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プロトン伝導性酸化物の白金とのヘテロ界面におけ る電気化学特性

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

プロトン伝導性酸化物の白金とのヘテロ界面におけ る電気化学特性

髙村, 泰宏

http://hdl.handle.net/2324/2236229

出版情報:九州大学, 2018, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

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(様式2)

氏 名 :髙村 泰宏

論 文 名 :プロトン伝導性酸化物の白金とのヘテロ界面における電気化学特性 区 分 :甲

論 文 内 容 の 要 旨

セラミックス電解質・電極および金属電極で構成される固体酸化物セルは、化学エネルギーと電 気エネルギーの間の効率の高い変換を可能にすることから、省エネルギー・脱炭素社会の実現に向 けて燃料電池発電や水素製造への応用が推進されており、代表例である固体酸化物燃料電池につい ては商用化が進められている。プロトン伝導性酸化物は、プロトン(水素イオン)が伝導すること を特徴とし、従来の安定化ジルコニア等と比較して低温でも高い伝導性を有するとともに、原理的 に燃料電池の燃料利用率を高められることから、エネルギー変換デバイスとしての応用が期待され ている。当該分野で様々な要素研究が進められてきたが、未解決課題として異種材料間の界面の問 題があげられる。セラミックスと金属などの異種材料との界面では、理論的にそのプロトン伝導特 性が変化することが予想され、例えば、金属電極との界面におけるプロトン伝導性の変化は電極の 特性に影響するはずである。また、金属との界面によりプロトン伝導性が促進される場合があれば、

これを用いて電解質や電極の性能を向上させることも可能であろう。したがって、異種材料との界 面においてプロトン伝導性酸化物がどのような性質を発現するかは学術的にも応用上も重要な課題 であるが、あまり良く理解されていない。

本論文では、プロトン伝導性酸化物中に白金ナノ粒子が析出した材料についてその特性を調べ、

白金とのヘテロ界面におけるプロトン伝導性酸化物の性質の変化について検討した。構成元素の異 なるプロトン伝導性酸化物として SrZrO3系および SrCeO3系を取り上げ、これに白金ナノ粒子を 分散させたときの挙動の違いを白金電極の特性と関連付けて調べた。

本論文は次の7章からなる。

第1章では、本研究の背景と目的を示し、プロトン伝導性酸化物と白金の界面を調べることの意 義について述べた。

第2章では、実験方法とその原理について説明した。

第3章では、プロトン伝導性酸化物のイオン・電子の輸率、すなわち、各伝導種の伝導度の割合 を調べた。プロトン伝導性酸化物は、ガス雰囲気や温度に依存してプロトンのほかに酸化物イオン、

電子、正孔を伝導する。白金との界面におけるプロトン伝導性酸化物の性質を議論するためには、

まず、白金を含まない材料の固有の性質を知る必要があり、上記の伝導種の輸率をガス濃淡電池の 手法により決定した。SrCeO3系、SrZrO3系ともに800℃以下では、プロトンが80%以上の輸率を 持つことを明らかにした。

第4章では、SrCeO3系およびSrZrO3系プロトン伝導性酸化物に白金ナノ粒子を分散させた場合 のイオン伝導度の変化について検討した。SrZrO3系プロトン伝導性酸化物については、白金ナノ粒 子を分散させることによって1000℃においてイオン伝導度が低下すること、その原因として白金と の界面においてプロトン伝導性酸化物相が負に帯電することが既に報告されているが、本章におけ

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る実験では、400℃~800℃の温度領域においても同様の挙動が現れることを明らかにした。第2章 の輸率測定の結果からは、この温度領域における主要なイオン伝導種はプロトンであると同定され ていることから、前記のイオン伝導度の低下がプロトン伝導度の低下によるものであると結論し、

プロトン伝導相が負に帯電することによってプロトン濃度が減少すると考察した。一方、SrCeO3

系プロトン伝導性酸化物の場合には、白金ナノ粒子を分散させてもプロトン伝導度があまり変化し ないことが実験的に明らかとなった。この傾向は、白金電極の活性が SrCeO3系プロトン伝導性酸 化物に対しては非常に高いのに対してSrZrO3系に対しては非常に低いという実験結果と一致した。

これらの結果より、SrCeO3が白金との界面において負に帯電しないという仮説を提起した。

第5章では、SrCeO3系およびSrZrO3系プロトン伝導性酸化物の仕事関数を測定し、前章の仮説 が正しいかどうかを調べた。すなわち、プロトン伝導性酸化物相が負に帯電するのはその仕事関数 が白金(5.6 eV)よりも大きい場合であり、前章の仮説からはSrZrO3系に比べてSrCeO3系のプロ トン伝導性酸化物の仕事関数が小さいと予想された。しかし、測定の結果はどちらの場合にも 6.2

~6.5 eVと白金よりも大きな仕事関数を持ち、したがって、前節で提起した仮説は正しくなく、白 金との界面ではどちらの材料も負に帯電すると結論づけた。SrCeO3系酸化物中のCeが水素中で3 価に還元されるモデルが提案されている。前章において SrCeO3のプロトン伝導度が白金との界面 で下がらないことの原因について、構成元素の Ce が負電荷を受け取ることにより、プロトン濃度 の低下を抑制するという説明に帰着した。

第 6 章では、白金ナノ粒子の分散が異なる組成のプロトン伝導性酸化物に与える影響を調べた。

SrCeO3系とSrZrO3系の中間組成について調べ、白金ナノ粒子の分散が与える影響がCe/Zr比に対 して連続的に変化することを突き止めた。この結果は、電解質に対する白金の電極活性の傾向をよ く説明し、Ce含有量が多いほど負電荷を受け取る効果でプロトン濃度低下を抑制すると結論し、金 属電極への活性の観点からは、Ce/Zr比を高めることが有効であるという指針を示した。

第7章では、本研究を総括した。

以上、本研究は、プロトン伝導性酸化物の白金との界面における物性について調べ、プロトン伝 導性酸化物がCeおよびZrからなる場合の挙動の違いを明らかにし、これらに対する金属電極の活 性の違いを説明した。これらの知見は、金属電極の活性の観点からプロトン伝導性酸化物の組成の 選択に関する指針を与えるものである。

参照

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