112 肝造影 CT における至適ヨード投与量の検討(体重法と体表面積法の比較)
高知大学医学部附属病院 放射線部 松下めぐみ 沖野和弘 西川望 下司博之
【背景・目的】造影 CT 検査時のヨード投与量は患者 さんの体重によって決定する(以下体重法)のが主流 となっており当院でも体重法によって造影剤の使用 量を決定している。しかし体重法では高体重群にお いて造影剤の過剰投与が懸念される。体重法とヨー ド投与量を体表面積によって決定する方法(以下体 表面積法)を当院で行った肝造影 CT 検査症例を用 いて比較した。
【撮影条件・調査方法】造影剤投与量:600mgI/kg, 注入時間:30 秒,撮影開始時間:造影剤注入開始 45 秒後,70 秒後。単純 CT と造影剤注入開始 70 秒後の 肝実質の CT 値の差を造影効果(以下ΔHU)とした。
そしてΔHU が 50 以上を至適な肝実質濃染の基準と した。体重法に関しては当院で行った肝造影 CT 症 例の体重当りのヨード投与量と造影効果を調べた。
体表面積法に関しては体重法で行った結果を元に 体表面積あたりのヨード投与量を算出し,体重法と同 様に造影効果を調べた。また,体表面積あたりのヨー ド投与量が 22gI/㎡の時,ΔHU が 50 以上となる件数 が最も多かったので体表面積あたりのヨード投与量 を 22gI/㎡と仮に規定した。
【結果】体表面積法(22gI/㎡)と体重法(600mgI/kg)の 体表面積および体重と造影効果の関係を比較した。
体重が 50kg~65kg の範囲ではどちらも同等の造影 効果が得られているようだった。また,体表面積法と体 重法で必要となるヨード投与量を比較した(図 1)
図1:体重とヨード投与量
20 25 30 35 40 45 50 55
30 50 70 90
体重(kg)
ヨード投与量(gI)
体重が 50kg以下のとき体表面積法の方が必要とな るヨード投与量が多くなり,65kg以上では体重法の方 が多くなる。そこで当院で行った肝造影 CT の症例を 以下のように分類した。(表 1,2)
表 1:体重 50kg以下のときのヨード投与量と造影効果
表 2:体重 65kg以上のときのヨード投与量と造影効果
【まとめ】体重が 50kgから 65kgまでの場合では体重 法,体表面積法のどちらも同様な造影効果が得られる。
体表面積法ではヨード投与量が 22gI/㎡の時体重が 50kg以下の場合体重法と比べてヨード投与量が多く なり過投与となる可能性がある。体表面積法は適応 できる体重の範囲が限られる。
体重が65kg以上の症例数 ヨード投与量≧22gI/㎡
ΔHU<50
(過少投与の可能性あり) ヨード投与量<600mgI/kg ΔHU≧50
(過投与の可能性あり)
42件 11件 (26.2%)
14件 (33.3%) 体重が50kg以下の症例数
ヨード投与量<22gI/㎡
ΔHU≧50
(過投与の可能性あり) ヨード投与量≧600mgI/kg ΔHU<50
(過少投与の可能性あり)
53件
7件 (16.7%)
41件 (77.4%)
ヨード投与量≧600mgI/kg ΔHU<50
(過少投与の可能性あり)
7件 (16.7%)
600mgI/kg 24gI/㎡
20gI/㎡
22gI/㎡
113 低管電圧を使用した腹部造影検査の基礎検討
高知大学医学部附属病院 放射線部 西川望 山田陽子 松下めぐみ 原隆史 沖野和弘 下司博之 目的 当院ではX線CTの撮影で使用管電圧を
120kVに設定している。120kVに比べ低電圧 80k Vではヨード吸収端に実効エネルギーが近いため 造影コントラストがよくなるといわれる。低コントラス ト領域でも改善がみられ、当院における肝造影検 査においても有用かどうか、低電圧撮影について の可能性を探る。
使用機器及び造影剤
CT装置 : Aquilion16(TOSHIBA) 造影剤 : イオベリン 300mgI/ml
ファントム : 楕円形(20×30cm)、円形(186mmφ) 撮影条件
管電圧 : 120kV 80kV
検出器 : 2.0mm×16 列 HP15 スライス厚 5mm 撮影FOV:M(320mm) L(400mm)
方法 1.FOV による均一性をみるため、楕円形水 ファントムを 80kV,100mAs FOV:M,L で撮影した。
2.mAs 値による均一性をみるため、80kV、FOV:L、
100mAs,150mAs で撮影する。
3.円形水ファントムをガントリ中心から 5cmずつ上 下左右にずらして位置依存性をみる。
4.水ファントムのCT値と SD の関係をみる。
5.水ファントムの mAs 値と SD の関係をみる。
6. 低ヨード(1.5,2.0mgI/ml)を含む自作ファントム を、120kV,80kV で mAs 値を変化させ撮影し、mAs 値 と CNR( Contrast Noise Ratio)の 関 係を 示 す。
mAs値とCNRの関係 0
2 4 6 8 10 12 14 16
0 100 200 300 400 500
mAs
CNR
120kV 1.5mgI 120kV 2.0mgI 80kV 1.5mgI 80kV 2.0mgI
結果 1.FOV:M が均一であるのに対し、FOV:L
は辺縁部で CT 値が低下し中心部で上昇する。
辺縁部ではアーチファクトも強く表れている。
2.低線量である 100mAs のほうが、辺縁部のアー チファクトはより強く現れている。
3.ガントリ中心から距離が離れる程 CT 値の低下 が強く表れている。
4.80kV では、水の SD が上昇するとともに、CT 値 が上昇する。
5.80kV では、低線量域において特に SD が高く、
120kV と同程度の SD を得るには、120kV の約 5 倍の mAs 値が必要となる。
6.どの濃度においても 120kV の方が 80kV よりも CNR がよくなった。これは、CNR を求める式からわ かるように、80kV では、分母にくる BASE の SD が 増加するため CNR が改善されなかった。
考察 80kV においては、均一性が悪く、位置依 存性も悪いことから、被写体のおおきさに合った FOV を設定し、正確なポジショニングを行うことが 求められる。80kV は、 120kV と同一 SD を得るた めに、 120kV より 5 倍程度の mAs 値を必要とし、
X 線管の負荷が増大し、 X 線管の寿命にも影響 を与える。実際には、当院の装置の定格により線 量不足が発生し、肝造影検査に適応できない。
【目的】
このたび、GE ヘルスケア社製 MDCT Light
speed VCT へ根本杏林堂社製インジェクタ同
期システム「Extream injecter」が搭載された ので検討と活用方法を探った。
【方法】
2010 年 3 月に当院で稼動を始めた Light
speed VCT/ 根本杏林堂社製インジェクタ
DUAL SHOT GXインジェクタ同期システム
(以下Extream injectorシステム)について 以下を検討した。
① Extream injectorシステムの条件制御方法
② Extream injectorシステムがボーラストラ ッキング(以下Smart Prep)に及ぼす影響
③ インジェクタ側で設定した注入時間とC T側で設定した注入時時間の誤差の有無
【使用機器】
MDCT:Light speed VCT GE Healthcare 自動注入器: DUAL SHOT GX 根本杏林堂 Interface:Extream injector GE Healthcare
【結果】
① Extream injectorの制御方法 と特徴
・スタートボタンの操作はCT側で行う。
・CT本体ディスプレイ上でインジェクタプロ トコルを組める。
・インジェクタで設定したプロトコルをCT本 体ディスプレイ上へコピーできる。
・Dose Report と同様にInjection Report が CT内に蓄積され閲覧出来る。
② Extream injectorシステムがボーラストラ ッキング(Smart Prep)に及ぼす影響 頭部CTA /大動脈CTA/下肢CTA/肝臓ダイナミ ックスキャンにおいて、Extream injectorシス
庄原赤十字病院医療技術部放射線技術課 宇山浩文 藤元晃一 平谷芳照 安井哲士 藤本耕平 西 秀治 黒田 塁 林 完治
テムのオンとオフで Smart Prep のスキャン フェーズ開始時間自動調整機能(トリガー検知 から本スキャンまでの最短時間)の出力値に差 はなかった。
③インジェクタ側で設定した注入時間と CT 側で設定した注入時間において*450mgI/
kg・60secで設定した場合のCT/インジェク
タ注入時間の割合の比は 1.03、最大注入時間 64.2sec*450mgI/kg・100secの場合1.05、
最大注入時間 112.9sec*600mgI/kg・30sec の場合1.00、最大注入時間30.5secであった。
【考察】
・Extream injecterシステムはCT側で注入 条件を制御する仕組みであった。
・Extream injecterシステムがボーラストラ ッキング法に影響を及ぼすことはなかった。
・インジェクタで設定した注入時間とCTで設 定した注入時間に若干誤差があったが,血管 系や肝臓ダイナミックなど短時間注入の検 査では使用上問題はなかった。
・Dose Report と同様にInjection Reportが CT内に発生し、閲覧出来画像サーバへスト レージ可能である。
【結論】
・Extream injecter のInjection Reportは被 曝と同様に造影剤投与も管理できる。
・IC タグ情報の取り込み、RIS への連携が可 能なら、詳しい造影剤情報を含めた造影管理 が可能となる
・上記よりこれからのCTシステムにはインジ ェクタ同期システムは必要不可欠なシステ ムである。
115 Single Head Injector を 2 台利用した造影効果の評価
(財)倉敷成人病センター 放射線技術科 木下 琢実
[目的]
Dual Head Injectorを使用し、生食後押しを することで血管の CT 値を上げる方法がよく 用いられる。当院では Single Head Injector を2台使用した場合の生食後押しについて、肝 転移目的の撮影条件下で動脈、門脈、臓器の造 影能が向上するか検討を行った。
[対象]
2010年1月~2011年5月までに肝機能障害や 明らかな門脈圧亢進症、腎機能障害(eGFR60 未満)を認めない症例を対象とした。300㎎I の使用は50名。350㎎Iの使用は100名。年 齢、体重、男女構成比に有意差は認めなかった。
[方法]
患者さんを 41kg~50kg の患者さんは造影剤 300mgIを全量注入。51kg~80kgの患者さん は350mgIを全量注入。それぞれ造影剤100ml 全量を秒 2ml で注入し、造影剤を入れ終わっ たと同時に三方活栓の向きをもう一方のイン ジェクターに切り替え生食 20ml を秒 2mlの 10 秒間で注入するよう作動させた。撮影は造 影をしてから60s後、180s後に行った。造影 注入 60s 後に撮影を行った門脈相での腹腔動 脈分岐レベルの動脈、門脈本幹、門脈分枝は左 右2 点の平均、肝臓は右葉左葉の2 点の平均 CT 値の測定を行い、生食の後押しの有無で CT 値に有意差が認められるか students t-検 定にて対比した。総計的有意差はPが0.05よ り小さいものとした。
[結果]
300㎎I全量注入の生食後押しの有無ではCT 値に有意差は認めなかった。350㎎I全量注入 の生食後押しの有無では動脈で有意差を認め たが、その他の部位では有意差は認めなかった。
350㎎Iの動脈のCT値は5.7%の上昇が見ら れた。またヨード量が一定のため体重が上がる につれてCT値が下がっていた。[Fig1]
[考察]
造影剤注入後から撮影までの間の10s間に生 理食塩水を20ml注入することで停滞したヨー ドがゆっくりと循環している、いわゆるデッド スペースに残った『造影効果にあまり寄与しな いヨード』を利用することで造影能の効果を上 げようとしたが、影響は350㎎Iの動脈までだ った。350㎎Iの方だけ動脈で有意差を認めた 要因は、体重が大きいためわずかな量の造影剤 でもプッシュアウトすることでCT値のピー ク時間が延長されたと考えられる。門脈系さら には肝臓のCT値が上がらなかった要因は、門 脈や肝実質の造影ピーク値に達する時間は造 影剤の注入速度に影響すると考えられ、単に生 食後押しだけでは造影能は上昇しないと考え る。
Fig1
116 256MSCT を用いた冠動脈 CT における希釈テストインジェクション法 の有用性
愛媛大学医学部附属病院 診療放射線部門 末国宏 山内聡 森絵美子 神野仁寿 吉本政弘 愛媛大学医学部附属病院 放射線科 城戸輝仁 倉田聖 望月輝一
【背景】
冠動脈 CT 検査ではプラークの評価等において、
症例毎に変わらない均一で最適な造影効果が必 要であり、当院では希釈造影剤を用いた希釈テス トインジェクション法(以下希釈 TI 法)を用い て造影効果の最適化を行っている。
【目的】
今回はテストインジェクション法の一般法であ る体重換算テストインジェクション法(以下体重 換算 TI 法)と希釈 TI 法による冠動脈の造影効果 の均一性について比較検討を行った。
【造影プロトコル】
【検討項目】
体重換算 TI 法と希釈 TI 法で撮影した各 50 名に おいて、大動脈、冠動脈(#1、#5、#6、#11)で のCT値の平均値(HU)、標準偏差および変動係 数(%)を算出し、二つの方法を比較検討した。
なお、石灰化の強い症例や直径 2mm 以下の冠動脈 は測定対象から除外した。
【使用機器】
CT 装置:Brilliance iCT(PHILIPS)
Collimation:128×0.625mm(with ZFS) 120kV ECG gating Retrospective scan
自動注入器:Stellant Dual flow (medrad) 造影剤:オムニパーク 350 注シリンジ(第一三共)
イオパミロン注 370 シリンジ(バイエル)
【結果】
造影効果のばらつきは、大動脈および冠動脈起始 部のいずれにおいても希釈 TI 法のほうが少なか った。また、心機能異常例など、体重換算 TI 法 では造影効果のコントロールが困難な症例にお いても、希釈 TI 法は良好な造影効果を得ること ができた。
【考察】
希釈 TI 法はテストインジェクションの結果から タイミングだけでなく、必要な造影剤濃度も計算 できるので、体重換算 TI 法ではコントロール困 難な心機能異常などの症例でも良好な造影効果 を得ることが可能であると考える。
【結語】
希釈 TI 法を用いた冠動脈 CT で、症例毎のばらつ きが少ない良好な造影効果を得ることができた。
また、今後は低電圧撮影を併用することにより、
更なる造影剤低減の可能性が期待される。
~心拍数の変化と画像再構成関数の影響~
川崎医科大学附属病院 中央放射線部 村正勝 池長弘幸 森分良 竹本理人 甲谷理温 柳元真一
[背景と目的]
心電同期CTによる冠動脈検査でプラークの 性状を知ることはとても重要でカラーマップ や MPR 処理などによって総合的に評価されて いる。その評価に用いられる CT 値は、様々な 要因により影響を受けることが知られている。
そこで今回、我々は冠動脈の心電同期CTにお ける①心拍数の変化がプラークのCT値へ与 える影響と,②画像再構成関数がプラークのC T値に及ぼす影響ついて検討を行ったので報 告する。
[使用機器および方法]
①拍数の変化での検討は、希釈造影剤溶液 (400HU)を封入したプラークを模した模擬狭 窄血管(3 ㎜Φ:50%狭窄)を心臓動態ファント ム(フヨ―)に設置して、MDCT Aquilion64(東 芝)にて時間分解能の異なる 7 種の心拍数 (55~115bpm)による心電同期ヘリカル撮影を 各 5 回行った。ついで、取得した画像をワー クステーション(AZE)で CurvedMPR 解析にて 血管狭窄部位の直行断面を作成し、その断面 上にROIを設定しCT値を計測した。他方、
②画像再構成関数の検討は、心拍数 55bpm の 画像データに対し FC03, FC13,FC43 で再構成 を行い①と同様の方法で CT 値を測定した。な お、これらの測定値は、Scheffe による有意 差検定を行って評価した。
[撮影条件]
[結果]
①各心拍数帯の冠動脈プラークの CT 値に有 意差は認められなかった。(Table2)
②画像再構成関数(FC03・FC13・FC43)の変化に おける冠動脈プラークのCT値に有意差は認 められなかった。(Table3)
[結語]
心電同期冠動脈 CT において心拍数及び画像再 構成関数は冠動脈プラークの CT 値に影響を及 ぼさないことが示唆された。
Table.3 画像再構成関数の変化によるプラークCT値
Table.1 撮影条件
Table2 心拍数の変化によるプラークの CT 値
*
n.s
*
n.s
118 頭部 3D-CTA(Angiography)における CT-AEC の基礎的検討
川崎医科大学附属病院 中央放射線部 森分良 池長弘幸 村正勝 竹本理人 三村浩朗 柳元真一
[目的]
頭部3D-CTAでは管電流値固定法(従来法)を用いて いるが、患者間の画像ノイズ均一化、被ばく線量低減 のためCT-AECを用いた撮影(AEC法)が報告されて いる。しかし、AEC 法の際、当院の MDCT 装置 Aquilion64(東芝社製)では管電流値が350mAを超 えると管球焦点が大焦点に切り替わり空間分解能の 低下による血管描出能への影響も危惧される。そこで 今回、頭部3D-CTAにおいて従来法とAEC法の比 較検討を①空間分解能(X-Y面、Z軸)、②血管描出能、
③被ばく線量の3項目で行ったので報告する。
[使用機器]
MDCT 装置 Aquilion 64(東芝社製)、ワークステー ション Virtual Place 雷神 Plus(Aze)、ファントム Φ0.1mm ワイヤファントム(自作)、Catphan600(The Phantom Laboratory) Φ 0.18mm ビ ー ズ CTP591 、視覚評価ファントム(Φ20cm) Φ1mm模擬 血管ファントム
[方法]
①空間分解能の検討方法:小焦点(300mA)、大焦点 (400mA)の 2 つ の 条件で 、X-Y 面はワ イヤ法 (0.1mmΦ)にて、Z 軸はビーズ法(0.18mmΦ)にて MTFを算出した。管電流値以外の撮影条件は、一定 とした。②血管描出能の検討方法:希釈造影剤溶液 (300HU)を模擬血管(Φ1mm)に封入し、直径 20cm の円柱アクリル容器の中心より 1.5cm 上方で垂直に 固定して模擬血管の周囲を水で満たしたファントムを 作成。このファントムを従来法(300mA)と AEC 法 (AEC 設定値 SD:8~17)にてヘリカル撮影を行い、
VR画像を作成、視覚評価を行い、結果に対して分散 分析を行った。AEC設定値以外の撮影条件は、一定 とした。③被ばく線量の検討方法:方法②の撮影時に CT装置に表示されるDose Length Product(DLP) 値を用いて被ばく線量の評価を行った。
[結果]
①空間分解能の結果:10%MTFがX-Y面では小焦 点で 0.76cycles/mm、大焦点で 0.64cycles/mm。Z 軸 で は 小 焦 点 で 0.78cycles/mm、 大 焦 点 で 0.75cycles/mmとなり、X 線管球焦点が大焦点になる と低下する結果となった。②血管描出能の結果:従来 法に比べてAEC設定値SD=8、9、10、12、13の時 に描出能に有意差がなく、AEC 設定値により差異が 認められる結果となった。(Fig.1)
③被ばく線量の結果:従来法と比較して AEC 設定値 10 の時に同等の被ばく線量となり、それよりも大きい AEC設定値にする事により、被ばく線量を低減するこ とが出来た。(Fig.2)
[結語]
従来法に比べてAEC法は空間分解能、血管描出能、
被ばく線量ともに AEC 設定値により、差異がみられ た。
Fig.1 AEC設定値の違いによる視覚評価
従来法のDLP値
Fig.2 AEC設定値の違いによる被ばく線量
119 3D-CTAngiography(CTA)における 画像再構成関数の基礎的検討
川崎医科大学付属病院 中央放射線部 竹本 理人 池長 弘幸 村 正勝
森分 良 柳元 真一
【背景·目的】
近年、マルチスライスCT(MDCT)の多列化 とワークステーションの進歩に伴い臨床に 精度の高い3D-CTA画像を提供できるよう になった。
3D-CTAにおいて血管描出の精度を向上さ
せるには高い造影効果、高空間分解能およ びノイズの少ない画像等の条件が必要とな る。しかし、当院で3D-CTA検査に使用し ている東芝社製MDCT装置Aquilion64の 画像再構成関数はこれらの条件に影響を及 ぼす事が報告されている。そこで今回、
FC03,FC13,FC43の3種類の画像再構成関 数を用いて、CT値、CT値差およびX-Y平 面空間分解能について比較、検討を行った。
【方法】
CT値とCT値差の検討では、10種類の希 釈造影剤(50~600HU)を封入したシリンジ を水で満たして容器内に固定したファント ムAと、そのシリンジ周辺に高吸収体 (HU1000)を配置したファントムBを作成 した。ついで、これらをヘリカル撮影し得 られた画像にROIを設定して、高吸収域の CT値とその周囲とのCT値差を算出した。
また、X-Y面空間分解能の検討は、ワイヤ 法(0.1mm径)にてMTFを算出して行った。
【結果】
○CT値、CT値差 : A、B両ファントムに おいてFC13に対する300HU以上でのCT
値は、FC03では最大13%の低値となった がFC43では若干の高値を示した。CT値差 は、FC03では最大11%の低値となったが FC43では同等となった。(Fig.1,Fig.2)
○X-Y平面空間分解能 : 10%MTF値で比 較すると、FC03=0.81cycles/mm、
FC13=0.80cycles/ mm
FC43=0.76cycles/mmとほぼ同等の結果を 示した。(Fig.3)
【結語】
画像再構成関数FC03は、FC13、FC43と 比較してCT値が低下するため3D-CTA で の使用には注意が必要であると考えた。
0 100 200 300 400 500 600
0 100 200 300 400 500 600
FC 03 FC 13 FC 43
(HU) (HU)
ファントムA
0 100 200 300 400 500 600
0 100 200 300 400 500 600
FC 03 FC 13 FC 43
(HU) (HU)
ファントムB
Fig.1 画像再構成関数によるCT値の変化
0 100 200 300 400 500 600
0 100 200 300 400 500 600
FC 03 FC 13 FC 43 (HU)
(HU) 0 100 200 300 400 500 600
0 100 200 300 400 500 600
FC 03 FC 13 FC 43 (HU)
(HU)
ファントムA ファントムB
Fig.2 画像再構成関数によるCT値差の変化
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1
0 0.5 1 1.5
FC 03 FC 13 FC 43
空間周波数(cycles/mm)
MTF
0.1
Fig.3 画像再構成関数によるMTFの変化
120 管電圧 100kV を使用した頭部 CTA の基礎的検討
鳥取大学医学部附属病院 放射線部 坂田磨美 酒匂敏雄 岸本淳一 津田恵実 山根武史 平田吉春
目的
近年、CT 検査における低管電圧撮影の検討及 び臨床への利用がみられる。造影検査でコント ラストの向上が期待できるが、当院では低管電 圧撮影は未検討であった。今回、頭部 CTA にお ける低管電圧撮影の基礎的検討を行った。
方法
模擬血管チューブの入った自作ファントム(図 1)を CT ガントリーのセンターに配置し、管電 圧 120kV・管電流時
間積 225mAs で撮影 した(以下この画像 は基準画像とする)。
次に管電圧 100kV・
450mAs~75mAs で撮 図 1 ファントム 影した。視覚評価として放射線技師 6 名で、基 準画像と 100kV 画像の画像ノイズを同一スラ イスで比較し、基準画像に対して視覚的に同等 の画像ノイズであると判定される画像を選択 した。また物理評価として基準画像の 120kV・
225mAs と 100kV・450mAs~75mAs の CTDIvol の 比較、CNR を以下の式で算出し比較を行った。
なお CT 値の測定は血管周辺の 3 点を半径 4mm の ROI で、血管は模擬血管の内径より 0.2mm ほど大きい半径 1.2mm の ROI で行った。
結果
・視覚評価
基準画像と比較して、100kV・225mAs でノイズ が同等と評価したのが 3 人、263mAs 以上では 全員が許容できる画像であることが評価され た。
・CTDIvol の比較
基 準 画像 の 条件 であ る 120kV ・ 225mAs で は 87.9mGy となり、この値と同等になる 100kV で の条件は 338mAs となった。また、視覚評価で 同等と評価された 100kV・263mAs では 68mGy と なった。
・CNR の比較
図 2 CNR の比較
CNR の比較の結果を図 2 に示す。100kV 画像で はどの mAs 値においても同様の傾向を示した。
CTDIvol が同等となった 100kV・338mAs 画像と 基準とを比較すると、338mAs のほうが CNR が 向上した。
考察
管電圧 100kV・263mAs で、基準画像と同等以上 の CNR だった。この時の CTDIvol では基準に比 べ 23%小さい値となった。100kV では従来の 120kV より画像ノイズの増加は見られるが CT 値の上昇により CNR が向上した。したがって、
設定値によっては被曝線量や造影剤注入量を 低減できると考えられる。
結語
今回のファントム実験で、管電圧 100kV を使用 した頭部 CTA において従来と同等の CNR を得る ための設定 mAs 値は 263mAs であった。
からの金属アーチファクト低減効果の検討
山口大学医学部付属病院放射線部 山口貴弘、久冨庄平、佐野裕一、楢崎亜希子、菊地友紀、田中千弘、上田克彦
【背景・目的】
当院の Dual source CT には、仮想的に単色 X 線による画像を作り出す monoenergetic 処理 が搭載されている.この処理で作成される仮想 単色 X 線画像の設定エネルギーを変化させる ことで、造影コントラスト改善や、高吸収体か らのアーチファクト低減効果が期待されてい る.そこで、仮想単色 X 線画像が脳動脈瘤クリ ップからの金属アーチファクトの低減に有用 かファントム実験にて検討を行った.
【方法】
CT 装置は Siemens 社製の SOMATOM Definition を使用し、撮影管電圧 80kVp、140kVp の Dual energy mode で撮影した.ファントムは円柱状 の容器を水で満たし、周りを模擬骨で包んだ.
その中央付近に模擬血管としてヨード造影剤 を封入したチューブを 2 本配置し、その間にチ タン合金製の脳動脈瘤クリップを配置した.ヨ ード造影剤は従来の 120kVp で撮像したとき CT 値が約 300HU となる濃度とした.
仮想単色 X 線画像は設定エネルギーを 40keV から 190keV まで 5keV ごとに作成した.画像の バッググラウンド(B.G.)、信号、金属アーチフ ァクトのアンダーシュート及びオーバーシュ ートにそれぞれ関心領域を設定し、範囲内の平 均 CT 値を測定した.診断用画像で、従来の撮影 管電圧 120kVp に相当する Mix 画像においても 同様の関心領域を設定し、両者を比較した.
【結果】
図 1 に設定エネルギーとアーチファクトの関 係を示す.設定エネルギーを高くするとアーチ ファクト強度は低下し、70keV 以上で Mix 画像 よりも低くなった.125keV で最も B.G.の信号 値である 0 に近づき、それ以上の設定エネルギ ーではアーチファクト部の信号値の正負が逆
図 2 に 最 も ア ー チ フ ァ ク ト 強 度 が 低 い 125keV の仮想単色 X 線画像と診断用の Mix 画 像を示す.Mix 画像でアーチファクトによって 信号の情報が欠損している部分(矢印:-70HU) が、仮想単色 X 線画像では改善(矢頭:100HU) された.しかし、設定エネルギーを高くすると 信号の平均 CT 値が低下し、水である B.G.は 0HU で変化しないので、コントラストが低下した.
また、ノイズが増加し、信号部の辺縁の形状に 凹凸が生じた.
【考察】
仮想単色 X 線画像を用いることで、金属アー チファクトによって欠損した濃度情報が改善 された.しかし、造影コントラストは低下し、
形状も完全に修復することはできなかった.従 来の画像に新たな情報を付与する形での利用 が、有用であると考えられた.
図1.金属アーチファクト解析結果