあり、ナノテクノ ロジー全般に渡る、詳細な解説がされている。かなりの時間を費やしてその監修をされ、日本の ナノテクノロジー研究の第一人者でもある、応用物理学会会長  榊裕之先生に、お話を伺った。 

 

・日本科学未来館の展示について 

  科学未来館のナノテクに関する展示は全部私が企画担当しました。5 年位前から 2 年間、数百 時間を投入しまして、英語の表現まで全部チェックをしました。それで、いまおっしゃった問題

(範囲が広い、複雑で社会的認知度が低い、ナノメートルの世界の特殊性が理解しにくい)とい うのが非常に大変だということは、私も身に染みて感じております。ナノテクは幅が広いですか ら、有限のスペースの中で、事例を見せて幅の広さを提示するのか、他に広がりがあるという形 で伝えるのかということを随分考えました。まあ、その時の私のソリューションは、銀座通りに 例えると、表通りを歩いた時の雰囲気と横っちょに入った時の雰囲気があって、さらにそこの中 に店に入って 2〜3 時間費やした時とは、ちょっと銀座の味わい方が違うだろうと。同じ銀座の空 気を吸うんだけれども、時間の費やし方によって味わいが違うのと同じように、少し階層的にし たいというのを一応目標にしたわけです。 

 

ところが、その意味づけがなかなか難しいんですね。銀座通りでロボットなんかを動かすなら 分かりやすいんですけれども、なるべく銀座通りで示そうと思っても、見えないとか大変なもん ですから、一般の人が日常生活で使っているものの中にも、気が付いていない間にナノテクが入 り込んでいますよ、説明されてないけれども利用されているものも山のようにありますよと、そ ういうふうに親近感を持ってもらうことを基本姿勢にしたわけです。そこから段々とですね、大 変冒険的な構想から夢物語までたくさんあるけれども、例えばナノチューブなんていうのは実物 はあってもどう利用すべきなのかを、専門家が必死になって頭を悩ませているとか、そういう単 層構造の話をしてみようということにしたんです。自己採点をすると 70 点ぐらいで、十分なもの ではないとは思っています。 

  それで困り果てて、親近感を覚えるのに日頃使っているものを頼りにしたということと、もう 一つは、研究者のインタビューを 15 人くらいやりました。それで世界のナノテクの幾つかの大き な種を蒔いたということで、7分間くらい研究者に話してもらったんですね。幸い、日本にはナ ノテクに貢献した研究者が現在もお元気ですのでね。まあ、高等学校から大学の教養学部くらい の人にとっては、自分がその分野に入っていくのに、比較的ですね、元気づけられるようです。

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多分、小学生や中学生にはちょっと難しくて、余程でないと興味がわかないかもしれないですね。 

  科学未来館の場合は、当時、東大の総長を辞められたばかりの吉川先生が館長になるというこ とで、ハイテクノロジー分野は高温超伝導の専門家の北沢先生、ナノテクは私が指名されまして、

まあ、ある種の使命感を感じてお引き受けしたんですが、展示を作るということがこんなに大変 なものかと、もう身にしみて感じました。しかも、あそこはバイリンガルで、英語表現もすると。

それも短い言葉でですね、解説しないといけないわけで。量子ドットって一体何?というような ことを、150 文字くらいの解説文にするんですね。私は日本語で読み書きしますから、プロの翻 訳家にまわると全然おかしくなってしまうんですね。だからそれをもう、片っ端から直していく 作業までやりましたからね。まあ、二度と近づきたくないっていうのがしばらくの気持ちだった んですけども。 

  でも今はね、日本には優秀な研究者がいっぱいいますからね、その人たちを組み込んで、2 年 とか 1 年おきに展示物が新陳代謝するようになればいいと思っていますよ。いっぺんに全部を出 すのではなくてね。分野がものすごく広いわけですから。新陳代謝を図りながら、地域の巡回を するというのもいいですね。 

  アメリカではね、研究費がつくとその内の

3%は博物館とか付近の高等学校に、レベルを上げ

るために使いなさいっていうことで、そこから資金がいくんですよね。本当はそういう風にしな くちゃいけないですよね。潤沢で膨大なお金を使っているわけで、その一部はそういう形で使わ れるというのが大事だと思うんですけれどね。

 

・ナノサイエンスとナノテクノロジー 

  サイエンスとテクノロジーの関係というのは、研究者自身が混乱しているところがあると思い ます。私は区別しようとしているんですけれどね。あの、ナノサイエンスをしている人がナノテ クノロジーといいながら、本当にそれが実用的になるための問題点を明示していない例が非常に 多いです。分子エレクトロニクスなどをやっている人たちにそういう人が多いですね。どちらか というと、実用の世界というものまでの距離が、いかにあるかということをご本人も認識してな いように思いますね。例えばナノチューブの飯島さんなんかも非常に注意深く、今ナノチューブ で本当の応用は一つも切り開けていない、まさに前途多難ということをかなりいわれています。

今、燃料電池が大成功して度々話題になっていますけれども、実は大抵の方が四苦八苦しながら 動いてるんですね。ですから夢を語るのは大事なことなんですけれども、間違った夢を語っちゃ いけないということですね。 

  それから、ナノサイエンスはサイエンスとしてとても大事です。ナノサイエンスはサイエンス として、実用化しようとするとこんなに壁がある。みんな四苦八苦している。どうでしょう、こ の分野に入って壁を崩してみませんか?それくらいにメッセージした方が正直だということです。

そういうプレゼンテーションをやれば、かなりいいはずですけどね。まあ、2〜3 年前と比べると だいぶ落ち着いてきましたけれども。あの、COE を獲得するために必ずしも地に足が着いていな い話もたくさんされてきました。割にちゃんとした話と、そうでもない話と、いろんな話が混じ

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ってしまっているんですね。そういう情報を、整理するのが難しい。 

 

・「ナノ」を身近にする方法 

  話が変わりますけれども、昔、小学生の頃に下敷きを髪の毛でこすると、静電気が起きました ね。あれは考えてみると、髪の毛の電気とプラスチックの電気とがね、界面効果で伝わってナノ ギャップになったために起こるんですよね。くっつくところと離れるところ、離れる最後がナノ ギャップですからね。そういう技術を使って、非常に面白い実験が実はなされているんですよ。 

私が科学未来館のお手伝いをした時には時間の制約があって十分ではなかったんですけれど、

そういえばナノの世界というのは、ものすごく身近なところにあるんですよという感じでいきた いんですよ。例えば握手すると相手の体温が伝わるっていうのだって、熱がこちらの体のタンパ ク分子に伝わって感じるわけですから、ナノスケールの分子、分子の相互作用みたいなものです しね。ただ魔法使いのような話に持っていっちゃう前に、もう少しナノの空間の要点に目を付け るようなことができると、この辺の認知度はだいぶうまくいくんじゃないかなという感じですね。 

  まあでも、科学技術館の方は皆さんプロですから、子供にどう働きかければ一番伝わるかとい うことは非常によく熟知しておられると思いますよ。一応、科学未来館の場合は予算がポンとつ いて、この機会に作れということでゼロから作ったわけです。あの、どちらかといえば映像とか ですね、プレゼンテーションの方に非常に力を入れて、私はそれなりに筋を通したつもりではい るんですけれども、何といっても時間が限られていたものですからね。私のこだわりとしては、

2005 年の物理年の催し物をベースにして、科学未来館などからどんどん他にも広まっていくこと を期待しているんですけれども。まあ、正直なところ、私自身が今非常に時間の制約があるもの ですから、それぞれ代表的な分野に精通して教育的な意義を感じている方に、何人かアドバイザ ー的に参加していただいて改善していくようなことを考えているんです。 

  この間、ハーバードで私の分野の研究会があった時に聞いたんですが、ハーバードのナノの研 究センターでは予算の中の一部を、ボストンの科学博物館の人を支えるために使っているという んですね。その担当者はアメリカのナノテク系博物館の、いろいろな取りまとめ役みたいなこと をやっている方です。それからドイツには、ご承知の通りドイツミュージアムというのがありま すけれども、あそこのハイテク分野はボンに分館があるんです。そこではいくつかナノテクノロ ジーに関係がある分野を扱っています。例えば、環境がいかに洗剤で壊されたかといったことで すね。洗剤の界面活性剤なんていうのは、ちょうどナノスケールの例なんですね。それで、新し い洗剤が環境問題をどういう風に緩和したか、それはナノスケールで油と水とをつなぐような形 にしたからだといった具合ですね。私は、あまり広げすぎるとそれもナノなのか?という疑問が 出る面がありますけれども、もう広くとらえてやれば、子供にとっては非常に魅力的なものがで きると思いますよ。 

 

・「分かった」を重視する 

  そこで唯一、頑張らなくちゃいけないのは、幅が広いので全部を網羅することはしませんとい

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